2σ Guide

相次相続控除を適用するケースの
計算例

10年以内に相続が続いたとき、前回相続で今回の被相続人に課された相続税額を、今回の相続税額からどう控除するかを実務計算で整理します。

10年以内前回相続の確認期間
1年10%経過年数による逓減
第7表申告書での計算書
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相次相続控除を適用するケースの 計算例

10年以内に相続が続いたとき、前回相続で今回の被相続人に課された相続税額を、今回の相続税額からどう控除するかを実務計算で整理します。

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相次相続控除を適用するケースの 計算例
10年以内に相続が続いたとき、前回相続で今回の被相続人に課された相続税額を、今回の相続税額からどう控除するかを実務計算で整理します。
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  • 相次相続控除を適用するケースの 計算例
  • 10年以内に相続が続いたとき、前回相続で今回の被相続人に課された相続税額を、今回の相続税額からどう控除するかを実務計算で整理します。

POINT 1

  • 相次相続控除を適用するケースの計算例の全体像
  • 財産評価額を直接下げる制度ではなく、各人の相続税額から控除する税額控除として整理します。
  • この控除は説明用の概算だけで完結するものではありません。

POINT 2

  • 相次相続控除を適用するケースの要件と登場人物
  • 第一次相続、第二次相続、今回の被相続人、相続人・受遺者の位置づけを誤らないことが出発点です。
  • 相続人であるか
  • 前回相続が10年以内か
  • 今回の被相続人に税額があるか

POINT 3

  • 相次相続控除を適用するケースの基本算式とEの早見表
  • A・B・C・D・Eを正しく入れ、C/(B-A)の上限とEの1年未満切捨てを確認します。
  • C / (B - A)が100%を超えるときは、1として計算します。
  • 相次相続控除は前回の相続税を返金する制度ではなく、今回の各人の相続税額から差し引く制度です。
  • 控除額が各人の相続税額を上回る場合の申告書上の処理、端数処理、他の税額控除との順序は、申告書様式と専門家確認が必要です。

POINT 4

  • 相次相続控除を適用するケースの計算例 ― 基本型と複数相続人
  • 国税庁Q&A型の300万円控除例と、長男・長女で取得割合が違う例を確認します。
  • 基本例 ― 父が1,000万円の相続税を負担していた場合
  • 複数相続人 ― 長男6,000万円・長女4,000万円の場合
  • 次の計算一覧は、基本例の各段階を表しています。

POINT 5

  • 相次相続控除を適用するケースの計算例 ― 財産減少・年数・受遺者
  • 前回より財産が減った場合、11か月と9年11か月の差、相続人以外の受遺者がいる場合を確認します。
  • 前回相続財産が大きく、今回相続財産が減っている場合
  • 前回から1年未満と9年11か月の比較
  • 相続人以外の受遺者がいる場合

POINT 6

  • 相次相続控除を適用できないケースと注意点
  • 前回税額がゼロ
  • 配偶者の税額軽減などで今回の被相続人の前回相続税額がゼロなら、Aはゼロです。
  • 相続放棄後の遺贈
  • 相続放棄をした人や相続権を失った人は、遺贈で財産を取得しても原則として控除対象者ではありません。

POINT 7

  • 相次相続控除を申告で使う手順と第7表
  • 1. Step 1 ― 相続人性:今回の財産取得者が今回の被相続人の相続人かを確認します。
  • 2. Step 2 ― 10年以内の前回相続:今回の被相続人が、今回相続開始前10年以内の相続で財産を取得したかを確認します。
  • 3. Step 3 ― 前回税額A:前回相続で今回の被相続人に相続税が課されていたかを確認します。
  • 4. Step 4 ― A・B・C・D・E:前回申告書、今回財産目録、遺産分割資料、債務・葬式費用、相続時精算課税資料を照合します。
  • 5. Step 5 ― 第7表へ反映:C/(B-A)の上限、D/Cの按分、Eの切捨てを確認し、各人の相続税額から控除します。

