交通事故損害賠償で使われる青い本と赤い本について、編集主体、改訂頻度、裁判基準との関係、保険会社の提示額を点検する視点まで整理します。
交通事故損害賠償で使われる青い本と赤い本について、編集主体、改訂頻度、裁判基準との関係、保険会社の提示額を点検する視点まで整理します。
まず、青い本と赤い本はいずれも交通事故損害賠償の目安であり、個別事情と証拠で結論が変わる資料だと押さえます。
青い本とは、日弁連交通事故相談センター本部が編集する『交通事故損害額算定基準』の通称です。赤い本とは、同センター東京支部が編集する『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』の通称です。どちらも交通事故損害賠償を検討する重要資料ですが、掲載内容、使われる場面、改訂頻度、裁判実務との距離感が異なります。
次の強調表示は、このページ全体で最も重要な結論を示しています。青い本と赤い本を比べる理由は、保険会社の提示額を「どの基準に近いのか」という視点で読み解くためであり、表示された金額だけを自動的な支払額と考えないことが重要です。
事故態様、過失割合、治療経過、後遺障害等級、収入資料、既払い金、労災や人身傷害保険との関係によって、最終的な損害額は変わる可能性があります。
次の一覧は、青い本と赤い本を読む前に押さえるべき3つの視点を整理したものです。どの本が正しいかを単純に選ぶのではなく、どの資料が何を説明しているかを読み分けることが重要で、各項目から「資料の性格」「自動支払ではないこと」「証拠の必要性」を確認できます。
青本は全国的な解説と裁判例の整理に強く、赤い本は東京地裁実務を意識した基準と講演録に特色があります。
基準表の数字は出発点であり、治療内容、後遺障害、収入、過失相殺などで増減します。
診断書、画像、収入資料、事故資料が不足すると、基準を示しても十分な検討に進みにくくなります。
損害項目が多く、法律・医療・保険・事故調査の判断が重なるため、算定資料が必要になります。
交通事故損害賠償では、治療費や慰謝料だけでなく、休業損害、逸失利益、物損、過失相殺、既払い金控除などが重なります。法律、医療、保険、事故調査の判断が交錯するため、青い本と赤い本のような算定資料が共通言語として使われます。
次の一覧は、交通事故で問題になりやすい損害や調整項目を種類ごとに示しています。読者にとって重要なのは、保険会社の示談案がどの項目を含み、どの項目を落としているかを見抜くことです。左側の分類を手がかりに、右側の具体例が自分の示談案に入っているかを確認します。
治療費、入院雑費、通院交通費、付添看護費、装具費、将来治療費、将来介護費などです。
実費資料入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料などが中心です。基準差が表れやすい項目です。
基準比較車両修理費、評価損、代車費用、休車損、買替諸費用などが問題になります。
物損資料過失相殺、素因減額、損益相殺、既払い金控除、遅延損害金、弁護士費用相当損害金などです。
要確認これらの項目は、医師の診断書、診療録、画像所見、リハビリ記録、交通事故証明書、実況見分調書、修理見積書、源泉徴収票、確定申告書、家族の介護記録などをもとに評価されます。
青い本の正式名称、編集主体、30訂版、解説型資料としての性格を整理します。
青い本は、正式には『交通事故損害額算定基準』と呼ばれる実務資料です。表紙の色から青本と呼ばれ、日弁連交通事故相談センター本部が編集しています。2026年時点では、30訂版が令和8年2月に発行されています。
次の一覧は、青い本の性格を3つに分けて整理したものです。青い本は単なる金額表ではなく、損害項目の考え方や全国の参考裁判例を追う資料である点が重要です。各項目から、何を調べるときに青い本が役立つのかを読み取れます。
東京地裁だけでなく、各地の裁判例や運用にも目配りしながら損害項目を検討するための資料です。
積極損害、消極損害、慰謝料、減額事由、損益相殺、遅延損害金、物損などの背景を確認しやすい構成です。
高次脳機能障害、自賠責保険請求、後遺障害等級認定、人身傷害保険など、周辺論点の確認にも使われます。
