2σ Guide

公益通報者保護法を
企業法務の実務で使える形に整理

通報者保護、通報先ごとの要件、事業者の体制整備義務、従事者の守秘、令和7年改正、受付から調査・是正までの対応を、企業法務・コンプライアンス担当向けに体系化します。

301人以上体制整備義務の目安
2026/12/1令和7年改正の施行予定
3,000万円以下法人重科の改正ポイント
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公益通報者保護法を 企業法務の実務で使える形に整理

通報者保護、適正調査、是正、ガバナンス、説明可能性を一つの制度として整理します。

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公益通報者保護法を 企業法務の実務で使える形に整理
通報者保護、適正調査、是正、ガバナンス、説明可能性を一つの制度として整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 公益通報者保護法を 企業法務の実務で使える形に整理
  • 通報者保護、適正調査、是正、ガバナンス、説明可能性を一つの制度として整理します。

POINT 1

  • 公益通報者保護法の全体像
  • 公益通報者保護法は、通報窓口だけの法律ではありません
  • 通報者保護、適正調査、是正、ガバナンス、説明可能性を一つの制度として整理します。

POINT 2

  • 公益通報者保護法の定義と保護される人
  • 公益通報、内部通報、通報対象事実、公益通報者の違いを確認します。
  • 公益通報と内部通報を分けて考えます
  • 保護される人の範囲
  • 派遣労働者

POINT 3

  • 公益通報者保護法の通報対象と通報先
  • 1. 通報内容を広く受け付けます:通報者の属性、対象事実、証拠、緊急性、報復リスクを確認します。
  • 2. 対象法律・罰則・過料につながる可能性を見ます:公益通報に当たるか不明でも、通報者情報の保護を先に進めます。
  • 3. 公益通報対応へ接続:従事者、守秘、調査、是正、通知、記録保管の手順に入ります。
  • 4. 別制度でも丁寧に対応:ハラスメント、労務相談、規程違反、苦情処理として適切に扱います。

POINT 4

  • 公益通報者保護法による保護と不利益取扱い
  • 解雇・懲戒の推定
  • 通報後1年以内は、措置の必要性、相当性、通報との無関係性を記録で説明できる状態が重要です。
  • 直罰と法人重科
  • 改正後は、公益通報を理由とする解雇・懲戒について、行為者への刑罰と法人への3,000万円以下の罰金が問題になります。

POINT 5

  • 公益通報者保護法の事業者義務と従事者の守秘
  • 301人以上の体制整備義務、従事者指定、30万円以下の罰金、範囲外共有防止を整理します。
  • 301人以上の事業者には体制整備義務があります
  • 従事者と守秘義務
  • 窓口設置だけでは足りません

POINT 6

  • 公益通報者保護法に沿った受付・調査・是正の手順
  • 1. 制度設計と平時準備:内部通報規程、従事者指定、窓口周知、外部専門家、監査役等への報告ルート、証拠保全ルールを整えます。
  • 2. 受付:通報者属性、匿名希望、連絡方法、対象者、時期、場所、証拠、報復リスク、緊急性を把握します。
  • 3. 初期評価:公益通報該当性、重大性、緊急性、調査可能性、利益相反、通報者保護を評価します。
  • 4. 調査計画:調査目的、範囲、担当者、証拠、ヒアリング対象、報告先、情報管理を定めます。
  • 5. 証拠保全:メール、チャット、端末、会計データ、契約書、勤怠、ログ、防犯映像などを改ざん防止に配慮して保全します。
  • 6. ヒアリング:目的、守秘、虚偽説明や証拠隠滅の禁止、通報者探索禁止を伝え、誘導質問を避けて記録します。
  • 7. 事実認定と法的評価:違反の有無、主体、故意・過失、影響範囲、行政報告、懲戒、再発防止策を整理します。
  • 8. 是正と再発防止:違法行為の停止、被害回復、行政対応、処分、業務改善、研修、監査強化を行います。
  • 9. 通報者への通知:受付、調査開始、調査中、終了、是正措置の実施、不利益取扱い相談窓口を可能な範囲で通知します。
  • 10. 記録保管と制度改善:受付記録、保護措置、調査計画、証拠保全、評価メモ、是正記録、通知記録、報告記録を保管します。

POINT 7

  • 公益通報者保護法の令和7年改正ポイント
  • 退職合意書・和解契約
  • 行政機関や報道機関への通報を一切禁止する包括条項を避け、公益通報を妨げない例外を明記します。
  • 秘密保持契約・誓約書
  • 会社の秘密情報を守りつつ、公益通報者保護法に基づく正当な通報を封じない文言にします。

POINT 8

  • 公益通報者保護法の横断論点と失敗例
  • 通報者を探す
  • 誰が通報したのかを聞き回る行為は、制度への信頼を破壊します。
  • 通報メールを転送する
  • 氏名、メールアドレス、文体、添付資料が広がるため、必要な事実だけをマスキングして共有します。

まとめ

  • 公益通報者保護法を 企業法務の実務で使える形に整理
  • 公益通報者保護法の定義と保護される人:公益通報、内部通報、通報対象事実、公益通報者の違いを確認します。
  • 公益通報者保護法の通報対象と通報先:1号通報、2号通報、3号通報、ハラスメント相談、将来の違反を整理します。
  • 公益通報者保護法による保護と不利益取扱い:解雇無効、派遣契約解除、損害賠償請求の制限、令和7年改正後の推定規定を確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