POINT 8

  • 相次相続控除の高度論点と専門職の関与
  • 相続時精算課税、修正申告・更正、三回以上の相続、納税資金、専門職の役割を整理します。
  • 入力資料チェックリスト
  • 高度論点
  • 専門職別の関与ポイント

まとめ

  • 相次相続控除を適用するケースの 計算例
  • 相次相続控除を適用するケースの計算例の全体像:財産評価額を直接下げる制度ではなく、各人の相続税額から控除する税額控除として整理します。
  • 相次相続控除を適用するケースの要件と登場人物:第一次相続、第二次相続、今回の被相続人、相続人・受遺者の位置づけを誤らないことが出発点です。
  • 相次相続控除を適用するケースの基本算式とEの早見表:A・B・C・D・Eを正しく入れ、C/(B-A)の上限とEの1年未満切捨てを確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

相次相続控除を適用するケースの計算例の全体像

10年以内に相続が続いたとき、前回相続で今回の被相続人に課された相続税額を基礎に、今回の相続税額から控除できるかを確認します。

相次相続控除は、短期間に相続が続いた場合に、前回の相続で今回の被相続人に課された相続税額の一部を、今回の相続に係る相続税額から差し引く制度です。財産評価額を直接下げる制度ではなく、各人の相続税額から控除する税額控除として整理します。

典型例は、祖父が亡くなって父が財産を相続し、父が相続税を負担した後、10年以内に父が亡くなって子が父の財産を相続する場面です。このページでは、A・B・C・D・Eの意味、基本算式、複数相続人、配偶者の税額軽減、相続放棄、未分割申告、相続登記、更正の請求までを一体で確認します。

先に結論控除の基礎になるのは、今回の相続人が前回払った相続税ではなく、今回の被相続人が前回の相続で課された相続税額です。ここを取り違えると、配偶者の税額軽減で税額がゼロだった場合などに誤りが生じます。

次の一覧は、相次相続控除を適用できるかを最初に見るための要件を整理したものです。制度の入口を確認することが重要で、各行から、相続人該当性、10年以内かどうか、前回相続で今回の被相続人に税額があったかを順に読み取ります。

確認する要件見るべき内容注意点
今回の被相続人の相続人であること今回財産を取得する人が相続人かを確認します。単なる受遺者や相続放棄者は、原則として対象外です。
10年以内の前回相続があること今回の相続開始前10年以内に、今回の被相続人が相続で財産を取得しているかを確認します。死亡日や相続開始日を戸籍・死亡診断書等で確認します。
前回相続で今回の被相続人に相続税が課されていること前回の申告書や修正申告書で、今回の被相続人の税額を確認します。配偶者の税額軽減などでゼロなら、Aはゼロです。

この控除は説明用の概算だけで完結するものではありません。実際の申告では、相続税申告書の第7表、相続税法、通達、前回・今回の申告資料を照合し、個別事情に応じて税理士等の専門家へ確認する必要があります。

Section 01

相次相続控除を適用するケースの要件と登場人物

第一次相続、第二次相続、今回の被相続人、相続人・受遺者の位置づけを誤らないことが出発点です。

相次相続控除の制度趣旨は、同じ財産またはそれに由来する財産に短期間で相続税負担が重なることを一定程度調整する点にあります。たとえば、父が祖父から土地を相続して相続税を負担し、その数年後に父が亡くなって子が同じ土地または売却代金を相続する場合が典型です。

次の比較一覧は、三世代で相続が続く場面の登場人物を表しています。誰が前回の相続で税額を負担し、誰の相続で控除を検討するのかを区別することが重要で、各列から「前回の納税者」と「今回の控除対象者」が一致しない点を読み取ります。

場面被相続人財産を取得する人相次相続控除での見方
第一次相続祖父父が祖父の相続で課された相続税額が、後のAになり得ます。
第二次相続子は父の相続で、父に課された前回税額を基礎に控除を検討します。
誤りやすい整理母など別の被相続人母に前回税額がなければ、子が以前に税を払っていてもAは生じません。

