2σ Guide

年金受給者が年の途中で亡くなった場合
準確定申告は必要か

年金だけなら常に申告が必要、とは限りません。死亡年の所得、年金以外の収入、源泉徴収、控除、未支給年金の扱いを分けて、4か月期限の中で確認します。

400万円 公的年金等収入の主な基準
20万円 年金以外の所得基準
4か月 準確定申告の期限
本ページは株式会社Dプロフェッションズ(医師/医療機関/弁護士/弁護士法人ではありません)が運営しています。
一般的な情報提供を目的としており医療上の助言や法律相談等を行うものではありません。
広告(PR)を掲載しています。広告は編集内容や推奨を意味しません。
Video

年金受給者が年の途中で亡くなった場合 準確定申告は必要か

年金だけなら常に申告が必要、とは限りません。

動画を読み込み中…
2σ GUIDE ・ VIDEO
年金受給者が年の途中で亡くなった場合 準確定申告は必要か
年金だけなら常に申告が必要、とは限りません。
動画の文字起こし(全文テキスト)

2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 年金受給者が年の途中で亡くなった場合 準確定申告は必要か
  • 年金だけなら常に申告が必要、とは限りません。

POINT 1

  • 年金受給者の準確定申告は必要な場合と不要な場合に分かれる
  • まず、所得税の申告義務、還付の可能性、未支給年金の扱いを切り分けます。
  • 結論は、亡くなった方が年金受給者だったからといって、必ず準確定申告が必要になるわけではない、という整理です。
  • どの行に近いかを確認すると、申告義務の有無だけでなく、住民税申告や還付申告の確認が必要な場面も見えやすくなります。

POINT 2

  • 年金受給者の準確定申告を判断する基本用語と考え方
  • 1. 年金の種類を分ける:老齢年金、遺族年金、障害年金、企業年金、個人年金を確認します。
  • 2. 死亡日までの支払額を確認する:死亡年1月1日から死亡日までに本人へ支払われた年金額、源泉徴収税額、社会保険料等を見ます。
  • 3. 年金以外の所得を確認する:不動産賃貸、事業、給与、株式譲渡、配当、個人年金などを確認します。
  • 4. 申告不要制度と還付を判定する:400万円、20万円、源泉徴収、医療費控除などを組み合わせて考えます。
  • 5. 4か月以内に申告:相続人情報、付表、資料、還付金受領方法を整えます。
  • 6. 住民税などを別確認:所得税が不要でも、自治体手続や年金手続は残る場合があります。

POINT 3

  • 年金受給者死亡年の準確定申告で所得を区切る時点と未支給年金
  • 1. 所得の計算期間が終わる:死亡年1月1日から死亡日までに確定した所得を準確定申告で確認します。
  • 2. 源泉徴収票の到着を待つ:死亡届や未支給年金の手続後、準確定申告用源泉徴収票が発送される取扱いがあります。
  • 3. 資料到着まで時間がかかることがある:発送まで時間がかかるため、通帳、振込通知、社会保険料額も並行して確認します。
  • 4. 必要な場合は準確定申告を提出:相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告します。

POINT 4

  • 遺族年金・障害年金のみなら準確定申告の対象になりにくい
  • 同じ年金でも、老齢年金と非課税年金では税務上の扱いが異なります。
  • 遺族年金や障害年金は、老齢年金と同じ「年金」という名称で呼ばれますが、税務上の扱いは異なります。
  • 障害年金や遺族年金は所得税及び復興特別所得税の課税対象ではないため、公的年金等の源泉徴収票は送付されない取扱いです。
  • 次の例の一覧は、非課税の年金だけで終わる場合と、他の課税所得があるため別途判定が必要な場合を分けています。

POINT 5

  • 年金受給者の準確定申告が必要になりやすい具体例
  • 400万円超、20万円超、前年分未申告、外国年金や個人年金に注意します。
  • もっとも、400万円を超えたら機械的に税額が出るわけではありません。
  • 公的年金等控除、基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除、医療費控除などを差し引いて税額を計算します。
  • 次の所得一覧は、公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円を超えるかを確認するためのものです。

POINT 6

  • 年金受給者の準確定申告で還付を検討する控除と死亡日判定
  • 申告義務がなくても、医療費控除などで還付が見込まれる場合があります。
  • 所得税の準確定申告が法律上不要であっても、相続人が申告を検討すべき場合があります。
  • 代表例は、還付が見込まれる場合です。
  • 亡くなる前に高額な医療費を故人本人が支払っていた場合、医療費控除を反映すると所得税が還付される可能性があります。

