2σ Guide

法定後見の申立てができる人の範囲
四親等内の親族とは

相続手続で判断能力が低下した家族が相続人になっている場合に、誰が法定後見を申し立てられるのか、親族の範囲、必要資料、相続期限との関係を整理します。

四親等 血族の申立人範囲
3か月 相続放棄の原則期間
10か月 相続税申告の原則期限
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法定後見の申立てができる人の範囲 四親等内の親族とは

本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長などの位置づけを確認します。

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法定後見の申立てができる人の範囲 四親等内の親族とは
本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長などの位置づけを確認します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 法定後見の申立てができる人の範囲 四親等内の親族とは
  • 本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長などの位置づけを確認します。

POINT 1

  • 法定後見の申立てができる人の範囲を先に整理する
  • 本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長などの位置づけを確認します。
  • 法定後見は相続手続の代行制度ではなく、本人の権利擁護制度です
  • 法定後見の申立てができる人は、民法や関係法令で限定されています。
  • 実務で特に問題になりやすいのは、本人、配偶者、四親等内の親族、一定の場合の市町村長です。

POINT 2

  • 法定後見の申立て前に知る制度の全体像
  • 遺産分割協議
  • 共同相続人の一人が協議内容を理解し、自分にとっての利害を判断することが難しい場合です。
  • 預貯金や生活費
  • 本人名義の預貯金を医療費、施設費、生活費に使う必要があるのに、本人が有効に手続できない場合です。

POINT 3

  • 法定後見の申立てができる人の範囲
  • 1. 本人保護の必要性を整理:生活、医療、財産管理、相続期限の問題を確認します。
  • 2. 本人、配偶者、四親等内親族が申立てできるか:戸籍関係と連絡可能性を確認します。
  • 3. 市区町村や地域包括支援センターへ共有:市町村長申立てや福祉支援の検討につなげます。
  • 4. 親族申立ての準備へ進む:診断書、本人情報シート、財産資料を整えます。

POINT 4

  • 四親等内の親族とは何か ― 血族と姻族の違い
  • いとこ、甥姪、配偶者側の親族、養子、連れ子を整理します。
  • 配偶者には親等がない
  • 養子、連れ子、再婚家庭では戸籍確認が重要
  • 離婚、死亡、姻族関係終了届の影響

POINT 5

  • 相続で法定後見の申立人を誰にするか
  • 1. 判断能力と申立人資格を確認:本人が相続人か、受遺者か、遺留分権利者かを確認し、戸籍と診断書の準備を始めます。
  • 2. 相続放棄や限定承認の検討:借金や保証債務がある場合、熟慮期間伸長の申立ても含めて早期に検討します。
  • 3. 家庭裁判所の審理:鑑定が必要になる場合はさらに時間を要することがあります。
  • 4. 相続税申告:遺産分割がまとまらない場合でも、申告期限そのものが当然に延びるわけではありません。
  • 5. 相続登記:不動産を取得した相続人には、相続登記の期限管理が必要です。

POINT 6

  • 法定後見の申立てに必要な資料と戸籍・診断書の準備
  • 裁判所資料に加えて、相続案件で追加確認されやすい資料を整理します。
  • 後見申立てと相続手続は資料が重なる一方で目的が異なるため、本人固有の財産、遺産、相続人資格を分けて読み取ることが重要です。
  • 資料の精度は家庭裁判所の審理や後見開始後の報告に影響するため、誰が何を確認するかを読み取ってください。
  • 兄弟姉妹、甥姪、いとこなど横の関係では、本人の戸籍だけで足りず、共通の祖先までさかのぼる戸籍が必要になることがあります。

POINT 7

  • 申立人と後見人は別 ― 法定後見で誰が選任されるか
  • 1. 本人が相続人になっている:遺産分割、相続放棄、財産取得の判断が必要です。
  • 2. 候補者も同じ相続の相続人か:取得分が増減する関係があるか確認します。
  • 3. 利益相反を確認:特別代理人等や監督人による代理が必要になる可能性があります。
  • 4. 候補者適格性を整理:財産管理能力、本人との関係、継続可能性を説明します。

