起訴とは、原則として検察官が裁判所に刑事裁判を求める手続です。逮捕・送検・勾留・不起訴・略式起訴・保釈・前科との違いを、一般向けに整理します。
起訴とは、原則として検察官が裁判所に刑事裁判を求める手続です。
有罪確定ではなく、刑事裁判を求める手続であることが出発点です
起訴とは、検察官が特定の人について刑事裁判で審理し、必要な刑罰を科すべきだと判断して、裁判所に裁判を求める手続です。法律上は「公訴の提起」と呼ばれます。警察に捕まったこと、事件として捜査されたこと、送検されたこととは意味が違います。
起訴されると、捜査の対象だった「被疑者」は、刑事裁判の当事者である「被告人」になります。ただし、起訴は有罪の確定ではありません。刑事裁判では、検察官が有罪を立証する責任を負い、裁判所が証拠に基づいて有罪・無罪や刑の内容を判断します。
次の3つの視点は、起訴とは何かを誤解しないための重要ポイントを示しています。どの項目も、起訴を「裁判の入口」として読み取り、有罪判決や前科とは段階を分けて考えるために重要です。
起訴がなければ、原則として通常の刑事裁判は始まりません。検察官が裁判所に起訴状を提出することで審理の対象が定まります。
警察官は捜査をしますが、原則として起訴する権限はありません。検察官が証拠と処罰の必要性を検討します。
起訴後に有罪となるか、無罪となるか、どのような刑が科されるかは、公判での証拠調べと裁判所の判断によります。
起訴、公訴、起訴状、被疑者、被告人の関係を確認します
刑事訴訟法247条は、公訴は検察官が行うと定めています。一般用語では「起訴」、法律用語では「公訴の提起」と表現され、通常は同じ意味で使われます。実務的には、検察官が裁判所に起訴状を提出することで、刑事裁判の対象となる事件が裁判所に係属します。
起訴を専門的に整理すると、検察官が、特定の被告人と特定の公訴事実について、裁判所の審判を求める行為です。誰が起訴できるか、どの裁判所に提起するか、起訴状に何を書くか、公訴時効や親告罪の訴訟条件を満たしているか、といった論点がここに関係します。
次の比較表は、起訴前後で人の呼び方と立場がどう変わるかを表しています。名称の違いは手続上の段階を示すため、報道や会話で使われる言葉と法律上の言葉を分けて読むことが重要です。
| 用語 | 主な場面 | 意味 | 読み取るポイント |
|---|---|---|---|
| 被疑者 | 起訴前 | 犯罪の疑いを受け、捜査対象となっている人 | 報道で「容疑者」と呼ばれることがありますが、刑事訴訟法上は被疑者が基本用語です。 |
| 被告人 | 起訴後の刑事事件 | 検察官に起訴され、刑事裁判の対象となった人 | 起訴後の呼び方であり、有罪確定を意味しません。 |
| 被告 | 民事事件 | 原告から訴えられた側の当事者 | 刑事事件の被告人とは異なります。刑事事件では「被告人」と表現するのが正確です。 |
起訴後は、裁判所で刑事裁判が始まり、起訴状の提出、第1回公判期日の指定、冒頭手続、証拠調べ、論告・求刑、弁論、最終陳述、判決へと進みます。裁判員裁判対象事件では、公判前整理手続で争点や証拠が整理されます。
また、保釈は原則として起訴後の被告人について問題となる制度です。起訴前に身柄解放を求める場合は、勾留請求への意見、準抗告、勾留取消し、処分保留での釈放など、別の枠組みで検討されます。
事件発生から判決までの順番と、逮捕事件の期限を整理します
起訴を理解するには、捜査から裁判までの一連の順番を見る必要があります。次の時系列は、上から下へ進むほど手続が後の段階へ進むことを表し、起訴が捜査段階と裁判段階を分ける節目であることを読み取るために重要です。
警察や検察が、被害申告、通報、職務質問、告訴・告発などをきっかけに捜査を始めます。
在宅で取調べを受ける場合も、逮捕されて身体拘束を受ける場合もあります。
検察官は証拠、供述、被害状況、処罰の必要性などを検討します。
起訴されれば裁判段階へ進み、不起訴なら通常は刑事裁判が始まりません。
公判請求、略式命令請求、判決、上訴、刑の執行などが問題になります。
