2σ Guide

任意調査と強制調査(マルサ)の違いと
対応の仕方

税務署・国税局から連絡が来たときに、通常の税務調査、行政指導、査察調査を混同しないための実務的な整理です。目的、権限、資料対応、修正申告、刑事リスク、専門家への相談基準を確認できます。

98件 令和6年度の告発件数
82億円 告発分の脱税総額
65.3% 令和6年度の告発率
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任意調査と強制調査(マルサ)の違いと 対応の仕方

税務署・国税局から連絡が来たときに、通常の税務調査、行政指導、査察調査を混同しないための実務的な整理です。

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任意調査と強制調査(マルサ)の違いと 対応の仕方
税務署・国税局から連絡が来たときに、通常の税務調査、行政指導、査察調査を混同しないための実務的な整理です。
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  • 任意調査と強制調査(マルサ)の違いと 対応の仕方
  • 税務署・国税局から連絡が来たときに、通常の税務調査、行政指導、査察調査を混同しないための実務的な整理です。

POINT 1

  • 任意調査と強制調査(マルサ)の違いを最初に整理する
  • 税務調査の連絡を受けたとき、最初に見るべきなのは目的・権限・刑事リスクです。
  • 最大の違いは目的と権限です
  • 自主的な見直しの要請
  • 質問検査権に基づく税務調査

POINT 2

  • 任意調査と強制調査(マルサ)の違いを比較表で確認する
  • 目的、通知、資料の扱い、終了時のリスクを横並びで確認します。
  • 82億円
  • 65.3%
  • 読者にとって重要なのは、名称の印象ではなく、どの権限が使われ、どの段階で刑事責任に近づくのかを読み取ることです。

POINT 3

  • 任意調査への対応は質問検査権と調査範囲の整理から始める
  • 1. 担当者・所属・連絡先を記録:名乗り、官署、部署、電話番号、対象者をメモします。
  • 2. 行政指導か調査かを確認:担当者が具体的手続に入る前に区分を明示しているかを確認します。
  • 3. 対象税目・期間・資料を限定して把握:広すぎる約束を避け、税理士や必要に応じた弁護士と共有します。
  • 4. 自主的な見直しの範囲を整理:修正申告の時期、加算税、通知の有無を確認します。

POINT 4

  • 強制調査(マルサ)は許可状・差押え・供述対応が中心になる
  • 1. 内偵調査:脱税の疑いのある者について、脱税の規模、手口、関係者、資金移動などを具体的に確認する段階です。
  • 2. 裁判官への嫌疑事実の説明:多額の脱税が見込まれ、手口も悪質と認められるなど社会的非難に値する事案で、許可状の交付が問題になります。
  • 3. 臨検・捜索・差押え
  • 4. 告発又は不告発:犯則事実が認められ、刑事罰に値すると判断された場合に、検察官へ告発されます。
  • 5. 検察官による捜査・起訴判断:告発後、検察官が刑事訴訟法上の手続で捜査し、起訴の可否を決定します。

POINT 5

  • 修正申告・更正・禁止行為を分けて税務調査対応を判断する
  • 1. 調査官の指摘内容を文書・資料で確認:金額、理由、対象税目、対象期間、加算税の見込みを整理します。
  • 2. 事実関係・法令解釈・重加算税に争点があるか:金額の大小だけでなく、今後の同種取引への波及も確認します。
  • 3. 更正処分と不服申立てを検討:証拠、先例、費用、刑事リスク、事業影響を専門家と整理します。
  • 4. 修正申告の効果を確認して判断:任意性、更正の請求の余地、納付計画を確認してから提出します。

POINT 6

  • 税務調査で弁護士と税理士に相談すべき場面を分ける
  • 税額計算、刑事リスク、争訟、危機管理で役割が変わります。
  • 相談時に準備したい資料
  • なぜ重要かというと、税額計算と刑事・争訟対応では必要な専門性が異なるためです。
  • 読者は、自分の場面がどの列に近いかを見て、早期に役割分担を設計してください。

POINT 7

  • 任意調査と強制調査(マルサ)のFAQ
  • よくある疑問を一般情報として整理します。
  • Q1. 任意調査は拒否できますか。
  • Q2. 無予告で税務署が来たらマルサですか。
  • Q3. マルサが来たら、その場で逮捕されますか。

