2σ Guide

NISA口座で保有していた株式を相続した場合
非課税枠はどうなるか

NISA口座内の株式は相続財産になりますが、被相続人の非課税枠や非課税の地位は相続人に移りません。死亡時までの含み益、死亡後の損益、相続税評価、証券口座の手続を切り分けて整理します。

不可 非課税枠の承継
1,800万円 新NISA総枠
10か月 相続税申告期限
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NISA口座で保有していた株式を相続した場合 非課税枠はどうなるか

NISA口座内の株式は相続財産になりますが、被相続人の非課税枠や非課税の地位は相続人に移りません。

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NISA口座で保有していた株式を相続した場合 非課税枠は
どうなるか
NISA口座内の株式は相続財産になりますが、被相続人の非課税枠や非課税の地位は相続人に移りません。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • NISA口座で保有していた株式を相続した場合 非課税枠はどうなるか
  • NISA口座内の株式は相続財産になりますが、被相続人の非課税枠や非課税の地位は相続人に移りません。

POINT 1

  • NISA口座で保有していた株式を相続した場合の結論
  • 非課税枠は引き継がれず、株式だけが課税口座へ移る点を最初に押さえます。
  • NISA口座で保有していた株式を相続した場合、被相続人が使っていたNISAの非課税枠は相続人に引き継がれません。
  • 非課税口座内の上場株式等は死亡時に払い出され、死亡日の終値に相当する金額で売却したものとみなされます。
  • そのため、死亡時までの含み益はNISAの非課税措置の対象になります。

POINT 2

  • NISA口座で保有していた株式を相続する前に知る用語
  • NISA、非課税枠、被相続人、相続人、課税口座を分けて考えます。
  • NISAとは何か
  • 被相続人、相続人、特定口座、一般口座
  • NISAは、少額投資非課税制度の通称です。

POINT 3

  • NISA口座で保有していた株式を相続しても非課税枠は移らない
  • 相続人のNISA枠が増えるわけでも、受入れだけで減るわけでもありません。
  • 被相続人のNISA枠は相続されない
  • 相続人のNISA枠は増えないが、受入れだけでは減らない
  • 相続財産としての株式とNISA非課税枠は別物

POINT 4

  • NISA口座で保有していた株式は死亡時にどう処理されるか
  • 1. 死亡の事実を証券会社へ連絡:NISA口座、特定口座、一般口座、配当受領方式を確認します。
  • 2. 非課税口座開設者死亡届出書を提出:NISAとしての管理を終了させるための手続です。
  • 3. 死亡日の終値相当額で払出し:税務上、死亡時に売却したものとみなされます。
  • 4. NISA非課税の対象:死亡時までの値上がり益は非課税措置の対象です。
  • 5. 損失は使えない:死亡時までの損失はなかったものとみなされます。
  • 6. 相続人の課税口座へ移管:死亡後の損益や配当は相続人側で整理します。

POINT 5

  • 新NISA・旧NISA・ジュニアNISAと相続時の非課税枠
  • 制度の世代が違っても、死亡時に相続人のNISAへ移らない結論は共通します。
  • 新NISAの枠は本人単位で管理される
  • 相続人が同じ銘柄をNISAで持ちたい場合
  • 旧NISAやジュニアNISAでも死亡時の結論は同じ

POINT 6

  • NISA口座で保有していた株式の相続税評価と申告期限
  • NISAの非課税は所得税等の制度であり、相続税の非課税制度ではありません。
  • NISAだから相続税も非課税ではない
  • 上場株式の相続税評価額
  • 所得税上の取得価額と相続税評価額は異なる可能性がある

POINT 7

  • NISA口座で保有していた株式の死亡後の所得税
  • 死亡日の終値相当額を起点に、相続人側の売却益、配当、損失を考えます。
  • 死亡時点で取得価額が付け替わる
  • 死亡後の配当は誰の所得か
  • NISA口座内株式の相続では、通常の相続財産と異なり、被相続人の取得価額をそのまま引き継ぐという説明だけでは不十分です。

POINT 8

  • NISA口座で保有していた株式を相続する手続の流れ
  • 1. 証券会社等へ死亡連絡:郵便物、取引報告書、アプリ、メール、通帳の入出金履歴、配当金の入金履歴などから取引金融機関を特定します。
  • 2. 死亡日時点の残高証明書を取得:保有銘柄、数量、評価額、配当金、未受渡取引の有無を確認し、相続税評価や遺産分割資料に使います。
  • 3. 相続人を確定:戸籍謄本等で相続人を確認し、法定相続情報一覧図を利用できる場合は活用します。
  • 4. 遺言書または遺産分割協議で取得者を決定:遺言の内容、遺産分割協議、未成年者や後見利用者の有無を確認します。
  • 5. 相続人の受入口座を用意:NISA口座ではなく、特定口座または一般口座などの課税口座で受け入れます。
  • 6. 移管後の取得価額を確認:取得日、取得価額、数量がどのように登録されたかを確認し、相続税評価額との違いを記録します。

まとめ

  • NISA口座で保有していた株式を相続した場合 非課税枠は
  • NISA口座で保有していた株式を相続した場合の結論:非課税枠は引き継がれず、株式だけが課税口座へ移る点を最初に押さえます。
  • NISA口座で保有していた株式を相続する前に知る用語:NISA、非課税枠、被相続人、相続人、課税口座を分けて考えます。
  • NISA口座で保有していた株式を相続しても非課税枠は移らない:相続人のNISA枠が増えるわけでも、受入れだけで減るわけでもありません。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

