相続税申告書は第1表から第15表までを中心にしつつ、続表・付表・控用・特殊様式で枚数が変わります。最初に第1表へ進まず、財産と債務の表から根拠を固める流れを整理します。
相続税申告書は第1表から第15表までを中心にしつつ、続表・付表・控用・特殊様式で枚数が変わります。
15枚という表番号だけでなく、提出候補、控用、特殊様式を分けて理解します。
相続税申告書は「第1表から第15表まで」と説明されることがありますが、これは表番号の中心を示すだけです。実際には続表、付表、別表、控用、納税猶予などの特殊な様式があるため、単純に15枚と数えると必要な表を落とすおそれがあります。
次の重要ポイントは、このページで扱う枚数と作成順序の結論をまとめたものです。最初に大枠をつかむことが重要なのは、相続税申告書では「全部を出す」のではなく、財産内容や特例の有無に応じて必要な表を選ぶためです。ここでは、表番号、一般的な提出候補、控用を含めた数え方の違いを読み取ってください。
控用まで含めるとおおむね26様式になり、特殊な納税猶予や相続時精算課税があるとさらに増えます。書き始めは第1表ではなく、第9表から第15表までの財産・債務関係が出発点です。
次の比較表は、相続税申告書の枚数をどの単位で見るかを表しています。数え方で答えが変わるため、読者にとって重要なのは「15枚かどうか」ではなく、自分の相続でどの層の様式まで確認する必要があるかを読み分けることです。
| 数え方 | 実務上の答え |
|---|---|
| 表番号だけで数える | 第1表から第15表までが中核 |
| 一般的な申告で使い得る提出候補を数える | 控用を除いておおむね21様式 |
| 控用まで含めた一般用PDFを数える | おおむね26様式 |
| 特殊な納税猶予・相続時精算課税・法人・信託関係まで含める | さらに大きく増える |
| 実際に提出する枚数 | 財産内容、相続人の属性、特例適用の有無で変わる |
表番号、一般用の提出候補、控用を含めた様式数を分けて整理します。
相続税申告書の中心は第1表から第15表までです。ただし、第1表には「続」があり、第11表には複数の付表があり、第15表にも「続」があります。したがって、第1表から第15表までという説明は、実際の用紙が15枚で済むという意味ではありません。
次の一覧は、令和7年分用の一般的な相続税申告で提出候補になりやすい様式を表しています。どの表がどの場面に関係するかを知ることが重要なのは、財産や控除の種類ごとに必要な根拠資料が変わるためです。表番号だけでなく、役割と典型的な使用場面を対応させて読み取ってください。
| 区分 | 表番号 | 表の名称 | 典型的な使用場面 |
|---|---|---|---|
| 結論表 | 第1表 | 相続税の申告書 | 各人の課税価格、税額、納付税額を最終記載する |
| 結論表 | 第1表(続) | 相続税の申告書(続) | 相続人・受遺者が多い場合など |
| 税額計算 | 第2表 | 相続税の総額の計算書 | 課税遺産総額を法定相続分で按分し、相続税の総額を計算する |
| 加算 | 第4表 | 相続税額の加算金額の計算書 | いわゆる2割加算の対象者がいる場合 |
| 控除 | 第4表の2 | 暦年課税分の贈与税額控除額の計算書 | 生前贈与財産の加算に対応する贈与税額控除がある場合 |
| 控除 | 第5表 | 配偶者の税額軽減額の計算書 | 配偶者の税額軽減を受ける場合 |
| 控除 | 第6表 | 未成年者控除額・障害者控除額の計算書 | 未成年者控除・障害者控除がある場合 |
| 控除 | 第7表 | 相次相続控除額の計算書 | 10年以内に相次いで相続があった場合 |
| 控除・猶予 | 第8表 | 外国税額控除額・農地等納税猶予税額の計算書 | 外国税額控除、農地等納税猶予など |
| 財産明細 | 第9表 | 生命保険金などの明細書 | 死亡保険金等がある場合 |
| 財産明細 | 第10表 | 退職手当金などの明細書 | 死亡退職金等がある場合 |
| 財産合計 | 第11表 | 相続税がかかる財産の合計表 | 相続時精算課税適用財産を除く課税財産の集計 |
| 財産明細 | 第11表の付表1 | 土地・家屋等用 | 土地、借地権、家屋など |
| 財産明細 | 第11表の付表2 | 有価証券用 | 上場株式、投資信託、社債、非上場株式など |
| 財産明細 | 第11表の付表3 | 現金・預貯金等用 | 現金、普通預金、定期預金、金銭信託など |
