交通事故の過失相殺で賠償金がいくら減るのかを、基本式、治療費の既払い、自賠責保険、物損、死亡事故や後遺障害の設例から整理します。
交通事故の過失相殺で賠償金がいくら減るのかを、基本式、治療費の既払い、自賠責保険、物損、死亡事故や後遺障害の設例から整理します。
まず基本式、減額の大きさ、手取り額が複雑になる理由を押さえます。
交通事故の示談交渉で「あなたにも2割の過失があります」と言われると、けがをした側でも賠償金が減るのか、実際にいくら差し引かれるのかが分かりにくくなります。過失相殺は、事故や損害拡大への関わりを金額へ反映する仕組みで、基本は損害総額に相手方の責任割合を掛けて考えます。
このページでは、過失相殺で賠償金がどれだけ減額されるかを、100万円、1,000万円、8,000万円などの具体例、自賠責保険の重過失減額、治療費の既払い、物損の双方請求、証拠実務まで含めて整理します。金額例は計算の仕組みを理解するための設例であり、個別事故の結論を保証するものではありません。
最初に押さえるべき結論を強調しています。これは過失相殺の全体像を短時間でつかむために重要で、損害総額、被害者側過失、既払金が最終額にどのように効くかを読み取る入り口になります。
損害総額1,000万円、被害者側過失20%なら、相手方責任割合80%を掛けて800万円です。減額は200万円になります。
過失相殺で実際の手取り額が単純な掛け算だけで終わらない理由を、3つの観点に分けて示します。読者にとって重要なのは、割合だけでなく既払い、保険制度、損害項目の性質も見る必要がある点で、各項目が最終額を押し下げるか補正するかを読み取ってください。
20%の過失なら、損害総額の20%が減額の目安になります。損害総額が高いほど、1割の違いが大きな差になります。
保険会社が先に支払った治療費は、示談時の追加支払額から控除されることがあり、慰謝料や休業損害の残り方に影響します。
自賠責保険では、被害者側過失が7割未満なら重過失減額がないため、任意保険の示談計算と結果が異なることがあります。
法律上の位置づけと、警察資料・示談・裁判の関係を整理します。
過失相殺とは、交通事故の発生または損害の拡大について被害者側にも不注意がある場合に、その程度に応じて損害賠償額を減額する仕組みです。民法722条2項は、不法行為で被害者に過失があったとき、裁判所がこれを考慮して損害賠償額を定めることができるとしています。
ここでいう過失は、日常語の「悪いことをした」という意味だけではありません。道路交通法上の義務違反だけでなく、自分の安全を守るため通常期待される注意を尽くしたかも問題になります。
過失割合と過失相殺の違いを並べて確認します。この違いは、保険会社の説明を聞くときに重要で、数字そのものなのか、その数字を使った減額処理なのかを読み分ける必要があります。
| 用語 | 意味 | 金額への関係 |
|---|---|---|
| 過失割合 | 事故発生への当事者双方の落ち度を20対80、30対70のように数値化したものです。 | 金額を計算する前提となる割合です。 |
| 過失相殺 | 過失割合を損害賠償額に反映させ、被害者側の過失分を差し引く処理です。 | 実際の賠償金を減額する計算です。 |
| 警察資料 | 実況見分、現場見取図、交通事故証明書などは重要な資料です。 | 民事上の最終割合を警察が決めるわけではありません。 |
交通事故では警察が実況見分や違反捜査を行いますが、民事上の賠償金や過失割合を最終決定するのは、示談なら当事者間の合意、裁判なら裁判所の判断です。事故証明書の記載や警察での呼び方だけで、民事上の過失が固定されるわけではありません。
過失相殺は被害者を責める制度ではなく、損害を公平に分担するための調整です。けがや生活への影響が大きくても、事故の発生や損害拡大に被害者側の行動が関係していれば、その分が金額に反映されることがあります。
損害総額1,000万円の比較と、実務上の計算順序を確認します。
最も基本的な計算式は、受け取れる賠償金が損害総額に相手方の責任割合を掛けた金額になる、というものです。相手方の責任割合は、100%から被害者側の過失割合を差し引いて求めます。