NISA口座で保有していた株式を相続した場合の結論

非課税枠は引き継がれず、株式だけが課税口座へ移る点を最初に押さえます。

NISA口座で保有していた株式を相続した場合、被相続人が使っていたNISAの非課税枠は相続人に引き継がれません。NISA口座そのもの、NISA口座内の非課税の地位、未使用の年間投資枠、非課税保有限度額は、相続人のNISA口座へ移るものではありません。

一方で、死亡時点までにNISA口座内で生じていた含み益について、通常の課税口座のように相続人へ課税が引き継がれるわけではありません。非課税口座内の上場株式等は死亡時に払い出され、死亡日の終値に相当する金額で売却したものとみなされます。そのため、死亡時までの含み益はNISAの非課税措置の対象になります。

結論NISAで相続されるのは株式という財産です。NISAの非課税枠や非課税の地位は相続されず、死亡後の値上がり益や配当等は原則として相続人側の課税口座で整理します。

次の比較表は、NISA口座内株式の相続で混同しやすい論点を一覧にしたものです。何が相続人に移り、何が移らないのかを区別することが重要で、各行から非課税枠、取得価額、相続税、死亡後の課税関係を分けて読む必要があります。

論点取扱い
被相続人のNISA口座死亡によりNISAとしての取扱いは終了します。
被相続人の未使用の年間投資枠相続人に移らず、繰越しもできません。
被相続人の非課税保有限度額相続人に移りません。
相続人自身のNISA枠相続により増えず、株式の受入れだけでは減りません。
NISA口座内の株式相続人の特定口座または一般口座などの課税口座へ移管されます。
死亡時までの含み益NISAの非課税措置の対象になります。
死亡時までの含み損なかったものとみなされ、損益通算や繰越控除には使えません。
死亡後の値上がり益相続人の課税対象になる可能性があります。
死亡後に支払われる配当等NISAの非課税措置は適用されません。
相続税NISAだから相続税が非課税になるわけではありません。

このページでは、相続人、遺言執行者、税理士、弁護士、司法書士、行政書士、ファイナンシャル・プランナー、証券会社の相続担当者が確認しやすいように、NISAの非課税枠、所得税、相続税、手続、遺産分割上の注意点を横断して整理します。

Section 01

NISA口座で保有していた株式を相続する前に知る用語

NISA、非課税枠、被相続人、相続人、課税口座を分けて考えます。

NISAとは何か

NISAは、少額投資非課税制度の通称です。通常、上場株式や株式投資信託などから生じる売却益、配当、分配金には所得税、復興特別所得税、住民税が課税されます。これに対し、NISA口座で取得した一定の金融商品については、一定の枠内で売却益や配当等が非課税になります。

2024年1月から始まった新しいNISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できます。つみたて投資枠の年間投資枠は120万円、成長投資枠の年間投資枠は240万円、合計360万円です。非課税保有限度額は総枠1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円です。非課税保有限度額は取得価額ベースで管理され、売却した分の枠は翌年以降に再利用できます。

非課税枠という言葉の3つの意味

NISAの非課税枠という言葉は、年間投資枠、非課税保有限度額、非課税の地位の3つを指して使われることがあります。この一覧はそれぞれの意味と相続時の結論を整理するもので、読者にとっては「どの枠が移らないのか」を正確に確認するために重要です。

用語意味相続時の結論
年間投資枠その年にNISAで新規投資できる上限です。被相続人の未使用分は相続されません。
非課税保有限度額新NISAで生涯を通じて保有できる取得価額ベースの総枠です。被相続人の枠は相続されません。
非課税の地位NISA口座内の金融商品から生じる譲渡益や配当等が非課税になる取扱いです。死亡により相続人へは引き継がれません。

被相続人、相続人、特定口座、一般口座

亡くなった人を被相続人、被相続人の財産や一定の権利義務を承継する人を相続人といいます。NISA口座の相続では、被相続人の証券口座、被相続人のNISA口座、相続人の証券口座、相続人のNISA口座を明確に分ける必要があります。

相続によりNISA口座から払い出された株式は、相続人のNISA口座ではなく、相続人側の課税口座に移るのが基本です。課税口座には、金融機関が譲渡損益の計算や年間取引報告書の作成を行う特定口座と、投資家自身が取得価額や譲渡損益を管理する一般口座があります。

注意受入口座が特定口座か一般口座かによって、後日の売却時の事務負担が変わります。金融機関ごとに必要書類や受入口座の条件が異なるため、取引していた証券会社等に確認する必要があります。
Section 02

NISA口座で保有していた株式を相続しても非課税枠は移らない

相続人のNISA枠が増えるわけでも、受入れだけで減るわけでもありません。

被相続人のNISA枠は相続されない

最重要の結論は、被相続人のNISA枠は相続されないということです。たとえば、父が新NISAの成長投資枠で上場株式を保有し、子がその株式を相続しても、父のNISA枠が子に移ることはありません。子の非課税保有限度額が増えることも、父の未使用年間投資枠が子の年間投資枠に加算されることもありません。

