旧下請法第5条書類を、2026年1月1日以降の取適法第7条記録として読み替え、保存すべき記録事項、対象取引、電子保存、2年・7年・10年の保存期間を一体で確認します。
発注書だけでなく、発注から支払完了までの取引記録を一体で管理します。
発注書だけでなく、発注から支払完了までの取引記録を一体で管理します。
5条書類とは、旧下請法の実務で使われてきた呼び方で、親事業者が下請取引の内容と履行結果を作成・保存するための記録を指します。2026年1月1日以降は、法律名と用語が改まり、現行法上は取適法第7条の書類または電磁的記録として整理するのが正確です。
次の強調表示は、このページの結論を表しています。保存期間の判断では、取適法上の最低期間だけでなく税務・会計・紛争対応の期間も重なるため、どの基準を最後に採用するかを読み取ることが重要です。
取適法・旧下請法上の保存期間は基本2年ですが、同じ資料が税務書類、会計資料、重要契約資料、監査・紛争資料に当たる場合は、7年または10年、場合によってはそれ以上の保存を検討します。
次の一覧は、5条書類管理で押さえる三つの軸を表しています。名称だけで判断すると記録漏れが起きやすいため、何を記録し、誰が管理し、いつまで残すかを分けて読むことが重要です。
発注先、委託日、給付内容、受領日、検査、変更、代金、支払、控除、遅延利息など、取引の経緯と結果を示す記録を組み合わせて保存します。
旧法では親事業者、現行法では委託事業者が作成・保存義務を負います。受託側も、交渉や紛争予防のため同種の記録を残す実益があります。
第7条記録の最低2年、法人税法上の7年または10年、会社法・会計上の10年、リーガルホールドを比較して保存満了日を決めます。
旧称と現行法の条文番号を混同しないことが、社内規程や説明資料の出発点です。
2026年1月1日以降、従来「下請法」と呼ばれていた法律は「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」、通称「中小受託取引適正化法」または「取適法」へ改められています。用語も、親事業者は委託事業者、下請事業者は中小受託事業者へ置き換わっています。
次の比較表は、旧法時代の実務用語と現行法上の読み替えを表しています。条文番号がずれると社内資料や監査対応で誤解が生じるため、旧称を使う場合でも現行法上の対応関係を読み取ることが重要です。
| 実務用語 | 旧法上の位置付け | 現行法上の対応 | 実務上の説明 |
|---|---|---|---|
| 5条書類 | 旧下請法第5条の書類または電磁的記録 | 取適法第7条の書類または電磁的記録 | 旧称として使われることがありますが、現行法では7条記録として管理します。 |
| 3条書面 | 旧下請法第3条の発注書面 | 取適法第4条の発注内容等の明示 | 発注時に取引条件を相手方へ明示するための書面・電磁的方法です。 |
| 親事業者 | 旧下請法の発注側主体 | 委託事業者 | 第7条記録の作成・保存義務を負う側です。 |
| 下請事業者 | 旧下請法の受注側主体 | 中小受託事業者 | 保護対象となる受注側です。 |
次の比較表は、発注時の明示義務と取引結果の記録義務の違いを表しています。発注書の控えだけで十分と誤解しやすい部分なので、どのタイミングの何を記録する義務なのかを読み分けてください。
| 比較項目 | 旧3条書面・現4条明示 | 旧5条書類・現7条記録 |
|---|---|---|
| 目的 | 発注時に取引条件を相手方へ明示する | 取引経緯と結果を委託事業者側で記録・保存する |
| 相手方への交付・明示 | 原則として中小受託事業者へ明示する | 相手方への交付義務ではなく、委託事業者側の保存義務 |
| タイミング | 発注に際して直ちに | 事実が生じ、または明らかになったときに速やかに記録 |
| 内容 | 発注時点の予定条件が中心 | 受領、検査、変更、支払、遅延利息等の実績が中心 |
| よくある誤り | 必要事項が不足した発注書を明示する | 発注書だけを保存し、取引結果を保存しない |
