2σ Guide

駐車場を貸している場合に
貸付事業用宅地等は使えるか

貸駐車場でも200㎡まで50%減額の対象になる可能性があります。ただし、建物又は構築物の敷地性、3年以内貸付制限、申告期限までの保有・承継を順番に確認する必要があります。

200㎡ 貸付事業用宅地等の限度
50% 対象部分の減額割合
10か月 相続税申告期限
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駐車場を貸している場合に 貸付事業用宅地等は使えるか

貸駐車場でも200㎡まで50%減額の対象になる可能性があります。

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駐車場を貸している場合に 貸付事業用宅地等は使えるか
貸駐車場でも200㎡まで50%減額の対象になる可能性があります。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 駐車場を貸している場合に 貸付事業用宅地等は使えるか
  • 貸駐車場でも200㎡まで50%減額の対象になる可能性があります。

POINT 1

  • 駐車場を貸している場合に貸付事業用宅地等を使えるか
  • 200㎡まで50%減額の可能性と、青空駐車場で否認されやすい理由を先に整理します。
  • 結論の要点
  • 駐車場を貸している土地でも、小規模宅地等の特例のうち貸付事業用宅地等を使える場合があります。
  • ただし、単に駐車場として貸しているだけでは足りません。

POINT 2

  • 貸付事業用宅地等で駐車場用地を判定する6要件
  • 制度の入口、貸付事業、宅地等の意味を整理してから判定します。
  • 貸付事業には、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業、準事業が含まれます。
  • 準事業とは、事業と称するに至らない貸付けでも、相当の対価を得て継続的に行うものを指します。
  • ここでいう宅地等は登記地目が宅地という意味に限られません。

POINT 3

  • 駐車場の貸付事業用宅地等で最重要となる構築物
  • ロープと看板だけ
  • 駐車位置を示すロープや看板だけでは、建物又は構築物の敷地性が否定されるリスクが高くなります。
  • 一部だけの簡易舗装
  • 舗装やフェンスがあっても、ごく一部で撤去・転用が容易な場合、構築物性の説明が弱くなります。

POINT 4

  • 駐車場の類型別に見る貸付事業用宅地等の適用可能性
  • 月極、コインパーキング、機械式、自宅一部などで論点が変わります。
  • 駐車場の種類によって、構築物や貸付事業性の説明しやすさは変わります。
  • どの類型でも、相続開始直前の利用、申告期限までの保有・継続、3年以内貸付制限は別途必要である点を読み取ってください。

POINT 5

  • 貸駐車場の評価と貸付事業用宅地等は別に考える
  • 自用地評価となることが多く、そのうえで特例の適用可否を判定します。
  • 原則は自用地評価
  • 車庫等を利用者が造る場合
  • 特例の適用は別判断

POINT 6

  • 貸付事業用宅地等の3年以内貸付宅地等の制限
  • 1. 相続開始前から貸付中か:駐車場事業開始日、初回賃料、契約開始日を確認します。
  • 2. 3年以内に新たに貸した土地か:相続税対策として直前に駐車場化したかを確認します。
  • 3. 原則として対象外:特定貸付事業の例外を検討します。
  • 4. 次の要件へ:構築物、承継、申告手続を確認します。

POINT 7

  • 貸付事業用宅地等の取得者要件と申告手続
  • 1. 契約と入金の承継確認:駐車場契約、管理委託契約、賃料振込先、利用者一覧を確認します。
  • 2. 取得者と特例対象地を決める:対象宅地等を取得する相続人、他の宅地との面積調整、相続人全員の同意を整理します。
  • 3. 保有と貸付事業の継続:申告期限前の売却、閉鎖、転用は、保有・事業継続要件を満たさない可能性があります。
  • 4. 相続税申告書へ記載:計算明細書、遺産分割協議書の写し、必要資料を添付して申告します。

POINT 8

  • 貸付事業用宅地等の計算例 ― 駐車場300㎡・評価額6,000万円
  • 200㎡に対応する部分だけ50%減額する考え方を確認します。
  • 計算では、土地全体ではなく限度面積200㎡に対応する評価額を取り出し、その50%を減額します。
  • 面積単価、対象面積、減額額、適用後評価額の順に読み取ってください。
  • 次の比較グラフは、特例適用前と適用後の土地評価額を比べるものです。