POINT 8

  • 相続で法定後見を使うときの注意点
  • 遺産分割、相続放棄、不動産、相続登記、相続税申告の論点です。
  • 居住用不動産の処分
  • 相続登記義務化との関係
  • 相続税申告との関係

まとめ

  • 法定後見の申立てができる人の範囲 四親等内の親族とは
  • 法定後見の申立てができる人の範囲を先に整理する:本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長などの位置づけを確認します。
  • 法定後見の申立て前に知る制度の全体像:後見、保佐、補助の違いと、相続で制度利用が問題になる場面です。
  • 法定後見の申立てができる人の範囲:申立権者と、相談から申立てにつなげる人を分けて確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

法定後見の申立てができる人の範囲を先に整理する

本人、配偶者、四親等内の親族、市町村長などの位置づけを確認します。

法定後見の申立てができる人は、民法や関係法令で限定されています。実務で特に問題になりやすいのは、本人、配偶者、四親等内の親族、一定の場合の市町村長です。任意後見契約が登記されている場合には、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人が申立てを検討する場面もあります。

相続で重要なのは、四親等内の親族という言葉を日常語の親戚一般として扱わないことです。民法上の親族は、六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族を指します。そのため、法定後見申立てでは、四親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族が中心になります。

重要いとこは四親等の血族として申立人になり得ます。一方、配偶者のいとこや、いとこの配偶者は四親等の姻族であり、民法上の親族に含まれないため、原則として四親等内の親族としては扱われません。

次の重要ポイントは、申立人になれることと、成年後見人等に選任されることが別である点です。家庭裁判所は、本人の利益、財産内容、親族間の対立、候補者の適格性、専門職の関与の必要性などを総合して後見人等を選任します。

このページ全体の要点は、申立人の範囲、親等の数え方、相続期限、利益相反、必要資料の関係です。全体像を把握することは、誤った署名押印や無理な遺産分割を避けるために重要で、どの段階で家庭裁判所や専門家に確認すべきかを読み取れます。

法定後見は相続手続の代行制度ではなく、本人の権利擁護制度です

遺産分割、預貯金解約、不動産売却、相続税申告などの必要があっても、制度の中心は本人の生活と財産を守ることです。相続を急ぐ場面ほど、この前提を外さずに準備する必要があります。

Section 01

法定後見の申立て前に知る制度の全体像

後見、保佐、補助の違いと、相続で制度利用が問題になる場面です。

成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などにより物事を判断する能力が十分ではない方について、本人の権利を守る人を選び、法律的に支援する制度です。法定後見には、本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助の三類型があります。

次の比較一覧は、後見、保佐、補助がどのような判断能力の状態を前提にするかを整理したものです。制度選択は本人の権利や日常生活に大きく影響するため、どの類型が近いのか、診断書だけでなく生活状況も合わせて見る必要があることを読み取ってください。

後見

判断能力が欠けているのが通常の状態

包括的な代理権が問題になります。相続実務では、遺産分割や相続放棄などを本人に代わって進める必要がある場面で検討されます。

保佐

判断能力が著しく不十分

重要な財産行為について同意権や代理権が問題になります。本人が一定の判断をできる場合でも、相続上の重要判断では支援が必要になることがあります。

補助

判断能力が不十分

本人の自己決定を尊重しながら、必要な範囲の同意権や代理権を設計します。補助開始や代理権付与では本人同意が特に重要になる場面があります。

相続で法定後見が問題になる場面は、財産処理だけではなく、本人の生活、医療、介護、将来費用と結びつきます。次の一覧は、制度利用が検討されやすい場面を整理したものです。どの問題が本人の権利保護に直結するかを読み取り、単なる相続手続の都合だけで判断しないことが重要です。

遺産分割協議

共同相続人の一人が協議内容を理解し、自分にとっての利害を判断することが難しい場合です。

預貯金や生活費

本人名義の預貯金を医療費、施設費、生活費に使う必要があるのに、本人が有効に手続できない場合です。

相続放棄や限定承認

本人が相続人となり、承認、放棄、限定承認の判断が必要になる場合です。

居住用不動産

本人の居住用不動産を売却、賃貸、取り壊しなどする必要がある場合です。

期限のある手続

相続税申告、不動産登記、金融機関手続の期限が迫っている場合です。

親族間の争い

使い込み疑い、寄与分、特別受益、遺留分、遺言の有効性などが争点になる場合です。

注意法定後見は、預貯金の解約や遺産分割が終わったら自由に終了できる制度ではありません。本人の能力が回復するか、本人が亡くなるまで続く可能性があるため、申立て前に継続的な報告、財産管理、報酬、家庭裁判所の監督も確認する必要があります。
Section 02

