2σ Guide

未成年がネットで誹謗中傷した場合の
法的責任

SNS、掲示板、学校内チャット、ゲーム内の発言でも、名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、親権者の監督責任、少年法、学校対応が重なります。年齢だけで結論を決めず、証拠・削除・開示・安全確保を順番に整理するための一般情報です。

18歳 民法上の成年年齢
20歳未満 少年法上の少年
14歳 刑事処罰の境目
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未成年がネットで誹謗中傷した場合の 法的責任

SNS、掲示板、学校内チャット、ゲーム内の発言でも、名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、親権者の監督責任、少年法、学校対応が重なります。

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未成年がネットで誹謗中傷した場合の 法的責任
SNS、掲示板、学校内チャット、ゲーム内の発言でも、名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、親権者の監督責任、少年法、学校対応が重なります。
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  • 未成年がネットで誹謗中傷した場合の 法的責任
  • SNS、掲示板、学校内チャット、ゲーム内の発言でも、名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、親権者の監督責任、少年法、学校対応が重なります。

POINT 1

  • 未成年がネットで誹謗中傷した場合の法的責任の全体像
  • 「未成年だから責任なし」とは限らず、民事・刑事・少年法・学校対応を同時に確認します。
  • 年齢だけで結論を決めない
  • 未成年によるネット上の誹謗中傷は、保護者、被害者、学校、投稿者本人のいずれにとっても深刻な問題です。
  • 「匿名なら特定されない」「本当のことを書いただけなら問題がない」「親が必ず払う」といった理解はいずれも単純化しすぎです。

POINT 2

  • 未成年のネット誹謗中傷で重要な年齢区分
  • 1. 投稿者の年齢を確認:投稿時点の年齢を基準に、民法・少年法・刑法の入口を分けます。
  • 2. 14歳以上か:刑事責任の可能性を分ける中心的な境目です。
  • 3. 刑事・少年事件の可能性:名誉毀損、侮辱、脅迫、業務妨害等の成否と告訴の要否を確認します。
  • 4. 触法少年等の可能性:刑罰は科されなくても、児童相談所、家庭裁判所、学校対応は残ります。
  • 5. 民事責任能力と親権者の監督状況を確認:本人の理解可能性、家庭内ルール、過去の注意、被害後の対応を見ます。

POINT 3

  • 未成年のネット誹謗中傷に当たり得る投稿類型
  • 文章だけでなく、画像、動画、転載、なりすまし、リポスト、チャット内発言も対象になり得ます。
  • 具体的事実で社会的評価を下げる
  • 事実を示さず軽蔑を表す
  • 私生活情報や顔写真を広げる

POINT 4

  • 未成年のネット誹謗中傷で問われる民事責任と親の責任
  • スマートフォンやSNSのルール
  • 利用時間、公開範囲、写真投稿、他人の情報掲載、トラブル時の相談ルートを年齢相応に定めていたかが見られます。
  • 過去のトラブルの把握
  • 以前から同じ相手への中傷、学校からの連絡、被害者側からの警告があったかは重要な事情です。

POINT 5

  • 未成年のネット誹謗中傷と刑事責任・少年法
  • 1. 年齢と投稿内容を確認:14歳以上か、投稿が名誉毀損、侮辱、脅迫、業務妨害等に当たり得るかを整理します。
  • 2. 証拠と安全を優先:脅迫、個人情報の晒し、性的画像、自傷リスクがある場合は、安全確保や警察相談が優先される場面があります。
  • 3. 親告罪と期間を確認:名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪であり、原則として犯人を知った日から6か月以内という期間制限を意識します。
  • 4. 家庭裁判所等の関与を確認:少年法上の少年である場合、教育的措置や保護手続を含む別の観点が加わります。