公益通報者保護法の全体像

通報者保護、適正調査、是正、ガバナンス、説明可能性を一つの制度として整理します。

公益通報者保護法は、勤務先や取引先などで一定の法令違反を認識した労働者等が、不正の目的でなく通報した場合に、解雇、懲戒、契約解除、降格、減給、配置転換などの不利益な取扱いから保護する法律です。単に通報者を守るだけでなく、組織の自浄作用を高め、国民の生命、身体、財産その他の利益に関わる法令遵守を確保することが制度の目的です。

このページは、企業法務、コンプライアンス、内部監査、人事労務、危機管理、監査役・社外役員が、公益通報者保護法を実務に落とし込むための全体像を整理します。2026年6月23日時点で確認できる公的資料を基礎に、現行法と2026年12月1日施行予定の令和7年改正を分けて説明します。

注意このページは一般的な情報提供です。実際の通報、内部調査、不利益取扱い、懲戒、解雇、行政通報、報道機関等への通報、秘密情報の取扱いは、事実関係、就業規則、契約、業法、証拠状況で結論が変わります。個別の対応方針は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

公益通報対応では、通報者を保護しながら、事実を偏りなく調べ、必要な是正まで進めることが重要です。次の表は、企業側の対応を五つの柱に分けたものです。各列は、通報を受けたあとに何を守り、何を記録し、どの部門へつなぐかを読むための入口になります。

実務上の意味確認する視点
通報者保護通報を理由とする不利益取扱い、通報者探索、情報漏えいを防ぎます。誰が通報者情報を見られるか、共有範囲は必要最小限かを確認します。
適正調査通報内容を偏見なく評価し、必要な調査と証拠保全を行います。調査担当者の利益相反、証拠、ヒアリング順序を確認します。
是正・再発防止法令違反があれば停止、被害回復、処分、制度改善を進めます。行政報告、顧客・取引先通知、再発防止策の実行状況を確認します。
ガバナンス経営陣、監査機関、内部監査、法務が適切に関与します。経営幹部関与案件で独立ルートが働くかを確認します。
説明可能性記録、手続、判断理由、通知、開示の整合性を確保します。受付から是正までの記録が後日説明できる形かを確認します。

公益通報制度は、会社と通報者を対立させるための制度ではありません。むしろ、内部で早く不正の兆候を拾い、行政処分、刑事事件、民事責任、報道、取引停止、企業価値の毀損へ広がる前に是正するための早期警戒の仕組みとして読み取ることが重要です。

次の強調欄は、このページ全体で押さえる結論をまとめたものです。制度の目的、通報者保護、調査、是正、記録を別々に考えず、一つの対応サイクルとして読むことが大切です。

公益通報者保護法は、通報窓口だけの法律ではありません

窓口、守秘、調査、是正、再発防止、人事措置、行政対応、監査報告までをつなぐ企業法務・コンプライアンスの中核的な制度です。

Section 01

公益通報者保護法の定義と保護される人

公益通報、内部通報、通報対象事実、公益通報者の違いを確認します。

公益通報と内部通報を分けて考えます

日常用語の内部告発、コンプライアンス相談、ハラスメント相談、苦情、監査情報、匿名投書と、法律上の公益通報は完全には一致しません。受付担当者は、通報者が法律用語で整理してくるとは限らないことを前提に、まず広く受け付け、公益通報に該当する可能性があるものを保護措置へつなげます。

次の表は、似た言葉の違いを整理したものです。概念の違いを読み取ることで、受付時点で「公益通報ではない」と早合点せず、法令上の保護と社内相談対応を分けて設計できます。

概念概要公益通報者保護法との関係
公益通報法定要件を満たす通報です。法律上の保護対象になります。
内部通報会社内部の窓口、上司、外部委託窓口等への通報です。公益通報に該当する場合も、該当しない場合もあります。
コンプライアンス相談法令、規程、倫理上の相談です。公益通報に発展することがあります。
ハラスメント相談パワハラ、セクハラ等の相談です。犯罪行為や罰則・過料対象行為を含む場合は公益通報に該当し得ます。
苦情・不満人間関係、評価、待遇への不満です。通常は公益通報とは限りませんが、労働法令違反を含む場合は確認が必要です。

保護される人の範囲

公益通報者保護法の保護対象は、正社員だけではありません。派遣労働者、一定の退職者、役員も問題になり、令和7年改正では業務委託関係にあるフリーランスと、業務委託関係終了後1年以内のフリーランスも追加されます。

次の一覧は、誰が保護対象になり得るかを整理したものです。雇用形態や契約名ではなく、どの立場で不正情報に接しているか、不利益取扱いがどの形で起き得るかを読み取ることが重要です。

