2σ Guide

事業譲渡と株式譲渡の
メリット比較

企業法務・税務・会計・労務・許認可・契約条項から、どちらの手法が実務上適しているかを整理します。

20年競業禁止の原則期間
200億/50億株式取得届出の売上高目安
30日事業等譲受けの禁止期間
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事業譲渡と株式譲渡の メリット比較

企業法務 ・税務・会計・労務・許認可・契約条項から、どちらの手法が実務上適しているかを整理します。

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事業譲渡と株式譲渡の メリット比較
企業法務 ・税務・会計・労務・許認可・契約条項から、どちらの手法が実務上適しているかを整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 事業譲渡と株式譲渡の メリット比較
  • 企業法務 ・税務・会計・労務・許認可・契約条項から、どちらの手法が実務上適しているかを整理します。

POINT 1

  • 事業譲渡と株式譲渡のメリット比較 ― 全体像
  • まず、リスク遮断と事業継続性のどちらを重視するかを整理します。
  • リスク遮断なら事業譲渡、連続性なら株式譲渡が有力です
  • 法令、税制、行政実務、ガイドラインは変更されることがあるため、実行前には最新情報の確認と専門家への相談が必要です。
  • 株式譲渡は、対象会社の株主が保有株式を買い手に譲渡し、買い手が対象会社の株主となる取引です。

POINT 2

  • 事業譲渡と株式譲渡の定義と法的構造
  • 何が移転し、誰が売り手になり、権利義務がどこに残るかを確認します。
  • 事業譲渡とは
  • 株式譲渡とは
  • 事業譲渡

POINT 3

  • 事業譲渡のメリット ― 選別取得とリスク管理
  • 必要な事業だけを取得し、不要な債務や資産を外す設計を見ます。
  • 必要な資産・契約だけを選べる
  • 簿外債務・偶発債務の遮断に向く
  • 事業の一部切り出しに適する

POINT 4

  • 事業譲渡のデメリット ― 個別手続・同意・許認可の負担
  • 1. 譲渡対象と除外対象の棚卸し:資産、負債、契約、従業員、知財、データ、許認可を一覧化し、承継するものとしないものを分けます。
  • 2. 同意・承認・届出の確認:取引先、債権者、従業員、株主総会、許認可官庁、金融機関、不動産・知財登録の要否を確認します。
  • 3. 契約条件と前提条件の設計:クロージング条件、価格調整、表明保証、補償、競業避止、移行サービス、解除事由を契約に反映します。
  • 4. 移転・通知・事業開始:資産引渡し、契約切替、従業員入社、顧客通知、システム移行、在庫棚卸、請求・回収の切替を行います。

POINT 5

  • 株式譲渡のメリット比較 ― 連続性と過去リスク
  • 簿外債務・偶発債務
  • 不要資産・不要契約

POINT 6

  • 買い手・売り手から見た事業譲渡と株式譲渡の比較
  • 買い手のリスク評価、売り手の出口戦略、金融機関対応を整理します。
  • 買い手から見た比較は、対象会社を丸ごと取得したいのか、特定事業だけをリスク限定で取得したいのかに集約されます。
  • 売り手から見た比較は、株主個人の出口にするのか、売り手会社の事業再編にするのかで変わります。
  • 誰に対価が入り、誰がリスクを負い、金融機関や 経営者保証をどう扱うかを読み取るために重要です。

POINT 7

  • 税務・会計・労務・知財から見るメリット比較
  • 消費税、印紙税、のれん、雇用、知財、個人情報の違いを確認します。
  • 税務・会計・労務・知財・個人情報の違いは、表面上の手続コストだけでなく、取引後の統合費用にも影響します。
  • 株式譲渡は連続性を得やすい一方、会社内に残るリスクを精査する必要があります。
  • 事業譲渡は選別しやすい一方、移転ごとの処理が増えます。

POINT 8

  • 独占禁止法・許認可・個人情報で変わる事業譲渡と株式譲渡
  • 規制対応は、手法選択だけでなく日程と前提条件にも影響します。
  • 大規模な M&Aでは、事業譲渡でも株式譲渡でも 独占禁止法 上の企業結合規制が問題となります。
  • 小規模案件では届出不要のことも多いものの、競合関係や市場シェアがある場合は早期確認が必要です。
  • 数値基準と30日の期間を手続スケジュールに反映し、クロージング日を逆算することが重要です。

まとめ

  • 事業譲渡と株式譲渡の メリット比較
  • 事業譲渡と株式譲渡のメリット比較 ― 全体像:まず、リスク遮断と事業継続性のどちらを重視するかを整理します。
  • 事業譲渡と株式譲渡の定義と法的構造:何が移転し、誰が売り手になり、権利義務がどこに残るかを確認します。
  • 事業譲渡のメリット ― 選別取得とリスク管理:必要な事業だけを取得し、不要な債務や資産を外す設計を見ます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

