2σ Guide

相続手続きを自分でやる場合と
弁護士に頼む場合の比較

相続人が協力的で財産が単純なら自力対応も考えられます。ただし、相続放棄、相続税、相続登記、不動産、遺留分、親族間対立が絡む場合は、早い段階で専門家の関与を検討する必要があります。

3か月相続放棄・限定承認
10か月相続税申告・納付
3年相続登記の原則期限
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相続手続きを自分でやる場合と 弁護士に頼む場合の比較

相続人が協力的で財産が単純なら自力対応も考えられます。

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相続手続きを自分でやる場合と 弁護士に頼む場合の比較
相続人が協力的で財産が単純なら自力対応も考えられます。
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  • 相続手続きを自分でやる場合と 弁護士に頼む場合の比較
  • 相続人が協力的で財産が単純なら自力対応も考えられます。

POINT 1

  • 相続手続きを自分でやる場合と弁護士に頼む場合の全体像
  • 費用の安さだけでなく、期限・紛争可能性・財産の複雑さを合わせて判断します。
  • 費用より先に期限と紛争可能性を確認します
  • 相続人と遺産を確定する
  • 放棄・限定承認・単純承認を選ぶ

POINT 2

  • 相続手続きの主要期限 ― 3か月・10か月・3年を外さない
  • 1. 死亡届と初期対応:死亡届、火葬許可、年金、保険、公共料金、未払費用などが重なります。
  • 2. 相続放棄・限定承認:借金、保証、事業債務が疑われる場合は、家庭裁判所への申述や期間伸長を検討します。
  • 3. 相続税申告・納付:遺産分割が未了でも期限は到来します。
  • 4. 相続登記:不動産を取得したことを知った相続人は、原則として3年以内の申請が必要です。

POINT 3

  • 相続手続きを自分で進めるか弁護士に頼むかの比較
  • 自力対応の利点と、弁護士依頼の合理性を実務項目ごとに比べます。
  • 自分で進めやすいケースと、弁護士相談を優先しやすいケースは、相続人の関係、財産の種類、債務、期限、紛争可能性で分かれます。
  • 次の比較一覧は、左右のどちらに近いかを読むためのものです。
  • 直接費用は自力対応が低く見えますが、法的判断、紛争対応、期限管理、後日の紛争予防では専門家関与の意味が大きくなります。

POINT 4

  • 相続手続きを自分で進める場合の流れと分岐
  • 1. 財産と債務を調査:預貯金、不動産、借入、保証、税金、事業債務を確認します。
  • 2. 借金や保証が明らかか:郵便物、信用情報、契約書、事業資料を確認します。
  • 3. 3か月以内に専門家相談:相続放棄、限定承認、期間伸長を検討します。
  • 4. 協議へ進む:遺産分割、名義変更、税務・登記を進めます。

POINT 5

  • 相続手続きを自分でやる場合のリスクと弁護士相談の判断基準
  • 相続人の見落とし
  • 出生から死亡までの戸籍を確認しないと、前婚の子、養子、代襲相続 人などを漏らす可能性があります。
  • 遺言確認不足
  • 遺言書の有無や検認の要否を確認しないと、協議後にやり直しになることがあります。

POINT 6

  • 相続手続きの代表事例と専門家の使い分け
  • 事例別に、自分で進める範囲と専門家へ任せる範囲を切り分けます。
  • 代表的な事例を見ると、同じ相続でも必要な支援が大きく変わります。
  • 相続では弁護士以外の専門家も重要です。
  • 次の比較一覧は、どの専門家がどの領域を担当するかを示しています。

POINT 7

  • 弁護士に相談する前の準備資料と質問
  • 相談時間を有効に使うため、資料・期限・費用確認を整えます。
  • 相続人関係
  • 財産・債務
  • 期限・争点

POINT 8

  • 相続手続きを自分でやる場合と弁護士に頼む場合のFAQ
  • 一般的な制度説明として、よくある疑問を整理します。
  • Q1. 相続手続はすべて弁護士に頼まなければいけませんか。
  • Q2. 弁護士と司法書士のどちらに相談すべきですか。
  • Q3. 相続放棄は自分でできますか。

