2σ Guide

故人が利用していた証券会社と
別の会社に口座移管する方法

相続による名義移管と証券会社間の移管を分け、必要書類、NISA、相続税評価、取得費、商品別の注意点まで整理します。

2段階相続移管と他社移管
12手順所在確認から出庫まで
10か月相続税申告の原則期限
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故人が利用していた証券会社と 別の会社に口座移管する方法

相続による名義移管と証券会社間の移管を分け、必要書類、NISA、相続税評価、取得費、商品別の注意点まで整理します。

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故人が利用していた証券会社と 別の会社に口座移管する方法
相続による名義移管と証券会社間の移管を分け、必要書類、NISA、相続税評価、取得費、商品別の注意点まで整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 故人が利用していた証券会社と 別の会社に口座移管する方法
  • 相続による名義移管と証券会社間の移管を分け、必要書類、NISA、相続税評価、取得費、商品別の注意点まで整理します。

POINT 1

  • 故人の証券会社から別会社へ口座移管する方法の結論
  • 相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。
  • 相続による名義移管
  • 証券会社間の移管、振替
  • 直接移管か経由型か

POINT 2

  • 証券口座移管の射程と前提
  • 相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。
  • 実際の手続では、故人の取引先証券会社、移管先証券会社、税理士、弁護士、司法書士等に確認する必要があります。

POINT 3

  • 証券口座移管で使う用語
  • 相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。
  • 2.1 被相続人、相続人、受遺者
  • 2.2 証券口座、預り資産、移管
  • 2.3 ほふり、株式等振替制度、加入者口座コード

POINT 4

  • 証券口座移管で故人口座から直接移せない理由
  • 相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。
  • 3.1 相続財産は相続人に承継されるが、証券会社は誰に渡すかを確認しなければならない
  • 3.2 遺産分割前は相続人間の権利関係が未確定になりやすい
  • 3.3 相続放棄の熟慮期間にも注意する

POINT 5

  • 故人の証券会社から別会社へ口座移管する3つのルート
  • 移管元へ相続手続を申し出る
  • 他社口座へ直接移管できるか確認
  • 直接不可なら同一証券会社口座を開設
  • 相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

POINT 6

  • 故人が利用していた証券会社と別の会社に口座移管する標準手順
  • 1. 手順2 ― 故人の証券会社に死亡の届出をする:証券会社が判明したら、相続人代表者、遺言執行者、または代理人が、故人が死亡した旨を証券会社に連絡します。
  • 2. 手順4 ― 遺言書の有無を確認する:遺言書がある場合、有価証券を誰が取得するか、遺言執行者が指定されているか、包括遺贈か特定遺贈かを確認します。
  • 3. 手順6 ― 遺産分割協議を行う:遺言がない場合、または遺言で全財産の帰属が明確でない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。
  • 4. 手順9 ― 相続人名義の口座を開設する:同一証券会社経由型では、相続人が故人の証券会社に口座を開設する必要があります。
  • 5. 手順10 ― 相続手続書類を提出する:代表的な必要書類は次のとおりです。
  • 6. 手順11 ― 相続移管の完了を確認する:書類が受理されると、証券会社が審査を行い、相続人名義の口座へ資産を振り替える。
  • 7. 手順12 ― 他社移管出庫を依頼する:相続人名義の移管元口座に資産が入ったら、別証券会社へ移管します。

POINT 7

  • NISA口座を相続して証券口座移管する場合の特則
  • 相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。
  • NISA口座は、相続人のNISA口座へそのまま承継できる制度ではありません。
  • 実務上の整理は次のとおりです。
  • NISA口座の資産を別証券会社へ移したい場合でも、まずNISAの死亡時払出処理が必要です。

POINT 8

  • 証券口座移管と相続税・所得税の重要論点
  • 相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。
  • 7.1 相続税申告期限
  • 7.2 上場株式の相続税評価
  • 7.3 相続後に売却する場合の取得費

まとめ

  • 故人が利用していた証券会社と 別の会社に口座移管する方法
  • 故人の証券会社から別会社へ口座移管する方法の結論:相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。
  • 証券口座移管の射程と前提:相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。
  • 証券口座移管で使う用語:相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

故人の証券会社から別会社へ口座移管する方法の結論

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

次の一覧は、証券口座移管を2段階で整理したものです。相続手続と他社移管を分けて読むことで、書類不備や税務誤認を避けることができます。

第1段階

相続による名義移管

故人の証券会社へ死亡届出を行い、戸籍、遺言書、遺産分割協議書等で誰が取得するかを確定します。

第2段階

証券会社間の移管、振替

相続人名義になった有価証券等について、移管先が受け入れ可能かを確認して出庫依頼を行います。

最初の確認

直接移管か経由型か

移管元が他社口座を直接指定できるか、同一証券会社の相続人口座が必要かを確認します。

「故人が利用していた証券会社と別の会社に口座移管する方法」を考えるとき、最初に確認する必要がある結論は一つです。故人名義の証券口座そのものを、相続人名義の別会社の口座へそのまま移すことはできません。実務上行うのは、故人名義の有価証券等を相続手続により相続人名義へ承継し、その後、または同時に、別の証券会社へ振替、移管する手続です。

したがって、正確な手順は「口座移管」ではなく、次の二段階に分けて理解する必要があります。

  1. 相続による名義移管

故人の証券会社に死亡の届出を行い、戸籍、法定相続情報一覧図、遺言書、遺産分割協議書、印鑑証明書等を提出し、故人の資産を誰が取得するかを確定します。

  1. 証券会社間の移管、振替

相続人名義となった有価証券等を、移管先の別証券会社が受け入れ可能ですことを確認し、移管元証券会社に移管出庫の依頼を行います。

相続手続と証券移管手続を混同すると、書類不備、相続人間の紛争、相続税評価の誤り、取得費の誤認、NISA口座の処理ミス、売却時期をめぐる損害主張などが起こりやすい。このページでは、弁護士、税理士、司法書士、行政書士、証券実務担当、ファイナンシャル・プランナーが共同で論点を整理する場合の水準を想定し、一般の相続人にも理解できるよう、語の定義から実務フローまで体系的に解説します。

