1割の差は、自分の損害だけでなく相手損害、自賠責のしきい値、後遺障害や死亡事故の損害額によって大きく変わります。計算式と実務上の確認点を整理します。
1割の差は、自分の損害だけでなく相手損害、自賠責のしきい値、後遺障害や死亡事故の損害額によって大きく変わります。
最初に、単純な10%計算で終わらない理由を確認します。
交通事故で自分だけに損害がある単純な人身事故では、過失割合を1割、つまり10%ポイント下げると、原則として自分の総損害額の10%分だけ受け取れる額が増えます。損害総額が1,000万円で自分の過失が30%から20%に下がれば、単純計算では100万円の差です。
ただし、相手にも車両修理費などの損害がある場合は、相手へ支払うべき額も同時に変わります。この場合の1割の価値は、自分の損害額と相手の損害額を合計した金額の10%です。自分の損害が1,000万円、相手の損害が200万円なら、30%から20%へ下がる効果は120万円になります。
次のポイント一覧は、このページで最も重要な3つの考え方を表しています。なぜ重要かというと、過失割合の争いを金額へ置き換えると、示談案を検討する優先順位が見えやすくなるためです。まずは、1割の差がどの損害にかかるのかを読み取ってください。
1割の価値は総損害額に比例します。軽い物損では数万円でも、後遺障害や死亡事故では数百万円から1,000万円単位になることがあります。
自分の請求額が増えるだけでなく、相手へ負担する額も減るため、実質的な改善額は自分と相手の損害合計の10%になります。
被害者過失が7割、8割、9割の境界にかかると、民法上の単純な10%計算とは異なる支払差が生じる可能性があります。
次の重要ポイントは、計算の出発点を一つにまとめたものです。どの事故でもまずこの式に当てはめると、過失割合を争う経済的な意味を概算できます。
1割下げたときの改善額 = 0.1 ×(自分の総損害額 + 相手の総損害額)
自賠責保険には、被害者の過失が7割未満なら原則として過失による減額をしない一方、7割以上では一定の減額を行う仕組みがあります。死亡事故で自賠責の死亡限度額3,000万円に達する事案では、70%から60%へ下がるだけで、自賠責部分に600万円の差が出る可能性があります。
用語をそろえると、保険会社の提示額を分解しやすくなります。
過失割合とは、交通事故の発生または損害の拡大について、当事者双方の不注意、交通法規違反、危険回避可能性などを比較し、民事上の損害負担をどのように分けるかを示す割合です。たとえば「相手80 ― 自分20」であれば、自分の過失割合は20%です。
これは道徳的な悪さの順位ではなく、損害賠償額を公平に調整するための法的・実務的な割合です。信号、一時停止、右左折方法、速度、車線変更、横断歩道、見通し、夜間、歩行者・自転車・二輪車・四輪車の種別などが評価対象になります。
過失相殺とは、被害者側にも事故発生または損害拡大への過失がある場合に、その過失を考慮して損害賠償額を減額する制度です。交通事故では、通常、総損害額を算定した後に被害者側の過失割合を控除します。
次の比較表は、交通事故の賠償金に含まれやすい損害項目と、過失割合1割の影響を整理したものです。項目ごとに金額の大きさが違うため、どの項目が総損害額を押し上げるのかを読み取ることが重要です。
| 分類 | 主な内容 | 1割の影響 |
|---|---|---|
| 治療関係費 | 診察料、投薬料、手術料、入院料、通院交通費、文書料など | 総損害に入るため影響あり |
| 休業損害 | 事故で働けなかった期間の収入減 | 収入減が大きいほど影響大 |
| 入通院慰謝料 | けがによる精神的苦痛への賠償 | 通院期間などにより影響あり |
| 後遺障害慰謝料 | 後遺障害が残ったことへの賠償 | 等級により高額化しやすい |
| 後遺障害逸失利益 | 後遺障害により将来得られなくなった収入 | 高額化しやすい |
| 死亡慰謝料・死亡逸失利益 | 本人・遺族の慰謝料、死亡しなければ得られた将来収入 | 高額化しやすい |
| 将来介護費 | 重度後遺障害で将来必要な介護費 | 極めて高額になりうる |
| 物損 | 修理費、時価額、評価損、代車費用、休車損害など | 双方損害があると特に重要 |