事業譲渡と株式譲渡のメリット比較 ― 全体像

まず、リスク遮断と事業継続性のどちらを重視するかを整理します。

このページは、2026年5月16日時点の公開情報を前提に、事業譲渡と株式譲渡のメリット比較を企業法務・税務・会計・労務の観点から整理するものです。法令、税制、行政実務、ガイドラインは変更されることがあるため、実行前には最新情報の確認と専門家への相談が必要です。

事業譲渡は、会社が営む事業の全部または一部を構成する資産、負債、契約、知的財産、ノウハウ、顧客基盤、従業員関係などを個別に選別して移転する取引です。株式譲渡は、対象会社の株主が保有株式を買い手に譲渡し、買い手が対象会社の株主となる取引です。

次の重要ポイントは、両手法の結論を一言で見たものです。判断の出発点として重要なのは、リスクを切り分けたいのか、会社の連続性を維持したいのかを読み分けることです。

リスク遮断なら事業譲渡、連続性なら株式譲渡が有力です

ただし、許認可、労務、税務、契約上の支配権変更条項、独占禁止法、個人情報、金融機関借入、経営者保証、株主構成によって結論は変わります。

次の比較表は、目的や状況ごとに有力となりやすい手法を整理したものです。左列の目的と自社の優先順位を照合し、右列の理由から検討すべき実務論点を読み取ることが重要です。

目的・状況有力な手法理由
買い手が不要な負債・偶発債務を避けたい事業譲渡譲渡対象を選別でき、債務・紛争・不要資産を除外しやすい
許認可、契約、雇用を途切れさせたくない株式譲渡対象会社が同じ法人として存続するため、原則として継続しやすい
売り手オーナーが株式を売って引退したい株式譲渡売却対価が株主に直接入る
会社の一部門だけを売りたい事業譲渡事業単位で切り出しやすい
対象会社の株主が分散・所在不明で株式集約が困難事業譲渡または他の再編全株式取得が難しい場合でも事業移転で対応できることがある
買い手がブランド・人材・顧客・許認可を一体で取得したい株式譲渡会社全体の継続性を保ちやすい
対象会社に重大な法務・税務・労務リスクがある事業譲渡取得対象を限定し、リスク遮断を設計しやすい
従業員の大量転籍同意取得が難しい株式譲渡雇用主が変わらないため同意取得負担が小さい
税務上、個人株主が譲渡益課税で出口を作りたい株式譲渡個人株主の株式譲渡益は申告分離課税の対象となる
買い手が対象事業の一部だけを短期で取得したい事業譲渡選別取得は可能だが、個別同意・許認可・移行作業の時間を見込む必要がある
Section 01

事業譲渡と株式譲渡の定義と法的構造

何が移転し、誰が売り手になり、権利義務がどこに残るかを確認します。

事業譲渡とは

事業譲渡とは、会社または事業者が営む事業の全部または一部を、他の会社・事業者に譲渡する取引です。土地、建物、機械設備、在庫、売掛金、知的財産権、営業権、ノウハウ、顧客リスト、取引契約、労働契約、許認可などが検討対象になります。

合併や会社分割のような包括承継型の組織再編とは異なり、事業譲渡は基本的に個別承継の性格を持ちます。譲渡対象とする資産・負債・契約・従業員・許認可を特定し、それぞれの移転要件を満たす必要があります。

株式譲渡とは

株式譲渡とは、対象会社の株主が保有する株式を買い手に譲渡する取引です。買い手は対象会社の株主となり、一定割合以上の株式を取得することで対象会社の支配権を得ます。対象会社自体は同じ法人として存続するため、資産・負債・契約・雇用契約・許認可等は原則として対象会社内に残ります。

非上場の中小企業では、定款で株式譲渡制限が設けられていることが多く、会社法上の譲渡承認手続、承認機関、株主名簿書換、株券発行会社であれば株券交付の有無を確認する必要があります。

次の一覧は、2つの取引構造の違いを並べたものです。どの主体が売り手になるか、何が移るか、権利義務がどこに残るかを先に押さえると、後の税務・労務・許認可の違いが理解しやすくなります。

Asset Deal

事業譲渡

事業や資産を選別して移します。買い手は不要資産や一定の過去リスクを除外しやすい一方、個別同意や許認可確認の負担が重くなります。

Share Deal

株式譲渡

株主が株式を売却し、会社の支配権が移ります。会社そのものは存続するため、契約・雇用・許認可の連続性を保ちやすい反面、過去リスクも会社内に残ります。

Core Question

比較の本質

会社全体を取得するのか、特定事業だけを取得するのか。引き受けたい価値と避けたいリスクの境界線をどこに置くかが出発点です。

次の比較表は、取引対象、売り手、権利義務、手続の違いを横並びにしたものです。特に、契約・従業員・許認可・簿外債務の行を確認すると、後続の実務負担が見えてきます。

比較軸事業譲渡株式譲渡
取引対象事業・資産・負債・契約等株式
売り手通常は対象事業を持つ会社株主
買い手が取得するもの選別された事業・財産対象会社の支配権
権利義務の移転原則として個別移転対象会社内にそのまま存続
簿外債務リスク遮断しやすい対象会社に残るため引き受けやすい
契約移転個別同意が必要になりやすい原則存続。ただし支配権変更条項に注意
従業員転籍・承継に本人同意が必要雇用主が同じなら原則継続
許認可再取得・変更・届出が必要になりやすい原則存続しやすいが、業法ごとに確認
税務資産譲渡課税・消費税等が問題株式譲渡所得・法人税等が中心
手続の簡便性相対的に煩雑相対的に簡便
事業の一部売却適している原則として会社全体の支配移転
Section 02