| 財産明細 | 第11表の付表4 | 事業用・家庭用・その他財産用 | 自動車、貴金属、家財、貸付金、暗号資産、知的財産など |
| 特例計算 | 第11・11の2表の付表1 | 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書 | 小規模宅地等の特例を受ける場合 |
| 債務控除 | 第13表 | 債務及び葬式費用の明細書 | 借入金、未払金、未納税金、葬式費用など |
| 贈与等 | 第14表 | 暦年課税分の贈与財産価額等の明細書 | 相続開始前贈与、公益法人等への寄附財産など |
| 種類別集計 | 第15表 | 相続財産の種類別価額表 | 第11表から第14表までを種類別に集約 |
| 種類別集計 | 第15表(続) | 相続財産の種類別価額表(続) | 記載欄が足りない場合など |
次の一覧は、一般用PDFの中で控用として示される代表例を表しています。控用は税務署へ提出する本文そのものとは性格が異なるため、提出枚数と保管用の控えを分けて見ることが重要です。どの控えがどの提出表に対応するかを確認してください。
| 控用 | 意味 |
|---|---|
| 第1表控用 | 提出後の保管・確認用 |
| 第1表(続)控用 | 第1表(続)の控え |
| 第11・11の2表の付表1控用 | 小規模宅地等の計算明細の控え |
| 第15表控用 | 第15表の控え |
| 第15表(続)控用 | 第15表(続)の控え |
第1表ではなく、第9表から第15表で財産・債務の根拠を固めます。
相続税申告書の第1表は最終答案に近い表です。各相続人等の取得財産、債務・葬式費用、生前贈与、課税価格、税額控除、申告納税額は、財産明細と税額計算が終わらないと正確に入りません。
次の判断の流れは、どの表から着手し、どの段階で第1表へ戻るかを表しています。順番を誤ると、前提金額が固まらないまま結論表を埋めることになるため重要です。上から下へ、資料収集、財産・債務整理、税額計算、最終確認の順に読み取ってください。
戸籍、遺言書、遺産分割資料、財産資料、債務資料、葬式費用資料をそろえる
生命保険金、退職手当金、財産、債務、葬式費用、生前贈与を整理する
課税価格と相続税の総額を計算する
2割加算、贈与税額控除、配偶者軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除などを検討する
最終的な各人の申告納税額、添付書類、提出方法、納付方法を確認する
第9表から第15表を先に作る理由は、相続税の課税が、誰が相続人か、誰が何を取得したか、その財産評価額がいくらか、生命保険金や死亡退職金があるか、債務や葬式費用がいくらか、生前贈与の加算対象があるかに左右されるためです。
基礎控除、課税遺産総額、相続税総額の計算構造を確認します。
相続税申告の要否を考える出発点は基礎控除です。国税庁は、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を計算するものとし、基礎控除額を次の式で説明しています。
次の強調表示は、法定相続人が3人の場合の基礎控除額を表しています。数字の関係を先に押さえることが重要なのは、申告が必要かどうか、特例を使う必要があるかどうかの初期判断に直結するためです。3,000万円の固定部分と、600万円に人数を掛ける部分を分けて読み取ってください。
3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円です。正味の遺産額がこの範囲内で、申告が必要となる特例適用などもなければ、申告不要となる可能性があります。
ただし、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減を適用して初めて税額がゼロになる場合には、申告が必要になることがあります。税額がゼロという結果だけで判断せず、どの制度を使ってゼロになるのかを確認する必要があります。
相続税の総額は、各人が実際に取得した割合へ直接税率をかける単純計算ではありません。まず課税価格の合計額から基礎控除額を引き、課税遺産総額を求めます。そのうえで、法定相続人が法定相続分に従って取得したものと仮定し、各人の取得金額に税率を適用して相続税の総額を計算します。
その後、実際に財産を取得した各人の課税価格に応じて相続税の総額を按分します。第2表は税額計算の中核ですが、前提となる課税価格が第9表から第15表で固まっていなければ作成できません。
生命保険金、退職金、財産明細、債務、生前贈与、種類別集計を整理します。
