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成年後見人には誰がなれる?
家族が選ばれない場合と相続の注意点

成年後見人は家族も候補になれますが、最終的に選ぶのは家庭裁判所です。相続で利益相反や親族間対立があると、専門職や監督人の関与が必要になることがあります。

25.6% 申立て動機に相続手続
16.4% 親族が選任された割合
10か月 相続税申告の期限
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成年後見人には誰がなれる? 家族が選ばれない場合と相続の注意点

成年後見人は家族も候補になれますが、最終的に選ぶのは家庭裁判所です。

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成年後見人には誰がなれる? 家族が選ばれない場合と相続の注意点
成年後見人は家族も候補になれますが、最終的に選ぶのは家庭裁判所です。
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  • 成年後見人には誰がなれる? 家族が選ばれない場合と相続の注意点
  • 成年後見人は家族も候補になれますが、最終的に選ぶのは家庭裁判所です。

POINT 1

  • 成年後見人には誰がなれるかの全体像
  • 家族が候補者になれることと、必ず選ばれるわけではないことを最初に整理します。
  • 家族は成年後見人になり得るが、家庭裁判所は本人の利益を基準に選びます
  • 候補者になれる人
  • 家族が選ばれない事情

POINT 2

  • 成年後見人を考える前に成年後見制度を押さえる
  • 法定後見、任意後見、後見・保佐・補助の違いと、相続で利用が必要になる場面を整理します。
  • 財産管理と身上保護の両面で、本人の生活と権利を守る仕組みと位置づけられます。
  • 法定後見は、本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助に分かれます。
  • 成年後見は、本人が精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合に開始される類型です。

POINT 3

  • 成年後見人には誰がなれるのか
  • 家族、専門職、法人、市民後見人など、候補になり得る人と実務上の見方を整理します。
  • 成年後見人になれる人について実務上もっとも重要なのは、資格の有無ではなく、本人のために適切な後見事務を行えるかです。
  • 家庭裁判所は、後見開始の審判をすると同時に、本人にとって適切と思われる成年後見人を選任します。
  • 候補者の肩書だけでなく、相続財産、親族関係、紛争の有無に応じてどの専門性が必要になるかを読み取ることが重要です。

POINT 4

  • 家族は成年後見人になれるが選任率だけで判断しない
  • 親族が選任される割合と、その数字を読むときの注意点を整理します。
  • 家族は成年後見人になれます。
  • 制度上、家族であること自体は排除理由ではありません。
  • 次の割合の比較は、最高裁判所事務総局家庭局の概況に示された、成年後見人等と本人との関係を表しています。

POINT 5

  • 家族が成年後見人になれない場合
  • 親族間の対立
  • 相続人間に不信や反対意見があると、後見事務の透明性や本人財産の保全が問題になります。
  • 本人の反対
  • 後見開始の審判で判断能力が問題となる場合でも、本人の意向は選任判断で考慮されます。

POINT 6

  • 相続で成年後見人に利益相反がある場合
  • 1. 本人が共同相続人か確認:遺産分割協議、相続財産調査、不動産処分の当事者になるかを確認します。
  • 2. 候補者も共同相続人か確認:候補者自身の相続分と本人の相続分が衝突するかを見ます。
  • 3. 特別代理人または監督人の関与:本人のために別の代理者が必要になる場合があります。
  • 4. 家庭裁判所の指示を確認:財産内容、協議案、本人の利益を踏まえて手続を確認します。

POINT 7

  • 家族が成年後見人に選ばれないときの専門職候補
  • 弁護士、司法書士、社会福祉士、税理士、法人後見、市民後見人の位置づけを確認します。
  • 家族が成年後見人に選ばれない場合、家庭裁判所は本人にとって適切と考える第三者を選任します。
  • 代表的なのは弁護士、司法書士、社会福祉士であり、法人後見が選ばれることもあります。
  • 相続では、争い、登記、税務、福祉支援のどこに課題があるかによって、必要な専門性が変わる点を読み取ることが重要です。

POINT 8

  • 成年後見人の職務とできないこと
  • 財産管理と身上保護の内容、相続で誤解されやすい限界を確認します。
  • 成年後見人の職務は、大きく財産管理と身上保護に分かれます。
  • 本人の意思を尊重し、心身の状態や生活状況に配慮しながら、必要な代理行為を行い、財産を適正に管理します。
  • 成年後見人は、家族の代わりに何でもできる人ではありません。