事業譲渡のメリット ― 選別取得とリスク管理

必要な事業だけを取得し、不要な債務や資産を外す設計を見ます。

事業譲渡のメリットは、必要な事業だけを取得し、不要な資産・契約・過去リスクを除外する設計がしやすい点にあります。買い手がリスク管理を重視する案件、売り手が一部事業を切り出したい案件で特に重要です。

次の一覧は、事業譲渡の代表的なメリットを整理したものです。各項目は、取得対象をどこまで絞るか、どの契約で明確化するかを検討する際の確認軸になります。

Select

必要な資産・契約だけを選べる

収益性のある店舗、顧客契約、製造設備、知的財産、在庫、従業員、ノウハウ等だけを取得し、不要な不動産、滞留在庫、係争中契約、過大な借入、保証債務などを除外する設計が可能です。

Risk Control

簿外債務・偶発債務の遮断に向く

未払残業代、税務否認、環境汚染、品質不正、知財侵害などが見つかった場合、取得対象を限定することでリスクを管理しやすくなります。

Carve Out

事業の一部切り出しに適する

特定の事業部門、店舗、工場、商品ライン、知財ポートフォリオ、顧客契約群だけを切り出す場面に向いています。

Shareholders

株主集約の問題を回避しやすい

全株主から株式を買い集める必要はありません。ただし、事業全部または重要な一部の譲渡では株主総会特別決議や反対株主対応が問題になります。

Seller Strategy

撤退・集中戦略に使いやすい

成長事業に投資するためのノンコア事業売却、赤字店舗の切離し、一部事業だけの第三者承継、グループ内再配置に使えます。

Contract Design

契約条件を細かく設計できる

譲渡対象、除外資産、承継債務、従業員、移行サービス、競業避止、知財ライセンス、顧客通知、表明保証、補償、価格調整を細かく定められます。

注意リスク遮断は自動的に実現するものではありません。譲渡対象資産、承継債務、承継契約、従業員、知的財産、許認可、データ、保証、補償を契約書で明確に定める必要があります。

法務、税務、会計、労務、許認可、知財、個人情報、IT・セキュリティの担当者は、譲渡対象の一覧化と移転手続のタスク管理を共同で進める必要があります。自由度が高いほど、契約漏れやクロージング未了のリスクも高まります。

Section 03

事業譲渡のデメリット ― 個別手続・同意・許認可の負担

選別できる反面、移転手続とコストが増える点を整理します。

事業譲渡は選別取得に強い一方で、個別移転の積み上げが必要です。契約、従業員、許認可、不動産、知財、税務のどこかで手続が止まると、クロージングや事業開始が遅れる可能性があります。

次の一覧は、事業譲渡で特に重くなりやすい実務負担をまとめたものです。各項目は、契約締結前に前提条件として入れるか、クロージング後の対応に回せるかを判定するために重要です。

個別移転手続

主要取引先の契約承継同意、金融機関の債務引受承諾、従業員の転籍同意、不動産移転登記、知財の移転登録、顧客通知、システム移行が必要になりやすいです。

従業員同意

労働契約を譲受会社に移す場合、原則として従業員本人の承諾が必要です。2026年5月25日から適用される事業譲渡等指針の改正も確認対象になります。

許認可

建設、運送、医療、介護、薬局、旅館、飲食、廃棄物処理、金融、保険、宅建、古物、人材派遣、電気通信などでは再取得・届出・認可・施設基準確認が問題になります。

税務・登記コスト

消費税、法人税、不動産取得税、登録免許税、印紙税、固定資産税精算、棚卸資産評価、営業権・のれん・資産調整勘定の処理を整理する必要があります。

競業避止義務

会社法21条により、別段の意思表示がない限り一定区域内で20年間同一事業を行えないとされ、同一事業を行わない旨の特約は30年の範囲で効力を持ちます。

次の時系列は、事業譲渡を進めるときの作業順序を示しています。前半で対象を固め、中央で同意・許認可を詰め、後半で移転と通知を行う流れとして読むと、遅延しやすい箇所を発見しやすくなります。