損害総額1,000万円を前提に、被害者側過失が増えるほど賠償金がどう減るかを比較します。この表は過失割合1割の違いが金額に直結することを理解するために重要で、右端の減額される金額を見ると、争点の大きさを把握できます。
| 被害者側の過失割合 | 相手方の責任割合 | 受け取れる賠償金 | 減額される金額 |
|---|---|---|---|
| 0% | 100% | 1,000万円 | 0円 |
| 10% | 90% | 900万円 | 100万円 |
| 20% | 80% | 800万円 | 200万円 |
| 30% | 70% | 700万円 | 300万円 |
| 40% | 60% | 600万円 | 400万円 |
| 50% | 50% | 500万円 | 500万円 |
| 60% | 40% | 400万円 | 600万円 |
| 70% | 30% | 300万円 | 700万円 |
| 80% | 20% | 200万円 | 800万円 |
| 90% | 10% | 100万円 | 900万円 |
実務では、損害項目を積み上げ、事故との因果関係や相当性を見た後に過失相殺を行い、既払金や保険給付を調整します。この順番は手取り額を誤解しないために重要で、どの段階で何が差し引かれるかを読み取ってください。
治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益、修理費などを整理します。
事故との因果関係がある損害かを検討します。
損害総額に相手方の責任割合を掛けます。
治療費、自賠責保険金、労災給付などを控除または調整します。
弁護士費用、遅延損害金、将来介護費なども事案に応じて検討します。
控除の順序や対象は、保険の種類、示談か裁判か、既払金の性質、労災や健康保険の利用状況によって争点になることがあります。金額が大きい場合は、早い段階で計算表を専門家に確認してもらう必要があります。
100万円、1,000万円、死亡事故、既払治療費、物損相互請求をまとめます。
ここでは、原則的な掛け算だけで済む例から、既払治療費や物損の双方請求が絡む例までを並べます。具体例を横並びにする理由は、同じ20%の過失でも損害総額や既払金の有無で手取りが変わるためで、計算欄と最終額の差を見比べてください。
| 事案 | 前提 | 計算 | 結果 | 読み取り方 |
|---|---|---|---|---|
| 軽傷事故 | 損害100万円、過失20% | 100万円×80% | 80万円 | 減額20万円。少額では争う費用対効果も見ます。 |
| 後遺障害あり | 損害1,000万円、過失20% | 1,000万円×80% | 800万円 | 減額200万円。等級や逸失利益と並ぶ中心論点です。 |
| 死亡事故 | 損害8,000万円、過失30% | 8,000万円×70% | 5,600万円 | 減額2,400万円。証拠保全が特に重要です。 |
| 高額後遺障害 | 損害3,000万円、過失10% | 3,000万円×90% | 2,700万円 | 30%の場合との差は600万円です。 |
| 高額後遺障害 | 損害3,000万円、過失30% | 3,000万円×70% | 2,100万円 | 同じ損害でも20ポイント差で大きく変わります。 |
主要な計算例のうち、相手方責任割合がどれだけ残るかを割合で比べます。この比較は減額の大きさを直感的に見るために重要で、数値が低いほど賠償金が残りにくいことを読み取ってください。
治療費を任意保険会社が先に病院へ支払っている場合は、手取り額の見え方が変わります。次の例は既払治療費が追加支払額を圧迫する構造を表しており、過失割合が高いほど慰謝料や休業損害が残りにくい点を読み取ってください。
| 前提 | 過失20%の場合 | 過失50%の場合 |
|---|---|---|
| 治療費120万円、休業損害50万円、慰謝料130万円、損害総額300万円 | 300万円×80%=240万円。既払治療費120万円を控除し、追加支払額は120万円。 | 300万円×50%=150万円。既払治療費120万円を控除し、追加支払額は30万円。 |