まとめ

  • 駐車場を貸している場合に 貸付事業用宅地等は使えるか
  • 駐車場を貸している場合に貸付事業用宅地等を使えるか:200㎡まで50%減額の可能性と、青空駐車場で否認されやすい理由を先に整理します。
  • 貸付事業用宅地等で駐車場用地を判定する6要件:制度の入口、貸付事業、宅地等の意味を整理してから判定します。
  • 駐車場の貸付事業用宅地等で最重要となる構築物:青空駐車場、舗装、フェンス、精算機などの実質を見ます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

駐車場を貸している場合に貸付事業用宅地等を使えるか

200㎡まで50%減額の可能性と、青空駐車場で否認されやすい理由を先に整理します。

駐車場を貸している土地でも、小規模宅地等の特例のうち貸付事業用宅地等を使える場合があります。ただし、単に駐車場として貸しているだけでは足りません。貸付事業性、相続開始直前の利用、建物又は構築物の敷地性、取得者の継続要件、3年以内貸付宅地等の制限、申告手続を順番に確認します。

次の重要ポイントは、駐車場用地でまず見るべき結論を表しています。200㎡・50%の効果だけでなく、構築物と申告期限までの継続が要点になることを読み取ってください。

結論の要点

舗装、フェンス、機械式設備、精算機、車止め、区画設備など、駐車場経営のための建物・構築物が実質的に存在し、相当の対価を得て継続的に貸している場合は、貸付事業用宅地等として検討できます。一方、ロープや看板だけで実質的に更地と変わらない青空駐車場は否認リスクが高くなります。

貸付事業用宅地等に該当する場合、限度面積は200㎡、減額割合は50%です。申告期限までの保有・事業承継も必要なため、土地の現況だけでなく、相続後の運営予定も合わせて確認します。

Section 01

貸付事業用宅地等で駐車場用地を判定する6要件

制度の入口、貸付事業、宅地等の意味を整理してから判定します。

駐車場用地の判定では、6つの要件を順番に確認すると漏れを防ぎやすくなります。次の表は、判定項目、確認する内容、典型的な問題点を並べたものです。左から順に見て、どの段階で資料不足や否認リスクが生じるかを読み取ってください。

判定項目確認する内容典型的に問題になる点
貸付事業該当性駐車場業、不動産貸付業、準事業として相当対価を得て継続的に貸しているか家族への無償使用、名目賃料、単発利用
相続開始直前の利用死亡直前に実際に貸駐車場として稼働していたか空き地、工事中、募集のみ、契約未開始
建物・構築物の敷地性建物又は構築物の敷地の用に供されているかロープだけ、看板だけ、部分的舗装だけ
取得者要件取得した親族が申告期限まで保有し、必要に応じて貸付事業を承継・継続しているか申告期限前の売却、廃業、転用
3年以内貸付宅地等相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等に当たらないか相続税対策として直前に駐車場化
申告手続相続税申告書に特例適用を記載し、明細書・遺産分割協議書等を添付しているか未分割、相続人間の同意なし、資料不足

貸付事業には、不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業、準事業が含まれます。準事業とは、事業と称するに至らない貸付けでも、相当の対価を得て継続的に行うものを指します。

ここでいう宅地等は登記地目が宅地という意味に限られません。駐車場として使う土地は雑種地として評価されることが多いものの、登記地目だけで対象外になるわけではありません。

Section 02

駐車場の貸付事業用宅地等で最重要となる構築物

青空駐車場、舗装、フェンス、精算機などの実質を見ます。

駐車場で最も重要なのは、土地が建物又は構築物の敷地といえるかです。次の一覧は、否認リスクが高いものから説明しやすいものまでの典型例を整理しています。設備の有無だけでなく、規模、堅固性、駐車場事業との結び付きが読み取りどころです。