Workers

労働者

正社員、契約社員、パート、アルバイトなど、労働基準法上の労働者に該当する人が保護対象になり得ます。

Dispatch

派遣労働者

派遣先で法令違反を知った場合、派遣契約解除、受入拒否、派遣元での不利益取扱いが問題になります。

Former

退職者

在職中に知った不正を退職後に通報する場面では、再就職妨害や秘密保持義務を名目とする圧力に注意します。

Officers

役員

役員の通報は、取締役会、監査役等、社外取締役、内部統制システムの改善と接続します。

Freelance

フリーランス

令和7年改正後は、業務委託関係のフリーランスと終了後1年以内のフリーランスが保護範囲に加わります。

不正の目的でないこと

公益通報として保護されるには、通報が不正の目的でないことが必要です。競合他社に利益を与える目的、虚偽情報の流布、恐喝目的などがあれば保護が否定される可能性があります。一方で、会社や上司への不満があることだけで直ちに不正目的とはいえません。通報内容の客観性、証拠、経路、通報後の行動を総合して評価します。

通報対象事実を確認します

公益通報の対象は、会社にとって都合の悪い事実すべてではありません。国民の生命、身体、財産その他の利益の保護に関わる対象法律について、犯罪行為、過料対象行為、または最終的に刑罰・過料につながる行為が中心です。

次の表は、通報対象事実になり得る典型分野を整理したものです。分野名だけでなく、刑事罰・過料や行政処分につながる可能性があるかを読み取ると、受付後の初期評価がしやすくなります。

分野初期評価の視点
食品・製品安全食品偽装、期限改ざん、安全基準違反、リコール隠しです。生命・身体への危険、行政報告、回収の要否を確認します。
金融・会計粉飾決算、虚偽開示、インサイダー取引、顧客資産流用です。開示、監査、刑事事件、投資家影響を確認します。
労務違法残業、残業代不払い、労災隠し、外国人雇用に関する違法行為です。労基署対応、記録保全、不利益取扱いを確認します。
独禁・下請カルテル、入札談合、優越的地位濫用、下請法違反につながる行為です。取引先への影響、公正取引委員会・中小企業庁対応を確認します。
個人情報・情報管理個人情報の不正提供、漏えい隠し、アクセス権限濫用です。本人通知、個人情報保護委員会対応、証拠保全を確認します。
刑事横領、背任、贈収賄、詐欺、文書偽造、暴行、脅迫です。証拠保全、関係者隔離、刑事告訴、外部専門家関与を確認します。
Section 02

公益通報者保護法の通報対象と通報先

1号通報、2号通報、3号通報、ハラスメント相談、将来の違反を整理します。

通報先は三つに分かれます

公益通報者保護法では、通報先により保護要件が変わります。内部通報を促す制度設計は重要ですが、社内窓口を必ず先に使わなければ保護しないという考え方は適切ではありません。

次の表は、1号通報、2号通報、3号通報の違いを整理したものです。通報先ごとの列を比べると、会社が内部通報の信頼性を高める理由と、外部通報が保護される場面を読み取れます。

類型通報先保護要件の実務イメージ会社側の注意点
1号通報勤務先、社内窓口、上司、外部委託窓口等です。通報対象事実が生じ、または生じようとしていると思料する場合が中心です。通報者保護、利益相反排除、守秘、調査、是正、通知、記録保管を行います。
2号通報処分・勧告等の権限を有する行政機関です。真実相当性、または氏名や内容などを記載した書面・電磁的記録が問題になります。行政対応と通報者保護を混同せず、通報者探索や報復を防ぎます。
3号通報報道機関、消費者団体、労働組合などです。真実相当性に加え、内部通報で報復や証拠隠滅のおそれがあるなどの事情が問題になります。外部通報を裏切りと捉えず、内部制度が信頼されなかった理由を検証します。

ハラスメントや社内規程違反の扱い

ハラスメント相談は、常に公益通報になるわけではありません。ハラスメント行為そのものに罰則・過料がない場合、直ちに公益通報に該当しないことがあります。ただし、暴行、脅迫、不同意わいせつ、労働基準法違反などを含む場合は公益通報に該当し得ます。公益通報に当たらない場合でも、会社にはハラスメント相談として適切に対応する義務があります。

社内規程違反だけでは公益通報者保護法上の通報対象事実にならない場合があります。ただし、経費精算規程違反の背後に横領、稟議違反の背後に背任、勤怠記録の修正指示の背後に労働基準法違反があるなど、表面的な言葉と法令違反の中身がずれることがあります。

次の判断の流れは、受付担当者が通報内容を初期分類するための順番を示します。上から順に確認すると、通報者保護を先行しながら、公益通報該当性、ハラスメント対応、社内規程違反対応を切り分けやすくなります。

受付時の初期分類

通報内容を広く受け付けます

通報者の属性、対象事実、証拠、緊急性、報復リスクを確認します。

対象法律・罰則・過料につながる可能性を見ます

公益通報に当たるか不明でも、通報者情報の保護を先に進めます。

可能性あり
公益通報対応へ接続

従事者、守秘、調査、是正、通知、記録保管の手順に入ります。

可能性が低い
別制度でも丁寧に対応

ハラスメント、労務相談、規程違反、苦情処理として適切に扱います。

将来起きそうな違反も見落とさないことが大切です。品質検査データの改ざん指示、決算前の架空売上計上指示、行政検査前の記録差し替え指示、労基署調査前の勤怠記録修正指示などは、未然防止の初動として慎重に扱います。

Section 03

公益通報者保護法による保護と不利益取扱い

解雇無効、派遣契約解除、損害賠償請求の制限、令和7年改正後の推定規定を確認します。

公益通報を理由とする不利益取扱いを防ぎます

公益通報を理由とする解雇は無効となります。表向きは能力不足、整理解雇、雇止め、試用期間満了、本採用拒否、退職勧奨など別の理由を掲げていても、実質的に公益通報への報復であれば問題になります。

