2σ Guide

準確定申告が必要になるのは
どんなケースか

亡くなった人に事業、不動産、給与以外の所得、年金の一定額超、保険の満期金、暗号資産、副業、前年分未申告などがある場合を中心に、4か月期限までに確認すべき判断軸を整理します。

4か月準確定申告の主な期限
10か月相続税申告の主な期限
400万・20万年金受給者の確認基準
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準確定申告が必要になるのは どんなケースか

生前なら確定申告が必要だったか、還付申告をする実益があるかを最初に切り分けます。

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準確定申告が必要になるのは どんなケースか
生前なら確定申告が必要だったか、還付申告をする実益があるかを最初に切り分けます。
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  • 準確定申告が必要になるのは どんなケースか
  • 生前なら確定申告が必要だったか、還付申告をする実益があるかを最初に切り分けます。

POINT 1

  • 準確定申告が必要になるケースの全体像
  • 生前なら確定申告が必要だったか、還付申告をする実益があるかを最初に切り分けます。
  • 判断では、収入の種類、申告不要制度、源泉徴収、控除による還付、前年分の未申告を分けて確認します。
  • 年金だけ、給与だけ、源泉徴収ありの証券口座だけに見える場合でも、医療費控除や予定納税の精算で還付を受けられることがあります。
  • 準確定申告は追加納税だけの手続ではありません。

POINT 2

  • 準確定申告とは何か ― 相続税申告との違い
  • 所得税の精算手続であり、相続税申告とは期限も対象も異なります。
  • 相続開始を知った日と死亡日
  • 準確定申告は、本人が年の途中で死亡したため通常の確定申告をできない場合に、相続人や包括受遺者が本人に代わって行う申告です。
  • 対象となるのは、原則として死亡した年の1月1日から死亡日までの所得です。

POINT 3

  • 準確定申告が必要になるケースを4段階で判断する
  • 1. 1. 死亡した年に所得があったか:事業、不動産、給与、年金、譲渡、雑収入などを確認します。
  • 2. 2. 生前なら確定申告が必要だったか:所得控除後の税額、給与所得者や年金受給者の例外を確認します。
  • 3. 3. 申告不要制度や源泉徴収で完結していないか:特定口座、年金、利子、配当などの扱いを確認します。
  • 4. 4. 前年分が未申告でないか:死亡した年だけでなく、前年分の確定申告が未提出でないか確認します。

POINT 4

  • 準確定申告が必要になりやすい典型ケース
  • 事業、不動産、金融取引、給与、年金、保険、暗号資産、前年分未申告を重点的に確認します。
  • 事業所得がある場合の資料
  • 還付申告として行う場合
  • 必要になりやすいケースは、所得の種類ごとに確認すると整理しやすくなります。

POINT 5

  • 準確定申告が不要になりやすいケース
  • 申告不要制度で終わる場合でも、還付や住民税、相続税資料は別に確認します。
  • 準確定申告が不要になりやすいケースでも、所得税の義務がないという意味にとどまります。
  • 相続税、住民税、相続登記、財産調査、還付申告の要否は別に確認します。
  • 死亡後に相続人が支払った医療費や葬儀費用は、亡くなった人の準確定申告の医療費控除とは別の論点です。

POINT 6

  • 準確定申告の控除と期間ルール
  • 死亡日までに支払った金額と死亡日の現況で判定する項目を分けます。
  • 相続税の債務控除との関係
  • 納税額と還付金は相続財産の整理に影響します
  • 準確定申告では、所得や控除の対象期間を死亡日で区切ります。

POINT 7

  • 準確定申告の手続と提出書類
  • 1. 相続人と提出先を確認する:戸籍や法定相続情報、死亡時の納税地、代表して進める人を確認します。
  • 2. 所得、控除、相続関係の資料を集める:源泉徴収票、年金資料、帳簿、医療費、証券会社報告書、不動産資料を集めます。
  • 3. 所得税額、還付、付表を確認する:相続分、還付金の受取方法、代表相続人の委任状などを整えます。
  • 4. 4か月以内に申告と納税を行う:預金凍結などで納税資金が不足しそうな場合は、払戻し制度や立替払いも検討します。

