2σ Guide

長期入院の入院雑費はいくらか
計算例と請求実務

交通事故で3か月、6か月、1年を超える入院が続く場合、入院雑費は日額基準と入院日数で大きく変わります。自賠責基準、裁判実務で多く見られる水準、将来雑費、証拠整理まで一体で確認します。

1,100円 自賠責の入院1日基準
1,500円 裁判実務で多い日額水準
1,095,000円 730日入院を1,500円で計算
本ページは株式会社Dプロフェッションズ(医師/医療機関/弁護士/弁護士法人ではありません)が運営しています。
一般的な情報提供を目的としており医療上の助言や法律相談等を行うものではありません。
広告(PR)を掲載しています。広告は編集内容や推奨を意味しません。
Video

長期入院の入院雑費はいくらか 計算例と請求実務

交通事故で3か月、6か月、1年を超える入院が続く場合、入院雑費は日額基準と入院日数で大きく変わります。

動画を読み込み中…
2σ GUIDE ・ VIDEO
長期入院の入院雑費はいくらか 計算例と請求実務
交通事故で3か月、6か月、1年を超える入院が続く場合、入院雑費は日額基準と入院日数で大きく変わります。
動画の文字起こし(全文テキスト)

2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 長期入院の入院雑費はいくらか 計算例と請求実務
  • 交通事故で3か月、6か月、1年を超える入院が続く場合、入院雑費は日額基準と入院日数で大きく変わります。

POINT 1

  • 入院雑費の全体像 ― 長期入院では日額差がそのまま金額差になる
  • まず、自賠責基準と裁判実務で多く見られる水準を並べて、1年入院時の差をつかみます。
  • 長期入院の入院雑費は「日額 × 入院日数」が出発点
  • 長期入院では日額の違いが積み上がるため、どの基準を前提に話が進んでいるのかを読み取ることが重要です。
  • この差は、入院日数が延びるほど直線的に大きくなります。

POINT 2

  • 入院雑費とは何か ― 治療費とは別に扱う積極損害
  • 入院雑費の法的な位置づけと、治療費など別費目との切り分けを整理します。
  • 実支出型の損害
  • 日額で定額化
  • 別費目との区別

POINT 3

  • 入院雑費の基準 ― 自賠責1,100円と裁判実務1,500円の違い
  • 1,500円は法定額ではない
  • 裁判例で多く見られる水準ですが、法律で固定された金額ではありません。
  • 1,400円の例もある
  • 19日間の入院について日額1,400円とされた交通事故判例もあり、判断には幅があります。

POINT 4

  • 長期入院の入院雑費計算例 ― 30日から730日までの差額
  • 日額1,100円と1,500円を同じ入院日数に掛け、差額を確認します。
  • 3か月入院
  • 半年入院
  • 1年入院

POINT 5

  • 入院雑費の裁判例 ― 623日、314日、19日、将来雑費の見方
  • 1. 日額1,400円の例:短期入院で1日あたり1,400円とされた例があり、裁判実務にも一定の幅があることを示しています。
  • 2. 1,500円 × 314日 = 471,000円:約10か月の入院でも、基本的な算式は日額1,500円に入院日数を掛ける形で整理されています。
  • 3. 1,500円 × 623日 = 934,500円:長期入院でも日額1,500円がそのまま認定された例として、実務上の目安になります。

POINT 6

  • 長期入院の入院雑費で争点になりやすいポイント
  • 1. 入退院日を確定する:診断書、入院証明、退院証明などで事故と関係する入院日数を確認します。
  • 2. 日額基準を確認する:自賠責の1,100円か、裁判実務で多く見られる1,500円かを区別します。
  • 3. 他の損害項目と合算する:治療費、付添看護費、交通費、休業損害、慰謝料と合わせて全体額を見ます。
  • 4. 領収書と医療記録を確認:必要性、頻度、金額を資料で説明できるかが重要になります。
  • 5. 定額計算を基礎に整理:日額と入院日数を前提に、他費目との重複を避けて確認します。