ロープと看板だけ

駐車位置を示すロープや看板だけでは、建物又は構築物の敷地性が否定されるリスクが高くなります。

一部だけの簡易舗装

舗装やフェンスがあっても、ごく一部で撤去・転用が容易な場合、構築物性の説明が弱くなります。

全体的な舗装・区画設備

アスファルト舗装、区画線、車止め、排水設備、照明などが駐車場事業に機能していると説明しやすくなります。

精算機・ゲート等の設備

コインパーキングの精算機、ロック板、ゲート、監視装置などは、事業のための物的投下を説明しやすい資料になります。

税務訴訟資料には、ロープと看板のみの青空駐車場について特例適用が否定された事例があります。また、一部アスファルト舗装やフェンスがあっても、舗装が全敷地の約8%にとどまり、フェンスも容易に撤去できるとして否定された事例があります。

次の確認一覧は、構築物を説明するために見る事実を整理したものです。設備があるかだけでなく、相続開始時点で実際に稼働していたか、客観資料で説明できるかを読み取ってください。

1

舗装範囲

敷地全体または駐車区画全体に舗装が及んでいるかを確認します。

現況
2

駐車設備

車止め、区画線、排水設備、照明、精算機、ゲート、フェンス等の設置を確認します。

設備
3

事業との結び付き

設備が一時的・簡易なものではなく、駐車場事業に通常必要なものとして機能しているかを確認します。

重要
4

客観資料

工事契約書、領収書、減価償却資産台帳、固定資産税資料、写真などで説明できるかを確認します。

証拠
Section 03

駐車場の類型別に見る貸付事業用宅地等の適用可能性

月極、コインパーキング、機械式、自宅一部などで論点が変わります。

駐車場の種類によって、構築物や貸付事業性の説明しやすさは変わります。次の比較表は、主な類型と実務上の注意点を並べたものです。どの類型でも、相続開始直前の利用、申告期限までの保有・継続、3年以内貸付制限は別途必要である点を読み取ってください。

類型適用可能性の見方注意点
月極駐車場舗装、区画線、車止め、フェンス、照明、排水設備等があり、相当対価で継続貸付していれば検討対象です。更地にロープだけ、著しく低額、家族への無償使用では説明が難しくなります。
コインパーキング精算機、フラップ板、ゲート、照明、舗装等があるため構築物の説明は比較的しやすい類型です。自営、土地賃貸、管理委託、売上分配など契約内容を整理します。
立体・機械式駐車場建物又は構築物が明確に存在することが通常です。それでも貸付利用、承継、3年制限、申告手続は必要です。
砂利敷き駐車場砂利敷き、転圧、区画設備、車止め、フェンス、排水設備の全体で判断します。薄く砂利を敷いただけで転用容易な場合は青空駐車場に近い評価を受けるおそれがあります。
同族会社が駐車場業を営む土地通常は特定同族会社事業用宅地等の80%減額ではなく、貸付事業用宅地等の200㎡50%で検討します。特定同族会社事業用宅地等では不動産貸付業、駐車場業、自転車駐車場業、準事業が除かれます。
自宅敷地の一部を貸す場合居住用部分と貸付事業用部分を区分します。特定居住用宅地等との併用時は限度面積調整が必要です。

国税庁の質疑応答事例には、従来空き地だった土地にアスファルト舗装等を施して駐車場経営を開始した事例で、貸付事業用宅地等として対象になり得る旨を示したものがあります。

Section 04

貸駐車場の評価と貸付事業用宅地等は別に考える

自用地評価となることが多く、そのうえで特例の適用可否を判定します。

貸駐車場では、土地評価の問題と小規模宅地等の特例の問題を分けて考えます。次の比較一覧は、評価上の扱いと特例適用の扱いを並べたものです。評価が自用地でも、特例の要件を満たせば減額を検討する余地がある点を読み取ってください。

Valuation

原則は自用地評価

土地所有者が自ら月極等の貸駐車場として利用している土地は、原則として自用地として評価し、賃借権の価額を控除しないとされています。

Contract

車庫等を利用者が造る場合

利用者の費用で車庫などを造ることを認める契約では、土地賃貸借として賃借権控除が問題になる場合があります。

Special

特例の適用は別判断

評価方法と、貸付事業用宅地等として200㎡まで50%減額できるかは、重なる部分があっても別個に検討します。

駐車場利用契約は、一定期間自動車を保管することを引き受ける契約関係であり、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約とは本質的に異なると説明されています。