青い本も法律そのものではありません。裁判官が必ず青い本どおりに判断するわけではなく、保険会社が青い本の記載額を自動的に支払うものでもありません。裁判例の傾向を踏まえた目安として読む必要があります。
赤い本の正式名称、編集主体、2026年版、上巻・下巻の位置づけを整理します。
赤い本は、正式には『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』と呼ばれる実務資料です。日弁連交通事故相談センター東京支部が編集し、表紙の色から赤い本または赤本と呼ばれます。2026年版は令和8年2月6日に発行されています。
次の一覧は、赤い本の構成と実務上の意味を示しています。赤い本は東京地裁の交通事故訴訟実務との結びつきが強いため、示談交渉や訴訟見通しを考えるときに重要です。各項目から、基準編、講演録編、法曹向け専門資料という読み方を確認できます。
積極損害、休業損害、逸失利益、慰謝料、物損、過失相殺、損益相殺などの基準が整理されます。
東京地裁民事第27部裁判官講演録や、評価損、生活費控除、年少者の逸失利益などの論点が扱われます。
法曹関係者向けの専門資料として、東京地裁実務を意識した交渉や訴訟で参照されやすい資料です。
赤い本も裁判所を機械的に拘束する資料ではありません。事故態様、傷害内容、治療経過、後遺障害等級、証拠の強弱、当事者の主張立証によって判断は変わります。
正式名称、編集主体、改訂頻度、収録内容、読者層、実務上の意味を横並びで確認します。
青い本とは何か赤い本との違いを比較すると、正式名称や編集主体だけでなく、どの場面で使いやすいかが見えてきます。次の比較表は主要な違いを横並びにしたものです。左から比較項目、青い本、赤い本、実務上の意味を読み、目的に応じた使い分けを確認します。
| 比較項目 | 青い本 | 赤い本 | 実務上の意味 |
|---|---|---|---|
| 正式名称 | 交通事故損害額算定基準 | 民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 | いずれも交通事故損害賠償の算定資料です。 |
| 編集主体 | 日弁連交通事故相談センター本部 | 日弁連交通事故相談センター東京支部 | 本部編集か東京支部編集かが異なります。 |
| 主な性格 | 算定基準と解説、全国の参考裁判例 | 東京地裁実務に基づく基準、参考判例、講演録 | 青い本は解説型・全国型、赤い本は東京地裁実務型です。 |
| 改訂頻度 | 隔年改訂 | 毎年2月改訂 | 赤い本のほうが年次更新の頻度が高い資料です。 |
| 最新版の例 | 30訂版、令和8年2月発行 | 2026年版、令和8年2月6日発行 | 実務で使う場合は最新版確認が重要です。 |
| 収録内容 | 損害項目の解説、裁判例、保険実務、後遺障害、自賠責、人身傷害など | 基準編、講演録編、東京地裁民事第27部講演、重要論点記事など | 背景理解は青い本、訴訟実務の感覚把握は赤い本が役立ちます。 |
| 読者層 | 弁護士、相談担当者、保険実務者、研究者、一般相談の補助資料 | 法曹関係者、交通事故訴訟実務者 | 赤い本は特に専門性が高く、一般読者には難解になりやすい資料です。 |
| 金額の扱い | 目安として個別判断 | 東京地裁実務上の標準感を持つ目安 | どちらも自動的な支払額ではありません。 |
自賠責の限度額や日額基準と、青い本・赤い本が扱う裁判基準の違いを整理します。
交通事故の賠償基準は一つではありません。青い本と赤い本は、自賠責保険の支払基準そのものではなく、裁判実務上相当とされる損害額を検討するための資料です。
次の判断の流れは、保険会社の提示額を確認するときの順番を示しています。重要なのは、合計額だけでなく、提示額が自賠責基準に近いのか、任意保険会社の内部的な提示なのか、裁判基準に近いのかを分けて読むことです。上から順に、確認すべき基準の層を読み取ります。
傷害部分は被害者1人につき120万円が限度額とされ、定型的な支払基準で確認されます。
各社の運用による提示で、裁判基準より低く見えることがあります。
裁判になった場合にどの程度認められ得るか、損害項目ごとに検討します。
次の比較表は、自賠責基準、任意保険会社の提示実務、裁判基準の違いを示しています。読者にとって重要なのは、青い本と赤い本を自賠責基準と混同しないことです。各行から、基準の目的と確認ポイントの違いを読み取れます。