POINT 7

  • 入院雑費の請求で集める証拠 ― 長期入院ほど資料の質が重要
  • 1. 事故証明と診断書を確保:人身事故としての資料、傷病名、入院の必要性を確認できる書類を整えます。
  • 2. 日用品と特別支出を分けて記録:通常の入院生活費と、紙おむつ、特殊衛生用品、栄養補助などの特別支出を分けて保存します。
  • 3. 入退院日と医療記録を整理:転院や再入院がある場合は、各期間が事故による治療として必要だったかを資料で確認します。
  • 4. 支払基準と不払理由を書面で確認:口頭説明だけでなく、支払額、支払基準、認められない理由を文書で確認することが重要です。

POINT 8

  • 入院雑費と関連制度 ― 医療、保険、法務、福祉を分けて考える
  • 長期入院では、日額計算だけでなく複数分野の資料と制度が関わります。
  • 健康保険
  • 労災保険
  • 高額療養費

まとめ

  • 長期入院の入院雑費はいくらか 計算例と請求実務
  • 入院雑費の全体像 ― 長期入院では日額差がそのまま金額差になる:まず、自賠責基準と裁判実務で多く見られる水準を並べて、1年入院時の差をつかみます。
  • 入院雑費とは何か ― 治療費とは別に扱う積極損害:入院雑費の法的な位置づけと、治療費など別費目との切り分けを整理します。
  • 入院雑費の基準 ― 自賠責1,100円と裁判実務1,500円の違い:同じ入院日数でも、前提にする基準が違うと金額が変わります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

入院雑費の全体像 ― 長期入院では日額差がそのまま金額差になる

まず、自賠責基準と裁判実務で多く見られる水準を並べて、1年入院時の差をつかみます。

交通事故で重傷を負い、3か月、6か月、1年、またはそれ以上の入院が続くと、治療費とは別に入院雑費が損害賠償の対象になります。入院雑費は、入院生活に伴って通常発生する日用品、通信費、医師の指示がある栄養補給費などの細かな支出を、日額で整理する費目です。

次の比較表は、入院雑費の代表的な2つの水準を、基本式と1年入院時の目安で整理したものです。長期入院では日額の違いが積み上がるため、どの基準を前提に話が進んでいるのかを読み取ることが重要です。

基準基本式1年入院の目安特徴
自賠責の支払基準1,100円 × 入院日数401,500円公式の支払基準です。立証資料により1,100円を超える必要かつ妥当な実費が問題になることがあります。
裁判実務で多く見られる水準1,500円 × 入院日数547,500円交通事故の裁判例で広く見られる水準です。長期入院でも日額1,500円が認定される例があります。

1年間入院した場合、自賠責基準では40万1,500円、裁判実務で多く見られる水準では54万7,500円となり、差額は14万6,000円です。この差は、入院日数が延びるほど直線的に大きくなります。

次の重要ポイントは、長期入院の入院雑費を単独の金額だけで見ないための整理です。治療費、付添看護費、交通費、休業損害、慰謝料なども同時に膨らむため、全体の損害額の中で位置づける必要があります。

長期入院の入院雑費は「日額 × 入院日数」が出発点

ただし、自賠責の傷害限度額、任意保険の提示、事故との相当因果関係、特別な支出の立証によって、実際の整理は変わります。

Section 01

入院雑費とは何か ― 治療費とは別に扱う積極損害

入院雑費の法的な位置づけと、治療費など別費目との切り分けを整理します。

交通事故の損害は、実際に支出を余儀なくされた損害、事故がなければ得られたはずの利益を失った損害、精神的損害などに分かれます。入院雑費は、治療費や慰謝料とは別の実支出型の積極損害として整理されます。

次の3つの項目は、入院雑費の性質を短く分けたものです。どの支出が日額に含まれ、どの支出を別の損害項目として整理するのかを判断する入口になります。

POSITION

実支出型の損害

入院生活に伴う日用品、通信費、栄養補給費など、治療費の請求書そのものとは別に発生する支出を対象にします。

DAILY RATE

日額で定額化

少額で反復する支出を個別に積み上げるのではなく、入院1日あたりの金額で整理する実務が中心です。

SEPARATION

別費目との区別

治療費、差額ベッド代、付添看護費、交通費、文書料、装具費は、入院雑費とは別に必要性や相当性が問題になります。

次の比較表は、入院中に発生しやすい支出を、入院雑費に含めて考えるものと別建てで整理するものに分けています。長期入院では支出項目が増えるため、表の左列で費目を確認し、右列で請求上の扱いを読み取ることが大切です。

