2σ Guide

タワーマンション節税の是非と
税務否認される想定例

相続税評価と市場価格の差を利用する対策は、令和6年以後のマンション評価通達、令和4年最高裁判決、令和9年以後を見据えた貸付用不動産の見直しを踏まえて慎重に判断する必要があります。

令和6年 マンション評価通達の適用開始
5年以内 貸付用不動産見直しの想定期間
10例 税務否認が問題になる想定例
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タワーマンション節税の是非と 税務否認される想定例

評価差を使う対策が、なぜ問題になり、どこで認められにくくなるのかを先に整理します。

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タワーマンション節税の是非と 税務否認される想定例
評価差を使う対策が、なぜ問題になり、どこで認められにくくなるのかを先に整理します。
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  • タワーマンション節税の是非と 税務否認される想定例
  • 評価差を使う対策が、なぜ問題になり、どこで認められにくくなるのかを先に整理します。

POINT 1

  • タワーマンション節税の全体像をつかむ
  • 評価差を使う対策が、なぜ問題になり、どこで認められにくくなるのかを先に整理します。
  • 取得自体は違法ではないが、相続直前・借入れ・短期売却が重なると危険が高まります
  • 令和6年以後の評価計算
  • 総則6項と租税公平

POINT 2

  • タワーマンション節税と税務否認の基本
  • 節税、租税回避、税務否認を混同しないことが、判断の出発点です。
  • 租税回避
  • 税務否認
  • 狭い意味では、相続開始前に高額な区分所有マンションを購入し、財産評価基本通達に基づく相続税評価額で申告する方法を指します。

POINT 3

  • タワーマンション節税の評価計算と令和6年通達
  • 相続税の原則である時価、従来評価、区分所有補正率の関係を順番に確認します。
  • 令和6年以後の居住用区分所有財産の評価
  • 相続税法22条は、特別の定めがある場合を除き、相続、遺贈または贈与で取得した財産の価額を取得時の時価によると定めています。
  • 土地と建物を分け、敷地利用権の割合が小さくなるほど市場価格との差が大きくなり得る点を読み取ることが重要です。

POINT 4

  • タワーマンション節税を左右する最高裁判決と改正動向
  • 1. 最高裁が総則6項の適用を肯定
  • 2. 居住用区分所有財産の新評価が適用:分譲マンション一室の評価で、評価乖離率、評価水準、区分所有補正率を使う仕組みが導入されました。
  • 3. 貸付用不動産の5年以内取得に関する見直し方向:令和8年度税制改正大綱では、一定の貸付用不動産について通常の取引価額相当額で評価する方向性が示されています。

POINT 5

  • タワーマンション節税を肯定できる場面・危険な場面
  • 適法な資産承継設計と、否認されやすい一時的な評価圧縮を分けて考えます。
  • 答えは「常に悪い」でも「通達どおりなら常に安全」でもありません
  • タワーマンションの取得が相続税対策として一切許されないわけではありません。
  • 次の強調部分は、倫理的・政策的な観点をまとめたものです。

POINT 6

  • タワーマンション節税が税務否認される想定例
  • 判例、通達、税務調査実務から問題になりやすい10類型を整理します。
  • 以下は実在の特定事件ではなく、相続実務で問題になりやすいリスク類型です。
  • 表では、左から想定例、税務否認リスクの理由、実務上残すべき資料や注意点を並べています。
  • 金額や期間が短期性・価格乖離を示す手がかりになるため、数値もあわせて確認してください。

POINT 7

  • タワーマンション節税の税務調査で見られる資料
  • 1. 指摘内容を分類:計算誤り、総則6項、賃貸実態、名義財産、加算税のどれかを確認します。
  • 2. 課税庁の評価根拠を確認:鑑定評価、購入価額、売却価額、査定書など、どの資料を基礎にしているかを見ます。
  • 3. 追加資料を整理:本人意思、利用実態、売却理由、評価計算の反証資料を集めます。
  • 4. 対応方針を検討:修正申告、更正処分後の争い、再調査の請求、審査請求、訴訟の見通しを検討します。

POINT 8

  • タワーマンション節税のリスク評価モデル
  • 専門家相談前の一次点検として、高リスク・中リスク・低リスクの要素を整理します。
  • 高リスク要素
  • 中リスク要素
  • 説明可能性を高める要素

まとめ

  • タワーマンション節税の是非と 税務否認される想定例
  • タワーマンション節税の全体像をつかむ:評価差を使う対策が、なぜ問題になり、どこで認められにくくなるのかを先に整理します。
  • タワーマンション節税と税務否認の基本:節税、租税回避、税務否認を混同しないことが、判断の出発点です。
  • タワーマンション節税の評価計算と令和6年通達:相続税の原則である時価、従来評価、区分所有補正率の関係を順番に確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

タワーマンション節税の全体像をつかむ

評価差を使う対策が、なぜ問題になり、どこで認められにくくなるのかを先に整理します。

タワーマンション節税は、現金や預金などを区分所有マンションへ組み替え、相続税評価額と市場価格の差を利用して課税価格を圧縮しようとする相続税対策です。高層階、都心部、敷地持分が小さい住戸では、従来の土地評価や建物評価だけでは眺望、階数、ブランド、共用施設、駅距離、都市部の希少性が十分に反映されにくい構造がありました。