POINT 7

  • 年金受給者の準確定申告の主体・期限・提出先と必要書類
  • 相続人が複数いる場合の提出方法と、資料収集の範囲を確認します。
  • 準確定申告は、相続人または包括受遺者が行います。
  • 相続人が複数いる場合、各相続人等が連署により準確定申告書を提出するのが基本です。
  • 次の期限と提出先の一覧は、準確定申告でまず管理すべき時間軸と提出先をまとめたものです。

POINT 8

  • 年金受給者の準確定申告の計算例と判断例
  • 申告不要、還付検討、申告必要、未支給年金の混同を具体例で整理します。
  • 申告不要になりやすい例
  • 還付申告を検討すべき例
  • 申告が必要になりやすい例

まとめ

  • 年金受給者が年の途中で亡くなった場合 準確定申告は必要か
  • 年金受給者の準確定申告は必要な場合と不要な場合に分かれる:まず、所得税の申告義務、還付の可能性、未支給年金の扱いを切り分けます。
  • 年金受給者の準確定申告を判断する基本用語と考え方:準確定申告は、故人が通常の確定申告をすべき状態だったかを見る手続です。
  • 年金受給者死亡年の準確定申告で所得を区切る時点と未支給年金:死亡日までに本人へ支払われた年金と、死亡後に遺族が請求する年金を分けます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

年金受給者の準確定申告は必要な場合と不要な場合に分かれる

まず、所得税の申告義務、還付の可能性、未支給年金の扱いを切り分けます。

結論は、亡くなった方が年金受給者だったからといって、必ず準確定申告が必要になるわけではない、という整理です。必要かどうかは、死亡した年の1月1日から死亡日までに確定した所得、源泉徴収、各種所得控除、年金以外の所得、還付を受けたいかどうかを総合して判定します。

次の一覧は、年金受給者が亡くなった場面で最初に見るべき状況、所得税の準確定申告の要否、実務上の読み取り方をまとめたものです。どの行に近いかを確認すると、申告義務の有無だけでなく、住民税申告や還付申告の確認が必要な場面も見えやすくなります。

状況所得税の準確定申告実務上の説明
老齢年金などの公的年金等だけを受給し、その年の公的年金等収入が400万円以下で、公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下原則不要公的年金等に係る確定申告不要制度の対象になり得ます。住民税申告は別途確認が必要です。
公的年金等収入が400万円を超える必要になりやすい所得控除後に税額が生じるかを確認します。
年金以外に不動産所得、事業所得、給与所得、譲渡所得、配当所得、個人年金などがある必要になることがある20万円基準、所得区分、源泉徴収、申告分離課税の有無を確認します。
医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除などを反映すると還付が見込まれる義務がなくても検討源泉徴収税額がある場合、還付申告により税金が戻る可能性があります。
障害年金や遺族年金のみ通常は不要これらは所得税の課税対象にならないため、課税所得が他になければ準確定申告の対象になりにくいです。
死亡後に遺族が受け取る未支給年金がある故人の申告には通常入れない未支給年金は、一定の遺族が固有の権利として請求するもので、受け取った遺族の一時所得に該当します。
要点「年金400万円以下ならすべて不要」とも、「年金受給者が死亡したら必ず必要」ともいえません。年金の種類、他の所得、控除、還付、住民税、相続税との関係を分けて確認する必要があります。
Section 01

年金受給者の準確定申告を判断する基本用語と考え方

準確定申告は、故人が通常の確定申告をすべき状態だったかを見る手続です。

年金受給者が亡くなると、死亡届、葬儀、未支給年金の請求、遺族年金の検討、預貯金や不動産の名義変更、相続放棄、相続税申告の要否確認が同時期に進みます。その中で準確定申告が出てくるため、相続人は年金だけの親でも必要なのか、4か月以内に何を出すのか、未支給年金を入れるのか、医療費をどう扱うのか、相続人間で話し合いがまとまらない場合は誰が申告するのか、という不安を抱きやすくなります。

次の用語一覧は、死亡した年の所得税、年金制度、相続実務を切り分けるための基本概念を整理したものです。言葉の意味をそろえることが重要なのは、同じ「年金」でも老齢年金、未支給年金、遺族年金、障害年金で課税関係が異なるためです。右の列から、準確定申告のどこに影響するかを読み取ってください。

