2σ Guide

廃業コストと
手元資金の試算

会社を閉じる前に、法定手続、労務、税務、契約終了、資産換価、個人情報、破産リスクを統合して資金ギャップを確認します。

3万9,000円 解散・清算人選任登記の登録免許税の基礎
2か月以上 債権申出期間で見込む重要な期間
10〜30% 予備費検討で使うことが多い目安
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廃業コストと 手元資金の試算

会社を閉じる前に、法定手続、労務、税務、契約終了、資産換価、個人情報、破産リスクを統合して資金ギャップを確認します。

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廃業コストと 手元資金の試算
会社を閉じる前に、法定手続、労務、税務、契約終了、資産換価、個人情報、破産リスクを統合して資金ギャップを確認します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 廃業コストと 手元資金の試算
  • 会社を閉じる前に、法定手続、労務、税務、契約終了、資産換価、個人情報、破産リスクを統合して資金ギャップを確認します。

POINT 1

  • 廃業コストと手元資金の試算で最初に見る結論
  • 必要支出と実質手元資金の差を見て、通常清算か倒産手続かを早期に分けます。
  • 資金ギャップ = 廃業に必要な総支出 − 廃業時点で使える実質手元資金
  • 廃業に必要な総支出
  • 実質手元資金

POINT 2

  • 廃業コストと手元資金の試算に必要な用語整理
  • 廃業、休業、解散、清算、通常清算、特別清算、破産を区別します。
  • 後継者不在・赤字継続
  • 契約更新・拠点撤退
  • 金融機関・保証対応

POINT 3

  • 通常清算か倒産手続かを最初に分ける
  • 1. 実態貸借対照表と資金繰りを作ります:資産を時価、負債を漏れなく見直し、支払時期も確認します。
  • 2. 全債務を弁済できる見込みがありますか:税金、賃金、社会保険料、買掛金、借入金、賃料、リースを含めて見ます。
  • 3. 通常清算の計画を具体化します:解散、公告、個別催告、弁済、税務申告、清算結了へ進めます。
  • 4. 倒産手続・私的整理を検討します:破産、特別清算、金融機関調整、事業譲渡などを検討します。

POINT 4

  • 株式会社の通常清算で資金が発生する時期
  • 1. 清算人を選び登記準備を進めます:株式会社では解散と清算人選任の手続が必要になります。
  • 2. 2か月以上の債権申出期間を置きます:官報公告と知れている債権者への個別催告を行います。
  • 3. 債務を確定し弁済します:期間中の弁済制限や債権者保護を踏まえて進めます。
  • 4. 残余財産を確定し清算結了へ進みます:債務弁済後に株主分配、最終申告、清算結了登記を行います。

POINT 5

  • 廃業コストの全体像と主要費目
  • 労務費
  • 最終給与、未払残業代、退職金、解雇予告手当、社会保険料、労働保険料、紛争引当を確認します。
  • 賃貸借・原状回復
  • 解約予告期間、違約金、スケルトン返し、内装撤去、看板撤去、残置物処分、敷金相殺を確認します。

POINT 6

  • 実質手元資金の算定方法
  • 現預金を過大評価せず、回収確度、換価確度、拘束資金を反映します。
  • 実質手元資金 = 使える資金 − 拘束・回収不能・最低運転資金
  • 預り金・源泉税・社会保険本人負担分
  • 前受金・保証金・デポジット

POINT 7

  • 廃業コストと手元資金の計算テンプレート
  • 必要支出、実質手元資金、資金ギャップを表で管理します。
  • 総必要支出 − 実質手元資金 = 資金ギャップ
  • 試算表では、金額だけでなく支払予定日、確度、根拠資料、担当者を入れることが重要です。
  • どの費目が確定済みで、どの費目が見積段階かを読み取ります。

POINT 8

  • 小規模株式会社の架空例で資金ギャップを見る
  • 現預金があっても、借入・労務・税務・不動産費用で不足する例を確認します。
  • 原状回復見積を複数取得します
  • 在庫処分と売掛金回収を早めます
  • 金融機関と返済時期を調整します