NISAは、口座開設者本人がその人自身の非課税口座で取得した上場株式等から生じる配当所得や譲渡所得等について、一定の要件のもとで課税しない制度です。非課税枠は相続財産として承継できる財産ではなく、死亡によりその人のNISAとしての取扱いは終了すると理解するのが実務的です。

相続人のNISA枠は増えないが、受入れだけでは減らない

相続人がNISA口座内の株式を相続しても、相続人自身のNISA枠は増えません。同時に、その株式を課税口座で受け入れるだけで、相続人自身のNISA枠が消費されるわけでもありません。相続で受け取った株式は課税口座に入るため、相続人のNISAの簿価残高には算入されません。

ただし、相続人がその株式をいったん売却し、売却代金で同じ株式や別の金融商品を自分のNISA口座で買い直す場合は、相続人自身の新規投資としてNISA枠を使います。この場合、売却時の損益は課税口座の取引として計算され、買い直しはNISAの新規買付として扱われます。

相続財産としての株式とNISA非課税枠は別物

次の比較表は、NISA株式の相続で生じやすい誤解と正しい整理を対比したものです。読者にとって重要なのは、株式という財産とNISAの制度上の地位を分けて読むことで、特に相続税や死亡後配当の取扱いを取り違えないようにする点です。

誤解正しい理解
NISA口座ごと相続できるNISA口座としては相続できず、株式は課税口座で承継します。
親のNISA枠を子が使い続けられる使い続けられません。親のNISA枠は親の死亡で終了します。
NISAだから相続税もかからないNISAは主に所得税等の非課税制度であり、相続税の非課税制度ではありません。
相続後の配当もNISA非課税になる死亡後に支払われる配当等にはNISA非課税措置は適用されません。
NISAで含み損があるから相続人が損失を使える死亡時までのNISA内の譲渡損失はなかったものとみなされます。
Section 03

NISA口座で保有していた株式は死亡時にどう処理されるか

死亡届出、払出し、含み益、含み損、配当の順に確認します。

非課税口座開設者死亡届出書を提出する

NISA口座を開設していた投資者が死亡したときは、相続人は、死亡したことを知った日以後、遅滞なく、その投資者のNISA口座が開設されている金融商品取引業者等に対して、非課税口座開設者死亡届出書を提出する必要があるとされています。

この届出は、所得税の非課税口座としての取扱いを終了させるための重要な手続です。証券会社等によっては、死亡届出書のほか、戸籍謄本、法定相続情報一覧図、遺産分割協議書、遺言書、印鑑証明書、相続人の本人確認書類、相続人の口座開設書類などが必要になります。

次の判断の流れは、死亡連絡から課税口座への移管までの順番を整理したものです。読者にとって重要なのは、NISA口座の終了、死亡日の終値による取得価額、相続人側の課税口座という3点を順に確認することで、途中の届出や書類準備を見落とさないようにする点です。

NISA口座内株式の死亡時処理

死亡の事実を証券会社へ連絡

NISA口座、特定口座、一般口座、配当受領方式を確認します。

非課税口座開設者死亡届出書を提出

NISAとしての管理を終了させるための手続です。

死亡日の終値相当額で払出し

税務上、死亡時に売却したものとみなされます。

含み益
NISA非課税の対象

死亡時までの値上がり益は非課税措置の対象です。

含み損
損失は使えない

死亡時までの損失はなかったものとみなされます。

相続人の課税口座へ移管

死亡後の損益や配当は相続人側で整理します。

死亡時にNISA口座から払い出される

非課税口座開設者が死亡した場合、NISA口座に受け入れられていた上場株式等は、NISA口座から払い出されます。これは、相続人がNISA口座をそのまま引き継ぐのではなく、NISAとしての非課税管理が終了し、相続人の課税口座に移管されることを意味します。

税務上は、死亡時に死亡日の終値に相当する金額でその上場株式等を売却したものとみなされます。必ずしも市場で実際に売却されるという意味ではありません。相続手続上は、現物株式として相続人の口座へ移管され、その後に相続人が保有し続けるか売却するかを決めることが多いです。

含み益と含み損の処理

被相続人がNISA口座で500万円分の上場株式を取得し、死亡日の終値が800万円になっていた場合、死亡時までの含み益300万円はNISAの非課税措置の対象です。相続人は死亡日の終値800万円を取得価額として、課税口座で株式を取得したものとして扱われます。

反対に、被相続人がNISA口座で500万円分の上場株式を取得し、死亡日の終値が300万円になっていた場合、死亡時点で200万円の含み損があります。しかし、NISA口座内の譲渡損失はなかったものとみなされ、他の課税口座の利益と損益通算することも、繰越控除することもできません。

死亡後の配当等はNISA非課税にならない

死亡後に支払われる配当、ETFやREITの分配金などは、NISAとして非課税になりません。配当の権利確定日、支払開始日、相続手続の進行状況、株式の名義移管日などにより事務処理が複雑になる場合があります。

確認死亡後配当は、相続税申告、準確定申告、相続人の確定申告を横断して確認することがあります。税務上の帰属と金融機関の事務処理が直感的に一致しないこともあります。
Section 04

新NISA・旧NISA・ジュニアNISAと相続時の非課税枠

制度の世代が違っても、死亡時に相続人のNISAへ移らない結論は共通します。

新NISAの枠は本人単位で管理される

新NISAでは、つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円、合計360万円の年間投資枠があります。非課税保有限度額は総枠1,800万円で、そのうち成長投資枠は1,200万円までです。非課税保有限度額は簿価残高方式で管理され、売却により空いた枠は翌年以降に再利用できます。