用語意味重要性
被相続人亡くなった人年金受給者であった故人を指します。
相続人被相続人の権利義務を承継する人準確定申告を行う主体になります。
準確定申告亡くなった人の死亡年の所得税等を、相続人等が代わって申告する手続死亡年1月1日から死亡日までの所得を計算します。
公的年金等国民年金、厚生年金、共済年金、退職を原因とする一定の年金など老齢年金は通常、雑所得として課税対象になります。
公的年金等に係る雑所得公的年金等収入から公的年金等控除額を差し引いた所得申告要否の中核となる所得区分です。
確定申告不要制度一定の公的年金受給者について所得税の確定申告を不要とする制度年金受給者の準確定申告要否に大きく関係します。
未支給年金死亡した年金受給者に支給されるはずだったが、まだ支払われていない年金など故人の準確定申告ではなく、受け取る遺族側の所得として扱う点が重要です。
遺族年金一定の遺族に支給される年金原則として所得税も相続税も課税されません。
障害年金障害を理由に支給される年金原則として所得税の課税対象ではありません。

次の判断の流れは、年金受給者の準確定申告で最初に確認する順番を示しています。この順番が重要なのは、年金の種類を誤ると未支給年金や非課税年金を故人の所得に入れてしまう可能性があるためです。上から順に、申告義務、還付の有無、4か月期限の管理を分けて読み取ります。

準確定申告の要否を確認する順番

年金の種類を分ける

老齢年金、遺族年金、障害年金、企業年金、個人年金を確認します。

死亡日までの支払額を確認する

死亡年1月1日から死亡日までに本人へ支払われた年金額、源泉徴収税額、社会保険料等を見ます。

年金以外の所得を確認する

不動産賃貸、事業、給与、株式譲渡、配当、個人年金などを確認します。

申告不要制度と還付を判定する

400万円、20万円、源泉徴収、医療費控除などを組み合わせて考えます。

必要または有利
4か月以内に申告

相続人情報、付表、資料、還付金受領方法を整えます。

不要に近い
住民税などを別確認

所得税が不要でも、自治体手続や年金手続は残る場合があります。

Section 02

年金受給者の準確定申告と公的年金等の申告不要制度

400万円以下、20万円以下、源泉徴収対象という3つの要件を確認します。

公的年金受給者の準確定申告要否を判断するうえで、もっとも重要なのが公的年金等に係る確定申告不要制度です。公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、一定の要件を満たす場合には、所得税の確定申告の必要がないとされています。

次の要件一覧は、年金だけの方が死亡した場合に所得税の準確定申告が不要になり得る入口を示しています。重要なのは、金額だけでなく、年金の全部が源泉徴収対象か、年金以外の所得が20万円以下かも同時に確認する点です。3つの要件を横に見比べ、どれか1つでも外れる場合は追加確認が必要だと読み取ってください。

要件内容確認のしかた
要件1その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であること死亡日までの支払額を源泉徴収票、振込通知、通帳で確認します。
要件2その公的年金等の全部が源泉徴収の対象であること外国年金など源泉徴収対象外の年金がないか確認します。
要件3公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であること不動産、事業、給与、配当、譲渡、個人年金などを確認します。

この制度に該当する場合、年金受給者が年の途中で亡くなっても、原則として所得税の準確定申告は不要と考えられます。たとえば、故人が老齢基礎年金と老齢厚生年金だけを受け取り、死亡日までの支払額が400万円以下で、他の所得がない場合は、準確定申告をしなくてもよいケースが多くあります。

注意申告不要制度は所得税の確定申告をしなくてもよい制度です。住民税の申告まで当然に不要にする制度ではありません。また、医療費控除や社会保険料控除などで還付が見込まれる場合は、申告不要でも還付申告を検討できます。

外国の公的年金など、源泉徴収の対象とされない公的年金等が含まれる場合には、申告不要制度が適用できないことがあります。年金の名称だけで判断せず、日本の源泉徴収制度の対象かどうかを確認します。

Section 03

年金受給者死亡年の準確定申告で所得を区切る時点と未支給年金

死亡日までに本人へ支払われた年金と、死亡後に遺族が請求する年金を分けます。

準確定申告では、死亡した年の1月1日から死亡日までに確定した所得を計算します。年金については、死亡日までに故人本人へ支払われた金額を中心に確認します。準確定申告用の公的年金等の源泉徴収票は、死亡日までにその方へ支払った年金に係るものとして扱われます。