Step 1

譲渡対象と除外対象の棚卸し

資産、負債、契約、従業員、知財、データ、許認可を一覧化し、承継するものとしないものを分けます。

Step 2

同意・承認・届出の確認

取引先、債権者、従業員、株主総会、許認可官庁、金融機関、不動産・知財登録の要否を確認します。

Step 3

契約条件と前提条件の設計

クロージング条件、価格調整、表明保証、補償、競業避止、移行サービス、解除事由を契約に反映します。

Step 4

移転・通知・事業開始

資産引渡し、契約切替、従業員入社、顧客通知、システム移行、在庫棚卸、請求・回収の切替を行います。

Section 04

株式譲渡のメリット比較 ― 連続性と過去リスク

会社を丸ごと引き継ぐ利点と、その裏側に残る負担を確認します。

株式譲渡の最大のメリットは、対象会社の法人格がそのまま残ることです。買い手は株式を取得することで会社を支配し、資産・契約・従業員・許認可・ブランド・顧客基盤を原則として会社内に残したまま引き継げます。

次の一覧は、株式譲渡のメリットを事業継続性の観点から整理したものです。契約主体や雇用主が変わらないことが、どの実務コストを下げるのかを読み取ることが重要です。

Continuity

事業の連続性を保ちやすい

雇用主、契約主体、許認可主体、銀行借入の債務者、賃貸借契約の賃借人、顧客契約の当事者が原則として変わりません。

Owner Exit

売り手オーナーに対価が直接入る

株式を売却するのは株主であり、中小企業M&Aではオーナー個人の引退・事業承継・資産形成の出口として分かりやすい手法です。

Lower Switching Cost

切替コストを抑えやすい

取引先が多数、従業員が多い、許認可が多い、不動産賃貸借やリース契約が複雑な会社では、個別移転を避けられる点が大きな利点になります。

Tax Simplicity

税務・印紙税・消費税で簡素な場合がある

株式は有価証券であり、有価証券等の譲渡は消費税の非課税取引として整理されます。株式譲渡契約書も一般には印紙税の課税文書に該当しにくいとされます。

次の一覧は、株式譲渡で残りやすいリスクをまとめたものです。会社を丸ごと取得する便利さと、過去リスクを会社ごと引き受ける負担が表裏一体である点を確認してください。

簿外債務・偶発債務

未払残業代、税務否認、損害賠償請求、製品保証、環境汚染、データ漏えい、知財侵害、粉飾決算、保証債務、訴訟リスクは対象会社内に残ります。

不要資産・不要契約

遊休不動産、関連会社株式、貸付金、過剰在庫、不採算店舗、不要契約、過剰人員も会社内に残るため、事前整理やPMIの費用を見込む必要があります。

株主全員からの取得

100%取得を目指す場合、相続で多数化した株主、名義株、所在不明株主、反対株主への対応が問題になります。

譲渡制限株式

非公開会社では会社の譲渡承認が必要になることが多く、承認機関、承認請求、みなし承認、株主名簿書換を確認する必要があります。

支配権変更条項

契約当事者は変わらなくても、主要契約に支配権変更条項があると、事前承諾、通知、解除権、期限の利益喪失、ライセンス停止が問題になります。

Section 05

買い手・売り手から見た事業譲渡と株式譲渡の比較

買い手のリスク評価、売り手の出口戦略、金融機関対応を整理します。

買い手から見た比較は、対象会社を丸ごと取得したいのか、特定事業だけをリスク限定で取得したいのかに集約されます。売り手から見た比較は、株主個人の出口にするのか、売り手会社の事業再編にするのかで変わります。

次の一覧は、買い手と売り手の主な評価軸を並べたものです。誰に対価が入り、誰がリスクを負い、金融機関や経営者保証をどう扱うかを読み取るために重要です。

1

買い手の事業譲渡向き要素

簿外債務の疑い、一部事業だけの取得、不要資産の除外、株主構成の問題、買い手既存法人への取り込み、過去の税務・労務・環境・知財リスクがある場合に検討します。

リスク限定
2

買い手の株式譲渡向き要素

許認可・契約・雇用を維持したい、主要顧客との契約切替が困難、従業員の転籍同意取得が現実的でない、会社ブランドや金融機関取引を維持したい場合に検討します。

連続性
3

売り手株主の出口

オーナー経営者が株式を保有している中小企業では、株式譲渡により売却対価が会社ではなく株主に入り、引退・相続対策・資産形成の出口を作りやすくなります。

株主対価
4

売り手会社の再編

複数事業を持つ会社では、事業譲渡によりノンコア事業の売却、赤字部門の切離し、後継者不在事業の第三者承継、グループ内再配置を行えます。

会社対価
5

経営者保証・金融機関対応

株式譲渡では対象会社の借入契約が残るため金融機関との事前協議が重要です。事業譲渡では借入債務を承継するか、残すか、返済するか、担保を解除するかを個別に設計します。

金融機関

次の表は、買い手がどちらの手法でも省略してはならない調査領域を整理したものです。各領域の確認事項を見て、事業譲渡で除外できるリスクと、株式譲渡で会社内に残るリスクを分けて評価します。

