令和6年以後の居住用区分所有財産評価、評価乖離率、総則6項、税務調査、遺産分割、遺留分まで、税務上の評価と家族間の公平を分けて整理します。
令和6年以後の居住用区分所有財産評価、評価乖離率、総則6項、税務調査、遺産分割、遺留分まで、税務上の評価と家族間の公平を分けて整理します。
税務上の評価、税務署からの指摘、相続人間の公平を分けて見ます。
タワーマンションの相続税評価額が実勢価格より低いこと自体は、直ちに違法または否認対象になるわけではありません。ただし、相続直前の購入、借入金の利用、短期売却、節税目的を示す資料、他の納税者との著しい不均衡が重なると、税務署や相続人から「その評価額でよいのか」と指摘される可能性が高まります。
このページで扱う3つの問題を整理した一覧です。どの場面で誰が何を問題にするかを分けることが重要で、税金計算の評価額と家族間で公平に分けるための評価額を混同しないことを読み取ってください。
相続税法22条の時価を前提に、財産評価基本通達と令和6年以後の居住用区分所有財産評価を使って課税価格を計算します。
新しい通達で計算しても、事情によっては評価基本通達6項、いわゆる総則6項が問題になる可能性があります。
遺産分割、代償金、遺留分では、相続税評価額ではなく実勢価格や鑑定評価額が争点になることがあります。
相続税評価額、実勢価格、乖離、評価乖離率の意味を確認します。
ここでいうタワーマンションは、一般に20階以上または高層階プレミアムが価格形成に大きく影響する分譲マンションを想定します。税務通達上は「居住用の区分所有財産」、つまり分譲マンション一室の区分所有権と敷地利用権が主な検討対象です。
次の比較表は、似ているようで目的が異なる評価用語を整理したものです。言葉の違いを知ることが、税務申告と遺産分割の争点を切り分ける出発点になるため、どの価格がどの場面で使われるかを読み取ってください。
| 用語 | 意味 | 注意点 |
|---|---|---|
| 相続税評価額 | 相続税申告で課税価格を計算するための評価額です。土地は路線価方式または倍率方式、家屋は固定資産税評価額を基礎にします。 | 分譲マンション一室では、家屋部分と土地部分を分け、令和6年以後は一定の物件で区分所有補正率を使います。 |
| 実勢価格 | 市場で実際に売買されるであろう価格、または実際の売買事例に近い価格です。 | 売主希望価格、査定価格、成約価格、鑑定評価額のどれを基礎にするかで金額が変わります。 |
| 乖離 | 相続税評価額と市場売買価格、または相続税評価額と遺産分割上の評価額が離れている状態です。 | 差があるだけで総則6項が適用されるとは限りませんが、紛争や調査の入口になります。 |
| 評価水準 | 評価乖離率の逆数として計算される水準です。 | 0.6未満、0.6以上1以下、1超のどこに入るかで補正の扱いが変わります。 |
令和6年以後の居住用区分所有財産評価では、評価乖離率、評価水準、区分所有補正率を順に確認します。算式の項目ごとに何が価格差へ影響するかを把握することが重要で、築年数、総階数、所在階、敷地持分狭小度がどの方向に働くかを読み取ってください。
| 計算項目 | 算式または扱い | 読み方 |
|---|---|---|
| 評価乖離率 | A + B + C + D + 3.220 | 従来評価と理論上の市場価格の開きを見るための中心となる値です。 |
| A | 築年数 × △0.033 | 築年数が長いほど評価乖離率を下げる方向に働きます。 |
| B | 総階数指数 × 0.239 | 総階数が高いほど、一定の範囲で評価乖離率を上げる方向に働きます。 |
| C | 所在階 × 0.018 | 高層階ほど市場価格に近づける補正が大きくなりやすい構造です。 |
| D | 敷地持分狭小度 × △1.195 | 敷地利用権の面積が専有部分に比べて小さいほど、補正計算に影響します。 |
| 評価水準 | 1 ÷ 評価乖離率 | 補正なしでよい範囲か、引き上げや引き下げが必要かを判定します。 |
評価水準に応じた区分所有補正率の扱いは、補正後評価額が実勢価格そのものになる制度ではない点を理解するために重要です。表では、どの水準で補正がかかり、どの水準では従来評価を維持するのかを確認してください。
| 評価水準 | 区分所有補正率の考え方 | 実務上の意味 |
|---|---|---|
| 0.6未満 | 評価乖離率 × 0.6 | 従来評価が理論上の市場価格の6割未満とみられるため、少なくとも6割程度まで引き上げる構造です。 |