費目典型例入院雑費との関係
入院雑費洗面具、ティッシュ、下着、パジャマ、通信費、医師の指示がある栄養補給費原則としてこの費目で整理します。
治療費診察料、検査料、投薬料、入院基本料病院請求に関わる別費目です。
差額ベッド代個室料、特別室料別建てで必要性と相当性が問題になります。
付添看護費近親者付添、職業付添別建てで付添の必要性が問題になります。
交通費通院交通費、付添交通費入院雑費とは分けて整理します。
文書料・装具費診断書、装具、介護用具別費目として資料と金額を確認します。
注意長期入院でお金がかかったものをすべて入院雑費にまとめると、治療費、差額ベッド代、付添看護費などの重要な損害項目を見落とすおそれがあります。
Section 02

入院雑費の基準 ― 自賠責1,100円と裁判実務1,500円の違い

同じ入院日数でも、前提にする基準が違うと金額が変わります。

自賠責では、入院中の諸雑費は1日1,100円が原則です。もっとも、立証資料により1日1,100円を超えることが明らかな場合は、必要かつ妥当な実費が問題になります。裁判実務では、日額1,500円で入院雑費を認定する例が多く見られます。

次の比較表は、2つの水準を制度の性格、立証の考え方、長期入院での意味に分けて整理したものです。列ごとの違いを見ることで、保険会社の提示がどの水準に近いのかを把握しやすくなります。

観点自賠責の支払基準裁判実務で多く見られる水準
日額1,100円1,500円が中心的に見られます。
制度の性格法律に基づき、公平かつ迅速な支払いを確保する基準です。個別事情を踏まえた損害額の判断として扱われます。
超過実費必要かつ妥当な実費であることを示す資料が問題になります。通常は日額1,500円の定額認定が中心ですが、特別支出は別途検討されます。
長期入院での意味日数が増えるほど、他の損害項目と合わせて傷害120万円の限度に近づきやすくなります。長期入院でも日額1,500円がそのまま認定される例があります。

次の注意点の一覧は、日額1,500円という数字を機械的に使い過ぎないための整理です。中心的な水準を押さえつつ、個別事情や時期によって金額に幅があり得ることを読み取ってください。

1,500円は法定額ではない

裁判例で多く見られる水準ですが、法律で固定された金額ではありません。

1,400円の例もある

19日間の入院について日額1,400円とされた交通事故判例もあり、判断には幅があります。

超過実費は資料が重要

定額を超える特別な支出は、必要性、相当性、金額を示す資料が重要になります。

Section 03

長期入院の入院雑費計算例 ― 30日から730日までの差額

日額1,100円と1,500円を同じ入院日数に掛け、差額を確認します。

ここでは、長期入院で検索されやすい30日、90日、180日、365日、623日、730日を並べます。左から入院日数、自賠責基準、裁判実務で多く見られる水準、差額の順に読むと、入院が長くなるほど差が拡大することが分かります。

入院日数自賠責基準 1,100円/日裁判実務で多い水準 1,500円/日差額
30日33,000円45,000円12,000円
90日99,000円135,000円36,000円
180日198,000円270,000円72,000円
365日401,500円547,500円146,000円
623日685,300円934,500円249,200円
730日803,000円1,095,000円292,000円

次の計算例の一覧は、各日数でどのような規模感になるかを個別に確認するためのものです。金額だけでなく、どのような重傷例や実務上の注意点と結びつくのかも合わせて読み取ると、単なる掛け算で終わらない意味が見えてきます。