自賠責保険では、傷害による損害について治療関係費、文書料、休業損害、慰謝料が支払対象とされ、被害者1人につき120万円の限度額があります。後遺障害は等級等により75万円から4,000万円、死亡は3,000万円が限度額とされています。
自分の損害だけを見る場合と、双方損害を見る場合で結論が変わります。
自分の損害だけを考える場合、受取基本額は「自分の総損害額 ×(1 − 自分の過失割合)」です。自分の過失割合が10%ポイント下がると、受取基本額は自分の総損害額の10%分だけ増えます。
次の比較表は、自分の総損害額だけを基準にしたときの1割の価値を表しています。読者にとって重要なのは、同じ1割でも、損害額が大きいほど差額がそのまま大きくなる点です。
| 自分の総損害額 | 過失割合が1割下がる効果 |
|---|---|
| 100万円 | 10万円 |
| 300万円 | 30万円 |
| 500万円 | 50万円 |
| 1,000万円 | 100万円 |
| 3,000万円 | 300万円 |
| 5,000万円 | 500万円 |
| 1億円 | 1,000万円 |
相手にも損害がある場合、自分が相手に請求できる額は「A ×(1 − p)」、相手に支払うべき額は「B × p」です。Aは自分の総損害額、Bは相手の総損害額、pは自分の過失割合です。
次の比較表は、双方損害があるときに1割下がる実質効果を表しています。相手損害も足した合計額の10%が動くため、自分の損害だけを見た計算より差額が大きくなることを読み取ってください。
| 自分の損害A | 相手の損害B | A+B | 1割下がる実質効果 |
|---|---|---|---|
| 100万円 | 0円 | 100万円 | 10万円 |
| 500万円 | 0円 | 500万円 | 50万円 |
| 1,000万円 | 200万円 | 1,200万円 | 120万円 |
| 3,000万円 | 500万円 | 3,500万円 | 350万円 |
| 8,000万円 | 1,000万円 | 9,000万円 | 900万円 |
| 1億5,000万円 | 2,000万円 | 1億7,000万円 | 1,700万円 |
次の比較表は、自分の損害1,000万円、相手の損害200万円で、自分の過失割合が30%から20%へ下がる場合を表しています。請求できる額と支払う額の両方が動くため、差額が120万円になる過程を確認してください。
| 過失割合 | 自分が請求できる額 | 相手に支払う額 | 実質手取り |
|---|---|---|---|
| 30% | 1,000万円 × 70% = 700万円 | 200万円 × 30% = 60万円 | 640万円 |
| 20% | 1,000万円 × 80% = 800万円 | 200万円 × 20% = 40万円 | 760万円 |
| 差額 | 100万円増 | 20万円減 | 120万円改善 |
「1割下げる」とは、通常、30%から20%、20%から10%、10%から0%のように10%ポイント下げることを意味します。30%の1割である3%だけ下げる意味ではありません。もっとも、高額事故では5%でも大きく、損害額1億円なら5%は500万円です。
物損、傷害、後遺障害、死亡事故で1割の重みは変わります。
次の比較表は、事故類型ごとの典型的な損害構造と1割下げたときの効果を整理したものです。どの事故で過失割合の争いが大きな金額差になりやすいかを読み取るために重要です。
| 事故類型 | 例 | 1割下げる効果 | 読み取りたい点 |
|---|---|---|---|
| 物損事故 | 自分120万円、相手80万円、20%から10%へ | 20万円 | 相手損害を含めると、自分の修理費10%より大きくなる |
| 後遺障害なしの人身事故 | 自分180万円、相手60万円、30%から20%へ | 24万円 | 通院期間や休業損害で20万から50万円程度の差になり得る |
| 後遺障害14級・12級クラス | 自分1,500万円、相手80万円、20%から10%へ | 158万円 | 慰謝料と逸失利益が加わり、1割の価値が大きくなる |
| 重度後遺障害・死亡事故 | 自分側8,000万円、相手300万円、20%から10%へ | 830万円 | 生活再建、介護、遺族の将来設計に直結する |
次の横棒グラフは、上の各例の改善額を金額の大きさに応じて並べたものです。棒の長さが相対的な差額の大きさを表し、後遺障害や死亡事故では1割の争いが一気に大きくなることを読み取れます。