POINT 6

  • 未成年のネット誹謗中傷でも匿名投稿者は特定され得る
  • 1. 危険情報の有無を確認:脅迫、住所晒し、性的画像、児童の安全に関わる投稿は迅速な通報・削除が優先されやすいです。
  • 2. 投稿情報を保存:本文、画像、URL、日時、アカウント名、プロフィール、前後の会話、拡散先を保存します。
  • 3. 発信者特定が必要か判断:慰謝料請求、再発防止、接触禁止、示談を検討する場合、開示手続が必要になることがあります。
  • 4. ログ保全を急ぐ:削除前の保存と、弁護士等への早期相談を検討します。
  • 5. 通報・削除を進める:安全確保、学校・警察・プラットフォーム窓口への連絡を優先します。

POINT 7

  • 学校内・同級生間のネット誹謗中傷といじめ対応
  • 学校対応と法的対応は役割が異なります。投稿削除だけで終わらせない確認が必要です。
  • 学校対応と法的対応は役割が異なります。
  • 投稿削除だけで終わらせない確認が必要です。
  • 学校対応で重要なのは、「投稿を消したから終わり」としないことです。

POINT 8

  • 未成年のネット誹謗中傷で被害者側・保護者が最初に確認すること
  • 反論や直接接触よりも、証拠保存、安全確保、相談先の使い分け、再発防止を優先して整理します。
  • 被害者側の初動
  • 投稿者側・保護者の初動
  • 被害者側の初動では、反論より先に証拠保存を行います。

まとめ

  • 未成年がネットで誹謗中傷した場合の 法的責任
  • 未成年がネットで誹謗中傷した場合の法的責任の全体像:「未成年だから責任なし」とは限らず、民事・刑事・少年法・学校対応を同時に確認します。
  • 未成年のネット誹謗中傷で重要な年齢区分:民法の未成年、少年法の少年、刑事責任年齢、民事責任能力は同じ意味ではありません。
  • 未成年のネット誹謗中傷に当たり得る投稿類型:文章だけでなく、画像、動画、転載、なりすまし、リポスト、チャット内発言も対象になり得ます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

未成年がネットで誹謗中傷した場合の法的責任の全体像

「未成年だから責任なし」とは限らず、民事・刑事・少年法・学校対応を同時に確認します。

未成年によるネット上の誹謗中傷は、保護者、被害者、学校、投稿者本人のいずれにとっても深刻な問題です。SNS、動画配信サービス、掲示板、匿名質問サービス、学校内チャット、ゲーム内チャット、コメント欄、リポスト、スクリーンショットの転載は短時間で広がり、削除後も保存されやすい性質があります。

「冗談」「内輪のノリ」「鍵付きだから大丈夫」と考えた投稿でも、被害者の名誉、プライバシー、学校生活、進学、就職、事業活動に現実の損害を生じさせることがあります。誹謗中傷という言葉自体は一つの犯罪名や請求名ではなく、投稿内容を名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、名誉感情侵害、信用毀損、業務妨害、脅迫、強要、肖像権侵害、著作権侵害、いじめなどに分解して検討します。

次の比較表は、未成年のネット誹謗中傷で同時に確認される三つの層を表します。被害回復や再発防止の進め方を間違えないために重要で、左列で手続の種類、中央列で問題になる責任、右列で実務上の焦点を読み取ってください。

問題になる責任・手続実務上の焦点
民事責任損害賠償、慰謝料、削除、発信者情報開示、示談未成年本人に民事責任能力があるか、親権者に監督義務違反があるか、証拠が残っているか
刑事責任名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪、信用毀損・業務妨害罪等14歳以上か、親告罪として告訴できるか、悪質性・反復性・被害の重大性があるか
少年法・学校対応少年事件、触法少年、いじめ防止、学校調査、再発防止14歳未満でも児童相談所・家庭裁判所等の関与があり得るか、学校が適切に対応したか

「匿名なら特定されない」「本当のことを書いただけなら問題がない」「親が必ず払う」といった理解はいずれも単純化しすぎです。年齢、投稿内容、公開範囲、被害者の属性、投稿の回数、削除・謝罪の有無、親の監督状況、学校の関与、証拠保存の状態によって結論は大きく変わります。

次の重要ポイントは、このページ全体の読み方をまとめたものです。最初に結論の軸を押さえることで、後続の年齢・責任・手続の説明を自分の状況に機械的に当てはめず、確認すべき要素として読めます。