次の時系列は、年金関係の死亡手続と準確定申告期限がどう重なるかを示しています。期限管理が重要なのは、準確定申告の4か月期限に対して、準確定申告用源泉徴収票の発送が手続後おおむね2か月から3か月かかることがあるためです。順番と期間を見て、年金手続を早めに進める必要性を読み取ってください。

死亡日

所得の計算期間が終わる

死亡年1月1日から死亡日までに確定した所得を準確定申告で確認します。

死亡手続後

源泉徴収票の到着を待つ

死亡届や未支給年金の手続後、準確定申告用源泉徴収票が発送される取扱いがあります。

2か月から3か月程度

資料到着まで時間がかかることがある

発送まで時間がかかるため、通帳、振込通知、社会保険料額も並行して確認します。

4か月以内

必要な場合は準確定申告を提出

相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内に申告します。

受給者が12月の支払日から翌年2月の支払日の間に亡くなった場合など、通常の公的年金等の源泉徴収票が発行され、準確定申告用源泉徴収票が発行されない場合もあります。これは、亡くなった年の年金の全額を受給者本人に支給しているためと説明されています。

次の比較表は、死亡日までに本人へ支払われた年金、死亡後に遺族が請求する未支給年金、遺族年金の違いを整理したものです。この区別が重要なのは、未支給年金を故人の公的年金等収入に入れてしまう誤りが起きやすいためです。所得税上の扱いと相続税上の扱いを並べて読み取り、申告する人が誰かを確認します。

金銭の種類所得税上の扱い相続税上の扱い説明
死亡日までに故人本人へ支払われた老齢年金故人の公的年金等に係る雑所得故人の所得税計算対象準確定申告の対象になり得ます。
死亡後に遺族が請求して受け取る未支給年金受け取った遺族の一時所得原則として相続税の対象外故人の準確定申告に入れない点が重要です。
遺族年金原則非課税原則非課税遺族固有の給付として扱います。

一時所得には特別控除額50万円などの計算構造があります。ただし、他の一時所得がある場合には合算が必要です。未支給年金の金額が少ない場合でも、同じ年に満期保険金、解約返戻金、懸賞金など他の一時所得があるときは、受け取った遺族側で確認が必要になります。

Section 04

遺族年金・障害年金のみなら準確定申告の対象になりにくい

同じ年金でも、老齢年金と非課税年金では税務上の扱いが異なります。

遺族年金や障害年金は、老齢年金と同じ「年金」という名称で呼ばれますが、税務上の扱いは異なります。国民年金法、厚生年金保険法などに基づいて遺族の方に支給される遺族年金や遺族恩給は、原則として所得税も相続税も課税されないとされています。障害年金や遺族年金は所得税及び復興特別所得税の課税対象ではないため、公的年金等の源泉徴収票は送付されない取扱いです。

次の例の一覧は、非課税の年金だけで終わる場合と、他の課税所得があるため別途判定が必要な場合を分けています。この違いが重要なのは、年金そのものが非課税でも、不動産賃貸や給与、事業収入があれば準確定申告の判断が残るためです。左の例を見て、年金以外の所得の有無を読み取ってください。

注意点
故人が障害年金だけを受け、他に課税所得がない所得税の準確定申告は通常不要です。
故人が障害年金のほかに不動産賃貸収入を得ていた不動産所得について準確定申告が必要になることがあります。
故人が遺族年金のほかに給与収入や事業収入を得ていた年金が非課税でも、他の課税所得は別に判定します。
故人が老齢年金と個人年金を受け取っていた個人年金は公的年金等とは異なる所得区分になる場合があります。
確認故人が受けていた年金が障害年金だけであり、他に課税所得がない場合、所得税の準確定申告は通常不要です。故人の配偶者が死亡後に遺族年金を受け取る場合も、その遺族年金自体は配偶者の所得税申告対象には通常なりません。
Section 05