Section 05

貸付事業用宅地等の3年以内貸付宅地等の制限

相続直前の駐車場化は、設備があっても対象外になる可能性があります。

貸付事業用宅地等には、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等を原則として除外するルールがあります。次の判断の流れは、いつから貸していたかと、特定貸付事業の例外を確認する順番を示します。相続直前対策だけでは不安定になることを読み取ってください。

3年以内貸付制限の確認順序

相続開始前から貸付中か

駐車場事業開始日、初回賃料、契約開始日を確認します。

3年以内に新たに貸した土地か

相続税対策として直前に駐車場化したかを確認します。

該当する
原則として対象外

特定貸付事業の例外を検討します。

該当しない
次の要件へ

構築物、承継、申告手続を確認します。

例外として、相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っていた被相続人等のその特定貸付事業の用に供された宅地等は、3年以内貸付宅地等に該当しないとされています。特定貸付事業とは、貸付事業のうち準事業以外のものです。

所得税実務では、不動産貸付けが事業として行われているかは社会通念上の規模で実質判断され、建物貸付けでは貸間・アパート等がおおむね10室以上、独立家屋がおおむね5棟以上であれば原則として事業として扱われるとされています。駐車場業でも契約、管理、収入、帳簿、設備、継続性を総合して判断します。

Section 06

貸付事業用宅地等の取得者要件と申告手続

申告期限までの保有、事業承継、分割・同意・添付書類が必要です。

貸付事業用宅地等は、相続開始時の状態だけでなく、取得者が申告期限までどう扱うかも重要です。次の時系列は、相続開始後に確認すべき行動を示します。10か月の申告期限までに何を維持し、何を整えるかを読み取ってください。

相続直後

契約と入金の承継確認

駐車場契約、管理委託契約、賃料振込先、利用者一覧を確認します。

分割協議

取得者と特例対象地を決める

対象宅地等を取得する相続人、他の宅地との面積調整、相続人全員の同意を整理します。

申告期限まで

保有と貸付事業の継続

申告期限前の売却、閉鎖、転用は、保有・事業継続要件を満たさない可能性があります。

10か月以内

相続税申告書へ記載

計算明細書、遺産分割協議書の写し、必要資料を添付して申告します。

被相続人自身が駐車場業又は不動産貸付業をしていた場合、その土地を取得した親族が申告期限までに貸付事業を引き継ぎ、申告期限まで事業を行い、その宅地等を保有していることが必要です。

被相続人と生計を一にしていた親族が貸付事業を行っていた場合には、その親族側で相続開始前から申告期限まで貸付事業を行い、取得した宅地等を申告期限まで保有していることが必要です。

Section 07

貸付事業用宅地等の計算例 ― 駐車場300㎡・評価額6,000万円

200㎡に対応する部分だけ50%減額する考え方を確認します。

計算では、土地全体ではなく限度面積200㎡に対応する評価額を取り出し、その50%を減額します。次の表は、前提と計算過程を分けたものです。面積単価、対象面積、減額額、適用後評価額の順に読み取ってください。

項目金額・面積計算の意味
駐車場用地の面積300㎡土地全体の面積です。
自用地としての評価額6,000万円特例適用前の土地評価額です。
1㎡あたり評価額20万円6,000万円 ÷ 300㎡で求めます。
限度面積に対応する評価額4,000万円20万円 × 200㎡です。
減額額2,000万円4,000万円 × 50%です。
特例適用後の土地評価額4,000万円6,000万円 − 2,000万円です。

次の比較グラフは、特例適用前と適用後の土地評価額を比べるものです。数字が低いほど課税価格に算入される土地価額が小さくなるため、200㎡分の50%減額が2,000万円の差として表れることを読み取ってください。

6,000万
適用前
4,000万
適用後
2,000万
減額額

これは土地評価額の減額例です。実際の相続税額は、基礎控除、法定相続人、遺産総額、配偶者の税額軽減、債務控除、他の特例の適用状況によって変わります。

Section 08

駐車場の貸付事業用宅地等で多い否認リスクと証拠資料

更地同然、無償使用、売却、廃業、直前貸付、未分割に注意します。

否認リスクは、土地の現況、貸付の対価、申告期限までの行動、分割状況に集中します。次の一覧は、よくあるリスクを整理したものです。どの事実が要件から外れる原因になるかを読み取ってください。

