2σ Guide

事業譲渡における
契約の個別承継手続き

会社法上の承認と契約相手方の承諾は別問題です。契約類型ごとの承継方式、同意取得、労務・個人情報・許認可、クロージング後管理までを一続きで確認します。

4方式 地位移転・債権譲渡・債務引受・履行引受
8段階 棚卸しからPMIまでの実務手順
15項目 契約マトリクスの主要確認項目
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事業譲渡における 契約の個別承継手続き

会社法 上の承認と契約相手方の承諾は別問題です。

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事業譲渡における 契約の個別承継手続き
会社法 上の承認と契約相手方の承諾は別問題です。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 事業譲渡における 契約の個別承継手続き
  • 会社法 上の承認と契約相手方の承諾は別問題です。

POINT 1

  • 事業譲渡における契約の個別承継手続きの全体像
  • 契約は自動では移らないという出発点から、同意取得、責任分担、PMI までを一続きで整理します。
  • 契約承継はクロージング前後をつなぐ中核工程です
  • 契約は自動で移らない
  • 既発生分と将来分を分ける

POINT 2

  • 事業譲渡における契約の個別承継手続きの基本概念
  • 事業譲渡、個別承継、包括承継の違いを押さえると、必要な手続の意味が見えます。
  • 事業譲渡の基本
  • 合併・会社分割で問題になる発想
  • 株主承認と契約承継は別です

POINT 3

  • 事業譲渡における契約承継を支える民法上の方式
  • 契約上の地位移転、債権譲渡、債務引受、履行引受を混同しないことが出発点です。
  • 継続中の契約を譲受会社へ移す中心は、契約上の地位の移転です。
  • 債権だけを移す場合、債務を引き受ける場合、内部的に履行する場合では、相手方への効力と責任範囲が異なります。
  • 方式を誤ると、相手方に対抗できない、譲渡会社が免責されない、継続契約の将来義務が移らないといった問題が起きるため重要です。

POINT 4

  • 事業譲渡における会社法手続と契約承継の関係
  • 株主総会承認
  • 事業譲渡の実行に必要となる会社内部の承認です。
  • 取締役会・社内決裁
  • 重要な財産の処分、重要な業務執行、利益相反、関連当事者取引、適時開示、インサイダー情報管理を確認します。

POINT 5

  • 事業譲渡における契約の個別承継手続きの進め方
  • 1. 契約棚卸し:紙契約、電子契約、注文書、利用規約、覚書、メール合意、保証書、保守契約を洗い出します。
  • 2. 契約分類:重要契約、収益契約、仕入契約、賃貸借、雇用、金融、知財、IT、許認可、個人情報関連に分類します。
  • 3. 承継可否のレビュー:譲渡禁止、承諾、解除、支配権変更、再委託、秘密保持、準拠法、通知先を確認します。
  • 4. 承継方式の設計:契約上の地位移転、債権譲渡、債務引受、再契約、履行引受、TSA、除外、価格調整を選びます。
  • 5. 同意取得計画:誰に、いつ、どの資料で、どの様式により承諾を得るかを決めます。
  • 6. 契約書への反映:対象契約リスト、除外契約、未取得時の代替措置、表明保証、補償、価格調整、協力義務を定めます。
  • 7. クロージング実行:承諾書、三者間合意、通知、請求先変更、アカウント移行、データ移転、従業員同意、許認可を実行します。
  • 8. クロージング後管理:反映漏れ、入金誤り、発注先誤り、契約更新、顧客クレーム、個人情報問い合わせ、労務問題を管理します。

POINT 6

  • 事業譲渡における契約類型別の個別承継実務
  • 顧客、仕入、賃貸借、IT、知財、金融、公共契約では確認点が異なります。
  • 契約類型ごとに、相手方が気にするリスクも、承諾取得の難しさも異なります。
  • 類型別に見ることで、契約書の条項だけではなく、事業継続に必要な実務運用まで確認できます。
  • 各項目で、承諾先、責任範囲、代替困難性のどこに注意するかを読み取ってください。

POINT 7

  • 事業譲渡における労働契約・個人情報・許認可の承継
  • 労働契約
  • 会社分割と異なり、事業譲渡では労働者本人の個別同意が中心です。
  • 個人情報・データ
  • 顧客情報、会員情報、購買履歴、従業員情報、健康情報、ログ、決済情報を扱います。