年金受給者の準確定申告が必要になりやすい具体例

400万円超、20万円超、前年分未申告、外国年金や個人年金に注意します。

死亡日までに故人本人へ支払われた公的年金等の収入が400万円を超える場合、公的年金等に係る確定申告不要制度の要件を満たしません。もっとも、400万円を超えたら機械的に税額が出るわけではありません。公的年金等控除、基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除、医療費控除などを差し引いて税額を計算します。令和7年度税制改正では所得税の基礎控除などが見直され、原則として令和7年分以後の所得税に適用されるため、死亡年の制度に基づく確認が必要です。

次の所得一覧は、公的年金等に係る雑所得以外の所得が20万円を超えるかを確認するためのものです。この確認が重要なのは、年金収入が400万円以下でも、他の所得が20万円を超えると申告不要制度から外れる可能性があるためです。所得の種類ごとに、どの資料を見ればよいかを読み取ってください。

所得の種類確認すべき資料
不動産所得アパート、貸家、駐車場、地代賃貸契約書、家賃入金記録、固定資産税、修繕費、管理費
事業所得個人商店、農業、士業、請負業帳簿、売上台帳、領収書、青色申告決算書または収支内訳書
給与所得パート、役員報酬、再雇用給与給与所得の源泉徴収票
雑所得個人年金、執筆料、講演料支払通知書、必要経費資料
譲渡所得不動産売却、株式売却売買契約書、取得費資料、証券会社年間取引報告書
配当所得上場株式配当、非上場株式配当支払通知書、配当計算書

高齢者の場合、不動産賃貸、農地貸付、太陽光売電、個人年金、満期保険金、株式譲渡が見落とされがちです。通帳を見るときは、年金振込だけでなく、家賃、保険会社、証券会社、事業入金の有無も確認します。

次の4つの項目は、年金受給者の準確定申告で見落としやすい追加確認事項を並べたものです。これらが重要なのは、年金だけの単純な判定から外れ、前年分や外国制度、保険契約などの確認が必要になるためです。各項目から、どの年分、どの資料、どの所得区分を追加で見るべきかを読み取ってください。

1

前年分を申告しないまま死亡した場合

翌年1月1日から確定申告期限までの間に前年分を提出しないまま死亡したときは、前年分と本年分の両方について4か月以内の整理が必要になります。

期限
2

外国年金がある場合

源泉徴収の対象とされない外国年金などが含まれると、申告不要制度が適用できないことがあります。

要確認
3

個人年金保険がある場合

生命保険契約や生命共済契約に基づく年金は、公的年金等とは異なる所得区分になる場合があります。

所得区分
4

企業年金がある場合

過去の勤務により会社などから支払われる年金や確定給付企業年金は、公的年金等に該当するかを資料で確認します。

資料確認
Section 06

年金受給者の準確定申告で還付を検討する控除と死亡日判定

申告義務がなくても、医療費控除などで還付が見込まれる場合があります。

所得税の準確定申告が法律上不要であっても、相続人が申告を検討すべき場合があります。代表例は、還付が見込まれる場合です。亡くなる前に高額な医療費を故人本人が支払っていた場合、医療費控除を反映すると所得税が還付される可能性があります。

次の比較表は、医療費の支払時点と支払者によって、故人の準確定申告で医療費控除に含められるかを整理したものです。この区別が重要なのは、死亡後に相続人が支払った医療費を故人の医療費控除に入れる誤りが起きやすいためです。支払日と支払者の組み合わせから、どの申告で検討する話なのかを読み取ってください。

支払時点と支払者故人の準確定申告で医療費控除できるか補足
死亡日までに故人本人が支払った医療費できる領収書、医療費通知、通帳記録を確認します。
死亡後に相続人が故人の未払医療費を支払ったできない所得税の準確定申告ではなく、相続税の債務控除や相続人自身の医療費控除の可否を別途検討します。
死亡前に同一生計親族が故人の医療費を支払った個別判断支払者側の確定申告で医療費控除となる可能性があります。

社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除の対象となるのは、死亡日までに被相続人が支払った保険料等の額です。年金から介護保険料、後期高齢者医療保険料、国民健康保険料などが特別徴収されていた場合、源泉徴収票や自治体からの通知で金額を確認します。

次の一覧は、死亡日を基準に判定する主な所得控除を整理したものです。死亡日基準が重要なのは、年の途中で亡くなった場合でも人的控除を月割しない一方、医療費や保険料は死亡日までに誰が支払ったかで扱いが変わるためです。控除ごとに、金額の確認先と注意点を読み取ってください。