まとめ

  • 廃業コストと 手元資金の試算
  • 廃業コストと手元資金の試算で最初に見る結論:必要支出と実質手元資金の差を見て、通常清算か倒産手続かを早期に分けます。
  • 廃業コストと手元資金の試算に必要な用語整理:廃業、休業、解散、清算、通常清算、特別清算、破産を区別します。
  • 通常清算か倒産手続かを最初に分ける:全債務を弁済できるかを先に判定し、偏った支払や資産流出を防ぎます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

廃業コストと手元資金の試算で最初に見る結論

必要支出と実質手元資金の差を見て、通常清算か倒産手続かを早期に分けます。

廃業は営業停止だけでは終わりません。株式会社では、解散、清算人選任、債権者保護、債務弁済、残余財産分配、税務申告、清算結了登記に加え、労務、契約、賃貸借、リース、税金、個人情報、廃棄物、許認可まで整理する必要があります。

次の強調表示は、廃業判断の中心となる式を示しています。読者にとって重要なのは、単なる費用見積ではなく、会社が通常清算で終えられるかを判断する診断式として読み取ることです。

資金ギャップ = 廃業に必要な総支出 − 廃業時点で使える実質手元資金

資金ギャップが大きい場合、通常清算ではなく、破産、特別清算、私的整理、金融機関調整、事業譲渡などを検討する必要があります。

次の比較一覧は、必要支出と実質手元資金を分解したものです。左側は支払う項目、右側は支払原資になる項目を表しており、控除や不確実性を入れて保守的に読むことが重要です。

Cost

廃業に必要な総支出

法定手続費、専門家費用、運転資金、労務費、税金、公租公課、賃貸借・リース、取引契約終了費、借入金・未払金、資産処分、紛争引当、予備費を足します。

Cash

実質手元資金

現金・預金、回収確度の高い売掛金、換価確度の高い資産売却代金、敷金返還見込みから、使途拘束資金や回収不能分を控除します。

Decision

通常清算か倒産手続かを分けます

全債務を弁済できる見込みがあるかを先に確認し、支払不能や債務超過の疑いがあれば、危機対応として再設計します。

注意このページは一般的な制度と試算方法の解説です。会社の財務状態、債権者数、従業員数、契約、担保、保証、税務状況、業種規制により結論は変わります。
Section 01

廃業コストと手元資金の試算に必要な用語整理

廃業、休業、解散、清算、通常清算、特別清算、破産を区別します。

実務では、店を閉める、法人を消す、事業をやめる、休眠する、破産するという言葉が混同されがちです。次の表は用語の違いを整理しており、どの状態を選ぶかで必要資金と法的効果が変わることを読み取れます。

用語意味試算上の重要性
廃業事業活動を終了する経営上の概念です。営業停止費、契約終了費、従業員対応費、清算費用を広く含めます。
休業法人格を残したまま事業活動を一時停止する状態です。税務申告、均等割、登記、口座、契約が残る場合があります。
解散会社が通常の事業活動を終了し、清算段階に入る会社法上の事由です。解散登記、清算人選任、債権者公告、清算事業年度が発生します。
清算財産換価、債権回収、債務弁済、残余財産分配を行う手続です。廃業コスト試算の中心になります。
通常清算債務を全額弁済できることを前提とする清算です。手元資金が十分であることが前提です。
特別清算債務超過の疑いなどがある清算株式会社に裁判所が関与する手続です。債権者調整と専門家関与が重要です。
破産支払不能または債務超過等の場合に財産を換価・配当する倒産手続です。通常清算ではなく申立費用、管財費用、予納金を見込みます。
実質手元資金現預金に回収確度の高い資金を加え、拘束資金を控除した実務上使える資金です。廃業判断で使うべき資金概念です。

次の一覧は、試算が必要になりやすい典型場面を整理しています。読者は、売上停止や後継者不在だけでなく、契約更新、金融機関対応、従業員退職、保証、担保が試算の引き金になることを読み取れます。