この管理は、口座開設者本人単位で行われます。死亡した人の非課税保有限度額、未使用枠、売却により翌年以降に再利用可能となる枠は、相続人に移転しません。死亡によるNISA口座からの払出しは、相続人がその人のNISA枠を再利用できる制度ではありません。

次の一覧は、新NISAでよく確認される枠と相続時の扱いをまとめたものです。枠の金額が大きいため相続人に移るように見えますが、各行から本人単位の管理であること、死亡後は相続人自身の新規買付だけがNISA枠を使うことを読み取る必要があります。

項目新NISAでの内容相続時の扱い
つみたて投資枠年間120万円被相続人の未使用分は移りません。
成長投資枠年間240万円被相続人の未使用分は移りません。
年間投資枠の合計年間360万円相続人の年間投資枠は増えません。
非課税保有限度額総枠1,800万円、成長投資枠1,200万円被相続人の枠は相続されません。
売却後の再利用売却分の枠は翌年以降に再利用可能死亡払出しにより相続人が再利用できるわけではありません。

相続人が同じ銘柄をNISAで持ちたい場合

相続人が、被相続人のNISA口座で保有されていた株式を今後もNISAで保有したいと考えても、相続による現物移管でそのまま相続人のNISA口座に入れることはできません。実務上は、相続人の課税口座でそのまま保有する、課税口座で売却して自分のNISA口座で同じ銘柄を新たに買い付ける、遺産分割で別の相続人が取得する、または売却して現金で分けるといった選択肢になります。

課税口座で売却してNISAで買い直す場合、課税口座での売却時に譲渡益が出れば課税対象になり得ます。また、NISAで買い直す時点では、相続人自身の年間投資枠および非課税保有限度額を消費します。株価変動により、売却価格と買付価格がずれるリスクもあります。

旧NISAやジュニアNISAでも死亡時の結論は同じ

2023年までの一般NISA、つみたてNISA、ジュニアNISAで取得した商品は、2024年以降の新NISAとは別枠で管理され、旧制度の非課税期間が続きます。旧制度から新制度へ移すことはできません。

しかし、死亡時の基本的な結論は同じです。被相続人が旧NISAで保有していた株式も、相続人のNISA口座にそのまま移るわけではありません。一般NISAの非課税期間が残っていても、被相続人が死亡すると、その非課税期間を相続人が承継して使い続けることはできません。

ジュニアNISAが関係する場合は、誰が死亡したのか、未成年者本人か、親権者か、運用管理者かにより手続が異なります。相続人に未成年者がいる場合は、NISAの税務処理だけでなく、遺産分割協議における利益相反にも注意が必要です。親権者と未成年の子が共同相続人になる場面では、家庭裁判所で特別代理人の選任が必要になることがあります。

Section 05

NISA口座で保有していた株式の相続税評価と申告期限

NISAの非課税は所得税等の制度であり、相続税の非課税制度ではありません。

NISAだから相続税も非課税ではない

NISAの非課税は、主として配当所得や譲渡所得に対する所得税等の非課税措置です。相続税について、NISA口座内の株式を非課税財産にする制度ではありません。被相続人がNISA口座で保有していた株式は、相続税の計算上、相続財産に含めて評価する必要があります。

相続財産全体の正味の遺産額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告および納税が必要になる可能性があります。相続税の基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。

上場株式の相続税評価額

上場株式の相続税評価では、死亡日の最終価格だけでなく、死亡月、前月、前々月の終値月平均額も確認します。この比較表は、どの価額を候補にするかを示すもので、読者にとっては死亡日の価格だけで評価を決めないために重要です。最も低い価額を使える場合がある点を読み取ります。

価格項目1株当たり価額
死亡日の終値10,000円
死亡月の終値月平均額9,600円
死亡月の前月の終値月平均額9,200円
死亡月の前々月の終値月平均額9,800円

この例では、相続税評価では9,200円を用いる可能性があります。他方、NISAから課税口座へ移る際の所得税上の取得価額は、死亡日の終値に相当する10,000円を基準に扱われます。

所得税上の取得価額と相続税評価額は異なる可能性がある

NISA口座内株式の死亡時払出しでは、所得税上、死亡日の終値に相当する金額で相続人が取得したものとして扱われます。一方、相続税評価では、上場株式について死亡日の終値だけでなく、死亡月、前月、前々月の終値月平均額のうち一定の低い価額を使える場合があります。

重要相続税申告の評価額が9,200円であっても、後日の所得税上の取得価額まで9,200円になるとは限りません。NISA株式の相続では、相続税評価と所得税上の取得価額を混同しないことが重要です。

相続税の申告期限

相続税の申告と納税は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うことになっています。申告書の提出先と納税先は、被相続人の死亡時の住所が日本国内にある場合、相続人の住所地ではなく、被相続人の住所地を所轄する税務署です。

NISA口座内の株式は価格変動があるため、相続税の納税資金をどのように確保するかも問題になります。相続人が株式を相続しても、相続税は原則として金銭で納めます。市場価格が相続開始後に下落すると、相続税評価額と実際の換金額の差が負担になることがあります。

