2σ Guide

借地権割合の調べ方
相続税評価額の計算手順

借地権の相続税評価では、国税庁の路線価図や評価倍率表で割合を読むだけでなく、権利の種類、相続開始年、借地人側か地主側かを順に確認する必要があります。

A-G 路線価図の記号
30-90% 普通借地権割合
20% 取引慣行なしの貸宅地論点
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借地権割合の調べ方 相続税評価額の計算手順

借地権割合は、土地を所有していない相続でも評価額を左右する重要な確認項目です。

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借地権割合の調べ方 相続税評価額の計算手順
借地権割合は、土地を所有していない相続でも評価額を左右する重要な確認項目です。
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  • 借地権割合の調べ方 相続税評価額の計算手順
  • 借地権割合は、土地を所有していない相続でも評価額を左右する重要な確認項目です。

POINT 1

  • 借地権割合の全体像と相続税評価額が変わる理由
  • 借地権割合は、土地を所有していない相続でも評価額を左右する重要な確認項目です。
  • 相続財産に借地権が含まれる場合、「土地を所有していないのに相続税評価が必要なのか」という疑問が生じやすくなります。
  • 建物所有目的で他人の土地を利用する権利は、一定の財産的価値を持つ権利として相続税や贈与税の評価対象になります。
  • 例えば自用地としての価額が5,000万円で、借地権割合が60%であれば、普通借地権の概算評価額は3,000万円です。

POINT 2

  • 借地権割合を調べる前に押さえる用語
  • 1. 令和7年分を確認:2025年分の路線価図または評価倍率表を確認します。
  • 2. 令和7年分を確認:年の後半に相続が開始しても、同じ2025年分を使うのが基本です。
  • 3. 令和8年分を確認:まだ公開されていない場合は申告期限を管理しながら、公開後に該当年分を確認します。
  • 4. 相続開始年をさかのぼる:古い年分の閲覧可否も確認し、相続開始年の評価基準を探します。

POINT 3

  • 借地権割合の確認前に権利関係を分類する
  • 同じ土地利用でも、借地人側、地主側、貸家建付借地権では評価する財産が変わります。
  • 普通借地権、定期借地権等、一時使用目的の違い
  • 借地権割合を探す前に、被相続人がどの立場で財産を持っていたかを確定します。
  • 借地人側は借地権を評価し、地主側は借地権が付着した貸宅地を評価するため、同じ割合を使っても計算の向きが変わります。

POINT 4

  • 路線価地域で借地権割合を調べる手順
  • 路線価図では、数字部分とAからGの記号を分けて読みます。
  • 年分、所在地、路線価図を順に確認する
  • 数字とアルファベットを読む
  • 路線価地域の計算例

POINT 5

  • 倍率地域で借地権割合を調べる手順
  • 倍率地域では、評価倍率表の借地権割合欄と宅地倍率を分けて確認します。
  • 倍率地域の計算例
  • 借地権割合欄が空欄または横線の場合
  • 路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に評価倍率を乗じる倍率方式によって土地を評価します。

POINT 6

  • 借地権割合を使った評価計算の体系
  • 借地人側、地主側、貸家建付借地権で計算の目的が変わります。
  • 借地人側の普通借地権
  • 地主側の貸宅地
  • 貸家建付借地権

POINT 7

  • 借地権割合調査の実務手順と準備資料
  • 1. 1. 立場を確認:被相続人が借地人か地主かを確認します。
  • 2. 2. 建物所有目的を確認:土地利用が建物所有目的かを確認します。
  • 3. 3. 契約の種類を確認:普通借地権、定期借地権等、一時使用目的を契約書で分けます。
  • 4. 4. 相続開始年を確認:該当年分の財産評価基準書を開きます。
  • 5. 5. 評価方式を判定:路線価地域か倍率地域かを確認します。
  • 6. AからGの記号:正面路線の記号を確認します。
  • 7. 借地権割合欄:評価倍率表の数値を確認します。
  • 8. 6. 例外を確認:割合がない地域、定期借地権等、貸家建付借地権、複数路線を確認します。
  • 9. 7. 自用地評価と申告反映:自用地としての価額を計算し、借地権割合を乗じて評価明細へ反映します。

POINT 8

  • 借地権割合でよくある誤りと予防策
  • 最新年分を使う
  • 相続税評価では相続開始年の評価基準を使います。
  • アルファベットを見落とす
  • 「300D」の300だけでなく、Dの60%も確認します。