逮捕された事件では、身体拘束に厳格な期限があります。次の比較表は、誰が、いつまでに、何を判断するかを示しており、逮捕直後の対応が短期間で進むことを読み取るために重要です。
| 段階 | 主体 | 期間・判断の概要 | 実務上の意味 |
|---|---|---|---|
| 逮捕後 | 警察 | 48時間以内に釈放または検察官へ送致 | 家族や弁護人との連絡、勤務先対応、供述方針の整理が急がれる時期です。 |
| 送致後 | 検察官 | 24時間以内、かつ逮捕から72時間以内に勾留請求・起訴・釈放を判断 | 勾留されるか、在宅へ移るかの重要な節目です。 |
| 被疑者勾留 | 裁判官・検察官 | 原則10日間、必要に応じて最大10日以内の延長が問題になる | 身柄事件では、逮捕から最大23日程度で起訴・不起訴の方向性が決まることが多くあります。 |
逮捕後の判断は連続して進みます。次の判断の流れは、どこで釈放、勾留請求、起訴、不起訴が問題になるかを表しており、上から下へ進む順番と分岐ごとの意味を読むことが重要です。
有罪確定ではなく、捜査段階の身体拘束です。
警察が釈放または検察官送致を判断します。
勾留請求、起訴、釈放などを検討します。
捜査が続き、身体拘束と生活への影響が大きくなります。
呼出し対応、証拠整理、被害者対応などが重要になります。
逮捕されずに捜査が進む在宅事件では、48時間・72時間・10日間といった身体拘束の期限は直接には問題になりません。そのため、起訴・不起訴の判断まで数週間から数か月、事案によってはそれ以上かかることがあります。在宅のまま起訴される場合もあり、逮捕されていないことだけで軽い事件だと決めつけることはできません。
正式な刑事裁判、略式手続、即決裁判手続の違いを確認します
起訴には、公開の法廷で審理される公判請求と、簡易裁判所の書面審理で罰金または科料を求める略式命令請求があります。次の比較表は、手続の違いと注意点を並べており、起訴後の見通しや前科への影響を読むために重要です。
| 種類 | 意味 | 対象・特徴 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 公判請求 | 公開の法廷で正式な刑事裁判を求める起訴 | 争いのある事件、重大事件、拘禁刑が見込まれる事件などで問題になりやすい | 公判期日、証拠調べ、判決、上訴が問題になります。 |
| 略式命令請求 | 簡易裁判所の書面審理で罰金または科料を求める手続 | 明白・簡易な事件で、100万円以下の罰金または科料に相当する場合など | 略式命令が確定すれば罰金刑等が確定します。法廷に行かないから前科にならない、という意味ではありません。 |
| 即決裁判手続 | 一定の軽微で明白な事件について迅速な審理を行う制度 | 被疑者の同意が必要で、重大事件は対象外です | 一般向けには、まず公判請求と略式命令請求の違いを押さえることが重要です。 |
略式命令請求では、略式命令を受けた人が罰金等を納付して手続を終える場合があります。一方で、不服がある場合には、略式命令を受け取ってから14日以内に正式裁判を申し立てることができます。申立ての要否は、証拠関係、処分の影響、職業・資格・在留資格などを含めて検討する必要があります。
略式起訴について特に多い誤解を次の一覧で整理します。この一覧は、略式手続が軽い手続に見えても刑事処分としては重い意味を持つことを読み取るために重要です。
略式命令請求も起訴処分の一種です。裁判所に刑事手続を求める点は変わりません。
略式命令で罰金刑等が確定すれば、有罪の裁判が確定したものとして扱われます。
罰金は刑罰です。納付して終わることは、刑事処分が確定する意味を持ちます。
裁判にかける判断と、裁判にかけない判断を分けて理解します
不起訴とは、検察官が事件を刑事裁判にかけない処分をすることです。ただし、不起訴には複数の理由があり、意味は同じではありません。次の比較表は、不起訴の類型ごとの意味と注意点を示し、処分名だけで結論を早合点しないために重要です。
| 不起訴の類型 | 典型的な意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 嫌疑なし | 犯罪の疑いがない、または人違い等が明らか | 実質的に疑いが強く否定された類型です。 |