Section 01

証券口座移管の射程と前提

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

このページは、日本国内の個人が死亡し、国内の証券会社、銀行、信託銀行等で上場株式、ETF、REIT、投資信託、債券、外国株式、MRF、預り金などを保有していた場合を主な対象とします。非上場株式、未公開会社の株式、同族会社株式、暗号資産、海外証券会社口座、信託受益権、デリバティブ建玉などは、個別性が高いため、別途専門家の確認を要します。

また、このページは一般的な技術解説であり、個別事案の法律意見、税務代理、投資助言ではありません。実際の手続では、故人の取引先証券会社、移管先証券会社、税理士、弁護士、司法書士等に確認する必要があります。

Section 02

証券口座移管で使う用語

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

2.1 被相続人、相続人、受遺者

被相続人とは、亡くなった人をいいます。相続人とは、民法上、被相続人の財産上の権利義務を承継する人をいいます。受遺者とは、遺言によって財産を取得する人をいいます。政府広報も、相続とは亡くなった人の財産などの権利義務を残された家族などが引き継ぐこと、と説明しています。

2.2 証券口座、預り資産、移管

証券口座とは、証券会社において、株式、投資信託、債券等の取引、保管、決済を行うための顧客口座です。相続実務で重要なのは、口座という契約関係と、口座内にある株式等の財産を分けて考えることです。故人の証券口座契約は死亡により通常の取引利用が停止され、相続手続が必要になります。相続人が承継するのは、口座そのものというより、口座内の有価証券、預り金、未収配当等の財産的価値です。

移管とは、実務上、証券会社や金融機関に預けている株式、投資信託等を、別の証券会社や別口座に移すことをいいます。野村證券は、他社への移管出庫について、株式、ETF、REIT、投資信託等を他社へ移す方法と説明し、移管先の金融機関の加入者口座コード、機構加入者コードの記入を求めている。

2.3 ほふり、株式等振替制度、加入者口座コード

上場株式等は、紙の株券ではなく、証券保管振替機構、通称ほふり、ならびに証券会社等の口座で電子的に管理される。証券保管振替機構は、株式等振替制度を、上場会社の株式等に係る株券等を廃止し、権利の管理を機構および証券会社等に開設された口座で電子的に行う制度と説明しています。

証券会社間で株式を移すときは、移管先の金融機関を識別する機構加入者コードと、相続人本人の移管先口座を識別する加入者口座コードが必要になりますことが多いです。これらは移管先証券会社に確認します。

2.4 特定口座、一般口座、NISA口座

特定口座は、証券会社が上場株式等の取得価額や譲渡損益の計算を一定の範囲で管理する課税口座です。一般口座は、原則として投資家自身が取得費や譲渡損益を管理する口座です。NISA口座は、一定の要件を満たす投資について配当、分配金、譲渡益等が非課税となる口座です。

相続では、NISA口座の処理が特に重要です。日本証券業協会は、NISA口座を開設していた親族が亡くなった場合、相続人は死亡を知った日以後遅滞なく「非課税口座開設者死亡届出書」を、そのNISA口座のある証券会社の営業所に提出しなければならないと説明しています。

2.5 特別口座

ここでいう特別口座は、特定口座とは別の制度です。株券電子化の際などに、証券会社の通常の取引口座ではなく、信託銀行等に開設される株主権保全用の口座をいいます。特別口座で管理されている株式の手続は信託銀行等に照会する必要があります。日本証券業協会は、特別口座で管理されている株式についての諸手続は信託銀行等に照会するよう案内しています。

特別口座の株式は、そのまま通常の売買が難しいことが多く、相続人名義への名義整理と、証券会社口座への振替が別途必要になります。

Section 04

故人の証券会社から別会社へ口座移管する3つのルート

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

次の判断の流れは、直接移管型と同一証券会社経由型を見分ける順番を表しています。確認の順序を押さえることで、必要口座、費用、期間を読み取れます。

証券口座移管ルートの決め方

移管元へ相続手続を申し出る

死亡届出、残高証明、取得費資料、必要書類を確認します。

他社口座へ直接移管できるか確認

可能な場合でも、移管先の受入れとコード確認が必要です。

直接不可なら同一証券会社口座を開設

相続人名義へ相続移管した後、他社移管出庫を依頼します。

移管完了後に税務資料を保存

銘柄、数量、取得価額、口座区分を確認します。

「故人が利用していた証券会社と別の会社に口座移管する方法」は、実務上、次の三つに分類できます。

次の比較表は、ルート、内容、典型的に必要なこと、向いている場合を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

ルート内容典型的に必要なこと向いている場合
ルートA: 直接移管型故人の証券会社の相続手続で、相続人名義の他社口座を移管先に指定する移管元が直接移管を認めること、移管先が商品を受け入れること、移管先コードが正確ですこと移管元証券会社が制度上対応しており、商品が国内上場株式等で単純な場合
ルートB: 同一証券会社経由型いったん相続人が故人の証券会社に口座を開き、相続移管後に他社へ移管出庫する相続人の同一証券会社口座、相続書類、移管出庫書類、移管先コード多くの主要証券会社で現実的な基本ルート
ルートC: 換価分割型いったん相続人、代表相続人、遺言執行者等の管理下に置き、売却後に現金で分配する換価分割の合意、売却権限、税務処理、手数料負担の合意複数相続人で株式を分けにくい場合、相続人が運用を望まない場合

実務では、ルートBの同一証券会社経由型が最も確実な出発点となることが多いです。SBI証券は、被相続人口座から直接他証券会社の相続人口座への移管は不可とされ、いったん相続人のSBI証券口座へ移管し、相続手続完了後に他証券会社へ移管する専用書面で手続すると明示しています。

大和証券も、被相続人の口座で預かっていた資産を相続人の口座に振り替えるため、相続人は大和証券に口座開設する必要があり、他社の口座へ移管する場合も、大和証券に開設した相続人名義の口座から手続すると案内しています。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券も、相続資産の振替えは相続人名義の同社証券口座へ行うため、同社口座がない場合は新たに口座開設が必要と説明しています。