POINT 8

  • 事業譲渡契約に入れるべき契約承継条項
  • 1. 対象契約を特定:売上、利益、代替可能性、許認可・システム依存度を確認します。
  • 2. Aランクか判定:未取得なら事業継続が困難かを確認します。
  • 3. クロージング条件:承諾未取得なら実行不可または解除を検討します。
  • 4. 価格調整・努力義務:補償、TSA、追加譲渡、除外で処理します。

まとめ

  • 事業譲渡における 契約の個別承継手続き
  • 事業譲渡における契約の個別承継手続きの全体像:契約は自動では移らないという出発点から、同意取得、責任分担、PMI までを一続きで整理します。
  • 事業譲渡における契約の個別承継手続きの基本概念:事業譲渡、個別承継、包括承継の違いを押さえると、必要な手続の意味が見えます。
  • 事業譲渡における契約承継を支える民法上の方式:契約上の地位移転、債権譲渡、債務引受、履行引受を混同しないことが出発点です。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

事業譲渡における契約の個別承継手続きの全体像

契約は自動では移らないという出発点から、同意取得、責任分担、PMIまでを一続きで整理します。

事業譲渡では、譲渡会社が締結している契約上の地位は、原則として自動的には譲受会社へ移りません。会社分割や合併のような包括承継とは異なり、契約、債権、債務、労働契約、個人情報、許認可、ITアカウント、知的財産、金融契約を一つずつ確認し、必要な同意や通知を積み上げる必要があります。

次の強調表示は、このページ全体で軸になる結論をまとめたものです。契約承継は単なる書類作成ではなく、売上維持、取引先の信用、従業員の安定、個人情報管理、許認可維持を同時に守るために重要です。ここでは、契約が自動承継されないこと、方式ごとの効力差、運用切替まで見届ける必要があることを読み取ってください。

契約承継はクロージング前後をつなぐ中核工程です

譲渡会社と譲受会社の合意だけで、取引先、従業員、金融機関、行政庁、個人情報の本人との関係が一斉に切り替わるわけではありません。対象契約を洗い出し、承継方式を選び、相手方の承諾を証拠化し、請求・支払・システム・問い合わせ窓口を実際に切り替えて初めて、事業継続の基盤が整います。

次の一覧は、契約承継で特に事故が起こりやすい視点を示しています。どの視点も単独では足りず、法務・労務・情報管理・許認可・金融を横断して確認することが重要です。読者は、自社案件でどの領域がボトルネックになりやすいかを見てください。

原則

契約は自動で移らない

契約上の地位移転には、原則として契約相手方の承諾が必要です。事業譲渡契約に対象契約を列挙しただけでは、相手方との関係で承継が完成しないことがあります。

範囲

既発生分と将来分を分ける

クロージング前の未払金、保証、返品、クレーム、秘密保持違反、損害賠償責任を誰が負担するかを明確にしなければ、後日の紛争につながります。

運用

書類後の切替が重要

承諾書を取得しても、請求先、入金口座、アカウント、データ、担当窓口、従業員説明が切り替わらなければ、事業は安定しません。

一般情報としての注意個別案件では、契約書、業法、相手方属性、労働組合の有無、個人情報の内容、海外法の適用可能性によって結論が変わります。具体的な対応方針は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
Section 01

事業譲渡における契約の個別承継手続きの基本概念

事業譲渡、個別承継、包括承継の違いを押さえると、必要な手続の意味が見えます。

事業譲渡とは、一定の事業を構成する財産、権利、契約関係、顧客基盤、ノウハウ、営業上の信用、従業員関係、設備、在庫、知的財産などを譲受人に移す取引です。会社法上の事業譲渡に該当するかどうかと、民法上・契約法上の契約承継が有効に行われたかどうかは別問題です。

次の表は、事業譲渡で個別に確認すべき対象と典型的な手続を対応させたものです。対象ごとに必要な同意、通知、登録、許認可が違うため、全体の漏れを防ぐうえで重要です。左列で対象を確認し、右列で承継に必要な動きを読み取ってください。

