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内縁の配偶者に
配偶者短期居住権は認められるか

婚姻届を出していない内縁・事実婚のパートナーについて、民法1037条の結論と、住まいを守るために検討される別制度を整理します。

原則なし内縁への短期居住権
6か月法律婚配偶者の短期保護
3年以内相続登記義務化の目安
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内縁の配偶者に 配偶者短期居住権は認められるか

婚姻届を出していない内縁・事実婚のパートナーについて、民法1037条の結論と、住まいを守るために検討される別制度を整理します。

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内縁の配偶者に 配偶者短期居住権は認められるか
婚姻届を出していない内縁・事実婚のパートナーについて、民法1037条の結論と、住まいを守るために検討される別制度を整理します。
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  • 内縁の配偶者に 配偶者短期居住権は認められるか
  • 婚姻届を出していない内縁・事実婚のパートナーについて、民法1037条の結論と、住まいを守るために検討される別制度を整理します。

POINT 1

  • 内縁の配偶者に配偶者短期居住権は認められるかの結論
  • 民法1037条の「配偶者」は法律婚を前提にするため、内縁・事実婚では別制度の検討が中心になります。
  • 内縁の配偶者には、原則として配偶者短期居住権は認められません
  • 民法1037条の対象外
  • 別の法律構成を検討

POINT 2

  • 内縁の配偶者に配偶者短期居住権は認められるかを考える用語整理
  • 内縁、法律上の配偶者、配偶者短期居住権、配偶者居住権を混同しないことが出発点です。
  • 内縁・事実婚
  • 民法上の配偶者
  • 配偶者短期居住権

POINT 3

  • 内縁の配偶者に配偶者短期居住権が認められない理由
  • 1. 婚姻届が受理されているか:戸籍上の法律婚があるかを最初に確認します。
  • 2. 民法1037条の要件へ進む:居住、建物所有、無償使用、欠格・廃除などを検討します。
  • 3. 短期居住権は原則発生しない:賃貸借、使用貸借、遺言、特別縁故者などへ検討を移します。

POINT 4

  • 内縁の配偶者に配偶者短期居住権がない場合のケース別居住保護
  • 持ち家、賃貸、共有、相続人不存在、遺言の有無で、検討すべき制度が変わります。
  • 配偶者短期居住権が発生しないとしても、内縁パートナーの居住がまったく守られないとは限りません。
  • 建物が持ち家か賃貸か、相続人がいるか、遺言や契約があるかによって、検討すべき制度が変わります。
  • 次のケース別一覧は、住まいの形と相続関係ごとに、どの制度が問題になるかを並べています。

POINT 5

  • 内縁の配偶者に配偶者短期居住権がないときの判断手順
  • 1. Step 1. 婚姻届の有無:法律上の配偶者か、内縁・事実婚かを戸籍で確認します。
  • 2. Step 2. 持ち家か賃貸か:所有権、賃借権、借地借家法、共有のどれが中心かを分けます。
  • 3. Step 3. 相続人の有無:相続人との交渉か、相続財産清算人・特別縁故者制度かを確認します。
  • 4. Step 4. 遺言・契約・合意書:公正証書遺言、自筆証書遺言、死因贈与、賃貸借、使用貸借、メールやメモを探します。
  • 5. Step 5. 当面の明渡し請求への対応:所有者、請求根拠、賃料相当損害金、動産、交渉・調停・訴訟の見通しを整理します。

POINT 6

  • 内縁の配偶者に配偶者短期居住権がないため必要な生前対策
  • 公正証書遺言、契約、共有、生命保険、信託などを組み合わせて、住まいと生活資金を設計します。
  • 内縁の配偶者に配偶者短期居住権が認められない以上、相続開始前の設計が重要です。
  • ここでは、住まいそのものを残す方法、使用権を残す方法、生活資金を残す方法を分けて考えます。
  • 次の対策一覧は、生前に検討される主な手段を並べたものです。

POINT 7

  • 内縁の配偶者に配偶者短期居住権がない場合の税務・登記実務
  • 1. 配偶者居住権関連制度の施行:配偶者短期居住権は相続法改正で創設された制度ですが、権利者は法律上の配偶者が前提です。
  • 2. 相続登記の申請義務化:不動産を相続で取得した相続人には、一定期間内の登記申請義務が生じます。
  • 3. 相続税申告の検討:内縁パートナーが遺贈や死因贈与で財産を取得する場合、配偶者税額軽減が使えない可能性を踏まえて試算します。

POINT 8

  • 内縁の配偶者に明渡しを求められたときの実務対応
  • 関係性の資料
  • 住民票、公共料金、郵便物、写真、親族・近隣の証言、介護記録など。
  • 居住根拠の資料
  • 契約書、メモ、メール、LINE、家賃や固定資産税・修繕費の負担記録など。