まとめ

  • 成年後見人には誰がなれる? 家族が選ばれない場合と相続の注意点
  • 成年後見人には誰がなれるかの全体像:家族が候補者になれることと、必ず選ばれるわけではないことを最初に整理します。
  • 成年後見人を考える前に成年後見制度を押さえる:法定後見、任意後見、後見・保佐・補助の違いと、相続で利用が必要になる場面を整理します。
  • 成年後見人には誰がなれるのか:家族、専門職、法人、市民後見人など、候補になり得る人と実務上の見方を整理します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

成年後見人には誰がなれるかの全体像

家族が候補者になれることと、必ず選ばれるわけではないことを最初に整理します。

成年後見人になるために、弁護士、司法書士、社会福祉士などの資格が必須というわけではありません。配偶者、子、兄弟姉妹などの家族も候補者になり得ます。ただし、成年後見人を最終的に選任するのは家庭裁判所であり、申立書に家族を候補者として書いても、その家族が必ず選ばれるわけではありません。

家庭裁判所は、本人の心身の状態、生活状況、財産内容、候補者の能力、本人との利害関係、本人の意向、後見事務の専門性、不正防止の必要性などを総合して判断します。相続の場面では、遺産分割協議、相続財産調査、不動産処分、相続税申告、相続登記が絡むため、利益相反の有無が特に重要です。

次の重要ポイントは、このページ全体で繰り返し確認する結論を短く示しています。家族を候補者にできるかだけでなく、家庭裁判所が何を重視し、相続ではどこを読み取るべきかを押さえることが大切です。

家族は成年後見人になり得るが、家庭裁判所は本人の利益を基準に選びます

候補者に欠格事由がある場合、親族間対立、本人の反対、財産管理能力への不安、相続上の利益相反、専門性の高い課題がある場合には、家族以外の専門職や法人、後見監督人が選ばれることがあります。

相続と成年後見が重なる場面では、複数の制度が同時に問題になります。次の一覧は、読者が最初に分けて考えるべき3つの視点を示すもので、どこで専門職の関与が必要になりやすいかを読み取るために重要です。

POINT 1

候補者になれる人

家族、親族、専門職、法人、市民後見人などが候補になり得ます。資格の有無だけでなく、本人のために継続して後見事務を行えるかが問われます。

POINT 2

家族が選ばれない事情

欠格事由、親族間の対立、本人の反対、投資目的、健康や多忙、事務処理能力の不足、相続での利益相反が問題になります。

POINT 3

相続での実務対応

遺産分割、相続税申告、相続登記、預貯金の調査では、後見人だけでなく特別代理人、後見監督人、専門職との連携が検討されます。

Section 01

成年後見人を考える前に成年後見制度を押さえる

法定後見、任意後見、後見・保佐・補助の違いと、相続で利用が必要になる場面を整理します。

成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などにより、本人が財産管理や契約などの法律行為を自分だけで行うことが難しい場合に、家庭裁判所が選任した支援者などが本人を法的に保護し、意思決定を支援する制度です。財産管理と身上保護の両面で、本人の生活と権利を守る仕組みと位置づけられます。

次の比較表は、法定後見と任意後見の違いを示しています。どちらを使うかで、支援者を本人が事前に選べるか、家庭裁判所が選ぶかが変わるため、相続準備や認知症対策では最初に読み分けることが重要です。

区分概要主な利用場面
法定後見判断能力が既に不十分になった後、家庭裁判所が後見人等を選任する制度です。認知症が進行し、預貯金管理や相続手続ができない場合などです。
任意後見本人に十分な判断能力があるうちに、将来の支援者と公正証書で契約する制度です。将来の認知症に備えて、支援者を自分で決めておきたい場合などです。

法定後見は、本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助に分かれます。成年後見は、本人が精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある場合に開始される類型です。保佐は判断能力が著しく不十分な場合、補助は判断能力が不十分な場合を想定します。

次の表は、相続で成年後見制度が問題になりやすい典型場面を整理しています。相続手続は相続人全員の関与や財産処分を伴うため、本人が意思表示できないとどの手続が止まりやすいかを読み取ることが重要です。