対象典型的な承継手続
売買契約・業務委託契約契約上の地位の移転、三者間合意、相手方承諾
売掛債権債権譲渡、債務者への通知または承諾、第三者対抗要件
買掛債務・保証債務債務引受、債権者承諾、免責の有無の明確化
賃貸借契約賃借権譲渡、契約上の地位移転、貸主承諾
労働契約労働者本人の個別同意、労働条件説明、労使協議
ライセンス契約譲渡禁止条項確認、ライセンサー承諾、再契約
個人情報事業承継時の取扱い、利用目的の範囲確認、必要に応じた本人同意
許認可承継可否確認、変更届、認可、許可の新規取得
知的財産権登録移転、対抗要件、ライセンス登録・通知
金融契約金融機関同意、担保解除・再設定、コベナンツ対応

次の比較一覧は、個別承継と包括承継の発想の違いを整理します。どちらの制度かによって、契約相手方の承諾、労働者同意、許認可、対抗要件の扱いが変わるため重要です。事業譲渡では右から左へまとめて移るのではなく、一つずつ要件を満たす必要がある点を読み取ってください。

個別承継

事業譲渡の基本

契約、債権、債務、資産、労働契約、許認可をそれぞれの要件に従って移します。相手方承諾や通知が工程の中心になります。

包括承継

合併・会社分割で問題になる発想

法律上または組織法上、一定の権利義務がまとめて承継される制度です。ただし会社分割でも個別法や契約上の制限は問題になります。

実務上の境目

株主承認と契約承継は別です

株主総会の承認を得ても、取引先が契約承継に同意したことにはなりません。会社法手続と契約実務を分けて管理します。

Section 02

事業譲渡における契約承継を支える民法上の方式

契約上の地位移転、債権譲渡、債務引受、履行引受を混同しないことが出発点です。

継続中の契約を譲受会社へ移す中心は、契約上の地位の移転です。民法539条の2の考え方では、譲渡人と譲受人の合意だけでなく、契約相手方の承諾が重要になります。債権だけを移す場合、債務を引き受ける場合、内部的に履行する場合では、相手方への効力と責任範囲が異なります。

次の一覧は、契約承継で使われる主要な法律構成を並べています。方式を誤ると、相手方に対抗できない、譲渡会社が免責されない、継続契約の将来義務が移らないといった問題が起きるため重要です。各項目で、何を移す方式なのか、どこに注意が必要かを読み取ってください。

1

契約上の地位の移転

将来の履行請求権、義務、解除権、抗弁、付随義務など、契約当事者としての地位を移す方法です。重要契約では三者間合意が安全です。

相手方承諾
2

債権譲渡

売掛金、貸付金、未収金、保証金返還請求権など、個別債権を移す方法です。通知、承諾、確定日付、動産・債権譲渡登記が問題になります。

対抗要件
3

債務引受

未払金、前受金対応義務、保証義務、保守義務、損害賠償義務などを譲受会社に負担させる方法です。免責の有無を明確にします。

債権者関与
4

履行引受

譲受会社が譲渡会社に対して債務を代わりに履行すると約束する内部合意です。債権者に対して譲渡会社が残る点に注意します。

内部関係
5

再契約

既存契約を終了させ、譲受会社と相手方が新たに契約する方式です。条件見直しや譲渡禁止条項がある場合に検討されます。

条件再設計
6

個別発注の切替

基本契約は承継せず、クロージング後の新規発注から譲受会社へ切り替える方法です。未履行注文や保証責任の整理が必要です。

運用切替

次の表は、債務引受の二つの形を比較したものです。譲渡会社が外部的に残るかどうかは債権者保護と金融実務に直結するため重要です。左列で方式、中央で責任構造、右列で実務上の意味を確認してください。

種類責任構造実務上の意味
併存的債務引受譲渡会社が債務者として残り、譲受会社も同じ債務を負います。債権者保護が厚く、譲渡会社は外部的には免責されません。
免責的債務引受譲渡会社が債務から外れ、譲受会社が債務者になります。債権者の関与・承諾が重要で、金融債務や重要債務では慎重な設計が必要です。