現在は、単に評価額が下がるから有利と見るのは危険です。令和6年1月1日以後の居住用区分所有財産には区分所有補正率を使う新しい評価方法が適用され、令和4年4月19日の最高裁判決は総則6項による評価替えの枠組みを示しました。さらに令和8年度税制改正大綱では、相続開始前5年以内に取得等をした一定の貸付用不動産について、令和9年1月1日以後の相続等から通常の取引価額相当額による評価へ見直す方向性が示されています。

次の強調部分は、このページ全体の結論を短く表したものです。税額だけでなく、取得時期、利用実態、相続後の行動、説明資料がそろっているかを読むと、タワーマンション節税の是非を実質で判断しやすくなります。

取得自体は違法ではないが、相続直前・借入れ・短期売却が重なると危険が高まります

居住、長期投資、資産分散、老後の住環境整備、賃貸経営、遺産分割対策などの合理的目的があり、資金計画や資料保存が整っていれば、正当な資産承継設計の一部になり得ます。

下の3つの視点は、タワーマンション節税を検討するときに最低限分けて確認したい論点です。それぞれ税額、法律上の評価、相続人間の納得に関わるため、どれか1つだけで安全性を判断しないことが重要です。

VALUATION

令和6年以後の評価計算

区分所有補正率を反映し、従来評価が低すぎる住戸では評価額が引き上げられる可能性を確認します。

FAIRNESS

総則6項と租税公平

価格差だけでなく、節税目的、相続発生の予見、借入れ、短期売却、税額圧縮の程度を総合して見ます。

FAMILY

相続人間の時価評価

相続税評価額と遺産分割・遺留分で問題になる実勢価格は一致しないため、民事上の紛争にも注意が必要です。

Section 01

タワーマンション節税と税務否認の基本

節税、租税回避、税務否認を混同しないことが、判断の出発点です。

このページでいうタワーマンション節税は、相続税の課税価格を下げる目的で、現金、預金、有価証券などをタワーマンションの住戸に組み替える相続税対策です。狭い意味では、相続開始前に高額な区分所有マンションを購入し、財産評価基本通達に基づく相続税評価額で申告する方法を指します。広い意味では、借入金による債務控除、賃貸化による貸家・貸家建付地評価、小規模宅地等の特例、贈与税対策としての移転も含みます。

次の一覧は、似ている言葉を分けて理解するためのものです。どの言葉が使われているかで、適法な制度利用の話なのか、税務調査で問題視される話なのかが変わるため、最初に整理しておく意味があります。

TAX PLANNING

節税

法律が予定する制度を適法に使い、税負担を軽減する行為です。すべての節税効果が禁じられるわけではありません。

AVOIDANCE

租税回避

形式上は取引を組み合わせていても、税法が予定する公平な負担を不自然に避けるものとして問題視される行為です。

REASSESSMENT

税務否認

日常的な表現であり、評価計算の更正、総則6項による評価替え、実態の否認、加算税リスクなど複数の効果を含みます。

税務否認という表現の中には、単なる計算誤りから重い加算税リスクまで幅があります。下の表は、どの場面で何が問題になるのかを並べたものなので、列ごとに「問題になる理由」と「確認すべき実態」を読み分けてください。

税務上の問題問題になる理由確認すべき実態
評価計算の誤り申告時の評価計算が誤っている場合、正しい評価額に更正されます。固定資産税評価額、路線価、敷地権割合、床面積、計算明細
新マンション評価通達の適用漏れ令和6年1月1日以後の居住用区分所有財産で、区分所有補正率を反映していない場合です。築年数、総階数、所在階、敷地持分狭小度、評価水準
総則6項による評価替え通達評価をそのまま使うと、実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合です。取得時期、節税目的、相続発生の予見、借入れ、短期売却
賃貸実態の否認実際には賃貸していないのに、貸家や貸家建付地として評価減している場合です。契約書、家賃入金、占有、募集広告、管理委託、空室説明
名義財産の申告漏れ被相続人の財産を相続人名義にしただけと見られる場合です。資金源、管理者、意思確認、贈与契約、通帳管理
加算税リスク虚偽資料、隠ぺい、仮装があると過少申告加算税や重加算税が問題になります。申告資料の整合性、査定書の扱い、説明資料、提出資料

対象読者は、相続税申告を控える相続人、親の相続対策を検討する家族、すでにタワーマンションを保有している資産家、遺産分割でマンション評価を巡って争っている相続人、税務調査に不安がある納税者です。一般的な制度説明として読み、個別の見通しは資料をそろえたうえで専門家に確認する必要があります。

Section 02

タワーマンション節税の評価計算と令和6年通達

相続税の原則である時価、従来評価、区分所有補正率の関係を順番に確認します。

相続税法22条は、特別の定めがある場合を除き、相続、遺贈または贈与で取得した財産の価額を取得時の時価によると定めています。実務上は、すべての不動産を個別鑑定すると負担が大きいため、土地は路線価方式や倍率方式、家屋は固定資産税評価額を基礎とする財産評価基本通達による評価が広く使われています。