対象性は契約名ではなく、取引内容と事業者規模の組み合わせで確認します。
5条書類・第7条記録の作成保存義務を負うのは発注側です。旧法では親事業者、現行法では委託事業者と呼ばれます。受注側である中小受託事業者も、支払遅延、減額、買いたたき、無償やり直し、仕様変更、検収遅延などに備える防御資料として、同種の記録を保存する実益があります。
次の判断の流れは、5条書類の対象取引を判定する順番を表しています。対象外の取引まで過剰に管理する一方で、対象取引を漏らすと調査・監査時に説明が難しくなるため、上から順に確認することが重要です。
製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託に当たるかを確認します。
委託事業者と中小受託事業者の資本金・出資総額・従業員数の関係を確認します。
発注から支払完了まで記録事項を案件単位で保存します。
税務、会社法、契約管理、業法上の保存要件を別途確認します。
次の比較表は、対象性判断で問題になりやすい取引類型と保存すべき記録の例を表しています。契約書の名称だけでは結論が決まらないため、実際に委託している内容と、どの記録が取引実態を示すかを読み取ってください。
| 取引例 | 対象性判断のポイント | 保存すべき記録の例 |
|---|---|---|
| 部品・製品の製造委託 | 販売・請負目的物の製造か、自社使用物でも業として製造しているか | 発注書、仕様書、図面、検査記録、納品書、請求書、支払記録 |
| 金型・木型・治具等の委託 | 2026年改正で金型以外の型等も対象拡大された点に注意 | 図面、型仕様、検収記録、修正指示、支払記録 |
| ソフトウェア開発 | 情報成果物作成委託に該当し得る。準委任・請負の名称だけで決まらない | 要件定義、WBS、チケット、検収、変更依頼、追加費用協議 |
| デザイン・設計・映像制作 | 情報成果物作成委託に該当し得る | ラフ案、仕様書、納品データ、修正指示、権利処理、検収記録 |
| 運送委託 | 特定運送委託に該当するか、一般的な物流委託かを確認 | 運送指図、配送実績、運賃、支払期日、支払実績 |
| 保守・情報処理・倉庫保管 | 役務提供委託の対象範囲や政令対象役務に注意 | 月次報告、作業実績、サービスレベル、検収、支払記録 |
次の比較表は、委託事業者側で記録管理に関わる部門と役割を表しています。法律上の義務者は発注側ですが、記録は複数部門に分散しやすいため、どの部門がどの証跡を残すかを読み取ることが重要です。
| 部署・職能 | 主要な役割 | 管理上の注意点 |
|---|---|---|
| 購買・調達部門 | 発注、価格交渉、納期管理、検収窓口 | 発注時条件、変更指示、協議記録、納期変更の証跡を残す |
| 法務部・契約法務 | 契約書、基本契約、ひな型、紛争予防 | 4条明示と7条記録の違いを契約運用へ反映する |
| 経理・財務 | 請求書処理、支払、支払手段、遅延利息 | 支払期日、実支払日、支払手段、控除、残額を記録する |
| 品質保証・検査部門 | 検査、受入判定、不合格品処理 | 検査完了日、検査結果、不合格品の取扱いを記録する |
| 情報システム・リーガルオペレーション | 契約管理、購買システム、文書管理 | 検索・表示・出力・訂正削除履歴を担保する |
書類名ではなく、法定・実務上の記録事項を満たしているかを確認します。
5条書類として保存すべき書類を考える際、もっとも多い誤解は「発注書を保存しておけば足りる」「契約書をファイルしておけば足りる」というものです。実際には、1枚の書面で全項目を満たす必要はありませんが、複数の書類、電子データ、システム記録、メール、EDI、検収記録、支払データの相互関係が明確でなければなりません。
次の比較表は、旧5条書類を現行取適法第7条記録として管理する場合の保存事項を表しています。調査・監査時には書類名よりも記録事項の有無が問われるため、各行で「何を示す資料が必要か」を読み取ってください。
| No. | 保存すべき事項 | 典型的な保存書類・データ | 実務上の注意点 |