Trigger 01

後継者不在・赤字継続

計画的に会社を閉じたい場合や、借入を増やす前に撤退判断をしたい場合です。

Trigger 02

契約更新・拠点撤退

店舗、工場、倉庫、リース、フランチャイズの更新前に撤退費用を比較します。

Trigger 03

金融機関・保証対応

返済計画、廃業計画、代表者個人保証、担保不動産の影響を把握します。

Trigger 04

税金・労務・取引債務

税金、社会保険料、買掛金、賃料、リース債務の滞納がある場合は危機対応の資料になります。

Section 02

通常清算か倒産手続かを最初に分ける

全債務を弁済できるかを先に判定し、偏った支払や資産流出を防ぎます。

廃業コストと手元資金の試算で最初に行うのは、すべての債務を弁済できるかの判定です。次の判断の流れは、通常清算で進める場合と、倒産・危機対応へ切り替える場合を示しています。分岐は債務弁済可能性と支払不能の兆候を基準に読み取ります。

廃業ルートの初期判定

実態貸借対照表と資金繰りを作ります

資産を時価、負債を漏れなく見直し、支払時期も確認します。

全債務を弁済できる見込みがありますか

税金、賃金、社会保険料、買掛金、借入金、賃料、リースを含めて見ます。

弁済できる見込み
通常清算の計画を具体化します

解散、公告、個別催告、弁済、税務申告、清算結了へ進めます。

不足や滞納がある
倒産手続・私的整理を検討します

破産、特別清算、金融機関調整、事業譲渡などを検討します。

次の表は、通常清算を選びやすい条件と、倒産手続を検討すべき兆候を比較しています。左右を見比べることで、どの要素があると通常清算の前提が崩れやすいかを読み取れます。

通常清算を選びやすい条件倒産手続を検討すべき兆候
税金、社会保険料、賃金、買掛金、借入金、リース債務を全額支払える見込みがあります。給与、社会保険料、税金、賃料、リース料、公共料金の支払遅延があります。
賃貸借解約費、原状回復費、従業員退職関連費を準備できます。追加借入がなければ撤退費用を支払えません。
未収債権の回収見込みと資産換価が現実的です。売掛金の回収不能、相殺、差押え、訴訟リスクがあります。
主要債権者、金融機関、株主、役員との調整が可能です。特定債権者だけへ支払う予定や、代表者借入を先に返す予定があります。
警告支払不能や債務超過の疑いがある局面では、偏った弁済、関係者への廉価譲渡、会社財産の流出が後で問題になる可能性があります。
Section 03

株式会社の通常清算で資金が発生する時期

解散前から清算結了まで、手続と支出時期を対応させます。

通常清算では、費用の合計だけでなく支払時期が重要です。次の表は、手続の時期と資金影響を対応させています。いつ入金し、いつ支払うかを見誤ると、合計では足りていても途中で資金不足になります。

時期法務・実務イベント主な支出・資金影響
検討開始前決算書、試算表、契約一覧、債権債務一覧、従業員一覧を整備します。専門家相談費、会計資料作成費が発生します。
方針決定前取締役会・株主調整、金融機関相談、事業譲渡可能性を検討します。弁護士、税理士、会計士、調査費用が発生します。
解散決議前従業員説明、主要取引先対応、在庫処分、店舗退去計画を作ります。退職関連費、違約金、告知費、システム費が発生します。
解散後速やかに解散・清算人選任登記、官報公告、知れている債権者への個別催告を行います。登録免許税、司法書士費用、官報公告費、郵送費が発生します。
債権申出期間債権者届出、債権調査、債務確定、資産換価を行います。弁済準備金、弁護士費用、会計処理費が必要になります。
清算結了残余財産分配、最終申告、清算結了登記、帳簿保存を行います。税金、登録免許税、証明書、保管費用が発生します。