次の表は、不利益取扱いの典型例を整理したものです。列ごとに、雇用上、人事上、経済上、精神・生活上、取引上のどこに不利益が現れるかを読み取ると、通報後の人事措置を慎重に確認できます。

類型管理上の注意点
雇用上の地位解雇、雇止め、本採用拒否、契約更新拒否、退職強要です。通報との因果関係が疑われやすいため、独立した理由と手続を記録します。
人事上の取扱い降格、配置転換、出向、職務剥奪、昇進停止、人事評価低下です。比較対象者との均衡、評価根拠、通報前からの事情を確認します。
経済的取扱い減給、賞与不支給、手当削減、退職金不支給、契約単価引下げです。処遇変更の根拠規程、算定資料、決定者を記録します。
精神的・生活上の取扱い監視、孤立化、嫌がらせ、誹謗中傷、過大・過少業務、連絡遮断です。管理職研修、相談窓口、フォロー面談で早期発見します。
取引上の取扱い業務委託契約解除、発注停止、取引条件悪化、再委託排除です。令和7年改正後のフリーランス保護も踏まえて契約条項を確認します。

損害賠償請求と秘密情報の扱い

事業者は、公益通報によって損害を受けたことを理由として、公益通報者に損害賠償を請求することが制限されます。会社の信用毀損、行政処分、報道、株価下落などを理由に通報者へ圧力をかけると、通報を萎縮させるため問題になります。

一方で、公益通報に該当しない虚偽情報の流布、秘密情報の不正持出し、不正競争目的、恐喝、名誉毀損などまで常に免責されるわけではありません。通報者にも、他人の正当な利益や公共の利益を害しないよう配慮することが求められます。

令和7年改正後の救済強化

令和7年改正では、通報後1年以内の解雇または懲戒について、公益通報を理由としてされたものと推定する規定が予定されています。外部通報について事業者がその通報を知った場合は、知った日から1年以内が問題になります。

次の一覧は、通報後の人事措置で特に注意すべきリスクを示します。各項目は、会社側が公益通報と無関係であることを説明するために、どの資料を残すべきかを読み取るためのものです。

解雇・懲戒の推定

通報後1年以内は、措置の必要性、相当性、通報との無関係性を記録で説明できる状態が重要です。

直罰と法人重科

改正後は、公益通報を理由とする解雇・懲戒について、行為者への刑罰と法人への3,000万円以下の罰金が問題になります。

人事部門への共有制限

通報者リストを評価者へ不必要に共有すると、報復疑義や情報漏えいにつながります。

処分均衡の確認

通報前から存在した事情、他の従業員との処分均衡、弁明機会、就業規則該当性を整理します。

Section 04

公益通報者保護法の事業者義務と従事者の守秘

301人以上の体制整備義務、従事者指定、30万円以下の罰金、範囲外共有防止を整理します。

301人以上の事業者には体制整備義務があります

公益通報者保護法は、常時使用する労働者の数が300人を超える事業者、実務上は301人以上の事業者に、公益通報対応体制の整備等を義務付けています。300人以下の事業者は努力義務ですが、規模が小さいほど社長や直属上司に近い窓口になりやすく、匿名性、独立性、利益相反排除の設計が重要になります。

次の表は、事業者が整えるべき主な義務を整理したものです。義務ごとに、窓口、従事者、情報管理、調査、教育をどこまで具体化しているかを読み取ることが重要です。

義務内容実務上の確認事項
従事者指定義務公益通報対応業務を行い、通報者特定情報を知る者を従事者として指定します。指定書、辞令、職務記述書、委託契約、研修記録を確認します。
体制整備義務内部通報窓口、調査・是正体制、独立性、中立性、公正性、利益相反排除を整備します。経営幹部関与案件の独立ルートと調査責任者を確認します。
通報者保護措置不利益取扱い、通報者探索、範囲外共有、情報漏えいを防ぎます。アクセス権限、マスキング、共有記録、管理職研修を確認します。
実効性確保措置教育・周知、通知、記録保管、制度見直し、運用実績管理を行います。周知資料、受付記録、調査記録、是正記録、年次レビューを確認します。

従事者と守秘義務

公益通報対応業務従事者とは、内部公益通報の受付、調査、是正措置等を行う者で、通報者を特定させる情報を業務上知る者です。従事者には法律上の守秘義務が課され、違反時には30万円以下の罰金が問題になります。

次の一覧は、従事者指定と守秘を運用する際の要点をまとめたものです。役職名だけで広く指定するのではなく、誰がどの情報にアクセスし、どの範囲で共有できるかを読み取れるようにすることが重要です。

明確な指定

従事者指定書、辞令、職務記述書、内部通報規程、外部委託契約で対象者を明確にします。

指定

通報者特定情報の守秘

氏名、所属、職位、通報時期、文体、添付資料など、組み合わせで特定される情報も守ります。

守秘

共有範囲の限定

通報メールの丸ごと転送、共有フォルダ保存、役員会資料への氏名記載を避けます。

情報管理
調

調査との両立

通報者の同意なく氏名を開示せず、複数情報源、ヒアリング順序、資料の抽象化で調査します。

調査

窓口設置だけでは足りません

内部通報制度でよくある誤解は、メールアドレスや外部窓口を置けば対応が完了するというものです。必要なのは、受付、秘密管理、初期判断、調査要否、利益相反排除、経営幹部関与案件の独立処理、証拠保全、是正、通知、記録保管、制度見直しまでの一連の仕組みです。