まとめ

  • 借地権割合の調べ方 相続税評価額の計算手順
  • 借地権割合の全体像と相続税評価額が変わる理由:借地権割合は、土地を所有していない相続でも評価額を左右する重要な確認項目です。
  • 借地権割合を調べる前に押さえる用語:借地権、自用地としての価額、課税時期を取り違えると、割合を正しく読んでも評価額がずれます。
  • 借地権割合の確認前に権利関係を分類する:同じ土地利用でも、借地人側、地主側、貸家建付借地権では評価する財産が変わります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

借地権割合の全体像と相続税評価額が変わる理由

借地権割合は、土地を所有していない相続でも評価額を左右する重要な確認項目です。

相続財産に借地権が含まれる場合、「土地を所有していないのに相続税評価が必要なのか」という疑問が生じやすくなります。建物所有目的で他人の土地を利用する権利は、一定の財産的価値を持つ権利として相続税や贈与税の評価対象になります。

基本式普通借地権の相続税評価額は、原則として「借地権の目的となる宅地の自用地としての価額 × 借地権割合」で把握します。

例えば自用地としての価額が5,000万円で、借地権割合が60%であれば、普通借地権の概算評価額は3,000万円です。計算式は「5,000万円 × 60% = 3,000万円」です。

次の比較表は、借地権割合を調べる前に確認する事項と、それが評価実務で持つ意味を整理したものです。どの立場の財産を評価しているかで計算対象が変わるため、左列で確認項目を押さえ、右列で評価への影響を読み取ることが重要です。

確認事項実務上の意味
被相続人は借地人か、地主か借地人なら借地権を評価し、地主なら貸宅地を評価する可能性が高くなります。
契約は普通借地権か、定期借地権等か定期借地権等では、普通借地権の割合方式だけでは足りない場合があります。
土地は路線価地域か、倍率地域か借地権割合の表示場所が、路線価図か評価倍率表かに分かれます。
路線価図にAからGの記号があるか記号が普通借地権の借地権割合を示します。
評価倍率表に借地権割合欄があるか倍率地域で割合を確認する主要な欄になります。
借地権の取引慣行がない地域か借地人側と地主側で扱いが異なり、貸宅地評価では20%控除の論点が出ます。

相続税評価額は、相続税申告のための評価額です。売却価格、遺産分割で相続人が合意する価格、不動産鑑定評価額とは、目的も計算体系も異なります。借地権割合を見つける作業は入口であり、最終評価では自用地評価、契約関係、例外処理まで合わせて確認します。

Section 01

借地権割合を調べる前に押さえる用語

借地権、自用地としての価額、課税時期を取り違えると、割合を正しく読んでも評価額がずれます。

借地権

借地借家法上の借地権は、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいいます。日常的に「土地を借りている」と表現される関係でも、建物所有目的かどうかが評価上の大きな分岐点になります。

次の比較表は、土地利用の形と借地権評価との関係を整理したものです。建物所有目的の有無によって通常の借地権割合を使うかが変わるため、左列の利用関係ごとに、右列の評価上の注意点を確認します。

利用関係借地権評価との関係
自宅建物を所有するために土地を借りている普通借地権または定期借地権等として評価対象になり得ます。
店舗建物を所有するために土地を借りている借地権評価の対象になり得ます。
青空駐車場として土地を借りている建物所有目的ではないため、通常の借地借家法上の借地権とは別の論点になります。
資材置場として土地を借りている借地権割合をそのまま使うとは限りません。
使用貸借で親族の土地に建物を建てている権利金や地代の有無、法律関係、税務上の評価を慎重に確認します。

借地権割合

借地権割合とは、借地権の目的となる宅地の自用地としての価額に対し、借地権の価額がどの程度を占めるかを示す割合です。全国一律ではなく、都市部、商業地、住宅地、郊外、借地取引の慣行などによって地域差が生じます。

自用地としての価額

自用地としての価額は、他人の権利の目的となっていない土地として評価した価額です。路線価地域では路線価に各種補正率を適用し、地積を乗じて求めます。倍率地域では固定資産税評価額に評価倍率を乗じて求めます。