Section 06

NISA口座で保有していた株式の死亡後の所得税

死亡日の終値相当額を起点に、相続人側の売却益、配当、損失を考えます。

死亡時点で取得価額が付け替わる

NISA口座内株式の相続では、通常の相続財産と異なり、被相続人の取得価額をそのまま引き継ぐという説明だけでは不十分です。NISA口座内の株式については、死亡時に死亡日の終値に相当する金額で売却したものとみなされ、その金額で相続人が取得したものとして扱われます。

次の3つの比較表は、死亡時までの含み益、死亡時までの含み損、死亡後の値下がりを金額で整理したものです。読者にとっては、どの利益や損失がNISA期間中のものか、どこから相続人側の課税口座での損益になるのかを読み分けるために重要です。

事例1 ― 含み益がある場合金額
被相続人のNISA取得価額500万円
死亡日の終値相当額800万円
相続人の売却額1,000万円
整理死亡時までの含み益300万円は非課税です。相続人側では原則として200万円の譲渡益が問題になります。

次の比較表は、死亡時点で値下がりしていた場合を示します。NISA内で生じた損失は相続人が使える損失にならないため、死亡日の終値相当額を新しい取得価額として読むことが重要です。

事例2 ― 含み損がある場合金額
被相続人のNISA取得価額500万円
死亡日の終値相当額300万円
相続人の売却額400万円
整理死亡時までの含み損200万円は、NISAの損失としてなかったものとみなされます。相続人側では原則として100万円の譲渡益が問題になります。

次の比較表は、死亡時までは含み益があり、その後に値下がりした場合を示します。死亡時までの含み益と、相続人が課税口座で取得した後の損失は性質が違うため、損益通算を考える場面でも分けて読む必要があります。

事例3 ― 死亡後に値下がりした場合金額
被相続人のNISA取得価額500万円
死亡日の終値相当額800万円
相続人の売却額650万円
整理死亡時までの含み益300万円は非課税です。相続人側では、課税口座で取得した後に150万円の譲渡損失が生じる可能性があります。

この150万円の損失は、被相続人のNISA内損失ではなく、相続人が課税口座で取得した後に発生した損失です。上場株式等の課税口座での譲渡損失として、一定の要件のもとで上場株式等に係る配当等や他の上場株式等の譲渡益との損益通算の対象になる可能性があります。ただし、口座区分、申告分離課税の選択、特定口座の種類、他の所得との関係により扱いが異なるため、税理士または税務署に確認する必要があります。

死亡後の配当は誰の所得か

死亡後に支払われる配当は、NISAの非課税対象にはなりません。問題は、誰の所得として扱うかです。実務上は、配当の基準日、支払開始日、名義書換の時期、相続人間の分割状況、遺産分割協議の内容により整理が必要になります。

証券会社の書類では、配当金が被相続人口座に入金される場合、相続財産として扱われる場合、相続人の口座へ移る場合などがあります。相続税申告、準確定申告、相続人の確定申告を横断して確認する必要があります。

Section 07

NISA口座で保有していた株式を相続する手続の流れ

証券会社への連絡、残高証明、相続人確定、分割、移管、取得価額確認を順に進めます。

次の時系列は、NISA口座内株式の相続で確認する順番をまとめたものです。読者にとって重要なのは、証券会社の手続だけでなく、相続税評価、遺産分割、移管後の取得価額確認まで一続きで管理することで、後日の申告や売却時の計算に備える点です。

STEP 1

証券会社等へ死亡連絡

郵便物、取引報告書、アプリ、メール、通帳の入出金履歴、配当金の入金履歴などから取引金融機関を特定します。

STEP 2

死亡日時点の残高証明書を取得

保有銘柄、数量、評価額、配当金、未受渡取引の有無を確認し、相続税評価や遺産分割資料に使います。

STEP 3

相続人を確定

戸籍謄本等で相続人を確認し、法定相続情報一覧図を利用できる場合は活用します。

STEP 4

遺言書または遺産分割協議で取得者を決定

遺言の内容、遺産分割協議、未成年者や後見利用者の有無を確認します。

STEP 5

相続人の受入口座を用意

NISA口座ではなく、特定口座または一般口座などの課税口座で受け入れます。

STEP 6

移管後の取得価額を確認

取得日、取得価額、数量がどのように登録されたかを確認し、相続税評価額との違いを記録します。

取引金融機関と口座全体を確認する

被相続人がNISA口座を開設していた可能性がある場合、まず取引金融機関を特定します。取引金融機関が分かったら死亡の事実を連絡し、NISA口座、特定口座、一般口座、投資信託、外国株式、信用取引、貸株、配当受領方式など、口座全体の状況を確認します。

残高証明、相続人確定、遺産分割

相続税申告や遺産分割協議では、死亡日時点の財産額を把握する必要があります。NISA口座内の株式についても、死亡日時点の保有銘柄、数量、評価額、配当金、未受渡取引の有無などを確認します。

相続人の範囲に争いがある場合、遺言の有効性に争いがある場合、認知、養子縁組、代襲相続、相続放棄などが関係する場合は、弁護士や司法書士に早期に相談することがあります。相続人に未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人がいる場合、家庭裁判所での手続を要することもあります。

受入口座と取得価額を確認する

NISA口座内株式は、相続人のNISA口座ではなく、特定口座または一般口座などの課税口座へ移管されます。相続人がその証券会社に口座を持っていない場合、同じ証券会社で口座開設を求められることがあります。