控除判定の基本注意点
医療費控除死亡日までに故人が支払った医療費死亡後に相続人が支払った医療費は故人の準確定申告に含めません。
社会保険料控除死亡日までに故人が支払った保険料等年金から天引きされた額、口座振替、納付書払いを確認します。
生命保険料控除死亡日までに故人が支払った保険料控除証明書が年末前に届かない場合、保険会社に早めに照会します。
配偶者控除、扶養控除死亡日の現況月割計算はしません。
寄附金控除死亡日までに故人が支出した特定寄附金ふるさと納税のワンストップ特例は死亡時の処理に注意します。
還付期間還付申告は、その年の翌年1月1日から5年間提出できるとされています。ただし、納税義務がある準確定申告では4か月以内の期限管理が重要です。
Section 07

年金受給者の準確定申告の主体・期限・提出先と必要書類

相続人が複数いる場合の提出方法と、資料収集の範囲を確認します。

準確定申告は、相続人または包括受遺者が行います。相続人が複数いる場合、各相続人等が連署により準確定申告書を提出するのが基本です。ただし、他の相続人等の氏名を付記して各人が別々に提出することもでき、その場合は提出した相続人等が他の相続人等に申告内容を通知しなければならないとされています。

次の期限と提出先の一覧は、準確定申告でまず管理すべき時間軸と提出先をまとめたものです。期限の起算点が重要なのは、通常は死亡日の翌日から4か月以内と考える一方、孤独死などで発見日と死亡日が異なる場合は事実関係の記録が必要になるためです。左から起算点、期限、提出先を読み取ってください。

項目内容例・注意点
申告する人相続人または包括受遺者複数いる場合は連署または各人提出と通知を検討します。
期限相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内5月10日に知った場合、原則として9月10日までです。
前年分未申告前年分と本年分を4か月以内に整理2月1日に死亡し前年分未申告なら、原則として6月1日までに整理します。
提出先被相続人の死亡当時の納税地の税務署長準確定申告書の付表、必要に応じて還付金受領の委任状を添付します。

準確定申告が必要かどうかを判定する段階では、年金、所得、控除、相続人関係の資料を同時に集めます。次の資料一覧が重要なのは、年金だけを見ても申告要否を判断できない場合があり、通帳や保険、証券、不動産、戸籍関係の資料が必要になるためです。各分類から、誰に照会し、どの数字を確認するかを読み取ってください。

分類主な書類用途
年金関係準確定申告用公的年金等の源泉徴収票、年金振込通知書、改定通知書、通帳の年金入金履歴、未支給年金請求関係書類、遺族年金関係書類支払金額、源泉徴収税額、社会保険料額、未支給年金との区別を確認します。
所得関係給与所得の源泉徴収票、不動産賃貸契約書、家賃入金記録、固定資産税課税明細、修繕費領収書、個人年金の支払明細、証券会社の年間取引報告書、事業帳簿、保険金等の支払通知給与、不動産、雑所得、譲渡、配当、一時所得、相続税や贈与税との区分を確認します。
控除関係医療費の領収書、医療費通知、介護保険料等の通知、生命保険料控除証明書、地震保険料控除証明書、寄附金受領証明書、配偶者や扶養親族の所得資料死亡日までに支払った控除対象額と人的控除の判定を確認します。
相続人関係戸籍謄本等、相続人の住所、マイナンバー、本人確認書類、準確定申告書付表、還付金受領に関する委任状、遺産分割協議の進行資料相続人確認、付表、電子申告、本人確認、還付金や納税負担の内部処理を確認します。
Section 08

年金受給者の準確定申告の計算例と判断例

申告不要、還付検討、申告必要、未支給年金の混同を具体例で整理します。

次の4つの事例は、年金受給者が亡くなった場合の代表的な判断場面を並べたものです。具体例が重要なのは、同じ老齢年金でも、他の所得、源泉徴収、医療費、未支給年金の有無によって結論が変わるためです。各事例の年金額、他の所得、控除、受け取る人を見て、どこで判断が分かれるかを読み取ってください。

事例A

申告不要になりやすい例

82歳。老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給。死亡日は8月20日。死亡日までに本人へ支払われた公的年金等の収入は180万円。年金以外の所得なし。源泉徴収税額は0円。医療費も少額。公的年金等収入は400万円以下で、年金以外の所得も20万円以下のため、還付も見込まれなければ所得税の準確定申告は不要と判断される可能性が高いです。住民税申告や自治体手続は別途確認します。