POINT 8

  • 準確定申告の期限を過ぎた場合のリスク
  • 期限後申告
  • 期限までに申告できなかった場合は、できるだけ早く申告する必要があります。
  • 無申告加算税
  • 申告義務があるのに期限までに申告しないと、本税とは別に課される場合があります。

まとめ

  • 準確定申告が必要になるのは どんなケースか
  • 準確定申告が必要になるケースの全体像:生前なら確定申告が必要だったか、還付申告をする実益があるかを最初に切り分けます。
  • 準確定申告とは何か ― 相続税申告との違い:所得税の精算手続であり、相続税申告とは期限も対象も異なります。
  • 準確定申告が必要になるケースを4段階で判断する:所得の有無、通常申告の要否、申告不要制度、前年分未申告を順に確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

準確定申告が必要になるケースの全体像

生前なら確定申告が必要だったか、還付申告をする実益があるかを最初に切り分けます。

準確定申告が必要になるのは、亡くなった人が生きていれば、その年または前年分について所得税の確定申告をしなければならなかったケースです。相続人や包括受遺者が、亡くなった人の1月1日から死亡日までの所得と所得税額を計算し、原則として相続開始を知った日の翌日から4か月以内に申告と納税を行います。

判断では、収入の種類、申告不要制度、源泉徴収、控除による還付、前年分の未申告を分けて確認します。年金だけ、給与だけ、源泉徴収ありの証券口座だけに見える場合でも、医療費控除や予定納税の精算で還付を受けられることがあります。

次の比較表は、準確定申告の要否を大きく3方向に分けたものです。読者にとって重要なのは、不要に見える場合でも還付や前年分未申告の確認が残る点であり、右列から実務上の注意を読み取ることです。

判断の方向典型例実務上の注意
必要になりやすい自営業、個人事業主、不動産賃貸、土地建物の売却、年金収入が一定額超、給与以外の所得が大きい、複数給与、暗号資産や副業収入、保険の満期金や解約返戻金がある場合死亡した年の所得だけでなく、前年分が未申告でないかも確認します。
不要になりやすい年末調整済みの給与だけ、一定額以下の公的年金だけ、源泉徴収あり特定口座の上場株式取引だけ、預貯金利息だけ義務がなくても、還付申告をした方が有利な場合があります。
専門家連携が必要相続人間で費用負担に争いがある、不動産売却や会社株式の評価がある、事業承継がある、遺産分割協議が未了、未成年者や成年後見関係者がいる税理士だけでなく、弁護士、司法書士、不動産鑑定士、公認会計士等との連携が重要です。

準確定申告は追加納税だけの手続ではありません。源泉徴収税額や予定納税額が実際の税額を上回る場合、還付金が相続財産として戻ることがあるため、申告義務の有無と還付の可能性を別々に確認します。

Section 01

準確定申告とは何か ― 相続税申告との違い

所得税の精算手続であり、相続税申告とは期限も対象も異なります。

確定申告は、1月1日から12月31日までの所得と所得税額を計算し、源泉徴収税額や予定納税額などを差し引いて過不足を精算する手続です。準確定申告は、本人が年の途中で死亡したため通常の確定申告をできない場合に、相続人や包括受遺者が本人に代わって行う申告です。

対象となるのは、原則として死亡した年の1月1日から死亡日までの所得です。ここで重要なのは、準確定申告が相続税の申告ではなく、亡くなった人の所得税の申告である点です。

次の比較表は、準確定申告と相続税申告の違いを整理したものです。期限と対象がずれているため、読者は4か月期限の所得税手続と10か月期限の相続税手続を混同しないことを読み取ってください。

項目準確定申告相続税申告
税目所得税及び復興特別所得税相続税
対象亡くなった人の所得相続人等が取得した相続財産
主な期限相続開始を知った日の翌日から4か月以内相続開始を知った日の翌日から10か月以内
申告者相続人、包括受遺者等相続人、受遺者等
判断の中心生前の所得、源泉徴収、控除、予定納税財産評価、債務、葬式費用、基礎控除、特例

相続開始を知った日と死亡日

期限の起点は、相続の開始があったことを知った日の翌日です。多くのケースでは死亡日と同じですが、疎遠な親族、海外在住者、後から判明した相続人などがいると、個別の相続人ごとに知った日が問題になることがあります。