典型場面成年後見制度との関係
父が亡くなり、母が認知症で遺産分割協議に参加できない母のために成年後見人等の選任が必要になることがあります。
相続人の一人が施設入所中で預金解約や不動産売却の判断ができない財産管理、契約、身上保護のため後見等が検討されます。
認知症の本人が相続財産の不動産を所有している売却、賃貸、修繕、税務、登記について後見人の関与が必要になることがあります。
遺産分割協議を急ぎたいが、本人が意思表示できない後見開始申立て、特別代理人、後見監督人の要否が問題になります。

最高裁判所事務総局家庭局の概況では、成年後見関係事件の申立て動機として、相続手続は10,909件、全体の25.6%を占めています。預貯金等の管理・解約、身上保護、介護保険契約、不動産処分も多く、相続と成年後見は実務上密接に結びついています。

Section 02

成年後見人には誰がなれるのか

家族、専門職、法人、市民後見人など、候補になり得る人と実務上の見方を整理します。

成年後見人になれる人について実務上もっとも重要なのは、資格の有無ではなく、本人のために適切な後見事務を行えるかです。家庭裁判所は、後見開始の審判をすると同時に、本人にとって適切と思われる成年後見人を選任します。

次の一覧は、成年後見人になり得る人や法人と、相続実務で見られやすい役割を整理したものです。候補者の肩書だけでなく、相続財産、親族関係、紛争の有無に応じてどの専門性が必要になるかを読み取ることが重要です。

類型成年後見人になり得るか実務上の位置づけ
配偶者あり得ます本人の生活歴をよく知りますが、高齢、健康状態、利益相反が問題になり得ます。
あり得ます親の生活支援や財産管理に関与しやすい一方、兄弟姉妹との対立や相続上の利害が問題になり得ます。
兄弟姉妹あり得ます子がいない場合などに候補となることがあります。
その他親族あり得ます本人との関係性、支援実績、財産管理能力が重要です。
弁護士あり得ます紛争、交渉、訴訟、遺留分、使い込み疑い、複雑な遺産分割で関与しやすい職種です。
司法書士あり得ます登記、裁判所提出書類、財産管理、相続登記、不動産名義変更で関与しやすい職種です。
社会福祉士あり得ます福祉サービス、施設、身上保護、地域支援との連携で関与しやすい職種です。
行政書士あり得る場合があります書類作成、行政手続、相続関係書類の整理で関与し得ます。
税理士あり得る場合があります相続税、所得税、財産評価、税務調査対応の専門性が必要な場合に関与し得ます。
社会福祉協議会、NPO、専門職法人等あり得ます法人後見として、組織的・継続的支援を行う場合があります。
市民後見人あり得ます自治体等の養成を受けた地域住民等が社会貢献として担う場合があります。

ただし、成年後見人は、本人に近い人や相続人の多数が希望する人が自動的に選ばれる制度ではありません。民法843条4項は、本人の心身の状態、生活および財産の状況、候補者の職業および経歴、本人との利害関係の有無、本人の意見その他一切の事情を考慮する趣旨の規定を置いています。

注意申立書に候補者を書いても、候補者以外の専門職や法人が選任される場合があります。誰が選任されたかについて不服申立てはできないとされています。
Section 03

家族は成年後見人になれるが選任率だけで判断しない

親族が選任される割合と、その数字を読むときの注意点を整理します。

家族は成年後見人になれます。制度上、家族であること自体は排除理由ではありません。本人の生活歴、性格、価値観、医療・介護の希望、親族関係を理解している家族は、身上保護や日常的な支援の面で重要な役割を果たし得ます。

次の割合の比較は、最高裁判所事務総局家庭局の概況に示された、成年後見人等と本人との関係を表しています。親族以外の選任割合が高いことは重要ですが、家族候補者の可能性が完全に否定されるわけではない点を読み取る必要があります。

親族以外
83.6%
親族
16.4%
割合は概況資料に基づく整理です。申立て時に親族候補者がいるかどうかでも見え方が変わります。

親族以外の内訳では、司法書士11,966件、弁護士8,903件、社会福祉士7,280件、市民後見人390件などが示されています。この数字だけを見ると、家族はほとんど成年後見人になれないと受け止めがちです。