次の一覧は、体制整備を窓口から是正まで広げて確認するためのものです。各項目が欠けると、通報を受けても調査や是正へ進まず、外部通報や行政対応へ発展するリスクが高まります。

Access

複数ルート

社内窓口、法務、人事、内部監査、監査役、外部委託窓口など、組織規模に応じた受付ルートを設けます。

Independence

独立性

社長、役員、部門長、法務責任者などが関与する案件では、監査役、社外役員、外部専門家へつなぐ設計にします。

Records

記録保管

受付、初期評価、調査計画、証拠保全、ヒアリング、是正、通知、取締役会・監査役報告を保存します。

Section 05

公益通報者保護法に沿った受付・調査・是正の手順

平時準備から受付、初期評価、証拠保全、ヒアリング、是正、通知、記録保管までを一連の流れで確認します。

平時準備から記録保管までを一連の手順にします

公益通報対応は、通報が来てから考えるものではありません。規程、従事者、窓口、外部専門家、監査役・社外役員ルート、証拠保全、個人情報管理、不利益取扱い防止、制度レビューを平時に整えておく必要があります。

次の時系列は、平時準備から受付、初期評価、調査、是正、通知、記録保管までの順番を示します。各段階の順序を読み取ることで、証拠隠滅、通報者探索、報復、調査の偏りを避けやすくなります。

Phase 0

制度設計と平時準備

内部通報規程、従事者指定、窓口周知、外部専門家、監査役等への報告ルート、証拠保全ルールを整えます。

Phase 1

受付

通報者属性、匿名希望、連絡方法、対象者、時期、場所、証拠、報復リスク、緊急性を把握します。

Phase 2

初期評価

公益通報該当性、重大性、緊急性、調査可能性、利益相反、通報者保護を評価します。

Phase 3

調査計画

調査目的、範囲、担当者、証拠、ヒアリング対象、報告先、情報管理を定めます。

Phase 4

証拠保全

メール、チャット、端末、会計データ、契約書、勤怠、ログ、防犯映像などを改ざん防止に配慮して保全します。

Phase 5

ヒアリング

目的、守秘、虚偽説明や証拠隠滅の禁止、通報者探索禁止を伝え、誘導質問を避けて記録します。

Phase 6

事実認定と法的評価

違反の有無、主体、故意・過失、影響範囲、行政報告、懲戒、再発防止策を整理します。

Phase 7

是正と再発防止

違法行為の停止、被害回復、行政対応、処分、業務改善、研修、監査強化を行います。

Phase 8

通報者への通知

受付、調査開始、調査中、終了、是正措置の実施、不利益取扱い相談窓口を可能な範囲で通知します。

Phase 9

記録保管と制度改善

受付記録、保護措置、調査計画、証拠保全、評価メモ、是正記録、通知記録、報告記録を保管します。

証拠保全とヒアリングの注意点

証拠保全では、メール、チャット、グループウェア、業務端末、スマートフォン、共有フォルダ、会計データ、販売データ、在庫データ、勤怠データ、稟議書、契約書、請求書、検査記録、アクセスログ、入退館記録などが対象になります。重大案件ではデジタルフォレンジック専門家を早期に入れることがあります。

次の一覧は、調査時に守るべきポイントをまとめたものです。左から順に確認すると、証拠保全、通報者保護、対象者の手続的公正、個人情報管理を同時に意識できます。

証拠を先に保全します

調査対象者へ連絡する前に、消えやすいデータ、ログ、映像、会計情報を保全します。

初動

通報者情報を絞ります

氏名や所属を開示せず、調査に必要な事実だけを抽象化して共有します。

守秘

聞き取りの順番を設計します

口裏合わせ、証拠隠滅、通報者探索を防ぐため、対象者、目撃者、関係部署の順番を決めます。

調査

対象者の公正も守ります

名誉、プライバシー、弁明機会、懲戒手続との接続を確認します。

手続

通知と記録が制度への信頼を支えます

通報者への通知がない制度は信頼されにくくなります。ただし、個人情報、懲戒内容、営業秘密、調査対象者の名誉、証拠保全、行政調査との関係から、すべてを開示できるわけではありません。受付通知、調査開始の有無、調査中である旨、調査終了、必要な是正措置を講じた旨、不利益取扱いがあれば相談してほしい旨を、可能な範囲で段階的に伝えます。

Section 06

公益通報者保護法の令和7年改正ポイント

2026年12月1日施行予定のフリーランス保護、通報妨害禁止、通報者探索禁止、推定規定、直罰を整理します。

令和7年改正の全体像

令和7年改正は、公益通報者保護法の実効性を高める改正です。2025年6月11日に公布され、2026年12月1日から施行される予定とされています。企業は、現行法の運用だけでなく、改正後の通報妨害禁止、通報者探索禁止、フリーランス保護、推定規定、直罰、法人重科を見据えて制度を見直す必要があります。