法定後見の申立てができる人の範囲

申立権者と、相談から申立てにつなげる人を分けて確認します。

後見開始の申立てができる人は法律で定められています。次の表は、裁判所の後見開始手続で示される主な申立人と実務上の注意点を整理したものです。誰が家庭裁判所に申立てできるのかを確認することは、戸籍収集や市町村長申立ての検討順序を決めるうえで重要です。

区分申立ての可否実務上のポイント
本人可能判断能力が低下していても、申立て意思を確認できる場合があります。補助では本人同意が特に重要です。
配偶者可能法律上の婚姻関係にある夫または妻です。内縁配偶者は原則として配偶者には当たりません。
四親等内の親族可能子、親、兄弟姉妹、甥姪、おじおば、いとこなどです。姻族は三親等内までが民法上の親族である点に注意します。
未成年後見人等可能本人が未成年後見制度と関係する場合に問題になります。
保佐人、補助人、監督人等可能既に保佐や補助がある場合に、後見への移行や権限変更で問題になります。
検察官可能実務上は多くありませんが、公益的観点から申立権があります。
任意後見受任者等一定の場合に可能任意後見契約が登記されている場合に、任意後見受任者、任意後見人、任意後見監督人が問題になります。
市町村長一定の場合に可能身寄りがない、親族が関与しない、虐待や権利侵害の危険がある場合などに検討されます。

申立ては、本人の住所地を管轄する家庭裁判所に対して行います。住所地は住民票だけでなく、施設入所、長期入院、生活の本拠との関係で確認が必要になることがあります。

保佐開始、補助開始でも基本構造は近い

保佐や補助でも、本人、配偶者、四親等内の親族、一定の法定代理人、監督人、検察官などが中心です。ただし、補助開始の審判、保佐人への代理権付与、補助人への同意権や代理権付与では、本人の同意が必要になる場面があります。

市町村長申立てが検討される場面

本人を保護する必要があるにもかかわらず、本人、配偶者、四親等内の親族による申立てが期待できないことがあります。親族がいない、長年疎遠で連絡が取れない、親族による虐待や財産侵害の疑いがある、親族が協力しないといった場合には、市町村長申立てが検討されます。

次の判断の流れは、申立権者がすぐに見つからないときに確認する順番を表します。本人保護の必要性を放置しないために重要で、親族申立て、市町村長申立て、福祉機関への相談のどこにつなげるかを読み取れます。

申立てにつなげる確認順序

本人保護の必要性を整理

生活、医療、財産管理、相続期限の問題を確認します。

本人、配偶者、四親等内親族が申立てできるか

戸籍関係と連絡可能性を確認します。

困難
市区町村や地域包括支援センターへ共有

市町村長申立てや福祉支援の検討につなげます。

可能
親族申立ての準備へ進む

診断書、本人情報シート、財産資料を整えます。

申立権者でない人も、制度利用の必要性を相談することはできます。近隣住民、介護事業者、施設職員、ケアマネジャー、金融機関担当者、内縁配偶者、友人、遠い親族などは、本人のプライバシーを尊重しながら、事実関係、緊急性、生活上の困りごと、財産保全の必要性を整理することが大切です。

Section 03

四親等内の親族とは何か ― 血族と姻族の違い

いとこ、甥姪、配偶者側の親族、養子、連れ子を整理します。

四親等内の親族を理解するには、親族、血族、姻族、親等を分けて考える必要があります。親族は民法上、六親等内の血族、配偶者、三親等内の姻族を指します。血族は血縁や養子縁組による関係、姻族は婚姻により生じる配偶者側の親族関係です。