90 DAYS

3か月入院

1,100円 × 90日 = 99,000円。1,500円 × 90日 = 135,000円。差額は36,000円です。

180 DAYS

半年入院

1,100円 × 180日 = 198,000円。1,500円 × 180日 = 270,000円。差額は72,000円です。

365 DAYS

1年入院

1,100円 × 365日 = 401,500円。1,500円 × 365日 = 547,500円。差額は146,000円です。

623 DAYS

裁判例型の長期入院

1,500円 × 623日 = 934,500円。長期でも日額と入院日数で認定された例として重要です。

730 DAYS

2年入院

1,100円 × 730日 = 803,000円。1,500円 × 730日 = 1,095,000円。差額は292,000円です。

計算式基本は「日額 × 事故との相当因果関係がある入院日数」です。転院や再入院がある場合は、総日数だけでなく入院の必要性も問題になります。
Section 04

入院雑費の裁判例 ― 623日、314日、19日、将来雑費の見方

裁判例では1,500円が中心に見られますが、幅と将来費用の考え方も押さえます。

裁判所公表の交通事故判例には、623日入院で日額1,500円、314日入院でも日額1,500円とした例があります。一方で、19日間の入院について日額1,400円とした例もあり、日額は絶対固定ではありません。

次の時系列は、裁判例で確認できる入院雑費の主な認定例を、短期、長期、将来費用の順に並べたものです。期間が長いほど日額が当然に下がるわけではない点と、将来雑費では現在価値に引き直す計算が入る点を読み取ってください。

19日入院

日額1,400円の例

短期入院で1日あたり1,400円とされた例があり、裁判実務にも一定の幅があることを示しています。

314日入院

1,500円 × 314日 = 471,000円

約10か月の入院でも、基本的な算式は日額1,500円に入院日数を掛ける形で整理されています。

623日入院

1,500円 × 623日 = 934,500円

長期入院でも日額1,500円がそのまま認定された例として、実務上の目安になります。

将来雑費

1,500円 × 365日 × 18.6334 = 10,201,786円

重度後遺障害により将来の入院が見込まれる場合、日額、年日数、係数を使って現在価値に引き直す計算が問題になります。

将来雑費で使われる18.6334のような係数は、将来何年分もの費用を一括で前倒し受領する場合に、一定の控除をして現在価値へ引き直すためのものです。通常の入院雑費の「日額 × 入院日数」とは別の専門的な計算領域として扱われます。

Section 05

長期入院の入院雑費で争点になりやすいポイント

日額だけでなく、限度額、因果関係、別費目、特別支出を一緒に確認します。

長期入院案件では、1,100円と1,500円の差だけでなく、傷害120万円の限度、事故との相当因果関係、差額ベッド代や付添看護費との切り分け、通常の定額を超える支出の立証が問題になります。

次の一覧は、長期入院の入院雑費で争いになりやすい要素を4つに分けたものです。どの要素が問題になっているかを切り分けることで、必要な資料や確認すべき金額が変わることを読み取ってください。

日額の選択

1,100円基準か、1,500円水準かで、1年なら14万6,000円、2年なら29万2,000円の差になります。

傷害120万円の限度

治療費、入院雑費、交通費、休業損害、慰謝料を合算すると、長期入院では自賠責の傷害限度額を超えやすくなります。

入院日数の因果関係

転院や再入院がある場合、事故による傷害治療として必要だった入院期間かどうかが問題になります。

特別な支出の立証

紙おむつ、特殊衛生用品、洗濯代、栄養補助などは、定額に吸収されるか、超過実費として扱うかが争点になります。

次の判断の流れは、入院雑費を確認するときの順番を示しています。上から順に、入院日数、基準、限度額、特別支出の資料を確認することで、何が未整理なのかを見つけやすくなります。

入院雑費を確認する順番

入退院日を確定する

診断書、入院証明、退院証明などで事故と関係する入院日数を確認します。

日額基準を確認する

自賠責の1,100円か、裁判実務で多く見られる1,500円かを区別します。

他の損害項目と合算する

治療費、付添看護費、交通費、休業損害、慰謝料と合わせて全体額を見ます。

超過支出あり
領収書と医療記録を確認

必要性、頻度、金額を資料で説明できるかが重要になります。

通常支出のみ
定額計算を基礎に整理

日額と入院日数を前提に、他費目との重複を避けて確認します。

たとえば、治療費80万円、入院雑費54万7,500円、交通費5万円を合算すると139万7,500円です。この段階で自賠責の傷害120万円を超えるため、任意保険、被害者請求、示談、訴訟を含めた全体整理が重要になります。