車同士の物損では、自分の損害だけでなく相手の損害について自分の過失分を負担することがあります。次の比較は相互請求の差額を表し、物損示談で合意した割合が人身交渉にも影響し得る点を読み取るために重要です。
| 前提 | Aさんの請求 | Aさんの負担 | 差額 |
|---|---|---|---|
| A車両損害100万円、B車両損害50万円、A20%、B80% | 100万円×80%=80万円 | 50万円×20%=10万円 | 80万円-10万円=70万円 |
物損を先に終わらせたい場面でも、示談書に過失割合が記載されると、人身損害でも同じ割合を前提にされる可能性があります。重傷や後遺障害の可能性がある場合は、人身損害の過失割合を確定する趣旨ではないことをどう扱うか、慎重に確認する必要があります。
7割未満の過失、傷害部分、重過失減額の違いを確認します。
自賠責保険・共済は、交通事故被害者の基本的な対人賠償を確保する制度です。傷害、後遺障害、死亡ごとに支払限度額があり、傷害は被害者1人につき120万円、死亡は3,000万円、後遺障害は等級により75万円から4,000万円などの限度額があります。
通常の民事賠償では20%過失なら20%減額、40%過失なら40%減額という発想になりますが、自賠責保険では被害者保護の観点から重大な過失がある場合に限って一定の減額がされます。この表は民事賠償との違いを理解するために重要で、7割未満なら重過失減額がない点と、傷害部分の減額が比較的抑えられている点を読み取ってください。
| 減額適用上の被害者の過失割合 | 後遺障害または死亡に係るもの | 傷害に係るもの |
|---|---|---|
| 7割未満 | 減額なし | 減額なし |
| 7割以上8割未満 | 2割減額 | 2割減額 |
| 8割以上9割未満 | 3割減額 | 2割減額 |
| 9割以上10割未満 | 5割減額 | 2割減額 |
傷害損害100万円、被害者側過失40%の例では、通常の民事賠償なら100万円×60%=60万円です。一方、自賠責の支払基準上は7割未満で重過失減額がないため、自賠責の範囲内では100万円が支払対象になり得ます。
過失80%の傷害事故では、通常の民事賠償なら相手方責任割合20%として20万円になる可能性があります。しかし、自賠責支払基準上の傷害に係るものは2割減額となるため、100万円×80%=80万円が支払対象額となる設例です。
人的損害、物的損害、慰謝料がどのように扱われるかを整理します。
過失相殺は、原則として損害総額に計上された人的損害と物的損害へ及びます。どの項目が対象になるかを確認することは、保険会社の提示書の漏れや控除の意味を読むうえで重要で、人的損害、物的損害、慰謝料の区分を見比べてください。
治療費、入院雑費、通院交通費、付添看護費、装具費、診断書作成費、休業損害、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益、将来介護費、死亡慰謝料、死亡逸失利益、葬儀費などです。
身体・生命車両修理費、時価額相当額、買替諸費用、評価損、レッカー費用、保管料、代車費用、休車損、積載物損害などです。
車両・物精神的苦痛に対する賠償も損害賠償額の一部であるため、原則として過失相殺の対象になります。慰謝料だけは減らない、という理解は正確ではありません。
誤解注意たとえば、傷害慰謝料100万円、その他の損害100万円、合計200万円で、被害者側過失30%なら、原則として200万円に70%を掛けて140万円と考えます。個別には既払金や保険給付の調整が加わるため、提示書では損害項目、過失割合、控除額を分けて確認します。
後遺障害が残る場合は、後遺障害等級、逸失利益、労働能力喪失率、症状固定時期、基礎収入の認定により損害総額が上がります。損害総額が上がるほど、過失割合1割の影響額も大きくなります。
事故類型、基準表、証拠、近時の自転車事故の見方をまとめます。
過失割合は、まず事故類型を分類し、基本割合を確認したうえで、信号、速度、道路幅、優先関係、夜間、視認性、当事者の属性などを修正要素として加減する流れで検討されます。基準表は目安であり、証拠と具体的事情で変わります。