年齢だけで結論を決めない

未成年のネット誹謗中傷は、刑事処罰の可否、民事責任能力、親権者の監督状況、学校のいじめ対応、投稿の保存状態を分けて見る必要があります。

Section 01

未成年のネット誹謗中傷で重要な年齢区分

民法の未成年、少年法の少年、刑事責任年齢、民事責任能力は同じ意味ではありません。

民法上の成年年齢は18歳です。令和4年4月1日から成年年齢が20歳から18歳へ引き下げられたため、現在の民法では原則として18歳未満が未成年者です。17歳以下の投稿では、本人の責任能力と親権者等の監督責任が問題になります。

少年法上の「少年」は20歳に満たない者です。18歳・19歳は民法上は成年でも、少年法上はなお少年として扱われ、家庭裁判所の手続などが関係することがあります。検察庁の説明でも、14歳以上で罪を犯した「犯罪少年」、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした「触法少年」などが整理されています。

次の比較表は、年齢ごとにどの制度が問題になりやすいかを整理したものです。年齢によって入口となる手続が変わるため重要で、各行の「意味」と「誹謗中傷での見方」を分けて確認してください。

区分意味誹謗中傷での見方
18歳未満民法上の未成年者本人の民事責任能力と、親権者等の監督責任を確認します。
20歳未満少年法上の少年18歳・19歳でも少年法上の手続が関係することがあります。
14歳未満刑法41条により刑事処罰を受けない年齢刑罰は科されませんが、触法少年として児童相談所や家庭裁判所の関与があり得ます。
民事責任能力自己の行為の責任を弁識できる知能14歳以上かどうかだけでなく、発達、投稿内容、理解可能性、学校教育や家庭環境を総合して見ます。

刑法41条は、14歳に満たない者の行為は罰しないと定めます。これは刑事処罰の問題です。他方、民法712条は、未成年者が他人に損害を加えた場合に、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは賠償責任を負わないと定めます。

次の判断の流れは、年齢と責任の入口を上から順に確認するためのものです。刑事処罰の有無と民事責任・学校対応は別問題であるため重要で、分岐の先に残る手続を読み取ってください。

年齢と責任の確認順序

投稿者の年齢を確認

投稿時点の年齢を基準に、民法・少年法・刑法の入口を分けます。

14歳以上か

刑事責任の可能性を分ける中心的な境目です。

14歳以上
刑事・少年事件の可能性

名誉毀損、侮辱、脅迫、業務妨害等の成否と告訴の要否を確認します。

14歳未満
触法少年等の可能性

刑罰は科されなくても、児童相談所、家庭裁判所、学校対応は残ります。

民事責任能力と親権者の監督状況を確認

本人の理解可能性、家庭内ルール、過去の注意、被害後の対応を見ます。

Section 02

未成年のネット誹謗中傷に当たり得る投稿類型

文章だけでなく、画像、動画、転載、なりすまし、リポスト、チャット内発言も対象になり得ます。

ネット上の発信は文章だけに限られません。SNS投稿、返信、引用投稿、リポスト、匿名掲示板、質問箱、動画やライブ配信のコメント、切り抜き動画への字幕、学校や部活動のグループチャット、ゲーム内チャット、他人の個人情報の掲載、スクリーンショットの転載、加工画像、音声、AI生成画像、なりすまし、偽レビュー、虚偽通報、炎上目的の拡散も法的責任の対象になり得ます。

公開アカウントでなくても問題は起こります。鍵付きアカウント、少人数チャット、期間限定投稿、消えるメッセージでも、参加者数、転送可能性、保存可能性、実際の拡散状況により被害が広がります。学校内では、数人のグループ内投稿でも被害者に与える心理的影響が大きく、いじめとして扱われることがあります。

次のポイント一覧は、投稿内容をどの法的類型に分けて見るかを表します。請求や相談先の方向性を整理するために重要で、各項目では「何をしたか」と「どの権利・犯罪が問題になりやすいか」を読み取ってください。