領域主な確認事項
法務DD株主、定款、株主名簿、契約、訴訟、許認可、反社、規制違反
財務DD売上、利益、運転資本、借入、資産評価、簿外債務、資金繰り
税務DD過年度申告、税務調査、組織再編税制、消費税、源泉税、地方税
労務DD未払残業代、労働時間、ハラスメント、社会保険、就業規則、退職金
知財DD商標、特許、著作権、ライセンス、共同開発、職務発明
IT・データDDシステム、セキュリティ、個人情報、データ移転、委託先管理
環境DD土壌汚染、廃棄物、化学物質、排出規制、環境事故
不動産DD所有権、賃貸借、担保、境界、用途制限、原状回復
独禁法DD企業結合届出、競争制限、市場シェア、取引制限
Section 06

税務・会計・労務・知財から見るメリット比較

消費税、印紙税、のれん、雇用、知財、個人情報の違いを確認します。

税務・会計・労務・知財・個人情報の違いは、表面上の手続コストだけでなく、取引後の統合費用にも影響します。株式譲渡は連続性を得やすい一方、会社内に残るリスクを精査する必要があります。事業譲渡は選別しやすい一方、移転ごとの処理が増えます。

次の表は、税務・会計の主な違いを整理したものです。消費税、印紙税、のれんの行を見ると、事業譲渡では資産ごとの内訳が、株式譲渡では株主側の課税と連結処理が重要であることが分かります。

論点事業譲渡株式譲渡
消費税課税資産、非課税資産、不課税資産に区分する必要があります。営業権、棚卸資産、機械設備などは課税対象となり得ます。有価証券等の譲渡として非課税取引に該当するのが原則です。ただし専門家報酬などには消費税がかかることがあります。
法人税・所得税売り手が法人であれば譲渡益が法人税等の対象です。オーナー個人が資金を得るには、配当、退職金、清算、自己株式取得などの検討が必要です。法人株主なら法人税等、個人株主なら株式等の譲渡所得等として申告分離課税が中心になります。
印紙税事業譲渡契約書、債権譲渡契約書、債務引受契約書、不動産売買契約書、受取書などで印紙税が問題になります。株式譲渡契約書は一般には課税文書に該当しにくいとされますが、代金受領の記載がある場合は受取書として検討が必要です。
会計・のれん譲渡対象資産・負債を個別に受け入れ、対価との差額が営業権・のれん・資産調整勘定等として処理されることがあります。個別財務諸表上は株式取得、連結上は取得原価配分、のれん、非支配株主持分などが問題になります。

次の一覧は、労務・知財・個人情報を中心に、実務で確認すべき項目をまとめたものです。人材、ライセンス、顧客データが事業価値の中心にある場合、どの権利やデータがどの主体に残るかを読み取る必要があります。

株式譲渡の雇用継続

従業員の雇用主である対象会社は変わらないため、労働契約は原則として継続します。買収後の賃金制度、退職金制度、評価制度、就業規則変更は別途検討が必要です。

雇用主維持

事業譲渡の転籍同意

従業員を譲受会社に移す場合、原則として本人の同意が必要です。承継予定者、退職・入社方式、勤続年数、有給休暇、退職金、社会保険、転籍拒否者の扱いを整理します。

同意取得

未払残業代リスク

株式譲渡では対象会社に残ります。事業譲渡では除外できることが多いものの、転籍条件や実質承継の評価によって紛争化する可能性があります。

労務DD

知的財産権

株式譲渡では特許、商標著作権、ライセンス契約、職務発明規程は対象会社内に残ります。事業譲渡では権利移転、登録、再許諾、共同開発先の承諾を確認します。

知財

個人情報・顧客データ

事業承継に伴う個人データ提供は第三者提供に該当しない場合として整理されますが、利用目的、デューデリジェンス段階の安全管理、委託先、クラウド、海外移転の確認が必要です。

データ
Section 07

独占禁止法・許認可・個人情報で変わる事業譲渡と株式譲渡

規制対応は、手法選択だけでなく日程と前提条件にも影響します。

大規模なM&Aでは、事業譲渡でも株式譲渡でも独占禁止法上の企業結合規制が問題となります。小規模案件では届出不要のことも多いものの、競合関係や市場シェアがある場合は早期確認が必要です。

次の表は、独占禁止法上の届出・待機期間・審査観点を整理したものです。数値基準と30日の期間を手続スケジュールに反映し、クロージング日を逆算することが重要です。

項目確認ポイント
株式取得の届出取得会社側の国内売上高合計額が200億円を超え、株式発行会社側が50億円を超え、取得後の議決権保有割合が新たに20%または50%を超える場合に事前届出が問題になります。
事業等の譲受け届出制度があり、届出受理日から30日を経過するまでは事業等の譲受けをしてはならないとされ、一定の場合には期間短縮が可能です。
審査の見方事業等の譲受けでは、譲渡対象部分が譲受会社に新たに加わる点に着目して審査されます。株式譲渡では株式保有による結合関係が問題になります。
早期確認が必要な場面業界シェアが高い、地域独占性がある、競合会社を買収する、海外企業が関与する、デジタルプラットフォーム・データ・医薬・エネルギー・金融など規制感度が高い分野です。
実務ポイント許認可、個人情報、独禁法、金融機関承諾は、契約締結後に気づくと日程が動きにくい論点です。基本合意段階から、届出要否、承認要否、待機期間、必要資料を並行して確認します。
Section 08