更地に車を停めさせているだけ

構築物が存在しない完全な青空駐車場では、建物又は構築物の敷地性が最大の問題になります。

家族への無料使用

相当の対価を得て継続的に行う貸付事業と説明しにくくなります。

申告期限前の売却

納税資金のためでも、保有継続要件を満たさない可能性があります。

申告期限前の閉鎖・転用

貸付事業の承継・継続要件を満たさない可能性があります。

相続直前の駐車場化

3年以内貸付宅地等の制限と、実体ある貸付事業かが問題になります。

未分割・同意不足

誰が取得するか、どの宅地に特例を使うかが決まらないと、手続が複雑になります。

資料の目的主な資料
貸付事業性月極駐車場契約書、利用規約、管理委託契約書、サブリース契約書、賃料入金通帳、確定申告書、利用者一覧、区画図、管理会社の精算書
建物・構築物相続開始時点の写真、航空写真、時系列資料、舗装・外構・フェンス・照明・排水工事の契約書・領収書、精算機・ゲート・車止めの設置資料、減価償却資産台帳、固定資産税資料
承継・保有遺産分割協議書、遺言書、相続関係説明図、契約承継通知、振込先変更通知、相続後の賃料入金記録、申告期限まで売却していない登記事項証明書
3年以内貸付制限事業開始日を示す契約書、募集広告、初回賃料入金記録、工事完成日資料、3年超の確定申告書・帳簿・契約書、追加整備と既存事業の関連資料
Section 09

貸付事業用宅地等の実務判断の流れと専門家の役割

税務、登記、境界、評価、売却、紛争を一体で確認します。

駐車場用地では、税務だけでなく遺産分割、登記、境界、売却、納税資金まで関係します。次の判断の流れは、申告検討までの順番を示すものです。上から順に確認し、途中で弱い要件があれば資料補強や専門家相談が必要になることを読み取ってください。

駐車場用地の判定順序

有償・継続的に貸していたか

相続開始直前の稼働状況を確認します。

建物又は構築物の敷地か

舗装・設備・フェンス等の実質を確認します。

3年以内貸付制限にかからないか

貸付開始日と特定貸付事業の例外を確認します。

申告期限まで保有・継続できるか

売却、閉鎖、転用の予定を確認します。

分割・同意・添付書類を整える

申告に必要な明細書や協議書の写しを準備します。

次の表は、駐車場用地で関与する専門職の役割を整理したものです。税務だけで結論が出ない場合に、どの専門家がどの論点を補うかを読み取ってください。

専門職主な役割駐車場用地での関与
税理士相続税申告、税務代理、税務調査対応適用可否、評価額、申告書・明細書、税務調査対応
弁護士相続紛争、交渉、調停、審判、訴訟遺産分割争い、遺留分、駐車場収入の使い込み疑い、未分割対応
司法書士相続登記、名義変更、戸籍収集駐車場用地の相続登記、遺産分割後の所有権移転登記
不動産鑑定士不動産価値の専門評価路線価評価では説明困難な土地、広大地・不整形地・特殊立地の検討
土地家屋調査士境界確認、分筆、表示登記駐車場部分と自宅部分の区分、分筆、境界確認
不動産業者売却、賃貸、管理申告期限後の売却計画、管理契約、収益資料の整理
行政書士・公証人争いのない書類作成、公正証書遺言遺産分割協議書案、相続関係書類、承継者を明確にする遺言作成

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。相続により不動産所有権を取得した相続人は、自己のために相続開始があったことを知り、かつ所有権取得を知った日から3年以内に申請する義務があり、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象になり得ます。

Section 10

駐車場と貸付事業用宅地等のFAQ

よくある疑問を、一般的な制度説明として整理します。

Q1. 駐車場なら必ず貸付事業用宅地等を使えますか

一般的には、駐車場業は貸付事業に含まれ得ます。ただし、建物・構築物の敷地性、相当対価、継続性、申告期限までの保有・事業承継、3年以内貸付制限、申告手続によって結論が変わる可能性があります。具体的な申告判断は税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 青空駐車場でも使えますか