事例B

還付申告を検討すべき例

79歳。死亡日までの老齢年金収入は260万円。源泉徴収税額があり、死亡前に本人が入院費、薬代、通院費を多額に支払っていた。年金以外の所得はなし。法律上の申告義務はない可能性がありますが、医療費控除を反映すると源泉徴収税額の一部または全部が還付される可能性があります。

事例C

申告が必要になりやすい例

76歳。老齢年金収入は死亡日までに300万円。ほかに貸家の不動産所得が80万円ある。源泉徴収税額もある。公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円を超えるため、申告不要制度には該当せず、不動産所得を含めて準確定申告を行う必要がある可能性が高いです。

事例D

未支給年金を混同しやすい例

老齢年金受給者が6月に死亡し、8月に死亡月分までの未支給年金を配偶者が請求して受け取った。この未支給年金は、故人の準確定申告における公的年金等収入として入れるのではなく、受け取った配偶者の一時所得として扱うのが原則です。

Section 10

相続人間で争いがある年金受給者の準確定申告と専門家の役割

申告期限は進むため、資料開示、還付金、納税資金を整理します。

相続人どうしでもめている場合でも、所得税の申告期限は原則として進行します。相続人の一部が協力しない場合、通知義務、納税資金、還付金受領、遺産分割への反映を整理する必要があります。

次の一覧は、相続人間で争いがあるときに準確定申告で問題になりやすい論点を整理したものです。これが重要なのは、税務申告の期限と遺産分割の話し合いは別に進むため、資料や還付金を誰が扱うかで対立が深まることがあるからです。論点ごとに、どの実務対応を検討するかを読み取ってください。

論点実務上の対応
相続人の一部が資料を開示しない通帳、年金通知、税務資料の取得権限を整理し、必要に応じて弁護士を通じて資料開示を求めます。
還付金を誰が受け取るかでもめる還付金は相続財産としての扱いを意識し、代表者受領の委任状と内部精算を明確にします。
納税資金を誰が負担するかでもめる準確定申告による所得税債務は相続債務として扱われるため、法定相続分や遺産分割での調整を検討します。
遺産分割が未了申告義務と遺産分割は別問題です。期限内申告を優先し、後日内部精算する設計が必要です。
相続放棄予定者がいる申告行為や還付金受領の法的影響を弁護士に確認します。

次の専門家別一覧は、年金、税務、登記、紛争が重なる場面で誰がどの領域を担当しやすいかをまとめたものです。この整理が重要なのは、一人の専門家だけで年金手続、所得税、相続税、登記、相続紛争の全てを扱えない場合があるためです。主な役割とこのテーマでの関与を分けて読み取ってください。

専門職主な役割このテーマでの関与
税理士所得税、相続税、税務相談、税務代理準確定申告の要否判定、申告書作成、還付申告、相続税との連動確認
弁護士相続紛争、遺産分割、遺留分、使い込み疑い、交渉、調停、訴訟申告内容や還付金をめぐる対立がある場合、相続放棄を検討する場合
司法書士相続登記、戸籍収集、法定相続情報一覧図、裁判所提出書類作成不動産がある場合の相続登記、戸籍整理、相続人確定
社会保険労務士公的年金、遺族年金、年金記録、各種届出未支給年金、遺族年金、年金受給権者死亡届、年金記録の確認
行政書士遺産分割協議書等の書類作成、相続関係説明図作成支援争いのない相続書類整理、金融機関手続の補助
不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引士不動産評価、境界、分筆、売却不動産所得や相続税評価、遺産分割で不動産が問題となる場合
公認会計士、中小企業診断士会社財務、事業承継故人が会社経営者、株主、個人事業主であった場合
Section 11

年金受給者の準確定申告で混乱を避ける実務手順

死亡日、相続放棄、年金事務所、所得資料、控除資料の順に整理します。

次の手順は、年金受給者が年の途中で亡くなった場合に、相続人が混乱を避けるための実務上の順番をまとめたものです。この順番が重要なのは、相続放棄の3か月期限、準確定申告の4か月期限、年金関係資料の到着時期が重なるためです。上から順に、先に期限を押さえ、次に所得と控除を確認する流れを読み取ってください。