まとめ

  • 任意調査と強制調査(マルサ)の違いと 対応の仕方
  • 任意調査と強制調査(マルサ)の違いを最初に整理する:税務調査の連絡を受けたとき、最初に見るべきなのは目的・権限・刑事リスクです。
  • 任意調査と強制調査(マルサ)の違いを比較表で確認する:目的、通知、資料の扱い、終了時のリスクを横並びで確認します。
  • 任意調査への対応は質問検査権と調査範囲の整理から始める:事前通知、無予告調査、留置き、電子データ、反面調査まで実務上の要点をまとめます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

任意調査と強制調査(マルサ)の違いを最初に整理する

税務調査の連絡を受けたとき、最初に見るべきなのは目的・権限・刑事リスクです。

税務署や国税局から連絡が来たときは、まず行政指導、通常の税務調査、国税局査察部門による強制調査を分けて考えることが重要です。通常の税務調査は申告内容を確認する行政上の手続であり、マルサと呼ばれる査察調査は悪質な脱税の嫌疑を解明し、検察官への告発を視野に入れる犯則事件の調査です。

次の重要ポイントは、このページ全体で扱う結論を一つにまとめたものです。目的の違いを先に押さえると、帳簿や電子データへの対応、修正申告の判断、弁護士と税理士の役割分担を読み違えにくくなります。読者は「行政上の確認」か「刑事責任に近い調査」かという軸で読み取ってください。

最大の違いは目的と権限です

任意調査は課税標準や税額を確認するための行政調査です。強制調査(マルサ)は犯則事実の解明と刑事告発を見据え、裁判官の許可状に基づく臨検・捜索・差押えが問題になります。

ただし、任意調査という名称は「自由に断れる」という意味ではありません。税務職員には国税通則法上の質問検査権があり、正当な理由のない不答弁、虚偽答弁、検査拒否、帳簿書類等の提示・提出拒否には罰則があり得ます。一方で、強制調査では物理的な証拠収集や供述対応、社内外への説明が刑事手続と企業信用に直結します。

次の一覧は、税務署等からの接触を大きく3種類に分けたものです。どの入口にいるかを見極めることが重要で、読み取るべき点は、相手の要請が自主的な見直しなのか、質問検査権に基づく調査なのか、許可状を伴う査察なのかという違いです。

行政指導

自主的な見直しの要請

計算誤り、転記誤り、記載漏れ、法令適用誤りが疑われる場合に、修正申告等の自主的な対応を促されることがあります。担当者に調査か行政指導かを確認することが出発点です。

任意調査

質問検査権に基づく税務調査

申告内容、帳簿、取引実態を確認する行政調査です。物理的強制は原則ありませんが、適法な質問検査権には受忍義務があり、資料提出の範囲と必要性の整理が重要です。

強制調査

査察部門による犯則事件の調査

悪質な脱税の嫌疑を対象に、裁判官の許可状に基づく臨検・捜索・差押えが行われることがあります。初動、供述、電子データ、広報対応を統制する必要があります。

重要無予告で税務職員が来た場合でも、直ちにマルサとは限りません。許可状に基づく臨検・捜索・差押えなのか、国税通則法第74条の2以下の質問検査権に基づく実地調査なのかを確認することが先決です。
Section 01

任意調査と強制調査(マルサ)の違いを比較表で確認する

目的、通知、資料の扱い、終了時のリスクを横並びで確認します。

次の比較表は、通常の税務調査と強制調査(マルサ)を、目的・主体・根拠・通知・資料の扱い・終了時のリスクで整理したものです。読者にとって重要なのは、名称の印象ではなく、どの権限が使われ、どの段階で刑事責任に近づくのかを読み取ることです。

項目任意調査(通常の税務調査)強制調査(マルサ・査察調査)
主な目的申告内容の確認、課税標準・税額の認定、修正申告又は更正悪質な脱税等の犯則事実の解明、刑事告発の判断
担当主体税務署、国税局調査部門等国税局査察部門、国税査察官
法的根拠国税通則法第74条の2以下の質問検査権等国税通則法第11章の犯則事件の調査及び処分
通知原則として事前通知があります。ただし無予告調査もあり得ます。証拠隠滅防止の観点から、通常は事前予告なく着手されます。
権限の性質物理的強制は原則ありません。ただし罰則で担保される受忍義務があります。裁判官の許可状に基づく臨検・捜索・差押え等が可能です。
資料の扱い提示、提出、留置きが問題になります。留置きは承諾に基づく扱いです。証拠物として差押えられ、電子データも対象になり得ます。
調査終了非違なし通知、調査結果説明、修正申告勧奨、更正等につながります。告発又は不告発の判断を経て、検察官による捜査・起訴判断へ発展し得ます。
主なリスク追徴税額、加算税、延滞税、青色申告取消し、争訟刑事告発、起訴、有罪判決、実刑・罰金、企業信用毀損
相談先税理士が中心です。争訟、高額、不正疑義では弁護士も関与します。早期に弁護士と税理士の共同対応を検討する場面です。