契約書条項で比較する事業譲渡と株式譲渡

譲渡対象、表明保証、補償、前提条件を条項ごとに整理します。

契約書では、事業譲渡と株式譲渡で守るべき対象が異なります。事業譲渡では移転対象と除外対象、株式譲渡では株式・会社リスク・補償原資を明確にすることが中心です。

次の表は、事業譲渡契約で比較すべき主要条項を整理したものです。譲渡対象と除外対象、承継債務と除外債務を分けることで、リスク遮断の設計漏れを見つけやすくなります。

条項実務上の意味
譲渡対象事業の定義何を売るのかを特定する
譲渡対象資産不動産、動産、在庫、売掛金、知財、データ等を列挙する
除外資産買い手が取得しない資産を明確にする
承継債務買い手が引き受ける債務を限定する
除外債務売り手に残す債務を明確にする
承継契約取引先契約、賃貸借、リース、保守契約等を特定する
従業員転籍対象者、労働条件、同意取得、退職金を定める
許認可取得・届出・承継の責任分担を定める
価格・調整棚卸、運転資本、売掛金、在庫、純資産で調整する
表明保証法務・税務・労務・知財・個人情報等の真実性を保証する
補償表明保証違反・除外債務・税務リスク等の補償を定める
競業避止売り手の競業範囲・期間・地域を定める
移行サービスIT、人事、経理、物流、顧客対応等のTSAを定める
クロージング条件同意取得、許認可、決議、融資、従業員同意等を条件化する

次の表は、株式譲渡契約で重要となる条項を整理したものです。会社を丸ごと取得するため、表明保証、補償、価格調整、支配権変更条項、経営者保証をどこまで契約で手当てするかが読みどころです。

条項実務上の意味
譲渡株式株式数、種類、議決権、担保権の有無を特定する
譲渡価格固定価格、純資産調整、運転資本調整、アーンアウトを定める
クロージング株券交付、株主名簿書換、代金支払、役員変更を定める
譲渡承認譲渡制限株式の承認決議を前提条件にする
表明保証株主、財務、税務、労務、契約、許認可、知財、訴訟等を保証する
補償表明保証違反・特定リスク・税務リスクの補償を定める
誓約事項クロージング前の通常業務運営、配当禁止、資産処分禁止等を定める
重要契約承諾支配権変更条項への対応を定める
経営者保証解除・移行・金融機関協議を定める
役員・従業員退任、引継ぎ、顧問契約、競業避止を定める
エスクロー補償原資を一定期間留保する
解除前提条件未充足、重大な表明保証違反等を定める
Section 09