割合を左右する代表的な要素を一覧にします。これは保険会社の提示を確認する際に重要で、どの事故類型を前提にし、どの修正要素が加算または減算されたのかを読み取ってください。
信号の色、一時停止規制、優先道路、横断歩道上か横断歩道外かが重要です。
道路幅員、見通し、夜間か昼間か、横断禁止場所、駐車場内か高速道路上かを見ます。
速度違反、酒気帯び、スマートフォン使用、合図の有無、急ブレーキの必要性などを確認します。
高齢者、児童、幼児、障害者、自転車の走行位置、ライトやヘルメットなど安全措置も影響します。
車両損傷部位、衝突角度、制動痕、破片の位置、ドライブレコーダー映像が重要です。
自転車事故では、自転車が道路交通法上の軽車両であることを前提に、車道左側通行、信号、一時停止、安全確認が問題になります。警察庁は令和7年中の自転車関連事故が67,470件で、自転車と自動車の事故では出会い頭衝突が約55%と説明しています。自転車側がけがをした場合でも、信号無視、一時不停止、右側通行、歩道から車道への急な進入、夜間無灯火などは過失割合に影響する可能性があります。
過失割合を検討する順番を示します。この判断の流れは、提示割合のどこに反論余地があるかを探すために重要で、事故類型、基本割合、修正要素、証拠の順に分けて読むことが大切です。
追突、右直、出会い頭、歩行者事故、自転車事故などに分類します。
裁判例を踏まえた認定基準などを目安にします。
信号、速度、道路状況、属性、重大違反などを加減します。
映像、写真、実況見分、医療記録、修理見積などで裏づけます。
横断歩道、追突、交差点、右直、進路変更、駐車場事故を整理します。
事故類型ごとの考え方をまとめます。これは自分の事故がどの型に近いかを確認するために重要で、車両側の義務が重くなる場面と、被害者側にも注意義務違反が問題になる場面を読み分けてください。
| 事故類型 | 基本的な見方 | 重要な証拠・事情 |
|---|---|---|
| 横断歩道上の歩行者事故 | 車両側の減速義務、一時停止義務、通行妨害禁止義務が重く評価されます。歩行者側の信号、斜め横断、直前直後横断も確認します。 | 信号、横断位置、夜間か、歩行者の属性、車両からの視認性 |
| 追突事故 | 後続車の前方不注視、車間距離不保持、速度不適切が問題になりやすく、被追突車側の過失は小さく評価されやすいです。 | 急ブレーキの理由、ブレーキランプ、停止位置、制動痕、映像 |
| 信号のない交差点の出会い頭事故 | 左右関係、道路幅員、優先道路、一時停止規制、進入時期が争点になります。 | 衝突地点、破片散乱、停止位置、防犯カメラ、速度推定 |
| 右折車と直進車の事故 | 右折車は対向直進車の進行を妨げない義務があり、右折車側の過失が重く評価されやすいです。 | 信号、直進車速度、ヘッドライト、車線位置、右折開始時期 |
| 進路変更事故 | 進路変更車には後方確認と合図義務があります。後続直進車にも速度調整、前方注視、車間距離保持の義務があります。 | ウインカー、点灯開始時期、接触位置、車線変更角度、映像 |
| ドア開放事故 | ドアを開ける側の後方確認義務が問題になります。通過側の安全側方間隔、速度、前方注視も見ます。 | ドア変形方向、接触痕の高さ、ミラー位置、損傷の新旧 |
| 駐車場内事故 | 歩行者、後退車、出庫車、通路走行車が混在し、徐行と安全確認が重視されます。 | 防犯カメラ、後方カメラ、通路幅、視認性、警告音、停止位置 |
同乗者、子ども、高齢者、既往症や医療資料の見方を整理します。
過失相殺では、被害者本人だけでなく、一定の場合に「被害者側」と評価される人の過失が問題になることがあります。幼児が親の運転する車に同乗していた場合など、被害者と身分上または生活関係上一体をなす関係があるかが論点になります。
被害者側過失や素因減額として問題になりやすい場面を整理します。この一覧は、事故発生への落ち度と、損害拡大に関係する身体的・心因的事情を混同しないために重要で、何が過失割合の問題で、何が損害額調整の問題かを読み取ってください。