第9表から第15表は、相続税申告書のうち財産と債務の根拠を作る部分です。ここで漏れや分類誤りがあると、第1表の課税価格や第2表の相続税総額も連動して誤ります。
次の一覧は、第9表から第15表までの主な役割を表しています。どの表がどの財産や控除前資料に対応するかを知ることが重要なのは、申告書の枚数だけでなく、根拠資料の集め方が変わるためです。各項目では、表番号と確認すべき資料の関係を読み取ってください。
死亡保険金等がある場合に、保険金額、受取人、契約者、被保険者、保険料負担者、非課税限度額を整理します。
みなし相続財産死亡退職金、功労金、弔慰金などについて、実質的に退職手当金等に該当するかを確認します。
退職金土地、家屋、有価証券、預貯金、事業用財産、家庭用財産などを個別付表で整理し、第11表へ集計します。
財産合計対象宅地、取得者、利用区分、面積、減額割合、限度面積、遺産分割状況を整理します。
特例借入金、未払医療費、未納税金、固定資産税、預り保証金、葬式費用などを整理します。
債務控除純資産価額に加算される暦年課税分の贈与財産、特定贈与財産、寄附財産などを整理します。被相続人の相続開始日が令和8年12月31日以前かどうかで、生前贈与加算の確認期間も意識します。
贈与第11表から第14表までの情報を、土地、家屋、有価証券、現金・預貯金、債務、葬式費用などの種類別に集約します。
集計次の比較表は、第11表の付表がどの財産を受け持つかを表しています。付表の分類を理解することが重要なのは、資料に出てきた財産だけを書くのではなく、名義預金、未収金、貸付金、暗号資産、貴金属などの計上漏れを確認する必要があるためです。財産の種類ごとに、どの付表へ整理するかを読み取ってください。
| 付表 | 対象財産 |
|---|---|
| 第11表の付表1 | 土地、家屋、借地権、貸宅地、貸家建付地など |
| 第11表の付表2 | 上場株式、投資信託、公社債、非上場株式など |
| 第11表の付表3 | 現金、普通預金、定期預金、金銭信託など |
| 第11表の付表4 | 事業用財産、家庭用財産、貴金属、自動車、貸付金、暗号資産、知的財産など |
2割加算、贈与税額控除、配偶者軽減、各種控除、納税猶予を確認します。
財産と債務を整理した後は、相続税額そのものを調整する表を確認します。第4表から第8表は、加算、控除、猶予を扱うため、要件確認や添付書類の不足が税額に直結します。
次の比較表は、第4表から第8表までの内容と注意点を表しています。税額控除や納税猶予は金額を減らす欄に見えますが、要件、書類、継続届出、担保提供などが関係する場合があるため重要です。どの表がどの制度と連動するかを読み取ってください。
| 表 | 内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 第4表 | 相続税額の2割加算 | 兄弟姉妹、孫養子、受遺者などで問題になりやすい |
| 第4表の2 | 暦年課税分の贈与税額控除 | 第14表と連動する |
| 第5表 | 配偶者の税額軽減 | 遺産分割、申告、添付書類が重要 |
| 第6表 | 未成年者控除・障害者控除 | 年齢、障害者区分、扶養義務者への控除残額移転に注意 |
| 第7表 | 相次相続控除 | 10年以内の連続相続で検討 |
| 第8表 | 外国税額控除・農地等納税猶予税額 | 国外財産、農地等の特殊要件を確認 |
特に配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例は、税額を大きく下げることがあります。しかし、申告と添付書類が制度利用の前提になる場面があるため、税額だけを見て申告不要と判断することは危険です。
預貯金だけの場合、自宅不動産がある場合、特殊財産がある場合を比較します。
実際に作成する相続税申告書の枚数は、財産の種類と特例の有無で大きく変わります。ここでは、典型的な事例ごとに、どの表が必要になりやすいかを整理します。
次の比較表は、預貯金だけの単純な相続で中心になりやすい表を表しています。少ない表で済む可能性がある事例を先に知ることが重要なのは、反対に葬式費用、生前贈与、生命保険金などがあれば表が増えることを読み取れるためです。
| 使用可能性が高い表 | 理由 |
|---|---|
| 第1表 | 申告書本体 |
| 第2表 | 相続税総額の計算 |
| 第11表 | 課税財産の合計 |
| 第11表の付表3 | 預貯金等の明細 |
| 第15表 | 種類別価額表 |
葬式費用を控除するなら第13表、生前贈与があれば第14表、生命保険金があれば第9表が加わります。