この比較から分かるとおり、強制調査は任意調査の延長線上にある「強めの調査」ではありません。目的、手続、資料の扱い、供述の重み、対外的な影響が変わるため、対応窓口、記録方法、専門家の関与範囲も切り替える必要があります。

次の統計は、令和6年度査察概要に示された査察事件の重さを、件数・金額・率で並べたものです。数字の大小そのものよりも、告発後の刑事手続へ進む可能性と、通常の税務調査とは異なる影響範囲を読み取ることが重要です。

告発件数

98件

検察庁への告発件数として公表された数字です。査察調査は、告発を視野に入れた重い手続であることを示しています。

脱税総額

82億円

告発分の脱税総額です。多額性や悪質性が問題になりやすく、企業信用や金融機関対応にも波及し得ます。

告発率

65.3%

査察調査の全てが告発されるわけではありませんが、告発相当性を巡る初動と事実整理の重要性を示す数字です。

Section 02

任意調査への対応は質問検査権と調査範囲の整理から始める

事前通知、無予告調査、留置き、電子データ、反面調査まで実務上の要点をまとめます。

任意調査の中核は、所得税、法人税、消費税等の調査について必要がある場合に、納税者や関係者へ質問し、帳簿書類その他の物件を検査し、提示又は提出を求める質問検査権です。ただし、権限には調査対象税目、課税期間、調査目的との関係で必要性という制約があります。

次の時系列は、通常の任意調査で起こりやすい場面を、初回連絡から結果説明まで並べたものです。順番を理解しておくと、どの段階で資料を整え、どの段階で修正申告や更正処分の判断が問題になるかを読み取れます。

初回連絡

調査か行政指導かを確認する

担当者の氏名、所属、電話番号、対象税目、対象期間、調査目的、必要資料、税務代理人への通知の有無を記録します。

事前準備

申告書・帳簿・証憑・電子データを整理する

売上計上、現金売上、外注費、消費税区分、源泉所得税、役員貸付金、電子取引データなど、論点になりやすい資料を点検します。

調査当日

身分と調査範囲を確認し、回答窓口を一元化する

分からないことは確認後に回答し、質問内容、回答内容、提示・提出した資料を記録します。虚偽説明や資料隠しは避けるべきです。

結果説明

指摘内容と修正申告の効果を確認する

修正申告をすると、その修正申告自体について不服申立てはできません。納得できない争点がある場合は、更正処分を受けて争う選択肢も検討します。

事前通知と無予告調査

実地調査では、原則として開始前に相当の時間的余裕を置いて、開始日時、場所、対象税目、課税期間、調査目的などが通知されます。ただし、事前通知をすると正確な課税標準等又は税額等の把握が困難になるおそれがある場合には、事前通知なしで行われることがあります。

調査日時・場所の変更

事前通知を受けた場合、合理的な理由があれば調査日時や場所の変更協議が可能です。税理士・弁護士との日程調整、資料準備、経理責任者不在、病気、災害、決算繁忙期など、具体的な理由と代替日時を示すことが大切です。

留置きと電子データ

任意調査で帳簿書類等を預ける留置きは、必要性の説明を受け、納税者の理解と協力の下で承諾により行われるものとされています。応じる場合でも、資料の範囲、原本か写しか、返還時期、業務に必要なコピー、預り証の内容を確認してください。電子データでは、会計ソフト、販売管理システム、メール、チャット、クラウド、オンラインバンキング、電子契約、POSデータなどが対象になり得ます。

次の判断の流れは、初回連絡を受けたときに何を確認し、どこで専門家と共有するかを整理したものです。分岐の意味は、行政指導か調査か、任意調査か査察かで対応の重さが変わるという点にあります。