飲酒運転や無免許運転を知りながら同乗した、危険運転をあおった、シートベルトを着用していなかったなどが問題になります。
子どもだから必ず過失ゼロになるわけではありません。事理弁識能力、場所、予見可能性、保護必要性を慎重に見ます。
事故前からの疾患や心因的要因が損害発生または拡大に寄与した場合、過失とは別に公平な分担の観点で減額が問題になります。
診断書、画像検査、カルテ、既往歴、事故前後の症状変化、治療経過が中心資料になります。
素因減額では、事故前からの頸椎症、腰椎椎間板変性、脊柱管狭窄、精神疾患、不安障害、うつ状態、加齢変性と外傷性変化の区別、画像所見と自覚症状の整合性、治療期間や症状固定時期が争点になります。ただし、単なる身体的特徴を理由に安易に減額できるわけではありません。
事故直後の資料、ドライブレコーダー、車両損傷、保険会社提示の見方を整理します。
過失割合を争う場合、事故直後の証拠が極めて重要です。交通事故証明書、実況見分調書、現場見取図、ドライブレコーダー、防犯カメラ、現場写真、車両損傷写真、修理見積書、レッカー搬送記録、目撃者の連絡先、信号サイクル資料、標識や道路標示の写真、ブレーキ痕、破片、油脂類の位置、救急搬送記録、初診時の医療記録を整理します。
事故直後から相談前までの確認順を時系列で示します。この時系列は証拠の消失を防ぐために重要で、映像の上書き、車両修理、警察資料の取得時期、医療記録の初動をどの順番で確認するかを読み取ってください。
現場写真、車両損傷、標識、信号、破片、制動痕、目撃者の連絡先を可能な範囲で保存します。
ドライブレコーダーの前方、後方、音声、GPS速度、時刻、保存範囲、上書き状況を確認します。
意識障害、頭痛、しびれ、麻痺、疼痛部位、受傷機転を初診時から整理します。
事故類型、基本割合、修正要素、参照資料、警察資料の取得状況を確認します。
ドライブレコーダーは強力な証拠ですが万能ではありません。前方だけか後方や側方も映っているか、音声やGPS速度が残っているか、時刻が正確か、衝撃前の何秒が保存されているか、夜間や雨天で映像が鮮明か、広角レンズによる距離感の誤差があるか、映像が上書きされていないかを確認します。
車両損傷は、金額資料であると同時に事故態様の手掛かりです。損傷部位、損傷の高さ、擦過痕の方向、バンパーやフェンダーやドアやホイールの変形、エアバッグ展開、シートベルトプリテンショナー作動、EDR記録、停止位置、路面痕跡を見ます。
保険会社への確認、争うべき場面、持参資料、費用対効果を整理します。
保険会社から過失割合の提示を受けたら、まず根拠を確認します。どの事故類型を前提にしているか、基本割合は何か、どの修正要素を加算・減算したか、参照資料は何か、自社の契約者の説明だけに依拠していないか、映像や防犯カメラを確認したか、警察資料の取得前か取得後かを分けて聞きます。
相談や再検討の必要性を判断するための要素をまとめます。この一覧は、争う実益が高い場面と争点を絞る場面を見分けるために重要で、損害額、証拠、回収可能性、費用対効果を横断して読み取ってください。
| 再検討の価値が高い場面 | 争点を絞る場面 |
|---|---|
| 後遺障害が残る可能性がある、死亡事故である、休業損害や逸失利益が大きい | 損害額が少額で、変わり得る割合が5%程度にとどまる |
| 提示が事故状況と合わない、相手方の説明が変遷している | 証拠が乏しく、水掛け論になりやすい |
| ドライブレコーダー、防犯カメラ、目撃者、信号争いがある | 早期解決の必要性が高い |
| 速度超過、酒気帯び、スマートフォン使用など重大な違反が疑われる | 弁護士費用特約がなく、相手方の回収可能性にも問題がある |
弁護士相談に持参するとよい資料を整理します。この一覧は初回相談の効率を上げるために重要で、事故態様、損害額、医療経過、収入、物損、人身損害を一度に確認できる資料を読み取ってください。
交通事故証明書、事故状況図、車両写真、現場写真、ドライブレコーダー映像、物損示談書案を用意します。
過失割合保険会社からの提示書、診療明細書、休業損害証明書、源泉徴収票、確定申告書、修理見積書、代車費用資料を整理します。