次の3つの項目は、相次相続控除の入口でよく問題になる適用可否の分かれ目を表しています。制度の対象外になる事情を早めに確認することが重要で、どの事情があるとAや適用対象者の要件に影響するかを読み取ります。

相続人性

相続人であるか

今回の財産取得者が、今回の被相続人の相続人であるかを確認します。相続人ではない受遺者は、Cに含まれても控除対象者にはなりません。

10年要件

前回相続が10年以内か

今回の相続開始前10年以内に、今回の被相続人が相続で財産を取得している必要があります。Eの切捨てとは別に、日付の判定を厳密に行います。

前回税額

今回の被相続人に税額があるか

前回相続で今回の被相続人に相続税が課されていることが必要です。配偶者の税額軽減でゼロなら、Aはゼロとして扱います。

相次相続控除は、子が祖父の相続で払った税金を控除する制度ではありません。第二次相続の被相続人である父が、第一次相続で課された相続税額を基礎に計算します。

Section 02

相次相続控除を適用するケースの基本算式とEの早見表

A・B・C・D・Eを正しく入れ、C/(B-A)の上限とEの1年未満切捨てを確認します。

国税庁タックスアンサーと相続税法基本通達が示す要素を、このページでは次の算式で整理します。

基本算式各相続人の相次相続控除額 = A × min{ C / (B - A), 1 } × D / C × (10 - E) / 10

C / (B - A) が100%を超えるときは、1として計算します。相次相続控除は前回の相続税を返金する制度ではなく、今回の各人の相続税額から差し引く制度です。控除額が各人の相続税額を上回る場合の申告書上の処理、端数処理、他の税額控除との順序は、申告書様式と専門家確認が必要です。

次の一覧は、算式に入れるA・B・C・D・Eの意味を表しています。記号の取り違えが計算誤りに直結するため重要で、各行から、前回相続の資料で確認する項目と今回相続の資料で確認する項目の違いを読み取ります。

記号意味主な確認資料注意点
A今回の被相続人が前回相続で課せられた相続税額前回申告書第1表、修正申告書、更正通知書相続時精算課税分の贈与税額控除後。延滞税、利子税、加算税、納税猶予免除税額は含めません。
B今回の被相続人が前回相続で取得した純資産価額前回財産明細、債務・葬式費用明細、遺産分割資料取得財産に相続時精算課税適用財産を加え、債務・葬式費用を控除します。
C今回相続で財産取得者全員が取得した純資産価額合計今回財産目録、受遺者資料、相続時精算課税資料控除対象者ではない受遺者の取得額も含みます。
D今回相続でその相続人が取得した純資産価額遺産分割協議書、遺言、取得財産明細法定相続分ではなく、実際の取得額で確認します。
E前回相続から今回相続までの年数戸籍、死亡診断書、除籍謄本等1年未満の期間は切り捨てます。

次の早見表は、前回相続から今回相続までの期間と控除割合の関係を表しています。経過年数が短いほど控除割合が大きくなるため重要で、期間の行からEに入れる年数と、(10 - E) / 10の割合を読み取ります。

前回相続から今回相続までE(10 - E) / 10
1年未満0100%
1年以上2年未満190%
2年以上3年未満280%
3年以上4年未満370%
4年以上5年未満460%
5年以上6年未満550%
6年以上7年未満640%
7年以上8年未満730%
8年以上9年未満820%
9年以上10年未満910%
10年100%

10年以内要件を満たすかどうかの判定と、算式上のEの切捨ては混同しやすい部分です。9年11か月ならEは9ですが、10年を少し超える場合は、10年以内要件自体が問題になります。

Section 03

相次相続控除を適用するケースの計算例 ― 基本型と複数相続人

国税庁Q&A型の300万円控除例と、長男・長女で取得割合が違う例を確認します。

基本例 ― 父が1,000万円の相続税を負担していた場合

次の表は、国税庁Q&A型の基本例に近い前提を表しています。C/(B-A)が100%を超えると上限処理が必要になるため重要で、A・B・C・D・Eの各数値から300万円の控除額に至る流れを読み取ります。