まとめ

  • 相続手続きを自分でやる場合と 弁護士に頼む場合の比較
  • 相続手続きを自分でやる場合と弁護士に頼む場合の全体像:費用の安さだけでなく、期限・紛争可能性・財産の複雑さを合わせて判断します。
  • 相続手続きの主要期限 ― 3か月・10か月・3年を外さない:死亡直後から相続登記まで、優先順位の高い期限を整理します。
  • 相続手続きを自分で進めるか弁護士に頼むかの比較:自力対応の利点と、弁護士依頼の合理性を実務項目ごとに比べます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

相続手続きを自分でやる場合と弁護士に頼む場合の全体像

費用の安さだけでなく、期限・紛争可能性・財産の複雑さを合わせて判断します。

相続手続きは、死亡届や金融機関の手続だけでなく、相続人の確定、財産と債務の調査、相続放棄・限定承認・単純承認の選択、遺産分割、相続税、相続登記までを順序立てて処理する一連の実務です。自分で進められるか、弁護士に頼むべきかは、費用だけでなく、期限、争いの有無、財産の複雑さ、債務の有無を合わせて判断します。

次の重要ポイントは、相続手続きで最初に見るべき判断軸を示しています。どれか1つでも重い事情があると、費用を抑える目的で自力対応を続けることが、かえって期限徒過や紛争拡大につながるため、どの要素が自分の相続に当てはまるかを読み取ってください。

費用より先に期限と紛争可能性を確認します

相続人が少なく協力的で、財産が預貯金中心、借金・税務・不動産争いがない場合は自分で進められる可能性があります。一方、対立、連絡不能者、遺言・遺留分、借金、不動産、会社・事業、相続税、家庭裁判所手続が絡む場合は、早期に弁護士等へ相談する合理性が高くなります。

次の3つの整理は、相続手続きの全体像を段階別に示しています。左から順に、最初に確認する制度、途中で分岐する判断、専門家を使う場面を読むことで、全てを一人で抱える必要があるかを判断しやすくなります。

START

相続人と遺産を確定する

出生から死亡までの戸籍、相続人の現在戸籍、預貯金・不動産・債務資料を集めます。見落としがあると協議の有効性に影響します。

CHOICE

放棄・限定承認・単純承認を選ぶ

借金や保証債務が疑われる場合、自己のために相続開始を知った時から3か月以内の判断が重要です。

SUPPORT

必要部分だけ専門家を使う

登記は司法書士、税務は税理士、紛争・交渉・調停は弁護士という分担も現実的です。

注意相続税がかからない場合でも、遺産分割、相続登記、相続放棄、遺留分、不動産共有、預金払戻しの問題は残ります。税金の有無と法律上のリスクは分けて確認します。
Section 01

相続手続きの主要期限 ― 3か月・10か月・3年を外さない

死亡直後から相続登記まで、優先順位の高い期限を整理します。

相続手続きで失敗しやすいのは期限管理です。次の表は、法律上・実務上とくに重要な期限を並べたものです。原則期限の列はいつまでに動くか、主な意味の列は遅れた場合にどの問題が生じるかを読むためのものです。

手続・判断原則期限主な意味
死亡届死亡の事実を知った日から7日以内。国外死亡は3か月以内戸籍上の死亡記載、火葬許可などに関係
相続放棄・限定承認自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内借金を承継しないか、財産の限度で承継するかを判断
所得税の準確定申告原則4か月以内被相続人の生前所得に関する申告
相続税申告・納付死亡を知った日の翌日から10か月以内基礎控除超過などの場合に必要
相続登記不動産取得を知った日から3年以内2024年4月1日以降の申請義務。過去相続にも経過措置あり
遺留分侵害額請求相続開始および侵害を知った時から1年、相続開始から10年遺言や贈与で最低限の取り分が侵害された場合の金銭請求

次の時系列は、期限が近い順に相続手続きの山場を示しています。上から下へ進むほど時間が経過するため、3か月、10か月、3年の節目で何を終えておくべきかを読み取ってください。

7日以内

死亡届と初期対応

死亡届、火葬許可、年金、保険、公共料金、未払費用などが重なります。相続放棄を検討する場合は財産処分に注意します。

3か月以内

相続放棄・限定承認

借金、保証、事業債務が疑われる場合は、家庭裁判所への申述や期間伸長を検討します。

10か月以内

相続税申告・納付

遺産分割が未了でも期限は到来します。税理士との連携開始が遅れると申告に影響します。

3年以内

相続登記

不動産を取得したことを知った相続人は、原則として3年以内の申請が必要です。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