次の表は、血族について本人から見た相手と親等、申立ての可否を整理したものです。親等の数え方は申立人資格の核心になるため、いとこまでが四親等内に入り、いとこの子やはとこは原則として範囲外になることを読み取ってください。

本人から見た相手血族の親等申立ての可否
父母、子一親等可能
祖父母、孫、兄弟姉妹二親等可能
曾祖父母、ひ孫、おじ、おば、甥、姪三親等可能
高祖父母、玄孫、いとこ、兄弟姉妹の孫、祖父母の兄弟姉妹四親等可能
いとこの子五親等原則不可
はとこ六親等原則不可

次の表は、姻族について本人から見た相手、親等、民法上の親族に含まれるかを整理したものです。四親等内という表現だけを見ると広く感じますが、姻族は三親等内までが民法上の親族なので、配偶者のいとこやいとこの配偶者が原則として外れる点を読み取ることが重要です。

本人から見た相手姻族の親等民法上の親族か申立ての可否
配偶者の父母、子の配偶者一親等姻族はい可能
配偶者の祖父母、配偶者の兄弟姉妹、孫の配偶者二親等姻族はい可能
配偶者のおじ、おば、配偶者の甥、姪、甥姪の配偶者三親等姻族はい可能
配偶者のいとこ、いとこの配偶者四親等姻族いいえ原則不可

配偶者には親等がない

配偶者は民法上の親族に含まれますが、親等はありません。申立人を列挙する条文や裁判所案内でも、本人、配偶者、四親等内の親族というように独立して掲げられています。ここでいう配偶者は法律上の婚姻関係にある夫または妻です。

養子、連れ子、再婚家庭では戸籍確認が重要

養子縁組が成立している場合、養親と養子の間には法律上の親子関係が生じ、養子は一親等の血族として申立てができます。一方、再婚相手の連れ子であっても養子縁組をしていない場合、本人との間に法律上の親子関係はありません。生活実態と法律上の親族関係が一致しないことがあるため、申立ての可否は戸籍で確認します。

離婚、死亡、姻族関係終了届の影響

婚姻によって生じた姻族関係は、離婚により終了します。配偶者が死亡した場合、姻族関係は当然には終了しませんが、生存配偶者が姻族関係終了届を出すと、死亡した配偶者の血族との姻族関係が終了します。

Section 04

相続で法定後見の申立人を誰にするか

申立人選び、候補者、本人意思、期限を一体で検討します。

四親等内の親族が複数いる場合、誰が申立人になるかは単なる名義選びではありません。申立人は、申立書、戸籍、診断書、本人情報シート、財産資料、収支資料を集め、家庭裁判所からの照会や事情聴取に対応します。

次の一覧は、相続で申立人を選ぶときに見るべき要素を整理したものです。申立人の選び方は他の親族の警戒感や利益相反の見え方にも影響するため、本人に近いかだけでなく、中立性や資料収集能力も読み取る必要があります。

本人との関係

本人の生活歴、意向、家族関係を説明できるかを確認します。

中立性

相続上の利害が強すぎると、他の相続人から警戒されやすくなります。

資料収集能力

戸籍、財産資料、医療福祉資料を正確に集められるかが重要です。

裁判所対応力

照会、事情説明、候補者情報の整理に対応できるかを見ます。

利益相反の有無

本人と候補者が共同相続人の場合、遺産分割で別途代理人が必要になる可能性があります。

継続可能性

後見等は長く続く可能性があり、申立て後の負担も見込む必要があります。

候補者は必ず選ばれるわけではない

申立書には成年後見人等候補者を記載することがあります。しかし、候補者として記載した人が必ず選任されるわけではありません。家庭裁判所は、専門職後見人、監督人、複数後見人、後見制度支援信託、後見制度支援預貯金などを検討することがあります。

本人の意思確認

成年後見制度の利用では、本人の自己決定尊重が重要です。後見類型でも、本人の生活歴、意向、価値観、家族関係を無視してよいわけではありません。保佐や補助では、本人同意が必要になる場面がさらに重要になります。

次の時系列は、相続期限と法定後見申立ての準備を並べて見たものです。期限がある手続は後見申立ての進行を待ってくれないことがあるため、どの期限が先に来るか、どの専門職に早く確認するかを読み取ってください。