項目金額・内容
A ― 父が祖父の相続で課せられた相続税額1,000万円
B ― 父が祖父から取得した純資産価額1億5,000万円
C ― 父の相続で財産取得者全員が取得した純資産価額合計1億8,000万円
D ― 子が父から取得した純資産価額9,000万円
E ― 祖父死亡から父死亡までの経過年数4年
子の相続税額950万円

次の計算一覧は、基本例の各段階を表しています。どこで上限処理を行うかを見落とすと控除額を過大に計算するため重要で、C/(B-A)、D/C、年数割合、控除後税額を順に読み取ります。

計算段階計算内容結果
C/(B-A)1億8,000万円 / (1億5,000万円 - 1,000万円)約1.2857。100%超のため1として扱います。
D/C9,000万円 / 1億8,000万円0.5
(10-E)/10(10 - 4) / 100.6
相次相続控除額1,000万円 × 1 × 0.5 × 0.6300万円
控除後の税額950万円 - 300万円概算650万円

複数相続人 ― 長男6,000万円・長女4,000万円の場合

次の表は、今回の相続人が2人で取得額が異なる場合の前提と結果を表しています。控除額は任意に配分できずD/Cで按分されるため重要で、長男と長女の取得割合が控除額にどう反映されるかを読み取ります。

項目長男長女共通事項
取得純資産価額D6,000万円4,000万円Cは1億円
A父が祖父の相続で課せられた相続税額800万円Bは1億2,000万円
E2年(10 - 2) / 10 = 0.8
C/(B-A)1億円 / (1億2,000万円 - 800万円)約0.892857
控除額800万円 × 0.892857 × 6,000万円/1億円 × 0.8 = 約342.86万円800万円 × 0.892857 × 4,000万円/1億円 × 0.8 = 約228.57万円D/Cで按分

長男が納税資金に困っているから控除を長男へ多く寄せる、といった処理は制度上の按分とは別問題です。最終負担を調整したい場合は、遺産分割、代償金、納税資金、専門家連携を分けて検討します。

Section 04

相次相続控除を適用するケースの計算例 ― 財産減少・年数・受遺者

前回より財産が減った場合、11か月と9年11か月の差、相続人以外の受遺者がいる場合を確認します。

前回相続財産が大きく、今回相続財産が減っている場合

次の一覧は、前回相続後に生活費・医療費・不動産売却損などで財産が減った場面を表しています。Aを単純に年数で割り引くのではなくC/(B-A)で今回に残る財産規模を反映するため重要で、Cが小さくなると控除額も圧縮される点を読み取ります。

項目数値・考え方
前回取得純資産価額B1億2,000万円
前回相続税額A800万円
今回の純資産価額合計C1億円
C/(B-A)1億円 / 1億1,200万円 = 約0.892857
実務上の読み方B - Aは、前回取得純資産から前回相続税額を差し引いた税後の引継財産に近い概念です。

前回から1年未満と9年11か月の比較

次の比較表は、同じA・B・C・Dでも、経過年数Eによって控除額が大きく変わることを表しています。死亡日確認が控除額に直結するため重要で、11か月ではEが0、9年11か月ではEが9になる差を読み取ります。

共通前提・比較項目11か月の場合9年11か月の場合
A1,200万円
B1億円
C8,000万円
D8,000万円
C/(B-A)8,000万円 / 8,800万円 = 約0.909091
E09
控除額約1,090.91万円約109.09万円

相続人以外の受遺者がいる場合

次の表は、相続人である子と、相続人ではない知人が財産を取得した場合を表しています。Cには受遺者の取得額も入る一方、控除を受けられる人は相続人に限られるため重要で、子のD/Cが受遺者の取得額によって下がる点を読み取ります。