最初に確認

死亡日、死亡を知った日、相続人の範囲

期限の起算点と申告主体を確認します。相続放棄の可能性がある場合は、3か月期限を優先して管理します。

年金手続

死亡届、未支給年金、遺族年金、源泉徴収票

年金事務所で手続を確認し、準確定申告用源泉徴収票の到着時期も見込みます。

所得確認

通帳と所得資料を死亡年1月1日から死亡日まで確認

年金以外の入金、不動産、事業、給与、証券、保険、個人年金を拾います。

控除確認

医療費、社会保険料、生命保険料、地震保険料、寄附金

死亡日までに故人が支払ったものかを基準に整理します。

提出判断

還付、納税、付表、委任状、内部精算を整理

必要であれば相続人全員の情報を集め、準確定申告書と付表を作成します。

年金受給者が死亡しても、年金だけで公的年金等の確定申告不要制度に該当し、還付も不要であれば、所得税の準確定申告は不要となることが多いです。しかし、公的年金等収入が400万円を超える場合、年金以外の所得が20万円を超える場合、外国年金や個人年金がある場合、不動産所得や事業所得がある場合、医療費控除等で還付を受けたい場合には、準確定申告が必要または有利になることがあります。

結論未支給年金は、故人の準確定申告ではなく、受け取った遺族の一時所得として扱うのが原則です。遺族年金や障害年金は、原則として所得税の課税対象ではありません。最終的には、死亡年の所得資料、年金の種類、源泉徴収票、控除資料、相続人関係を確認し、4か月期限を意識して判断します。
Section 12

年金受給者の準確定申告でよくある誤解

断定ではなく、一般的な制度上の整理として確認します。

年金受給者が亡くなったら必ず準確定申告が必要ですか

一般的には、年金受給者だから必ず必要なのではなく、公的年金等収入400万円以下、年金以外の所得20万円以下など、確定申告不要制度の要件を満たし、還付も不要であれば、所得税の準確定申告は不要となることがあります。ただし、年金の種類、他の所得、源泉徴収、控除、住民税の扱いによって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで税理士や税務署等に確認する必要があります。

年金400万円以下なら何もしなくてよいですか

一般的には、年金400万円以下でも、年金以外の所得が20万円を超える場合、外国年金など源泉徴収対象外の年金がある場合、還付を受けたい場合、住民税申告が必要な場合があります。ただし、所得区分や自治体の取扱いによって必要な手続は変わります。具体的な対応は、年金資料、通帳、控除資料を整理して確認する必要があります。

未支給年金は故人の準確定申告に入れますか

一般的には、未支給年金は一定の遺族が固有の権利として請求するもので、原則として受け取った遺族の一時所得として扱われます。ただし、他の一時所得の有無や受給内容によって確認事項は変わる可能性があります。具体的には、受け取った遺族側の所得資料も含めて税務上の扱いを確認する必要があります。

死亡後に相続人が支払った医療費も故人の医療費控除に入れられますか

一般的には、故人の準確定申告で医療費控除の対象になるのは、死亡日までに故人が支払った医療費とされています。死亡後に相続人等が支払った医療費は、故人の準確定申告には含められません。ただし、相続税の債務控除や相続人自身の医療費控除の可否は別に検討する必要があります。

遺産分割が終わるまで準確定申告はできませんか

一般的には、準確定申告は死亡年の所得税を確定させる手続であり、遺産分割が未了でも期限内に必要となる場合があります。ただし、相続人間の対立、相続放棄の予定、納税資金、還付金の受領方法によって対応は変わる可能性があります。具体的な進め方は、税理士や弁護士等の専門家に相談して整理する必要があります。

Reference

参考資料

税務、年金、裁判所、登記に関する公的資料を中心に確認しています。

税務に関する資料

  • 国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)」
  • 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
  • 国税庁「No.1605 遺族の方に支給される公的年金等」
  • 国税庁「No.4123 相続税等の課税対象になる年金受給権」
  • 国税庁「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について」
  • 国税庁「No.2030 還付申告」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」

年金と相続手続に関する資料

  • 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」
  • 日本年金機構「さ行 準確定申告」
  • 日本年金機構「年金受給者が亡くなり手続きをしましたが、どれくらいで準確定申告用の源泉徴収票が発送されますか。」
  • 日本年金機構「障害年金や遺族年金を受けている人にも公的年金等の源泉徴収票は送付されるのでしょうか。」
  • 裁判所「相続の放棄の申述」
  • 法務省「相続登記の申請義務化に関するQ&A」