|---|---|---|---|
| 1 | 中小受託事業者の名称・識別符号 | 取引先マスタ、契約書、発注書、ベンダーID | 商号変更、屋号、支店名、個人事業主名の管理に注意 |
| 2 | 製造委託等をした日 | 発注書、注文データ、EDI送信ログ、メール | 口頭発注日と注文書発行日がずれる場合は実態を記録する |
| 3 | 給付の内容 | 仕様書、図面、要件定義書、作業指示書、見積書 | 品目、数量、規格、仕様、成果物、役務範囲を曖昧にしない |
| 4 | 受領期日または役務提供期日・期間 | 発注書、工程表、納期管理表、SLA | 「別途協議」「なるべく早く」は証跡として弱い |
| 5 | 実際に受領した給付の内容および受領日 | 納品書、受領書、検収システム、倉庫入庫記録 | 受領日と検査完了日は別概念である |
| 6 | 検査完了日、結果、不合格品の取扱い | 検査成績書、検収通知、不合格通知、品質記録 | 検査未了を理由に支払期日を無制限に遅らせることはできない |
| 7 | 変更・やり直しの内容と理由 | 変更依頼書、仕様変更合意書、メール、チケット、議事録 | 無償やり直し、追加作業、発注取消しは紛争化しやすい |
| 8 | 代金額 | 発注書、見積書、単価表、価格合意書 | 算定方法で明示した場合は、後日確定した具体額も記録する |
| 9 | 支払期日 | 発注書、基本契約、請求書、支払予定表 | 受領日から60日以内のできる限り短い期間内で定める必要がある |
| 10 | 代金額の変更額・理由 | 変更契約、単価改定合意、値引き合意、稟議 | 減額の名目や合意の有無だけで適法性は決まらない |
| 11 | 金銭で支払った場合の支払額、支払日、支払方法 | 振込データ、支払通知、会計仕訳、銀行明細 | 振込手数料控除が問題になる場合は根拠を残す |
| 12 | 一括決済方式を用いた場合の所定事項 | 一括決済契約、金融機関通知、決済記録 | 期間の始期、金融機関への支払日等を記録する |
| 13 | 電子記録債権を用いた場合の所定事項 | 電子記録債権記録、でんさい記録、通知書 | 金額、支払可能期間の始期、満期日等を保存する |
| 14 | その他金銭以外の支払手段を用いた場合の所定事項 | 支払手段契約、換金条件、評価資料 | 支払期日までに満額相当を得られない手段は別途リスクがある |
| 15 | 有償支給原材料の品名、数量、対価、引渡日、決済日・方法 | 有償支給明細、材料出庫記録、相殺明細 | 有償支給原材料の早期決済禁止にも注意する |
| 16 | 一部支払または原材料対価控除後の残額 | 相殺明細、支払明細、買掛金台帳 | 控除の根拠、残額、支払予定を明確にする |
| 17 | 遅延利息の額および支払日 | 遅延利息計算書、支払記録、通知書 | 遅延利息は年率14.6%が基本となる |
| 18 | 発注時に明示しない事項の理由、明示日、内容 | 補充明示書、メール、変更通知、契約補遺 | 未定事項を放置せず、確定時に速やかに補充する |
次の注意点一覧は、記録事項の欠落が起きやすい場面を表しています。後から作る帳票では補いにくい項目なので、どの場面で証跡を残すべきかを読み取ることが重要です。
委託日、給付内容、代金、納期、支払期日をメールや注文確認書で速やかに記録化します。
変更内容、理由、誰の指示か、追加費用の協議、代金への反映を残します。
受領日と検査完了日は別概念です。どちらも検索できる状態にします。
控除の根拠、残額、支払予定、相手方確認を支払記録と紐付けます。
発注、受領・検査、変更、支払の各段階で保存候補を分けて設計します。
5条書類管理で重要なのは、発注時の予定条件と、実際に起きた受領・検査・変更・支払の結果をつなげることです。契約書、注文書、請求書だけをフォルダに入れても、履行結果や変更経緯が追えなければ第7条記録として不十分になり得ます。
次の一覧は、取引段階ごとの保存候補を表しています。取引の進み方に沿って資料が増えるため、どの段階の記録が欠けると説明力が落ちるかを読み取ることが重要です。