項目金額・内容
A600万円
B8,000万円
C6,000万円。子4,000万円と知人2,000万円を含みます。
D子の取得純資産価額4,000万円
E3年
C/(B-A)6,000万円 / 7,400万円 = 約0.810811
D/C4,000万円 / 6,000万円 = 0.666667
子の控除額600万円 × 0.810811 × 0.666667 × 0.7 = 約227.03万円
知人の扱い相続人でない場合、知人は相次相続控除の対象者ではありません。
Section 05

相次相続控除を適用できないケースと注意点

配偶者の税額軽減でAがゼロの場合、相続放棄者、受遺者、CやDの取り違えを整理します。

前回相続で母が配偶者の税額軽減により相続税額ゼロだった場合、母の相続で相次相続控除は算出されないと整理されます。Aは「今回の被相続人である母が前回相続で課せられた相続税額」なので、A = 0なら控除額も0です。

配偶者の税額軽減は、配偶者が取得した正味の遺産額が1億6,000万円または配偶者の法定相続分相当額のいずれか多い金額までは相続税がかからない制度です。一次相続の負担を大きく軽減する一方、配偶者自身に前回税額が生じなければ、その配偶者の将来の相続でAは生じません。

次の一覧は、適用できない、または誤りやすい場面を表しています。入口で除外すべき事情を見落とすと過少申告につながるため重要で、各項目からA・C・D・Eのどこに誤りが起きやすいかを読み取ります。

前回税額がゼロ

配偶者の税額軽減などで今回の被相続人の前回相続税額がゼロなら、Aはゼロです。

相続放棄後の遺贈

相続放棄をした人や相続権を失った人は、遺贈で財産を取得しても原則として控除対象者ではありません。

受遺者の扱い

相続人以外の受遺者は控除対象者ではありませんが、その取得額はCに含める必要があります。

Dの取り違え

Dは法定相続分ではなく、実際に取得した純資産価額です。未分割なら暫定申告の考え方を確認します。

Eの四捨五入

Eは1年未満切捨てです。4年6か月は4年、9年11か月は9年です。

税外項目の混入

Aに延滞税、利子税、加算税、納税猶予の免除税額を含めないよう確認します。

次の表は、誤りやすい処理と正しい確認先を対応させたものです。実務での修正コストを下げるため重要で、どの資料を見直せば誤りを発見しやすいかを読み取ります。

誤りやすい処理正しい確認主な資料
自分が前回払った相続税をAに入れる今回の被相続人が前回課された税額をAにします。前回申告書第1表
配偶者の税額軽減前の理論値をAにする税額軽減後の実際の前回税額を確認します。前回申告書、税額軽減明細
Cに受遺者を入れ忘れる今回の相続・遺贈・相続時精算課税に係る取得者全員を含めます。遺言、受遺者資料、財産目録
相続財産から控除すると誤解する相次相続控除は各人の税額から差し引く税額控除です。申告書第7表、各人の税額計算
Section 06

相次相続控除を申告で使う手順と第7表

相続税全体の計算、未分割申告、相続登記、申告期限・提出先を同時に確認します。

相続税は、各人の実取得額に直接税率を掛けるのではなく、課税価格の合計から基礎控除額を控除し、法定相続分で仮分割して相続税の総額を求め、その後、実際の取得割合で各人に按分します。相次相続控除は、この後に各人ごとに差し引きます。

次の計算一覧は、子A・子Bの2人が相続する実務型の流れを表しています。相次相続控除をどの段階で差し引くかを確認することが重要で、相続税の総額、実取得割合、相次相続控除額、控除後税額の順に読み取ります。

段階子A子B共通事項
今回の取得額6,000万円3,000万円Cは9,000万円。法定相続人は子2人。
基礎控除・課税遺産総額3,000万円 + 600万円 × 2 = 4,200万円。9,000万円 - 4,200万円 = 4,800万円。課税遺産総額を法定相続分で仮分割します。
相続税の総額2,400万円 × 15% - 50万円 = 310万円2,400万円 × 15% - 50万円 = 310万円総額620万円
控除前税額620万円 × 2/3 = 約413.33万円620万円 × 1/3 = 約206.67万円実取得割合で按分
相次相続控除約235.29万円約117.65万円A800万円、B1億1,000万円、E5年、C/(B-A)=約0.882353
控除後税額約178.04万円約89.02万円概算。実申告では端数処理と他控除を確認します。