| 嫌疑不十分 | 起訴して有罪立証するだけの証拠が足りない | 疑いが完全に晴れたという意味とは限りません。 |
| 起訴猶予 | 嫌疑はあるが、諸事情から起訴しない | 有罪判決ではありませんが、犯罪事実を前提に裁量で見送る場合があります。 |
| 罪とならず | 構成要件に該当しない、責任能力がないなど | 法律上犯罪が成立しない場合です。 |
| 訴訟条件欠如 | 告訴取消し、被疑者死亡など | 親告罪の告訴など、手続上の条件が欠ける場合です。 |
起訴猶予とは、犯罪の嫌疑が認められる場合でも、犯人の性格、年齢、境遇、犯罪の軽重、情状、犯罪後の状況などを考慮し、訴追を必要としないと検察官が判断して不起訴にすることです。刑事訴訟法248条の起訴便宜主義が根拠になります。
不起訴処分により刑事裁判が始まらず、身柄拘束されていれば釈放されることがあります。ただし、被害者等が検察審査会に申立てをする可能性、民事責任、行政処分・懲戒処分、報道やインターネット情報の問題は別途残ることがあります。
証拠、立証の見込み、処罰の必要性が中心になります
検察官は、単に疑いがあるだけで起訴するわけではありません。次の重要項目の一覧は、起訴判断で何が問題になり得るかを整理したもので、証拠の有無と処罰の必要性を分けて読むために重要です。
構成要件、違法性、責任能力、故意・過失、証拠の適法性などが検討されます。
刑事裁判で、常識的に考えて罪を犯したことは間違いないといえる程度まで立証できるかが重視されます。
犯罪の軽重、被害の程度、被害弁償、示談、処罰感情、前科前歴、再犯可能性などが問題になります。
処罰の必要性を考える事情は事件ごとに異なります。次の比較表は、検察官の判断で問題になり得る代表的な事情を示しており、示談だけで結論が決まるわけではないことを読み取るために重要です。
| 観点 | 具体例 | 読み取るポイント |
|---|---|---|
| 事件の重さ | 犯罪の軽重、被害結果、計画性、常習性、社会的影響 | 重大事件では、示談や反省があっても起訴される可能性があります。 |
| 証拠関係 | 客観証拠、供述、鑑定、デジタル証拠、違法収集証拠の問題 | 起訴しても有罪立証できるかが中心です。 |
| 事件後の事情 | 被害弁償、示談、謝罪、反省状況、再犯防止策、社会的制裁 | 処分判断や量刑で考慮される可能性がありますが、結論を保証するものではありません。 |
| 本人の事情 | 年齢、生活環境、監督者、前科前歴、再犯可能性 | 起訴猶予や量刑の判断で問題になることがあります。 |
示談が成立しても、起訴されないとは限りません。逆に、示談が成立していない場合でも不起訴になることがあります。事故態様、被害程度、証拠関係、時期、前科前歴、被害者対応によって判断が変わるため、個別の見通しは専門家へ相談する必要があります。
起訴状の記載事項、起訴状一本主義、確認すべき項目を整理します
起訴状は、検察官が裁判所に提出する、刑事裁判の対象を示す重要な書面です。次の比較表は、起訴状に記載される事項と意味を示しており、裁判で何が審理対象になるかを読み取るために重要です。
| 起訴状の記載事項 | 内容 | 確認する意味 |
|---|---|---|
| 被告人を特定する事項 | 氏名、生年月日、住所など | 人違いや記載誤りがないかを確認します。 |
| 公訴事実 | 被告人が犯したと疑われる犯罪事実 | いつ、どこで、誰に対し、何をしたとされているかが中心になります。 |
| 罰条 | 適用すべき罰則 | 罪名、法定刑、裁判員裁判対象事件かどうかなどに関係します。 |
日本の刑事裁判には、起訴状一本主義と呼ばれる原則があります。これは、裁判官が公判前に予断を持たないよう、起訴状に証拠を添付したり、裁判官に予断を生じさせる事項を書いたりできないという考え方です。
起訴状を受け取った場合に確認する項目は多岐にわたります。次の一覧は、事実関係、罪名、手続の種類、追起訴の可能性を分けて示しており、防御方針や保釈請求の準備に何が関係するかを読み取るために重要です。