課税時期

相続税評価の課税時期は、相続または遺贈では原則として被相続人の死亡日です。借地権割合を調べる際は、今公開されている最新年分ではなく、相続開始年に対応する年分の財産評価基準書を確認します。2026年分については、令和8年分の路線価図等が2026年7月1日11時公開予定と案内されています。

次の時期別整理は、どの年分を確認するかを示しています。年分を誤ると路線価だけでなく借地権割合も異なる可能性があるため、左列の相続開始日と右列の確認年分を対応させて読み取ります。

2025年3月10日

令和7年分を確認

2025年分の路線価図または評価倍率表を確認します。

2025年12月20日

令和7年分を確認

年の後半に相続が開始しても、同じ2025年分を使うのが基本です。

2026年2月1日

令和8年分を確認

まだ公開されていない場合は申告期限を管理しながら、公開後に該当年分を確認します。

過年度の未申告や修正検討

相続開始年をさかのぼる

古い年分の閲覧可否も確認し、相続開始年の評価基準を探します。

Section 02

借地権割合の確認前に権利関係を分類する

同じ土地利用でも、借地人側、地主側、貸家建付借地権では評価する財産が変わります。

借地権割合を探す前に、被相続人がどの立場で財産を持っていたかを確定します。借地人側は借地権を評価し、地主側は借地権が付着した貸宅地を評価するため、同じ割合を使っても計算の向きが変わります。

次の比較表は、被相続人の立場ごとに主に評価する財産と基本式を整理したものです。左列で立場を確認し、中央列で評価対象、右列で計算の骨格を読むことで、借地権割合をどこに使うかが分かります。

被相続人の立場主に評価するもの基本式や考え方
借地人借地権自用地としての価額 × 借地権割合
地主貸宅地、いわゆる底地自用地としての価額 − 借地権価額
借地上建物の所有者建物と借地権建物は固定資産税評価額を基礎に評価し、借地権は土地側の評価を使います。
借地上建物を貸している借地人貸家建付借地権等借地権価額から借家人の権利部分を考慮する場合があります。

普通借地権、定期借地権等、一時使用目的の違い

借地権割合を使う作業は、主として普通借地権の評価で問題になります。契約書に定期借地、事業用定期借地、一時使用などの記載がある場合、普通借地権と同じ計算を当てはめると評価を誤る可能性があります。

次の比較表は、借地権の種類ごとの評価の方向性を整理したものです。普通借地権では割合方式が中心ですが、定期借地権等では経済的利益や残存期間を見るため、種類の違いを読み分けることが重要です。

種類実務上の評価の方向性
普通借地権、旧借地権通常は自用地としての価額に借地権割合を乗じます。
一般定期借地権、事業用定期借地権等経済的利益、存続期間、残存期間などを基に評価し、単純な割合方式では足りない場合があります。
建物譲渡特約付借地権契約終了時の建物譲渡特約を含めて検討します。
一時使用目的の借地権通常の借地権割合を乗じる評価は適切ではなく、雑種地の賃借権の評価方法に準じるとされています。
注意借地権割合だけを先に探しても、評価対象が普通借地権ではない場合は結論が変わります。契約書、地代、権利金、利用実態を合わせて確認します。
Section 03

路線価地域で借地権割合を調べる手順

路線価図では、数字部分とAからGの記号を分けて読みます。

年分、所在地、路線価図を順に確認する

国税庁の財産評価基準書で相続開始年に対応する年分を選び、都道府県、市区町村、町丁名索引などから対象地が掲載された路線価図を開きます。この段階では、住居表示だけでなく、登記事項証明書、公図、地積測量図、固定資産税課税明細書などで地番や借地範囲を確認します。

数字とアルファベットを読む

路線価図には「300D」「450C」のような表示が付されます。数字部分は1平方メートル当たりの路線価を千円単位で示し、右側などの記号が借地権割合を示します。例えば「300D」であれば、300は1平方メートル当たり300千円、Dは60%を意味します。

次の割合の比較は、路線価図で使われるAからGの記号と借地権割合の対応関係を表しています。割合が高いほど自用地評価額のうち借地権として評価される部分が大きくなるため、左の記号と右の数値を対応させて読むことが重要です。

A
90%
B
80%
C
70%
D
60%
E
50%
F
40%
G
30%
Aが90%、Gが30%です。記号だけでなく、対象地の正面路線と自用地評価額も合わせて確認します。

路線価地域の計算例

次の計算例は、路線価地域で普通借地権を評価する流れを単純化したものです。左列の前提を基に、まず自用地としての価額を出し、その後に借地権割合を掛ける順番を読み取ります。