次の判断の流れは、相次相続控除を申告に反映するまでの確認順序を表しています。適用可否と資料確認の順番を間違えないことが重要で、上から順に、入口要件、A・B・C・D・E、上限処理、申告・更正の請求の分岐を読み取ります。

相次相続控除の実務判断

Step 1 ― 相続人性

今回の財産取得者が今回の被相続人の相続人かを確認します。

Step 2 ― 10年以内の前回相続

今回の被相続人が、今回相続開始前10年以内の相続で財産を取得したかを確認します。

Step 3 ― 前回税額A

前回相続で今回の被相続人に相続税が課されていたかを確認します。

Step 4 ― A・B・C・D・E

前回申告書、今回財産目録、遺産分割資料、債務・葬式費用、相続時精算課税資料を照合します。

Step 5 ― 第7表へ反映

C/(B-A)の上限、D/Cの按分、Eの切捨てを確認し、各人の相続税額から控除します。

次の時系列は、申告・未分割・登記・更正の請求で問題になる期限を表しています。相次相続控除だけでなく、申告期限や登記義務も同時に進むため重要で、どの期限が税務、登記、事後調整に関わるかを読み取ります。

相続開始後

資料収集と相続人確認

前回申告書、今回財産目録、戸籍、遺言、遺産分割資料、受遺者資料を集めます。

10か月以内

相続税申告と納税

提出先は被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署です。相次相続控除は第7表で整理します。

未分割の場合

期限内申告と後日調整

未分割でも申告期限は延びません。分割後に税額が少なくなる場合は、更正の請求の期限を確認します。

不動産取得を知った日から3年以内

相続登記

令和6年4月1日から相続登記が義務化され、正当な理由なく怠ると過料の対象となる可能性があります。

原則5年以内

更正の請求

税額を過大に申告していた場合は、法定申告期限から原則5年以内かを確認します。後発的理由では別期限が問題になります。

次の対応表は、第7表で確認したい概念と実務資料の関係を表しています。申告書への転記誤りを防ぐため重要で、どの記号をどの資料から確認するかを読み取ります。

第7表で確認したい概念記号実務資料
前回相続で今回の被相続人に課せられた相続税額A前回申告書第1表等
前回相続で今回の被相続人が取得した純資産価額B前回財産明細・遺産分割資料
今回相続で全取得者が取得した純資産価額合計C今回申告書・財産目録
今回その相続人が取得した純資産価額D遺産分割協議書・遺言・取得財産
前回相続から今回相続までの年数E戸籍・死亡日資料
Section 07

相次相続控除の高度論点と専門職の関与

相続時精算課税、修正申告・更正、三回以上の相続、納税資金、専門職の役割を整理します。

入力資料チェックリスト

次の表は、前回相続と今回相続で集める資料を表しています。相次相続控除では両方の相続資料を照合する必要があるため重要で、A・Bは前回資料、C・Dは今回資料から確認する流れを読み取ります。

区分資料目的
前回相続相続税申告書控え、第1表、財産明細AとBの確認
前回相続債務・葬式費用の明細、遺産分割協議書または遺言書純資産価額と取得財産の確認
前回相続修正申告書・更正通知書、相続時精算課税に関する明細Aの変動、Bに含める金額の確認
今回相続財産目録、遺産分割協議書・遺言書CとDの基礎、Dの確定
今回相続相続人関係説明図・戸籍、受遺者・包括受遺者資料適用対象者とCに含める対象の確認
今回相続債務・葬式費用、不動産評価、非上場株式評価、相続時精算課税資料C・Dの純資産計算と評価