相続税の基礎控除は、金額の大小を判断する入口です。次の強調表示では、計算式と注意点をまとめています。法定相続人の人数が変わると基礎控除額も変わるため、まず相続人を確定する必要があります。

相続税の基礎控除額 = 3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

正味の遺産額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告・納税が必要になることがあります。小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、税額がゼロに近くても申告を前提とすることがあるため、税理士との連携を確認します。

Section 02

相続手続きを自分で進めるか弁護士に頼むかの比較

自力対応の利点と、弁護士依頼の合理性を実務項目ごとに比べます。

自分で進めやすいケースと、弁護士相談を優先しやすいケースは、相続人の関係、財産の種類、債務、期限、紛争可能性で分かれます。次の比較一覧は、左右のどちらに近いかを読むためのものです。

判断項目自分で進めやすい場合弁護士相談を優先しやすい場合
相続人の関係人数が少なく全員が協力的対立、音信不通、海外居住、未成年者、認知症、行方不明者がいる
財産内容預貯金中心で評価が難しくない不動産、会社、非上場株式、農地、事業用資産がある
債務・保証借金や保証債務がないことが明らかカードローン、事業借入、保証、税金、訴訟リスクがある
遺言・遺留分明確な遺言で争いがない遺言の有効性、遺留分、生前贈与の不公平感がある
税務・登記相続税申告が不要で登記も単純申告期限が迫る、共有不動産、未登記、不動産評価が争点

次の比較表は、費用だけでは見えにくい負担とリスクを整理しています。直接費用は自力対応が低く見えますが、法的判断、紛争対応、期限管理、後日の紛争予防では専門家関与の意味が大きくなります。

比較項目自分でやる場合弁護士に頼む場合
直接費用戸籍、証明書、郵送費、登録免許税などが中心相談料、着手金、報酬金、手数料、実費、日当などが発生
時間負担自分で調査、書類作成、窓口対応を行う多くの対外対応を任せられるが、資料提供と意思決定は必要
法的判断自分で調べて判断する必要がある法的見通し、交渉方針、手続選択の助言を受けられる
紛争対応相手方と直接話す必要がある代理人として交渉、調停、審判対応が可能
書類の精度雛形利用では事案に合わない可能性事案に応じた主張、証拠、協議書整備が可能
相続放棄・期限管理期限徒過や単純承認リスクに注意熟慮期間、期間伸長、放棄の可否を検討しやすい
不動産対応合意があれば司法書士や本人申請で対応可能争いがある分割、評価、売却交渉に対応しやすい
相続税対応税理士または本人判断が必要弁護士単独ではなく税理士連携が重要
精神的負担親族と直接対立しやすい対立場面を代理人に任せやすい
後日の紛争予防協議書不備、説明不足、証拠不足に注意紛争予防を意識した文書化がしやすい

費用比較では、どの専門家に何を頼むかも重要です。次の一覧は、代表的な依頼範囲を示しています。範囲が広がるほど費用も責任も増えるため、依頼前に見積り、追加費用、税理士・司法書士費用の別扱いを確認します。

法律相談のみ

方針、期限、リスクを確認します。自分で進めたいが不安がある場合に向きます。

スポット

書面レビュー・作成

遺産分割協議書、通知書、申述書などを事案に合わせて確認・作成します。

文書

交渉代理

他の相続人と直接話すと対立する場合、代理人として交渉します。

交渉紛争

調停・審判代理

家庭裁判所で主張立証を行います。話し合いがまとまらない場合に重要です。

裁判所高負担

費用を見るときは、専門家報酬だけでなく、裁判所費用、登録免許税、証明書取得費用、郵送費、他士業費用を分けて確認することが重要です。次の表は、このページで扱う主要な費用・制度上の金額を整理したもので、直接費用と専門家費用のどちらに属するかを読み取ってください。

費用・制度主な内容確認ポイント
戸籍・証明書・郵送費戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍、住民票除票、戸籍附票、印鑑証明書、固定資産評価証明書など自分で進める場合でも無料ではなく、相続人や財産が多いほど取得負担が増えます。
相続放棄の申述費用裁判所案内では、収入印紙800円分と連絡用郵便切手が必要とされています。金額自体より、3か月以内に必要書類をそろえられるかが重要です。
登録免許税相続による土地の所有権移転登記の本則税率は0.4%とされています。一定の100万円以下の土地などについては、令和9年3月31日まで免税措置が案内されています。
弁護士費用相談料、着手金、報酬金、手数料、実費、日当などがあります。2004年4月1日から報酬基準は自由化されており、依頼前に算定方法と追加費用を確認します。
法テラス民事法律扶助として弁護士・司法書士費用等の立替制度を利用できる場合があります。収入・資産基準、勝訴の見込み、制度趣旨への適合などが条件で、無料制度とは限りません。
Section 03