一方、証券会社や商品によっては直接移管型が検討できる場合もあり得る。したがって、最初の問い合わせ時に、次の質問を明確に行うべきです。

記載例「被相続人の相続手続において、相続人名義の他証券会社口座へ直接移管できますか。それとも、いったん御社の相続人口座へ振替後、別途移管出庫が必要ですか。」

この質問に対する回答が、全体の工程、必要口座、費用、期間を決定します。

Section 05

故人が利用していた証券会社と別の会社に口座移管する標準手順

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

次の時系列は、所在確認から他社移管出庫までの標準手順を表しています。順番を確認することで、相続移管と証券会社間移管を混同しない読み方ができます。

手順1

手順1 ― 故人の証券会社、支店、口座の所在を確認する

まず、故人がどの証券会社を使っていたかを確認します。確認資料としては、取引残高報告書、年間取引報告書、配当金通知書、株主総会招集通知、証券会社からの郵便物、メール、スマートフォンアプリ、通帳の入出金履歴、確定申告書控えなどがあります。 証券会社。

手順2

手順2 ― 故人の証券会社に死亡の届出をする

証券会社が判明したら、相続人代表者、遺言執行者、または代理人が、故人が死亡した旨を証券会社に連絡します。証券会社は、死亡届出後、口座の取引を制限し、相続手続書類一式を送付するのが通常です。 野村證券は、亡くなった顧客の取引店を照会する場合、。

手順3

手順3 ― 残高証明書、取引明細、取得費資料を請求する

相続税申告、遺産分割、売却時の所得税申告に備えて、次の資料を取得します。 | 資料 | 目的 | | --- | --- | | 死亡日時点の残高証明書 | 相続財産の範囲確認、相続税評価の基礎 | | 取引残高報告書 | 保有銘柄、数量、。

手順4

手順4 ― 遺言書の有無を確認する

遺言書がある場合、有価証券を誰が取得するか、遺言執行者が指定されているか、包括遺贈か特定遺贈かを確認します。公正証書遺言であれば検認は不要ですが、自筆証書遺言は、法務局保管制度を利用していない場合、家庭裁判所の検認が必要になります。 遺言執。

手順5

手順5 ― 相続人を確定し、必要に応じて法定相続情報一覧図を取得する

相続人を確定するには、通常、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人全員の戸籍、住民票除票、戸籍の附票等を収集します。戸籍が多い場合、法務局の法定相続情報証明制度を利用すると、一覧図の写しを複数の相続手続に使えることがあります。 法務局。

手順6

手順6 ― 遺産分割協議を行う

遺言がない場合、または遺言で全財産の帰属が明確でない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。証券口座については、次の分け方が考えられる。 | 分け方 | 内容 | 注意点 | | --- | --- | --- | | 現物分割 | A。

手順7

手順7 ― 移管先の別証券会社で受け入れ可否を確認する

別会社へ移管したい場合、移管先証券会社に次の事項を確認します。 | 確認項目 | 確認内容 | | --- | --- | | 口座開設 | 相続人本人の総合取引口座が必要か、特定口座を開設するか | | 受け入れ商品 | 国内上場株式、E。

手順8

手順8 ― 直接移管が可能か、同一証券会社経由が必要かを移管元に確認する

相続手続では、証券会社ごとに実務運用が異なります。重要なのは、移管元の証券会社が、相続手続の出口として他社の相続人口座を指定できるかです。 確認する必要がある質問は次のとおりです。 1. 相続人名義の他社口座へ、相続手続の一環として直接移管できるか。

手順9

手順9 ― 相続人名義の口座を開設する

同一証券会社経由型では、相続人が故人の証券会社に口座を開設する必要があります。野村證券は、相続にあたっては被相続人の口座とは別に、相続を受ける相続人名義の振替先口座が必要と案内しています。

手順10

手順10 ― 相続手続書類を提出する

代表的な必要書類は次のとおりです。実際には証券会社、遺言の有無、相続人の構成、商品内容により変わります。 | 書類 | 主な目的 | 注意点 | | --- | --- | --- | | 相続手続依頼書 | 証券会社所定の相続指図 | 銘。

手順11

手順11 ― 相続移管の完了を確認する

書類が受理されると、証券会社が審査を行い、相続人名義の口座へ資産を振り替える。野村證券は、書類確認と振替手続を行い、資産の振替が完了すると、手続完了通知および預り明細のお知らせが届くと案内しています。

手順12

手順12 ― 他社移管出庫を依頼する

相続人名義の移管元口座に資産が入ったら、別証券会社へ移管します。通常は、移管元証券会社に対して移管出庫書類を提出します。移管先証券会社には、受け入れに必要なコード、商品対応、口座区分を確認します。 移管出庫では、以下のミスが多いです。 | 。

手順1 ― 故人の証券会社、支店、口座の所在を確認する

まず、故人がどの証券会社を使っていたかを確認します。確認資料としては、取引残高報告書、年間取引報告書、配当金通知書、株主総会招集通知、証券会社からの郵便物、メール、スマートフォンアプリ、通帳の入出金履歴、確定申告書控えなどがあります。

証券会社が分からない場合、証券保管振替機構の「登録済加入者情報の開示請求」を検討します。証券保管振替機構は、本人または亡くなった人の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合の手続を案内しており、提出書類に不備がない場合でも受付から開示結果の送付まで1か月ほどかかることがあると説明しています。

ただし、この開示請求は、株式等の口座開設先を調べる手段であり、相続手続そのものを代行するものではありません。開示結果が得られたら、各証券会社に相続手続を申し出る必要があります。

手順2 ― 故人の証券会社に死亡の届出をする

証券会社が判明したら、相続人代表者、遺言執行者、または代理人が、故人が死亡した旨を証券会社に連絡します。証券会社は、死亡届出後、口座の取引を制限し、相続手続書類一式を送付するのが通常です。

野村證券は、亡くなった顧客の取引店を照会する場合、所定の依頼書と必要書類を郵送するよう案内しており、死亡が確認できる書類、相続人との関係が確認できる書類、本人確認書類等を求めている。