Section 06

入院雑費の請求で集める証拠 ― 長期入院ほど資料の質が重要

基本資料と、超過実費を主張する場合の追加資料を分けて確認します。

長期入院では、証拠収集の質が損害項目の整理に直結します。最低限の基本資料に加えて、通常の定額を超える支出を問題にする場合は、医療記録と領収書を結びつけることが重要です。

次の一覧は、入院雑費の請求で準備する資料を、基本資料と特別支出の資料に分けたものです。左列で資料の種類、中央列で確認する内容、右列で重要になる理由を読み取ってください。

資料確認する内容重要になる理由
交通事故証明書事故の発生、当事者、事故日請求の出発点となる事故情報を確認します。
診断書傷病名、治療内容、入院の必要性事故による傷害と入院の関係を確認します。
診療報酬明細書入院期間、治療内容、病院請求治療費と入院雑費を分ける基礎資料になります。
入退院日が分かる資料入院証明、診療録、退院証明など日額計算の入院日数を確定します。
保険会社の書面支払内容、不払理由、支払基準提示額の根拠や争点を確認します。
領収書・看護記録おむつ代、衛生用品、洗濯代、レンタル代、医師の指示定額を超える実費や特別支出の必要性を説明する資料になります。

次の時系列は、長期入院で資料を整理する順番を示しています。早い段階で基本資料を確保し、入院中に特別支出の記録を残し、支払提示後に根拠を確認する流れを読み取ってください。

事故後

事故証明と診断書を確保

人身事故としての資料、傷病名、入院の必要性を確認できる書類を整えます。

入院中

日用品と特別支出を分けて記録

通常の入院生活費と、紙おむつ、特殊衛生用品、栄養補助などの特別支出を分けて保存します。

転院・退院時

入退院日と医療記録を整理

転院や再入院がある場合は、各期間が事故による治療として必要だったかを資料で確認します。

支払提示後

支払基準と不払理由を書面で確認

口頭説明だけでなく、支払額、支払基準、認められない理由を文書で確認することが重要です。

Section 07

入院雑費と関連制度 ― 医療、保険、法務、福祉を分けて考える

長期入院では、日額計算だけでなく複数分野の資料と制度が関わります。

長期入院の入院雑費は、単なるお金の計算ではありません。事故証明、医療記録、看護記録、保険基準、損害算定、社会保障制度が連動するため、関係する分野を分けて確認することが重要です。

次の比較表は、交通事故の長期入院で関係する6つの領域と、入院雑費とのつながりを整理したものです。各行を見ることで、どの資料や担当領域が入院日数、必要性、費用の説明を支えるのかを読み取れます。

領域典型的な役割入院雑費との関係
警察・現場対応人身事故化、事故証明、実況見分事故証明がなければ請求の出発点が不安定になります。
医療診断、入院の必要性、転院判断、症状固定入院日数と事故起因性を基礎づけます。
看護・リハビリADL評価、失禁、体位変換、衛生管理、家族説明おむつ、衛生用品、介助関連支出の必要性を裏づけます。
保険自賠責の受付、支払基準、限度額管理1,100円/日の原則、120万円限度、被害者請求の実務に関わります。
法務損害項目の整理、基準選択、示談、訴訟1,500円/日水準の主張や別費目との切り分けを検討します。
福祉・労務健康保険、労災、傷病手当金、障害年金長期入院中の資金繰りと制度利用を補完します。

健康保険、高額療養費、労災保険は、治療費や生活再建に関係する制度です。次の一覧では、これらが入院雑費そのものを置き換えるものではない点を中心に、制度ごとの役割を読み取ってください。