次の時系列は、清算手続で特に順序を誤りやすい点を示しています。債権者公告の期間、債務弁済、株主分配の順番に意味があるため、資金繰り表にもこの順序を反映します。

解散決議

清算人を選び登記準備を進めます

株式会社では解散と清算人選任の手続が必要になります。

公告・催告

2か月以上の債権申出期間を置きます

官報公告と知れている債権者への個別催告を行います。

弁済

債務を確定し弁済します

期間中の弁済制限や債権者保護を踏まえて進めます。

分配・結了

残余財産を確定し清算結了へ進みます

債務弁済後に株主分配、最終申告、清算結了登記を行います。

Section 04

廃業コストの全体像と主要費目

法定手続、専門家、労務、税務、不動産、契約終了、廃棄を漏れなく見ます。

廃業コストは、登記や公告だけではありません。次の表は10分類で費用を整理しています。読者は、どの分類に自社固有の高額費用が潜んでいるかを読み取れます。

大分類内容主担当
法定手続費登録免許税、官報公告、証明書、郵送費。司法書士、弁護士、商事法務担当。
専門家費用弁護士、司法書士、税理士、会計士、社労士、不動産、産廃、IT。経営者、法務、経理。
労務関連費最終給与、退職金、解雇予告手当、社会保険料、有休消化期間給与。社労士、労務担当、弁護士。
税金・公租公課法人税、消費税、地方税、源泉所得税、固定資産税、印紙税。税理士、経理。
賃貸借・不動産賃料、解約予告期間分、違約金、原状回復費、明渡費用。弁護士、不動産会社、管理部門。
リース・ローン車両、機械、複合機、IT機器、金融リース、担保付債務。法務、経理、金融機関。
取引契約終了仕入、外注、代理店、販売店、保守、SaaS、広告、フランチャイズ。契約法務、弁護士。
資産処分・廃棄在庫、産業廃棄物、機密書類、PC、サーバー、データ消去。総務、情報システム、環境法務。
顧客・製品・保証返品、返金、前受金、保守義務、瑕疵、製品保証、個人情報対応。法務、品質保証、顧客対応部門。
紛争・予備費訴訟、労働紛争、未払金争い、原状回復争い、税務調査、想定外費用。弁護士、会計士、監査担当。

次の表は、法定手続費の代表例を示しています。法定費用は比較的小さく見えますが、必ず発生する費用として資金繰り表に入れる必要があります。

項目金額・考え方
解散・清算人選任登記登録免許税3万9,000円を基礎に見込みます。
官報公告費行数に応じて数万円規模になるため、公告文案と掲載料金を確認します。
清算結了登記別途登録免許税、証明書、司法書士費用を見込みます。
債権者催告個別催告、郵送記録、届出対応の実費と事務負担を見込みます。

次の一覧は、労務・不動産・契約終了で見落としやすい費目を示しています。読者は、営業停止後にこそ支出が集中しやすいことを読み取れます。

労務費

最終給与、未払残業代、退職金、解雇予告手当、社会保険料、労働保険料、紛争引当を確認します。

賃貸借・原状回復

解約予告期間、違約金、スケルトン返し、内装撤去、看板撤去、残置物処分、敷金相殺を確認します。

リース・契約終了

残リース料、中途解約損害金、返還費用、SaaS年額契約、保守前受金、データ返還を確認します。

廃棄・個人情報

産業廃棄物、マニフェスト、機密文書廃棄、PC・サーバー消去、委託先削除証明を確認します。

Section 05

実質手元資金の算定方法

現預金を過大評価せず、回収確度、換価確度、拘束資金を反映します。

廃業判断では、帳簿上の現預金や在庫価額をそのまま使うと危険です。次の強調表示は、実質手元資金の基本式を表しています。足し算だけでなく、拘束資金や回収不能分を控除して読むことが重要です。

実質手元資金 = 使える資金 − 拘束・回収不能・最低運転資金

現金・預金に回収確度の高い売掛金や資産売却見込額を加え、源泉税、社会保険本人負担分、相殺・差押えリスク、最低運転資金を控除します。

次の表は、売掛金、資産売却代金、敷金返還などを回収確度でランク付けする方法です。A、B、Cの違いは会計上の評価ではなく、廃業時に支払原資として使える度合いを表しています。

ランク内容手元資金への反映
A回収額と回収時期がほぼ確定し、相殺・紛争リスクが小さい資金です。80〜100%を反映します。
B回収見込みはあるものの、時期や金額に不確実性があります。30〜70%を反映し、資金繰り上は入金を遅らせます。
C紛争、相殺、信用不安、回収不能、処分困難があります。原則として即時手元資金に含めません。