申告先

提出先は、相続人の住所地を管轄する税務署ではなく、亡くなった人の死亡時の納税地を管轄する税務署です。相続人が各地に分散していても、原則として亡くなった人の納税地を基準にします。

Section 02

準確定申告が必要になるケースを4段階で判断する

所得の有無、通常申告の要否、申告不要制度、前年分未申告を順に確認します。

準確定申告が必要になるかは、単に入金があるかどうかでは判断できません。税法上の所得、申告不要制度、源泉徴収で完結しているか、還付申告の実益があるかを分けて見る必要があります。

次の判断の流れは、相続人が最初に確認する順番を表しています。各段階で止まらず、前年分や還付の可能性まで進むことが重要で、読者は上から順に確認すると見落としを減らせます。

準確定申告の要否を確認する順番

1. 死亡した年に所得があったか

事業、不動産、給与、年金、譲渡、雑収入などを確認します。

2. 生前なら確定申告が必要だったか

所得控除後の税額、給与所得者や年金受給者の例外を確認します。

3. 申告不要制度や源泉徴収で完結していないか

特定口座、年金、利子、配当などの扱いを確認します。

4. 前年分が未申告でないか

死亡した年だけでなく、前年分の確定申告が未提出でないか確認します。

第1段階 ― 亡くなった人に所得があったか

所得とは単なる入金額ではありません。事業収入、不動産収入、給与、年金、譲渡収入、雑収入などから、必要経費や法定の控除を考慮して計算される税法上の金額です。収入がまったくなければ、原則として所得税の準確定申告は問題になりません。

第2段階 ― 生前なら確定申告が必要だったか

通常の確定申告では、各種所得の合計額が所得控除の合計額を超え、その超過額に対する税額が配当控除や年末調整で受けた住宅ローン控除額などを超える場合、原則として申告が必要になります。ただし、給与所得者や公的年金受給者には一定の申告不要制度があります。

第3段階 ― 申告不要制度や源泉徴収で完結していないか

預貯金の利子、源泉徴収あり特定口座内の上場株式等の譲渡益や配当、公的年金の一定範囲などは、一定条件のもとで確定申告をしなくてもよい場合があります。一方で、損失の繰越、医療費控除、寄附金控除、源泉徴収税額の還付のために申告した方が有利なこともあります。

第4段階 ― 前年分が未申告でないか

翌年1月1日から通常の確定申告期限までの間に死亡し、前年分の確定申告が未提出だった場合、前年分と死亡した年分のいずれも、相続開始を知った日の翌日から4か月以内に申告する必要があります。たとえば2026年2月20日に死亡し、2025年分が未提出なら、2025年分と2026年分の両方が問題になります。

Section 03

準確定申告が必要になりやすい典型ケース

事業、不動産、金融取引、給与、年金、保険、暗号資産、前年分未申告を重点的に確認します。

必要になりやすいケースは、所得の種類ごとに確認すると整理しやすくなります。特に死亡日までの収入と必要経費、源泉徴収、未収金、前年分の申告状況を同時に見ることが重要です。

次の一覧は、準確定申告が必要になりやすい所得や入金の種類をまとめたものです。左列で該当しそうな収入を探し、右列でどの資料や論点を確認すべきかを読み取ってください。

ケース準確定申告で確認する主な論点
自営業、個人事業主、フリーランス死亡日までの売上、未収金、棚卸資産、減価償却、家事関連費、青色申告特別控除、専従者給与、源泉徴収された報酬を整理します。
不動産賃貸収入賃料、共益費、礼金、更新料から、固定資産税、管理費、修繕費、減価償却費、借入金利子、保険料などを差し引きます。死亡日後の賃料は別に整理します。
土地、建物の売却売却代金、取得費、譲渡費用、特別控除を確認します。契約日、引渡日、代金決済日、所有権移転登記日も重要です。
株式、投資信託、債券源泉徴収なし口座、一般口座、複数証券会社の損益、損失繰越、配当控除、外国税額控除、非上場株式の譲渡を確認します。
給与所得者の例外給与収入2,000万円超、給与以外の所得20万円超、2か所給与、同族会社からの地代や利子、源泉徴収義務のない者からの給与などを確認します。
公的年金等公的年金等の収入400万円超、公的年金等以外の所得20万円超、外国年金、医療費控除や寄附金控除による還付を確認します。
保険、個人年金死亡保険金、満期保険金、解約返戻金、個人年金、医療保険給付金を分け、相続税、所得税、贈与税のどれに関係するかを確認します。
暗号資産、FX、副業、ネット収入取引所、海外送金、クラウドソーシング、動画配信、広告収入、必要経費、取引履歴の有無を確認します。
退職所得、前年分未申告、還付退職所得の源泉徴収、前年分の未提出、予定納税、医療費、寄附金、雑損控除による還付可能性を確認します。