次の表は、マンションの従来評価でどの部分をどの資料から計算するかを示しています。土地と建物を分け、敷地利用権の割合が小さくなるほど市場価格との差が大きくなり得る点を読み取ることが重要です。

評価対象従来の基本的な考え方タワーマンションで差が生じやすい理由
区分所有権家屋部分として固定資産税評価額を基礎に評価します。高層階の眺望やブランド価値が固定資産税評価額に反映されにくいことがあります。
敷地利用権マンション敷地全体の相続税評価額に敷地権割合または共有持分割合を乗じます。戸数が多いほど各住戸の敷地持分が小さくなり、土地評価額が低くなりやすい構造があります。
借入金相続開始時に確実な債務であれば、遺産総額から控除できることがあります。評価額が借入残高より大幅に低い場合、課税価格が大きく圧縮されます。
注意借入金を債務控除できることと、その借入れを利用した評価圧縮が常に課税上認められることは別問題です。最高裁判決の事案でも、借入れを伴う不動産購入の企画性が重視されました。

令和6年以後の居住用区分所有財産の評価

令和6年1月1日以後に相続、遺贈または贈与で取得した居住用の区分所有財産は、国税庁の新しい評価方法を確認します。対象は、一棟の区分所有建物に存する居住用専有部分一室に係る区分所有権と敷地利用権です。事業用テナント物件、区分建物登記がない一棟所有マンション、地階を除く総階数が2以下の低層集合住宅、一定の二世帯住宅、棚卸商品等は適用対象外とされています。

基本式居住用区分所有財産の価額 = 従来の区分所有権の価額 × 区分所有補正率 + 従来の敷地利用権の価額 × 区分所有補正率

次の表は、区分所有補正率の前提となる評価乖離率の構成要素を並べたものです。係数がプラスかマイナスかによって評価水準への影響が異なるため、築年数、総階数、所在階、敷地持分の狭さを個別に読む必要があります。

記号内容計算の考え方
A築年数要素一棟の区分所有建物の築年数 × マイナス0.033
B総階数要素総階数指数 × 0.239。総階数指数は地階を含まない総階数を33で除し、1を超える場合は1です。
C所在階要素専有部分の所在階 × 0.018。地下階は0階として扱います。
D敷地持分狭小度要素敷地持分狭小度 × マイナス1.195。敷地持分狭小度は、敷地利用権の面積を専有部分の床面積で割って求めます。
計算順序評価乖離率 = A + B + C + D + 3.220。評価水準 = 1 ÷ 評価乖離率。この評価水準を使い、補正の有無と補正率を決めます。

下の表は、評価水準ごとの補正結果を示しています。0.6未満では従来評価が低すぎるものとして引上げ方向になり、1を超える場合は引下げ方向になるため、すべてのマンションが一律に増額される制度ではない点を確認してください。

評価水準区分所有補正率読み取り方
0.6未満評価乖離率 × 0.6従来評価が低すぎるため、評価額を引き上げる方向です。
0.6以上1以下補正なし従来の評価方法を維持します。
1超評価乖離率従来評価が高すぎるため、評価額を引き下げる方向です。

築浅、高層、大規模、敷地持分が小さい典型的な住戸では、評価水準が0.6未満となり評価額が引き上がる可能性があります。ただし、区分所有補正率を計算したから必ず安全とは言えません。総則6項は、通達評価による画一的評価が著しく不適当となる特殊事情に対応する例外規定として残ります。

Section 03

タワーマンション節税を左右する最高裁判決と改正動向

総則6項の判断枠組みと、貸付用不動産の見直しを並べて理解します。

制度と判例の流れを時系列で見ると、タワーマンション節税のリスクがどこで高まったかを把握しやすくなります。下の時系列では、令和4年、令和6年、令和9年以後という順番に、実務上の確認ポイントが増えていることを読み取ってください。

令和4年4月19日

最高裁が総則6項の適用を肯定

通達評価をそのまま使うと実質的な租税負担の公平に反する事情がある場合、通達評価を上回る価額による課税が認められ得る枠組みが示されました。

令和6年1月1日以後

居住用区分所有財産の新評価が適用

分譲マンション一室の評価で、評価乖離率、評価水準、区分所有補正率を使う仕組みが導入されました。

令和9年1月1日以後の相続等

貸付用不動産の5年以内取得に関する見直し方向

令和8年度税制改正大綱では、一定の貸付用不動産について通常の取引価額相当額で評価する方向性が示されています。

令和4年最高裁判決の考え方

令和4年4月19日の最高裁第三小法廷判決では、被相続人が高齢時に金融機関から借入れをし、不動産を購入した後、相続人が評価通達に基づいて申告した事案が問題になりました。最高裁は、通達評価をそのまま使うと実質的な租税負担の公平に反する事情があるとして、課税処分を適法としました。

次の表は、最高裁の判断枠組みを実務で使いやすい順番に並べたものです。左列で法的な考え方を、右列でタワーマンション節税の検討時に確認する資料や事情を読み取ってください。