氏名・住所・生年月日、日時、場所、被害者、被害品、金額、共犯関係などを確認します。
事実関係どの罪名が適用され、法定刑や裁判員裁判対象事件に当たるかを確認します。
罪名公判請求か略式命令請求か、追起訴や余罪捜査の可能性があるかを確認します。
見通し似た言葉を比較し、どの段階の話かを分けて理解します
刑事事件では、逮捕、送検、書類送検、立件、告訴、告発、被害届など、似た言葉が多く出てきます。次の比較表は、それぞれの意味と段階を示しており、報道や連絡で聞いた言葉が起訴を意味するのかを読み取るために重要です。
| 用語 | 主な意味 | 起訴との違い |
|---|---|---|
| 逮捕 | 犯罪をしたと疑われる人の身柄を拘束する強制処分 | 捜査段階の身体拘束であり、刑事裁判を求める手続ではありません。 |
| 送検・書類送検 | 警察が捜査した事件を検察官に送ること | 検察官が起訴・不起訴を検討する前段階です。 |
| 立件 | 捜査機関が事件として取り上げることを示す実務・報道上の言葉 | 刑事訴訟法上の厳密な処分名ではなく、直ちに起訴を意味しません。 |
| 被害届 | 犯罪被害に遭った事実を捜査機関に申告するもの | 被害申告であり、検察官の起訴判断とは別です。 |
| 告訴・告発 | 犯罪事実を申告し、処罰を求める意思表示 | 告訴があっても、証拠や処罰の必要性を検討した結果、不起訴になることがあります。 |
逮捕されても不起訴になることがあり、逮捕されずに在宅のまま起訴されることもあります。送検や書類送検は、検察官が事件を受け取った段階であり、起訴が決まったという意味ではありません。
弁護人、黙秘権、立証責任、勾留、保釈を整理します
起訴後の刑事裁判では、被告人の権利保障が重要になります。次の一覧は、起訴後に特に問題になりやすい権利と制度を並べたもので、どの場面で何を確認すべきかを読み取るために重要です。
弁護人は証拠関係を検討し、反論、証拠提出、身柄解放、量刑事情の主張などを行います。
弁護人被告人は公判廷で終始沈黙でき、個々の質問に対して陳述を拒むこともできます。
供述刑事裁判では、被告人が無罪を証明するのではなく、検察官が有罪を立証する責任を負います。
証拠公平な裁判所による迅速な公開裁判、証人審問の機会、弁護人依頼権などが保障されています。
裁判起訴後も勾留が続く場合があります。次の比較表は、被疑者勾留、被告人勾留、保釈の違いを示しており、どの段階でどの身柄解放手段が問題になるかを読むために重要です。
| 制度 | 主な時期 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 被疑者勾留 | 起訴前 | 捜査を進めるために身体拘束の必要がある場合の勾留 | 原則10日間で、やむを得ない事情がある場合には延長が問題になります。 |
| 被告人勾留 | 起訴後 | 裁判への出頭確保や証拠隠滅防止などの観点から続く勾留 | 期間は2か月で、一定の要件を満たすと1か月ごとの更新が問題になります。 |
| 保釈 | 起訴後 | 保証金の納付などを条件に、勾留中の被告人を釈放する制度 | 逃亡や証拠隠滅等があると保釈が取り消されることがあります。 |
保釈保証金は、被告人の出頭を確保するために定められるものです。保釈条件に違反しなければ、裁判終了後、有罪・無罪にかかわらず返還されるのが一般的です。ただし、逃亡や証拠隠滅、条件違反があれば、保釈取消しや保証金没取が問題になります。
被害者参加、少年事件、時効、裁判員裁判をまとめて確認します
起訴の意味は、加害者側だけでなく、被害者側、少年事件、公訴時効、裁判員裁判でも重要です。次の一覧は、立場や制度ごとの注意点を示しており、自分がどの位置から手続を見ているかを読み取るために重要です。
起訴により刑事裁判が始まりますが、被害回復が自動的に実現するわけではありません。示談、民事訴訟、損害賠償命令制度などが別途問題になります。
少年事件では家庭裁判所送致が中心になり、逆送後に検察官が起訴すると刑事裁判を受けることがあります。
罪名、法定刑、被害者の年齢、停止事由、法改正の適用関係によって結論が変わります。