| 基準の層 | 主な性格 | 確認ポイント |
|---|---|---|
| 自賠責基準 | 被害者保護を目的とした定型的な支払基準です。 | 傷害限度額120万円、休業損害原則1日6100円、慰謝料1日4300円などを確認します。 |
| 任意保険会社の提示 | 各社の示談実務に基づく提示で、公開された統一表として把握できるものではありません。 | 自賠責に近い提示か、裁判基準に近い提示かを内訳で見ます。 |
| 裁判基準・弁護士基準 | 裁判実務上相当とされる損害額を検討する考え方です。 | 青い本・赤い本を参照し、証拠と個別事情を合わせて検討します。 |
入通院慰謝料、後遺障害、逸失利益、休業損害、死亡事故、物損を項目別に見ます。
青い本と赤い本は、損害項目ごとの読み方が重要です。入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益、休業損害、死亡事故、物損では、見るべき証拠と争点が違います。
次の比較表は、主要な損害項目について、青い本・赤い本を見るときの着眼点をまとめたものです。各項目でなぜ重要かというと、保険会社の提示額が低く見える理由が項目ごとに異なるためです。行ごとに、何が争点になりやすいかを確認します。
| 損害項目 | 読み方の要点 | 主な確認資料 |
|---|---|---|
| 入通院慰謝料 | 通院日数だけでなく、治療期間、傷害内容、症状の程度、治療の必要性、通院頻度を確認します。 | 診断書、診療録、画像、リハビリ記録、通院履歴 |
| 後遺障害慰謝料 | 等級認定の妥当性、非該当後の争い方、同じ等級でも生活影響が重い事情を検討します。 | 後遺障害診断書、検査所見、日常生活支障の記録 |
| 後遺障害逸失利益 | 基礎収入、労働能力喪失率、喪失期間を個別に見ます。 | 源泉徴収票、賃金資料、確定申告書、就労実態資料 |
| 休業損害 | 給与所得者、事業所得者、家事従事者で立証資料が異なります。 | 休業損害証明書、給与明細、帳簿、家事支障記録 |
| 死亡事故 | 死亡慰謝料、死亡逸失利益、葬儀費用、相続、保険・社会保障給付との関係を整理します。 | 戸籍、収入資料、生活費控除に関する資料、保険資料 |
| 物損・評価損 | 修理費、時価額、評価損、代車費用、休車損、買替諸費用を分けて検討します。 | 修理見積書、車両写真、査定資料、代車費用資料 |
次の重要項目は、後遺障害逸失利益の計算で争いやすい3要素をまとめたものです。計算式そのものは単純に見えますが、読者にとって重要なのは、各要素の置き方で最終額が大きく変わる点です。3つの項目から、どの資料を重点的に整えるべきかを読み取れます。
有職者、若年者、家事従事者、事業所得者、会社役員などで評価資料が変わります。
等級表だけでなく、実際の仕事内容や生活上の制限との整合が問題になります。
年齢、症状、医学的見通し、職種などにより、どの期間を前提にするかが争われます。
むち打ち症状の14級9号や12級13号、可動域制限、醜状障害、歯牙障害などでは、形式的な等級名だけでなく、実際の労働能力や生活への影響を証拠で説明することが重要です。
警察資料、医療資料、収入資料、映像・車両資料をそろえてから基準と照合します。
青い本や赤い本を読む前に、事故、医療、収入、車両、映像の資料を整理する必要があります。基準表を見ても、前提となる事実が固まっていなければ、過失割合や損害額の検討がずれてしまいます。
次の一覧は、損害額を検討する前に集める資料の全体像を示しています。読者にとって重要なのは、資料の不足が慰謝料、休業損害、後遺障害、物損の評価に直結する点です。各分類から、どの資料がどの争点を支えるかを読み取れます。
交通事故証明書、実況見分調書、現場写真、信号サイクル、道路状況、車両損傷写真を確認します。
事故態様診断書、診療報酬明細書、カルテ、画像、リハビリ記録、薬剤情報、後遺障害診断書が中核です。
傷害内容源泉徴収票、給与明細、休業損害証明書、確定申告書、帳簿、家事支障記録を整理します。
減収立証ドライブレコーダー、EDR、車両損傷、ブレーキ痕、見通し、照明、天候、道路標示を検討します。