名誉毀損

具体的事実で社会的評価を下げる

「万引きをした」「不正受験をした」「店が食中毒を隠した」など、読み手が真偽を判断できる事実を示す投稿が問題になります。

侮辱

事実を示さず軽蔑を表す

「きもい」「無能」などの軽蔑的評価、顔写真への侮辱的な加工、グループチャットでの嘲笑が問題になります。

プライバシー

私生活情報や顔写真を広げる

住所、学校名、病歴、家族情報、交際関係、位置情報、顔写真を無断で公開すると、悪口が少なくても違法になり得ます。

信用・業務

店舗や企業の信用を傷つける

虚偽レビュー、なりすまし、根拠のない犯罪・不正の指摘で問い合わせが殺到した場合、信用毀損や業務妨害が問題になります。

名誉毀損は「本当ならよい」とは限りません

刑法230条の名誉毀損罪は、公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した場合に成立し得ます。現行法上、法定刑は3年以下の拘禁刑又は50万円以下の罰金です。刑法230条の2には、公共の利害、公益目的、真実性の証明などに関する特例がありますが、学校内の交際関係、家庭事情、病歴、障害、成績、性に関する情報、過去のトラブル、アルバイト先の噂は、一般に公共性・公益性が認められにくい領域です。

次の比較表は、投稿例ごとに問題になりやすい類型を示します。似た表現でも、事実の有無や相手の特定性により扱いが変わるため重要で、投稿文の文脈と一緒に確認してください。

投稿例主に問題になる類型注意点
「Aは万引きをした」名誉毀損具体的事実を示し、社会的評価を下げる可能性があります。
「Aはゴミだ」侮辱、名誉感情侵害具体的事実がなくても軽蔑的評価として問題になり得ます。
顔写真に侮辱的な文字を入れて投稿侮辱、肖像権侵害、プライバシー侵害写真の無断利用と文脈の両方が問題になります。
「この店は詐欺をしている」名誉毀損、信用毀損、業務妨害企業・店舗の信用や問い合わせ対応コストに直結します。
「写真をばらまく」「家を燃やす」脅迫、強要、恐喝等身体・生活の安全に関わる場合は安全確保と警察相談が優先される場面があります。

表現の自由との関係

政治、行政、企業活動、学校運営、消費者被害などについて批判や意見表明をすることは社会的に重要です。ただし、表現の自由は、他人の名誉、プライバシー、人格、生命身体の安全を侵害する自由ではありません。事実と意見を区別し、根拠を示し、必要以上に個人を特定せず、人格攻撃ではなく問題点を批判する姿勢が重要です。

Section 03

未成年のネット誹謗中傷で問われる民事責任と親の責任

本人の不法行為責任、親権者の監督義務者責任、示談での対応を分けて確認します。

民法709条は、故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者に損害賠償責任を負わせます。未成年者であっても、自己の行為の意味を理解できる程度の能力がある場合、本人が民事上の責任を負うことがあります。中学生・高校生のネット投稿では、投稿が相手を傷つけ、社会的評価を下げ、拡散し得ることを理解できたと評価される場面があります。

次の比較表は、ネット誹謗中傷で問題になり得る損害項目を整理したものです。慰謝料だけで終わらないことを理解するために重要で、被害が個人・学校生活・事業活動のどこに広がったかを読み取ってください。

損害項目内容確認資料の例
慰謝料精神的苦痛に対する損害投稿内容、回数、期間、拡散範囲、謝罪・削除の有無
開示・削除費用発信者情報開示、削除請求、仮処分、交渉に関する費用申立書、請求履歴、弁護士費用相当額の資料
生活・健康被害受診、カウンセリング、登校困難、転校・休学等に伴う損害診療記録、学校連絡、欠席記録、相談履歴
事業上の損害売上減少、信用回復費用、問い合わせ対応コスト売上資料、問い合わせ履歴、対応記録
二次被害対応画像・動画の再拡散、別アカウント投稿への対応拡散先URL、投稿日時、アカウント情報