裁判員裁判対象事件では公判前整理手続が行われ、争点や証拠が事前に整理されます。
被害者にとって、起訴は事件が刑事裁判にかけられるという大きな節目です。公判請求か略式命令請求か、公判期日はいつか、被害者参加制度の対象か、傍聴や意見陳述を希望するか、氏名等を明らかにしない措置を求めるか、損害賠償をどうするかなどが問題になります。
少年事件では、犯罪の嫌疑があると思料される場合、原則として家庭裁判所に送致されます。18歳・19歳は特定少年として少年法が適用される一方、原則検察官送致対象事件の拡大など、17歳以下とは異なる取扱いがあります。
公訴時効は、一定期間が経過すると検察官が公訴を提起できなくなる制度です。性犯罪については、2023年の法改正により公訴時効期間の延長等が行われています。「昔の事件だから起訴されない」と単純に判断することはできません。
勤務先、資格、企業の法務・広報対応を分けて考えます
起訴されたことが勤務先へ常に自動通知される制度があるわけではありません。しかし、身柄拘束、捜査照会、報道、本人の欠勤、社内調査、資格・許認可上の申告義務などで知られることがあります。次の重要項目の一覧は、生活や仕事に影響しやすい論点を示しており、刑事手続と職場対応を混同しないために重要です。
欠勤、報道、捜査照会、本人や家族の説明、社内調査などで発覚する可能性があります。
有罪判決が確定すると、士業、金融、警備、運送、建設、医療・福祉、教育などで欠格事由や監督処分が問題になることがあります。
推定無罪、手続保障、就業規則、懲戒、報道対応、個人情報保護、取引先説明などを横断的に検討する必要があります。
企業の法務・人事・広報担当者は、起訴事実が業務関連か、会社が被害者・関係先か、捜査機関対応が必要か、本人の出勤可否、就業規則上の根拠、報道対応方針、役員の場合の開示義務などを整理します。事実確認が不十分なまま「有罪」「犯罪者」などと断定する表現は避けるべきです。
2025年6月1日から、従来の懲役・禁錮は拘禁刑に一本化されています。ただし、同日より前の犯罪については、経過措置により懲役または禁錮が言い渡されることがあります。刑の種類や資格への影響は、罪名、行為時期、判決内容によって確認が必要です。
本人・家族、被害者、企業担当者で確認項目が変わります
起訴の連絡を受けた場面では、感情的な判断よりも、事実と手続の把握が優先されます。次の比較表は、立場ごとに確認すべき項目を整理したもので、何を先に集めれば専門家へ相談しやすいかを読み取るために重要です。
| 立場 | 確認すべき主な項目 | 特に注意する点 |
|---|---|---|
| 本人・家族 | 起訴日、検察庁、裁判所、罪名・罰条、公判請求か略式命令請求か、起訴状の公訴事実、身柄拘束の有無、弁護人、保釈請求、追起訴、勤務先・学校への説明 | 本人に不用意に事件内容を問いただしたり、被害者や関係者へ直接接触したりすると、証拠隠滅や働きかけと評価されるリスクがあります。 |
| 被害者 | 起訴か不起訴か、公判請求か略式命令請求か、公判期日、被害者参加、傍聴、意見陳述、氏名等秘匿措置、記録閲覧、示談申入れ、損害賠償請求、検察審査会 | 刑事裁判と被害回復は別の制度で進むことがあります。 |
| 企業担当者 | 本人の立場、業務関連性、会社が被害者か関係先か、捜査機関対応、出勤可否、就業規則、推定無罪、社内外説明、個人情報、報道対応、役員の開示義務 | 刑事事件の結論が出る前に過剰な断定をせず、手続保障と危機管理を両立させる必要があります。 |
家族ができることは、説得よりも情報整理です。どこの警察署・拘置所にいるか、どの裁判所の事件か、罪名は何か、国選弁護人が付いているか、私選弁護人を選任する必要があるか、保釈請求の見込みがあるかを確認します。
個別判断ではなく、制度の一般的な考え方を整理します
一般的には、検察官が裁判所に刑事裁判を求めることとされています。法律上は公訴の提起といいます。ただし、事件の内容や手続の種類によって進み方は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、起訴は有罪の確定ではないとされています。有罪か無罪かは、刑事裁判で裁判所が証拠に基づいて判断します。ただし、証拠関係や認否方針によって見通しは変わるため、具体的には専門家へ相談する必要があります。