| 0.6以上1以下 | 補正なし | 通達適用前の評価方法による評価を基本にします。 |
| 1を超える | 評価乖離率 | 市場価格より高く評価される可能性がある場面で、評価を調整する方向になります。 |
市場価格に影響する要素と、通達の適用対象・対象外を整理します。
タワーマンションでは、固定資産税評価額や敷地権割合を基礎にした評価と、眺望、階数、ブランド、駅距離、築年数、共用施設、管理状態を反映する市場価格がずれやすくなります。高層階ほど同じ建物内でも価格差が出やすく、中古マンション価格の上昇局面では乖離が目立つことがあります。
次の一覧は、相続税評価と実勢価格が離れやすい要因を整理したものです。要因を分けて確認することで、税務署への説明資料や相続人間の価格交渉で何を検討すべきかを読み取れます。
固定資産税評価額は大量評価の仕組みであり、眺望、ブランド、階数プレミアム、希少性、再開発期待をそのまま反映するものではありません。
高層マンションほど一室あたりの土地持分が小さくなりやすく、都心一等地でも各戸の土地評価額が小さく見えることがあります。
所在階、眺望、日照、騒音、希少な間取りなどが成約価格に影響し、通達評価との差として表面化することがあります。
マンション価格が上がる局面では、相続開始時点の市場価格と相続税評価額の差が大きく見えやすくなります。
令和6年1月1日以後に相続、遺贈、贈与で取得した居住用の区分所有財産には、新しい個別通達による評価が問題になります。次の表では、どの物件が対象になり、どの物件が対象外になり得るかを確認してください。
| 区分 | 例 | 確認すべき点 |
|---|---|---|
| 対象になり得るもの | 居住用の専有部分一室に係る区分所有権と敷地利用権 | 登記上の種類、専有部分の用途、敷地権割合、所在階、総階数を確認します。 |
| 居住用ではないもの | 事業用テナント物件 | 構造上、主として居住用に供することができないものは対象外です。 |
| 区分建物登記がないもの | 一棟所有の賃貸マンション | 名称が高層マンションでも、分譲マンション一室とは評価構造が異なります。 |
| 低層の集合住宅 | 地階を除く総階数が2以下のもの | 総階数要件により個別通達の対象外になります。 |
| 少数住戸の親族居住 | 居住用専有部分が3室以下で、全て区分所有者または親族の居住用 | 二世帯住宅などでは対象外となる場合があります。 |
| 販売用在庫 | 不動産業者のたな卸商品等 | 通常の相続財産としての分譲マンション評価とは扱いが異なります。 |
貸付用や小規模宅地等の特例が絡む場合は、補正後の価額を基礎にして次の評価へ進む順番が大切です。表では、補正、貸家等評価、特例適用を混同しないために、どの順序で検討するかを読み取ってください。
| 論点 | 基本的な整理 | 注意点 |
|---|---|---|
| 貸付用マンション | まず個別通達による補正後価額を計算し、その価額を基に貸家や貸家建付地の評価を検討します。 | 親族への低額賃貸、形式だけの賃貸、相続直前の賃貸開始は前提事実が問題化します。 |
| 小規模宅地等の特例 | 一定の居住用または事業用宅地等について、限度面積の範囲で課税価格を減額する制度です。 | 特定居住用宅地等は330平方メートルまで80パーセント減額などの区分がありますが、取得者要件や保有継続要件を確認します。 |
| 一棟所有 | 区分所有財産の個別通達ではなく、土地、建物、貸家建付地、収益性などを別途評価します。 | 相続人が「タワーマンション」と呼んでいても、登記と評価単位で判定します。 |
築浅高層階と低層寄りの例を比べ、補正後にも差が残る構造を確認します。
制度理解のための単純化した想定例では、登記事項証明書、固定資産税課税明細書、路線価図、敷地権割合、貸付状況、特例適用可否を実際に確認する必要があります。ここでは、数値の動きから評価乖離率がどのように評価額へ影響するかを見ます。
次の表は、築浅の都心タワーマンション高層階を想定した前提条件です。数値の列を順に見ることで、従来評価5,000万円と実勢価格2億2,000万円の差がどこから生じるかを読み取ってください。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 築年数 | 5年 |
| 総階数 | 43階 |
| 所在階 | 38階 |
| 専有部分の面積 | 65平方メートル |