未成年者本人に民事責任能力がない場合、民法714条により、法定の監督義務者が損害賠償責任を負うことがあります。親権者は典型的な監督義務者です。ただし、監督義務を怠らなかった場合や、監督義務違反がなくても損害が生じた場合には、責任を免れる余地があります。

次の注意要素一覧は、親権者・保護者の責任が問題になる場面で確認されやすい事情をまとめています。親が常に全投稿を監視するという単純な話ではないため重要で、過去の把握、家庭内ルール、被害後の対応の順に確認してください。

スマートフォンやSNSのルール

利用時間、公開範囲、写真投稿、他人の情報掲載、トラブル時の相談ルートを年齢相応に定めていたかが見られます。

過去のトラブルの把握

以前から同じ相手への中傷、学校からの連絡、被害者側からの警告があったかは重要な事情です。

注意・指導の実施

保護者が問題を知った後に投稿停止、削除、謝罪、再発防止に向けて相当な対応をしたかが確認されます。

放置・助長と評価される事情

被害者から連絡を受けても止めない、端末やアカウント管理ができるのに継続投稿を許す場合、親自身の過失が問題になり得ます。

示談実務では、未成年者本人だけでなく保護者が中心になることが多くあります。被害者側は、削除、投稿停止、再発防止、謝罪、損害賠償、秘密保持、接触禁止、学校内対応などを求めることがあります。感情的な反論や被害者への直接接触を避け、証拠を確認し、必要に応じて弁護士等の専門家へ相談することが重要です。

Section 04

未成年のネット誹謗中傷と刑事責任・少年法

14歳未満は刑罰を受けませんが、触法少年、学校対応、民事責任は別に残ります。

14歳未満の行為は、刑法41条により刑事処罰の対象になりません。13歳以下の子どもが刑罰法令に触れる中傷投稿をしても、刑罰として罰金や拘禁刑を科されることはありません。しかし、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年は、触法少年として児童相談所や家庭裁判所の関与対象になり得ます。

14歳以上の少年が名誉毀損、侮辱、脅迫、業務妨害等に当たる投稿をした場合、刑事責任が問題になり得ます。ただし、20歳未満であれば少年法の手続が関係し、成人の刑事事件と同じ進み方とは限りません。

次の時系列は、刑事責任・少年法を考えるときの主な確認順序を表しています。年齢と告訴期間、警察相談、家庭裁判所の関与を混同しないために重要で、上から順にどの時点で何を確認するかを読んでください。

投稿時点

年齢と投稿内容を確認

14歳以上か、投稿が名誉毀損、侮辱、脅迫、業務妨害等に当たり得るかを整理します。

被害判明後

証拠と安全を優先

脅迫、個人情報の晒し、性的画像、自傷リスクがある場合は、安全確保や警察相談が優先される場面があります。

告訴検討

親告罪と期間を確認

名誉毀損罪と侮辱罪は親告罪であり、原則として犯人を知った日から6か月以内という期間制限を意識します。

少年手続

家庭裁判所等の関与を確認

少年法上の少年である場合、教育的措置や保護手続を含む別の観点が加わります。

侮辱罪は、令和4年改正により法定刑が引き上げられました。さらに令和7年6月1日から懲役・禁錮が廃止され拘禁刑が創設されたため、現行条文では1年以下の拘禁刑若しくは30万円以下の罰金又は拘留若しくは科料という構造で理解されます。処罰範囲が無限定に広がったわけではありませんが、悪質な侮辱行為に対する法的評価は重くなっています。

注意反復的・集団的な侮辱、画像や個人情報を伴う攻撃、被害者の自傷リスクを高めるような投稿は、未成年者によるものでも刑事事件化のリスクが高まります。
Section 05

未成年のネット誹謗中傷でも匿名投稿者は特定され得る

削除を急ぐ場面と、発信者情報開示のために証拠・ログ保全を優先する場面を分けます。

SNSや掲示板の投稿で被害を受けた場合、被害者は一定の要件の下で、コンテンツプロバイダやアクセスプロバイダ等に対し、発信者情報の開示を求めることができます。投稿URL、投稿日時、アカウント情報、ログ、IPアドレス、契約者情報などが重要で、ログは時間の経過により消える可能性があります。