譲渡禁止条項、承継禁止条項、支配権変更条項、再委託制限、ライセンス利用者の限定、競合会社への譲渡禁止は、契約承継の可否を左右します。条項の名称だけで判断せず、契約上の地位移転、債権譲渡、債務引受、秘密情報開示、データ移転、アカウント移行のそれぞれで承諾が必要かを読み分けます。

Section 03

事業譲渡における会社法手続と契約承継の関係

株主総会、取締役会、商号続用責任は、契約承継とは別軸で確認します。

株式会社が事業譲渡を行う場合、会社法467条により、事業の全部の譲渡、事業の重要な一部の譲渡、他社の事業全部の譲受けなどで株主総会承認が問題になります。通常は特別決議が問題となりますが、定款や例外規定も確認します。

次の一覧は、会社法上の承認・決裁・外観責任が、契約承継とどのように関係するかを示しています。社内承認が済んでも相手方承諾が不要になるわけではないため、二つの手続を混同しないことが重要です。各項目で、社内意思決定と対外的な契約承継の違いを読み取ってください。

株主総会承認

事業譲渡の実行に必要となる会社内部の承認です。主要契約の同意取得が未了でも決議自体が当然に無効となるとは限りませんが、取引条件には大きく影響します。

取締役会・社内決裁

重要な財産の処分、重要な業務執行、利益相反、関連当事者取引、適時開示、インサイダー情報管理を確認します。承諾未取得リスクを意思決定資料に反映します。

商号・ブランドの続用

譲受会社が商号、屋号、店舗名、ドメイン、請求書表示を継続する場合、契約が承継されていなくても外観に基づく責任が問題になることがあります。

取締役会資料では、どの契約を譲渡対象に含めるか、主要契約の承諾未取得リスク、クロージング条件、反対株主対応、債権者対応、従業員対応、個人情報対応、価格算定への反映を明確にする必要があります。

混同しやすい点株主総会で事業譲渡が承認されても、取引先が契約承継に同意したことにはなりません。主要契約の承諾が取引の前提であれば、前提条件、表明保証、解除権、価格調整に明記します。
Section 04

事業譲渡における契約の個別承継手続きの進め方

契約棚卸しからクロージング後管理まで、工程を分けて漏れを防ぎます。

契約承継は、案件初期からプロジェクトとして管理する必要があります。契約書だけでなく、注文書、利用規約、覚書、メール合意、請求書、電子契約ID、管理画面上の規約まで含めて洗い出します。

次の時系列は、契約の個別承継手続きを進める順番を示しています。順番には意味があり、棚卸しが粗いと分類も同意取得計画も崩れるため重要です。上から順に、どの段階で法務判断、相手方対応、書類化、運用切替を行うかを読み取ってください。

1

契約棚卸し

紙契約、電子契約、注文書、利用規約、覚書、メール合意、保証書、保守契約を洗い出します。

2

契約分類

重要契約、収益契約、仕入契約、賃貸借、雇用、金融、知財、IT、許認可、個人情報関連に分類します。

3

承継可否のレビュー

譲渡禁止、承諾、解除、支配権変更、再委託、秘密保持、準拠法、通知先を確認します。

4

承継方式の設計

契約上の地位移転、債権譲渡、債務引受、再契約、履行引受、TSA、除外、価格調整を選びます。

5

同意取得計画

誰に、いつ、どの資料で、どの様式により承諾を得るかを決めます。

6

契約書への反映

対象契約リスト、除外契約、未取得時の代替措置、表明保証、補償、価格調整、協力義務を定めます。

7

クロージング実行

承諾書、三者間合意、通知、請求先変更、アカウント移行、データ移転、従業員同意、許認可を実行します。

8

クロージング後管理

反映漏れ、入金誤り、発注先誤り、契約更新、顧客クレーム、個人情報問い合わせ、労務問題を管理します。

次の表は、契約マトリクスに最低限入れるべき項目を整理したものです。契約マトリクスは単なる一覧ではなく、交渉戦略、クロージング条件、価格調整を決めるための資料です。左列の項目をそろえることで、右列の情報を同じ粒度で比較できるようになります。