項目内容
路線価図の表示300D
路線価300,000円 1平方メートル当たり
借地権割合60%
地積200平方メートル
奥行価格補正率など1.00として単純化
計算自用地としての価額は「300,000円 × 1.00 × 200平方メートル = 60,000,000円」です。借地権の相続税評価額は「60,000,000円 × 60% = 36,000,000円」です。

複数道路や路線価がない道路の注意点

角地や二方路線地で複数の路線価、複数の借地権割合が表示される場合、借地権の価額を評価する際は正面路線の借地権割合を適用するとされています。単に高い割合を選ぶのではなく、路線価に奥行価格補正率を乗じた後の価額などを踏まえて正面路線を判定します。

路線価地域内でも、対象地が路線価の設定されていない道路のみに接している場合があります。この場合は特定路線価の設定申出を検討します。路線価がないことだけで倍率方式へ切り替えたり、評価不能としたりせず、路線価地域内か倍率地域か、接道状況がどうかを確認します。

Section 04

倍率地域で借地権割合を調べる手順

倍率地域では、評価倍率表の借地権割合欄と宅地倍率を分けて確認します。

路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に評価倍率を乗じる倍率方式によって土地を評価します。借地権割合は、国税庁の財産評価基準書から対象年分、都道府県、市区町村を選び、評価倍率表の「借地権割合」欄で確認します。

次の手順一覧は、倍率地域で借地権割合を読む順番を表しています。地域名だけでなく適用地域や地目も関係するため、上から順に確認し、最後に自用地としての価額へ割合を掛ける流れを読み取ります。

順序確認する内容
1対象地の市区町村、大字、町丁目を特定します。
2適用地域欄を確認します。全域、一部、市街化区域、市街化調整区域などの区分がある場合があります。
3現況地目、固定資産税評価上の地目、評価上の地目を確認します。
4借地権割合欄の数値を読みます。
5宅地倍率などを使って自用地としての価額を計算します。
6自用地としての価額に借地権割合を乗じます。

倍率地域の計算例

次の計算例は、倍率地域で普通借地権を評価する場合の単純化した前提です。固定資産税評価額に宅地倍率を掛けて自用地評価を出し、その後で借地権割合を掛ける順序が重要です。

項目内容
固定資産税評価額8,000,000円
宅地倍率1.1倍
借地権割合50%
計算自用地としての価額は「8,000,000円 × 1.1 = 8,800,000円」です。借地権の相続税評価額は「8,800,000円 × 50% = 4,400,000円」です。

借地権割合欄が空欄または横線の場合

評価倍率表の借地権割合欄に数値がない場合、借地権の取引慣行がない地域に該当する可能性があります。借地人側の借地権評価では価額を評価しない論点が出る一方、地主側の貸宅地評価では20%として計算する取扱いが説明されています。

次の比較表は、借地権割合欄に数値がない地域で、借地人側と地主側の注意点がどう違うかを表しています。立場によって結論が分かれるため、左列の場面と右列の扱いを取り違えないことが重要です。

場面取引慣行がない地域での注意点
借地人側の借地権評価借地権の価額を評価しない論点があります。
地主側の貸宅地評価自用地としての価額から20%相当を控除する論点があります。
Section 05

借地権割合を使った評価計算の体系

借地人側、地主側、貸家建付借地権で計算の目的が変わります。

借地人側の普通借地権

借地人が亡くなった場合、借地権は相続財産です。借地上の建物も相続財産であり、建物は原則として固定資産税評価額を基礎に評価されます。

次の比較表は、借地上に自宅建物がある場合に分けて評価する財産を表しています。土地利用権と建物は別の財産として扱うため、左列で財産を分け、右列で評価の考え方を確認します。

財産評価の考え方
建物固定資産税評価額を基礎に評価します。
借地権借地権の目的となる土地の自用地評価額 × 借地権割合で評価します。

地主側の貸宅地

地主が亡くなった場合、土地所有権は相続財産ですが、その土地には借地人の権利が付着しています。貸宅地評価額は「自用地としての価額 − 自用地としての価額 × 借地権割合」、または「自用地としての価額 ×(1 − 借地権割合)」と表せます。