| 敷地利用権の面積 | 10平方メートル |
| 従来の区分所有権価額 | 1,200万円 |
| 従来の敷地利用権価額 | 3,800万円 |
| 従来評価合計 | 5,000万円 |
| 実勢価格の目安 | 2億2,000万円 |
次の表は、評価乖離率、評価水準、区分所有補正率、補正後評価額の計算過程です。各行を上から追うことで、従来評価が約2.276倍になっても、実勢価格そのものには届かないことを確認してください。
| 計算 | 結果 |
|---|---|
| A = 5 × △0.033 | △0.165 |
| B = 1 × 0.239 | 0.239 |
| C = 38 × 0.018 | 0.684 |
| D = 10 ÷ 65 × △1.195 | 約△0.184 |
| 評価乖離率 = A + B + C + D + 3.220 | 約3.794 |
| 評価水準 = 1 ÷ 3.794 | 約0.263 |
| 区分所有補正率 = 3.794 × 0.6 | 約2.276 |
| 補正後評価額 = 5,000万円 × 2.276 | 約1億1,380万円 |
次の比較グラフは、従来評価、補正後評価、実勢価格の目安を同じ物件で並べたものです。金額差の大きさは、税務署だけでなく相続人間の代償金や遺留分でも問題になり得るため、補正後にもなお差が残る点を読み取ってください。
低層寄りで敷地持分が大きいマンションでは、築年数、総階数、所在階、敷地持分の条件により評価乖離率が小さくなりやすくなります。次の表では、高層階の例と違って補正なしになり得る事情と、それでも遺産分割では価格差が残る点を読み取ってください。
| 項目 | 数値 | 読み方 |
|---|---|---|
| 築年数 | 30年 | 評価乖離率を下げる方向に働きます。 |
| 総階数 | 5階 | 高層階プレミアムは相対的に小さくなります。 |
| 所在階 | 1階 | 所在階による上乗せは小さくなります。 |
| 専有部分の面積 | 80平方メートル | 敷地利用権との比率を見ます。 |
| 敷地利用権の面積 | 50平方メートル | 敷地持分が比較的大きい設定です。 |
| 従来評価合計 | 4,500万円 | 評価水準が0.6以上1以下なら補正なしになり得ます。 |
| 実勢価格の目安 | 5,200万円 | 税務上の問題が小さくても、代償分割では差額が争点になり得ます。 |
税務署、相続人、遺留分権利者、金融機関、鑑定人などからの指摘を整理します。
実務上、乖離を指摘するのは税務署だけではありません。相続人、遺留分権利者、債権者、金融機関、不動産仲介会社、鑑定人、裁判所からも、評価額と市場価格の差を説明するよう求められることがあります。
次の比較表は、AからJまでの想定例を、指摘される点と対応の方向で整理したものです。誰が何を問題にするかによって準備資料が変わるため、各行から税務リスクと相続紛争リスクの違いを読み取ってください。
| 想定例 | 指摘される点 | 対応の方向 |
|---|---|---|
| A 相続直前に借入金で高層階を購入 | 90代、余命を意識した時期、2億5,000万円購入、大半を借入れ、1億1,000万円申告、1年以内に2億6,000万円売却という事情が重なります。 | 取得理由、投資目的、賃貸収益、家族の居住目的、健康状態、売却理由を整理し、税理士、弁護士、不動産鑑定士が連携します。 |
| B 親が長年住んだ自宅を相続 | 15年前に自宅として購入し、相続税評価額1億2,000万円、近隣成約事例2億円という差を相続人が問題にします。 | 税務申告では通達評価を行い、遺産分割では査定、成約事例、鑑定評価で別途価格を検討します。 |
| C 申告後すぐに高値売却 | 8,000万円で申告した3か月後に1億8,000万円で売却した場合、相続開始時点の時価が問われます。 | 売買契約書、媒介契約書、販売活動履歴、内覧件数、価格変更履歴、リフォーム費用、市場環境を保存します。 |
| D 貸付用タワーマンション | 貸付用評価の順序、相場より低い賃料、親族賃貸、空室予定、定期借家の終了予定が問題になります。 | 賃貸借契約書、入金履歴、募集資料、管理会社報告書、賃料相場資料、入居者との関係性を確認します。 |
| E 相続人の一人が相続税評価額で単独取得 | 長男が9,000万円扱いで取得し、次男が実勢価格1億8,000万円を前提に代償金を求める場面です。 | 相続税評価額に合意できない場合、鑑定評価または複数の仲介査定を基礎に調整します。 |