判断枠組み実務で確認すること
時価は客観的な交換価値です。購入価額、査定書、売却価額、鑑定評価、市場動向を確認します。
評価通達は法令そのものではありません。通達評価に合っているだけでなく、時価との関係を説明できるかを見ます。
通達評価を上回る評価には合理的理由が必要です。特定の納税者だけを不利益に扱うのではない理由があるかが争点になります。
価格乖離だけでは足りません。市場価格との差だけで直ちに否認されるわけではありません。
租税負担の公平を害する事情があれば足り得ます。節税目的、近い相続発生の予見、借入れと購入の企画性、著しい税額軽減が重視されます。

次の危険要素一覧は、最高裁判決から実務上注目される事情を抜き出したものです。複数が重なるほど、単なる価格差ではなく、相続税負担を不自然に軽減する企画と見られやすくなります。

高齢・重病

被相続人が高齢または重病で、近い相続発生が予想される状況です。

相続直前の購入

通常の資産運用ではなく、相続税対策目的と推認されやすくなります。

借入れと購入が一体

債務控除と評価圧縮を組み合わせた企画と見られやすい事情です。

税額試算資料

税負担の軽減だけを中心にした資料は、節税目的の証拠になり得ます。

利用実態が薄い

居住、賃貸、長期投資の実体が乏しいと、一時的保有と見られやすくなります。

短期売却

相続後すぐ購入価額に近い金額で売却すると、評価圧縮目的が強く推認されます。

令和8年度税制改正大綱の方向性

令和8年度税制改正大綱は、相続税等の財産評価の適正化として、貸付用不動産の市場価格と相続税評価額との乖離を踏まえた見直しを掲げています。被相続人等が課税時期前5年以内に対価を伴う取引で取得または新築した一定の貸付用不動産について、令和9年1月1日以後の相続等から通常の取引価額相当額で評価する方向性です。課税上の弊害がない限り、取得価額を基に地価変動等を考慮して計算した価額の80%相当額で評価できるとされます。

この見直しは、令和6年の居住用区分所有財産の評価通達とは別の文脈です。自宅として所有する居住用区分所有マンションはまず令和6年以後の評価を確認し、賃貸用として所有する区分マンションは、マンション評価通達に加えて貸付用不動産の見直し対象になるかを確認する必要があります。制度の最終的な法令、通達、Q&A、経過措置は、最新の一次情報で確認することが重要です。

Section 04

タワーマンション節税を肯定できる場面・危険な場面

適法な資産承継設計と、否認されやすい一時的な評価圧縮を分けて考えます。

タワーマンションの取得が相続税対策として一切許されないわけではありません。下の表は、税務以外の合理的な目的を説明しやすい場面を示しています。左列で場面を、右列で相続税以外の理由がどこにあるかを確認してください。

場面説明可能な非税務目的
高齢者本人の住替えバリアフリー、駅近、医療機関へのアクセス、防犯、管理負担の軽減
長期の資産分散預金偏重の是正、インフレ対策、賃料収入、都心不動産への長期投資
遺産分割対策相続人間で分けやすい資産構成への整理、代償金原資の確保
賃貸事業継続的な賃貸収益、管理委託契約、修繕計画、空室リスク管理
家族の生活設計子や配偶者の居住確保、介護動線、二拠点生活
相続後も保有予定短期売却ではなく、長期利用や賃貸継続が予定されていること

一方で、税負担軽減だけを目的に、経済的実体の薄い取引を相続直前に作り出すと、総則6項や評価計算の誤りとして問題になりやすくなります。次の表では、左列の場面と右列の問題点を対応させ、どの事情が危険を強めるかを読み取ってください。

否定的に評価されやすい場面問題点
相続直前の高額取得相続税軽減だけを目的にした一時的な財産形態変更と見られます。
借入金が過大債務控除を作るための形式的借入れと見られます。
本人が意思決定困難認知症、入院、意思能力、代理権の問題が生じます。
相続人が主導本人の資産運用ではなく、相続人の節税利益のための取引と見られます。
節税提案書が中心取引目的を示す証拠として課税庁に利用される可能性があります。
取得後に利用実態がない居住目的や賃貸目的の実体が弱いと評価されます。
相続後すぐ売却一時的な評価圧縮目的が強く推認されます。
申告評価が機械的マンション通達、賃貸実態、補正率、時価資料の検討不足が問題になります。

次の強調部分は、倫理的・政策的な観点をまとめたものです。市場価格が数億円のマンションについて、評価額だけが大きく低く相続税がゼロまたは大幅減になる場合、同じ経済力を持つ他の納税者との公平が問題になり得る点を読み取ってください。

答えは「常に悪い」でも「通達どおりなら常に安全」でもありません

納税者には法令に従って合理的に税負担を管理する自由があります。ただし、実務上は個別事情に基づく適正な評価と説明可能性が必要です。

Section 05

タワーマンション節税が税務否認される想定例

判例、通達、税務調査実務から問題になりやすい10類型を整理します。

以下は実在の特定事件ではなく、相続実務で問題になりやすいリスク類型です。表では、左から想定例、税務否認リスクの理由、実務上残すべき資料や注意点を並べています。金額や期間が短期性・価格乖離を示す手がかりになるため、数値もあわせて確認してください。