相続開始後すぐ

判断能力と申立人資格を確認

本人が相続人か、受遺者か、遺留分権利者かを確認し、戸籍と診断書の準備を始めます。

原則3か月以内

相続放棄や限定承認の検討

借金や保証債務がある場合、熟慮期間伸長の申立ても含めて早期に検討します。

申立てからおおむね1から2か月程度

家庭裁判所の審理

鑑定が必要になる場合はさらに時間を要することがあります。

原則10か月以内

相続税申告

遺産分割がまとまらない場合でも、申告期限そのものが当然に延びるわけではありません。

取得を知った日から3年以内

相続登記

不動産を取得した相続人には、相続登記の期限管理が必要です。

Section 05

法定後見の申立てに必要な資料と戸籍・診断書の準備

裁判所資料に加えて、相続案件で追加確認されやすい資料を整理します。

裁判所の後見開始案内では、本人の戸籍謄本、住民票または戸籍附票、後見人候補者の住民票または戸籍附票、本人の診断書、本人情報シート写し、健康状態に関する資料、成年後見等の登記がされていないことの証明書、本人の財産や収支に関する資料などが示されています。

次の表は、相続案件で追加して必要になりやすい資料と用途を整理したものです。後見申立てと相続手続は資料が重なる一方で目的が異なるため、本人固有の財産、遺産、相続人資格を分けて読み取ることが重要です。

資料主な用途
被相続人の出生から死亡までの戸籍相続人確定、遺産分割、相続登記、金融機関手続に使います。
相続人全員の戸籍、住民票相続関係と申立人資格を確認します。
遺言書遺産分割の要否、遺言執行、遺留分問題を確認します。
固定資産評価証明書、登記事項証明書不動産の把握、相続登記、居住用不動産処分許可の検討に使います。
預貯金通帳、残高証明書本人財産、遺産、使い込み疑いを確認します。
有価証券、保険、負債資料相続税、遺産分割、財産管理の判断材料になります。
介護保険、医療、施設資料本人の身上保護、生活状況、収支見通しを説明します。
親族関係説明図四親等内親族の整理と相続関係の可視化に使います。
遺産分割協議書案利益相反、本人の取得分、特別代理人の必要性を確認します。

次の一覧は、戸籍、診断書、本人情報シート、財産目録を準備するときの確認先を整理したものです。資料の精度は家庭裁判所の審理や後見開始後の報告に影響するため、誰が何を確認するかを読み取ってください。

戸籍収集

兄弟姉妹、甥姪、いとこなど横の関係では、本人の戸籍だけで足りず、共通の祖先までさかのぼる戸籍が必要になることがあります。

親族関係

診断書

本人の判断能力が後見、保佐、補助のどの類型に近いかを判断する重要資料です。生活状況と合わせて見られます。

判断能力

本人情報シート

福祉関係者などが日常生活、意思表示、金銭管理、支援状況を記載します。相続問題だけでなく生活全体を説明します。

生活状況

財産目録と収支予定表

本人固有の財産と被相続人の遺産を分け、預金、保険、不動産、有価証券、負債、未払費用を整理します。

混同注意
注意相続人であるかどうかと、四親等内の親族として申立てできるかは一致しません。いとこは通常の法定相続人ではありませんが、四親等血族として申立人になり得ます。配偶者は常に相続人ですが、親等はありません。
Section 06

申立人と後見人は別 ― 法定後見で誰が選任されるか

親族後見人、専門職後見人、監督人、支援信託の考え方です。

成年後見人等は、家庭裁判所が本人のために必要な保護や支援の内容を踏まえて選任します。申立人や親族が特定の候補者を希望しても、家庭裁判所が希望どおりの人を選任するとは限りません。

次の比較表は、親族後見人が適しやすい場合と、専門職後見人が選ばれやすい場合を並べたものです。選任の見通しは本人の財産保護や相続紛争への対応に直結するため、どの事情が専門職関与につながりやすいかを読み取ってください。