| F 遺留分侵害額請求 | 相続税評価額1億円と実勢価格2億4,000万円のどちらを基礎にするかが争点になります。 | 相続開始時点の客観的価値について、不動産鑑定、査定、成約事例を整理します。 |
| G 法人保有マンションと株式評価 | 非上場会社が保有する一室の区分所有権等を、純資産価額方式の中でどう評価するかが問題になります。 | 株式評価明細書、取得時期、帳簿価額、借入金、賃貸収益、関連当事者取引を確認します。 |
| H 海外居住相続人が実勢価格を主張 | 日本の相続税評価制度を理解しにくく、不当に安く取得しようとしているとの不信につながります。 | 英語資料、鑑定評価書、相続税評価明細、遺産分割案、税負担比較表を用意して透明性を確保します。 |
| I 一棟所有を分譲マンション一室と誤認 | 区分建物登記がない一棟所有の賃貸マンションに、居住用区分所有財産の個別通達を使えるかが問題になります。 | 司法書士が登記を確認し、税理士が評価単位を確定し、不動産鑑定士が収益物件としての市場価値を検討します。 |
| J 市場が急落した場面 | 通常とは逆に、通達評価が実勢価格より高いと相続人が主張する場合があります。 | 相続開始時点の成約事例、鑑定評価、売却活動の結果、価格下落要因を資料化します。 |
次の判断の流れは、乖離を指摘されたときに最初に確認する順番を示しています。順番に確認することで、単なる価格差なのか、総則6項や遺産分割の価格争いに発展する事情があるのかを読み取ってください。
通達評価、補正後評価、成約事例、査定、鑑定評価を分けます。
租税負担の公平が問題になる事情があるかを見ます。
取得目的、健康状態、売却理由、提案資料を整理します。
代償金、遺留分、換価分割、共有の可否を整理します。
乖離だけでなく、購入と借入れの目的や公平性を総合して読む必要があります。
最高裁令和4年4月19日判決は、不動産を評価通達の方法で申告したところ、税務署が通達評価による評価が著しく不適当として鑑定評価額を基礎に更正処分などを行った事案です。裁判所は、評価通達は国民に直接の法的効力を持つものではないとしつつ、合理的理由なく特定の納税者だけ通達評価を上回る価額で評価することは平等原則に反すると整理しました。
次の表は、判決からタワーマンション評価で読み取るべき点を整理したものです。単なる倍率ではなく、購入、借入れ、相続発生の予見可能性、租税負担の公平がどのように重なるかを読み取ってください。
| 観点 | 判決の読み方 | タワーマンション相続での意味 |
|---|---|---|
| 時価主義 | 相続税法22条の時価は、取得時の客観的な交換価値とされます。 | 通達評価額が時価そのものとは限らず、個別事情で時価の立証が問題になります。 |
| 通達評価の位置づけ | 評価通達は画一的評価のための行政上の基準です。 | 通常は通達評価に従うことが実務の出発点ですが、例外があり得ます。 |
| 乖離だけでは足りない | 通達評価額と鑑定評価額に大きな差があることだけでは、例外適用の事情があるとはいえないとされました。 | 相続税評価と実勢価格の差だけで結論を出すのは危険です。 |
| 総合事情 | 相続税負担を減じることを知り、期待して、あえて購入と借入れを企画実行した事情が重視されました。 | 相続直前性、借入れ、節税資料、短期売却、居住実態の弱さが重なるほどリスクが高まります。 |
次の一覧は、総則6項リスクを上げる事情と下げる事情を比較したものです。どの事情が重なると危険になり、どの事情が説明材料になり得るかを読み取ってください。
高齢、重病、余命予測後の購入は、相続発生を見込んだ資産移転と見られやすくなります。
借入金で課税財産を圧縮した形になると、租税負担の公平が問題になりやすくなります。
金融機関提案書、専門家提案書、家族会議メモで相続税圧縮が強調されている場合は注意が必要です。
相続後すぐに高値で売れた場合、相続開始時点の時価に近かったのではないかと見られます。
資料収集、専門職の役割、相続登記、売却管理を一体で進めます。
税務署から評価と実勢価格の乖離を指摘された場合は、価格差そのものだけでなく、取得理由、借入れ、売却、居住または賃貸の実態、相続発生の予見可能性を資料で説明できるかが重要になります。
次の表は、最初に確認する資料と見るべき点を整理したものです。資料ごとに税務上の評価、総則6項リスク、相続人間の価格争いのどれに関係するかを読み取ってください。