項目内容
契約番号社内管理番号、電子契約ID、契約書名
相手方法人名、部署、担当者、通知先、契約締結権限者
契約類型顧客契約、仕入契約、賃貸借、ライセンス、雇用、金融等
契約期間開始日、終了日、自動更新、解約予告期間
売上・費用年間売上、粗利、固定費、変動費、重要性
譲渡禁止条項有無、事前承諾の要否、書面性、例外
解除条項事業譲渡、支配権変更、信用不安、競合譲渡
承継方式契約上の地位移転、再契約、債権譲渡、除外等
同意取得状況未着手、依頼済、交渉中、取得済、拒絶
未履行義務未納品、保証、保守、返品、クレーム、違約金
個人情報取得目的、提供先、委託先、海外移転、要配慮情報
知的財産ライセンス、再許諾、利用範囲、登録、帰属
許認可許可番号、名義、承継可否、届出期限
リスク評価Aランク必須、Bランク重要、Cランク代替可能、Dランク除外可能
対応責任者法務、営業、経理、労務、情報システム、外部専門家
Section 05

事業譲渡における契約類型別の個別承継実務

顧客、仕入、賃貸借、IT、知財、金融、公共契約では確認点が異なります。

契約類型ごとに、相手方が気にするリスクも、承諾取得の難しさも異なります。顧客契約では売上維持、仕入契約では安定供給、賃貸借では営業場所、IT契約ではアカウントとデータ、金融契約では担保・期限の利益が重要になります。

次の一覧は、主要な契約類型ごとに確認すべき点をまとめたものです。類型別に見ることで、契約書の条項だけではなく、事業継続に必要な実務運用まで確認できます。各項目で、承諾先、責任範囲、代替困難性のどこに注意するかを読み取ってください。

顧客契約

契約上の地位移転、品質保証、SLA、保守、返品、ポイント、前払金、個人顧客規制、代理店・販売店条件を確認します。

売上維持

仕入・購買・外注契約

安定供給、価格条件、支払条件、最低購入数量、違約金、与信審査、下請法、独禁法、輸出管理を確認します。

供給継続

賃貸借契約

貸主承諾、敷金・保証金、原状回復、保証人、用途制限、看板、保険、無断転貸リスクを確認します。

営業場所
IT

IT・クラウド・ソフトウェア

SaaS、ERP、CRM、EC、決済、ドメイン、API、データベース、管理者権限、TSAの要否を確認します。

システム切替

知的財産・ライセンス

登録移転、著作権、著作者人格権、外注成果物、再許諾、地域、用途、独占性、ロイヤルティ、品質管理を確認します。

権利帰属

金融・リース・担保

重要資産処分制限、期限の利益、担保解除、再設定、保証人同意、リース物件の名義・設置場所を確認します。

金融機関同意

秘密保持・共同研究

DD段階の情報開示、成果物帰属、改良発明、共同出願、研究資料、秘密保持期間、競業制限を確認します。

情報管理

公共契約・補助金

譲渡・再委託・名義変更、入札参加資格、契約保証金、財産処分制限、補助金返還、行政庁協議を確認します。

行政手続

特に、店舗・工場・倉庫の賃貸借契約、基幹システム、決済、物流、知財ライセンス、主要顧客、主要サプライヤーは、代替が難しいことが多い領域です。未承継なら事業譲渡そのものが成立しない場合もあるため、Aランク契約として早期に扱います。

Section 06

事業譲渡における労働契約・個人情報・許認可の承継

通常の商取引契約とは別枠で、本人同意、利用目的、行政手続を確認します。

労働契約、個人情報、許認可は、通常の取引契約と同じ感覚で移すと重大な支障が生じます。労働者本人の同意、個人情報の利用目的、行政庁の許認可要件は、事業譲渡契約だけでは処理し切れません。

次の一覧は、特別に分けて管理すべき三つの領域を示しています。人、データ、行政上の地位は、事業継続の土台でありながら法令上の制約が強いため重要です。各項目で、誰の同意・確認が必要か、どの資料を整えるべきかを読み取ってください。