初回連絡時の確認手順

担当者・所属・連絡先を記録

名乗り、官署、部署、電話番号、対象者をメモします。

行政指導か調査かを確認

担当者が具体的手続に入る前に区分を明示しているかを確認します。

調査
対象税目・期間・資料を限定して把握

広すぎる約束を避け、税理士や必要に応じた弁護士と共有します。

行政指導
自主的な見直しの範囲を整理

修正申告の時期、加算税、通知の有無を確認します。

反面調査

反面調査は、納税者本人ではなく、取引先、金融機関、関係会社、外注先等へ行われる調査です。申告内容に関する正確な事実把握が本人側だけでは困難な場合に実施されることがあります。事業信用への影響があるため、資料を整え、取引実態を説明できる状態を作ることが重要です。

Section 03

強制調査(マルサ)は許可状・差押え・供述対応が中心になる

査察制度の目的、内偵から着手まで、電子データ、告発・起訴リスクを確認します。

強制調査(マルサ)は、単なる申告漏れを直すための調査ではありません。悪質な脱税者に刑事責任を追及し、適正・公平な課税と申告納税制度の維持に資することを目的とする査察制度の一部です。消費税の不正受還付、無申告、国際事案、社会的波及効果の高い事案は重点的に扱われることがあります。

次の時系列は、査察事件がどのように進み得るかを、内偵から刑事裁判まで整理したものです。読者にとって重要なのは、強制調査の着手時点では当局が既に情報を集めている可能性があり、初動で資料削除や不正確な供述をすると重大な不利益につながる点です。

情報収集

内偵調査

脱税の疑いのある者について、脱税の規模、手口、関係者、資金移動などを具体的に確認する段階です。

許可状

裁判官への嫌疑事実の説明

多額の脱税が見込まれ、手口も悪質と認められるなど社会的非難に値する事案で、許可状の交付が問題になります。

着手

臨検・捜索・差押え

住居、事務所、倉庫、役員宅、関係会社、取引先等が対象になり、帳簿、契約書、通帳、パソコン、スマートフォン、クラウド関連情報などが証拠になり得ます。

判断

告発又は不告発

犯則事実が認められ、刑事罰に値すると判断された場合に、検察官へ告発されます。

刑事手続

検察官による捜査・起訴判断

告発後、検察官が刑事訴訟法上の手続で捜査し、起訴の可否を決定します。

許可状の確認ポイント

許可状を提示された場合は、裁判官が発付した許可状か、対象場所が現在の場所と一致しているか、犯則嫌疑者の記載、差し押さえるべき物件の範囲、有効期間、夜間執行、記録命令付差押えや電磁的記録に関する記載を確認します。疑問があっても物理的に止めるのではなく、記録を残し、後で適法性や差押範囲を検討する形が基本です。

電子データとクラウド

現代の査察では、メール、チャット、会計ソフト、販売管理システム、スマートフォン、クラウドストレージ、暗号資産ウォレット、海外送金記録、SNS、ECプラットフォーム、広告管理画面などが中心的証拠になることがあります。強制調査当日の削除、パスワード変更、履歴消去の指示は、証拠隠滅行為と見られる危険があります。

令和6年度の査察概要では、一審判決99件の全てに有罪判決が言い渡され、13人に実刑判決が出たことも公表されています。これは、告発・起訴に至った査察事件が、通常の税務調査とは比較にならない重い結果を伴い得ることを示しています。

次の一覧は、査察事件で問題になりやすい典型類型をまとめたものです。どの類型も、金額だけでなく故意性、計画性、証拠の残り方、関係者の認識が重要になり、読み取るべき点は「単なるミス」か「仮装・隠蔽を疑われる事情」かの違いです。

売上除外

現金売上、EC売上、海外プラットフォーム収入、個人口座入金、暗号資産収入などを申告から外す類型です。

架空経費・水増し外注費

実体のない外注先、親族・知人名義、偽造領収書、資金還流などが問題になります。

消費税不正還付

架空仕入れ、架空輸出、輸出免税制度の悪用など、国庫金の詐取とも評価され得る類型です。

無申告

申告義務を知りながら申告しない類型です。単なる失念か意図的な収入隠しなのかで評価が変わります。

国際取引・海外口座

海外法人、海外口座、国外関連者取引、CRS情報、越境ECなどが絡む類型です。

供述対応と危機管理

強制調査後は、代表者、経理担当者、営業担当者、取引先、家族、関係会社役員などが質問を受けることがあります。嘘をつかない、推測で答えない、記憶にないことを断定しない、資料確認が必要なことはその旨を述べる、署名押印を求められた書面は内容を十分確認する、という基本が重要です。法人では、代表者、CFO、経理責任者、法務、広報、外部専門家による緊急チームを作り、差押資料リスト、事業継続、従業員説明、取引先・金融機関・メディア対応を整理します。