次の比較表は、自宅土地建物、預貯金、配偶者、子がいる相続で必要になりやすい表を表しています。この類型が重要なのは、配偶者軽減、小規模宅地等の特例、債務・葬式費用、生前贈与が重なりやすいからです。財産の種類と特例ごとに表が増える点を読み取ってください。
| 使用可能性が高い表 | 理由 |
|---|---|
| 第1表・第1表(続) | 相続人が複数の場合 |
| 第2表 | 相続税総額の計算 |
| 第5表 | 配偶者の税額軽減を使う場合 |
| 第11表 | 財産合計 |
| 第11表の付表1 | 土地・家屋 |
| 第11表の付表3 | 預貯金 |
| 第11・11の2表の付表1 | 小規模宅地等の特例を使う場合 |
| 第13表 | 債務・葬式費用 |
| 第14表 | 生前贈与がある場合 |
| 第15表 | 種類別集計 |
この類型では、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明書、不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書、路線価図、地積、利用状況、同居・居住継続要件など、申告書以外の資料も重要です。
次の一覧は、特殊事情がある場合に増えやすい確認項目を表しています。単純な事例との違いを知ることが重要なのは、相続時精算課税や事業承継関係では一般用の範囲を超える様式が必要になることがあるためです。どの財産や制度が様式数を増やすかを読み取ってください。
第9表が加わります。契約者、被保険者、受取人、保険料負担者の関係で課税関係が変わります。
第10表が加わります。法人役員の場合は会社議事録、支給決議、弔慰金の性質も確認対象です。
一般用の範囲を超え、第11の2表などが必要になります。贈与税申告書との照合も重要です。
会社評価、納税猶予、森林経営計画、医療法人持分、美術品、個人事業用資産などで様式数が増えます。
申告書の枚数だけでなく、戸籍、評価資料、残高証明、協議書などの整合性を確認します。
相続税申告では、申告書そのものの枚数よりも、添付書類と評価資料の整合性が重要になることがあります。財産評価や相続人確定の根拠が不足すると、申告書の数字だけ整っていても説明が難しくなります。
次の比較表は、相続税申告で典型的に確認する添付・確認資料を分類別に表しています。資料の種類を把握することが重要なのは、申告書の各表と証拠資料が対応して初めて数字の根拠を説明できるためです。分類ごとに、どの資料を集める必要があるかを読み取ってください。
| 分類 | 代表的資料 |
|---|---|
| 身分関係 | 被相続人の出生から死亡までの戸籍、相続人の戸籍、住民票、戸籍の附票 |
| 遺産分割 | 遺言書、遺産分割協議書、印鑑証明書 |
| 不動産 | 登記事項証明書、固定資産税評価証明書、名寄帳、公図、地積測量図、賃貸借契約書 |
| 預貯金 | 残高証明書、通帳、既経過利息計算書 |
| 有価証券 | 証券会社残高証明書、配当通知、評価明細 |
| 保険 | 保険証券、支払通知書、保険料負担資料 |
| 退職金 | 支払通知、会社議事録、弔慰金資料 |
| 債務 | 借入金残高証明書、請求書、未払医療費、納税通知書 |
| 葬式費用 | 葬儀社領収書、火葬費用、読経料等の記録 |
| 生前贈与 | 贈与契約書、贈与税申告書、通帳、入出金記録 |
e-Taxで相続税申告をする場合でも、マイナンバー(個人番号)の記載は必要です。一方、e-Taxによる提出では、個人番号制度に係る本人確認書類の添付を省略できるとされています。
遺産分割が終わらない場合の申告、特例、後日の手続を確認します。
相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合でも、相続税の申告期限は延びません。未分割の場合は、民法上の相続分または包括遺贈割合に従って取得したものとして申告・納税する扱いが基本です。
次の注意点一覧は、未分割で相続税申告書を出す場合に問題になりやすい項目を表しています。遺産分割が終わっていない状態でも期限管理が必要なため重要です。特例、後日の手続、法律紛争、専門職連携のどこに注意が必要かを読み取ってください。
小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減は、未分割のままだと当初申告で使えない場合があります。
分割成立後に、修正申告または更正の請求が必要になることがあります。更正の請求には期限があります。