相続手続きを自分で進める場合の流れと分岐

戸籍収集から協議、名義変更、税務判断までの順番を確認します。

自分で進める場合の順番を間違えると、後から相続人漏れ、財産漏れ、協議書不備、相続放棄の問題が出ます。次の時系列は、実務で確認する順序を示しているため、上から下へ抜けがないかを確認してください。

初期対応

死亡直後の確認

死亡届、葬儀、年金、保険、公共料金、未払費用を整理します。相続放棄の可能性がある場合、預金引出しや財産処分に注意します。

遺言確認

自筆証書・公正証書を探す

法務局保管制度や公証役場検索を含め、遺言の有無を確認します。検認が必要な遺言もあります。

相続人確定

戸籍を出生から死亡まで集める

前婚の子、養子、認知された子、代襲相続人などを見落とすと協議の有効性に影響します。

一覧図作成

法定相続情報一覧図を使う

金融機関や法務局に戸籍一式を何度も出す負担を軽減できます。

財産調査

遺産と債務を洗い出す

預貯金、不動産、有価証券、保険、借金、税金、保証債務、未払費用を確認します。

選択判断

放棄・限定承認・単純承認

3か月期限内に、債務や保証の有無、生命保険金、死亡退職金、遺族年金などを整理します。

協議・名義変更

遺産分割協議から払戻しへ

協議書には財産特定、取得者、代償金、後日判明財産、債務負担、税務上の取得割合を明確にします。

相続放棄や限定承認の判断は、途中で大きく分かれます。次の判断の流れは、借金や保証の有無を起点にしています。分岐部分では、期限内か、財産を処分していないか、資料が足りるかを読むことが重要です。

相続放棄・限定承認・単純承認の判断の流れ

財産と債務を調査

預貯金、不動産、借入、保証、税金、事業債務を確認します。

借金や保証が明らかか

郵便物、信用情報、契約書、事業資料を確認します。

ある・不明
3か月以内に専門家相談

相続放棄、限定承認、期間伸長を検討します。

ない・少額
協議へ進む

遺産分割、名義変更、税務・登記を進めます。

預貯金は、遺産分割前でも一定範囲で単独払戻しを受けられる制度があります。次の重要ポイントでは、葬儀費用や生活費が必要な場面で何を読み取るかを整理しています。

預金払戻し民法909条の2により、共同相続人が相続開始時の預貯金債権額に一定割合を乗じた額について単独で権利行使できる制度があります。ただし、上限、金融機関実務、相続放棄との関係を確認する必要があります。
Section 04

相続手続きを自分でやる場合のリスクと弁護士相談の判断基準

期限徒過、相続人漏れ、協議書不備、税務・登記の遅れをまとめます。

法的リスクは、1つだけなら小さく見えても、複合すると深刻です。次の一覧は、自力対応で起こりやすい失敗を示しています。各項目は、後から協議や登記、税務、債権者対応が止まる原因として読みます。

相続人の見落とし

出生から死亡までの戸籍を確認しないと、前婚の子、養子、代襲相続人などを漏らす可能性があります。

遺言確認不足

遺言書の有無や検認の要否を確認しないと、協議後にやり直しになることがあります。

相続放棄の期限徒過

3か月を過ぎると、借金を承継しない選択が難しくなる可能性があります。

財産処分による単純承認

預金引出し、売却、名義変更などが相続承認と評価されるリスクがあります。

債務・保証の見落とし

カード債務、事業借入、保証債務、税金、医療費などは後から表面化することがあります。

協議書の不備

代償金、後日判明財産、債務、税務、共有解消を曖昧にすると紛争になります。

不動産共有の固定化

共有にすると売却、賃貸、修繕、担保設定で全員の合意が必要になりやすいです。

税務・登記の遅れ

相続税10か月、登記3年、遺留分1年などの期限を別々に管理する必要があります。

弁護士に頼む場合にも、注意点があります。次の強調表示は、依頼すれば全て自動で解決するわけではないことを示しています。依頼範囲、費用、他士業連携を確認する読み方が大切です。