旧プロバイダ責任制限法は、令和6年改正により名称・制度が変更され、情報流通プラットフォーム対処法として運用されています。令和7年4月1日に施行され、大規模プラットフォーム事業者について削除対応の迅速化や運用状況の透明化に関する規律が整備されました。

次の判断の流れは、削除と発信者特定の優先順位を整理するためのものです。投稿を消すと確認できる情報が失われることがあるため重要で、上から順に危険性、証拠、削除申出、開示検討の順番を確認してください。

削除と発信者特定の優先順位

危険情報の有無を確認

脅迫、住所晒し、性的画像、児童の安全に関わる投稿は迅速な通報・削除が優先されやすいです。

投稿情報を保存

本文、画像、URL、日時、アカウント名、プロフィール、前後の会話、拡散先を保存します。

発信者特定が必要か判断

慰謝料請求、再発防止、接触禁止、示談を検討する場合、開示手続が必要になることがあります。

必要性が高い
ログ保全を急ぐ

削除前の保存と、弁護士等への早期相談を検討します。

危険除去が優先
通報・削除を進める

安全確保、学校・警察・プラットフォーム窓口への連絡を優先します。

次の比較表は、保存すべき証拠と、その証拠がどの手続で役立つかをまとめています。スマートフォンの画面だけではURLや日時が不十分なことがあるため重要で、各項目を複数の方法で残せているかを確認してください。

保存するものなぜ重要か読み取りたい情報
投稿本文、画像、動画、音声権利侵害の内容を示します。名誉、プライバシー、侮辱、脅迫等のどれが問題か
URL、投稿日時、閲覧日時開示・削除・告訴の入口になります。投稿の特定、ログ保全の緊急性、期間制限
アカウント名、ID、プロフィール投稿者や関連アカウントの特定に役立ちます。なりすまし、同一人物性、前後の投稿
引用投稿、リポスト、コメント拡散範囲と二次被害を示します。被害の広がり、反復性、集団性
学校・相手方・平台への連絡履歴初動対応と再発防止の経過を示します。連絡日時、対応内容、削除依頼の結果

被害者が怒りに任せて相手を晒すと、逆に名誉毀損やプライバシー侵害の加害者になり得ます。相手の主張が不当でも、手段が違法であれば二次紛争が広がります。

Section 06

学校内・同級生間のネット誹謗中傷といじめ対応

学校対応と法的対応は役割が異なります。投稿削除だけで終わらせない確認が必要です。

いじめ防止対策推進法は、いじめを、児童等に対して一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為で、インターネットを通じて行われるものを含み、対象児童等が心身の苦痛を感じているものと定義しています。同級生がSNSやグループチャットで誹謗中傷をした場合、名誉毀損・侮辱とは別に、学校はいじめ対応として事実確認、被害児童生徒への支援、加害児童生徒への指導、保護者への助言、再発防止を検討します。

学校対応で重要なのは、「投稿を消したから終わり」としないことです。スクリーンショットが残っているか、別アカウントで拡散していないか、被害者が登校困難になっていないか、加害側が謝罪を口実に再接触していないか、クラスや部活動で二次被害が起きていないかを確認します。

次の比較表は、よくある場面ごとに、学校対応と法的対応の両面から確認すべき点を示します。校内の人間関係と法律問題が重なるため重要で、投稿場所、相手の特定性、拡散の有無を読み取ってください。

場面問題になりやすい点確認ポイント
クラスLINEで同級生を侮辱侮辱、名誉感情侵害、いじめ参加者数、被害者への伝わり方、保存・拡散の有無
匿名掲示板に「同級生が万引きした」と投稿名誉毀損、学校内の噂の拡散事実摘示、公共性・公益目的の有無、被害者特定性
元交際相手の写真や秘密を投稿名誉毀損、侮辱、プライバシー侵害、肖像権侵害性的画像、脅し、削除の緊急性、二次拡散
店舗や先生への虚偽レビュー信用毀損、業務妨害、名誉毀損虚偽の事実、問い合わせ被害、投稿者の意図
リポストや引用だけをした拡散行為としての責任侮辱的コメント、虚偽情報の拡散意図、攻撃のあおり