事業所得がある場合の資料

個人事業やフリーランスでは、死亡日までの売上と経費を証拠資料で区切る必要があります。資料の所在が分からないと4か月期限に間に合わないリスクがあるため、次の一覧で早めに収集先を確認します。

次の資料一覧は、事業所得を計算するために必要になりやすいものを示しています。読者は、売上、経費、前年の申告、源泉徴収、在庫の5つを別々に集める必要があると読み取ってください。

資料確認内容
請求書、領収書、入金履歴死亡日までの売上、未収入金、源泉徴収額
経費帳、会計ソフト、通帳、カード明細必要経費、未払金、家事関連費
前年の確定申告書事業の規模、青色申告、減価償却、予定納税
源泉徴収票、支払調書報酬、給与、年金等の源泉徴収額
棚卸表、在庫表商品在庫、原材料、仕掛品

還付申告として行う場合

準確定申告は追加納税だけではなく、還付を受ける目的でも検討します。亡くなった年は医療費や介護費が多額になりやすく、年金や給与から源泉徴収されていることがあります。

次の一覧は、申告義務が明確でない場合でも還付の可能性を確認すべき場面です。読者は、医療費、源泉徴収、予定納税、寄附金、災害等の支出を死亡日までに支払ったものとして整理できるかを見てください。

ケース期待される効果
多額の医療費を死亡日までに支払った医療費控除による還付
給与や年金から源泉徴収されていた源泉徴収税額の精算
予定納税をしていた実税額との差額還付
寄附金を死亡日までに支払っていた寄附金控除による還付
災害、盗難、横領被害があった雑損控除の検討
Section 04

準確定申告が不要になりやすいケース

申告不要制度で終わる場合でも、還付や住民税、相続税資料は別に確認します。

準確定申告が不要になりやすいケースでも、所得税の義務がないという意味にとどまります。相続税、住民税、相続登記、財産調査、還付申告の要否は別に確認します。

次の一覧は、準確定申告が不要となることがある典型場面をまとめたものです。読者は、左列に当てはまっても右列の再確認事項があれば、すぐに不要と決めつけないことを読み取ってください。

不要になりやすいケース再確認する点
年末調整済みの給与だけ給与収入2,000万円超、副業収入、不動産収入、2か所給与、医療費控除、住宅ローン控除初年度、死亡後の未払給与を確認します。
公的年金等が400万円以下で、その他所得が20万円以下所得税の申告が不要でも、住民税申告や医療費控除等による還付を確認します。
預貯金利息だけ通常は源泉分離課税で完結しますが、外貨預金の為替差益、海外口座、貸付金利子などは別に確認します。
源泉徴収あり特定口座で完結している上場株式等だけ損失繰越、損益通算、還付、相続税評価のための残高証明書や取引報告書を確認します。
死亡保険金だけを相続人が受け取った典型例では相続税の問題ですが、満期保険金、解約返戻金、個人年金などと混同しないよう支払明細を確認します。
財産を所有していただけで収入がない不動産や株式を持っているだけなら所得は発生しませんが、相続財産としての評価や名義変更は別に必要です。

死亡後に相続人が支払った医療費や葬儀費用は、亡くなった人の準確定申告の医療費控除とは別の論点です。相続税の債務控除や相続人自身の医療費控除との関係を整理する必要があります。

Section 05

準確定申告の控除と期間ルール

死亡日までに支払った金額と死亡日の現況で判定する項目を分けます。

準確定申告では、所得や控除の対象期間を死亡日で区切ります。医療費控除、社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除は死亡日までに支払った金額が中心となり、配偶者控除や扶養控除等は死亡日の現況で判定します。