弁護士依頼の合理性 = 紛争リスク × 財産規模 × 法的複雑性 × 期限切迫度 × 精神的負担

財産額が小さくても、借金や相続放棄が絡めば相談価値は高くなります。財産額が大きくても、相続人全員が協力し、税理士・司法書士で処理できる場合は、全面関与までは不要なこともあります。

次の割合の比較は、5つの事情のうちどれを重視して相談要否を見ればよいかを示す目安です。横棒の長さはリスク判断での重みを表し、長い項目ほど早く確認する必要があります。

期限切迫
95%
相続人対立
90%
債務・保証
88%
不動産複雑
72%
税務連携
68%
数値は制度上の統計ではなく、本文上の判断軸を視覚化した重要度の目安です。
Section 05

相続手続きの代表事例と専門家の使い分け

事例別に、自分で進める範囲と専門家へ任せる範囲を切り分けます。

代表的な事例を見ると、同じ相続でも必要な支援が大きく変わります。次の表では、家族構成と財産の特徴ごとに、どの対応が現実的かを読み取ります。

事例状況現実的な進め方
A配偶者と子2人、預金と自宅のみ戸籍収集、協議書、預金手続、相続登記、相続税要否判断を順に進めます。登記は司法書士、協議書確認は弁護士のスポット利用もあります。
B兄弟姉妹相続で相続人が10人以上戸籍が多く、連絡や合意形成が難しくなります。交渉・調停の可能性があれば弁護士相談が有効です。
C借金があるかもしれず死亡から2か月経過3か月期限が迫るため、相続放棄、限定承認、熟慮期間伸長を急いで検討します。
D遺言で長男に全財産遺言の有効性、遺留分、生前贈与、不公平感が争点になりやすいです。
E不動産共有を避けたい評価、売却、代償金、税務、登記を一体で調整します。共有のまま残すリスクを検討します。

相続では弁護士以外の専門家も重要です。次の比較一覧は、どの専門家がどの領域を担当するかを示しています。役割の違いを読むことで、全てを同じ窓口に頼むよりも、必要な部分を組み合わせやすくなります。

専門家主な役割向いている場面
司法書士不動産登記、商業登記、法務局提出書類、裁判所提出書類作成揉めていない相続で不動産登記や法定相続情報一覧図を整える場合
税理士相続税申告、財産評価、小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減基礎控除超過、特例利用、非上場株式、準確定申告がある場合
行政書士権利義務・事実証明書類の作成、許認可関係争いがなく、書類作成が中心の範囲に限られる場合
公証人公正証書遺言、任意後見契約など生前対策や遺言作成の場面
不動産鑑定士・宅地建物取引業者不動産評価、売却、実勢価格の確認代償金、不動産分割、売却予定、共有解消が争点の場合

不要な土地がある場合には、相続土地国庫帰属制度も検討対象になります。次の重要ポイントは、この制度を簡単な放棄手段と誤解しないためのものです。

土地制度相続土地国庫帰属制度は、不要な土地を簡単に国へ渡せる制度ではありません。建物、担保権、境界不明、崖地、管理困難な土地などでは利用できない可能性があり、要件審査と費用負担を伴います。
Section 06

弁護士に相談する前の準備資料と質問

相談時間を有効に使うため、資料・期限・費用確認を整えます。

相談前の資料整理は、相談時間を節約し、期限や争点を見落とさないために重要です。次の一覧は、初回相談に持参・準備しやすい資料を種類別に示しています。どの資料が不足しているかを読み取ってください。