労働契約

会社分割と異なり、事業譲渡では労働者本人の個別同意が中心です。勤務地、職務、賃金、賞与、退職金、勤続年数、有給休暇、社会保険、同意しない場合の扱いを説明します。

個人情報・データ

顧客情報、会員情報、購買履歴、従業員情報、健康情報、ログ、決済情報を扱います。承継前の利用目的の範囲内か、利用目的を拡大するかを確認します。

許認可・業法

許認可は契約で自由に移せません。新規許可、登録、届出、事業承継認可、変更届、廃止届、行政庁との事前相談を業種ごとに確認します。

次の表は、これら三領域でクロージング前に確認する代表事項をまとめたものです。列ごとに確認主体と必要資料が異なるため、担当部署を分けて同時並行で進めることが重要です。読者は、法務だけで完結しない点を読み取ってください。

領域主な確認事項関与部門
労務移籍対象、同意書、労働条件通知、労使協議、質問回答、面談記録人事、労務、法務、社会保険労務士
個人情報利用目的、第三者提供、委託、共同利用、越境移転、プライバシーポリシー、漏えい対応法務、情報システム、セキュリティ、個人情報担当
許認可承継可否、届出期限、新規申請、管理者要件、設備要件、行政庁協議法務、事業部、行政書士、外部専門家
独禁法・外為法企業結合届出、実行禁止期間、情報交換制限、輸出管理、外国投資規制法務、M&A担当、コンプライアンス

労働者が移籍に同意しない場合、事業譲渡を理由として当然に解雇できるわけではありません。配置転換、別事業での雇用継続、希望退職、退職合意、再交渉、労働条件調整などを個別事情に応じて検討します。

Section 07

事業譲渡契約に入れるべき契約承継条項

対象契約、前提条件、表明保証、補償、未承継時の代替措置を具体化します。

事業譲渡契約では、契約承継に関する条項を抽象的に書くだけでは足りません。重要契約は別紙で特定し、承諾取得の要否、未取得時の扱い、クロージング条件、補償、価格調整、TSAを具体的に設計します。

次の表は、契約承継条項で整理すべき主要論点を並べています。契約条項は、交渉時の合意内容をクロージング条件と事後責任に結び付けるため重要です。左列の論点ごとに、右列でどのような文言設計が必要かを読み取ってください。

条項整理する内容
承継対象契約の特定契約名、相手方、締結日、変更覚書、契約番号、対象範囲を別紙化します。
前提条件売上上位顧客、主要仕入先、店舗賃貸借、基幹システム、ライセンス、許認可、従業員同意を条件化します。
表明保証契約の有効性、違反・紛争の有無、必要承諾、譲渡禁止条項、個人情報、労務、知財の違反有無を確認します。
補償・損害賠償承諾未取得、解除、未開示違反、個人情報漏えい、労務紛争、許認可不備などを対象にします。
未承継契約の代替措置履行引受、再委託、TSA、除外、価格調整、代替サプライヤー確保、クロージング延期を検討します。

次の判断の流れは、主要契約の同意取得をどのように条件化するかを示しています。契約の重要度によってクロージング不可、価格調整、努力義務、除外の扱いが変わるため重要です。上から順に、重要度と代替可能性を確認して対応を分ける読み方です。

主要契約の同意取得を条件化する流れ

対象契約を特定

売上、利益、代替可能性、許認可・システム依存度を確認します。

Aランクか判定

未取得なら事業継続が困難かを確認します。

重要
クロージング条件

承諾未取得なら実行不可または解除を検討します。

代替可
価格調整・努力義務

補償、TSA、追加譲渡、除外で処理します。

補償条項では、補償期間、上限額、免責額、バスケット、直接損害・間接損害、専門家費用、税効果、保険金控除、第三者請求対応、救済の排他性を定めます。譲渡会社側は、知る限り、重要性限定、開示済み例外、期間限定などを交渉することがあります。

Section 08

事業譲渡の同意取得・クロージング書類・文例骨子

相手方承諾、三者間合意、通知書、労働者説明書を証拠化します。

同意取得の相手方は、契約書上の当事者だけとは限りません。親会社、保証会社、金融機関、貸主、ライセンサー、官公庁、労働者、労働組合、委託先、担保権者、差押債権者が関係することがあります。

次の表は、クロージングで準備する代表的な書類と目的を整理したものです。書類の名前だけでなく、どの法的効果や証拠化を担うかが重要です。左列の書類を確認し、右列でクロージング時に何を証明するためのものかを読み取ってください。