遺産の範囲、使い込み疑い、特別受益、寄与分、遺留分が争われる場合は、法律紛争としての整理も必要です。
相続税申告は10か月という期限を持つ一方、遺産分割紛争は長期化することがあります。
この段階では、税理士による期限管理と税務申告に加え、争いがある場合は弁護士等の専門家への相談が必要になることがあります。個別の見通しや対応方針は、資料を整理したうえで専門家に確認する必要があります。
10か月期限、被相続人の死亡時住所地、e-Taxや郵送などの提出方法を整理します。
相続税申告書の提出では、期限、提出先、提出方法を混同しないことが重要です。特に提出先は相続人の住所地ではなく、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署です。
次の時系列は、申告期限と提出・納税に関する基本事項を表しています。期限と提出先の確認が重要なのは、申告書の内容が整っていても、提出や納付が遅れると延滞税などの問題につながるためです。死亡を知った日の翌日から10か月以内という期限と、提出先の考え方を読み取ってください。
通常は死亡日の翌日から10か月以内に相続税申告を行います。
期限が土日祝日に当たる場合は、その翌日が期限とされます。納税も期限管理が必要です。
相続人の住所地ではなく、被相続人が死亡時に住んでいた場所を所轄する税務署へ提出します。
相続税申告書は複数の提出方法に対応します。納税資金が不足する場合は延納や物納の要件確認も必要です。
税理士、弁護士、司法書士、不動産鑑定士などの役割を分けて確認します。
相続税申告は税理士の中核業務ですが、相続案件は税務だけで完結しないことが多くあります。遺産分割、不動産登記、不動産評価、会社評価、社会保険手続などが同時に問題になるためです。
次の比較表は、相続税申告書に関連して関与し得る専門職の主な役割を表しています。役割分担を知ることが重要なのは、税務、法律、登記、評価、事業承継を同じ専門職だけで処理できない場面があるためです。相談内容に応じて、どの専門職がどの領域を担当するかを読み取ってください。
| 専門職 | 主な役割 |
|---|---|
| 税理士 | 相続税申告、税務相談、税務代理、税務調査対応 |
| 弁護士 | 遺産分割紛争、遺留分、使い込み疑い、交渉、調停、審判、訴訟 |
| 司法書士 | 相続登記、不動産名義変更、戸籍収集、登記書類、裁判所提出書類作成 |
| 行政書士 | 紛争・税務・登記申請を除く書類作成、遺産分割協議書作成支援 |
| 公証人 | 公正証書遺言の作成 |
| 不動産鑑定士 | 不動産価格が争点となる場合の評価 |
| 土地家屋調査士 | 境界、分筆、表示登記 |
| 宅地建物取引士・不動産業者 | 相続不動産の売却・換価分割 |
| 公認会計士 | 非上場株式評価、会社財務、事業承継 |
| 中小企業診断士 | 後継者育成、経営改善、事業承継計画 |
| 弁理士 | 特許・商標など知的財産の相続手続 |
| 社会保険労務士 | 遺族年金など死亡後の社会保険手続 |
| FP | 家計、保険、納税資金、老後資金を含む全体設計 |
不動産がある相続では、相続税評価と相続登記の関係にも注意します。相続登記は令和6年4月1日から義務化され、一定の場合、取得を知った日から3年以内に申請する義務を負い、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象となります。
税額ゼロ、作成順序、名義預金、葬式費用、未分割、提出先、年分の誤りを確認します。
相続税申告書で多い失敗は、枚数そのものよりも、申告要否、作成順序、財産計上、提出先、年分の確認を誤ることです。一般的な注意点として、次の誤解を早めに潰しておく必要があります。
次の一覧は、相続税申告書で起きやすい誤解と実務上の失敗を表しています。失敗例を知ることが重要なのは、税額の大小だけでは見落としを防げないためです。各項目で、何を誤解しやすく、どの確認が必要かを読み取ってください。
配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例で税額がゼロになる場合、申告が必要となることがあります。
第1表は結論表です。第9表から第15表で財産・債務を整理してから進む流れが合理的です。
様式一覧は該当する場合に使うための一覧です。必要な付表を落とさない一方、全員が全部を書くものではありません。
被相続人名義でなくても、実質的に被相続人の財産と認められる場合は相続財産に含まれる可能性があります。