金額確認診断書、後遺障害診断書、自賠責の認定結果、弁護士費用特約の保険証券やマイページ情報を確認します。
重要争う価値の目安は、損害総額×変わり得る過失割合です。損害総額300万円で10%変わる見込みなら30万円、損害総額3,000万円で10%変わる見込みなら300万円です。この差額が大きいほど、相談する実益は高くなります。弁護士費用特約がある場合は、少額でも相談しやすくなります。
警察、医療、保険、鑑定、修理、生活再建の役割を整理します。
過失相殺と最終賠償額は、法律だけでなく警察資料、救急記録、医療記録、損害調査、事故鑑定、車両修理、社会保障の情報が組み合わさって決まります。専門職ごとの視点を把握することは、どの資料が何を支えるのかを理解するために重要です。
専門職ごとの役割を一覧にします。この一覧は相談先や資料の位置づけを誤解しないために重要で、誰が過失割合を最終決定するのかではなく、どの専門職がどの証拠や損害項目を支えるのかを読み取ってください。
| 専門職・担当 | 主な視点 | 過失相殺との関係 |
|---|---|---|
| 警察官・交通捜査担当 | 現場保全、実況見分、供述聴取、違反捜査、刑事事件処理 | 実況見分調書や供述調書が重要資料になりますが、民事上の割合を最終決定する機関ではありません。 |
| 救急隊員・救急救命士 | 受傷直後の症状、意識状態、搬送先、受傷機転 | 事故直後の症状が医療記録や後遺障害認定に影響することがあります。 |
| 医師・整形外科医・脳神経外科医 | 診断、治療、画像検査、症状固定、後遺障害診断書 | 過失割合そのものではなく、損害額を支える根幹資料を作成します。 |
| 看護師・リハビリ職 | 日常生活動作、疼痛推移、可動域、筋力、歩行能力、復職可能性 | 介護費、休業損害、逸失利益、後遺障害の実態を補強します。 |
| 弁護士 | 事故類型、過失割合、損害額、証拠収集、交渉、訴訟 | 基本割合、修正要素、証拠を対応させて反論を組み立てます。 |
| 保険会社・損害調査担当 | 契約内容、事故状況、損害額、既払金、過失割合の提示 | 提示額は交渉上の提案であり、最終的な正解とは限りません。 |
| 交通事故鑑定人・映像解析・車両データ解析 | 信号、速度、衝突角度、回避可能性、EDR、車両損傷 | 高額事案、死亡事故、信号争い、速度争いで重要になることがあります。 |
| 自動車整備士・車体修理業者 | 修理見積、損傷部位、車両時価、全損、評価損、代車期間 | 物損額だけでなく事故態様の推定にも関わります。 |
| 社会保険労務士・福祉職・心理職 | 労災、傷病手当金、障害年金、復職支援、福祉サービス | 損害賠償だけでなく生活再建の制度設計が必要な場面で関係します。 |
けが、警察、保険会社提示、治療費、物損示談の誤解を一般情報として整理します。
一般的には、けがの有無と過失割合は別問題とされています。けがをした側が被害者と呼ばれることはありますが、事故発生に関する注意義務違反があれば過失相殺される可能性があります。ただし、事故態様、証拠、信号、道路状況、負傷程度によって結論は変わります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、警察の刑事処理と民事上の過失割合は一致しないことがあります。民事では、事故類型、修正要素、裁判例、映像や写真などの証拠をもとに別途判断されます。ただし、警察資料は重要な証拠になり得るため、取得できる資料の種類や時期を確認する必要があります。
一般的には、保険会社の提示は交渉上の提案とされています。事故類型の選択、修正要素、証拠評価に誤りや不足があれば、見直しの余地が生じる可能性があります。ただし、証拠関係や回収可能性、費用対効果によって対応方針は変わります。具体的には、提示書、事故状況図、映像、警察資料を整理して専門家へ相談する必要があります。
一般的には、治療費も損害の一部として損害総額に含められ、過失相殺の対象になるとされています。ただし、自賠責保険の重過失減額、健康保険、労災、任意保険会社の一括払い、既払金控除の順序によって手取り計算は変わる可能性があります。具体的な計算は、保険会社の提示書と支払履歴を確認して検討する必要があります。