次の一覧は、改正の四つの柱を整理したものです。左から順に、体制整備、保護対象、妨害防止、不利益取扱いの抑止がどのように強化されるかを読み取ります。

01

体制整備の徹底

従事者指定義務違反への命令、命令違反時の刑事罰、立入検査、体制周知義務が問題になります。

02

保護対象の拡大

業務委託関係にあるフリーランスと、業務委託関係終了後1年以内のフリーランスが加わります。

03

通報妨害への対処

正当な理由なく公益通報をしない合意を求める行為などが禁止され、違反した合意等は無効となります。

04

不利益取扱いの抑止

通報後1年以内の解雇・懲戒の推定、直罰、法人への3,000万円以下の罰金が問題になります。

改正ポイントを実務へ落とし込みます

改正対応では、規程の文言を変えるだけでなく、従事者指定、周知、契約条項、人事措置、情報共有、行政対応資料まで見直します。次の表は、改正項目ごとに社内で確認する事項をまとめたものです。どの部門が、いつまでに、どの資料を直すかを読み取ってください。

改正項目内容社内対応
従事者指定義務違反への命令・罰則勧告に従わない場合の命令権、命令違反時の30万円以下の罰金、両罰が問題になります。指定書、研修記録、外部委託契約、運用記録を提示できる状態にします。
立入検査・虚偽報告等への罰則報告徴収に加え、立入検査、報告懈怠、虚偽報告、検査拒否への刑事罰が問題になります。規程、受付記録、周知資料、従事者一覧、是正記録を整理します。
体制周知義務労働者等に対する公益通報対応体制の周知義務が明示されます。窓口、受付対象、保護措置、探索禁止、相談方法を周知します。
フリーランス保護業務委託関係のフリーランスと終了後1年以内のフリーランスが保護範囲に加わります。業務委託契約、秘密保持契約、契約解除条項、取引先行動規範を見直します。
通報妨害禁止公益通報をしない旨の合意を求める行為等が禁止され、違反した合意等は無効になります。退職合意書、和解契約、誓約書、秘密保持条項に公益通報を妨げない例外を入れます。
通報者探索禁止正当な理由なく公益通報者を特定する目的の行為が禁止されます。管理職研修、調査時の質問設計、ログ確認の承認記録、共有範囲の制限を整えます。
解雇・懲戒の推定と直罰通報後1年以内の解雇・懲戒の推定、6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、法人3,000万円以下の罰金が問題になります。通報者への人事措置は法務・コンプライアンスで事前確認し、処分理由と通報との無関係性を記録します。

通報妨害・通報者探索を防ぐ契約と運用

秘密保持条項や退職合意書は必要ですが、公益通報を不当に妨げる形で運用してはいけません。調査協力者に外部へ話したら損害賠償を請求すると警告する、行政機関や報道機関への通報を一切禁止する、匿名通報者を特定するために部署内で聞き回るといった運用は大きなリスクになります。

次の一覧は、改正後に特に見直すべき文書と運用をまとめたものです。契約条項、規程、調査運用、人事決定を横断して読むことで、通報を妨げる表現や通報者探索に見える行動を減らせます。

退職合意書・和解契約

行政機関や報道機関への通報を一切禁止する包括条項を避け、公益通報を妨げない例外を明記します。

秘密保持契約・誓約書

会社の秘密情報を守りつつ、公益通報者保護法に基づく正当な通報を封じない文言にします。

調査時の聞き取り

誰が通報したのかを聞き回らず、事実確認に必要な情報だけを確認し、理由と範囲を記録します。

人事措置の事前確認

通報後1年以内の解雇・懲戒では、通報との無関係性、必要性、相当性、処分均衡を特に丁寧に確認します。

Section 07

公益通報者保護法の横断論点と失敗例

労務、会社法、内部監査、個人情報、営業秘密、危機管理広報、企業規模別対応を確認します。

企業法務・労務・監査・危機管理が交差します

公益通報は、労務、会社法、内部監査、個人情報、営業秘密、グループ会社、危機管理広報と重なります。通報者がハラスメント被害者でもある、評価や懲戒の対象でもある、経営陣が関与している、秘密情報が含まれるといった場面では、単独部署で処理するとリスクを見落としやすくなります。

次の表は、横断的に確認する論点を整理したものです。各行は、どの部門が関与し、どの記録を残すべきかを読み取るための入口です。

領域主な論点実務対応
労務法務不利益取扱い、安全配慮義務、懲戒、配置転換、休職・復職、ハラスメント相談との接続です。人事評価、処分理由、比較対象者、弁明機会、相談窓口連携を記録します。
会社法・ガバナンス内部統制システム、重大不祥事、経営陣関与、監査役・社外取締役への報告です。取締役会・監査役会で、通報件数、重大案件、是正状況、報復申立てを確認します。
内部監査規程適合、従事者指定、守秘教育、受付・調査記録、利益相反排除、是正完了です。制度監査と個別調査の役割を分け、運用実績を検証します。
個人情報保護通報者、被通報者、被害者、目撃者、顧客情報、メンタルヘルス情報です。利用目的、アクセス権限、分離管理、越境移転、保存期間、削除ルールを整理します。
営業秘密・秘密保持証拠提出、秘密情報持出し、情報公開、秘密保持契約との関係です。公益通報を妨げない例外条項と、必要性を超えた情報拡散の防止を両立します。
危機管理広報事実確認前の断定、通報者特定、被害者プライバシー、行政・取引先説明です。調査体制、再発防止、責任の所在を慎重に説明します。