類型適しやすい場面注意点
親族後見人本人との関係が良好、財産が比較的単純、親族間に対立がない、本人の生活状況をよく知っている場合です。家族でも本人財産を自由に使えるわけではなく、分別管理、領収書や通帳の保管、定期報告が必要です。
専門職後見人相続人間で紛争がある、利益相反がある、遺留分、使い込み、遺言無効、寄与分、特別受益などの争点がある場合です。弁護士、司法書士、社会福祉士などが事案に応じて選任されることがあります。
後見監督人本人財産の保護を強める必要がある場合です。後見人の事務を監督し、一定の場面で同意や確認を行います。
複数後見人財産管理と身上保護を分ける必要がある場合です。親族が生活支援を担い、専門職が財産管理や相続紛争対応を担う形もあります。
後見制度支援信託等財産が多額で、日常的に使う金銭と通常使わない金銭を分ける必要がある場合です。信託銀行等や特定の預貯金口座で管理する仕組みが検討されます。

次の判断の流れは、本人と候補者が共同相続人である場合に、利益相反の確認がどこで必要になるかを示しています。候補者選びは遺産分割の有効性に影響するため、特別代理人等が必要になり得る場面を読み取ってください。

共同相続人が候補者になる場合の確認

本人が相続人になっている

遺産分割、相続放棄、財産取得の判断が必要です。

候補者も同じ相続の相続人か

取得分が増減する関係があるか確認します。

はい
利益相反を確認

特別代理人等や監督人による代理が必要になる可能性があります。

いいえ
候補者適格性を整理

財産管理能力、本人との関係、継続可能性を説明します。

Section 07

相続で法定後見を使うときの注意点

遺産分割、相続放棄、不動産、相続登記、相続税申告の論点です。

遺産分割協議は、相続人全員が参加して合意する法律行為です。相続人の一人に判断能力が不十分な人がいる場合、その人が協議内容を理解し、自分にとっての損得や将来生活への影響を判断できるかが問題になります。

次の表は、相続実務で法定後見と結びつきやすい論点を整理したものです。各項目は手続の有効性、本人保護、期限管理に影響するため、どの論点が自分の相続手続に関係するかを読み取ってください。

論点注意すべき内容確認先の例
遺産分割協議と判断能力判断能力に疑義がある人を形式的に参加させても、後に有効性が争われる可能性があります。医師、家庭裁判所、弁護士、司法書士
共同相続人との利益相反本人と後見人候補者が同じ相続の共同相続人である場合、別の代理人が必要になる可能性があります。家庭裁判所、弁護士、司法書士
法定相続分を下回る分割後見人等は本人の利益を守る立場です。合理的理由なく本人の取得分を大きく下げる内容は慎重に扱われます。弁護士、後見人等、税理士
相続放棄、限定承認、単純承認借金や保証債務がある場合、熟慮期間との関係で早期検討が必要です。弁護士、家庭裁判所
居住用不動産の処分本人の居住用不動産を売却、賃貸、取り壊し等するには家庭裁判所の許可が必要です。家庭裁判所、弁護士、司法書士、不動産専門職
相続登記義務化2024年4月1日から相続登記が義務化され、不動産取得を知った日から3年以内の登記が問題になります。司法書士、法務局
相続税申告被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内が原則で、未分割でも期限管理が必要です。税理士、弁護士、後見人等

居住用不動産の処分

成年後見人等が本人に代わって本人の居住用不動産を処分するには、家庭裁判所の許可が必要です。現在住んでいる不動産だけでなく、施設入所前に住んでいた不動産や将来居住する可能性がある不動産も問題になることがあります。許可を得ない処分は無効となります。

相続登記義務化との関係

判断能力が不十分な相続人がいるため遺産分割が進まない場合でも、相続登記の期限管理を放置することはできません。相続人申告登記、法定相続分による登記、遺産分割後の登記、後見申立ての進行状況を踏まえて整理します。

相続税申告との関係

遺産分割がまとまっていない場合でも、申告期限が当然に延びるわけではありません。未分割の状態で申告し、その後に修正申告や更正の請求を検討することがあります。小規模宅地等の特例、配偶者の税額軽減、分割見込書、延納、物納、税務調査リスクも合わせて確認します。