次の比較表は、控除ごとに見るべき基準時点を整理したものです。読者は、支払日で判断するものと死亡日の状態で判断するものが混在していることを読み取ってください。

項目確認する基準注意点
医療費控除死亡日までに亡くなった人が支払った医療費死亡後に相続人が支払った医療費は別に整理します。
社会保険料控除死亡日までに支払った国民健康保険料、介護保険料、国民年金保険料など口座振替、年金からの特別徴収、死亡後の還付や追徴を確認します。
生命保険料控除、地震保険料控除死亡日までに支払った保険料控除証明書と実際の支払時期を確認します。
配偶者控除、扶養控除、障害者控除死亡日の現況所得見積り、同一生計、障害者手帳、年齢、同居老親等を死亡日基準で確認します。所得控除額は月割計算しません。
青色申告特別控除帳簿、決算書、期限内申告などの要件会計ソフト、税理士、金融機関、取引先から資料を集めます。

相続税の債務控除との関係

準確定申告で納付する所得税は、亡くなった人の債務として相続財産から支払われる性質を持ちます。相続税申告が必要な場合には、準確定申告による納税額や還付金を財産債務の整理に反映します。

次の重要ポイントは、所得税と相続税の数字を別々に進めると整合性が崩れやすい場面を示しています。読者は、納税額も還付金も相続財産の整理に影響することを確認してください。

納税額と還付金は相続財産の整理に影響します

準確定申告による所得税の納付額は債務として、還付金は財産として扱われる可能性があります。相続税申告がありそうな場合は、同じ税理士または連携する税理士が所得税と相続税をあわせて確認するのが望ましいです。

Section 06

準確定申告の手続と提出書類

誰が申告するか、何を添付するか、納税資金をどう確保するかを整理します。

準確定申告は、相続人または包括受遺者が行います。相続人が複数いる場合、各相続人が連署により提出する方法があり、各人が別々に提出する場合は他の相続人に申告内容を通知する必要があります。

次の時系列は、死亡後に準確定申告を進める実務の順番を示しています。読者は、相続人の確定と資料収集を早く始めないと、4か月期限と納税資金の確保が詰まりやすいことを読み取ってください。

初期確認

相続人と提出先を確認する

戸籍や法定相続情報、死亡時の納税地、代表して進める人を確認します。

資料収集

所得、控除、相続関係の資料を集める

源泉徴収票、年金資料、帳簿、医療費、証券会社報告書、不動産資料を集めます。

申告内容

所得税額、還付、付表を確認する

相続分、還付金の受取方法、代表相続人の委任状などを整えます。

期限管理

4か月以内に申告と納税を行う

預金凍結などで納税資金が不足しそうな場合は、払戻し制度や立替払いも検討します。

相続人間でもめている場合

準確定申告は税務手続ですが、相続人間に対立がある場合は、資料開示、納税額の負担、還付金の受取、事業収入や不動産収入の管理をめぐる争いが生じることがあります。

次の一覧は、税務計算だけでは解決しにくい争点を整理しています。読者は、どの争点が税理士の計算だけでなく弁護士等との連携を必要としやすいかを読み取ってください。

争点典型的な対立
資料を誰が持っているか同居相続人が通帳、帳簿、保険証券を開示しない
納税額を誰が負担するか代表相続人だけが立替払いした
還付金を誰が受け取るか還付口座の指定をめぐる争い
事業収入を誰が管理していたか使い込み疑い、未収金、現金売上の問題
不動産所得の死亡後収入遺産分割前の賃料帰属をめぐる争い

提出書類

準確定申告では、通常の所得税申告書に加えて、死亡した人の情報、相続人等の情報、相続分、還付金の受取方法等を記載する付表を添付します。代表相続人が還付金を受領する場合には委任状が必要になることがあります。

次の資料一覧は、準確定申告と相続税連携のために集めるものを区分したものです。読者は、本人確認、所得、控除、納税還付、事業不動産、相続税連携の6系統で資料を集めると漏れを減らせることを読み取ってください。