手順3 ― 残高証明書、取引明細、取得費資料を請求する

相続税申告、遺産分割、売却時の所得税申告に備えて、次の資料を取得します。

次の比較表は、資料、目的を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

資料目的
死亡日時点の残高証明書相続財産の範囲確認、相続税評価の基礎
取引残高報告書保有銘柄、数量、口座区分の確認
年間取引報告書特定口座の譲渡損益、配当等の確認
顧客勘定元帳、取引報告書取得価額、取得日、売却時の取得費確認
配当金、分配金、未収金の明細遺産分割、所得税、相続税の確認
NISA払出関係書類NISA死亡時処理と取得価額確認

特に、売却予定がある場合は、取得費資料の収集が重要です。国税庁は、相続、遺贈、贈与により取得した株式等について、原則として被相続人、遺贈者、贈与者の取得費を引き継ぐと説明しています。NISA口座から相続により払い出された上場株式等については、原則として相続開始日の終値に相当する金額で相続人が取得したものとみなされる。

手順4 ― 遺言書の有無を確認する

遺言書がある場合、有価証券を誰が取得するか、遺言執行者が指定されているか、包括遺贈か特定遺贈かを確認します。公正証書遺言であれば検認は不要ですが、自筆証書遺言は、法務局保管制度を利用していない場合、家庭裁判所の検認が必要になります。

遺言執行者がいる場合、証券会社は遺言執行者の印鑑証明書、本人確認書類、遺言書、遺言執行者選任審判書などを求めることがあります。遺言の解釈、遺留分、受遺者と相続人の対立がある場合は弁護士が中心となります。

手順5 ― 相続人を確定し、必要に応じて法定相続情報一覧図を取得する

相続人を確定するには、通常、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍、相続人全員の戸籍、住民票除票、戸籍の附票等を収集します。戸籍が多い場合、法務局の法定相続情報証明制度を利用すると、一覧図の写しを複数の相続手続に使えることがあります。

法務局は、法定相続情報証明制度について、相続人が相続関係を一覧に表した図と戸除籍謄本等を登記所に提出し、登記官が内容を確認した上で認証文付きの写しを無料で交付する制度と説明しています。

ただし、すべての証券会社、すべての手続で法定相続情報一覧図だけで足りるとは限らない。印鑑証明書、遺産分割協議書、遺言書、本人確認書類などは別途必要になりますことが多いです。

手順6 ― 遺産分割協議を行う

遺言がない場合、または遺言で全財産の帰属が明確でない場合は、相続人全員で遺産分割協議を行います。証券口座については、次の分け方が考えられる。

次の比較表は、分け方、内容、注意点を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

分け方内容注意点
現物分割A株式を長男、B投信を配偶者など、銘柄ごとに分ける銘柄ごとの価格変動、公平性、単元未満株の処理に注意
共有的な数量分割同一銘柄を数量で分ける証券会社が複数相続人への分割振替に対応するか確認
代償分割一人が株式を取得し、他の相続人に代償金を払う代償金額、支払期限、税務の確認が必要
換価分割代表者が売却し、現金で分ける誰が売却権限を持つか、売却時期、税負担、手数料の合意が必要

大和証券は、複数の相続人等の口座に振り替えできるが、一部商品は複数の相続人で分けられない場合があると案内しています。

手順7 ― 移管先の別証券会社で受け入れ可否を確認する

別会社へ移管したい場合、移管先証券会社に次の事項を確認します。

次の比較表は、確認項目、確認内容を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

確認項目確認内容
口座開設相続人本人の総合取引口座が必要か、特定口座を開設するか
受け入れ商品国内上場株式、ETF、REIT、投資信託、外国株式、債券を受け入れるか
同一ファンドの取扱い投資信託は移管先で同じファンドを扱っているか
口座区分特定口座へ入れられるか、一般口座になるか
コード機構加入者コード、加入者口座コードの確認方法
手数料移管元の出庫手数料、移管先の入庫手数料、キャッシュバック制度
日数書類受入後の所要日数、決算、権利確定、銘柄制限
名義移管元名義と移管先名義が相続人本人で一致するか

野村證券の他社への移管出庫手続では、移管先の金融機関の加入者口座コード、機構加入者コードが必要とされ、書類受入後に保管機関を通じて移管手続が行われます。

手順8 ― 直接移管が可能か、同一証券会社経由が必要かを移管元に確認する

相続手続では、証券会社ごとに実務運用が異なります。重要なのは、移管元の証券会社が、相続手続の出口として他社の相続人口座を指定できるかです。

確認する必要がある質問は次のとおりです。

  1. 相続人名義の他社口座へ、相続手続の一環として直接移管できるか。
  2. 直接移管が難しい場合、相続人は移管元証券会社に口座を開設する必要があるかを確認します。
  3. 移管後すぐに他社へ出庫できるか。
  4. 出庫手数料はいくらか。
  5. 特定口座で取得価額を引き継げるか。
  6. NISA由来の株式はどの口座に払い出されるか。
  7. 投資信託、外国証券、債券、単元未満株は同じ手順でよいか。

SBI証券、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の公開情報を見る限り、少なくともこれらのケースでは、いったん同社の相続人口座に移してから他社移管を行う考え方が示されている。

手順9 ― 相続人名義の口座を開設する

同一証券会社経由型では、相続人が故人の証券会社に口座を開設する必要があります。野村證券は、相続にあたっては被相続人の口座とは別に、相続を受ける相続人名義の野村證券の振替先口座が必要と案内しています。

この口座は、相続財産を受け取るためだけに使うこともあります。後日、別証券会社へ移管して残高がなくなれば、必要に応じて閉鎖を検討します。ただし、配当金、分配金、端数処理、税務書類の発行が残る可能性もあるため、直ちに閉鎖してよいかは証券会社に確認します。