自用地としての価額が6,000万円、借地権割合が60%であれば、貸宅地評価額は「6,000万円 ×(1 − 60%)= 2,400万円」です。

ただし、地代、権利金、相当の地代、無償返還に関する届出、法人と役員間の賃貸借などが絡む場合、単純な貸宅地式だけでは終わらないことがあります。

貸家建付借地権

借地人が借地上に建物を所有し、その建物を第三者に貸している場合、借地権割合に加えて借家権割合、賃貸割合、建物の賃貸状況を確認します。路線価図のアルファベットを読んだだけでは、借家人の権利による制約を反映できません。

Section 06

借地権割合調査の実務手順と準備資料

資料をそろえ、権利分類から評価明細への反映まで順に確認します。

準備資料

借地権割合を調べる前に、契約関係、登記、地積、支払実態、相続人間の取得者を確認できる資料を集めます。資料が不足すると、割合そのものよりも先に、借地権の存在や範囲の判断でつまずきやすくなります。

次の一覧は、借地権割合の調査前に集めたい資料と確認事項を整理したものです。左列で資料名を確認し、右列で何を読み取るかを見ることで、評価漏れや範囲の誤認を防ぎやすくなります。

資料確認する事項
土地賃貸借契約書契約当事者、目的、期間、更新、地代、権利金、承諾料、譲渡制限
建物登記事項証明書建物所有者、所在地、種類、構造、床面積、登記時期
土地登記事項証明書所有者、地番、地目、地積、地上権や賃借権登記の有無
公図、地積測量図筆界、地積、接道、借地範囲
固定資産税課税明細書固定資産税評価額、課税地目、家屋評価額
地代の支払資料借地関係の実在性、地代水準
権利金、更新料、名義書換料の資料借地権取引慣行や経済的利益の把握
遺言書、遺産分割協議資料相続人間の取得者、評価額争いの有無

判定手順

次の判断の流れは、借地権割合を調べて評価額へ反映するまでの順番を示しています。上から順に確認することで、普通借地権か特殊類型か、路線価地域か倍率地域か、例外処理が必要かを読み取れます。

借地権割合を評価へつなげる順番

1. 立場を確認

被相続人が借地人か地主かを確認します。

2. 建物所有目的を確認

土地利用が建物所有目的かを確認します。

3. 契約の種類を確認

普通借地権、定期借地権等、一時使用目的を契約書で分けます。

4. 相続開始年を確認

該当年分の財産評価基準書を開きます。

5. 評価方式を判定

路線価地域か倍率地域かを確認します。

路線価地域
AからGの記号

正面路線の記号を確認します。

倍率地域
借地権割合欄

評価倍率表の数値を確認します。

6. 例外を確認

割合がない地域、定期借地権等、貸家建付借地権、複数路線を確認します。

7. 自用地評価と申告反映

自用地としての価額を計算し、借地権割合を乗じて評価明細へ反映します。

Section 07

借地権割合でよくある誤りと予防策

割合を見つけた後の読み違い、年分違い、例外処理の見落としに注意します。

借地権割合の調査では、数字や記号の見落としだけでなく、評価の入口を間違えることが問題になります。特に相続開始年、正面路線、倍率表の借地権割合欄、取引慣行のない地域、定期借地権等は、評価額に直結します。

次の注意点一覧は、相続税評価で起こりやすい誤りを整理したものです。各項目は、どこで間違いやすいか、どのように確認すれば予防しやすいかを示しているため、申告前の確認事項として読み取れます。