しかし、東京家庭裁判所後見センターの説明では、親族が後見人に選任される割合が低下している背景には、親族を候補者とする申立て自体の減少が大きく影響しているとされています。親族が候補者とされているケースで、その候補者が選任されない案件は少数であるとの説明もあります。

要点家族後見人の可能性は否定されていません。ただし、家庭裁判所は本人保護を基準に、家族候補者が適切かどうかを厳密に審査します。
Section 04

家族が成年後見人になれない場合

法律上の欠格事由と、家庭裁判所が不適切と判断しやすい事情を分けて確認します。

家族が成年後見人になれない場合は、大きく二種類あります。第一に、法律上そもそも後見人になれない欠格事由がある場合です。第二に、欠格事由には当たらなくても、家庭裁判所が本人保護の観点から不適切と判断する場合です。

次の表は、後見人、保佐人、補助人になることができないとされる代表的な欠格事由です。家族であっても該当すれば候補者にはなれないため、申立て前に必ず確認すべき項目です。

欠格事由具体例
未成年者18歳未満の子や孫などです。
家庭裁判所で免ぜられた法定代理人、保佐人、補助人過去に不適切な事務などで解任された者などです。
破産者で復権していない人免責確定等により復権する前の破産者です。
本人に対して訴訟をしたことがある人、その配偶者または親子本人と法的対立関係にあった者などです。
行方不明である人連絡が取れず、後見事務を行えない者です。

欠格事由に当たらなくても、家庭裁判所は本人の利益を守れるかを具体的に見ます。次の一覧は、家族候補者が選任されない方向に働きやすい事情をまとめたもので、何が問題視されるかを読み取ることが重要です。

親族間の対立

相続人間に不信や反対意見があると、後見事務の透明性や本人財産の保全が問題になります。

本人の反対

後見開始の審判で判断能力が問題となる場合でも、本人の意向は選任判断で考慮されます。

投資や資産運用目的

本人財産を家族全体の相続対策や節税、リスク資産への投資に使う目的が疑われると慎重に見られます。

健康、多忙、事務能力への不安

財産目録、収支予定表、定期報告、契約管理を継続できるかが確認されます。

利益相反

本人と候補者が共同相続人になる場合など、本人の利益と候補者自身の利益が衝突します。

専門性の高い課題

相続紛争、相続登記、相続税申告、不動産評価、事業承継、福祉支援などで専門職が必要になることがあります。

成年後見人は、選任後おおむね1か月以内に財産目録や収支予定表を提出し、その後も少なくとも年1回、家庭裁判所に後見等事務を報告するとされています。高齢、病気、遠方居住、多忙、会計管理が苦手といった事情がある場合は、専門職後見人や後見監督人の選任が検討されることがあります。

Section 05

相続で成年後見人に利益相反がある場合

本人と候補者が共同相続人になる場面では、特別代理人や後見監督人の要否が問題になります。

相続案件でもっとも注意すべきなのが利益相反です。利益相反とは、本人の利益と後見人候補者自身の利益が衝突する状態をいいます。父が死亡し、母が認知症で、長男が母の成年後見人候補者である場合、母と長男はいずれも父の共同相続人となるため、遺産分割協議で利害が衝突します。

次の判断の流れは、相続で本人と候補者の利害が重なるときに、どの関与が検討されるかを整理したものです。本人の代理を誰が行うかで遺産分割協議の有効性に関わるため、分岐ごとに必要な確認事項を読み取ることが重要です。

相続で利益相反があるときの確認順序

本人が共同相続人か確認

遺産分割協議、相続財産調査、不動産処分の当事者になるかを確認します。

候補者も共同相続人か確認

候補者自身の相続分と本人の相続分が衝突するかを見ます。

利害が衝突する
特別代理人または監督人の関与

本人のために別の代理者が必要になる場合があります。

衝突が明確でない
家庭裁判所の指示を確認

財産内容、協議案、本人の利益を踏まえて手続を確認します。

後見人と本人が共同相続人として遺産分割協議を行う場合、原則として後見人に代わって特別代理人等が本人を代理する必要があります。ただし、後見監督人が選任されている場合は、監督人が本人を代理するため、特別代理人選任が不要となる場合があります。