手順10 ― 相続手続書類を提出する

代表的な必要書類は次のとおりです。実際には証券会社、遺言の有無、相続人の構成、商品内容により変わります。

次の比較表は、書類、主な目的、注意点を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

書類主な目的注意点
相続手続依頼書証券会社所定の相続指図銘柄、数量、移管先、代表者を正確に記載
被相続人の戸籍、除籍、改製原戸籍死亡と相続関係の証明出生から死亡までが求められることが多い
相続人全員の戸籍相続人の生存、関係確認発行期限に注意
法定相続情報一覧図戸籍束の代替資料住所記載の有無、提出先の取扱いを確認
相続人全員の印鑑証明書実印押印の確認6か月以内など期限が設けられることが多い
遺産分割協議書誰が何を取得するかの証明相続人全員の署名押印が必要
遺言書遺言内容の確認自筆証書遺言は検認または法務局保管の確認
検認済証明書、検認調書自筆証書遺言の手続確認家庭裁判所で取得
遺言執行者選任審判書遺言執行者の権限確認遺言で指定がない場合など
本人確認書類相続人、代理人の本人確認運転免許証、マイナンバーカード等
口座開設書類相続人口座の開設マイナンバー提出が必要になりますことがある
移管出庫依頼書他社へ移すための指図コード、銘柄、数量の誤記に注意

野村證券の相続案内では、必要書類として戸籍謄本等または法定相続情報一覧図、相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書、遺言書、検認関係書類、遺言執行者関係書類などが例示されている。

手順11 ― 相続移管の完了を確認する

書類が受理されると、証券会社が審査を行い、相続人名義の口座へ資産を振り替える。野村證券は、書類確認と振替手続を行い、資産の振替が完了すると、手続完了通知および預り明細のお知らせが届くと案内しています。

相続移管完了後、次を確認します。

  1. 銘柄、数量、口座区分が相続合意どおりか。
  2. 現金、MRF、未収配当、分配金が残っていないか。
  3. NISA由来の資産がどの口座に入ったか。
  4. 特定口座の取得価額が正しく表示されているか。
  5. 移管できなかった商品、端数、償還済み商品がないか。
  6. 移管先へ出庫する前に売却や買付を行う予定がないか。

手順12 ― 他社移管出庫を依頼する

相続人名義の移管元口座に資産が入ったら、別証券会社へ移管します。通常は、移管元証券会社に対して移管出庫書類を提出します。移管先証券会社には、受け入れに必要なコード、商品対応、口座区分を確認します。

移管出庫では、以下のミスが多いです。

次の比較表は、ミス、結果を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

ミス結果
加入者口座コードの誤記書類差戻し、移管遅延
移管先で投資信託を扱っていない移管不可、売却または別ルート検討
特定口座に入ると思っていたが一般口座になる売却時の申告負担が増える
銘柄名だけ記載し、銘柄コードや数量が不明確確認照会、差戻し
権利確定日、決算日、償還日直前に依頼処理停止、配当や分配金の帰属確認が必要
外国株式の移管条件を確認していない移管不可、現地保管機関、為替、税務処理の問題

移管手数料は証券会社ごとに異なります。野村證券は、証券保管振替機構を通じて他の証券会社等へ株式等を移管する場合、数量に応じて、移管する銘柄ごとに11,000円税込を上限額として移管手数料を受ける旨を相続手続ページで記載している。

Section 06

NISA口座を相続して証券口座移管する場合の特則

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

NISA口座は、相続人のNISA口座へそのまま承継できる制度ではありません。日本証券業協会は、NISA口座保有者が亡くなった場合、相続人が「非課税口座開設者死亡届出書」を提出しなければならず、死亡日から届出提出までの間にそのNISA口座で支払われた配当金等がある場合、遡及して課税されると説明しています。

国税庁のNISA手続Q&Aでも、非課税口座の開設者が亡くなった場合、相続人は遅滞なく死亡届出書を金融機関に提出し、NISA口座に受け入れていた上場株式等は非課税口座から払い出され、死亡時までの含み益には非課税措置の適用があると説明されている。

実務上の整理は次のとおりです。

次の比較表は、論点、取扱いの基本を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

論点取扱いの基本
故人のNISA口座そのもの相続人が引き継ぐことはできません
相続人のNISA口座への移管原則不可
相続人の受入口座特定口座または一般口座が基本
死亡時までの含み益NISAの非課税措置の対象となる
死亡後の配当等非課税にならない場合がある
取得価額死亡日の終値相当額等が基準となる場合がある

NISA口座の資産を別証券会社へ移したい場合でも、まずNISAの死亡時払出処理が必要です。その後、相続人の課税口座に入った資産を、商品と証券会社の条件に従って他社へ移管します。

Section 07

証券口座移管と相続税・所得税の重要論点

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

7.1 相続税申告期限

国税庁は、相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日、通常は死亡の日、の翌日から10か月以内に行うと説明しています。提出先は、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署であり、相続人の住所地ではありません。

証券移管が完了していなくても、相続税申告期限は進行します。証券会社の手続が長引く場合でも、死亡日時点の残高証明書、評価資料、概算資料を早めに集めるべきです。

7.2 上場株式の相続税評価

国税庁は、上場株式について、相続または遺贈の場合は被相続人の死亡の日の最終価格で評価することを原則とし、課税時期の属する月、前月、前々月の毎日の最終価格の月平均額のうち最も低い価額が死亡日の最終価格を下回る場合、その最も低い価額で評価すると説明しています。

したがって、相続税評価額は、実際に相続人の口座へ移管された日の価格や、売却日の価格とは一致しません。遺産分割上の評価額、相続税評価額、実際の売却額は別概念として管理する必要があります。

7.3 相続後に売却する場合の取得費

相続した株式を売却するとき、譲渡所得の計算では取得費が重要です。国税庁は、相続、遺贈、贈与により取得した株式等について、原則として被相続人等の取得費を引き継ぐと説明しています。

つまり、相続税評価で死亡日の時価を使ったからといって、売却時の所得税計算でも死亡日の時価を取得費にできるとは限らない。課税口座で故人が購入していた株式は、原則として故人の取得価額を引き継ぐ。一方、NISA口座から払い出された上場株式等は、相続開始日の終値相当額等が取得価額になる扱いがあります。

7.4 相続財産を譲渡した場合の取得費加算

国税庁は、相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を一定期間内に譲渡した場合、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる特例を説明しています。