書類目的
事業譲渡契約書取引全体、対象資産、対象契約、価格、表明保証、補償を定めます。
対象契約リスト承継対象、除外対象、同意状況を明確化します。
契約上の地位移転合意書契約当事者としての地位を譲受会社へ移します。
相手方承諾書契約相手方の承諾を証拠化します。
債権譲渡契約書・通知書売掛金等の移転と対抗要件を整備します。
債務引受契約書対象負債の外部的・内部的処理を定めます。
賃貸借地位承継合意書店舗・工場・オフィスの使用権限を移します。
労働者同意書・労働条件通知書労働契約の移転または転籍同意と労働条件を明確化します。
許認可・個人情報・知財移転書類届出、利用目的、委託、登録移転、ライセンス変更を整備します。
TSA・引渡確認書暫定サービス、システム利用、資産・データ・鍵・在庫の引渡しを確認します。

次の比較一覧は、実務で検討される文例骨子を公開ページ向けに要約したものです。文例はそのまま使うものではなく、個別案件に応じた修正が必要である点が重要です。各項目で、何を合意・通知・説明するための骨子かを読み取ってください。

地位移転

契約上の地位移転合意書

対象契約、承諾、権利義務の承継範囲、既発生債権債務、通知先を定めます。クロージング日前後の責任分担を明確にします。

承諾

相手方承諾書

相手方が契約上の地位移転を承諾し、効力発生日以後の契約相手を譲受会社として扱うことを明確にします。

通知

債権譲渡通知書

譲渡会社が債権を譲受会社に譲渡したこと、今後の支払先、民法上の通知として行うことを示します。

労務

労働者向け説明書

事業譲渡の概要、会社概要、移籍予定日、労働条件、勤続年数、同意しない場合、個人情報、質問窓口を説明します。

相手方が同意を条件に、価格改定、支払サイト短縮、保証金増額、保証人追加、最低購入数量、契約期間延長、解除権追加、データ保護条項追加を求めることがあります。その費用や条件悪化をどちらが負担するかは、事業譲渡契約であらかじめ定めます。

Section 09

事業譲渡における契約承継の失敗例と実務チェックリスト

典型的な誤解を先回りして、棚卸し、レビュー、実行後管理を確認します。

契約承継で起こる失敗は、多くの場合、契約書に書いたことと相手方・従業員・行政庁・システム運用が一致していないことから生じます。承諾未取得、契約書不存在、労働者同意、個人情報、許認可、既発生債務の切り分けは特に注意が必要です。

次の一覧は、よくある失敗例と予防策を対応させたものです。失敗パターンを先に知ることで、契約承継プロジェクトの確認項目を具体化できます。各項目で、どの段階の漏れがどのリスクにつながるかを読み取ってください。

契約が移ったと誤解する

事業譲渡契約に書いただけでは足りない場合があります。重要契約では相手方承諾または三者間合意を取得します。

契約書がない取引を見落とす

発注書、請求書、メール、利用規約、口頭合意で続く取引も洗い出します。現場ヒアリングが重要です。

労働者同意を形式化する

十分な説明、質問回答、検討期間、労使協議、面談記録がないと、同意の有効性が争われる可能性があります。

個人情報を資産として扱う

利用目的、第三者提供、委託、共同利用、越境移転、開示請求対応を確認しない移転は信用毀損につながります。

許認可の承継を思い込む

業法ごとに承継制度、新規許可、変更届、廃止届、行政庁協議を確認します。

重要契約の同意を先送りする

売上上位顧客、主要サプライヤー、店舗賃貸借、IT基盤、ライセンスは、できる限り条件化します。

既発生債務と将来債務が曖昧

クロージング前のクレーム、保証、返品、未払金、前受金、未納品を誰が負担するかを精算表で明確化します。

次の表は、棚卸し、法務レビュー、クロージング前、クロージング後の確認事項を圧縮したものです。段階ごとに見ることで、前工程の漏れを後工程で補うのではなく、早い段階で潰せます。各行で、どのタイミングで何を確認するかを読み取ってください。