基本取引契約書、個別契約書、発注書、注文請書、見積書、仕様書、図面、要件定義書、品質基準書、納期表、単価表、価格交渉記録、EDI発注ログ、承認履歴を保存します。
条件明示納品書、出荷通知、受領書、倉庫入庫記録、検査成績書、検収通知、不合格通知、返品・再納入記録、月次作業報告、受入テスト結果、クラウド納品ログを保存します。
履行実績仕様変更依頼書、変更合意書、追加発注書、チケット履歴、議事録、追加費用見積書、やり直し指示の理由書、不具合原因分析書、発注取消し通知を保存します。
紛争予防請求書、支払通知書、支払予定表、買掛金台帳、振込依頼データ、銀行明細、手数料負担合意、相殺通知、一括決済方式・電子記録債権の記録、有償支給原材料の決済明細、遅延利息計算書を保存します。
支払証跡次の比較表は、業種・取引類型ごとに取引の実体を示す資料を表しています。発注書や請求書だけでは現場の変更・検収・権利処理が見えにくいため、自社の取引に近い行を読み、保存対象に加える資料を確認してください。
| 業種・取引類型 | 特に保存すべき資料 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 製造委託 | 図面、仕様書、設計変更通知、量産承認記録、検査成績書、不良解析報告、有償支給材記録、金型・治具の保管記録 | 仕様変更、返品、再納入、代金調整の経緯を残します。 |
| IT・ソフトウェア開発 | 要件定義書、設計書、チケット、課題管理ログ、リポジトリ記録、受入テスト、検収通知、工数報告 | アジャイル開発や準委任でも、追加開発・無償修正・検収の境界を記録します。 |
| 広告・デザイン・コンテンツ制作 | 企画書、ラフ案、修正稿、最終稿、修正指示、著作権・利用許諾条件、検収通知 | 修正回数、二次利用、媒体変更、追加費用の合意を曖昧にしません。 |
| 物流・運送 | 運送委託書、配送指図、配送完了記録、受領印、運賃、附帯作業費、遅延・破損対応記録 | 特定運送委託の追加により、荷主側の対象性判定と記録整備が重要です。 |
| 継続的役務提供 | 月次業務報告、作業実績表、SLA達成状況、障害対応記録、追加作業依頼、月次請求・支払記録 | 各月の提供期間、実績、検収、請求、支払を追跡できるようにします。 |
起算点は発注日ではなく、必要事項の全部を記録した日として管理します。
旧下請法第5条書類・現行取適法第7条書類の保存期間は、基本的には2年間です。ただし、この2年間は第7条記録としての最低保存期間であり、同じ資料が税務・会計・会社法・内部統制・紛争対応の対象となる場合には、より長い期間を採用します。
次の比較表は、取引状況ごとの2年保存の起算点を表しています。起算点を発注日や納品日に固定すると後から発生する支払・変更・遅延利息の記録を落としやすいため、どの日が全事項の記録完了日に当たるかを読み取ることが重要です。
| 取引状況 | 最終的に記録すべき事項 | 2年保存の起算点として考える日 |
|---|---|---|
| 通常の製造委託で、納品・検査・支払が予定通り完了 | 受領日、検査結果、支払額、支払日、支払方法 | 支払実績等を含む全事項の記録完了日 |
| 代金額を算定方法で明示し、後日具体額が確定 | 算定方法、確定額、確定日、変更があれば理由 | 具体額等を記録した日 |
| 仕様変更があり、追加費用を協議 | 変更内容、理由、代金変更、支払実績 | 変更後代金・支払実績等を記録した日 |
| 支払遅延が発生し、遅延利息を支払った | 遅延利息額、支払日 | 遅延利息支払記録を作成した日 |
| 継続的な役務提供で月次締め | 各期間の役務提供内容、提供期間、請求・支払 | 月次単位など管理単位ごとの全事項記録完了日 |
次の比較表は、取適法・税務・会社法・実務推奨の保存期間を文書分類ごとに表しています。廃棄判断では最短期間ではなく、各分類で最も長く合理的な期間を採るべき点を読み取ってください。
| 文書分類 | 取適法・旧下請法 | 税務 | 会社法・会計 | 実務推奨 |
|---|---|---|---|---|