区分主な資料
本人確認、相続関係死亡診断書の写し、除籍謄本、戸籍謄本、法定相続情報一覧図、相続人の本人確認資料
所得資料源泉徴収票、年金の源泉徴収票、支払調書、売上資料、賃貸借契約書、譲渡契約書、証券会社報告書
控除資料医療費領収書、社会保険料納付額、生命保険料控除証明書、寄附金受領証明書
納税還付予定納税通知、源泉徴収税額、還付口座、相続人の委任状
事業、不動産帳簿、決算書、固定資産税通知、借入金明細、減価償却資料
相続税連携財産目録、債務一覧、葬式費用、保険金、退職金、不動産評価資料

一定の手続によりe-Taxで提出できる場合があります。相続人が複数いる場合の付表、代理送信の要件、本人確認の扱いなど、通常の本人申告とは異なる点があるため、電子申告への対応可否を確認します。

Section 07

準確定申告の期限を過ぎた場合のリスク

期限後申告、無申告加算税、延滞税が問題になり得ます。

準確定申告の期限を過ぎた場合、期限後申告として速やかに申告する必要があります。申告すべき人が期限までに申告しなかった場合、本来の税金のほか無申告加算税が課される場合があります。

次の注意点の一覧は、期限を過ぎたときに起き得る税務上の影響を整理したものです。読者は、資料不足や相続人間の対立があっても期限が当然に延びるわけではないことを読み取ってください。

期限後申告

期限までに申告できなかった場合は、できるだけ早く申告する必要があります。

無申告加算税

申告義務があるのに期限までに申告しないと、本税とは別に課される場合があります。

延滞税

法定納期限の翌日から納付日までの期間に応じてかかる場合があります。

相続全体への影響

納税額や還付金の整理が遅れ、相続税申告や遺産分割の数字にも影響することがあります。

完全な資料がそろわない場合でも、概算による期限内申告、更正の請求、修正申告などの選択肢を税理士と検討することがあります。一般的な制度説明としては、早期に専門家へ相談し、期限徒過を避ける準備を進めることが重要です。

Section 08

準確定申告と相続税・住民税・消費税・専門職の関係

所得税だけでなく、相続税、地方税、消費税、専門職の役割分担をあわせて見ます。

相続税申告は原則として相続開始を知った日の翌日から10か月以内に行います。準確定申告の4か月期限の方が先に来るため、所得税の納税額や還付金を先に整理しておくことが、相続税申告の財産債務整理にも関係します。

住民税は前年所得に基づき課税される地方税です。所得税の確定申告が不要な年金受給者でも、住民税の申告が必要になる場合があります。死亡後に届く住民税、介護保険料、後期高齢者医療保険料の通知も、相続財産の債務整理に関係します。

亡くなった人が個人事業者で消費税の課税事業者であった場合、所得税の準確定申告とは別に、消費税の申告や事業承継、インボイス、青色申告、事業承継後の会計処理を確認します。

次の一覧は、準確定申告の周辺で関わる専門職の役割を整理したものです。読者は、税額計算は税理士、紛争処理は弁護士、不動産名義変更は司法書士というように、相談先を分ける必要があることを読み取ってください。

専門職主な役割準確定申告との関係
税理士所得税、相続税、消費税の申告、税務相談、税務代理、税務調査対応準確定申告の中心的専門家
弁護士相続紛争、遺産分割、遺留分、使い込み疑い、交渉、調停、審判、訴訟相続人間の対立、資料開示、費用負担、還付金争いを処理
司法書士相続登記、不動産名義変更、戸籍収集、登記書類、裁判所提出書類作成不動産相続や相続人確定で連携
行政書士紛争や税務代理、登記申請を除く書類作成、遺産分割協議書作成支援争いのない相続書類整理で連携
不動産鑑定士不動産価格評価譲渡所得、遺産分割、相続税評価の争点で連携
土地家屋調査士境界確認、分筆、表示登記相続不動産の分割や売却前整理で連携
宅地建物取引士、不動産仲介業者相続不動産の売却、重要事項説明、契約実務売却時の譲渡所得資料を整備
公認会計士非上場株式、会社財務、事業承継分析同族会社株式や事業承継で連携
社会保険労務士遺族年金、社会保険、労務年金、死亡退職、社会保険料の確認で連携
ファイナンシャル・プランナー資産全体設計、保険、家計、専門家連携初期整理や相続後資金計画で補助
公証人、遺言執行者、信託銀行等遺言作成、遺言執行、信託関連実務遺言執行と税務手続の調整
Section 09