段階主な確認事項
契約棚卸し契約書、注文書、利用規約、売上上位顧客、賃貸借、IT、知財、金融、雇用、個人情報、許認可を確認します。
法務レビュー譲渡禁止、承諾要否、債権譲渡、債務引受、支配権変更、解除、秘密保持、準拠法を確認します。
クロージング前主要契約の同意、三者間合意、債権譲渡通知、労働者説明、許認可、データ移行、請求先切替を確認します。
クロージング後証跡保管、通知完了、入金・支払切替、システム権限、未承継契約の追跡、PMIレビューを行います。
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事業譲渡における契約の個別承継手続きのよくある確認事項

断定ではなく、一般的な制度理解と確認の観点として整理します。

次の一覧は、事業譲渡の契約承継でよく確認される事項を一般情報としてまとめたものです。個別の結論は契約条項、交渉経緯、相手方の承諾、業法、証拠関係で変わるため重要です。各項目で、まず何を確認し、どの専門家につなぐべきかを読み取ってください。

Q1

事業譲渡契約に書けば契約は移りますか

一般的には、譲渡会社と譲受会社の合意だけでは契約相手方に対して十分でない場合があります。契約上の地位移転には相手方承諾が必要となることが多く、具体的な対応は契約書と交渉状況を確認したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2

債権譲渡だけで継続契約も移りますか

一般的には、債権譲渡は個別債権を移す手続であり、将来の継続的な権利義務まで当然に移すものではありません。継続契約では契約上の地位移転や再契約が必要となる可能性があります。

Q3

労働者の同意は必要ですか

一般的には、事業譲渡では労働契約の移転に労働者本人の同意が中心になります。ただし、移籍方法、労働条件変更、説明内容、同意しない場合の扱いで結論が変わる可能性があります。

Q4

許認可も譲渡できますか

一般的には、許認可は行政庁が特定主体に付与するもので、契約だけで自由に移せるとは限りません。業種ごとの承継制度、届出、新規申請、行政庁協議を確認する必要があります。

専門職の関与では、弁護士・企業内法務が契約承継とリスク設計を統括し、司法書士が登記・担保、行政書士が許認可、弁理士が知財、社会保険労務士が労務、税理士・公認会計士が価格・税務・会計、情報システム担当がデータ移転と権限管理を支えます。

Section 11

事業譲渡における契約の個別承継手続きの実務上の結論

契約、信用、情報、労務、許認可、システム、資金、顧客関係を移転可能な形に組み直します。

事業譲渡における契約の個別承継手続きの本質は、契約を紙の束として扱うのではなく、事業を継続させる法律関係、信用、情報、労務、許認可、システム、資金、顧客関係を一つずつ移転可能な形に組み直すことです。

次の一覧は、このページの結論を五つに整理したものです。結論を並べることで、契約承継がクロージングの前提条件だけでなく、PMIの出発点でもあることが分かります。各項目で、実務上どこに管理の重心を置くかを読み取ってください。

1

自動承継されない

契約上の地位移転には、原則として相手方承諾が必要です。

2

方式を使い分ける

契約上の地位移転、債権譲渡、債務引受、再契約、履行引受で効力が異なります。

3

労務・情報・許認可を分ける

労働者本人の同意、利用目的、行政手続を軽視すると事業継続に支障が生じます。

4

主要契約の同意が条件を左右する

未取得リスクは、表明保証、補償、価格調整、クロージング条件、TSAに反映します。

5

PMIまで管理する

請求、支払、システム、顧客対応、労務、個人情報、許認可運用の切替まで確認します。

事業譲渡は、資産の売買であると同時に信頼関係の移転です。契約相手方、労働者、顧客、行政庁、金融機関、委託先、個人情報の本人から見て、譲受会社が適切な承継主体であることを説明し、同意を得て、証拠化し、運用に落とし込むことが核心になります。

Reference

この記事の参考情報源

法令・公的資料

  • 法務省「民法の一部を改正する法律(債権法改正)について」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「会社法」
  • 厚生労働省「会社分割に伴う労働契約の承継等」
  • 厚生労働省「事業譲渡又は合併を行うに当たって会社等が留意すべき事項に関する指針」
  • 公正取引委員会「事業等の譲受けに関する届出」
  • 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
  • 個人情報保護委員会「合併・組織再編・事業承継等に伴う個人情報の取扱い」

判例資料

  • 最高裁判所判例資料「営業譲渡に関する判例資料」