高度論点

次の比較表は、相続時精算課税、修正申告、三回以上の相続、納税資金という高度論点を表しています。計算例だけでは拾いきれない例外が申告額に影響するため重要で、どの論点がA・B・C・D・Eのどこに影響するかを読み取ります。

論点確認する内容影響する要素
相続時精算課税適用財産Bには取得財産の価額に相続時精算課税適用財産の価額を含める場合があります。令和6年1月1日以後の贈与は基礎控除額控除後の残額の扱いも確認します。B、C、D
前回税額の修正・更正第一次相続で修正申告や更正がある場合、当初申告書だけでAを確定すると誤る可能性があります。A
三回以上の相続祖父、父、母、子のように相続が続く場合、誰がどの相続で財産を取得し、誰に税額が課されたかを分解します。A、E、相続人性
納税資金控除後も不動産や非上場株式が中心だと現金納付が難しいことがあります。延納・物納、生命保険、売却、代償金を検討します。納付計画

次の整理表は、三回以上相続が続いた場合の分解方法を表しています。複数回の相続では、前の相続の税額が次の相続で誰のAになり得るかを追うことが重要で、各行から「次の相続で確認する人」を読み取ります。

相続被相続人財産取得者税額を負担した人次の相続でAになり得るか
第1回祖父父の相続で子が控除を検討
第2回母・子母・子母の相続で母の税額がAになり得ます
第3回子の相続でさらに検討可能です

専門職別の関与ポイント

次の一覧は、相次相続控除に関わる専門職の役割を表しています。税務だけで完結しない相続では役割分担が重要で、どの論点を誰に確認するかを読み取ります。

税理士

A・B・C・D・Eの確定、第7表作成、相続税総額、他の税額控除との関係整理を担います。

税務中心

弁護士

遺産分割紛争、遺留分、使い込み疑い、調停・審判・訴訟を担い、Dの確定に関わります。

紛争対応

司法書士

相続登記、不動産名義変更、戸籍収集、登記用書類、裁判所提出書類作成などを担います。

登記

行政書士

紛争性のない範囲で遺産分割協議書、相続人関係説明図、各種書類作成を支援します。

書類

不動産鑑定士・土地家屋調査士

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Section 08

相次相続控除を適用するケースのFAQ

よくある疑問を一般情報として整理します。個別の見通しは資料により変わります。

相次相続控除は、前回の相続で自分が払った相続税を控除する制度ですか。

一般的には、基礎になるのは今回の被相続人が前回の相続で課された相続税額とされています。今回の相続人自身が前回払った相続税ではありません。ただし、具体的な資料関係によって確認事項は変わる可能性があります。個別の申告判断は、前回申告書等を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

前回の相続で母が配偶者の税額軽減により相続税ゼロでした。母の相続で子は相次相続控除を使えますか。

一般的には、今回の被相続人である母の前回相続税額Aがゼロであれば、相次相続控除額もゼロになると整理されています。ただし、前回申告の内容、修正申告、更正、取得財産の状況によって確認事項が変わる可能性があります。具体的には申告書控えを確認し、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

相続放棄をしましたが、遺贈で財産を取得しました。相次相続控除を使えますか。

一般的には、相続放棄をした人や相続権を失った人は、遺贈により財産を取得しても相次相続控除の適用対象外と整理されています。ただし、遺贈の内容、相続人関係、他の税務論点によって確認事項が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで税理士や弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

前回相続から9年11か月です。Eは10年ですか。

一般的には、Eは1年未満の端数を切り捨てるため、9年11か月では9年と整理されます。ただし、相続開始日、死亡日、失踪宣告などの事実関係によって確認事項が変わる可能性があります。具体的には戸籍や死亡日資料を確認し、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

前回相続から10年を少し超えています。相次相続控除は使えますか。

一般的には、今回の相続開始前10年以内に開始した相続であることが要件とされています。10年を超える場合は対象外と整理される可能性があります。ただし、日付の判定や資料関係で確認事項が変わる可能性があるため、具体的には戸籍・死亡日資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