想定例否認リスクの理由実務上の注意
92歳の被相続人が相続直前に3億円で購入し、4か月後に死亡、1億4,000万円で申告、6か月後に2億9,000万円で売却相続開始の近さ、本人利用なし、相続人主導、借入れ、価格乖離、短期売却がそろい、令和4年最高裁判決の判断要素と重なります。本人の居住意思、医療・介護上の必要性、住替え検討経緯、売却に至った事情を客観資料で説明できなければ困難です。
85歳の被相続人が、税額をゼロに近づける提案書だけで借入れ併用スキームを実行税額圧縮を強調した提案書は、取引目的を示す強い証拠になり得ます。投資判断資料、本人意思確認記録、長期保有方針、賃貸事業計画、納税資金計画を併せて残します。
令和6年3月相続で、区分所有補正率の計算明細を作らず従来評価だけで申告総則6項以前に、令和6年以後のマンション評価通達の適用漏れという計算誤りになります。総階数、所在階、築年数、専有面積、敷地面積、敷地権割合、床面積の丸め処理を照合します。
親族会社へ形式的に賃貸したが、家賃入金が不定期で誰も居住していない賃貸借契約書があっても、貸家評価や貸家建付地評価の前提が崩れます。契約書、入金履歴、賃料水準、鍵の引渡し、入居者の利用実態、管理契約、募集広告、空室説明を保存します。
2億円で購入した住戸を相続税評価額9,000万円で申告し、申告期限前後に1億9,500万円で売却短期売却だけで直ちに違法ではありませんが、一時的な評価圧縮目的と見られやすくなります。納税資金不足、遺産分割、借入返済、管理負担、相続人合意など、売却理由を資料化します。
認知症の診断がある被相続人名義で、長女が預金を使って購入税務上だけでなく、契約有効性、代理権、財産管理、使い込み、遺産範囲の民事問題も生じます。医師の診断書、公証人関与、弁護士による意思確認、面談記録、録音、親族説明、成年後見制度の要否を検討します。
購入直後に孫へ贈与し、数か月後に売却令和6年以後のマンション評価通達は贈与にも適用され、短期贈与・短期売却は総則6項の検討対象になり得ます。贈与の必要性、受贈者の利用目的、長期保有方針、贈与税納税資金、家族間合意を整えます。
相続直前に住民票だけ移し、小規模宅地等の特例を併用住民票だけでは足りず、生活の本拠、取得者要件、保有継続、居住継続が問題になります。郵便物、公共料金、医療機関、介護サービス、家具、滞在日数、近隣関係、従前住宅の利用状況を確認します。
申告評価額1億2,000万円に対し、2億8,000万円前後の査定書を3社から取得していた市場価格との乖離が極端な場合、通達評価で足りる理由と総則6項リスクの検討状況が問われます。査定書を隠すのではなく、評価計算、取得経緯、保有目的、売却予定の有無、税額軽減効果の検討メモを残します。
令和8年中に賃貸用タワーマンションを購入し、令和9年以後の相続で従来評価だけを前提に申告貸付用不動産の5年以内取得に関する見直しが制度化されると、通常の取引価額相当額を基礎に評価する可能性があります。物件取得時期、貸付用か自用か、区分所有か一棟所有か、不動産小口化商品か、経過措置を確認します。
重要高齢または重病、相続直前、借入れ併用、節税提案書、利用実態なし、短期売却、著しい税額圧縮が重なるほど、タワーマンション節税の税務否認リスクは高くなります。
Section 06

タワーマンション節税の税務調査で見られる資料

調査では、評価額だけでなく、取引の目的、本人意思、利用実態、短期売却の理由が確認されます。

税務調査で確認されやすい資料は、取得価額や評価計算だけではありません。次の表は、資料ごとに調査上の意味を整理したものです。どの資料が、節税目的、相続発生の予見、意思能力、居住・賃貸実態、市場価格との乖離を示すのかを読み取ってください。

資料調査上の意味
売買契約書、重要事項説明書取得価額、取得時期、取引条件を確認します。
金融機関の融資資料借入目的、返済能力、節税提案の有無を確認します。
税理士、不動産会社、金融機関の提案書節税目的、税額試算、企画性を確認します。
診療録、介護記録相続発生の予見可能性や意思能力を確認します。
住民票、公共料金、郵便物居住実態を確認します。
賃貸借契約書、入金履歴貸家評価の前提を確認します。
管理委託契約、募集広告賃貸事業の実体を確認します。
査定書、鑑定書、売却資料市場価格との乖離を確認します。
遺産分割協議書誰が取得し、なぜ売却したかを確認します。
相続後の売買契約書短期売却と価額を確認します。

想定される質問

質問では、なぜこの時期に購入したのか、被相続人本人は物件を見たのか、誰が購入を提案したのか、借入れをした理由は何か、税額試算は誰が作成したのか、健康状態はどうだったか、購入後に誰が居住または賃貸したのか、相続後に売却した理由は何か、取得時の市場価格と申告評価額の差をどう理解していたか、総則6項リスクを検討したかが確認されやすいです。