相続税申告、相続登記、不動産売却、遺留分、使い込み疑いがある場合は、利益相反の問題に加えて、法律、登記、税務、不動産評価、福祉の専門性が重なります。家族後見人だけで対応するか、専門職後見人や後見監督人を組み合わせるかを、本人の利益を中心に検討します。

Section 06

家族が成年後見人に選ばれないときの専門職候補

弁護士、司法書士、社会福祉士、税理士、法人後見、市民後見人の位置づけを確認します。

家族が成年後見人に選ばれない場合、家庭裁判所は本人にとって適切と考える第三者を選任します。代表的なのは弁護士、司法書士、社会福祉士であり、法人後見が選ばれることもあります。

次の一覧は、専門職や法人が選ばれやすい場面を整理しています。相続では、争い、登記、税務、福祉支援のどこに課題があるかによって、必要な専門性が変わる点を読み取ることが重要です。

弁護士

相続人どうしの対立、遺留分、預金の使い込み疑い、不動産処分、訴訟、調停、審判、損害賠償請求などが絡む場合に関与しやすい職種です。

紛争対応

司法書士

相続登記、不動産の名義変更、戸籍収集、裁判所提出書類作成、法定相続情報一覧図、預貯金手続などで関与しやすい職種です。

登記

社会福祉士

本人の生活、施設、介護、障害福祉サービス、地域支援との接続が中心課題である場合に関与しやすい職種です。

身上保護

税理士

相続税申告、所得税、財産評価、税務調査対応が必要な場合に関与します。成年後見人が別職種でも、税務部分を税理士に依頼する形が実務的なことがあります。

税務

法人後見

社会福祉協議会、専門職法人、NPO法人などが組織として後見事務を担い、担当者の死亡、病気、転居のリスクを抑えやすい形です。

継続支援

市民後見人

自治体等の養成講座などで成年後見制度に関する一定の知識や技術を身に付けた地域住民等が担う類型です。

地域支援

不動産が相続財産に含まれる場合、相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から原則3年以内に申請しないと、正当な理由がない場合に10万円以下の過料の対象となります。税務では、相続税申告期限が被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内である点にも注意が必要です。

Section 07

成年後見人の職務とできないこと

財産管理と身上保護の内容、相続で誤解されやすい限界を確認します。

成年後見人の職務は、大きく財産管理と身上保護に分かれます。本人の意思を尊重し、心身の状態や生活状況に配慮しながら、必要な代理行為を行い、財産を適正に管理します。

次の表は、成年後見人の主な職務を2つの軸で整理しています。相続の相談では、後見人に頼めることと頼めないことを混同しやすいため、どの行為が法律行為や財産管理に当たるかを読み取ることが重要です。

職務内容
財産管理預貯金管理、年金受領、公共料金支払、保険金請求、不動産管理、税金支払、相続手続などです。
身上保護介護サービス契約、施設入所契約、医療機関との入院契約、住まいの確保、生活環境整備などです。

成年後見人は、家族の代わりに何でもできる人ではありません。本人を直接介護すること、日々の身の回りの世話をすること、保証人になること、医療行為そのものに同意することなどは、成年後見人の当然の職務とはいえないと説明されています。

重要成年後見人を付ければ、すぐに相続人全員の都合のよい遺産分割ができるわけではありません。成年後見人は本人の利益を守る立場であり、他の相続人の希望や相続税対策を優先する立場ではありません。
Section 08

成年後見人の選任手続と必要書類

申立人、管轄、費用、書類、候補者が必ず選ばれるわけではない点を整理します。

成年後見人を選任してもらうには、家庭裁判所に後見開始の審判を申し立てる必要があります。後見開始を申し立てられる人には、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、保佐人、補助人、検察官などが含まれます。任意後見契約が登記されている場合には、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人も含まれます。

次の時系列は、成年後見人の選任までに確認する流れを示しています。相続税申告や相続登記の期限がある案件では、どの段階で時間を要するかを読み取り、早めに資料を整えることが重要です。