Section 08

法定後見の申立てで連携する専門職と役割

相続、登記、税務、不動産、福祉、家庭裁判所手続を分けて考えます。

相続と法定後見が重なる案件では、専門職の役割を混同しないことが重要です。代理交渉、登記、税務、書類整理、不動産評価、福祉連携は担当領域が異なるため、次の一覧から、どの課題をどの専門職に確認するかを読み取ってください。

弁護士

相続人間の対立、遺留分、使い込み疑い、遺言無効、寄与分、特別受益、相続放棄、遺産分割調停、審判、訴訟に関わります。

紛争対応

司法書士

相続登記、不動産の名義変更、戸籍収集、相続関係説明図、裁判所提出書類作成、後見登記関連手続で関与します。

登記書類

税理士

相続税申告、未分割申告、分割後の更正の請求、修正申告、税務調査対応を設計します。

税務期限

行政書士

紛争、税務、登記申請を除く範囲で、遺産分割協議書、相続関係説明図、行政手続書類の整理に関与します。

範囲確認

公証人、遺言執行者、信託銀行等

公正証書遺言、任意後見契約、遺言執行、相続手続支援などで関与します。紛争性が高い案件では弁護士の関与も検討されます。

生前対策

不動産専門職

不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引士などが、評価、境界、分筆、売却、賃貸、共有解消を支援します。

不動産

福祉関係者

地域包括支援センター、市区町村、社会福祉協議会、介護事業者などが、本人の生活支援や市町村長申立てにつながる情報整理を担います。

生活支援

家庭裁判所関係者

裁判官、書記官、家庭裁判所調査官が、後見開始、候補者の適格性、本人の状況、居住用不動産処分許可などを扱います。

審理監督
Section 09

法定後見の申立て前チェックリスト

申立人資格、本人の判断能力、相続手続、財産管理、専門家連携を確認します。

次の確認一覧は、申立て前に漏れやすい項目を分野ごとにまとめたものです。チェック漏れは家庭裁判所の審理、相続期限、本人財産の保全に影響するため、各項目の有無を読み取りながら資料を整理してください。

確認1

申立人資格

  • 本人との関係が申立権者に当たるか
  • 血族か姻族かを区別したか
  • 姻族は三親等内か
  • 戸籍で証明できるか
  • 離婚、養子縁組、認知、死亡、姻族関係終了届の影響を確認したか
確認2

本人の判断能力

  • 後見、保佐、補助のどの類型が相当か
  • 医師の診断書を取得できるか
  • 本人情報シートを作成できる支援者がいるか
  • 本人の意思や希望を確認したか
  • 本人同意が必要な場面を確認したか
確認3

相続手続

  • 本人が相続人、受遺者、遺留分権利者か
  • 遺産分割協議が必要か
  • 相続放棄や限定承認の期限があるか
  • 相続税申告期限が迫っていないか
  • 相続登記の期限を管理しているか
  • 居住用不動産処分許可が必要か
  • 候補者と本人に利益相反がないか
確認4

財産管理と争い

  • 本人固有の財産と相続財産を分けたか
  • 預貯金、有価証券、不動産、保険、負債を確認したか
  • 使い込み疑い、贈与、貸付、名義預金の問題があるか
  • 親族間に対立があるか
  • 専門職後見人や後見監督人が必要になりそうか
確認5

専門家連携

  • 紛争がある場合、弁護士へ相談したか
  • 不動産がある場合、司法書士や不動産専門職へ確認したか
  • 相続税の可能性がある場合、税理士へ確認したか
  • 争いのない書類整理では、行政書士の役割を確認したか
  • 福祉支援が必要な場合、市区町村や地域包括支援センターと連携したか
Section 10

法定後見の申立てに関するよくある質問

個別事情で結論が変わりやすい点を、一般情報として整理します。

いとこは申立てできますか

一般的には、いとこは四親等の血族であり、本人との関係が戸籍で確認できれば四親等内の親族として申立人に含まれるとされています。ただし、戸籍関係や親族関係の変動によって確認事項が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

甥、姪は申立てできますか

一般的には、甥、姪は三親等の血族なので申立人に含まれるとされています。ただし、本人財産の管理状況、他の親族との関係、相続上の利害によって裁判所への説明内容は変わる可能性があります。具体的には、戸籍や財産資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