最新年分を使う

相続税評価では相続開始年の評価基準を使います。2024年開始の相続を2026年に検討する場合でも、原則として2024年分を確認します。

アルファベットを見落とす

「300D」の300だけでなく、Dの60%も確認します。逆にDだけを見て自用地評価の補正を省略しても誤りです。

路線価にだけ割合を掛ける

借地権割合は、自用地としての価額に乗じる割合です。奥行、接道、不整形、私道、セットバックなどの補正も確認します。

有利な割合だけを選ぶ

複数路線で割合が異なる場合、原則として正面路線の借地権割合を使います。

倍率表の欄を見ない

倍率地域では、宅地倍率だけでなく借地権割合欄を確認します。

空欄を一律ゼロにする

借地人側と地主側で扱いが異なります。地主側の貸宅地評価では20%控除の論点があります。

定期借地権等を同じ式にする

定期借地権等では、経済的利益や存続期間、残存期間を基に評価するため、普通借地権の式だけでは足りない場合があります。

遺産分割の時価と混同する

相続税評価額は税額計算のための評価です。合意価格や売却価格とは異なる場合があります。

Section 08

借地権割合と市場価格・専門職の役割

税務評価の割合と、売却可能額や遺産分割上の評価は一致するとは限りません。

市場価格との違い

借地権割合は、相続税や贈与税の財産評価で使う公的な評価基準です。一方、借地権の市場価格は、地主の承諾、契約内容、建物状態、地代水準、地域需要などで上下します。

次の比較表は、市場価格に影響する事情と、その影響の方向を整理したものです。借地権割合で出した評価額と実際の換価可能性は別問題になり得るため、左列の事情ごとに右列の影響を確認します。

市場価格に影響する事情影響の方向
地主の譲渡承諾の得やすさ承諾が困難なら流動性が下がります。
借地契約の残存期間残存期間が短い場合、買主が慎重になることがあります。
地代の水準低廉な地代か、相当の地代かで経済価値が変わります。
更新料や承諾料の慣行将来負担を織り込む必要があります。
建替え可否建替え制限が強いと価値が下がる可能性があります。
借地上建物の状態老朽化、再建築可否、用途制限が影響します。
金融機関の融資姿勢借地権売買の需要に影響します。
地主との関係交渉可能性、紛争リスクが価格に反映されます。

専門職ごとの役割

借地権の相続税評価では、税理士だけでなく複数の専門職が関与することがあります。問題が複合化するほど、誰がどの領域を確認するかを明確にすることが重要です。

次の一覧は、借地権を含む相続で関与し得る専門職と主な役割を整理したものです。税務、登記、境界、時価、紛争で担当領域が異なるため、左列の専門職と右列の役割を対応させて読み取ります。

専門職主な役割
税理士相続税申告、借地権評価、貸宅地評価、税務相談、税務調査対応
弁護士相続人間の紛争、遺産分割協議、遺留分、借地契約紛争、地主交渉、調停、審判、訴訟
司法書士相続登記、建物登記、登記記録確認、相続関係書類、裁判所提出書類作成の一部
不動産鑑定士借地権、底地、借地上建物、遺産分割時価の鑑定評価
土地家屋調査士境界確認、測量、分筆、表題登記、借地範囲の特定
宅地建物取引士、不動産会社借地権売買、底地売買、査定、重要事項説明、売却実務
行政書士争いのない範囲での遺産分割協議書作成、相続関係説明図作成支援など
公証人公正証書遺言の作成に関与します。
家庭裁判所の関係者遺産分割調停、審判、鑑定人、専門委員などを通じた紛争処理に関わります。
登記相続登記は2024年4月1日から申請義務化が始まっています。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をする必要があると案内されています。

税務調査や相続人間紛争で問題になりやすい論点

親族間で土地を使わせている場合、地代の授受が曖昧だったり、契約書がなかったりします。この場合、借地権を評価するのか、使用貸借に近い関係として処理するのか、事実関係の整理が必要です。

次の確認表は、借地権の存在や範囲が問題になったときに見たい事実と資料を整理したものです。評価額に直結するため、左列の事実を右列の資料で確認できるかを読み取ります。

事実確認資料
地代を払っているか通帳、領収書、振込記録
権利金を払ったか契約書、領収書、当時の会計資料
建物所有目的か建物登記、建築確認、契約書
契約期間と更新賃貸借契約書、更新契約書
地主の承諾内容承諾書、覚書、通知書
法人関係者間の取引か法人税申告書、取締役会議事録、無償返還届出書の有無

借地権の及ぶ範囲も評価額に直結します。建物敷地の全部が対象か、庭、通路、駐車スペース、私道部分、隣接筆まで含むのかを、契約書、古い公図、現況図、航空写真、測量資料などで確認することがあります。

地代が極端に高い、権利金がない、相当の地代を払っている、法人と同族関係者の取引であるなどの場合、通常の評価式だけでは足りないことがあります。遺産分割で評価額を争う場合は、税務評価、固定資産税評価、実勢価格、不動産鑑定評価、売却査定の違いを整理する必要があります。

Section 09

借地権割合の計算事例で評価額を確認する

借地人側、地主側、倍率地域、割合欄がない地域の4パターンを整理します。

事例1 ― 借地人が自宅建物を所有していた

次の事例は、被相続人が借地人で、借地上に自宅建物を所有していた場合の概算です。路線価表示から借地権割合を読み、建物評価額と合わせて相続財産の見通しを読むための例です。