過失割合交通事故証明書は事故の事実を確認する出発点です。医療関係資料は、治療費、休業損害、慰謝料、後遺障害、逸失利益を支える中核資料です。事故態様に争いがある場合は、映像や車両損傷の分析も重要になります。
合計額ではなく、損害項目、基準の層、控除関係、争点の順で内訳を確認します。
保険会社から示談案が届いたときは、まず合計額ではなく内訳を確認します。治療費や既払い金を含めた総額が大きく見えても、慰謝料や逸失利益が低く評価されていることがあります。
次の判断の流れは、保険会社の提示額を青い本・赤い本の観点で点検する順番を示しています。読者にとって重要なのは、金額の大小を感覚で判断せず、損害項目ごとに基準と証拠を照合することです。上から順に、確認漏れがないかを読み取ります。
治療費、慰謝料、休業損害、逸失利益、物損、既払い金を分けて見ます。
自賠責基準に近いのか、裁判基準に近いのかを項目ごとに見ます。
過失割合、治療期間、症状固定、後遺障害、収入資料、控除関係を確認します。
増額余地や対応方針は、資料を見ながら個別に検討する必要があります。
次の比較表は、提示額で確認すべき内訳を整理したものです。なぜ重要かというと、低い提示は一つの項目だけでなく、複数項目の過小評価や控除順序の問題として現れることがあるためです。各行から、見落としやすい確認ポイントを読み取れます。
| 確認項目 | 見るべき内容 |
|---|---|
| 治療費・交通費 | 全期間分が含まれているか、文書料、装具費、入院雑費が漏れていないかを確認します。 |
| 休業損害 | 実収入、家事労働、有給休暇、事業所得の減収が反映されているかを見ます。 |
| 慰謝料 | 治療期間、傷害内容、後遺障害等級に照らして妥当かを確認します。 |
| 逸失利益 | 基礎収入、労働能力喪失率、喪失期間の置き方を確認します。 |
| 控除・相殺 | 過失相殺、既払い金、労災、人身傷害保険、自賠責支払額の扱いを確認します。 |
治療費打切りを申し出られた場合も、保険会社が病院へ直接支払う対応を終えるという実務上の意味にとどまり、医学的な症状固定や法律上の賠償範囲が当然に確定するわけではありません。
後遺障害、死亡事故、過失割合、収入・休業、治療費打切りなどでは個別検討が重要です。
青い本と赤い本を比較しても、資料の読み方や証拠の評価には専門的判断が必要になりやすい場面があります。特に後遺障害、死亡事故、過失割合、休業損害、治療費打切り、評価損では、個別事情により見通しが変わります。
次の一覧は、弁護士相談の必要性が高くなりやすい場面を整理したものです。読者にとって重要なのは、相談のタイミングを遅らせると、医療記録や後遺障害資料の準備が難しくなる場合がある点です。各項目から、どの争点が専門的検討につながるかを読み取れます。
むち打ち、しびれ、骨折後の可動域制限、高次脳機能障害などでは資料作成が重要です。
慰謝料、逸失利益、介護費、相続、保険、社会保障が同時に問題になります。
事故態様、映像、車両損傷、実況見分調書の評価が必要になりやすい場面です。
事業所得、主婦休業損害、賞与減額、復職状況などは個別資料で評価されます。
次の時系列は、相談前後で準備する流れを示しています。重要なのは、相談時に資料を持参すると、30分程度の面接相談でも論点を整理しやすくなることです。上から順に、事故資料、医療資料、提示額、相談制度の確認という順番を読み取れます。
交通事故証明書、事故状況図、写真、相手方情報、保険会社情報を整理します。
診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書、源泉徴収票、休業損害証明書を確認します。
相手方からの賠償額提示書があると、基準差や漏れを検討しやすくなります。
日弁連交通事故相談センターの面接相談は30分程度、原則として5回までとされています。
同センターの示談あっせんは無料で利用できる場合がありますが、対象事案や受理できない場合があるため、利用条件を確認する必要があります。
基準資料は主張立証の出発点であり、裁判では損害項目ごとの証拠整理が求められます。
裁判になった場合、青い本と赤い本は損害額主張の参考資料です。裁判所は、当事者の主張立証に基づいて事実を認定し、法的評価を行います。基準表を提出すれば足りるという関係ではありません。