次の一覧は、口座に残っていても自由に使えるとは限らない資金を整理しています。読者は、現預金残高ではなく、支払に使える現預金を確認する必要があることを読み取れます。

Withheld

預り金・源泉税・社会保険本人負担分

会社の自由資金ではなく、納付や返還のために拘束される資金として扱います。

Customer

前受金・保証金・デポジット

顧客返金や保証金返還の対象になるため、廃業支出から控除して見ます。

Bank

担保・相殺・差押えリスク

金融機関の相殺、担保設定、仮差押え、口座凍結の可能性を確認します。

Runway

最低限の手続運転資金

廃業実行までの給与、家賃、専門家費用、公告・登記費を先に残します。

Section 06

廃業コストと手元資金の計算テンプレート

必要支出、実質手元資金、資金ギャップを表で管理します。

試算表では、金額だけでなく支払予定日、確度、根拠資料、担当者を入れることが重要です。次の表は必要支出の主な入力項目を示しています。どの費目が確定済みで、どの費目が見積段階かを読み取ります。

No.区分確度根拠資料担当
1解散・清算人選任登記A法務局案内、見積書司法書士
2官報公告A掲載料金表、公告文案法務
3最終給与・退職金・解雇予告手当A/B賃金台帳、退職金規程、解雇日程労務・弁護士
4法人税・消費税・地方税・源泉所得税B税理士試算、納付書税理士・経理
5賃料・原状回復・残置物処分B/C賃貸借契約、現地調査、見積総務
6リース残債・借入金・買掛金A/B契約書、残高証明、買掛台帳経理
7データ消去・廃棄・顧客返金・紛争引当B/CIT見積、契約、顧客台帳、弁護士評価法務・情シス
8予備費B総支出の10〜30%目安経営

次の表は、実質手元資金側の入力項目を示しています。額面ではなく、確度、控除、反映額を分けることで、支払原資を過大評価しないように読み取れます。

資金項目確度控除・リスク反映の考え方
現金・普通預金A相殺・差押えを確認します。自由に使える範囲だけ反映します。
売掛金A・BA/B相殺、遅延、値引、返品を確認します。回収確度別に反映率を変えます。
在庫・設備・車両売却代金B/C処分費、撤去費、ローン残を控除します。実際に換価できる金額を使います。
敷金・保証金B/C原状回復費、未払賃料、違約金と相殺されます。返還時期も遅らせて見ます。
使途拘束資金控除A預り金、源泉税、社会保険本人負担分を控除します。自由資金から除外します。

次の強調表示は、最終判定で使う式をまとめています。総必要支出、実質手元資金、資金ギャップを同じ時点で比較することが重要です。

総必要支出 − 実質手元資金 = 資金ギャップ

ギャップがマイナスで予備費後も余裕があれば通常清算可能性が高まり、ギャップが大きい場合は倒産手続や私的整理を検討します。

Section 07

小規模株式会社の架空例で資金ギャップを見る

現預金があっても、借入・労務・税務・不動産費用で不足する例を確認します。

次の表は、架空の小規模株式会社を使った理解用の例です。実際の相場ではありませんが、現預金がある会社でも、金融債務、労務費、税金、不動産費、専門家費用を合わせると不足し得ることを読み取れます。

前提内容
業種・人数卸売業、従業員8名。
拠点事務所と倉庫を賃借しています。
主な債務金融機関借入1,500万円、買掛金600万円。
主な資産現預金2,800万円、売掛金900万円、在庫処分見込250万円、敷金返還見込150万円。
その他代表者個人保証あり、税金・社会保険料滞納なし、訴訟なし。

次の表は、必要支出と実質手元資金を左右ではなく上下に分けて示しています。支出は総必要支出3,805万円、資金は反映額3,730万円となり、予備費込みでは75万円不足することを読み取れます。