項目内容
相続開始年2025年
路線価表示400C
地積150平方メートル
補正率1.00として単純化
建物固定資産税評価額7,000,000円
計算自用地としての価額は「400,000円 × 150平方メートル = 60,000,000円」です。Cは70%なので、借地権評価額は「60,000,000円 × 70% = 42,000,000円」です。建物7,000,000円と合わせた概算は49,000,000円です。

事例2 ― 地主が土地を第三者に貸していた

次の事例は、被相続人が地主で、土地を第三者に貸していた場合を表しています。借地人の権利が控除されるため、自用地評価額そのものではなく、貸宅地としての評価額を読むことが重要です。

項目内容
自用地としての価額80,000,000円
借地権割合D、60%
計算貸宅地評価額は「80,000,000円 − 80,000,000円 × 60% = 32,000,000円」です。

事例3 ― 倍率地域で借地権割合が50%

次の事例は、倍率地域で固定資産税評価額に宅地倍率を掛けた後、借地権割合を掛ける場面を表しています。路線価図ではなく評価倍率表を読む点が路線価地域との違いです。

項目内容
固定資産税評価額12,000,000円
宅地倍率1.2倍
借地権割合50%
計算自用地としての価額は「12,000,000円 × 1.2 = 14,400,000円」です。借地権評価額は「14,400,000円 × 50% = 7,200,000円」です。

事例4 ― 倍率地域で借地権割合欄に数値がない

次の比較は、倍率地域で借地権割合欄に数値がない場合の立場別の見方を表しています。借地人側と地主側で評価の方向性が異なるため、左列の被相続人の立場から右列を確認します。

被相続人評価の方向性
借地人借地権価額を評価しない可能性を検討します。
地主自用地としての価額から20%を控除する貸宅地評価を検討します。
Section 10

借地権割合の調べ方に関するFAQ

よくある疑問を、一般的な制度説明として整理します。

Q1. 借地権の相続税評価額の計算で使う借地権割合の調べ方を一言でいうと何ですか。

一般的には、普通借地権であれば国税庁の財産評価基準書で相続開始年を選び、路線価地域なら路線価図のAからGの記号、倍率地域なら評価倍率表の借地権割合欄を確認します。ただし、契約種類、土地の所在地、評価方式、借地人側か地主側かで結論が変わる可能性があります。具体的な評価や申告対応は、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 路線価図の「300D」は何を意味しますか。

一般的には、300は1平方メートル当たり300千円、すなわち30万円の路線価を意味し、Dは借地権割合60%を意味します。ただし、最終評価では奥行価格補正や正面路線の判定などによって自用地としての価額が変わる可能性があります。具体的な計算は、土地資料を確認したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q3. 借地権割合は毎年変わりますか。

一般的には、借地権割合は年分ごとの財産評価基準書で確認するため、変わる可能性があります。相続税評価では相続開始年の基準を確認します。ただし、地域や路線ごとの改定状況によって確認すべき資料が異なるため、具体的には該当年分の資料を確認する必要があります。

Q4. 2026年に亡くなった場合、令和8年分がまだ公開されていないときはどうしますか。

一般的には、令和8年分の路線価図等が公開される前は概算検討にとどめ、申告実務では公開後に該当年分を確認する扱いになります。ただし、申告期限、遺産分割状況、資料収集の進み方によって対応が変わる可能性があります。具体的な期限管理や評価作業は、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q5. 複数の道路に面していて、CとDがある場合、どちらの借地権割合を使いますか。

一般的には、接する各路線の借地権割合が異なるときは、正面路線の借地権割合を適用するとされています。ただし、正面路線の判定は路線価や奥行価格補正率などを踏まえる評価上の問題です。具体的な判断は、土地の形状や接道資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q6. 倍率表に借地権割合が書かれていない場合、必ずゼロですか。

一般的には、借地人側の借地権評価では、借地権の取引慣行がない地域として評価しない論点があります。ただし、地主側の貸宅地評価では20%として計算する取扱いが説明されており、立場によって結論が異なる可能性があります。具体的には、被相続人の立場と契約関係を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q7. 借地権割合は売却価格を意味しますか。