重度後遺障害や死亡事故では、逸失利益、慰謝料、将来介護費、住宅改造費、装具費、付添費などにより総損害額が数千万円から1億円を超えることがあります。将来分の計算では中間利息控除が問題となり、2026年4月1日から2029年3月31日までの法定利率は年3%とされています。
7割、8割、9割の境界では、単純な10%計算とは違う差が出ます。
自賠責保険・共済は、人身損害について政令で定められた限度額の範囲内で支払う基本補償です。傷害は被害者1人につき120万円、後遺障害は等級等により75万円から4,000万円、死亡は3,000万円が限度額とされています。
次の比較表は、自賠責の重大な過失による減額を整理したものです。民法上の過失相殺と違い、7割未満では原則として過失による減額がないため、7割前後の差が特に重要であることを読み取ってください。
| 被害者の過失割合 | 後遺障害・死亡 | 傷害 |
|---|---|---|
| 7割未満 | 減額なし | 減額なし |
| 7割以上8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
| 8割以上9割未満 | 3割減額 | 2割減額 |
| 9割以上10割未満 | 5割減額 | 2割減額 |
| 10割 | 相手車両の自賠責から支払われない場合がある | 相手車両の自賠責から支払われない場合がある |
次の比較表は、死亡事故で自賠責の死亡限度額3,000万円に達する場合の支払イメージです。過失が70%から60%へ下がるだけで600万円、90%から80%へ下がる場合も600万円の差が出ることを確認してください。
| 被害者過失 | 自賠責死亡限度額からの減額 | 自賠責部分の支払イメージ |
|---|---|---|
| 90% | 5割減額 | 1,500万円 |
| 80% | 3割減額 | 2,100万円 |
| 70% | 2割減額 | 2,400万円 |
| 60% | 減額なし | 3,000万円 |
次の縦棒の比較は、自賠責死亡限度額3,000万円を前提にした支払イメージを示しています。棒の高さは支払額の大きさを表し、70%から60%の境界で支払額が大きく変わる点を読み取ってください。
一方で、自賠責の範囲内では1割下げても受取額が変わらない場合もあります。たとえば傷害損害100万円、自分の過失60%では、民法上の単純計算なら40万円ですが、自賠責では7割未満なら原則として過失減額がありません。傷害限度額120万円の範囲内であれば、60%から50%に下がっても自賠責単体の支払額は変わらないことがあります。
1割の価値は、総損害額の評価と保険構造によって変わります。
過失割合を争うときは、総損害額の算定も同時に確認する必要があります。保険会社提示の総損害額が600万円なら1割の価値は60万円ですが、慰謝料、休業損害、後遺障害逸失利益を精査して総損害額が1,200万円に修正されるなら、同じ1割の価値は120万円になります。
次のポイント一覧は、過失割合と同時に確認すべき4つの項目を表しています。1割の価値を正しく見積もるには、事故態様だけでなく、損害額、相手損害、保険制度の重なりまで読む必要があります。
信号、一時停止、右左折、速度、視認性、当事者属性などから基本過失割合と修正要素を確認します。
治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益、将来介護費、物損を積み上げて1割の基礎を確認します。
相手の修理費、休業損害、治療費などが大きいほど、1割下げる実質効果も大きくなります。
自賠責、任意保険、人身傷害保険、労災、既払金の関係で受取額への反映が変わります。
損害額算定では、青本・赤い本などが裁判例の傾向等を踏まえた目安として参照されることがあります。ただし、損害額は事故ごとの事情により変わります。したがって、過失割合の数字だけでなく、損害項目の抜けや低い評価がないかも確認する必要があります。
次の比較表は、過失割合を左右する代表的な確認事項をまとめたものです。どの観点が事故類型や修正要素に関わるのかを読み取ることで、保険会社の提示がどの前提に立っているかを確認しやすくなります。
| 観点 | 典型的な確認事項 |
|---|---|
| 信号 | 青・黄・赤、右折矢印、押しボタン式信号、信号の見落とし |