事業譲渡と株式譲渡の選択手順と典型事例

実務上の判断順序と、向きやすい案件類型を確認します。

事業譲渡と株式譲渡の選択は、最初から結論を固定するより、取得対象、切替可能性、過去リスク、株主構成、出口税務を順に確認する方が実務的です。

次の判断の流れは、実務で検討する順序を示しています。上から順に確認し、右側・左側の分岐でどちらの手法が有力になるかを読み取ります。

事業譲渡と株式譲渡の選択手順

会社全体を取得したいか

丸ごと取得なら株式譲渡が第一候補、一部だけなら事業譲渡が第一候補です。

許認可・契約・雇用の切替は現実的か

切替が困難なら株式譲渡が有力です。切替可能なら事業譲渡も検討できます。

重大な簿外債務・偶発債務があるか

ある場合は、事業譲渡、価格減額、補償、エスクローを検討します。

株主構成は整理されているか

分散、所在不明、反対株主がある場合は、事業譲渡または他の再編を検討します。

個人株主へ対価
株式譲渡が有力

売り手オーナーの出口として分かりやすいです。

会社へ対価
事業譲渡が有力

会社の再編・撤退・集中戦略に使いやすいです。

次の一覧は、事業譲渡と株式譲渡が向きやすい典型事例をまとめたものです。自社の案件がどの例に近いかを確認すると、手法選択の理由を説明しやすくなります。

事業譲渡

赤字部門だけを売却

会社全体は黒字でも一部部門だけが赤字の場合、当該部門を切り離し、本業へ経営資源を集中できます。

事業譲渡

特定資産・顧客基盤だけを取得

設備、店舗、顧客リスト、商標、ソフトウェア、ECサイト、在庫、営業人員などに価値がある場合に適します。

事業譲渡

対象会社に過去リスクがある

未払残業代、訴訟、税務調査リスク、環境汚染、品質問題、個人情報漏えいがある場合、必要資産だけの取得を検討します。

事業譲渡

株式集約が難しい

相続で株主が多数化し、少数株主が反対し、所在不明株主がいる場合、株式譲渡より現実的なことがあります。

株式譲渡

中小企業を丸ごと承継

オーナーが全株式を保有し、許認可・従業員・顧客・ブランドを維持したい場合、株式譲渡が分かりやすいです。

株式譲渡

許認可が価値の中心

許認可の再取得が難しい、または時間がかかる事業では、株式譲渡が有力です。ただし届出・審査の有無は確認します。

株式譲渡

主要契約の切替が困難

大口顧客、官公庁、フランチャイズ、不動産賃貸借、ライセンス、リース、金融機関契約が多い場合に適します。

株式譲渡

従業員維持が最重要

人材が事業価値の中心である場合、雇用主を変えずに支配権を移せる点がメリットです。

Section 10

よくある誤解と専門職別の検討ポイント

典型的な失敗を避け、専門職ごとの確認範囲を整理します。

事業譲渡と株式譲渡の失敗は、片方のメリットだけを見て、契約・税務・労務・許認可の制約を後回しにしたときに起きやすくなります。

次の一覧は、実務で誤解されやすい点をまとめたものです。各項目の末尾にある確認対象を、契約締結前のチェックリストに入れることが重要です。

株式譲渡なら契約確認は不要

誤りです。主要契約に支配権変更条項があれば、事前承諾・通知・解除権が問題となります。

事業譲渡なら債務を完全に遮断できる

誤りです。契約設計、商号続用、詐害行為、労務・税務・許認可、実質承継、顧客表示によりリスクが及ぶことがあります。

株式譲渡は税金が常に安い

一概にはいえません。個人株主か法人株主か、資金移転方法、繰越欠損金、消費税、のれん、退職金、みなし配当で変わります。

事業譲渡は従業員をそのまま移せる

誤りです。労働契約を譲受会社へ移すには、原則として従業員本人の承諾が必要です。説明不足は紛争の原因になります。

許認可はM&Aなら当然に引き継げる

誤りです。許認可は業法ごとに承継可否が異なり、事業譲渡では再取得、株式譲渡でも株主・役員変更に伴う届出や審査があり得ます。

次の表は、専門職・担当ごとの検討ポイントを整理したものです。各担当の視点を早期に入れることで、法務だけでは見落としやすい税務、労務、知財、個人情報、金融機関対応の漏れを防ぎやすくなります。

専門職・担当主な検討ポイント
弁護士・企業内弁護士スキーム選択、契約書、会社法手続、表明保証、補償、訴訟リスク
外部弁護士DD、交渉、独禁法、許認可、クロスボーダー、紛争対応
司法書士商業登記、不動産登記、担保抹消、役員変更、会社分割等との比較
行政書士許認可承継、変更届、認可申請、業法対応
税理士譲渡益課税、消費税、印紙税、退職金、みなし配当、組織再編税制
公認会計士財務DD、PPA、のれん、減損、内部統制、監査対応
社会保険労務士労働契約承継、転籍同意、就業規則、未払残業代、社会保険手続
弁理士・知財法務特許・商標・著作権・ライセンス契約・職務発明
個人情報保護担当個人データ移転、DD時のデータ開示、安全管理措置、委託先管理
内部監査・コンプライアンス法令違反、不正、反社、贈収賄、内部通報、J-SOX
M&A法務担当スケジュール、DD、契約交渉、クロージング、PMI
経営者・取締役取締役の善管注意義務、利益相反、価格妥当性、株主説明
金融機関・FA資金調達、経営者保証、手数料、情報管理、利益相反
Section 11

事業譲渡と株式譲渡のメリット比較FAQ

よくある質問を、一般的な制度説明として整理します。

FAQは一般的な制度説明として整理しています。個別案件では、契約内容、株主構成、許認可、税務、労務、証拠関係によって結論が変わります。

Q1. 事業譲渡と株式譲渡はどちらが簡単ですか。

一般的には、対象会社の法人格がそのまま残り、資産・契約・雇用・許認可が原則として維持される株式譲渡の方が簡便とされています。ただし、株主の分散、譲渡制限株式の承認、支配権変更条項、対象会社の重大なリスクによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 買い手にとって安全なのはどちらですか。

一般的には、リスク遮断という意味では事業譲渡が有利になりやすいとされています。取得対象を選別でき、不要な債務や偶発債務を除外しやすいためです。ただし、個別移転手続、許認可、従業員同意、税務コストによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q3. 売り手オーナーにとって有利なのはどちらですか。

一般的には、オーナー個人が株主であり、会社全体を売却して引退する場面では株式譲渡が分かりやすいとされています。売却対価が株主に直接入るためです。ただし、一部事業だけを売却して会社に対価を入れる場合は事業譲渡が向く可能性があります。具体的な対応は、税務・会社法上の資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q4. 事業譲渡では従業員を引き継げますか。

一般的には、事業譲渡で労働契約を譲受会社に移すには従業員本人の承諾が必要とされています。転籍同意が得られない場合、事業価値が下がる可能性があります。ただし、契約方式、説明内容、労働条件、労働組合の有無によって判断が変わります。具体的な対応は、社会保険労務士や弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q5. 株式譲渡なら許認可は残りますか。