| 発注書・注文書・個別契約 | 2年 | 原則7年、一定の場合10年 | 重要資料なら10年検討 | 10年保存が安全 |
| 基本契約書 | 取引記録の一部なら2年 | 原則7年、一定の場合10年 | 重要資料なら10年検討 | 契約終了後10年またはそれ以上 |
| 仕様書・図面・要件定義 | 2年 | 取引書類なら7年等 | 重要資料なら10年検討 | 10年、知財・品質リスクがあれば長期 |
| 納品・検収・検査記録 | 2年 | 取引書類なら7年等 | 品質・会計上重要なら10年検討 | 7〜10年 |
| 変更・やり直し記録 | 2年 | 金額影響があれば7年等 | 重要資料なら10年検討 | 10年保存が安全 |
| 請求書・支払記録 | 2年 | 原則7年、一定の場合10年 | 会計資料として10年検討 | 10年保存が安全 |
| 遅延利息・減額・相殺資料 | 2年 | 税務影響があれば7年等 | 紛争・監査上重要 | 10年または法務判断で延長 |
次の時系列は、保存満了日を決めるための管理順序を表しています。保存期間が複数の法令・目的にまたがるため、どの順番で満了日を比較し、廃棄可否を確認するかを読み取ることが重要です。
受領、検査、変更、支払、遅延利息など後発事項を含めて全事項がそろった日を管理します。
記録完了日から2年を最低保存期間として設定します。
法人税法上の7年または10年、会社法・会計上の10年、契約終了後の保存期間を重ねて確認します。
紙か電子かよりも、調査時に必要な記録を提示できる保存状態が重要です。
5条書類・第7条記録は、紙で保存しなければならないわけではありません。電磁的記録で保存できます。ただし、訂正または削除を行った場合にその事実および内容を確認できること、必要に応じて画面表示・書面出力ができること、検索機能を有することが問題になります。
次の比較表は、電子保存で問題になりやすい点と対応策を表しています。電子化しただけでは検索不能・改ざん疑義・アクセス権喪失が起きるため、どの運用不備を防ぐべきかを読み取ることが重要です。
| 問題点 | リスク | 対応策 |
|---|---|---|
| メールボックスに散在している | 担当者退職後に検索不能になる | 契約管理・購買管理システムへ紐付け保存する |
| チャットで仕様変更している | 変更指示の証跡が消える | チャットログを案件ID単位で保存し、重要変更は文書化する |
| クラウド上の納品物だけを保存している | アクセス権喪失、削除、版管理不備 | 自社管理領域へバックアップし版番号を付ける |
| PDF化しただけで検索できない | 調査・監査時に提示不能 | 取引先名、委託日、案件ID、金額等で検索可能にする |
| 訂正削除履歴が残らない | 改ざん疑義が生じる | 承認履歴、ログ、権限管理、版管理を導入する |
| 電子取引データを紙だけで保存している | 電子帳簿保存法対応上の問題 | 電子取引は電子データ保存の要否を税務担当と確認する |
現行取適法では、第7条の規定に違反して、書類または電磁的記録を作成せず、保存せず、または虚偽の書類・電磁的記録を作成した場合、違反行為者に50万円以下の罰金が科され得ると整理されています。法人の業務に関して違反した場合には、法人にも刑が科される可能性があります。
次の注意点一覧は、5条書類の未整備が問題化する場面を表しています。記録がないと適法な取引経緯を説明できないため、どの場面で事業上の不利益につながるかを読み取ることが重要です。
公正取引委員会、中小企業庁長官、事業所管大臣による報告徴収・立入検査で、短期間に帳簿書類等を提示できないリスクがあります。
支払遅延、減額、無償やり直し、買いたたきの主張に対し、発注条件や変更合意を説明しにくくなります。
債務計上、費用計上、カットオフ、支払根拠の確認で、請求・検収・支払記録の不足が問題になります。
過去の取適法違反リスクが表明保証、補償、価格調整、クロージング条件に影響することがあります。
