上場維持基準から見る市場区分(グロース・スタンダード)選択基準
次の時系列は、上場維持基準を見るときに外せない制度上の節目を示しています。左から右へ時期が進むため、2025年以後の本来基準適用と2030年のグロース市場時価総額見直しを、同じ計画表で管理する必要があると読み取れます。
本来基準の適用
経過措置終了後の基準未適合は、改善期間や上場廃止リスクにつながります。
流動性・純資産の管理
株主数、売買高、流通株式比率25%以上、純資産が正であることを継続管理します。
グロース市場の100億円基準
上場後5年で時価総額100億円以上を目指す計画が重要になります。
市場区分の選択では、上場時基準だけでなく、上場後に維持できるかを必ず検討しなければならない。上場維持基準に適合しない場合、改善期間、監理銘柄・整理銘柄指定、最終的な上場廃止リスクが生じ得る。JPXは、経過措置終了に伴い、2025年3月1日以後に到来する基準日から本来の上場維持基準が適用されていること、基準未適合の場合には原則として改善期間を経て監理銘柄・整理銘柄指定後に上場廃止となります可能性があることを公表している。
5.1 スタンダード市場の上場維持基準
スタンダード市場では、上場内国会社は、概ね次の基準を継続的に維持することが求められます。
次の比較表は、この章の判断要素を列ごとに整理したものです。列の違いを見比べることで、どの条件や数値が実務上の判断に影響するかを読み取れます。
| 項目 | スタンダード市場の上場維持基準 |
|---|---|
| 株主数 | 400人以上 |
| 流通株式数 | 2,000単位以上 |
| 流通株式時価総額 | 10億円以上 |
| 流通株式比率 | 25%以上 |
| 売買高 | 月平均売買高10単位以上 |
| 純資産 | 純資産の額が正であること |
この基準は、「上場したら終わり」ではなく、上場後も公開会社としての最低限の流動性と財務健全性を維持する必要があることを意味します。スタンダード市場を選択する会社は、安定した株主基盤、継続的なIR、配当政策、流通株式比率の管理、株価低迷時の資本政策を検討する必要があります。
5.2 グロース市場の上場維持基準
グロース市場では、概ね次の上場維持基準が定められている。
次の比較表は、この章の判断要素を列ごとに整理したものです。列の違いを見比べることで、どの条件や数値が実務上の判断に影響するかを読み取れます。
| 項目 | グロース市場の上場維持基準 |
|---|---|
| 株主数 | 150人以上 |
| 流通株式数 | 1,000単位以上 |
| 流通株式時価総額 | 5億円以上 |
| 流通株式比率 | 25%以上 |
| 売買高 | 月平均売買高10単位以上 |
| 時価総額 | 現行では40億円以上(上場10年経過後から適用) |
| 時価総額の見直し | 2030年3月1日より100億円以上(上場5年経過後から適用) |
| 純資産 | 純資産の額が正であること |
グロース市場を選択する場合、特に重要なのは時価総額基準です。2030年以降の見直しにより、上場後5年で時価総額100億円以上を目指すことが制度上の重要なマイルストーンとなります。JPXは、グロース市場が「高い成長を目指す企業が集う市場」となりますよう、機能発揮に向けた取組みを進めており、上場維持基準の見直しもその一環です。
5.3 上場維持基準が選択基準に与える影響
上場時にグロース市場の形式要件を満たしていても、上場後の成長が鈍化し、時価総額・流動性が十分に形成されなければ、上場維持上のリスクが高まる。特に、上場時に高い期待でバリュエーションが形成されたものの、上場後に売上成長率、利益率、KPI、プロダクト開発、海外展開、M&A等が計画未達となった場合、株価下落と流動性低下が同時に起き得る。
スタンダード市場でも、流通株式時価総額10億円、流通株式比率25%、売買高、純資産等を維持する必要があります。株価低迷、少数株主の減少、大株主による保有固定化、親子上場における流通性不足、MBO・TOB観測、業績悪化による純資産毀損は、上場維持上のリスクとなります。
したがって、選択基準は、上場できる市場ではなく、上場後も説明責任を果たし、維持できる市場を選ぶ基準でなければならない。
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