まとめ

  • 内縁の配偶者に 配偶者短期居住権は認められるか
  • 内縁の配偶者に配偶者短期居住権は認められるかの結論:民法1037条の「配偶者」は法律婚を前提にするため、内縁・事実婚では別制度の検討が中心になります。
  • 内縁の配偶者に配偶者短期居住権は認められるかを考える用語整理:内縁、法律上の配偶者、配偶者短期居住権、配偶者居住権を混同しないことが出発点です。
  • 内縁の配偶者に配偶者短期居住権が認められない理由:条文の文言、婚姻届、相続法上の配偶者保護、所有者への負担という観点から整理します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

内縁の配偶者に配偶者短期居住権は認められるかの結論

民法1037条の「配偶者」は法律婚を前提にするため、内縁・事実婚では別制度の検討が中心になります。

このページは、婚姻届を出していない内縁の夫・妻や事実婚パートナーに、民法上の配偶者短期居住権が発生するかを整理します。最初に結論を確認し、その後に制度の要件、認められない理由、別の居住保護、生前対策まで順番に見ていきます。

次の重要ポイントは、この論点の結論と実務上の読み替えを示しています。読者にとって重要なのは、権利名だけで判断せず、住まいを守るために使える別制度へ早く目を向けることです。

内縁の配偶者には、原則として配偶者短期居住権は認められません

民法1037条の権利者は法律上の「配偶者」です。内縁関係が長く続いていても、それだけで同条の配偶者短期居住権が発生するとは整理しにくいのが現行実務の出発点です。

次の3つの項目は、結論、代替手段、事前準備の関係を並べたものです。短期居住権の有無だけで止まらず、どの方向で証拠や手続を確認すべきかを読み取ることが大切です。

Conclusion

民法1037条の対象外

内縁の夫・妻は、社会生活上は夫婦同然と扱われる場面があっても、相続法上の「配偶者」には通常含まれません。

Alternative

別の法律構成を検討

賃貸住宅、使用貸借、賃貸借、共有、特別縁故者、遺言、死因贈与など、事案ごとの手段を確認します。

Preparation

生前対策が中心

公正証書遺言、契約書、登記、税務、生活資金を一体で設計しておくほど、死亡後の紛争を減らしやすくなります。

重要「内縁の配偶者」という日常語は便利ですが、民法上の権利主体を論じる場面では誤解を招くことがあります。法律上は「内縁の夫」「内縁の妻」「事実婚のパートナー」と分けて考える必要があります。
Section 01

内縁の配偶者に配偶者短期居住権は認められるかを考える用語整理

内縁、法律上の配偶者、配偶者短期居住権、配偶者居住権を混同しないことが出発点です。

内縁、法律上の配偶者、配偶者短期居住権は似た言葉が重なりますが、相続では意味が大きく異なります。ここでは、それぞれが何を表し、どこで結論が分かれるのかを整理します。

次の3つの項目は、用語ごとの法的な位置づけを示しています。読者にとって重要なのは、同居実態や住民票の記載があっても、相続法上の配偶者性とは別問題になる点です。

Fact Marriage

内縁・事実婚

夫婦として共同生活を営む意思と実体がある関係です。社会保険、年金、損害賠償、借家関係などでは一定の保護が問題になることがあります。

Legal Spouse

民法上の配偶者

婚姻届が受理され、法律婚が成立している夫または妻を指します。民法890条では、配偶者は常に相続人になるとされています。

Residence

配偶者短期居住権

法律上の配偶者が、相続開始時に被相続人の建物へ無償で居住していた場合に、一定期間の無償使用を保護する制度です。

配偶者短期居住権の基本要件

配偶者短期居住権の要件は、最初の入口で法律婚の配偶者かどうかを問います。内縁のケースでは、この入口を通れないことが多いため、他の要件を満たしそうに見えても結論が変わります。

  • 被相続人に法律上の配偶者がいること
  • その配偶者が相続開始時に居住建物に住んでいたこと
  • 居住建物が被相続人の財産に属していたこと
  • 配偶者がその建物を無償で使用していたこと
  • 相続欠格または廃除により相続権を失った配偶者ではないこと
  • 相続開始時に同じ建物について配偶者居住権を取得していないこと

次の比較表は、配偶者短期居住権と配偶者居住権の違いを整理したものです。どちらも「配偶者」を前提にする制度ですが、短期保護か長期保護か、登記や財産評価の扱いが異なる点を読み取ってください。

項目配偶者短期居住権配偶者居住権
根拠民法1037条以下民法1028条以下
目的相続開始直後の短期的な居住保護終身または一定期間の長期的な居住保護
成立方法要件を満たすと法律上当然に発生遺産分割、遺贈、死因贈与などで取得
権利内容原則として無償使用無償で使用・収益
登記通常、登記制度なし登記可能
内縁への適用原則なし原則なし
期間法律上の配偶者については、遺産分割で建物の帰属が決まる日、または相続開始から6か月を経過する日のいずれか遅い日まで保護される場面があります。内縁のパートナーには、この保護が当然には及びません。
Section 02

内縁の配偶者に配偶者短期居住権が認められない理由

条文の文言、婚姻届、相続法上の配偶者保護、所有者への負担という観点から整理します。

内縁の配偶者に配偶者短期居住権が認められない理由は、条文の文言だけでなく、相続法全体の設計と所有者側の負担にも関係します。ここでは、どの根拠が結論を支えているのかを分解します。