一般的には、構築物がない完全な青空駐車場は厳しいと考えられます。ロープと看板だけの駐車場で特例適用を否定した裁判例があります。ただし、土地の現況、設備、契約、稼働状況によって結論は変わります。

Q3. アスファルト舗装をしていれば大丈夫ですか

一般的には、舗装があることは有利な事情になり得ます。ただし、舗装の範囲、設備の内容、堅固性、事業との結び付き、相続開始時点での稼働状況によって判断が変わる可能性があります。

Q4. 亡くなる直前に駐車場にすれば節税できますか

一般的には、相続開始前3年以内に新たに貸付事業の用に供された宅地等は対象外となる可能性があります。特定貸付事業の例外や事業実体の有無も問題になるため、直前対策は慎重な検討が必要です。

Q5. 駐車場の評価は貸宅地評価になりますか

一般的には、通常の月極駐車場は原則として自用地評価とされています。ただし、利用者が車庫等を自己費用で造る契約などでは、土地賃貸借として賃借権控除が問題になる場合があります。評価方法と特例適用は別に検討する必要があります。

Q6. 駐車場用地を申告期限前に売って納税資金にできますか

一般的には、売却自体は可能です。ただし、申告期限前に売却すると貸付事業用宅地等の保有継続要件を満たさない可能性があります。納税資金対策は、延納、物納、借入、他財産の売却、申告期限後の売却なども含めて専門家へ相談する必要があります。

Q7. 相続人同士で駐車場用地の取得者が決まりません

一般的には、小規模宅地等の特例は申告期限までの分割や対象宅地の選択についての同意が重要です。争いがある場合は、期限内申告を優先しつつ、未分割申告、申告期限後3年以内の分割見込書、更正の請求等を税理士・弁護士と検討する必要があります。

Section 11

駐車場で貸付事業用宅地等を使うには現況・契約・承継を総合確認する

設備と事業実体があっても、3年制限や申告期限までの継続を落とさないことが重要です。

駐車場を貸している場合でも、貸付事業用宅地等を使える可能性はあります。相当の対価を得て継続的に貸し、相続開始直前に稼働し、舗装・フェンス・車止め・区画線・照明・精算機・ゲート等の構築物又は設備が存在し、相続人が申告期限まで土地を保有して貸付事業を承継・継続する場合には、有力な検討対象になります。

次の一覧は、最終判断の確認軸をまとめたものです。土地の現況だけでなく、契約、貸付開始日、取得者、申告期限までの行動、面積調整、相続人間の合意を合わせて読むことが重要です。

Site

現況

建物又は構築物の敷地として説明できる設備と写真資料があるかを確認します。

Business

契約

相当の対価を得て継続的に貸していることを契約書・入金記録で確認します。

Timing

時期

相続開始前3年以内の新規貸付に当たらないか、例外を説明できるかを確認します。

Filing

申告

申告期限までの保有・事業継続、分割、同意、添付書類を整えます。

特に、構築物のない青空駐車場、ロープ・看板のみの駐車場、一部だけの簡易舗装、家族への無償使用、相続直前の駐車場化、申告期限前の売却・廃業、未分割のままの申告は慎重な検討が必要です。相続税額に大きく影響するため、相続開始後できるだけ早く、税理士を中心に必要な専門家と連携して判断することが重要です。

Reference

この記事の参考情報源

国税庁資料

  • 国税庁タックスアンサー「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
  • 国税庁タックスアンサー「No.4627 貸駐車場として利用している土地の評価」
  • 国税庁「小規模宅地等の特例の対象となる宅地等の範囲(財産管理人が駐車場経営を開始した場合)」
  • 国税庁タックスアンサー「No.1373 事業としての不動産貸付けとそれ以外の不動産貸付けとの区分」
  • 国税庁タックスアンサー「No.4205 相続税の申告と納税」

裁判例・登記資料

  • 国税庁・税務訴訟資料「静岡地方裁判所 平成20年判決資料 11086」
  • 国税庁・税務訴訟資料「札幌地方裁判所 平成21年判決資料 11129」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」