一般的には、借地権割合は相続税や贈与税の評価に用いる基準であり、売却価格そのものではありません。売却価格は地主承諾、契約内容、建物状態、地代水準、地域需要などで変わる可能性があります。具体的な時価や換価可能性は、不動産鑑定士、宅地建物取引士、弁護士等へ確認する必要があります。

Q8. 借地権は登記されていないと相続税評価しなくてよいですか。

一般的には、登記の有無だけで借地権評価の要否は決まりません。土地賃貸借契約、建物所有、地代支払、権利金、利用実態などから借地権の存在を確認します。ただし、個別事情によって税務上の評価は変わる可能性があるため、具体的には資料を整理して税理士等へ相談する必要があります。

Q9. 親の土地に子が家を建てている場合、借地権割合を使いますか。

一般的には、親族間では使用貸借、低額地代、通常地代、権利金の有無などで評価の考え方が変わります。ただし、契約書と実際の支払関係によって結論が異なる可能性があります。具体的な評価や申告上の扱いは、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q10. 税理士、弁護士、司法書士の誰に相談すべきですか。

一般的には、相続税申告と評価は税理士、相続人間の争い、地主交渉、遺留分、調停などは弁護士、相続登記や建物登記は司法書士が中心になります。ただし、境界や測量は土地家屋調査士、時価評価は不動産鑑定士が関与することもあります。具体的な相談先は、問題の内容と資料の状況に応じて検討する必要があります。

Section 11

借地権割合調査のチェックリストとまとめ

最後に、調査漏れを防ぐための確認項目と結論を整理します。

次のチェックリストは、借地権割合を調べる際の確認項目を順番に整理したものです。左列で進捗を確認し、右列で評価額に影響する論点を読み取ることで、資料収集から申告前確認までの漏れを防ぎやすくなります。

確認内容
1相続開始日を確認した
2相続開始年の財産評価基準書を選んだ
3被相続人が借地人か地主か確認した
4借地契約書を確認した
5普通借地権か定期借地権等か確認した
6土地の所在地を地番で確認した
7借地権の及ぶ範囲を確認した
8路線価地域か倍率地域か確認した
9路線価地域ではAからGの記号を確認した
10倍率地域では評価倍率表の借地権割合欄を確認した
11複数路線の場合、正面路線を確認した
12借地権割合がない地域の扱いを確認した
13自用地評価の補正を確認した
14借地上建物の固定資産税評価額を確認した
15貸家建付借地権、貸宅地、定期借地権等の特殊論点を確認した
16遺産分割上の時価と相続税評価額を区別した
17必要に応じて税理士、弁護士、司法書士、不動産鑑定士へ連携した

借地権の相続税評価額の計算で使う借地権割合の調べ方は、国税庁の財産評価基準書を使うことが出発点です。路線価地域では路線価図のAからGの記号を読み、倍率地域では評価倍率表の借地権割合欄を確認します。

借地権割合の確認は入口です

Aは90%、Bは80%、Cは70%、Dは60%、Eは50%、Fは40%、Gは30%です。ただし、正しい評価には、相続開始年、権利の種類、借地人側か地主側か、複数路線の正面路線、借地権取引慣行の有無、自用地評価の補正を順に確認する必要があります。

相続人にとって重要なのは、借地権割合を見つけた段階で評価が終わったと考えないことです。相続税申告では税理士、相続人間や地主との争いでは弁護士、建物や土地の登記では司法書士、境界や借地範囲では土地家屋調査士、時価や遺産分割評価では不動産鑑定士と連携し、借地権の法的性質と経済的価値を一体として整理します。

Reference

参考資料

借地権割合、土地評価、相続登記に関する公的資料を中心に整理しています。

公的資料

  • 国税庁「No.4611 借地権の評価」
  • 国税庁「No.4613 貸宅地の評価」
  • 国税庁「No.4602 土地家屋の評価」
  • 国税庁「No.4605 地区の異なる2以上の路線に接する宅地の評価」
  • 国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」
  • 国税庁「路線価図の説明」
  • 国税庁「路線価図の閲覧の仕方」
  • 国税庁「評価倍率表(一般の土地等用)の説明」
  • 国税庁「財産評価基本通達 第2節 宅地及び宅地の上に存する権利」
  • e-Gov法令検索「借地借家法」
  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
  • 国税庁「B2-11 特定路線価設定申出書」
  • 国税庁「令和8年分の路線価図等の公開予定日について」