| 一時停止 | 標識・停止線の有無、完全停止の有無、停止後の安全確認 |
| 優先関係 | 優先道路、広路・狭路、左方優先、横断歩道 |
| 走行位置 | 車線、路肩、歩道、横断歩道上、自転車横断帯 |
| 速度 | 制限速度超過、徐行義務、危険認知後の減速 |
| 合図 | 右左折・進路変更の合図、時期、方向 |
| 視認性 | 夜間、雨天、逆光、見通し不良、駐車車両の陰 |
| 当事者属性 | 歩行者、自転車、二輪車、高齢者、児童、身体障害者等 |
| 危険行為 | 飲酒、スマホ操作、著しい前方不注視、無灯火、逆走 |
| 回避可能性 | ブレーキ、ハンドル操作、反応時間、危険発見可能性 |
保険会社が提示する過失割合は、示談交渉上の提案です。合意前であれば、証拠と裁判例に基づき反論できます。警察の届出、現場確認、実況見分、刑事処分の有無も重要な資料になり得ますが、民事上の過失割合を自動的に確定させるものではありません。
事故態様を変える証拠と、損害額を押し上げる資料を分けて確認します。
過失割合を1割下げるには、事故態様について相手提示と異なる事実を示すか、修正要素の評価を変える必要があります。単に納得できないと伝えるだけでは足りず、資料と事実関係を対応させて整理することが重要です。
次の比較表は、事故直後から確保したい主な資料と目的を整理したものです。どの資料が事故態様、損害額、因果関係のどこに効くのかを読み取ることで、足りない証拠を見つけやすくなります。
| 資料 | 目的 |
|---|---|
| 交通事故証明書 | 事故発生の公的確認、当事者・日時・場所の確認 |
| 事故発生状況報告書 | 進行方向、信号、一時停止、衝突位置の整理 |
| 実況見分調書 | 人身事故で警察が作成する現場状況の重要資料 |
| 現場写真 | 停止線、信号、標識、見通し、車線、路面痕跡の確認 |
| 車両写真 | 衝突部位、損傷方向、衝突角度、速度感の推定 |
| ドライブレコーダー | 信号、速度、位置、相手の動き、衝突直前の状況 |
| 防犯カメラ映像 | ドラレコの死角を補完する客観資料 |
| 修理見積書・損傷診断 | 損傷部位と事故態様の整合性確認 |
| 診断書・画像所見 | 受傷機転、症状、治療経過、後遺障害の確認 |
次の時系列は、証拠が失われやすい順番を意識した確認の流れです。早い段階ほど映像や現場情報が残りやすいため、何を先に確保すべきかを読み取ってください。
自分のドライブレコーダー映像、現場写真、車両損傷写真、同乗者・目撃者の連絡先を確保します。
店舗、駐車場、マンション、バス、タクシー、配送車などの防犯カメラは上書きされる場合があります。
交通事故証明書、事故発生状況報告書、実況見分調書、修理見積書、診断書を整理します。
ドライブレコーダーは、信号色、交差点進入時点、一時停止の有無、速度感、相手車両の急な進路変更、ウインカーの有無、追突か割込みか、歩行者・自転車の飛び出し状況などを確認できることがあります。ただし、画角、フレームレート、時刻設定、GPS精度、音声の有無、夜間性能には限界があります。
車両の損傷位置、変形方向、塗膜付着、破片散乱位置、エアバッグ展開、ホイール損傷、フレーム損傷などから、衝突角度や相対速度、接触順序を推定できる場合があります。医療記録は過失割合そのものを直接決める資料ではありませんが、受傷部位、受傷機転、症状経過は、事故と傷病の因果関係や損害額に関わります。
費用対効果は、差額、特約、後遺障害、証拠の強さを合わせて見ます。
弁護士等の専門家へ相談するか迷う場合、まず「0.1 ×(自分の総損害額 + 相手の総損害額)」で過失割合1割の経済価値を概算します。この金額が大きいほど、相談の経済的合理性は高くなります。
次の比較表は、早めに相談を検討する優先度が高い事案を整理したものです。過失割合の差額だけでなく、損害額算定や証拠整理が複雑になりやすい点を読み取ってください。
| 事案 | 相談優先度が高い理由 |
|---|---|
| 後遺障害が残りそう | 慰謝料・逸失利益が大きく、1割の価値が高い |
| 死亡事故 | 損害額が高額で、相続・遺族慰謝料・刑事手続も関係する |
| 相手提示が7割前後 | 自賠責の重過失減額の境界に関係する |
| 9対1か10対0が争点 | 0か1割かで修理費・治療費・相手損害の負担が変わる |
| 高級車・営業車の物損 | 相手損害が大きく、1割の価値が増える |