上場株式を相続後に売却して相続税も発生する場合、この特例の適用可能性を税理士に確認する必要があります。適用期限、対象者、対象資産、相続税の課税有無、譲渡時期などの要件を満たさないと利用できません。

7.5 換価分割と贈与税リスク

複数相続人で「代表者が株式を受け取り、売却後に現金で分ける」とする場合、遺産分割協議書に換価分割ですこと、売却権限、費用、税金、分配割合を明記しないと、後から「代表者から他の相続人への贈与」と疑われる余地が生じる。

換価分割を行う場合の協議書には、少なくとも次の内容を入れるのが望ましいです。

記載例相続人全員は、被相続人名義の〇〇証券〇〇支店口座に預託されている別紙有価証券を換価分割することに合意します。相続人Aは代表して当該有価証券を相続手続上A名義口座に移管し、相当な時期に売却します。売却代金から売買手数料、移管手数料、税金その他必要費用を控除した残額を、相続人A、B、Cに各〇分の〇の割合で分配します。

実際の文言は、相続人関係、税務、遺言内容、金融機関書式に合わせる必要があるため、行政書士、司法書士、税理士、弁護士に確認します。

Section 08

証券口座移管の商品別注意点

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

次の注意点一覧は、商品別の移管可否や遅延要因をまとめたものです。商品ごとに受け入れ条件、税務、手数料が異なることを読み取れます。

8.1 国内上場株式、ETF、REIT

国内上場株式、ETF、REITは、ほふりの振替制度を通じて移管できることが多いです。ただし、単元未満株、整理銘柄、上場廃止予定銘柄、株式併合、株式分割、公開買付、会社再編の時期には制限や遅延が生じやすい。

8.2 投資信託

投資信託は、移管先証券会社が同じファンドを取り扱っていないと移管が難しいことがあります。信託報酬、信託財産留保額、決算日、分配金再投資、特定口座での取得価額管理にも注意します。移管不可の場合、移管元で売却して現金化し、移管先で別商品を購入します。

8.3 外国株式、外国ETF、外国債券

外国証券は、国内上場株式より制約が多いです。移管先が同じ市場、同じ保管機関、同じ銘柄を受け入れるか、外貨決済口座が必要か、現地手数料がかかるか、配当課税や外国税額控除に影響があるかを確認する必要があります。外国株式は、相続時の評価、為替換算、売。

8.4 債券

個人向け国債、社債、外債、仕組債は、銘柄、保管形態、償還日、利払日、移管先の取扱可否により処理が異なります。満期が近い場合、無理に移管せず償還金で処理する方が合理的なこともあります。

8.5 信用取引、先物、オプション、FX等

信用取引やデリバティブの建玉は、相続開始後に通常の現物株式のように移管が難しいことが多いです。相場変動による追証、決済損益、証拠金の返還、反対売買の時期など、緊急性が高いです。死亡届出時に建玉の有無を必ず確認し、弁護士、税理士、証券会社担当者。

8.6 特別口座の株式

特別口座にある株式は、通常の証券取引口座にある株式とは処理が異なります。証券会社だけでなく、株主名簿管理人にあたる信託銀行等に相続手続を行う必要があります。日本証券業協会は、特別口座の手続は信託銀行等に照会するよう案内しています。

8.1 国内上場株式、ETF、REIT

国内上場株式、ETF、REITは、ほふりの振替制度を通じて移管できることが多いです。ただし、単元未満株、整理銘柄、上場廃止予定銘柄、株式併合、株式分割、公開買付、会社再編の時期には制限や遅延が生じやすい。

8.2 投資信託

投資信託は、移管先証券会社が同じファンドを取り扱っていないと移管が難しいことがあります。信託報酬、信託財産留保額、決算日、分配金再投資、特定口座での取得価額管理にも注意します。移管不可の場合、移管元で売却して現金化し、移管先で別商品を購入する選択肢もありますが、売却益課税や相場変動リスクが生じます。

8.3 外国株式、外国ETF、外国債券

外国証券は、国内上場株式より制約が多いです。移管先が同じ市場、同じ保管機関、同じ銘柄を受け入れるか、外貨決済口座が必要か、現地手数料がかかるか、配当課税や外国税額控除に影響があるかを確認する必要があります。外国株式は、相続時の評価、為替換算、売却時の円換算取得費が問題になりやすいです。

8.4 債券

個人向け国債、社債、外債、仕組債は、銘柄、保管形態、償還日、利払日、移管先の取扱可否により処理が異なります。満期が近い場合、無理に移管せず償還金で処理する方が合理的なこともあります。

8.5 信用取引、先物、オプション、FX等

信用取引やデリバティブの建玉は、相続開始後に通常の現物株式のように移管が難しいことが多いです。相場変動による追証、決済損益、証拠金の返還、反対売買の時期など、緊急性が高いです。死亡届出時に建玉の有無を必ず確認し、弁護士、税理士、証券会社担当者と連携します。

8.6 特別口座の株式

特別口座にある株式は、通常の証券取引口座にある株式とは処理が異なります。証券会社だけでなく、株主名簿管理人にあたる信託銀行等に相続手続を行う必要があります。日本証券業協会は、特別口座の手続は信託銀行等に照会するよう案内しています。

特別口座の株式を売却や移管の対象にするには、まず相続人名義への整理と、証券会社の口座への振替が必要になりますことが多いです。

Section 09

証券口座移管でトラブルを防ぐチェックリスト

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

9.1 相続手続前のチェック

次の比較表は、チェック項目、確認を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

チェック項目確認
故人の証券会社、支店、口座番号を把握した
証券会社へ死亡届出をした
残高証明書を死亡日基準で請求した
取引履歴、取得費資料を請求した
NISA口座の有無を確認した
信用取引、先物、オプション等の建玉を確認した
特別口座、持株会、株主名簿管理人の有無を確認した
相続放棄の可能性を検討した