法要費用、香典返し、墓石・仏壇購入費などは、葬式費用として控除できる範囲と区別して検討します。
未分割でも申告期限は延びません。10か月以内にいったん申告し、後日分割に応じた手続を検討します。
提出先は、原則として被相続人の死亡時住所地を所轄する税務署です。
被相続人が亡くなった年分の様式を確認します。令和7年中の死亡であれば令和7年分用を確認します。
死亡後の資料収集から申告・納税、その後の対応までを時系列で整理します。
相続税申告書は、死亡後の資料収集から申告・納税、その後の未分割対応や登記まで連続して進みます。流れを先に把握しておくと、第1表に入る前に何を固めるべきかが見えやすくなります。
次の時系列は、死亡後から申告期限までの実務手順を表しています。順番を把握することが重要なのは、財産・債務の整理、税額計算、添付書類、納税を同時並行で管理する必要があるためです。上から順に、どの段階で何を確認するかを読み取ってください。
相続人の範囲と基本資料を整理し、遺言書の有無を確認します。
相続税申告が必要か概算判定し、必要なら税理士、争いがあれば弁護士、不動産があれば司法書士等へ相談します。
財産・債務・生前贈与を整理し、第15表で種類別に集約します。
課税価格、相続税総額、加算・控除・猶予を計算し、第1表へ戻って申告納税額を確定します。
被相続人の死亡時住所地を所轄する税務署へ提出し、申告期限までに納税します。
後続手続や追加対応が必要になる場合は、期限と専門職の役割を再確認します。
期限、財産、控除、専門家相談のサインをまとめて確認します。
相続税申告書を最短で迷わず進めるには、最初に期限、相続人、財産、控除、専門家相談のサインを分けて確認することが有効です。ここでは、確認項目を4つのまとまりに整理します。
次の一覧は、相続税申告書を作る前に確認する項目を表しています。全体を分けて見ることが重要なのは、死亡日や申告期限のような期限管理と、財産評価や控除確認のような金額管理が混ざりやすいためです。各まとまりから、自分の相続で未確認の項目を読み取ってください。
死亡日、申告期限、被相続人の死亡時住所地、法定相続人の人数、遺言書の有無、遺産分割協議の状況、正味遺産額が基礎控除を超えるか、特例適用で申告が必要になるかを確認します。
土地、建物、預貯金、有価証券、生命保険金、死亡退職金、事業用財産、家庭用財産、貴金属、骨董、車両、貸付金、未収金、暗号資産、知的財産、名義預金、名義株、国外財産を確認します。
借入金、未払医療費、未納税金、預り保証金、葬式費用、生前贈与に対応する贈与税額控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除、障害者控除、相次相続控除、外国税額控除を確認します。
相続人間の争い、遺言の有効性への疑問、使い込み疑い、遺留分、不動産評価、非上場株式、農地・山林・医療法人持分・美術品、海外財産、多額の生前贈与、未成年者や認知症の相続人、期限まで3か月未満、税務署からの照会を確認します。
必要な様式を選び、第9表から第15表で根拠を固めてから第1表へ戻ります。
相続税の申告書は第1表から第15表までを中心に構成されますが、15枚ではありません。一般用の提出候補だけでも控用を除いておおむね21様式あり、控用を含めるとおおむね26様式になります。特殊な相続時精算課税、納税猶予、非上場株式、農地、山林、美術品、医療法人持分、個人事業用資産などがあれば、さらに増えます。
次の強調表示は、このページの最終結論を表しています。枚数より順番を重視することが重要なのは、必要な表は財産の種類、相続人の属性、特例・控除・納税猶予の有無で変わるためです。第9表から第15表で根拠を固め、第1表に戻る流れを読み取ってください。
第9表から第15表で財産・債務・生前贈与を整理し、第1表・第2表で課税価格と相続税総額を計算し、第4表から第8表で加算・控除・猶予を反映し、最後に第1表へ戻って納付税額を確定させます。
申告書の枚数だけを見ても足りません。戸籍、遺言、遺産分割、評価資料、預金資料、保険資料、債務資料、葬式費用資料、生前贈与資料、添付書類の整合性が、相続税申告の成否を左右します。
相続税申告は、相続人間の法律関係、不動産登記、財産評価、事業承継、納税資金、遺族年金などとも接続します。一般的には、税理士を中心にしつつ、争いがあれば弁護士、不動産があれば司法書士・不動産鑑定士・土地家屋調査士、会社があれば公認会計士・中小企業診断士、遺言があれば公証人や遺言執行者など、専門職の連携を早めに設計することが望ましいとされています。