準確定申告が必要か確認するチェックリスト

質問と資料の2方向から、申告義務と還付可能性を確認します。

準確定申告の初期判断では、収入の種類を質問で洗い出し、該当する資料を集める順番に落とし込むと進めやすくなります。特に、事業、不動産、金融取引、前年分未申告、還付可能性は早めに確認します。

次の質問一覧は、準確定申告が必要になりやすい事情を見つけるための確認項目です。読者は、ひとつでも当てはまれば資料を集め、税理士等へ確認する候補として扱うことを読み取ってください。

質問はいの場合
亡くなった人は個人事業やフリーランスをしていたか準確定申告が必要になりやすい
不動産を貸して賃料を得ていたか不動産所得を計算
死亡した年に不動産を売却したか譲渡所得を確認
給与収入が2,000万円を超えていたか申告が必要になりやすい
給与以外の所得が20万円を超えていたか申告が必要になりやすい
公的年金等が400万円を超えていたか申告が必要になりやすい
年金以外の所得が20万円を超えていたか申告が必要になりやすい
保険の満期金、解約返戻金、個人年金を受け取ったか一時所得、雑所得を確認
株式、投資信託、暗号資産の取引があったか口座種別と損益を確認
前年分の確定申告は済んでいるか未申告なら前年分も準確定申告
医療費や源泉徴収が多く、還付が見込まれるか義務がなくても申告を検討

次の資料一覧は、回答がはいになった項目を実際の資料に結びつけるためのものです。読者は、所得関係、経費関係、控除関係、相続関係、金融関係、税務関係に分けて集めると、専門家へ相談するときの判断が早くなることを読み取ってください。

種類具体例
所得関係源泉徴収票、年金源泉徴収票、支払調書、売上台帳、賃貸借契約書、証券会社年間取引報告書
経費関係領収書、請求書、通帳、カード明細、固定資産税通知、保険料、修繕費
控除関係医療費領収書、医療費通知、社会保険料、生命保険料控除証明書、寄附金受領証
相続関係戸籍、除籍、法定相続情報一覧図、遺言書、遺産分割協議書、相続人の連絡先
金融関係預金残高証明書、入出金明細、証券残高証明書、保険支払明細
税務関係過去3年程度の確定申告書控え、青色申告承認、予定納税通知、税務署からの通知
Section 10

準確定申告の事例とよくある誤解

年金、会社員副業、不動産賃貸、土地売却、特定口座の違いを確認します。

具体例で見ると、準確定申告が義務になる場面と、義務ではないが還付を検討する場面の違いが分かりやすくなります。一般的には、所得の種類、金額、源泉徴収、控除、取引口座の種類によって結論が変わります。

次の事例一覧は、判断が分かれやすい代表例を並べたものです。読者は、同じ相続でも年金、給与副業、不動産、土地売却、特定口座で確認資料と結論が変わることを読み取ってください。

CASE 01

年金生活者で医療費が多かった

公的年金収入が年300万円でその他所得がない場合、申告義務は原則として不要となる可能性があります。ただし、死亡日までに多額の医療費を支払い、年金から所得税が源泉徴収されていれば、還付申告を検討します。

CASE 02

会社員で副業利益が40万円あった

給与が1社で年末調整済みでも、給与所得と退職所得以外の所得が20万円を超えるため、準確定申告が必要になる可能性があります。

CASE 03

賃貸アパートの家賃収入があった

死亡日までの賃料、管理費、修繕費、固定資産税、減価償却費を計算します。死亡日後の賃料は相続人側の所得や遺産分割前の管理問題として別に整理します。

CASE 04

死亡前に土地を売却していた

売却益が生じている場合、譲渡所得の準確定申告が必要になる可能性が高くなります。取得費が不明な古い土地や特例の適用可否は税理士と確認します。

CASE 05

源泉徴収あり特定口座だけだった

他に所得がなく、損失繰越や還付も求めない場合、申告不要を選べる範囲であれば準確定申告は不要となることがあります。ただし、相続税評価のための残高証明書などは取得します。