典型的な失敗を先に潰します

公益通報制度が失敗する原因は、難しい法律論だけではありません。通報者を探す、通報メールを丸ごと転送する、被通報者に調査を任せる、受付後に放置する、通報者を問題社員扱いする、外部窓口に任せきる、といった運用上の失敗が制度への信頼を壊します。

次の一覧は、現場で起きやすい失敗と、その防止策をまとめたものです。各項目は、管理職研修、従事者研修、調査マニュアルにそのまま入れられる注意点として読み取れます。

通報者を探す

誰が通報したのかを聞き回る行為は、制度への信頼を破壊します。調査目的と探索目的を明確に分けます。

通報メールを転送する

氏名、メールアドレス、文体、添付資料が広がるため、必要な事実だけをマスキングして共有します。

被通報者に調査を任せる

証拠隠滅、報復、調査の歪曲を避けるため、利益相反者を調査ラインから外します。

受付後に放置する

連絡も調査もない制度は信頼されません。受付通知、調査方針、進捗連絡を可能な範囲で行います。

問題社員扱いする

通報者の人格評価と通報内容の評価を混同せず、事実と証拠に基づいて調査します。

外部窓口に任せきる

外部窓口は入口です。会社内部の調査、是正、再発防止、監査報告が機能して初めて制度になります。

企業規模別に現実的な運用へ落とします

大企業・上場企業、中堅企業、中小企業では、必要な仕組みの厚みが異なります。ただし、どの規模でも、通報者保護、秘密管理、利益相反排除、調査、是正、記録保管は必要です。次の表は、規模ごとの重点施策を整理したものです。

企業規模重点施策注意点
大企業・上場企業グループ共通制度、多言語窓口、経営幹部関与案件の独立調査、監査役・社外取締役への定期報告、通報データ分析です。開示統制、海外子会社、重大案件の適時開示判断と接続します。
中堅企業受付から調査までの標準手順、従事者指定、外部窓口、管理職研修、監査役・社外役員への報告基準です。少人数兼務でも、守秘と利益相反排除を曖昧にしないことが重要です。
中小企業代表者直通以外の相談ルート、社外専門家窓口、簡潔な内部通報規程、不利益取扱い禁止の明文化です。制度の豪華さより、安心して相談できる信頼性が重要です。

専門職・社内機能の役割を分けます

公益通報者保護法対応は、窓口担当者だけでは完結しません。法務、コンプライアンス、内部監査、人事、外部弁護士、社労士、公認会計士、税理士、フォレンジック専門家、個人情報担当、監査役・社外取締役、広報・IRが、案件の性質に応じて連携します。

次の一覧は、主な部門・専門職の役割をまとめたものです。どの段階で誰を巻き込むかを読み取ると、対応の遅れや調査の偏りを抑えやすくなります。

法務・外部専門家

法的評価、規程整備、調査設計、証拠管理、懲戒・訴訟・行政対応を支援します。

法的評価

人事・労務

労務調査、懲戒、配置転換、メンタルヘルス、不利益取扱い防止を担当します。

労務

内部監査・監査役等

制度監査、重大案件の監督、取締役責任、独立ルートを担います。

監督

個人情報・情報管理

通報者情報、調査情報、越境移転、安全管理措置、アクセス権限を管理します。

情報

広報・IR

重大不祥事の公表、取引先・投資家説明、再発防止の説明を担当します。

説明
Section 08

公益通報者保護法の実務チェックリストとまとめ

制度整備、受付、調査、是正・再発防止の確認項目をまとめます。

制度整備チェックリスト

公益通報者保護法対応は、規程があるだけでは足りません。次の表は、制度整備、受付、調査、是正の各段階で確認する項目を整理したものです。左列の段階を追いながら、右列で抜けている記録や運用を読み取ってください。

段階確認項目
制度整備内部通報規程、令和7年改正対応、従事者指定、研修記録、複数窓口、経営幹部関与案件の独立ルート、匿名通報、退職者・派遣労働者・役員・フリーランス対応を確認します。
受付時通報者属性、匿名希望、連絡方法、5W1H、証拠、緊急性、重大性、不利益リスク、通報者特定情報の分離管理、受付通知を確認します。
調査時調査目的・範囲、利益相反者の排除、証拠保全、ヒアリング順序、通報者探索禁止の周知、調査記録、個人情報・秘密情報の共有範囲を確認します。
是正・再発防止法令違反・規程違反の評価、行政報告、自主申告、懲戒・人事措置、被害回復、再発防止、通報者通知、不利益取扱いフォロー、取締役会・監査役等への報告を確認します。

実務上のまとめ

公益通報者保護法は、通報者保護の法律であると同時に、企業の法令遵守、内部統制、危機管理、ガバナンスの法律です。通報を迷惑な告発と見るのではなく、重大不祥事を早期に発見し、会社とステークホルダーを守る情報として扱う必要があります。