Section 04

修正申告・更正・禁止行為を分けて税務調査対応を判断する

争うべきか、修正申告すべきか、共通して避けるべき行為を整理します。

任意調査の終盤では、修正申告に応じるか、更正処分を受けて争うかが問題になります。修正申告は手続が早く終わる場合がありますが、その修正申告自体について不服申立てはできません。もっとも、修正申告の勧奨に応じるかどうかは納税者の判断に委ねられ、応じなかったことだけで基本的に不利な取扱いを受けるものではないとされています。更正処分を受けると、不服申立てや取消訴訟で争う道が明確に残る一方、手続は長期化し、専門家費用や社内負担も増えます。

次の判断の流れは、修正申告と更正処分の選択を、争点の有無や刑事リスクから整理したものです。分岐から読み取るべきなのは、早く終わらせることだけでなく、後で争う余地、重加算税、仮装隠蔽、取引先・金融機関への影響を同時に見る必要があるという点です。

修正申告に応じるかを考える順番

調査官の指摘内容を文書・資料で確認

金額、理由、対象税目、対象期間、加算税の見込みを整理します。

事実関係・法令解釈・重加算税に争点があるか

金額の大小だけでなく、今後の同種取引への波及も確認します。

争点あり
更正処分と不服申立てを検討

証拠、先例、費用、刑事リスク、事業影響を専門家と整理します。

争点小
修正申告の効果を確認して判断

任意性、更正の請求の余地、納付計画を確認してから提出します。

次の一覧は、任意調査でも強制調査でも共通して避けるべき行為を整理したものです。なぜ重要かというと、これらは調査対応を悪化させるだけでなく、仮装隠蔽、悪質性、反省不足、証拠隠滅のおそれとして評価され得るためです。読者は「やってはいけないこと」を初動で社内共有する視点で確認してください。

禁止すべき行為問題になり得る理由
帳簿、請求書、契約書、メール、チャット、データの削除・改ざん証拠隠滅や仮装隠蔽と評価される可能性があります。
架空資料の作成、日付のバックデート不正の故意や計画性を示す事情になり得ます。
従業員、取引先、家族への口裏合わせ依頼供述の信用性を損ない、身柄拘束や告発判断に影響し得ます。
調査官への虚偽説明、威迫、物理的妨害罰則や刑事手続上の不利益につながるおそれがあります。
専門家に不利な事実を隠すこと正確なリスク評価と対応方針の設計ができなくなります。

実務チェックリスト

任意調査を受ける前は、調査か行政指導か、対象税目・期間・目的、税理士への連絡、必要に応じた弁護士相談、申告書・決算書・元帳・証憑、電子データ保存状況、主要論点、当日の対応者、回答ルール、資料提出ログを確認します。当日は、身分証明書、調査範囲、質問と回答、提示・提出資料、不明点の確認後回答、範囲外資料の必要性、留置きの範囲と返還時期を記録します。強制調査では、身分証明書、許可状、弁護士・税理士への連絡、社内責任者、資料削除・口裏合わせ禁止、差押対象と目録、業務継続資料、供述対応、広報・取引先窓口を整理します。

Section 05

税務調査で弁護士と税理士に相談すべき場面を分ける

税額計算、刑事リスク、争訟、危機管理で役割が変わります。

通常の任意調査では、申告書、会計処理、消費税区分、役員給与、減価償却、棚卸、源泉所得税、加算税など、専門的な税務判断が中心になるため、税理士が主な相談先になることが多いです。一方、査察、脱税嫌疑、重加算税、虚偽資料、供述調書、検察対応、不服申立て・訴訟、報道対応が絡む場合は、弁護士の関与が重要になります。

次の一覧は、相談先を「税理士中心」「弁護士関与」「共同対応」に分けたものです。なぜ重要かというと、税額計算と刑事・争訟対応では必要な専門性が異なるためです。読者は、自分の場面がどの列に近いかを見て、早期に役割分担を設計してください。