一般的には、逮捕は身柄を拘束する強制処分で、起訴は刑事裁判を求める手続とされています。逮捕されても不起訴になることがあり、逮捕されなくても在宅のまま起訴されることがあります。個別の見通しは、証拠や捜査状況によって変わります。
一般的には、書類送検は警察から検察官へ事件記録が送られることとされています。その後、検察官が起訴または不起訴を判断します。送検の事実だけで最終処分を断定することはできません。
一般的には、略式命令請求も起訴処分の一種とされています。正式な公開法廷ではなく、簡易裁判所が書面審理で罰金または科料の略式命令を出す手続です。略式命令が確定すれば、刑事処分としての影響が生じます。
一般的には、不起訴は有罪判決ではないため、通常いう前科とは区別されます。ただし、捜査を受けた履歴、処分歴、行政・資格・雇用上の影響などは別途問題になることがあります。具体的な影響は制度ごとに確認する必要があります。
一般的には、起訴猶予は無罪判決ではないとされています。嫌疑がある場合でも、犯罪の軽重、情状、年齢、境遇、犯罪後の状況などを考慮して、検察官が起訴しない処分です。個別の評価は事件ごとに変わります。
一般的には、保釈は起訴後に勾留されている被告人について請求できる制度とされています。裁判所が逃亡や証拠隠滅のおそれなどを考慮して判断します。保釈の可否や条件は事案ごとに異なります。
一般的には、起訴されたことが勤務先へ常に自動通知される制度があるわけではありません。ただし、身柄拘束、捜査照会、報道、欠勤、社内調査などで知られる可能性があります。説明方針は、刑事手続と労務上のリスクを踏まえて検討する必要があります。
一般的には、検察官は証拠、犯罪の成否、処罰の必要性、訴訟条件などを総合して起訴・不起訴を判断するとされています。被害者の処罰感情や示談状況は判断要素になり得ますが、結論は事案ごとに変わります。
一般的には、起訴後でも裁判所が検察官の立証が十分でないと判断すれば無罪となる可能性があります。起訴は裁判の開始であり、有罪の確定ではありません。具体的な見通しは証拠関係によって変わります。
一般的には、起訴状の内容、証拠関係、認否方針、保釈請求、被害者対応、勤務先対応、報道対応など、早期に検討すべき事項が多いとされています。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
訴追、選別、審判対象の画定、人権保障という4つの機能があります
起訴の本質は、単なる事務手続ではありません。国家が個人に刑罰権を行使する入口であり、その要求を公開の裁判手続に乗せる制度です。次の一覧は、起訴が持つ4つの機能を示しており、起訴を単なる処罰の始まりではなく、審査と権利保障の入口として読むために重要です。
犯罪が疑われる事実について、検察官が裁判所の判断を求めます。
証拠が不十分な事件、犯罪が成立しない事件、訴追の必要性が乏しい事件は不起訴となることがあります。
起訴状に記載された公訴事実が、裁判所の審判対象を画します。
弁護人の活動、証拠に基づく判断、黙秘権、反対尋問、保釈請求などの手続保障が本格的に機能します。
起訴とは、原則として検察官が裁判所に刑事裁判を求める手続です。起訴により被疑者は被告人となり、刑事裁判の段階に移りますが、有罪確定ではありません。起訴後には、弁護人選任、保釈請求、証拠の検討、公判準備、被害者対応、勤務先・報道対応など、多くの課題が発生します。
起訴には公判請求と略式命令請求があり、略式命令請求も起訴処分の一種です。不起訴には、嫌疑なし、嫌疑不十分、起訴猶予、罪とならず、訴訟条件欠如など複数の意味があります。周辺概念との違いを整理し、初動で事実と手続を分けて確認することが重要です。
起訴の意味を一文でまとめると、国家が刑罰を求める行為であると同時に、その刑罰要求を裁判所の公開手続に乗せ、証拠と法に基づく審査へ移す制度です。
公的機関と中立的な制度資料を中心に整理しています