次の強調欄は、実務対応の合言葉をまとめたものです。三つの文を順番に読むことで、通報者保護、事実調査、是正の優先順位を確認できます。

通報者を探さない。守る。事実を隠さない。調べる。不正を放置しない。是正する。

経営者から現場管理職までこの三原則を共有できるかどうかが、公益通報者保護法対応の成否を分けます。

令和7年改正により、2026年12月1日から、フリーランス保護、通報妨害禁止、通報者探索禁止、通報後1年以内の解雇・懲戒の推定、直罰、法人重科、従事者指定義務違反に対する命令・立入検査等が加わる予定です。規程、契約、人事、調査、記録、周知を一体で見直すことが重要です。

Section 09

公益通報者保護法のFAQ

よくある疑問を、一般的な制度説明として整理します。

Q1. 公益通報者保護法は、内部告発を奨励する法律ですか。

一般的には、公益通報者保護法は、法令違反を通報した者を不利益取扱いから保護し、組織の自浄作用を高める制度とされています。無責任な情報流布を奨励する法律ではありません。通報者にも、他人の正当な利益や公共の利益を害しないよう配慮することが求められます。

Q2. 会社は外部通報を禁止できますか。

一般的には、行政機関や報道機関等への通報も一定要件の下で保護されるため、一律に禁止することはできないとされています。秘密保持義務は必要ですが、公益通報を不当に妨げる条項や運用は問題になります。具体的な規程や契約条項は、専門家に確認する必要があります。

Q3. 匿名通報にも対応する必要がありますか。

一般的には、匿名通報でも、内容が具体的で証拠があれば重大不祥事の発見につながるとされています。匿名であることだけを理由に放置すると制度不信を招く可能性があります。ただし、追加確認や結果通知には限界があるため、双方向連絡の仕組みを整えることが有用です。

Q4. 通報内容が間違っていた場合、通報者を処分できますか。

一般的には、通報内容が結果的に認められなかっただけで処分することは、不利益取扱いと評価される可能性があります。虚偽であることを知りながら通報した、証拠を捏造した、恐喝目的だったなど別途の事情がある場合は、証拠と手続を慎重に確認する必要があります。

Q5. ハラスメント相談は公益通報に当たりますか。

一般的には、ハラスメント相談が常に公益通報になるわけではないとされています。ただし、暴行、脅迫、不同意わいせつ、労働基準法違反など、犯罪行為や罰則・過料対象行為を含む場合は公益通報に該当し得ます。公益通報に当たらない場合でも、会社にはハラスメント相談として適切に対応する義務があります。

Q6. 300人以下の会社は何もしなくてよいですか。

一般的には、300人以下の事業者は体制整備について努力義務とされています。ただし、不祥事リスク、労務リスク、取引先信用、行政対応を考えると、規模に応じた内部通報制度を整えることが重要です。

Q7. 通報者が誰か分からないと調査できない場合はどうしますか。

一般的には、まず通報者を特定しない方法で調査できないかを検討します。証拠資料、ログ、関係文書、複数のヒアリングなどで代替できる場合があります。どうしても通報者情報が必要な場合は、通報者の同意、必要最小限の共有、共有先限定、記録化が重要です。

Q8. 通報者が通報後に問題行動をした場合、懲戒できますか。

一般的には、公益通報を理由としない独立した懲戒事由があり、就業規則上の根拠、相当性、手続的公正があれば、懲戒が常に禁止されるわけではないとされています。ただし、通報後の懲戒は報復と疑われやすく、令和7年改正後は通報後1年以内の解雇・懲戒について推定規定が働くため、特に慎重な記録と法的確認が必要です。

Q9. 外部弁護士を窓口にすれば安心ですか。

一般的には、外部弁護士窓口は有効ですが、それだけで十分とは限りません。会社内部で調査、是正、再発防止を行う体制、監査機関への報告ルート、通報者保護措置が必要です。また、外部窓口が誰の代理人か、会社への報告範囲、通報者との関係を明確に説明する必要があります。

Q10. 通報対応記録はどのくらい保管すべきですか。

一般的には、一律の期間だけでなく、労務紛争、行政対応、損害賠償、懲戒、内部統制、監査上の必要性を考慮して定める必要があります。保存期間、アクセス権限、削除ルール、通報者情報の分離管理を規程化することが望ましいです。

Guide

公益通報者保護法で次に確認したいこと

目的に近い詳しい解説へ進めるよう、関連するテーマを整理しました。

知りたい内容を選ぶと、手続、費用、地域、具体的な論点などの詳しい解説に進めます。

このテーマから次に確認されやすい詳しい解説を9件表示しています。

Reference

参考資料

法令、消費者庁資料、政府広報オンラインを中心に整理しています。

法令・制度概要

  • e-Gov法令検索「公益通報者保護法」
  • 消費者庁「公益通報者保護制度」
  • 消費者庁「公益通報者保護法と制度の概要」
  • 消費者庁「公益通報者保護法において通報の対象となる法律について」

令和7年改正・指針

  • 消費者庁「改正概要(公益通報者保護法、法定指針)」
  • 消費者庁「公益通報者保護法の一部を改正する法律(令和7年法律第62号)の概要」
  • 消費者庁「令和7年改正に伴う法定指針(内閣府告示)改正内容(概要)」
  • 消費者庁「公益通報者保護法に基づく指針の解説」

事業者向け資料・Q&A

  • 消費者庁「事業者の方へ」
  • 消費者庁「公益通報者保護制度Q&A」
  • 消費者庁「調査・研究」
  • 政府広報オンライン「公益通報者保護法が改正。内部通報制度で不正をストップ!」