9.2 遺産分割時のチェック

次の比較表は、チェック項目、確認を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

チェック項目確認
遺言書の有無を確認した
相続人を戸籍または法定相続情報一覧図で確定した
相続人全員が証券の分け方に合意した
現物分割、代償分割、換価分割のいずれかを明確にした
売却時期、費用、税金の負担者を合意した
価格変動リスクの帰属を協議書に反映した
未成年者や後見人との利益相反を確認した
紛争がある場合、弁護士に相談した

9.3 他社移管時のチェック

次の比較表は、チェック項目、確認を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

チェック項目確認
移管元が直接他社移管を認めるか確認した
同一証券会社経由が必要な場合、相続人口座を開設した
移管先証券会社が商品を受け入れるか確認した
機構加入者コード、加入者口座コードを取得した
特定口座に入るか、一般口座になるか確認した
出庫手数料、入庫手数料を確認した
配当、分配金、権利確定日の影響を確認した
移管完了後、銘柄、数量、取得価額を確認した
Section 10

証券口座移管でよくある誤解

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

次の一覧は、証券口座移管でよくある誤解を整理したものです。ログイン、直接移管、取得費、NISA、代表相続人の扱いを分けて読むことが重要です。

POINT 1

誤解1: 故人のIDとパスワードでログインして売ればよい

故人の死亡後に、故人名義でログインし、売買や出金を行うことは避ける必要があります。証券会社の規約、相続人間の権限、税務処理、刑事民事上の評価に問題が生じる可能性があります。死亡を証券会社に届け出て、相続手続を経るのが原則とされています。

POINT 2

誤解2: 相続人がすでに別証券会社の口座を持っていれば直接移せる

必ずしもそうではありません。移管元証券会社の相続実務が直接他社移管を認めない場合、いったん同じ証券会社に相続人口座を開く必要があります。SBI証券、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の公開案内はいずれも、同社内の相続人口座を経由する考え方を。

POINT 3

誤解3: 相続税評価額が売却時の取得費になる

課税口座の株式では、相続税評価額と売却時の取得費は別です。国税庁は、相続により取得した株式等について、原則として被相続人の取得費を引き継ぐと説明しています。

POINT 4

誤解4: NISA口座は相続人のNISA口座へ移せる

NISA口座そのものを相続人が引き継ぐことはできず、相続人のNISA口座への移管も原則できません。死亡届出と課税口座への払出処理が必要です。

POINT 5

誤解5: 代表相続人が受け取って後から配れば問題ない

遺産分割協議書に換価分割や代償分割として明確に記載しないと、代表相続人から他の相続人への贈与、または使い込みと見られるリスクがあります。代表者の権限、売却時期、費用控除、税負担、分配割合を文書化する必要があります。

誤解1: 故人のIDとパスワードでログインして売ればよい

故人の死亡後に、故人名義でログインし、売買や出金を行うことは避ける必要があります。証券会社の規約、相続人間の権限、税務処理、刑事民事上の評価に問題が生じる可能性があります。死亡を証券会社に届け出て、相続手続を経るのが原則とされています。

誤解2: 相続人がすでに別証券会社の口座を持っていれば直接移せる

必ずしもそうではありません。移管元証券会社の相続実務が直接他社移管を認めない場合、いったん同じ証券会社に相続人口座を開く必要があります。SBI証券、大和証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券の公開案内はいずれも、同社内の相続人口座を経由する考え方を示しています。

誤解3: 相続税評価額が売却時の取得費になる

課税口座の株式では、相続税評価額と売却時の取得費は別です。国税庁は、相続により取得した株式等について、原則として被相続人の取得費を引き継ぐと説明しています。

誤解4: NISA口座は相続人のNISA口座へ移せる

NISA口座そのものを相続人が引き継ぐことはできず、相続人のNISA口座への移管も原則できません。死亡届出と課税口座への払出処理が必要です。

誤解5: 代表相続人が受け取って後から配れば問題ない

遺産分割協議書に換価分割や代償分割として明確に記載しないと、代表相続人から他の相続人への贈与、または使い込みと見られるリスクがあります。代表者の権限、売却時期、費用控除、税負担、分配割合を文書化する必要があります。

Section 11

証券口座移管で使い分ける専門職

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

次の比較表は、専門職、主な役割、証券口座移管での関与を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

専門職主な役割証券口座移管での関与
弁護士相続紛争、遺留分、使い込み、調停、審判、訴訟相続人間で争いがある場合、代表者の権限に疑義がある場合
税理士相続税申告、譲渡所得、取得費、NISA税務相続税申告が必要な場合、売却予定がある場合
司法書士相続登記、戸籍収集、裁判所提出書類作成の一部不動産もある相続、法定相続情報一覧図の準備支援
行政書士遺産分割協議書、相続関係説明図等の作成争いのない相続で書類整理が必要な場合
証券会社相続担当残高証明、相続移管、移管出庫手続の主窓口
信託銀行遺言信託、遺言執行、特別口座管理遺言執行、特別口座株式がある場合
FP家計、資産配分、保険、老後資金の整理相続後の資産管理方針を検討する場合
家庭裁判所遺産分割調停、審判、相続放棄合意が難しい場合、放棄や特別代理人が必要な場合

不動産がある相続では、証券口座だけを先に処理すると、全体の取得割合や代償金に影響することがあります。相続財産全体を一覧化し、証券、預金、不動産、保険、負債、未払税金を一体で検討します。

Section 12

証券口座移管を遺産分割協議書へ書く例

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

以下は一般的な記載例であり、個別事情に応じて修正が必要です。

12.1 現物取得して他社へ移管する場合

記載例相続人全員は、被相続人〇〇〇〇名義の〇〇証券株式会社〇〇支店口座に預託されている別紙1記載の上場株式、投資信託その他有価証券および預り金を、相続人Aが取得することに合意します。相続人Aは、相続手続上必要な場合、当該有価証券等を〇〇証券株式会社のA名義口座に移管した後、Aの判断により△△証券株式会社その他の金融商品取引業者に移管することができます。

12.2 複数相続人で数量分割する場合

記載例相続人全員は、被相続人名義の〇〇証券株式会社口座に預託されている株式会社甲株式1,000株について、相続人Aが500株、相続人Bが300株、相続人Cが200株をそれぞれ取得することに合意します。各相続人は、各自名義の証券口座への振替手続に必要な書類提出に協力します。