学校は裁判所でも警察でもないため、損害賠償の支払いや発信者情報開示を直接命じる機関ではありません。一方で、学校は教育的対応、事実確認、保護者連絡、記録化、関係機関との連携を担います。被害者側は、学校対応と法的対応を混同せず、必要に応じて弁護士、警察、法務局、相談機関を併用することが重要です。

Section 07

未成年のネット誹謗中傷で被害者側・保護者が最初に確認すること

反論や直接接触よりも、証拠保存、安全確保、相談先の使い分け、再発防止を優先して整理します。

被害者側の初動

被害者側の初動では、反論より先に証拠保存を行います。投稿が存在したこと、投稿者、日時、URL、文脈、拡散状況を示す資料が重要です。身体の危険、脅迫、住所晒し、性的画像、児童の安全に関わる投稿では、安全確保や警察相談が優先される場面があります。

次の対応一覧は、被害者側が最初に整理する項目を目的別に示します。相談先や手続を誤らないために重要で、左の項目名から目的を確認し、本文で保存・相談・注意の内容を読み取ってください。

01

証拠保存

投稿本文、画像、URL、日時、アカウント情報、引用投稿、拡散先、被害者が特定される理由を保存します。

保存早期
02

反撃を避ける

相手を晒す投稿や、家族・学校名を出す投稿は、二次紛争を拡大させる可能性があります。

冷静化二次被害
03

相談先の選択

危険や犯罪性は警察、削除方法は相談センターやプラットフォーム窓口、開示・損害賠償・示談は弁護士等へ目的別に相談します。

役割分担

投稿者側・保護者の初動

未成年者が投稿者側であると判明した場合、保護者は「相手も悪い」「子どもの冗談」「証拠がない」と即断せず、投稿・端末・アカウント・チャット履歴を確認します。削除は被害拡大防止のため必要な場合がありますが、削除前に内容、URL、日時、アカウント、相手方の反応を記録しておくことが重要です。

次の対応一覧は、投稿者側・保護者が避けるべき行動と、先に確認する事項を整理したものです。初動を誤ると刑事事件化、損害賠償額の増加、学校対応の悪化、二次炎上につながるため重要で、各項目から「止める」「確認する」「相談する」の順序を読み取ってください。

01

継続投稿を止める

別アカウントでの継続投稿、友人への口裏合わせ、被害者への圧力、証拠隠滅と受け取られる行動を避けます。

停止
02

事実関係を聞き取る

誰が投稿したのか、共同投稿か、他人の端末を使ったか、スクリーンショットを誰に送ったか、学校や警察から連絡があるかを確認します。

確認
03

謝罪・示談の内容を整理

直接DMを繰り返す、学校で会わせて謝らせる、感情的に電話する行為は逆効果になることがあり、削除、謝罪、接触禁止、再発防止、慰謝料、秘密保持を整理します。

再発防止

次の比較表は、相談目的ごとの主な相談先をまとめたものです。相談先によってできることが異なるため重要で、目的に合う窓口を選び、記録や証拠を持参できるように準備してください。

目的主な相談先準備したい資料
身体の危険、脅迫、犯罪性警察、110番、警察署、警察の相談窓口投稿、脅迫文言、相手情報、危険の具体性
削除方法の助言違法・有害情報相談センター、法務局人権相談、各プラットフォーム窓口投稿URL、画面保存、削除依頼履歴
発信者特定、損害賠償、仮処分、示談弁護士URL、日時、アカウント、被害状況、相手方とのやり取り
学校内いじめ、同級生間トラブル学校、教育委員会、スクールカウンセラー、弁護士学校への相談履歴、欠席・体調資料、投稿の保存
企業・店舗の信用毀損弁護士、広報・危機管理担当、警察売上や問い合わせ被害、投稿の拡散状況、顧客対応記録
早期相談匿名投稿ではログ保存期間が問題になります。様子を見る期間が長くなると、発信者特定が難しくなることがあります。
Section 08