一般的には、法人格が同じであれば許認可は維持されやすいとされています。ただし、業法によっては株主変更、役員変更、支配権変更、主要株主変更について届出・認可・審査が必要になる可能性があります。具体的な対応は、業法ごとの資料を整理したうえで行政書士や弁護士等へ相談する必要があります。

Q6. 事業譲渡では消費税がかかりますか。

一般的には、譲渡対象に課税資産が含まれる場合、消費税が問題となる可能性があります。土地や有価証券など非課税資産もあり得るため、譲渡対価を資産区分ごとに整理する必要があります。具体的な税務処理は、契約書案と資産明細をもとに税理士等へ相談する必要があります。

Q7. 株式譲渡では消費税がかかりますか。

一般的には、有価証券等の譲渡は消費税の非課税取引とされています。ただし、仲介手数料や専門家報酬などの役務提供には消費税がかかることがあります。具体的な税務処理は、取引資料と請求内容を整理したうえで税理士等へ相談する必要があります。

Q8. 事業譲渡と会社分割は何が違いますか。

一般的には、事業譲渡は個別承継型であり、資産・契約・従業員・許認可を個別に移す必要があります。一方、会社分割は会社法上の組織再編であり、権利義務を包括的に承継させる仕組みです。ただし、労働契約承継法など会社分割特有の手続があります。具体的な選択は、会社法・労務・税務の資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q9. 株式譲渡後に過去の未払残業代が発覚したらどうなりますか。

一般的には、未払残業代の債務者は対象会社であるため、株式譲渡後も対象会社が責任を負う形になります。買い手は、売り手に対する表明保証違反や補償請求を契約で定めることが実務上検討されます。ただし、事実関係、契約条項、時効、証拠関係によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q10. どちらを選ぶべきか一言でいうと。

一般的には、事業の連続性を重視するなら株式譲渡、リスク遮断と選別取得を重視するなら事業譲渡が有力とされています。ただし、税務、労務、許認可、契約、株主構成、金融機関、独禁法、個人情報、PMIによって判断が変わります。具体的な対応方針は、案件資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Section 12

事業譲渡と株式譲渡のメリット比較の最終判断

形式名ではなく、目的・リスク・時間・費用・利害調整で決めます。

事業譲渡と株式譲渡のメリット比較で最も危険なのは、片方のメリットだけを見て手法を決めることです。株式譲渡は、手続が相対的に簡便で、契約・雇用・許認可・顧客関係を維持しやすい一方、対象会社の過去リスクを会社ごと引き受けます。

事業譲渡は、必要な事業・資産だけを取得でき、簿外債務や不要資産を遮断しやすい一方、個別移転手続、従業員同意、許認可、税務、登記、競業避止、個人情報移転の負担が大きくなります。

次の重要ポイントは、最終判断で確認すべき6つの軸をまとめたものです。会社全体か事業の一部か、何を避けたいか、何を維持したいかを順に確認してください。

最終判断は、目的・リスク・時間・費用・関係者利害の適合性で決めます

形式名だけでなく、取得対象、除外したいリスク、維持したい契約・許認可・従業員、対価の受け手、実行可能な手続、クロージング後の統合作業を総合して判断します。

  1. 何を取得したいのか ― 会社全体か、事業の一部か。
  2. 何を引き受けたくないのか ― 簿外債務、偶発債務、不要資産、過去リスク。
  3. 何を維持したいのか ― 許認可、契約、従業員、ブランド、金融取引。
  4. 誰に対価を渡したいのか ― 株主個人か、売り手会社か。
  5. どの手続が現実的か ― 株主承認、譲渡承認、従業員同意、許認可、独禁法、税務。
  6. クロージング後に何を統合するのか ― PMI、会計、労務、システム、ガバナンス。

事業譲渡と株式譲渡は、単なる契約形式の違いではありません。企業価値、リスク、税務、雇用、許認可、ガバナンス、経営者の出口戦略を左右する根本的な選択です。

Reference

このページの参考情報源

公的資料・法令・ガイドラインを中心に確認しています。

法令・公的資料

  • e-Gov法令検索「会社法」
  • 中小企業庁「中小M&Aガイドライン」
  • 経済産業省「中小M&Aガイドラインを改訂しました」
  • 経済産業省・中小企業庁「参考資料1 中小M&Aの主な手法と特徴」
  • 厚生労働省「企業組織の再編に伴う労使関係について」
  • 厚生労働省「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」の一部改正について
  • 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」

税務・企業結合規制

  • 国税庁タックスアンサー No.6201「非課税となる取引」
  • 国税庁質疑応答事例「営業の譲渡をした場合の対価の額」
  • 国税庁タックスアンサー No.1463「株式等を譲渡したときの課税」
  • 国税庁タックスアンサー No.7140・No.7141「印紙税額の一覧表」
  • 公正取引委員会「株式取得の届出制度」
  • 公正取引委員会「事業等の譲受けの届出制度」
  • 公正取引委員会「企業結合審査に関する独占禁止法の運用指針」