12.3 換価分割する場合

記載例相続人全員は、被相続人名義の〇〇証券株式会社口座に預託されている別紙有価証券を換価分割することに合意します。相続人Aは、代表して当該有価証券をA名義口座に移管し、相当な時期に売却します。売却代金から売買手数料、移管手数料、税金その他換価に必要な費用を控除した残額を、相続人A、B、Cに各3分の1の割合で分配します。

12.4 価格変動リスクを明記する場合

記載例相続人全員は、上記有価証券の価格が相続開始日から売却日または移管日までに変動することを確認し、当該価格変動による利益または損失は、上記分配割合に従って帰属することに合意します。
Section 13

証券口座移管にかかる期間の目安

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

手続期間は、証券会社、相続人の人数、戸籍収集状況、遺言の有無、商品内容、書類不備の有無で大きく変わります。一般的な感覚としては、次の工程を合算して考える。

次の比較表は、工程、期間の目安、遅延要因を整理したものです。列ごとの違いを確認することで、手続の優先順位と注意点を読み取れます。

工程期間の目安遅延要因
証券会社の所在調査数日〜1か月超口座不明、住所変更、JASDEC開示請求
戸籍収集、法定相続情報2週間〜2か月転籍、代襲相続、兄弟姉妹相続、海外居住
遺産分割協議数日〜数か月以上相続人間対立、評価額争い、売却時期争い
証券会社の相続審査2週間〜2か月程度書類不備、遺言確認、商品制限
他社移管出庫1週間〜数週間コード誤り、権利確定、移管不可商品

相続税の申告期限が10か月ですことを踏まえると、証券会社への死亡届出と残高証明書請求は早めに行うべきです。

Section 14

故人の証券会社から別会社へ移管する最適な順序

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

故人が利用していた証券会社と別の会社に口座移管する方法として、最も安全な実務設計は次の順序です。

  1. 故人の証券会社を特定します。
  2. 死亡届出をして相続手続書類を取り寄せる。
  3. 死亡日時点の残高証明書、取引履歴、取得費資料を請求します。
  4. 遺言書の有無と相続人を確定します。
  5. 遺産分割協議書または遺言執行により、誰が有価証券を取得するかを明確にします。
  6. 移管先の別証券会社で受け入れ可否とコードを確認します。
  7. 移管元証券会社に、直接他社移管が可能か確認します。
  8. 直接不可なら、相続人が移管元証券会社に口座を開設します。
  9. 相続移管を完了させる。
  10. 相続人名義口座から別証券会社へ移管出庫します。
  11. 移管完了後、銘柄、数量、取得価額、口座区分を確認します。
  12. 相続税申告、売却時の所得税申告、取得費加算特例の要否を税理士と確認します。

この順序を守ると、「相続人の合意がないのに動かした」「NISAの処理を誤った」「取得費が分からない」「移管先が受け入れなかった」「相続税申告に間に合わない」といった典型的な失敗を避けやすい。

Section 15

証券口座移管のまとめ

相続手続と他社移管を分け、書類、税務、商品別制約を確認します。

故人が利用していた証券会社と別の会社に口座移管する方法の核心は、相続手続と証券会社間移管を分けて考えることです。

故人の口座をそのまま別会社へ移すのではありません。まず、故人の証券会社で相続人、受遺者、遺言執行者等の権限を確認し、故人名義の有価証券を相続人名義へ移します。その後、移管先証券会社が受け入れ可能な商品について、機構加入者コード、加入者口座コード、移管出庫書類を用いて別会社へ移管します。

直接他社移管ができるかは証券会社ごとに異なるが、主要証券会社の公開情報を見ると、いったん同一証券会社の相続人口座へ移すことを求める実務が少なくない。したがって、最初の問い合わせ時に「直接他社移管の可否」と「同一証券会社口座開設の要否」を確認することが、時間と費用を左右します。

税務面では、相続税評価、取得費、NISA払出、取得費加算特例が重要です。法務面では、遺言、遺産分割協議、換価分割、相続放棄、相続人間紛争が重要です。証券実務面では、商品ごとの移管可否、コード、手数料、権利確定日、移管後の口座区分が重要です。

証券口座の相続は、単なる事務手続ではありません。相続人間の合意、税務資料の保存、価格変動リスクの管理、金融機関の実務制約を同時に扱う複合的な手続です。早期に全体像を把握し、証券会社、税理士、弁護士、司法書士等を適切に使い分けることが、最も確実な解決策です。

Reference

参考資料

制度や手続の根拠となる資料名を整理しています。

参考資料は、制度や手続を確認するための資料名を整理したものです。資料の種類を把握することで、必要に応じて公的機関、裁判所、税務当局、金融機関の一次情報を確認する手がかりになります。

  • 政府広報オンライン「知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐために」
  • 証券保管振替機構「株式等振替制度」
  • 証券保管振替機構「ご本人又は亡くなった方の株式等に係る口座の開設先を確認したい場合」
  • 野村證券「他社への移管出庫」
  • 日本証券業協会「NISAのよくある質問」
  • 日本証券業協会「特別口座についてのお手続き」
  • 大和証券「相続手続きQ&A」
  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 裁判所「相続の放棄の申述」
  • SBI証券FAQ「相続手続きで、他証券会社の相続人口座へ移管はできますか?」
  • 大和証券FAQ「相続人の私は大和証券に口座がありません。相続手続きを行う場合、口座を開設する必要はありますか。他社の口座に直接移管できますか。」
  • 三菱UFJモルガン・スタンレー証券FAQ「相続手続の際に、相続人が三菱UFJモルガン・スタンレー証券に口座開設をする必要がありますか。」
  • 野村證券「相続のお手続き」
  • 国税庁「No.1464 譲渡した株式等の取得費」
  • 法務局「法定相続情報証明制度について」
  • 国税庁「NISA及びつみたてNISAの手続に関するQ&A」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 国税庁「No.4632 上場株式の評価」
  • 国税庁「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」