分類主な内訳金額
総必要支出借入返済、買掛金、最終給与、社会保険、税金、賃料、原状回復、リース、登記公告、専門家費用、データ消去、予備費38,050,000円
実質手元資金現預金、売掛金A・B、在庫処分、敷金返還、使途拘束・預り金控除37,300,000円
資金ギャップ総必要支出から実質手元資金を差し引いた不足額750,000円

次の一覧は、この架空例で通常清算前に検討する対応を示しています。読者は、資金不足が小さく見える場合でも、売掛金回収や原状回復見積がずれると計画全体が崩れることを読み取れます。

Estimate

原状回復見積を複数取得します

初回見積だけで判断せず、撤去範囲、残置物、明渡時期を確認します。

Cash

在庫処分と売掛金回収を早めます

実現額を早期に確定し、回収遅延や値引リスクを織り込みます。

Bank

金融機関と返済時期を調整します

廃業計画を示し、返済順序、担保、保証、入金時期を協議します。

Buffer

追加リスクと予備費を再確認します

返品、クレーム、税務修正、専門家費用の範囲を見直します。

Section 08

資金不足・役員責任・失敗例を先に潰す

支払不能、偏った弁済、資料不足、個人情報放置、破産費用不足を避けます。

資金不足が見込まれる場合、試算表の目的は廃業できるかの確認から、どの手続を選ぶべきかの判断へ変わります。次の表は、債務超過時に追加して見る項目を整理しています。優先債務、偏った弁済、代表者保証、従業員保護を読み取ります。

項目確認内容
支払不能時期いつ給与、税金、仕入債務、借入返済が止まるかを確認します。
優先債務賃金、税金、社会保険料、担保債務、共益的費用を確認します。
偏った弁済・否認リスク特定債権者、役員、親族、関係会社への支払予定を確認します。
破産申立費用・管財費用弁護士費用、裁判所予納金、印紙、郵券、管財費用を見込みます。
代表者破産・保証個人保証、個人資産、住宅ローン、生活費への影響を確認します。
従業員保護未払賃金、退職手続、立替払制度、説明資料を確認します。

次の一覧は、廃業局面で役員責任や紛争につながりやすい行為を示しています。読者は、資金繰りが厳しいときほど支払順序、関係者取引、記録保全を慎重に扱う必要があることを読み取れます。

会社財産を関係者へ先に移す

役員、株主、親族、関係会社への弁済や資産譲渡は、支払不能時に問題化する可能性があります。

税金・賃金を後回しにする

従業員保護、役員責任、行政対応、社会的信用の面で重大なリスクになります。

新規受注や前受金を続ける

納品不能や返金不能が見込まれる場合、顧客損害賠償や説明責任が問題になります。

帳簿・契約書・データを捨てる

税務、訴訟、労務、個人情報、清算手続の説明ができなくなります。

次の一覧は、試算でよくある失敗例をまとめたものです。どれも資金不足や手続混乱につながるため、見積段階で保守的に確認することが重要です。

Failure 01

売掛金や敷金を満額で見ます

相殺、返品、値引、原状回復費、返還遅延を織り込まず、資金不足になります。

Failure 02

退職金・解雇予告手当・税金を後回しにします

労務費と税務費が清算末期に膨らみ、支払順序が崩れます。

Failure 03

リース残債と原状回復を楽観視します

残期間の損害金、返還費用、特殊設備の撤去費が後から出ます。

Failure 04

個人情報と破産費用を残しません

データ漏えいリスクが続き、通常清算できない場合の申立費用も不足します。

Section 09

廃業計画の作成手順・チェックリスト・FAQ

目的、法的ルート、実態貸借対照表、支払カレンダー、説明順序を設計します。

廃業計画は、目的と範囲を決め、法的ルートを仮決定し、実態貸借対照表と支払カレンダーを作る順番で進めます。次の時系列は、どの順に資料と判断を固めるかを表しています。