STEP 1

申立人と管轄を確認

申立先は本人の住所地を管轄する家庭裁判所です。四親等内の親族には、子、孫、親、兄弟姉妹、甥姪、叔父叔母、いとこなどが含まれ得ます。

STEP 2

費用と書類を準備

申立手数料、登記手数料、連絡用郵便切手、診断書、本人情報シート、財産資料、収支資料などを整えます。

STEP 3

調査や鑑定に対応

家庭裁判所調査官が申立人、本人、候補者等から事情を聴くことがあり、必要に応じて鑑定が行われます。

STEP 4

審判と後見事務の開始

家庭裁判所が本人に適切と考える成年後見人を選任し、選任後は財産目録や収支予定表の提出、定期報告が始まります。

次の表は、手続費用と鑑定に関する主な数字を整理しています。申立て自体の費用と、鑑定が行われる場合の負担は別に考える必要があるため、金額と割合の両方を確認することが重要です。

項目目安・内容
申立手数料800円とされています。
登記手数料2,600円とされています。
連絡用郵便切手家庭裁判所ごとの案内に従って準備します。
鑑定の実施割合成年後見関係事件の終局事件のうち約3.4%とされています。
鑑定費用鑑定を実施した事件の約85.8%で10万円以下とされています。

申立書には成年後見人候補者を記載できますが、家庭裁判所がその候補者を必ず選ぶわけではありません。さらに、候補者が選ばれそうにないからやめたいと考えても、申立ての取下げには家庭裁判所の許可が必要であり、そのような理由では原則として取下げは認められないと説明されています。

Section 09

相続で成年後見人が必要になる典型事例

遺産分割、相続税、相続登記、預貯金の使い込み疑いを中心に確認します。

相続では、本人が共同相続人である場合や本人財産を保全する必要がある場合に、成年後見人の選任が検討されます。手続期限や財産処分が絡むと、後見開始申立てと専門職相談を並行して進める必要があります。

次の一覧は、相続で成年後見人が必要になりやすい4つの場面を整理しています。それぞれ止まりやすい手続と注意すべき期限が異なるため、どの課題が先に問題になるかを読み取ることが重要です。

CASE 1

遺産分割協議に参加できない相続人がいる

共同相続人全員で協議する必要があるため、認知症などで協議の意味を理解できない相続人を除いて成立させることはできません。

CASE 2

相続税申告期限が迫っている

相続税の申告期限は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内です。未分割申告や特例適用の可否も同時に検討します。

CASE 3

相続登記義務化に対応する必要がある

相続登記は2024年4月1日から義務化され、原則3年以内の申請が求められます。正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となります。

CASE 4

預貯金の使い込み疑いがある

同居の子などが親の預金を管理していた場合、出金履歴、領収書、介護費用、生活費、贈与の有無などを整理する必要があります。

成年後見人が選任されても、本人に不利な遺産分割案を当然に受け入れることはできません。本人の法定相続分、居住利益、生活資金、介護費用、将来の財産管理を総合して判断する必要があります。

Section 10

成年後見人と後見監督人・複数後見・任意後見の関係

家族か専門職かの二択ではなく、本人の利益に合わせて関与を組み合わせます。

家族が完全に排除されるか、専門職だけが選ばれるかという二択ではありません。家庭裁判所は、本人の状況に応じて、家族後見人と専門職の関与を組み合わせることがあります。

次の一覧は、家族後見人を支える制度や、事前に家族を指定する制度を整理したものです。相続で利益相反や専門性がある場合でも、どの仕組みを使えば本人保護と家族の関与を両立しやすいかを読み取ることが重要です。

SUPPORT

後見監督人

成年後見人の事務を監督し、必要に応じて助言や指導を行います。不正防止だけでなく、不適切な後見事務を防ぐ支援役として期待されます。

MULTI

複数後見

必要があると認められるときは、成年後見人を複数選任できます。家族が生活面を担い、専門職が相続紛争や登記を担う役割分担が考えられます。

AGENT

特別代理人

後見人と本人の利益が相反する場合、原則として後見人に代わる代理者が必要になります。本人と後見人が共同相続人となる遺産分割協議が代表例です。

FUTURE

任意後見

本人に十分な判断能力があるうちに、公正証書で将来の任意後見人を決めておく制度です。効力発生には任意後見監督人の選任が必要です。

任意後見では、本人が契約相手を選べるため、信頼できる家族を将来の任意後見人として指定できます。ただし、本人が既に判断能力を失った後では、新たに有効な任意後見契約を結ぶことはできません。相続対策では、公正証書遺言、家族信託、死後事務委任契約、財産管理委任契約、見守り契約などを組み合わせることがあります。