PERSON

相続人関係

被相続人の氏名、死亡日、最後の住所、本籍、戸籍、相続人の住所・連絡先、家族関係図を整理します。

ASSET

財産・債務

預貯金、有価証券、不動産、保険、借入、保証、税金、医療費、葬儀費用、固定資産税資料を集めます。

ISSUE

期限・争点

相続放棄、相続税、相続登記、遺留分、遺言、親族間対立、連絡不能者の有無を時系列で整理します。

弁護士を選ぶときの質問は、費用だけでなく、経験、連携、見通し、不確実性を確認するために使います。次の表では、質問ごとに読み取るべきポイントを整理しています。

質問確認する意味
相続・遺産分割・遺留分事件の取扱経験はどの程度ありますか分野経験と家庭裁判所手続への理解を確認します
税理士、司法書士、不動産鑑定士との連携体制はありますか税務・登記・評価を一体で進められるか確認します
最初に急ぐべき期限は何ですか3か月、10か月、3年などの優先順位を確認します
想定される解決ルートは協議、調停、審判、訴訟のどれですか進め方と時間の見通しを確認します
着手金、報酬金、実費、日当の計算方法は何ですか追加費用や他士業費用の扱いを確認します
依頼者が行うべき資料収集は何ですか本人が担う作業範囲を確認します
見通し良い専門家は、必ず勝てると断言するのではなく、有利な点、不利な点、証拠不足、費用対効果、時間、相手方の反論可能性を説明します。
Section 07

相続手続きを自分でやる場合と弁護士に頼む場合のFAQ

一般的な制度説明として、よくある疑問を整理します。

Q1. 相続手続はすべて弁護士に頼まなければいけませんか。

一般的には、相続人全員が合意しており、財産が単純で、相続税や相続放棄の問題がない場合、自分で進めたり、司法書士・税理士に必要部分だけ依頼したりすることもあります。ただし、争い、期限、債務、不動産、遺留分の有無で判断は変わるため、具体的な対応は資料を整理したうえで弁護士等へ相談する必要があります。

Q2. 弁護士と司法書士のどちらに相談すべきですか。

一般的には、登記や法定相続情報一覧図が中心なら司法書士、相続人間の争い、遺留分、交渉、調停・審判が見込まれるなら弁護士が関与しやすいとされています。ただし、税務や不動産評価も絡む場合は、複数の専門家の連携が必要になることがあります。

Q3. 相続放棄は自分でできますか。

一般的には、家庭裁判所に相続放棄の申述を行うことで本人でも手続できます。ただし、3か月の期限、必要戸籍、財産処分の有無、次順位相続人への影響、債権者対応によって結論が変わる可能性があります。

Q4. 遺産分割協議書はインターネットの雛形で足りますか。

一般的には、単純な事案では雛形が参考になることもあります。ただし、不動産、代償金、債務、後日判明財産、相続税、未成年者、共有、売却予定がある場合は、事案に合わない文書が紛争の原因になる可能性があります。

Q5. 弁護士費用は誰が払いますか。

一般的には、弁護士と委任契約を結んだ依頼者が支払います。相続人全員の利益になる調査や手続について費用負担を合意することはあり得ますが、当然に遺産から支払えるとは限りません。

Q6. 他の相続人が弁護士を立てたら、こちらも弁護士が必要ですか。

一般的には、必ず必要とは限りません。ただし、通知の内容、期限、証拠関係、請求内容によって対応は変わります。少なくとも法的主張と期限を確認するため、資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q7. 相続税がかからないなら弁護士も税理士も不要ですか。

一般的には、相続税がかからなくても、遺産分割、相続登記、相続放棄、遺留分、不動産共有、預金払戻しの問題は残ります。税金の有無と法律上の争点は別に確認する必要があります。

Q8. 相続登記をしないとどうなりますか。

一般的には、2024年4月1日から相続登記は義務化され、正当な理由なく申請義務を怠ると10万円以下の過料の対象となる可能性があります。また、次の相続が発生して相続人が増え、売却や担保設定が難しくなることがあります。

Q9. 親族と揉めたくないので弁護士を入れない方がよいですか。

一般的には、弁護士を入れることで対立が強まる場合もあれば、直接対話を避けて冷静に整理できる場合もあります。関係性、請求内容、証拠、期限によって適切な関与範囲は変わります。

Q10. 相談だけでも意味がありますか。

一般的には、初期段階で何を急ぐべきか、何をしてはいけないかを確認する意味があります。相続放棄を検討しているのに財産を処分する、協議書に安易に押印する、期限を過ぎるといった失敗を避けるためにも、個別事情に応じた確認が重要です。

Reference

参考資料・公的情報源

法令・裁判所・省庁資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • 裁判所「相続の放棄の申述」
  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
  • 法務省「死亡届」

税務・費用・公証資料

  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 国税庁「No.4152 相続税の計算」
  • 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
  • 国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」
  • 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
  • 法テラス「費用の目安」
  • 法テラス「弁護士・司法書士費用等の立替制度の利用案内」
  • 日本公証人連合会「公正証書遺言の作成手数料」
  • 弁護士会資料「弁護士費用に関する説明」