相続手続完了後は、相続人の口座に移った株式について、取得日、取得価額、数量がどのように登録されているかを必ず確認します。証券会社の画面や年間取引報告書に表示される取得価額が、相続税申告で使った評価額と異なる場合があります。

Section 08

NISA口座で保有していた株式の遺産分割で争いやすい論点

非課税枠の誤解、株価変動、遺留分、使い込み疑いを分けて検討します。

分割方法ごとの注意点

次の比較表は、NISA由来の株式を遺産分割する方法と注意点を整理したものです。読者にとって重要なのは、株式が価格変動する財産であるため、取得者、評価基準日、売却費用、税金、配当金の帰属を事前に決めておく必要がある点です。

分割方法内容NISA株式での注意点
現物分割株式を特定の相続人がそのまま取得します。株価変動リスクを取得者が負います。
換価分割株式を売却し、売却代金を分けます。売却時の課税、売却時期、手数料に注意します。
代償分割1人が株式を取得し、他の相続人に代償金を支払います。評価時点、代償金額、資金確保に注意します。
共有取得複数人で株式を共有します。後日の売却や議決権行使が煩雑になりやすいです。

非課税枠をもらうという誤解

相続人間では、NISA株式を相続する人は非課税枠ももらうので得をしている、という誤解が生じることがあります。実際には、相続人はNISA枠をもらうわけではありません。相続人が受け取るのは、死亡時にNISAから払い出された株式です。

ただし、死亡時までの含み益が非課税で確定するため、通常の課税口座で保有していた場合と比べて、被相続人の生前運用益に課税されないという経済的効果はあります。その効果は相続財産全体の価値に反映されていると考え、非課税枠そのものを別財産として分けることはできません。

死亡後の株価変動、遺留分、使い込み疑い

NISA口座内株式は、死亡時から遺産分割完了までの間にも価格が変動します。死亡時800万円だった株式が、遺産分割時に1,000万円になることも、600万円になることもあります。相続税評価では死亡時を基準にしますが、遺産分割における公平性の観点では、分割時の時価を考慮することがあります。

遺言により、NISA口座内株式を特定の相続人または第三者に取得させる場合、他の相続人の遺留分が問題になることがあります。遺留分侵害額請求の場面では、株式の評価時点、評価方法、相続開始後の値動き、配当金の扱いが問題になりやすいです。

被相続人の死亡前後に、NISA口座内の株式が売却されていた場合、誰が操作したのか、被相続人本人の意思に基づく取引だったのか、代理権や認知能力に問題はなかったのかが争点になることがあります。証券会社の取引履歴、ログイン履歴、注文方法、電話録音、委任状、成年後見の有無、診療記録などが重要になります。

Section 09

NISA口座で保有していた株式の相続で専門職が確認する点

税務、法律、登記、書類作成、資産設計、証券実務の役割を切り分けます。

次の一覧は、NISA由来の株式相続に関わる専門職や金融機関の確認領域を整理したものです。読者にとって重要なのは、相続税評価、所得税、遺産分割、登記、書類作成、資産設計、証券移管の担当が異なる点を読み取り、必要な資料をそろえて連携することです。

税理士

相続税評価、所得税上の取得価額、死亡後の配当、後日売却、相続財産を譲渡した場合の取得費の特例を確認します。

相続税所得税

弁護士

遺産分割、遺留分、遺言の解釈、相続人間の紛争、使い込み疑い、調停、審判、訴訟を確認します。

遺産分割紛争

司法書士

不動産の相続登記、戸籍収集、遺産分割協議書作成支援、裁判所提出書類作成などで関与します。

登記戸籍

行政書士

争いがない相続で、遺産分割協議書、相続関係説明図、金融機関提出書類の整理などに関与します。

書類整理
FP

ファイナンシャル・プランナー

相続後の資産配分、NISAの再活用、老後資金、保険、家計全体の設計を整理します。

資産設計再投資

証券会社等の相続担当

死亡連絡、口座凍結、残高証明書、非課税口座開設者死亡届出書、受入口座、移管手続、配当金処理を案内します。

移管取得価額

相続または遺贈により取得した土地、建物、株式などの財産を一定期間内に譲渡した場合、相続税額のうち一定金額を譲渡資産の取得費に加算できる特例があります。NISA口座内株式を相続後に売却した場合にも、この特例の適用可否を検討する余地があります。ただし、NISA死亡時の取得価額付替えと、相続税額の取得費加算を混同しないことが重要です。

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。NISA株式だけの相続であれば登記は直接関係しませんが、多くの相続では不動産、預貯金、証券口座が同時に問題になります。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に相続登記をすることが法律上の義務となり、正当な理由なく相続登記をしない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。

Section 10

NISA口座で保有していた株式を相続するときの実務チェックリスト

相続発生直後、遺産分割時、移管後に分けて確認します。

相続発生直後

次の確認一覧は、相続発生直後に行う初動をまとめたものです。読者にとって重要なのは、証券会社の特定、NISA口座終了の届出、死亡日時点の資料収集を早めに進め、相続税評価と遺産分割の土台を作ることです。

確認事項目的
被相続人が利用していた証券会社を特定するNISA口座の有無を確認します。
死亡連絡をする口座凍結、相続手続案内を受けます。
非課税口座開設者死亡届出書を確認するNISA口座終了の手続を進めます。
死亡日時点の残高証明書を請求する相続税評価、遺産分割資料に使います。
NISA、特定口座、一般口座を分けて把握する税務処理を誤らないためです。
未受渡取引や配当金を確認する相続財産と所得の帰属を整理します。