| ドラレコがある | 客観証拠で修正できる可能性がある |
| 供述が対立している | 事故態様の立証設計が必要になる |
| 治療費打切りが争点 | 損害額全体と因果関係が争点化する |
| 歩行者・自転車・二輪車 | 事故類型と修正要素が専門的になりやすい |
弁護士費用特約が使える場合、相談料・着手金・報酬が一定限度まで保険でまかなわれることがあります。本人の保険だけでなく、同居家族、別居の未婚の子、搭乗車両、勤務先関係の保険に特約がないかも確認対象になります。
結論だけでなく、事故類型、修正要素、金額差の順に示します。
過失割合の交渉では、単に自分は悪くないと主張するより、相手提示の前提、事故類型、基本過失割合、修正要素、証拠、賠償額の差を順番に整理する方が実務上有効です。
次の判断の流れは、反論を組み立てる順番を表しています。上から下へ確認することで、感情的な反論ではなく、事故態様と金額差を対応させた主張にするための道筋を読み取れます。
相手保険会社の数字と根拠資料を確認します。
どの類型を前提にしているか、類型が事実と合うかを見ます。
自分に不利な要素、相手に不利な要素を証拠で整理します。
変更後の過失割合で賠償額がいくら変わるかを計算します。
次の比較表は、過失割合を1割動かし得る代表的な修正要素を整理したものです。事故類型によって評価は変わるため、どの事情が証拠上認められるかを確認することが重要です。
| 修正要素 | 例 |
|---|---|
| 著しい過失 | 脇見、スマホ操作、速度超過、合図なし、酒気帯びに近い事情など |
| 重過失 | 酒酔い、無免許、著しい速度超過、居眠り、赤信号無視に近い重大違反など |
| 一時停止違反 | 完全停止なし、停止線を越えた停止、停止後の安全確認不足 |
| 右左折方法違反 | 大回り、左寄せ不十分、合図遅れ、直進車妨害 |
| 進路変更 | 急な割込み、合図なし、後方確認不足 |
| 夜間・見通し | 発見可能性、ライト、反射材、街灯、遮蔽物 |
| 歩行者保護 | 横断歩道上・直近、児童・高齢者、住宅街、スクールゾーン |
| 二輪・自転車特性 | 速度差、巻込み、左側通行、自転車横断帯、車道・歩道通行 |
| 駐車場事故 | 通路、出庫、後退、歩行者、区画線、徐行義務 |
防犯カメラやドライブレコーダー映像は、数日から数週間で上書きされる場合があります。早い段階で、相手保険会社に過失割合の根拠資料を求め、自分の映像保存、目撃者確認、現場写真、車両損傷写真、事故発生状況報告書、診断書提出の要否を整理します。
休業損害、逸失利益、介護費、物損は差額を大きくします。
過失割合1割の価値は、総損害額に比例します。そのため、過失割合だけでなく、損害項目の算定が低くなっていないかを確認することが重要です。
次のポイント一覧は、1割の価値を押し上げやすい損害項目を表しています。どの項目が総損害額を増やしやすいかを読み取ることで、過失割合の交渉と損害額の精査を同時に進める必要性が見えます。
給与所得者は休業損害証明書、源泉徴収票、給与明細、自営業者は確定申告書、帳簿、売上資料、経費資料などが重要です。休業損害が300万円増えると、1割の価値は30万円増えます。
後遺障害逸失利益は、基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間に対応する係数で整理されます。総損害額の大きな割合を占めることがあります。
高次脳機能障害、遷延性意識障害、脊髄損傷、重度麻痺などでは、将来介護費が数千万円単位になることがあり、1割が数百万円の差になります。
営業車、タクシー、トラック、バス、レンタカー、配送車では、修理費だけでなく休車損害も問題になります。相手損害が大きいほど1割の価値も増えます。
将来介護費では、介護の必要性、介護時間、職業介護人の利用、近親者介護、施設介護、住宅改修、福祉用具、医師意見、リハビリ記録、介護保険・障害福祉制度との関係を踏まえて算定します。法律、医療、福祉、損害調査を分けずに見ることが重要です。
軽微な物損から死亡事故まで、同じ1割の差額を比較します。
次の比較表は、5つのケースで過失割合を1割下げた場合の効果をまとめたものです。事故規模が大きくなるほど差額が上がるため、どの段階から相談や証拠収集の優先度が高まるかを読み取ってください。
| ケース | 前提 | 1割下げる効果 | 実務上の読み取り |