次の時系列は、交通事故訴訟で損害額を整理する実務上の流れを示しています。読者にとって重要なのは、裁判では「請求額」「認否」「争点」「証拠」を項目ごとに整理する必要がある点です。順番から、基準資料がどの段階で役立つかを確認できます。
事故類型、信号、速度、衝突位置、回避可能性などを証拠で整理します。
治療の必要性、症状固定時期、後遺障害等級、生活支障を確認します。
休業損害、逸失利益、慰謝料、将来介護費、装具費、既払い金を一覧化します。
基準資料を参照しながら、各損害項目を証拠と個別事情に結びつけます。
次の比較表は、裁判で整理される代表的な項目を示しています。なぜ重要かというと、交通事故訴訟では損害額一覧表、治療費等集計表、相続等一覧表などを使う一覧表方式で争点を見える化することがあるためです。各行から、基準表以外に必要な主張立証を読み取れます。
| 整理項目 | 内容 |
|---|---|
| 事故態様 | 過失割合の前提となる事実を、警察資料、映像、写真、鑑定資料で整理します。 |
| 治療と後遺障害 | 治療の必要性、症状固定、後遺障害等級、労働能力喪失の実態を整理します。 |
| 収入と休業 | 基礎収入、休業日数、復職状況、事業所得、家事労働の評価を整理します。 |
| 控除関係 | 既払い金、労災、人身傷害保険、損益相殺、遅延損害金を整理します。 |
一般読者は目的別に使い分け、実務家は事案の性質に応じて両方を参照することがあります。
一般読者が「青い本と赤い本のどちらが正しいのか」と迷うのは自然です。しかし、実務上は一方だけが正しいという関係ではありません。目的に応じて参照する資料が変わります。
次の比較表は、目的別にどちらの資料を参照しやすいかを整理したものです。読者にとって重要なのは、基準の名前よりも、自分の争点が全体構造、東京地裁実務、証拠準備のどこに関わるかを見極めることです。各行から、目的と資料の相性を読み取れます。
| 目的 | 青い本が役立つ場面 | 赤い本が役立つ場面 |
|---|---|---|
| 全体像を知る | 損害項目、保険実務、後遺障害、自賠責などを広く確認したい場合です。 | 基準の結論や訴訟実務上の標準感を確認したい場合です。 |
| 慰謝料を確認する | 背景や全国的な考え方を理解したい場合です。 | 入通院慰謝料や後遺障害慰謝料の東京地裁実務を意識する場合です。 |
| 難しい争点を調べる | 後遺障害、損益相殺、人身傷害保険、物損などの解説を確認したい場合です。 | 講演録や最新の実務論点を追いたい場合です。 |
| 示談交渉に使う | 保険会社提示の抜けや論点を広く整理する場合です。 | 裁判になった場合の見通しを意識して交渉する場合です。 |
保険会社との交渉では、基準表そのものよりも証拠が重要です。事故資料、医療記録、収入資料、後遺障害資料を整えたうえで青い本・赤い本と照合する流れが現実的です。
交通事故後の損害額は、法律だけでなく医療、車両、事故調査、社会保障の資料とも結びつきます。
青い本と赤い本は損害賠償の基準資料ですが、交通事故後の問題は弁護士だけで完結しないことがあります。医療、車両、事故調査、労災、福祉、心理的支援など、複数の専門分野が関わります。
次の比較表は、専門職ごとに青い本・赤い本との関わりを整理したものです。読者にとって重要なのは、誰が損害額を決めるのかではなく、どの資料や専門的判断が損害額の根拠になるのかを理解することです。各行から、専門職の役割と必要資料を読み取れます。
| 専門職・機関 | 関わる場面 |
|---|---|
| 弁護士 | 示談交渉、後遺障害申請、異議申立て、訴訟、和解交渉で基準と証拠を結びつけます。 |
| 裁判官・裁判所実務 | 青い本・赤い本に拘束されるわけではなく、主張立証に基づいて判断します。 |
| 保険会社担当者・損害調査担当 | 自賠責、任意保険約款、社内基準、裁判基準、過去の架空の想定ケースを踏まえて提示額を作ります。 |
| 医師・看護師・リハビリ職 | 診断書、画像所見、治療経過、可動域測定、症状固定判断が損害評価に直結します。 |
| 交通事故鑑定人・工学専門家 | 速度、衝突角度、視認可能性、回避可能性、信号サイクル、映像を分析します。 |
| 自動車整備士・車体修理業者 | 修理費、全損、評価損、事故歴表示、査定資料の根拠を整理します。 |