遺産分割時

次の確認一覧は、遺産分割時に決めておくべき事項をまとめたものです。読者にとって重要なのは、株式の価格変動、配当、売却費用、税金、未成年者や後見利用者の有無を協議書の内容に反映し、後日の争いを防ぐことです。

確認事項目的
株式を誰が取得するか決める現物分割、換価分割、代償分割を選びます。
評価基準日を明記する後日の価格変動紛争を防ぎます。
配当金の帰属を決める死亡後配当の争いを防ぎます。
売却費用、税金、手数料の負担を決める実質的公平性を確保します。
未成年者や後見利用者の有無を確認する特別代理人等の要否を判断します。
遺留分や使い込み疑いを確認する弁護士関与の要否を判断します。

移管後

次の確認一覧は、株式が相続人の課税口座へ移った後の確認事項です。読者にとって重要なのは、取得価額、取得日、口座区分、相続税評価額との違いを記録し、後日の売却や配当課税に備えることです。

確認事項目的
相続人の受入口座区分を確認する特定口座か一般口座かを把握します。
取得価額と取得日を確認する後日売却時の譲渡所得計算に使います。
相続税評価額との違いを記録する相続税と所得税の混同を防ぎます。
配当受領方式を確認する今後の配当課税と管理を把握します。
売却予定がある場合は税額試算する納税資金と投資判断に備えます。
自分のNISAで買い直すか検討するNISA枠の利用計画を立てます。
Section 11

NISA口座で保有していた株式を相続する場合のFAQ

非課税枠、取得価額、相続税、配当、遺産分割のよくある疑問を一般情報として整理します。

Q1. 親のNISA非課税枠を子が相続できますか

一般的には、相続できるのは株式という財産であり、親のNISA非課税枠ではないとされています。親のNISA口座内株式は、死亡時にNISA口座から払い出され、相続人の課税口座へ移管されます。ただし、口座区分や金融機関の手続によって必要書類は変わるため、具体的には証券会社や税理士等へ確認する必要があります。

Q2. 親が使い残したNISA年間投資枠は子に移りますか

一般的には、未使用の年間投資枠は相続財産ではなく、相続人へ加算されないとされています。翌年に繰り越す制度でもありません。ただし、相続人自身のNISA利用状況や買い直しの有無で必要な確認は変わるため、具体的な投資判断は専門家や金融機関に確認する必要があります。

Q3. 相続人のNISA枠は、相続で受け取った株式の金額だけ減りますか

一般的には、相続で受け取った株式は相続人の課税口座に入るため、相続人のNISA枠を直接消費しないとされています。ただし、相続人がその株式を売却して自分のNISA口座で買い直す場合は、相続人自身のNISA枠を使います。売却時の税務や買付枠は、取引内容に応じて確認する必要があります。

Q4. 死亡時までの値上がり益には税金がかかりますか

一般的には、NISA口座内で死亡時までに生じていた含み益は、NISAの非課税措置の対象になるとされています。死亡時に死亡日の終値に相当する金額で売却したものとみなされるためです。ただし、保有商品、口座区分、配当の時期などで整理が必要になることがあります。

Q5. 死亡後に値上がりした分は非課税ですか

一般的には、死亡後は相続人の課税口座での保有になるため、死亡日の終値相当額から後日売却額までの値上がり益は相続人の譲渡所得として課税対象になり得るとされています。ただし、実際の税額や申告要否は、口座区分、他の取引、申告方式によって変わります。

Q6. NISA口座内で含み損があった場合、相続人はその損失を使えますか

一般的には、死亡時までのNISA内の含み損はなかったものとみなされ、相続人の他の株式の利益と損益通算することも、繰越控除することもできないとされています。ただし、相続人が課税口座で取得した後に発生した損失は別に整理されるため、具体的には税理士または税務署へ確認する必要があります。

Q7. NISAで保有していた株式は相続税の対象になりますか

一般的には、NISAは主に配当所得や譲渡所得等の非課税制度であり、相続税の非課税制度ではないとされています。NISA口座内株式も相続財産として評価します。ただし、相続財産全体が基礎控除額を超えるかどうか、評価額をどう計算するかは個別事情により変わります。

Q8. 相続税評価額は死亡日の終値で決まりますか

一般的には、上場株式は死亡日の最終価格を基準にしますが、死亡月、前月、前々月の終値月平均額のうち一定の低い価額を使える場合があるとされています。したがって、死亡日の終値だけで決めつけず、複数の価格を確認する必要があります。具体的な評価は税理士等へ相談する必要があります。

Q9. NISA口座内株式を相続人のNISA口座に直接移せますか

一般的には、相続人のNISA口座に直接移すことはできず、相続人の課税口座に移管されるとされています。相続人がNISAで保有したい場合は、課税口座で売却し、自分のNISA口座で新規買付する方法を検討することがあります。ただし、売却時の課税、買付枠、価格変動に注意が必要です。

Q10. 死亡後に支払われた配当はNISA非課税ですか

一般的には、非課税口座の開設者が死亡した日以後、その非課税口座で支払われるべき配当等については、NISAの非課税措置の適用がないとされています。ただし、誰の所得として整理するかは、配当基準日、支払日、名義移管、遺産分割の内容によって変わる可能性があります。