次の判断の流れは、税務調査で指摘を受けたときに、まず何を切り分けるかを示しています。上から順に、計算誤り、実態、総則6項、争うかどうかを確認する構成になっており、早い段階で資料の不足を把握することが重要です。

税務調査で指摘を受けたときの確認順序

指摘内容を分類

計算誤り、総則6項、賃貸実態、名義財産、加算税のどれかを確認します。

課税庁の評価根拠を確認

鑑定評価、購入価額、売却価額、査定書など、どの資料を基礎にしているかを見ます。

資料不足
追加資料を整理

本人意思、利用実態、売却理由、評価計算の反証資料を集めます。

資料あり
対応方針を検討

修正申告、更正処分後の争い、再調査の請求、審査請求、訴訟の見通しを検討します。

事後的な説明だけで対応するのは難しいため、取引時点で非税務目的、経済合理性、本人意思、利用実態を記録しておくことが重要です。総則6項が問題になる場合、法律構成、証拠評価、判例の射程、平等原則、時価立証が争点になります。

Section 07

タワーマンション節税のリスク評価モデル

専門家相談前の一次点検として、高リスク・中リスク・低リスクの要素を整理します。

次の一覧は、税務否認リスクを一次点検するためのものです。3つの区分は結論を機械的に決めるものではありませんが、どの要素が重なると危険が増し、どの要素があると説明可能性が高まるかを比較できます。

HIGH

高リスク要素

  1. 被相続人が85歳以上または重病である。
  2. 購入から相続までが3年以内である。
  3. 購入から相続までが1年以内である。
  4. 借入金を利用している。
  5. 税額をゼロまたは大幅に下げる試算資料がある。
  6. 物件に本人が住んでいない。
  7. 賃貸実態がない、または親族間賃貸である。
  8. 相続後1年以内に売却している。
  9. 購入価額または売却価額が申告評価額の2倍以上である。
  10. 本人の意思能力や代理権に疑義がある。
MIDDLE

中リスク要素

  1. 都心・駅近・高層階で市場価格との乖離が大きい。
  2. 購入資金の多くを預金から一括投入している。
  3. 取得後、短期間で贈与している。
  4. 取得目的に関する書面がない。
  5. 家族間で取得に反対している相続人がいる。
  6. 相続税申告を急いで行い、評価資料が薄い。
  7. 固定資産税評価額、敷地権割合、床面積の確認が不十分である。
LOWER

説明可能性を高める要素

  1. 取得から相続まで長期間が経過している。
  2. 本人が実際に居住していた。
  3. 賃貸事業として継続的に運営している。
  4. 取得時に投資採算、住環境、介護、防犯などの非税務目的を検討している。
  5. 相続後も保有を続けている。
  6. 評価資料と計算明細が整っている。
  7. 不動産鑑定士や税理士の意見を事前に取得している。
  8. 相続人間で説明と合意ができている。
目安高リスク要素が3つ以上ある場合は、税務否認リスクが高いと考え、取得の是非、申告評価、資料保存、相続後の売却方針を慎重に見直す必要があります。
Section 08

タワーマンション節税の適法性を高める実務対応

取引目的、本人意思、評価計算、相続後の行動を資料で説明できる状態にします。

適法性を高めるには、税額を下げる試算だけでなく、取引目的、意思能力、評価計算、相続後の行動を多面的に記録することが重要です。次の一覧は、どの対応が何を説明するためのものかを示しており、各項目の右側にある短いラベルで主な役割を確認できます。

01

取引目的を多面的に記録する

住環境、医療アクセス、防犯、資産分散、収益性、管理負担、遺産分割、納税資金を具体的に検討します。

目的証拠
02

意思能力と本人意思を確認する

契約の意味、価格、資金源、借入れ、相続への影響、管理負担を本人が理解していたことを示す資料を残します。

意思高齢者取引
03

評価計算を二重に点検する

区分所有補正率、取得時価、売却可能価額、査定書、鑑定評価の必要性を確認します。

評価総則6項
04

相続後の行動を見据える

短期売却が必要になる場合は、納税資金、遺産分割、借入返済、管理負担、相続人合意を資料化します。

売却説明資料

次の表は、実務対応で残しておきたい資料を、目的別に並べたものです。左列が資料の種類、右列がその資料によって説明できる内容であり、税務調査だけでなく相続人間の説明にも役立ちます。

残しておきたい資料説明できる内容
本人が物件を選んだ経緯、内覧記録、比較資料税務以外の住替え・投資判断があったこと
想定賃料、空室リスク、修繕積立金、管理費の検討資料賃貸事業や長期投資としての経済合理性
借入れの返済原資、納税資金、相続後の保有方針債務控除だけを目的にした借入れではないこと
医師の診断書、面談記録、公証人関与、本人の自筆メモ、録音や録画意思能力と本人意思が確認されていたこと
登記事項証明書、固定資産税課税明細書、売買契約書、管理規約、重要事項調査報告書区分所有補正率と通達評価の計算根拠
遺産分割協議、借入返済協議、管理負担、相続人全員の合意相続後に売却が必要になった理由