| 社会保険労務士・福祉職・心理職 | 労災、傷病手当金、障害年金、介護保険、復職支援、心理的支援に関わります。 |
相談前に事故、医療、収入、保険、生活支障の資料を分類しておくと論点整理が進みます。
相談前に資料を整理すると、青い本・赤い本との照合が進めやすくなります。すべてを一度にそろえられない場合でも、事故、医療、収入、保険、生活支障の分類で分けておくことが有用です。
次の確認表は、相談前に準備する資料を分類したものです。読者にとって重要なのは、どの資料がどの損害項目の根拠になるかを意識して集めることです。左の分類で資料を分け、右の項目に不足がないかを確認します。
| 分類 | 準備する資料 |
|---|---|
| 事故関係 | 交通事故証明書、事故状況図、現場写真、車両損傷写真、ドライブレコーダー映像、相手方情報、保険会社情報、警察への届出状況 |
| 医療関係 | 診断書、診療報酬明細書、診療録、検査結果、X線、CT、MRI、リハビリ記録、後遺障害診断書、薬剤情報、通院交通費の記録 |
| 収入・休業関係 | 源泉徴収票、給与明細、休業損害証明書、確定申告書、帳簿、売上資料、家事への支障記録、復職・配置転換・退職に関する資料 |
| 保険・示談関係 | 保険会社からの賠償額提示書、自賠責支払通知、後遺障害等級認定票、労災関係資料、人身傷害保険の支払資料、弁護士費用特約の有無、既払い金の一覧 |
| 生活支障・介護関係 | 日常生活でできなくなったことの記録、家族の介護記録、介護用品、住宅改造、福祉用具の見積書、学校・職場・家族からの状況説明書、心理的症状の記録 |
赤い本の金額、青い本の位置づけ、保険会社提示、物損、後遺障害等級に関する誤解を整理します。
一般的には、赤い本は交通事故実務で重要な参照資料とされています。ただし、事故態様、証拠関係、過失割合、後遺障害等級、治療経過によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、青い本は隔年改訂、赤い本は毎年改訂とされています。ただし、青い本には全国的な裁判例や解説型の情報があり、複雑な論点では有用な場合があります。具体的な使い分けは、争点や地域、証拠関係によって変わる可能性があります。
一般的には、保険会社の提示額が常に不当とは限らないとされています。ただし、慰謝料、休業損害、逸失利益、過失相殺、既払い金控除の扱いによって、裁判基準との差が生じる可能性があります。具体的な妥当性は、内訳と資料を確認したうえで専門家に相談する必要があります。
一般的には、青い本・赤い本は物損に関する論点も扱う資料とされています。ただし、修理費、時価額、評価損、代車費用、休車損などは車両状態や資料で判断が変わる可能性があります。弁護士費用との関係も含め、具体的には専門家へ相談する必要があります。
一般的には、後遺障害等級は重要な要素とされています。ただし、基礎収入、労働能力喪失率、喪失期間、慰謝料、将来介護費、過失相殺、既払い金控除によって最終額は変わる可能性があります。個別の見通しは資料を整理して専門家へ相談する必要があります。
青い本は全国的・解説型、赤い本は東京地裁実務・訴訟基準型の性格が強い資料です。
青い本とは、日弁連交通事故相談センター本部が編集する『交通事故損害額算定基準』であり、全国的・解説型の性格を持つ実務資料です。赤い本とは、同センター東京支部が編集する『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準』であり、東京地裁実務・訴訟基準型の性格が強い専門資料です。
次の強調表示は、青い本とは何か赤い本との違いを比較した結論をまとめています。読者にとって重要なのは、資料名を知ること自体ではなく、保険会社の提示額がどの基準に近いのか、損害項目に漏れがないか、争点を支える証拠があるかを確認することです。
基準表だけで結論は決まらず、事故態様、治療経過、後遺障害、収入資料、過失割合、保険・社会保障給付との関係を総合して検討する必要があります。
後遺障害、死亡事故、長期治療、休業損害、事業所得、主婦休業損害、過失割合、治療費打切り、評価損が問題となる場合は、早期に資料を整理し、弁護士等の専門家への相談を検討する価値が高くなります。