HEALTH INSURANCE

健康保険

交通事故でも健康保険を利用できると案内されています。ただし、医療保険上の治療費負担に関わる制度であり、入院雑費とは費目が異なります。

WORK ACCIDENT

労災保険

業務中または通勤途中の事故では、労災保険が関係します。どの制度を優先するかは事故状況により確認が必要です。

MEDICAL CAP

高額療養費

医療機関や薬局の窓口負担が一定上限を超えた場合に調整される制度です。損害賠償上の入院雑費を直接置き換えるものではありません。

整理治療費は健康保険、高額療養費、労災との関係が深い一方、入院雑費は交通事故損害賠償上の別費目として確認します。
Section 08

入院雑費のFAQ ― 長期入院の計算例でよくある疑問

制度上の一般的な考え方を、個別判断と切り分けて整理します。

Q1. 長期入院だと、入院雑費の日額は自動的に下がりますか。

一般的には、長期入院であることだけを理由に日額が自動的に下がるとは整理されていません。裁判所公表の交通事故判例には、623日入院でも314日入院でも日額1,500円とした例があります。ただし、裁判例には1,400円とした例もあり、事故態様、入院期間、支出内容、時期によって判断が変わる可能性があります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 領収書がなくても入院雑費は扱われますか。

一般的には、定額部分については日額方式で処理されることが多いとされています。ただし、1,100円を超える実費や、通常の定額では吸収しにくい特別支出を問題にする場合は、領収書、医師の指示、看護記録などの資料が重要になります。具体的な対応は、支出内容と医療記録を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q3. 1年入院した場合の入院雑費はいくらが目安ですか。

一般的な単純計算では、自賠責基準の1,100円で365日を掛けると401,500円、裁判実務で多く見られる1,500円で365日を掛けると547,500円です。ただし、実際の整理は、過失割合、自賠責限度額、任意保険対応、他の損害項目との関係で変わる可能性があります。具体的な見通しは、事故資料と支払提示を確認して専門家へ相談する必要があります。

Q4. テレビカード代やおむつ代は別に扱われますか。

一般的には、通常レベルの少額反復支出は、入院雑費の定額に含めて整理される方向で考えられます。ただし、支出が通常水準を明らかに超える場合は、必要性、相当性、金額の立証により、超過実費や別費目の問題として検討される可能性があります。具体的には、領収書と医療記録を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q5. 高額療養費制度で入院雑費も補われますか。

一般的には、高額療養費制度は医療保険上の窓口負担を調整する制度であり、損害賠償上の入院雑費とは制度目的も計算構造も異なるとされています。治療費と入院雑費は別の費目として整理する必要があります。具体的な制度利用や損害賠償上の扱いは、医療機関、保険者、弁護士等の専門家へ確認する必要があります。

Section 09

入院雑費のまとめ ― 長期入院の計算例は全体損害と一緒に見る

基本式を押さえつつ、限度額、別費目、証拠、制度利用を分けて確認します。

長期入院の場合の入院雑費は、自賠責の支払基準では1,100円 × 入院日数、裁判実務で多く見られる水準では1,500円 × 入院日数が出発点になります。

  • 180日入院なら、198,000円または270,000円が目安です。
  • 365日入院なら、401,500円または547,500円が目安です。
  • 623日入院なら、685,300円または934,500円が目安です。
  • 730日入院なら、803,000円または1,095,000円が目安です。

ただし、長期入院の本質は掛け算だけでは終わりません。どの基準を使うのか、自賠責120万円の限度をどう見るのか、差額ベッド代、付添費、交通費、装具費、休業損害、慰謝料とどう切り分けるのか、特別な雑費をどう立証するのか、健康保険、労災、高額療養費をどう併用するのかが問題になります。

脊髄損傷、重度頭部外傷、高次脳機能障害、遷延性意識障害のような重症案件では、入院雑費は小さな費目ではなく、将来費用や介護費を検討する入口になることがあります。個別事案では、入院の必要性、症状固定時期、後遺障害、転院歴、既往症、保険会社の提示内容によって結論が変わるため、資料を整理して専門家へ確認することが重要です。

Reference

参考資料

公的資料、法令、裁判所公表資料を中心に整理しています。

公的資料・制度資料

  • 国土交通省「損害賠償を受けるときは」
  • 国土交通省・金融庁「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」
  • 国土交通省「支払までの流れと請求方法」
  • 国土交通省「支払に疑問、不服がある場合には」
  • 国土交通省「怪我をしたときは」
  • 厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
  • 公益財団法人日弁連交通事故相談センター「よくある質問」

法令・裁判所資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」
  • 裁判所公表交通事故判例(入院雑費、差額ベッド代、付添看護費等の整理に関する判例)
  • 裁判所公表交通事故判例(623日入院、314日入院、19日入院、将来雑費に関する判例)