相続後すぐ売却すると、一時的な評価圧縮目的が疑われやすくなります。もちろん、納税資金や遺産分割のために売却せざるを得ない場合はありますが、その場合も相続税納税資金の不足、借入金返済、現物共有の困難、管理費・修繕積立金・固定資産税の負担、遠方居住による管理困難、相続人全員の合意を資料で残すことが重要です。

Section 09

タワーマンション節税と相続人間紛争・専門家

相続税評価額だけでなく、民事上の時価、遺留分、意思能力の問題も確認します。

タワーマンション節税は、税務だけでなく相続人間紛争を誘発しやすい分野です。次の一覧では、相続税評価額と民事上の時価がずれることで起きやすい争点を示しています。どの争点でも、実勢価格や本人意思の資料が重要になる点を読み取ってください。

DIVISION

遺産分割での評価額

相続税評価額は税額計算のための評価であり、代償金の基礎となる時価とは一致しないことがあります。税務上1億円評価でも、実際に2億5,000万円で売れる物件なら争点になります。

RESERVE

遺留分侵害額請求

特定の相続人へ遺贈または生前贈与した場合、遺留分では相続税評価額ではなく民事上の時価が問題になる可能性があります。

CAPACITY

使い込み疑いと意思能力

高齢の被相続人名義で購入した場合、相続人主導の財産移動ではないか、認知症や代理権の問題がなかったかが争われやすくなります。

タワーマンション節税の検討では、単独の専門家だけでは足りないことがあります。下の表は、専門家ごとの主な役割を並べたものです。税務、民事紛争、登記、時価評価、資金計画が分かれていることを確認してください。

専門家主な役割
弁護士相続人間紛争、遺留分、意思能力、使い込み疑い、税務争訟、調停、審判、訴訟
税理士相続税申告、マンション評価、債務控除、税務調査対応、修正申告、更正の請求
司法書士相続登記、所有権移転登記、戸籍収集、登記原因証明情報、相続関係説明図
不動産鑑定士実勢価格、遺産分割時価、鑑定評価、総則6項リスクの市場価値資料
宅地建物取引士・不動産仲介業者売買価格査定、売却戦略、重要事項説明、取引実務
ファイナンシャル・プランナー家計、保険、老後資金、納税資金、資産全体の設計
公証人公正証書遺言、意思確認、遺言作成場面の中立的手続
遺言執行者遺言内容の実現、相続手続の遂行
信託銀行等遺言信託、遺言保管、遺言執行、資産承継相談
登記令和6年4月1日から相続登記の申請が義務化され、相続により不動産所有権を取得した相続人は、一定の日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料の対象となります。
Section 10

タワーマンション節税の検討手順

取得前、申告時、税務調査時で確認すべきことは変わります。

検討手順は、時間軸で分けると漏れを減らせます。次の時系列では、取得前に予防し、申告時に評価を確認し、税務調査時に指摘内容を切り分けるという順番を示しています。

取得前

税額だけでなく目的と能力を確認

相続税概算、遺留分、年齢・健康状態・意思能力、購入目的、借入れ、評価額、総則6項、相続後の方針を確認します。

申告時

令和6年以後の評価と特例要件を確認

居住用区分所有財産か、適用除外か、補正率、貸家・小規模宅地等の特例、債務控除、市場価格との乖離を確認します。

税務調査時

指摘の種類と争点を切り分ける

計算誤りか、総則6項か、実態否認かを確認し、評価根拠、反証資料、加算税、争う手続の見通しを検討します。

取得前に確認すること

  1. 相続税の概算額を把握する。
  2. 相続人と遺留分リスクを確認する。
  3. 被相続人の年齢、健康状態、意思能力を確認する。
  4. 購入目的を税務以外の観点から整理する。
  5. 借入れの必要性と返済可能性を確認する。
  6. 物件の市場価格、相続税評価額、マンション補正率を試算する。
  7. 総則6項リスクを検討する。
  8. 相続後の保有、賃貸、売却方針を決める。
  9. 遺言、生命保険、納税資金、代償金を含めて全体設計する。
  10. 複数専門家の意見を得る。

相続税申告時に確認すること

  1. 取得日が令和6年1月1日以後か。
  2. 居住用の区分所有財産に該当するか。
  3. 適用除外に該当しないか。
  4. 区分所有補正率を正しく計算したか。
  5. 貸家、貸家建付地、小規模宅地等の特例の要件を満たすか。
  6. 借入金は相続開始時に存在し、確実な債務か。
  7. 取得価額、査定額、売却予定額との乖離が大きすぎないか。
  8. 総則6項リスクを申告書作成過程で検討したか。
  9. 相続後売却予定があるなら、その理由を整理したか。
  10. 相続人間の合意と民事上の時価評価を別途検討したか。