相続税申告後に相次相続控除の適用漏れに気付きました。

一般的には、税額を過大に申告していた場合には更正の請求を検討することがあります。相続税では、法定申告期限から原則5年以内とされる場面がありますが、未分割後の分割など別の期限が問題になることもあります。具体的には当初申告書、第7表、分割資料を整理し、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

遺産分割が終わらないと、相次相続控除は計算できませんか。

一般的には、最終取得額Dが確定しないため計算は難しくなりますが、相続税申告期限は遺産分割未了でも延びないとされています。未分割の場合は民法上の相続分等に従って期限内申告し、分割後に調整する場面があります。具体的な申告方針は、分割状況と税務資料を整理したうえで税理士や弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

不動産の相続登記は、相次相続控除の申告とは別ですか。

一般的には、相続登記と相続税申告は別の手続です。ただし、不動産の取得者、評価額、分割内容は相続税計算にも登記にも影響します。相続登記は令和6年4月1日から義務化されています。具体的には相続税申告は税理士、登記は司法書士等へ資料を示して相談する必要があります。

Section 09

相次相続控除を適用するケースの計算例のまとめ

A・B・C・D・E、10年要件、対象者、資料確認を一つずつ確認します。

相次相続控除を適用するケースの計算例で最も重要なのは、前回相続で今回の被相続人に課された相続税額を基礎にする点です。今回の相続人が前回払った税額ではありません。

次の重要ポイントは、このページ全体で確認した判断軸を表しています。申告前に漏れをなくすため重要で、対象者、10年要件、A・B・C・D・E、資料、専門職連携の順に読み取ります。

相次相続控除は「誰の前回税額か」を確認する制度です

今回の被相続人が10年以内の前回相続で財産を取得し、その財産について相続税が課されていたかを確認します。計算式は A × min{C/(B-A),1} × D/C × (10-E)/10 で、Eは1年未満切捨てです。

次のワークシートは、相次相続控除の概算検討で入力する情報を表しています。概算段階で不足資料を見つけるため重要で、前回相続、今回相続、経過年数、計算過程、控除額の順に確認します。

確認区分入力・確認する項目
前回相続前回の被相続人、前回の相続開始日、今回の被相続人が前回取得した財産、A、B
今回相続今回の被相続人、今回の相続開始日、C、相次相続控除を受ける相続人、D
経過年数前回相続開始日から今回相続開始日まで、1年未満切捨て後のE
計算B - A、C/(B-A)、1を超えるか、D/C、(10-E)/10
控除額A × min{C/(B-A),1} × D/C × (10-E)/10

このワークシートで概算できたとしても、実際の申告では相続税の総額計算、他の税額控除、2割加算、配偶者の税額軽減、小規模宅地等の特例、未分割申告、相続時精算課税、過去の修正申告などを確認します。

  1. 適用対象者は今回の被相続人の相続人です。相続放棄者や相続権を失った人は対象外と整理されます。
  2. 前回相続から今回相続までが10年以内で、前回相続で今回の被相続人に相続税が課されている必要があります。
  3. Cには相続人以外の受遺者の取得額も含めますが、控除対象者は相続人に限られます。
  4. 実務では、前回申告書、今回財産目録、遺産分割資料、相続時精算課税資料、不動産評価、相続登記、紛争状況を総合して確認します。
Reference

参考資料

国税庁資料

  • 国税庁「No.4168 相次相続控除」
  • 国税庁「No.4168 相次相続控除 Q&A」
  • 国税庁「第20条《相次相続控除》関係(相続税法基本通達)」
  • 国税庁「No.4152 相続税の計算」
  • 国税庁「No.4155 相続税の税率」
  • 国税庁「No.4158 配偶者の税額の軽減」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 国税庁「No.4208 相続財産が分割されていないときの申告」
  • 国税庁「相続税の申告書等の様式一覧(令和7年分用)」
  • 国税庁「B1-27 相続税及び贈与税の更正の請求手続」

法令・登記関連資料

  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • e-Gov法令検索「相続税法」