|---|---|---|---|
| A 軽微な物損 | 自分40万円、相手30万円、30%から20%へ | 7万円 | 特約なしでは正式依頼の経済性が限定的な場合がある |
| B 通院6か月 | 自分220万円、相手80万円、20%から10%へ | 30万円 | 慰謝料基準や休業損害が修正されると差額が増える可能性 |
| C 後遺障害14級 | 総損害600万円、相手100万円、30%から20%へ | 70万円 | 等級の有無、慰謝料基準、逸失利益も同時に検討 |
| D 後遺障害12級 | 総損害1,800万円、相手200万円、20%から10%へ | 200万円 | 特約がない場合でも相談・依頼の経済性が高まりやすい |
| E 死亡事故 | 総損害9,000万円、相手300万円、20%から10%へ | 930万円 | 刑事記録、目撃証言、信号サイクル、速度鑑定などが重要 |
自分の過失が10%か0%かは、金額上非常に重要です。自分の損害600万円、相手損害150万円なら、10%から0%に下げる効果は75万円です。ただし、動いている車同士の事故では、双方に一定の注意義務違反があると評価されることもあります。
10対0を主張する場合は、自分が注意しても回避できなかったことを客観証拠で示す必要があります。停止状態、車線、信号、相手の急な動き、回避可能時間、視認可能距離などが重要です。
FAQは一般情報として整理し、個別判断は資料に基づく確認が必要です。
一般的には、保険会社の提示は示談交渉上の見解とされています。ただし、事故態様、証拠、裁判例、修正要素によって結論が変わる可能性があります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、警察の捜査・違反判断と、民事上の損害分担は目的が異なるとされています。警察資料は重要な資料になり得ますが、それだけで民事過失割合が機械的に決まるわけではありません。事故態様や証拠関係により判断は変わります。
一般的には、過失割合は0か100かだけでなく、20%を10%に、30%を20%に修正する争いもあります。ただし、どの程度変わるかは事故類型、修正要素、証拠で変わります。具体的な対応は専門家へ確認する必要があります。
一般的には、物損が小さくても、人身損害、後遺障害、相手損害、保険等級、自賠責の重過失減額に影響する可能性があります。示談前に、どの損害項目へ影響するかを確認することが大切です。
一般的には、自賠責の範囲内では過失減額が限定されることがあります。ただし、自賠責を超える部分、相手損害への負担、後遺障害・死亡部分、任意保険の上乗せでは過失割合が重要になる可能性があります。
交通事故案件を扱う弁護士への相談、交通事故紛争処理センター、日弁連交通事故相談センター、裁判・調停などが選択肢になります。いずれも対象事案、利用条件、扱える範囲が異なるため、利用前に確認が必要です。
金額、証拠、交渉、専門家視点を最後に確認します。
次のチェックリスト一覧は、示談前に確認したい項目を金額、証拠、交渉の3方向でまとめたものです。漏れがあると1割の価値を正しく計算できないため、どの資料と論点が未整理かを読み取ってください。
次の一覧は、過失割合1割の検討に関わる専門家ごとの視点を整理したものです。事故態様だけでなく、医学、修理、保険、生活再建の情報がつながるほど、賠償金への影響を正確に評価しやすくなります。
事故類型、裁判例、損害額、交渉・訴訟見通しを整理します。
交通事故証明書、実況見分、刑事記録などが事故態様の基礎資料になります。
受傷、治療、後遺障害、因果関係を医学的に裏付けます。
速度、衝突角度、回避可能性、車両損傷、道路構造を分析します。
自賠責、任意保険、人身傷害、既払金、支払構造を確認します。
労災、障害年金、介護、福祉用具、住宅改修などの情報を支えます。
過失割合を1割下げたときの最も基本的な答えは、自分だけに損害がある場合は「自分の総損害額 × 10%」、双方に損害がある場合は「(自分の総損害額 + 相手の総損害額)× 10%」です。
しかし、実務では自賠責の重過失減額、任意保険の上乗せ、相手損害、後遺障害、死亡逸失利益、将来介護費、既払金、弁護士費用特約、証拠の強弱が絡みます。過失割合は単なる交渉上の数字ではなく、治療、仕事、車、生活再建、将来介護、遺族の生活に直結する損害分担の中核です。