税務調査で指摘を受けたときに確認すること

  1. 指摘は計算誤りか、総則6項か、実態否認か。
  2. 課税庁が想定する評価額の根拠は何か。
  3. 不動産鑑定評価があるか。
  4. 購入時資料と相続時資料のどこが問題視されているか。
  5. 被相続人の意思能力や利用実態について反証資料があるか。
  6. 過少申告加算税や重加算税の主張があるか。
  7. 修正申告に応じるか、更正処分を受けて争うか。
  8. 再調査の請求、審査請求、訴訟の見通しはどうか。
Section 11

よくある質問

一般的な制度説明として、判断が分かれやすい点を整理します。

Q1. 令和6年以後、タワーマンション節税は完全に封じられたのですか。

一般的には、完全に封じられたわけではないとされています。ただし、令和6年以後のマンション評価通達により、従来評価が市場価格に比べて低すぎる住戸は評価額が引き上げられる可能性があります。相続直前取得や短期売却などの事情によって結論が変わるため、具体的には税理士や弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. マンション通達どおりに計算すれば税務署に否認されませんか。

一般的には、正しく計算すれば通常の出発点になります。ただし、相続直前購入、借入れ、短期売却、節税目的の明白性、著しい税負担軽減がある場合は、総則6項の検討対象となる可能性があります。個別事情によって判断が変わるため、資料を整理して専門家へ確認する必要があります。

Q3. 相続後に売却したら必ず否認されますか。

一般的には、必ず否認されるわけではありません。納税資金、遺産分割、管理困難など合理的理由があれば売却は通常の行為です。ただし、購入時点から短期売却が予定されていた場合や、購入から相続、相続から売却までが短い場合はリスクが上がる可能性があります。

Q4. 被相続人が実際に住んでいれば安全ですか。

一般的には、居住実態は有利な要素とされています。ただし、相続直前に形式的に住民票だけを移した、実際の生活拠点が別にある、意思能力に疑義がある、購入資金や借入れが不自然といった事情があると、なお問題になる可能性があります。

Q5. 借入れを使うと危険ですか。

一般的には、借入れ自体は通常の経済行為とされています。ただし、返済能力や投資合理性が乏しいのに、債務控除を作る目的で過大な借入れを行う場合は、相続税対策目的を推認させる要素になりやすいです。

Q6. 税理士に申告してもらえば安心ですか。

一般的には、税理士の関与は重要です。ただし、総則6項、不動産鑑定、相続紛争、税務争訟への対応は専門性が分かれることがあります。高額なタワーマンションを含む相続では、相続税に詳しい税理士、不動産鑑定士、弁護士等の連携が望ましい場合があります。

Q7. 相続税評価額と遺産分割の評価額は同じですか。

一般的には、同じとは限りません。相続税申告では通達評価を使うことが多い一方、遺産分割、遺留分、代償金の場面では実勢価格や鑑定評価額が問題になる可能性があります。具体的な評価基準は紛争状況や資料によって変わります。

Q8. すでにタワーマンションを持っている場合、何を確認すればよいですか。

一般的には、取得時期、利用状況、評価額、市場価格、借入残高、相続人構成、遺言、納税資金を確認することが重要です。令和6年以後の評価、令和9年以後の貸付用不動産見直し、総則6項リスクを踏まえ、相続税試算や遺言・代償金設計を更新する必要があります。

Section 12

タワーマンション節税の結論

形式ではなく、実質、資料、相続後の行動まで含めて判断します。

タワーマンションを購入したこと自体は違法ではありません。相続税評価額が市場価格より低くなることも、通達評価制度の範囲内で生じる限り、直ちに否定されるものではありません。

ただし、現行実務では三層でリスクを点検する必要があります。第一に、令和6年以後のマンション評価通達に従って区分所有補正率を正しく計算しているか。第二に、通達評価が正しくても、令和4年最高裁判決が示したような、実質的な租税負担の公平に反する事情がないか。第三に、令和9年以後を見据え、貸付用不動産の5年以内取得など、新たな評価見直しの対象にならないかです。

結論相続直前、高齢または重病、借入れ併用、節税提案書、利用実態なし、短期売却、著しい税額圧縮が重なる事案は、税務否認リスクが高い類型です。

反対に、長期保有、本人居住、実質的賃貸、資産分散や生活設計としての合理性、十分な資料保存、相続後の継続保有、専門家の多面的検討がある場合は、説明可能性が高まります。相続における良い対策は、税額だけを下げることではありません。相続人間の公平、納税資金、本人の意思、老後の生活、財産管理、将来の売却可能性、税務調査への耐性を含めて総合的に設計することです。

Reference

参考資料

制度や判例を確認するための公的資料を中心に整理しています。

相続税評価とマンション評価

  • 国税庁「No.4602 土地家屋の評価」
  • 国税庁「No.4126 相続財産から控除できる債務」
  • 国税庁「No.4667 居住用の区分所有財産の評価」
  • 国税庁「財産評価基本通達 第1章 総則」
  • 国税庁「居住用の区分所有財産の評価について(法令解釈通達)」
  • 国税庁「マンションに係る財産評価基本通達に関する有識者会議について」

判例・法改正関連

  • 最高裁判所第三小法廷 令和4年4月19日判決「相続税更正処分等取消請求事件」
  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」