一般的には、物損示談で合意した割合が人身交渉でも強く参照されることがあります。必ず完全に固定されるとは限りませんが、けがが重い場合や後遺障害の可能性がある場合は、物損示談書の文言が問題になる可能性があります。具体的には、人身損害の過失割合を確定する趣旨かどうかを含めて、示談前に専門家へ確認する必要があります。
損害総額、過失割合、既払金、自賠責、後遺障害、物損示談を確認します。
保険会社の提示を受けたときは、損害総額、過失割合、既払金、自賠責部分、後遺障害、物損示談、弁護士費用特約を分けて確認します。チェック項目を一つにまとめることで、提示書のどこを見ればよいかが分かりやすくなります。
示談前に確認すべき項目を一覧にします。この一覧は、金額の見落としや証拠不足を防ぐために重要で、損害額、過失割合、控除、保険、後遺障害、物損の関係を順番に読み取ってください。
| 確認項目 | 見るべきポイント |
|---|---|
| 損害総額 | 治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料、逸失利益、修理費などに漏れがないか。 |
| 過失割合 | 事故類型、基本割合、修正要素、証拠との対応が説明されているか。 |
| 既払金 | 治療費、休業損害、自賠責保険金、労災給付などの控除や調整が妥当か。 |
| 自賠責部分 | 重過失減額、限度額、被害者請求、既払金との関係が整理されているか。 |
| 後遺障害 | 等級、労働能力喪失率、逸失利益、症状固定時期、後遺障害診断書が適切か。 |
| 物損示談 | 物損で合意した過失割合が人身交渉へ影響しないか。 |
| 弁護士費用特約 | 本人、同居家族、別居の未婚の子、家族所有車両の保険で使える可能性がないか。 |
最後に、高額事案では影響額を概算します。損害総額300万円で過失割合が10%変われば30万円、損害総額3,000万円で10%変われば300万円です。示談書に署名押印すると後から争うことは難しくなるため、過失割合に納得できない場合、後遺障害が残る可能性がある場合、死亡事故や高額損害の場合は、示談前に専門家へ相談する必要があります。
基本式と実務上の注意点を、示談前にもう一度確認します。
過失相殺では、被害者側の過失割合に応じて賠償金が減額されます。基本式は「損害総額×相手方の責任割合」です。ただし、実務では損害総額の算定、後遺障害、治療費の既払い、自賠責保険の重過失減額、任意保険の一括払い、物損の双方請求、証拠評価が重なります。
計算例の要点をまとめます。この表は各章の金額例を最後に確認するために重要で、損害総額が大きくなるほど過失割合の差額が増えること、既払金や物損相互請求で手取りが変わることを読み取ってください。
| 事案 | 損害総額 | 被害者側過失 | 計算 | 過失相殺後 |
|---|---|---|---|---|
| 軽傷事故 | 100万円 | 20% | 100万円×80% | 80万円 |
| 後遺障害なし | 300万円 | 20% | 300万円×80% | 240万円 |
| 後遺障害あり | 1,000万円 | 20% | 1,000万円×80% | 800万円 |
| 死亡事故 | 8,000万円 | 30% | 8,000万円×70% | 5,600万円 |
| 高額後遺障害 | 3,000万円 | 10% | 3,000万円×90% | 2,700万円 |
| 高額後遺障害 | 3,000万円 | 30% | 3,000万円×70% | 2,100万円 |
| 物損相互請求 | A損害100万円、B損害50万円 | A20% | A請求80万円-A負担10万円 | Aの差額70万円 |
保険会社の提示に疑問がある場合は、事故類型、修正要素、証拠、既払金、自賠責部分を分けて検討します。特に損害額が大きい事案では、過失割合1割の差が数百万円以上になることがあります。
制度や実務の理解に関係する公的資料・中立的資料を整理しています。