内縁の夫や妻は申立てできますか

一般的には、内縁の夫や妻は法律上の配偶者ではないため、配偶者としての申立権は原則として認められないとされています。ただし、本人保護の必要性がある場合には、本人申立て、四親等内親族の協力、市町村長申立てなど別の方法が問題になります。具体的な見通しは、関係資料を確認して専門家や自治体に相談する必要があります。

申立人になれば後見人になれますか

一般的には、申立人資格と後見人への選任は別の問題とされています。家庭裁判所は本人の利益を基準に、財産内容、親族間の対立、利益相反、候補者の適格性を見て判断します。具体的な選任見通しは事案ごとに異なるため、資料を整理して専門家へ相談する必要があります。

相続人でなければ申立てできませんか

一般的には、相続人であることは申立人資格の要件ではないとされています。四親等内の親族であれば、通常の法定相続人でなくても申立人に含まれる場合があります。ただし、戸籍上の関係や他の申立権者の状況によって確認事項が変わるため、具体的には専門家へ相談する必要があります。

申立て後に取り下げられますか

一般的には、後見、保佐、補助開始等の申立書を提出した後は、家庭裁判所の許可を得なければ取り下げられないと説明されています。ただし、許可の有無や判断は個別事情によって変わる可能性があります。具体的な対応方針は、家庭裁判所や専門家へ確認する必要があります。

後見が始まれば親族は本人の財産を見られますか

一般的には、後見が始まっても、親族だから当然に本人の財産資料や裁判所記録を自由に見られるわけではないとされています。後見人には財産管理の権限と責任がありますが、本人のプライバシー保護も重要です。情報共有の範囲は、親族関係や紛争状況によって変わる可能性があります。

認知症の親に遺産分割協議書へ署名してもらってよいですか

一般的には、協議内容を理解し、自分にとっての利害を判断できる能力が問題になるとされています。単に署名できる、名前を書ける、印鑑を押せるというだけでは十分でない可能性があります。判断能力に疑いがある場合は、後に協議の有効性が争われることがあるため、医師、家庭裁判所、弁護士等へ相談する必要があります。

Section 11

法定後見の申立ては本人保護を軸に相続期限と調整する

誰が申し立てるか、誰を候補者にするか、開始後に何が続くかを早めに確認します。

法定後見の申立てができる人の範囲は、相続実務に直結します。本人の判断能力が低下している場合、遺産分割協議、相続放棄、預貯金解約、不動産売却、相続税申告、相続登記は、本人保護を抜きにして進めることができません。

次の重要ポイントは、このページで整理した結論をまとめたものです。申立人資格だけでなく、後見人選任、利益相反、相続期限を一体で見ることが重要で、早期にどの資料をそろえ、どの専門職へ確認するかを読み取ってください。

四親等内の親族とは、日常語ではなく民法上の親族概念で判断します

血族は四親等内まで、配偶者は独立した申立権者、姻族は三親等内までが中心です。申立人になることと後見人に選ばれることは別であり、相続紛争、利益相反、不動産処分、税務期限が絡むほど専門職連携が重要になります。

2026年4月3日には、成年後見および遺言の制度を利用しやすくする観点から、民法等の一部を改正する法律案が国会に提出されています。制度改正が成立、施行される場合には、後見、保佐、補助の体系、申立権者、本人同意、任意後見との関係、相続実務への影響を確認する必要があります。

Reference

参考条文と公的情報源

法令や制度は変わることがあるため、実際の手続では公的情報の最新版も確認してください。

成年後見制度

  • 裁判所「後見開始」
  • 裁判所「成年後見制度(後見・保佐・補助)の概要を知りたい方へ」
  • 法務省「成年後見制度・成年後見登記制度 Q&A」
  • 法テラス「成年後見の申立てができるのは誰ですか。」
  • e-Gov法令検索「民法」

相続手続と財産処分

  • 裁判所「成年被後見人等の居住用不動産の処分についての許可」
  • 裁判所「成年被後見人等に関する特別代理人等選任」
  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」
  • 国税庁「相続税の申告と納税」
  • 国税庁「相続財産が分割されていないときの申告」

制度改正情報

  • 内閣法制局「民法等の一部を改正する法律案」