よくある誤解

準確定申告は相続税や遺産分割と混同されやすく、誤解したまま期限を過ぎると不利益が生じることがあります。次の一覧は、誤解と実際の見方を対比しています。

次の比較表は、よくある思い込みを正すためのものです。読者は、相続税の有無、年金、源泉徴収、遺産分割、納税資金、死亡後医療費のそれぞれで、準確定申告の判断が別に必要になることを読み取ってください。

誤解実際の見方
相続税がかからないなら準確定申告も不要相続税と所得税は別の税目です。亡くなった人に所得税の申告義務があれば準確定申告が必要です。
年金だけなら必ず不要公的年金等が400万円を超える場合や、医療費控除で還付を受けられる場合があります。
源泉徴収されていれば絶対に不要源泉徴収だけで完結しない所得や、他の所得との合算が必要な場合があります。
遺産分割が終わるまで申告できない準確定申告の期限は4か月で、遺産分割協議より先に期限が来ることが多いです。
納税資金がないから申告しなくてよい申告義務は消えません。預金払戻し、相続人の立替え、納税相談などを検討します。
死亡後に支払った医療費も全部入れられる原則として死亡日までに亡くなった人が支払った医療費を対象にします。死亡後の支払いは別に整理します。
Section 11

準確定申告が必要か迷う場合の対応

複雑な所得、期限が近い場合、相続税や紛争がある場合は早期確認が重要です。

準確定申告が必要になるのはどんなケースかを調べている段階で、個人事業、不動産賃貸、株式、暗号資産、海外資産、前年分未申告、相続税申告、相続人間の対立がある場合は、早めに資料を整理することが合理的です。

次の一覧は、早期に専門家確認が必要になりやすい状況をまとめたものです。読者は、左列に当てはまるほど所得計算や相続全体への影響が複雑になり、右列の理由に応じて相談先を分ける必要があることを読み取ってください。

早期相談が必要な状況理由
個人事業、不動産賃貸、株式、暗号資産、海外資産がある所得計算が複雑
死亡日が1月1日から3月15日の間前年分未申告の確認が重要
医療費、源泉徴収、予定納税が多い還付申告の可能性
相続税申告も必要そう所得税と相続税の整合性が必要
相続人間でもめている弁護士との連携が必要
資料が見つからない金融機関、取引先、税務署への確認が必要
事業を相続人が継ぐ所得税、消費税、インボイス、社会保険を確認
不動産売却や会社株式がある評価、譲渡、相続税、会社法が絡む

相談時には、亡くなった人の収入源一覧、過去の確定申告書、源泉徴収票、年金通知、通帳、証券会社資料、保険資料、医療費領収書、相続人一覧を持参すると判断が早くなります。個別の見通しや対応方針は、資料を整理したうえで税理士、弁護士その他の専門家へ相談する必要があります。

Section 12

準確定申告が必要になるケースの結論

生前なら確定申告が必要だったかを軸に、還付と前年分未申告まで確認します。

準確定申告が必要になるかを判断する中心は、亡くなった人が生きていれば確定申告をしなければならなかったかという点です。特に、自営業、不動産賃貸、土地建物の売却、給与以外の所得、公的年金の一定額超、保険の満期金や解約返戻金、暗号資産や副業収入、前年分未申告がある場合は、必要になりやすいと考えて確認します。

一方で、年末調整済みの給与だけ、公的年金等が一定範囲内、源泉徴収あり特定口座で完結している上場株式等だけ、預貯金利息だけといった場合には、準確定申告が不要となることがあります。それでも、医療費控除や源泉徴収税額の精算により還付を受けられる場合があります。

準確定申告は、相続開始後4か月という短い期限で行う必要があります。相続税申告、遺産分割、相続登記、預金解約、保険請求、事業承継と並行して進むため、早期の資料収集と専門家連携が重要です。

Reference

この記事の参考情報源

国税庁の資料

  • 国税庁「No.2022 納税者が死亡したときの確定申告」
  • 国税庁「No.2020 確定申告」
  • 国税庁「不動産等を売却した方へ」
  • 国税庁「No.1476 特定口座制度」
  • 国税庁「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
  • 国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
  • 国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」
  • 国税庁「No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」
  • 国税庁「No.1500 雑所得」
  • 国税庁「No.2030 還付申告」
  • 国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき」
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」
  • 国税庁「No.6602 相続があった場合の消費税の納税義務の免除の特例」