Section 11

成年後見人の報酬と家族候補者の準備

専門職報酬の目安と、家族を候補者にしたい場合に整える資料を確認します。

成年後見人や後見監督人が専門職の場合、報酬が発生します。報酬は本人財産から支払われるのが通常で、後見人等が報酬を求める場合は家庭裁判所に報酬付与の申立てを行い、家庭裁判所が仕事の内容と本人の財産などを総合考慮して決定します。

次の表は、東京家庭裁判所の報酬額の目安を整理したものです。報酬は本人財産から支払われるため、管理財産額と事務内容に応じてどの程度の継続負担が生じるかを読み取ることが重要です。

対象管理財産額・事務内容月額の目安
成年後見人通常の後見事務2万円
成年後見人管理財産額が1,000万円を超え5,000万円以下3万円から4万円
成年後見人管理財産額が5,000万円を超える5万円から6万円
後見監督人管理財産額が5,000万円以下1万円から2万円
後見監督人管理財産額が5,000万円を超える2万5,000円から3万円

報酬は一律ではありません。相続紛争、不動産売却、訴訟対応、財産調査、税務対応などがある場合、付加報酬が認められることもあります。家族が後見人になる場合でも、報酬付与申立てをすれば報酬が認められる可能性がありますが、実際には無報酬で担う家族も多いと考えられます。

次の準備表は、家族を成年後見人候補者にしたい場合に、申立て前に整理しておきたい資料と説明を示しています。家庭裁判所は家族であることよりも本人の利益を守れるかを見ますので、各項目で何を示すべきかを読み取ることが重要です。

準備事項内容
本人の生活状況住所、施設、介護度、医療状況、日常支援者、本人の希望を整理します。
本人の財産状況預貯金、不動産、有価証券、保険、負債、年金、収支を整理します。
候補者の適格性職業、居住地、健康状態、時間的余裕、会計管理能力、支援実績を説明します。
親族の意見同意書、反対意見の有無、過去の紛争、連絡体制を確認します。
利益相反の有無遺産分割、贈与、貸借、共有不動産、同居による費用負担を整理します。
不正防止策通帳分離、領収書保管、定期報告、専門職相談、後見制度支援信託等を検討します。
専門職との連携弁護士、司法書士、税理士、社会福祉士等への相談状況を整理します。

親族間に対立がある場合は、反対する親族の主張を無視するのではなく、争点を整理する必要があります。使い込み疑いがあるなら出金履歴と使途を説明し、相続で利益相反があるなら特別代理人や後見監督人の必要性を前提に検討します。

Section 12

相続と成年後見人に関わる専門職の役割

成年後見人そのものに選任される職種と、周辺で支える職種を分けて見ます。

成年後見と相続が交差する案件では、複数の専門職が関与します。成年後見人そのものに選任される職種と、成年後見人を支える周辺職種を区別することが重要です。

次の表は、相続・成年後見に関わる専門職や関係者の役割をまとめたものです。どの職種がどの手続を扱うかを知ることで、成年後見人だけに負わせるべきでない課題を読み取れます。

専門職・関係者主な役割
弁護士相続人間の紛争、遺留分、預金使い込み疑い、寄与分、特別受益、遺産分割調停・審判、訴訟、損害賠償請求などを扱います。
司法書士相続登記、不動産名義変更、戸籍収集、登記申請、裁判所提出書類作成などに関与します。
税理士相続税申告、税務相談、税務代理、税務調査対応、財産評価、二次相続対策などを扱います。
行政書士争いがない相続案件の遺産分割協議書、相続人関係説明図、各種行政手続、遺言作成支援などで関与し得ます。
公証人公正証書遺言、任意後見契約公正証書、財産管理契約、死後事務委任契約などで関与します。
不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引士不動産評価、境界確認、測量、分筆、表示登記、不動産売却で関与します。
家庭裁判所関係者裁判官、裁判所書記官、家庭裁判所調査官、参与員等が手続に関与します。
金融機関、保険会社、社会保険労務士、医師預金払戻し、保険契約照会、遺族年金、障害年金、診断書、判断能力の確認などで関与します。