Q11. 相続人が複数いる場合、NISA株式はどう分ければよいですか

一般的には、現物分割、換価分割、代償分割などが考えられます。上場株式は価格変動があるため、評価基準日、売却費用、税金、配当金の帰属を遺産分割協議書で明確にしておくことが紛争予防に役立つとされています。具体的な分け方は相続人構成や遺言の有無によって変わります。

Q12. 相続争いがある場合、証券会社に移管を頼めば解決しますか

一般的には、証券会社は相続人間の争いを判断する機関ではないとされています。遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所の遺産分割調停または審判を利用することがあります。ただし、具体的な対応方針は証拠関係や相続人間の状況で変わるため、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Section 12

NISA口座で保有していた株式の相続で起こりやすい落とし穴

相続税評価額、取得価額、死亡後配当、自動移管、特定口座、納税資金に注意します。

次の重要ポイントは、NISA株式の相続で特に間違いやすい論点をまとめたものです。読者にとって重要なのは、似ている用語を同じものとして扱わず、税目、時点、口座区分、資金繰りを分けて確認することです。

相続税評価額と取得価額を同じだと思い込む

相続税評価では月平均額を使える場合がありますが、NISA死亡時の取得価額付替えでは死亡日の終値相当額が重要になります。

死亡後配当をNISA非課税と思い込む

死亡後に支払われるべき配当等には、NISAの非課税措置は適用されません。

相続人のNISA枠に自動移管されると思い込む

相続で取得した既存株式をそのままNISAに入れる制度ではありません。

特定口座で必ず受け入れられると思い込む

特定口座への受入れ可否は、金融機関の手続、銘柄、取得価額確認の可否によります。

納税資金を考えずに株式を持ち続ける

相続税申告期限までに納税資金を確保できない場合、株式売却が必要になることがあります。

相続税申告書に記載した評価額を、後日の売却時の取得価額としてそのまま使うと、譲渡所得計算を誤る可能性があります。証券会社の取得価額情報と、相続税評価明細を照合することが重要です。

相続人がすでにNISA口座を開設している場合でも、被相続人のNISA口座内株式が自動的に相続人のNISA口座に移ることはありません。NISAは、買付時にNISA口座で取得した商品を非課税対象とする制度であり、相続で取得した既存株式をそのままNISAに入れる制度ではありません。

相続税申告期限までに納税資金を確保できない場合、株式を売却する必要が生じることがあります。相場が下落していると、相続税評価額に比べて売却代金が少なくなることがあります。預貯金で賄えるか、株式を一部売却するか、換価分割にするかを早期に検討することが重要です。

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NISA口座で保有していた株式を相続した場合のまとめ

非課税枠、死亡時の取得価額、相続税評価の3点を混同しないことが中心です。

NISA口座で保有していた株式を相続した場合、相続人が受け継ぐのは株式という財産であり、NISAの非課税枠ではありません。被相続人のNISA非課税枠、未使用年間投資枠、非課税保有限度額、非課税保有期間は、相続人に承継されません。

一方で、被相続人の死亡時までにNISA口座内で生じていた含み益については、NISAの非課税措置の対象になります。死亡時に死亡日の終値に相当する金額で売却したものとみなされ、その金額で相続人が取得したものとして、相続人の特定口座や一般口座に移管されます。死亡後の値上がり益や配当等は、相続人側の課税問題として扱われます。

次の強調欄は、このページの核心を3点にまとめたものです。読者にとって重要なのは、非課税枠の承継、死亡時までの損益、相続税評価と所得税上の取得価額を分けて理解し、証券会社と専門家へ確認する資料を整理することです。

NISA株式相続の核心

非課税枠は相続されません。死亡時までのNISA内含み益は非課税、死亡後の損益は相続人側の課税口座で処理します。相続税評価額と所得税上の取得価額は異なる可能性があります。

相続税申告が必要な規模の遺産、相続人間で争いがある案件、未成年者や後見利用者がいる案件、株式の金額が大きい案件では、税理士、弁護士、司法書士、証券会社の相続担当者が連携して処理することが望ましいです。

免責このページは一般的な情報提供を目的とするものです。個別の相続税申告、所得税申告、遺産分割、遺留分、後見、証券会社手続については、事実関係、保有銘柄、口座区分、相続人構成、遺言の有無、申告期限、管轄税務署、金融機関の取扱いにより結論が変わることがあります。
Reference

参考資料

制度説明、税務、評価、家庭裁判所手続、登記義務に関する公的資料を整理しています。

公的機関の資料

  • 金融庁「NISAを知る ― NISA特設ウェブサイト」
  • 政府広報オンライン「NISAって何?わかりやすく解説」
  • 国税庁 タックスアンサー No.1535「NISA制度」
  • 国税庁「令和6年1月1日から開始する新NISAの概要は」
  • 国税庁「新NISAに関するQ&A」
  • 国税庁「NISA及びつみたてNISAの手続に関するQ&A」
  • 国税庁 タックスアンサー No.4632「上場株式の評価」
  • 国税庁 タックスアンサー No.4102「相続税がかかる場合」
  • 国税庁 タックスアンサー No.4202「相続税の申告のために必要な準備」
  • 国税庁 タックスアンサー No.3267「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 裁判所「特別代理人選任(親権者とその子との利益相反の場合)」
  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」