| 資料 | 見るべき点 |
|---|---|
| 売買契約書 | 取得日、取得価額、売主との関係を確認します。 |
| 重要事項説明書 | 専有面積、敷地権割合、用途、権利関係を確認します。 |
| 登記事項証明書 | 区分所有権、敷地権、抵当権を確認します。 |
| 固定資産税課税明細書 | 家屋評価額、土地評価の基礎を確認します。 |
| 路線価図、評価倍率表 | 敷地利用権の従来評価を確認します。 |
| 借入契約書 | 借入目的、返済期間、担保を確認します。 |
| 金融機関や専門家の提案資料 | 相続税圧縮効果が過度に強調されていないかを確認します。 |
| 賃貸借契約書 | 実際の賃貸実態、賃料、入居者との関係を確認します。 |
| 売却資料 | 相続後売却価格、販売期間、価格変更履歴を確認します。 |
| 医療、介護資料 | 購入時点で相続発生をどの程度予見できたかを確認します。 |
| 家族会議メモ | 購入目的、資産承継目的、代償金の検討状況を確認します。 |
次の一覧は、専門職ごとの役割を整理したものです。タワーマンション相続は税務だけでは完結しないため、どの専門職がどの論点を担当するかを読み取ってください。
相続税申告、評価明細、個別通達計算、特例適用、税務調査対応を担当します。
税務相続人間の紛争、遺留分、代償金交渉、調停、審判、訴訟、税務争訟との連携を担います。
紛争高層階プレミアム、同一マンション内取引、方角差、眺望差、賃貸中の制約などを補正して市場価値を評価します。
価格相続登記、名義変更、戸籍収集、登記原因証明情報、法定相続情報一覧図を扱います。
登記売却査定、売却活動、重要事項説明、売買契約実務を担います。
売却税務申告の価格と相続人間の公平を目的とする価格は一致しないことがあります。
タワーマンションを取得したい相続人は相続税評価額を使いたがり、取得しない相続人は実勢価格または鑑定評価額を使いたがる傾向があります。これは利害が正反対だからです。
次の表は、場面ごとに評価の目的と使われやすい価格を整理したものです。同じマンションに複数の評価額が存在すること自体は異常ではなく、どの場面でどの価格を使うかを読み取ることが重要です。
| 場面 | 評価の目的 | 典型的な価格 |
|---|---|---|
| 相続税申告 | 課税価格の計算 | 財産評価基本通達、個別通達による評価 |
| 税務調査 | 申告評価の妥当性確認 | 通達評価、鑑定評価、時価 |
| 遺産分割協議 | 相続人間の公平な分配 | 実勢価格、査定、鑑定評価 |
| 遺留分 | 侵害額の算定 | 相続開始時の客観的価値 |
| 売却 | 現金化 | 実際の成約価格 |
| 担保評価 | 金融機関の与信判断 | 金融機関独自評価、担保掛目 |
相続人間で揉めやすい典型パターンを、選択肢と注意点で整理します。価格争いを先送りすると共有管理や二次相続の問題が増えるため、どの選択が何を解決し、何を残すのかを読み取ってください。
| パターン | 利点 | 残る注意点 |
|---|---|---|
| 相続税評価額で分ける | 全員が合意すれば手続きが比較的早く進みます。 | 実勢価格との差が大きいと、取得者が過度に有利だと主張されることがあります。 |
| 売却して分ける | 売却価格で分配でき、価格争いは単純化しやすくなります。 | 売却価格が申告評価額を大きく上回ると、税務上の説明が必要になることがあります。 |
| 代償分割 | 取得したい相続人が住み続けたり保有したりできます。 | 評価額が1億円か2億円かで代償金が大きく変わります。 |
| 共有 | 当面の価格合意を先送りできます。 | 売却、賃貸、修繕、管理費、固定資産税、将来の二次相続で争いが増えます。 |
次の判断の流れは、遺産分割で使う価格を決めるときの考え方を示しています。合意があるか、売却するか、単独取得するかを順に見ることで、査定や鑑定を入れるべき場面を読み取ってください。
相続税評価額、複数査定、鑑定評価額の候補を並べます。
合意があれば利用できますが、合意がない場合は市場価値の検討が必要です。
将来の紛争を避けるため、合意した価格と根拠を残します。
代償分割、遺留分、調停に備えて客観資料を用意します。
生前対策、相続開始後、売却、鑑定、チェックリスト、相談資料を整理します。
生前にタワーマンションを購入する場合は、購入目的を節税だけにせず、居住、賃貸、資産運用、住み替えなどの実体を明確にします。購入時点の健康状態、意思能力、判断過程、借入金の返済計画、将来の遺産分割と代償金の見通しも記録しておくことが重要です。