1

税理士が中心となる場面

税務署から調査連絡が来た、申告内容に誤りがあるかもしれない、帳簿や証憑が不足している、消費税区分やインボイス対応に不安がある、修正申告を勧奨された、加算税の指摘を受けた場面です。

税額計算申告是正
2

弁護士が必要になりやすい場面

国税局査察部門が関与している、許可状に基づく臨検・捜索・差押えを受けた、脱税・仮装隠蔽・不正還付・無申告を疑われている、検察庁から呼出しを受けた、調査手続の適法性に争いがある場面です。

刑事リスク争訟
3

共同対応が望ましい場面

税額計算、供述対応、社内調査、取引先・金融機関・監査法人・メディアへの説明が同時に問題になる場面です。税理士が会計資料整理を担い、弁護士が刑事・争訟・危機管理を担う体制が考えられます。

資料整理危機管理

相談時に準備したい資料

調査連絡のメモ、事前通知内容、調査官の名刺、許可状の内容メモ、差押目録、預り証、申告書、決算書、勘定科目内訳書、総勘定元帳、補助元帳、試算表、請求書、領収書、契約書、納品書、通帳、入出金明細、会計ソフトデータ、販売管理データ、EC売上データ、調査官からの指摘事項、社内で把握している問題点、関係者一覧、時系列表を準備すると、相談の精度が上がります。

注意査察事件では、誰が、いつ、どの取引を認識し、どの資料を作成し、どの申告処理に関与したのかを整理する時系列表が特に重要です。故意、共謀、役割分担、是正方針を検討する土台になります。
Section 06

任意調査と強制調査(マルサ)のFAQ

よくある疑問を一般情報として整理します。

Q1. 任意調査は拒否できますか。

一般的には、通常の税務調査は物理的強制を伴わないという意味で任意的ですが、適法な質問検査権には受忍義務があるとされています。ただし、調査の種類、対象税目、対象期間、資料の必要性、日程変更の理由によって対応は変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで税理士や弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 無予告で税務署が来たらマルサですか。

一般的には、通常の税務調査でも一定の場合には事前通知なしで行われることがあるとされています。許可状に基づく臨検・捜索・差押えなのか、質問検査権に基づく実地調査なのかで意味が変わります。具体的には、身分証明書、調査目的、対象税目、許可状の有無を確認し、専門家へ共有する必要があります。

Q3. マルサが来たら、その場で逮捕されますか。

一般的には、強制調査の着手自体が直ちに逮捕を意味するものではありません。ただし、査察調査の結果、検察官への告発、捜査、起訴判断へ進む可能性があります。事案の内容、証拠関係、供述、証拠隠滅のおそれなどで結論は変わるため、具体的な見通しは弁護士等の専門家に相談する必要があります。

Q4. 税理士がいれば弁護士は不要ですか。

一般的には、通常の申告是正や会計処理の説明では税理士が中心になる場面が多いとされています。一方、査察、脱税嫌疑、重加算税、虚偽資料、供述調書、検察対応、不服申立て、訴訟、報道対応が絡む場合は、弁護士の関与が重要になる可能性があります。具体的な役割分担は事案に応じて検討する必要があります。

Q5. 修正申告に応じた方が早く終わりますか。

一般的には、修正申告により手続が早く進む場合があります。ただし、修正申告をすると、その修正申告自体について不服申立てはできないとされています。指摘内容、金額、重加算税、刑事リスク、今後の同種取引への影響によって判断は変わるため、提出前に専門家と協議する必要があります。

Q6. 調査官の質問に黙っていてもよいですか。

一般的には、通常の税務調査では適法な質問検査権に対する受忍義務があり、正当な理由のない不答弁は問題になり得ます。一方、査察・犯則調査では刑事責任追及に直結する可能性があるため、供述対応は慎重な判断を要します。虚偽を述べず、分からないことは分からないと伝え、具体的対応は専門家へ相談する必要があります。

Reference

参考資料・出典

このページの制度説明で確認した公的資料をまとめます。

  • e-Gov法令検索「国税通則法」
  • 国税通則法第74条の8「権限の解釈」
  • 国税通則法第132条「臨検、捜索又は差押え等」
  • 国税庁「国税庁70年史 第4章 犯則取締り」
  • 国税庁「令和6年度 査察の概要」
  • 国税庁「税務調査手続に関するFAQ 一般納税者向け」