Step 01

廃業の目的と範囲を定義します

法人を消すのか、事業だけ撤退するのか、休業や事業譲渡の余地があるかを明確にします。

Step 02

法的ルートを仮決定します

通常清算、特別清算、破産、私的整理、事業譲渡、休業のいずれを検討するか決めます。

Step 03

実態貸借対照表を作ります

帳簿価額ではなく、廃業時価額で資産・負債を評価します。

Step 04

支払カレンダーと説明順序を作ります

金融機関、従業員、取引先、顧客、賃貸人、行政機関への説明時期を設計します。

次の表は、初期診断、清算実行、危険信号をまとめた確認項目です。読者は、通常清算へ進む前に、資金・労務・税務・契約・情報管理の抜けを見つけられます。

区分確認項目
初期診断直近試算表、現預金、1か月・3か月・6か月資金繰り、売掛金回収確度、在庫・設備処分価格、借入・リース残高、税金・社会保険料滞納、従業員ごとの退職費用を確認します。
清算実行株主総会・取締役会、清算人、登記、官報公告、債権者リスト、個別催告、異動届、社会保険・雇用保険、顧客通知、データ保存・削除、廃棄業者を確認します。
危険信号給与遅延、税金・社会保険料滞納、借入返済停止、主要債権者の法的手続示唆、代表者や親族への返済、破産費用不足、従業員説明の遅れを確認します。

よくある質問

廃業に最低いくら必要ですか。

一般的には、法定費用だけなら数万円から十数万円規模に見えることがあります。ただし、従業員、賃貸借、原状回復、リース、借入金、買掛金、税金、社会保険料、専門家費用、廃棄費によって大きく変わります。具体的には、会社別の試算を専門家と確認する必要があります。

手元資金が足りない場合でも通常清算できますか。

一般的には、すべての債務を弁済できない見込みがある場合、通常清算ではなく、破産、特別清算、私的整理、金融機関調整、事業譲渡などを検討する必要があります。個別の支払順序は、債務状況や時期によって結論が変わるため、弁護士等へ相談する必要があります。

借入金が残っていても廃業できますか。

一般的には、借入金を全額返済できる場合や、金融機関と返済・担保・保証の処理について合意できる場合には、通常清算の余地があります。返済できない場合や代表者個人保証がある場合は、倒産手続や私的整理を含めて専門家へ相談する必要があります。

休業と廃業はどちらが安いですか。

一般的には、短期的には休業のほうが安く見える場合があります。ただし、法人を残す限り、税務申告、均等割、登記、口座、契約、許認可、会計、役員管理等が残る可能性があります。将来再開の見込みや維持コストを整理して判断する必要があります。

顧客データはすべて削除すればよいですか。

一般的には、不要な個人データは復元不可能な方法で削除し、削除記録や委託先証明を保存することが重要とされています。ただし、税務、会計、契約、保守、紛争対応のために保存すべきデータもあるため、保存義務と削除対象を専門家と確認する必要があります。

Reference

参考資料

制度理解に役立つ公的資料と中立的な実務資料を整理しています。

会社清算・登記

  • 東京地方裁判所「株式会社の清算の開始」
  • 東京地方裁判所「債権者に対する公告等と債務の弁済」
  • 法務局「商業・法人登記関係のよくあるご質問」
  • 全国官報販売協同組合「官報公告掲載料金」
  • 全国官報販売協同組合「官報公告 よくある質問」

税務・労務・倒産手続

  • 国税庁「法人に係る消費税の確定申告書の提出期限について」
  • 国税庁「異動事項に関する届出」
  • 国税庁「解散法人の残余財産がないと見込まれる場合の判定」
  • 東京都主税局「法人事業税・法人都民税」
  • 厚生労働省「労働契約の終了に関するルール」
  • 日本年金機構「適用事業所が廃止等により適用事業所に該当しなくなったときの手続き」
  • ハローワークインターネットサービス「雇用保険適用事業所廃止届」
  • 厚生労働省「再就職援助計画と大量離職届・大量離職通知書」
  • 厚生労働省「未払賃金の立替払制度に関するQ&A」
  • 裁判所「破産」
  • 東京地方裁判所「破産事件の手続費用一覧」

廃棄物・個人情報・金融支援

  • 環境省「排出事業者責任の徹底について」
  • 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン 通則編」
  • 茨城県信用保証協会「自主廃業支援保証」