未成年のネット誹謗中傷に関するFAQ

一般的な制度説明として整理します。個別の結論は投稿内容や証拠関係で変わります。

Q1. 未成年が投稿した場合、慰謝料の問題は生じませんか。

一般的には、未成年本人に民事責任能力がある場合は本人の不法行為責任が問題になり、責任能力がない場合でも親権者等の監督義務者責任が問題になり得るとされています。ただし、年齢、発達、投稿内容、拡散範囲、親の監督状況によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 14歳未満なら犯罪として扱われないだけですか。

一般的には、14歳未満は刑事処罰を受けない一方で、触法少年として児童相談所・家庭裁判所の関与があり得るとされています。ただし、投稿内容、被害の重大性、学校や家庭の状況によって対応は変わる可能性があります。民事責任、親権者責任、学校のいじめ対応、削除・開示の問題も別に確認する必要があります。

Q3. 投稿を消せば責任はなくなりますか。

一般的には、削除は被害拡大防止の点で重要ですが、投稿時点の権利侵害が消えるわけではないとされています。ただし、削除の時期、謝罪、再発防止、拡散状況、被害の程度によって評価は変わる可能性があります。証拠保存と削除の順序は、具体的な事情を整理したうえで専門家に相談する必要があります。

Q4. 鍵付きアカウントやグループチャットなら問題になりませんか。

一般的には、参加者数、関係性、転送可能性、スクリーンショットによる拡散可能性、実際の拡散状況によって評価が変わるとされています。学校内では少人数のやり取りでもいじめとして扱われることがあります。具体的な見通しは、投稿画面、参加者、前後の会話を整理して確認する必要があります。

Q5. 「死ね」「きもい」だけなら名誉毀損ではありませんか。

一般的には、具体的事実を示していない表現は名誉毀損ではなく、侮辱や名誉感情侵害として問題になることが多いとされています。ただし、文脈、反復性、相手の特定性、脅しの有無、学校内の被害状況によって、脅迫やいじめ等の観点も加わる可能性があります。

Q6. 相手も先に悪口を言っていた場合、責任はなくなりますか。

一般的には、相手の先行行為は違法性、損害額、過失相殺、示談条件などで考慮されることがあるとされています。ただし、反撃として名誉毀損、侮辱、個人情報晒しを行った場合、その投稿自体が別の問題になる可能性があります。具体的な対応は、双方の投稿と時系列を整理して相談する必要があります。

Q7. 学校に相談すれば法的手続は不要ですか。

一般的には、学校は教育的対応やいじめ対応を担いますが、損害賠償、発信者情報開示、仮処分、刑事告訴を代行する機関ではないとされています。ただし、学校対応で解決に近づく場合もあれば、法的対応を並行して検討する必要がある場合もあります。被害状況と目的に応じて相談先を分けることが重要です。

Q8. 弁護士等へ相談する前に何を準備するとよいですか。

一般的には、投稿のスクリーンショット、URL、日時、アカウント情報、被害者が特定される理由、拡散状況、学校や相手方とのやり取り、削除依頼履歴、被害資料をまとめると相談が進みやすいとされています。ただし、匿名投稿ではログ保存の観点から時間が重要になるため、準備に時間をかけすぎず早期相談を検討する必要があります。

Reference

参考情報・主要公的資料

法令、公的機関、裁判所、相談機関の資料名を整理しています。

法令・制度

  • e-Gov法令検索「刑法」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「少年法」
  • e-Gov法令検索「刑事訴訟法」
  • 情報流通プラットフォーム対処法関連情報サイト

公的機関・相談機関

  • 法務省「侮辱罪の法定刑の引上げ Q&A」
  • 法務省「拘禁刑下の矯正処遇等について」
  • 法務省「民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について」
  • 検察庁「少年事件について」
  • 東京地方裁判所「発信者情報開示命令申立て」
  • 警察庁「インターネット上の誹謗中傷等への対応」
  • 文部科学省「いじめ防止対策推進法」
  • 違法・有害情報相談センター