行政書士は紛争性のある交渉、訴訟、税務代理、登記申請を扱えないため、案件の性質に応じて弁護士、税理士、司法書士につなぐ判断が重要です。不動産を処分する場合は、本人の居住利益、売却の必要性、価格の相当性、家庭裁判所の許可の要否を慎重に検討します。

Section 13

成年後見人について相続でよくある誤解

個別事情で結論が変わる点を前提に、一般的な考え方を確認します。

長男だから当然に成年後見人になれますか

一般的には、長男であることだけで選任が保証されるわけではありません。家庭裁判所は本人の利益を基準に判断します。ただし、親族関係、支援実績、財産管理能力、兄弟姉妹の反対、利益相反の有無によって結論が変わる可能性があります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

家族全員が同意すれば家庭裁判所はその家族を選びますか

一般的には、家族全員の同意は重要な事情とされています。ただし、本人の意向、財産額、後見事務の専門性、不正防止の必要性によっては、専門職や監督人が選任される可能性があります。具体的な対応は、管轄家庭裁判所の案内や専門家の助言を確認する必要があります。

成年後見人を付ければ相続手続だけ終わらせて制度をやめられますか

一般的には、成年後見制度は相続手続や保険金受領など当初の目的を果たしただけで当然に終了する制度ではないとされています。本人が判断能力を回復するか死亡するまで制度利用が続くのが基本です。ただし、本人の状態や制度類型によって扱いは変わるため、具体的には家庭裁判所や専門家へ確認する必要があります。

専門職が選ばれると家族は何もできなくなりますか

一般的には、専門職後見人が選任されても、家族が本人の生活支援、面会、情報提供、福祉関係者との連携を行うことは重要とされています。ただし、財産管理や法律行為の権限、本人情報の共有範囲は状況によって変わります。具体的な関わり方は、後見人や関係機関と確認する必要があります。

成年後見人は医療同意や身元保証もすべてできますか

一般的には、成年後見人は医療契約や入院契約など法律行為に関与し得ますが、医療行為そのものへの同意権を当然に持つわけではないとされています。直接介護、身元保証、医療同意を一括して成年後見人に求める実務には限界があります。医療や施設対応の具体的な扱いは、医療機関、施設、専門家に確認する必要があります。

Section 14

成年後見人には誰がなれるかの結論

家族か専門職かではなく、本人の利益を中心に組み合わせて考えます。

成年後見人には、家族も専門職も法人もなり得ます。しかし、誰を成年後見人にするかは、申立人や相続人が自由に決めるのではなく、家庭裁判所が本人の利益を基準に決めます。

家族が候補者になっても、欠格事由、親族間対立、本人の反対、候補者の健康・多忙・事務能力への不安、本人財産を投資等に利用する目的への疑い、相続上の利益相反、専門性の高い課題がある場合には、家族が選任されないことがあります。

次のまとめは、判断の中心となる考え方を短く整理したものです。相続案件では家族の希望だけでなく、本人の利益、期限、財産管理、専門性を同時に読む必要があります。

家族は成年後見人になり得ますが、必ず選ばれるわけではありません

家庭裁判所は、本人の利益、候補者の適格性、利害関係、相続上の利益相反、専門性、不正防止の必要性を総合して判断します。家族、専門職、後見監督人、特別代理人を本人のために組み合わせる発想が重要です。

Reference

参考資料

公的資料、法令、裁判所資料を中心に整理しています。

公的資料・法令

  • 裁判所「裁判手続 家事事件Q&A」
  • 裁判所「成年被後見人・被保佐人・被補助人が相続人である場合の特別代理人等の選任」
  • 厚生労働省「成年後見はやわかり」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 法務省「任意後見制度に関するQ&A」

家庭裁判所・統計資料

  • 最高裁判所事務総局家庭局「成年後見関係事件の概況」
  • 宇都宮家庭裁判所「成年後見等申立ての手引」
  • 東京家庭裁判所後見センター「後見センターレポート 成年後見人の選任について」
  • 京都家庭裁判所「後見人等の職務 Q&A」
  • 裁判所「後見開始」
  • 東京家庭裁判所後見センター「後見センターレポート 成年後見監督人の選任について」
  • 東京家庭裁判所「成年後見人等の報酬額のめやす」