次の強調表示は、罰則リスクと実体違反リスクの関係を表しています。書類保存の不備は単体でも問題になり得ますが、支払遅延や減額などの疑いがある場面では、説明資料の不足としてさらに重く見られやすい点を読み取ってください。
第7条記録は、発注から支払までのプロセス統制そのものです。形式的な保存義務と考えず、購買、法務、経理、品質、情報システムが共同で証跡を管理する必要があります。
対象判定、記録更新、保存満了、廃棄停止までを一つの管理ルールにします。
5条書類・第7条記録は、取引完了後にまとめて作る帳票ではなく、事実が生じるたびに記録するのが基本です。発注、納品、検査、仕様変更、やり直し、代金変更、支払、遅延の各イベントで記録を更新する仕組みが必要です。
次の時系列は、社内で5条書類管理を実装する手順を表しています。部門ごとの属人的な保管では漏れが生じるため、どの順番で対象判定から廃棄統制までつなげるかを読み取ることが重要です。
取引内容、発注側と受注側の規模、委託目的、除外・特例、2026年1月1日前後の経過措置を確認します。
委託者・受託者の名称、委託日、給付内容、受領期日、受領場所、検査完了期日、代金額、支払期日、支払方法、有償支給条件を発注書テンプレートへ組み込みます。
発注、納品、検査、仕様変更、やり直し、代金変更、支払、遅延の各イベントで案件情報を更新します。
第7条記録の2年、税務の7年または10年、法務・内部統制上の保存期間を同時に計算します。
税務、会社法、契約上の保証期間、行政調査、取引先苦情、社内通報、訴訟、M&A、個人情報・営業秘密の処理を廃棄前に確認します。
次の比較表は、記録更新イベントと更新すべき項目を表しています。第7条記録は後追いで作ると正確性が落ちるため、どのイベントでどの情報を登録するかを読み取ってください。
| イベント | 更新すべき記録 |
|---|---|
| 発注 | 委託日、給付内容、受領期日、代金額、支払期日 |
| 納品・役務提供 | 実受領内容、受領日、提供期間 |
| 検査 | 検査完了日、結果、不合格品の取扱い |
| 仕様変更 | 変更内容、理由、費用影響、合意記録 |
| やり直し | やり直し内容、理由、責任原因、追加費用 |
| 代金変更 | 増減額、理由、合意記録 |
| 支払 | 支払額、支払日、支払方法、控除後残額 |
| 遅延 | 遅延利息額、支払日、計算根拠 |
規程には対象判定、記録作成、電子保存、保存期間、廃棄停止を明記します。
社内の文書管理規程、購買規程、取適法遵守規程では、5条書類・第7条記録を単なるファイル保存ではなく、発注から廃棄までの統制として位置付ける必要があります。
次の比較表は、社内規程に入れるべき項目と条項化すべき内容を表しています。規程に抽象的な保存義務だけを書くと運用に落ちにくいため、どの部門が何をいつ記録するかを読み取ってください。
| 規程項目 | 条項化すべき内容 |
|---|---|
| 対象取引判定 | 製造委託、修理委託、情報成果物作成委託、役務提供委託、特定運送委託に該当する取引を発注前に判定し、資本金基準・従業員数基準を確認する。 |
| 記録作成 | 取引先、委託日、給付内容、受領期日、受領日、検査、変更・やり直し、代金、支払期日、支払額、支払日、支払方法その他必要事項を、事実が生じた時点で速やかに記録する。 |
| 部門責任 | 発注部門は発注・変更記録、検収部門は受領・検査記録、経理部門は支払記録、法務・コンプライアンス部門は制度設計と例外承認を担当する。 |
| 電子保存 | 訂正・削除の履歴確認、表示・出力、検索、権限管理、バックアップを確保し、個人メールや個人端末に依存しない。 |
| 保存期間 | 取適法上の保存期間を最低2年とし、税務、会社法、会計、契約、品質保証、紛争対応等でより長い期間が必要な場合は最長期間を採用する。 |
| 廃棄停止 | 行政調査、税務調査、内部通報、紛争、訴訟、仲裁、M&A、監査等がある場合は、法務部門がリーガルホールドを発令できるようにする。 |
次の比較表は、実務点検で確認すべき項目を表しています。制度設計だけでなく、発注時・変更時・検収時・支払時の実際の記録がそろっているかを読み取ることが重要です。