次の時系列は、相続開始前後から申告、登記、売却または保有管理までの主な確認順序を示しています。時間制限のある手続きと価格評価の検討を同時に進める必要があるため、どの段階で何を準備するかを読み取ってください。
節税だけでなく、居住、賃貸、資産運用、住み替えなどの実体、健康状態、借入返済計画を残します。
相続税評価額、実勢価格、遺産分割方針、税務調査リスク、特例適用を検討します。
申告前後に売却する場合は、販売活動履歴、市場環境、価格変更、リフォーム費用を保存します。
相続登記の期限、管理組合への届出、管理費、修繕積立金、固定資産税の負担者を決めます。
不動産鑑定を入れるべきかは、価格差、紛争性、税務署からの指摘、短期売却の有無で変わります。次の表では、鑑定評価書が特に重要になりやすい場面と、仲介査定で足りる可能性がある場面を読み取ってください。
| 場面 | 鑑定の必要性 |
|---|---|
| 相続人間で価格差が大きい | 高い |
| 代償分割を予定 | 高い |
| 遺留分請求がある | 高い |
| 税務署から時価を問題視された | 高い |
| 相続後短期売却がある | 中から高 |
| 高層階、特殊住戸、プレミアム住戸 | 中から高 |
| 市場下落を理由に通達評価の過大性を主張 | 高い |
| 相続人全員が査定額に合意済み | 低から中 |
専門家へ相談するときは、最初から資料をそろえるほど判断が早くなります。次の表では、どの資料が評価計算、価格立証、相続人関係、納税資金のどれに使われるかを読み取ってください。
| 資料 | 目的 |
|---|---|
| 固定資産税課税明細書 | 家屋評価額、土地評価の基礎を確認します。 |
| 登記事項証明書 | 権利、面積、敷地権割合を確認します。 |
| 売買契約書、重要事項説明書 | 取得価額、取得時期、物件内容、権利制限を確認します。 |
| 管理規約、長期修繕計画 | 管理状態、費用負担、リフォーム制限を確認します。 |
| 借入契約書 | 借入目的、残債、担保関係を確認します。 |
| 賃貸借契約書、家賃入金履歴 | 貸付評価の前提と賃貸実態を確認します。 |
| 相続開始前後の査定書、売却活動資料 | 実勢価格、短期売却時の説明、価格変更履歴を確認します。 |
| 医療、介護資料 | 相続発生予見可能性の判断に使います。 |
| 遺言書、相続人関係図、戸籍 | 取得者、遺留分、法定相続人を確認します。 |
| 預貯金、有価証券、過去の贈与資料 | 全体の課税価格、分割原資、特別受益、相続税加算を確認します。 |
個別の結論は資料と事情で変わるため、一般的な考え方として整理します。
一般的には、価格差があることだけで直ちに否認対象になるとは限らないとされています。ただし、相続直前の購入、借入れ、短期売却、節税目的を示す資料などによって結論が変わる可能性があります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで税理士や弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、令和6年以後の居住用区分所有財産評価を正しく適用することが出発点とされています。ただし、新しい通達を適用した場合でも、個別事情によって評価基本通達6項が問題になる可能性があります。具体的には取得時期、借入れ、売却予定、居住実態などを確認する必要があります。
一般的には、相続人全員が合意すれば相続税評価額を使うこともあります。ただし、合意がない場合、実勢価格や鑑定評価額が争点になる可能性があります。代償金や遺留分では、相続開始時点または分割時点の客観的価値を専門家と確認する必要があります。
一般的には、売却しない場合でも代償分割、遺留分、共有解消、税務署への説明で実勢価格が重要になることがあります。ただし、必要な資料の範囲は相続人間の合意状況や税務リスクで変わります。具体的には複数査定や鑑定評価の要否を専門家へ相談する必要があります。
一般的には、区分建物の登記がされていない一棟所有の賃貸マンションには、居住用区分所有財産の個別通達が適用されない場合があります。ただし、土地、建物、貸家建付地、賃貸借状況、収益性など別の評価論点があります。具体的には登記事項証明書と賃貸資料を確認したうえで税理士等へ相談する必要があります。
公的資料を中心に、制度と判例の確認に用いた資料名を整理します。