| 区分 | 確認事項 |
|---|---|
| 対象性 | 取引類型、資本金基準、従業員数基準、当事者、経過措置を確認したか。 |
| 発注時 | 委託日、給付内容、数量、仕様、納期、受領場所、代金、支払期日を明示し、発注記録として保存したか。 |
| 変更時 | 仕様変更、追加作業、納期変更、単価改定、やり直し、返品、減額について、理由・相手方確認・金額影響を記録したか。 |
| 検収時 | 実際の受領日、検査日、検査結果、不合格品の扱い、検収通知を保存したか。 |
| 支払時 | 支払期日、支払額、支払日、支払方法、控除、手数料、一括決済方式、電子記録債権、遅延利息を記録したか。 |
| 電子保存 | 訂正削除履歴、検索、表示、出力、アクセス権限、バックアップを確保したか。 |
| 保存期間 | 第7条記録の2年、税務の7年または10年、会社法・会計の10年、契約・品質保証・紛争対応上の保存期間を比較したか。 |
| 廃棄 | 行政調査、税務調査、監査、内部通報、紛争、M&A等によるリーガルホールドがないことを確認したか。 |
一般的な制度説明として整理します。個別事情により結論は変わります。
一般的には、発注書は発注時点の条件を示す資料であり、実際の受領日、検査結果、変更・やり直し、支払実績、遅延利息等までは示さないことが多いとされています。ただし、取引形態や保存している補助資料によって結論が変わる可能性があります。具体的な管理方法は、契約書・発注書・検収記録・支払記録を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。
一般的には、対象となる委託取引をした場合、契約書の有無だけで記録義務の要否が決まるものではないとされています。ただし、発注方法、取引内容、当事者の規模、証跡の残り方によって判断が変わる可能性があります。具体的には、委託日、給付内容、代金、受領期日、支払期日等を資料化したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、必要事項が明確で、検索・表示・出力が可能で、訂正・削除履歴等を確認できる保存状態であれば、電子メールやチャットも記録の一部になり得るとされています。ただし、担当者個人の保管に依存する場合や案件との紐付けがない場合は、調査・監査対応上の評価が変わる可能性があります。具体的な保存設計は、情報システム、経理、法務を交えて確認する必要があります。
一般的には、2年は取適法・旧下請法上の最低保存期間とされています。同じ資料が税務書類、会計資料、契約上の重要資料、紛争・監査資料に当たる場合は、7年または10年、それ以上の保存が必要となる可能性があります。具体的な廃棄可否は、税務保存期間、会社法・会計上の期間、リーガルホールドの有無を確認したうえで判断する必要があります。
一般的には、法令上の作成保存義務は発注側に課される一方、受託側も防御資料として保存する実益があるとされています。ただし、保存すべき範囲や期間は取引内容、請求・入金状況、紛争可能性、税務・会計上の位置付けによって変わります。具体的には、発注書、仕様、変更指示、納品、検収、請求、入金、クレーム対応の記録を整理して専門家へ相談する必要があります。
一般的には、基本契約書は共通条件を示すにすぎず、個別の委託日、給付内容、数量、納期、代金、受領、検査、支払実績は個別取引ごとに記録する必要があるとされています。ただし、基本契約と個別発注の設計、システム記録の内容によって管理方法は変わります。具体的には、基本契約、発注データ、検収記録、支払データの対応関係を確認する必要があります。
一般的には、締日運用自体で直ちに問題となるわけではありませんが、個々の受領日から60日以内のできる限り短い期間で支払期日を定める必要があるとされています。ただし、取引類型、受領日、検査運用、契約上の締日・支払日によって判断が変わる可能性があります。具体的な支払サイトの設計は、取引実態を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。