次の注意要素の一覧は、内縁への直接適用や類推適用を慎重に考える理由を示しています。読者は、生活実態の強さと、相続法上の権利発生が同じではないことを読み取ってください。

条文が配偶者に限定

民法1037条は権利者を「配偶者」としています。相続法上、この語は通常、法律上の婚姻関係にある者を指します。

婚姻は届出で効力発生

民法上の婚姻は、戸籍法上の届出によって効力を生じます。住民票の「妻(未届)」などは、民法上の配偶者性そのものではありません。

所有者の権利を制限する制度

配偶者短期居住権は建物取得者の使用・処分を一定期間制約します。明文のない相手に拡張するには慎重な検討が必要です。

別制度による保護が問題になる

賃貸住宅、特別縁故者、遺言、契約など、内縁パートナーを守る可能性は別の制度で検討されます。

次の判断の流れは、民法1037条の入口でどこを確認するかを示しています。順番に見ることで、配偶者短期居住権そのものの問題か、別の居住保護の問題かを切り分けられます。

配偶者短期居住権の入口確認

婚姻届が受理されているか

戸籍上の法律婚があるかを最初に確認します。

はい
民法1037条の要件へ進む

居住、建物所有、無償使用、欠格・廃除などを検討します。

いいえ
短期居住権は原則発生しない

賃貸借、使用貸借、遺言、特別縁故者などへ検討を移します。

「内縁の配偶者」という言葉の扱い

日常語として「内縁の配偶者」と表現されることはありますが、民法上はやや不正確です。権利主体を論じる場面では、「内縁の夫」「内縁の妻」「事実婚のパートナー」と表現したうえで、法律婚の配偶者とは分けて検討する必要があります。

Section 03

内縁の配偶者に配偶者短期居住権がない場合のケース別居住保護

持ち家、賃貸、共有、相続人不存在、遺言の有無で、検討すべき制度が変わります。

配偶者短期居住権が発生しないとしても、内縁パートナーの居住がまったく守られないとは限りません。建物が持ち家か賃貸か、相続人がいるか、遺言や契約があるかによって、検討すべき制度が変わります。

次のケース別一覧は、住まいの形と相続関係ごとに、どの制度が問題になるかを並べています。読者は、自分の状況に近い行を見つけ、配偶者短期居住権ではなく何を確認すべきかを読み取ってください。

1

被相続人所有の自宅に同居

法律婚でない前提では短期居住権は発生しにくく、使用貸借、賃貸借、共有持分、遺言、権利濫用などを検討します。

持ち家
2

被相続人名義の賃貸住宅に同居

相続人がいない場合は借地借家法36条、相続人がいる場合は賃借権援用の判例法理が問題になります。

賃貸
3

内縁パートナーが共有持分を持つ

短期居住権ではなく、共有者としての使用関係、使用対価、共有物分割、固定資産税や修繕費の負担が論点になります。

共有
4

相続人がいない

特別縁故者として相続財産分与を受けられる可能性がありますが、家庭裁判所の手続と期間制限が問題になります。

裁判所
5

遺言が残されている

不動産や共有持分の遺贈、一定期間の使用を認める設計、預貯金の遺贈などが居住保護につながる可能性があります。

遺言

次の比較表は、各ケースで確認する資料と注意点をまとめたものです。列ごとに、住まいの根拠、相手方、証拠の方向性が変わる点を読み取ってください。

場面中心論点確認資料注意点
所有自宅に同居使用貸借、賃貸借、共有、遺言契約書、メモ、費用負担記録、登記事項証明書相続人の明渡請求が問題になりやすい
賃貸住宅で相続人なし借地借家法36条賃貸借契約書、住民票、同居実態の資料反対意思表示や期間制限を確認する
賃貸住宅で相続人あり相続人に承継された賃借権の援用賃料支払状況、契約解除の有無、相続人との連絡記録内縁パートナーが当然に共同賃借人になるわけではない
共有持分あり共有者としての使用関係登記、購入資金、住宅ローン、固定資産税資料無償で独占使用できるとは限らない
相続人なし特別縁故者制度同居、療養看護、生計同一、葬儀・供養の資料即時の居住権ではなく、家庭裁判所の判断が必要
注意賃貸住宅の場合は、持ち家より居住保護の余地が出ることがあります。ただし、それは配偶者短期居住権ではなく、借地借家法や判例法理による検討です。
Section 04

内縁の配偶者に配偶者短期居住権がないときの判断手順

婚姻届、建物の種類、相続人、遺言・契約、明渡請求の順に確認します。

内縁パートナーの居住保護は、感情的な対立が起きる前に、事実と資料を順序立てて確認することが重要です。ここでは、相続開始後に何を確認するかを判断の流れとして整理します。

次の判断の流れは、婚姻、建物種別、相続人、遺言・契約、明渡請求の順に確認するものです。上から順に進めることで、配偶者短期居住権の問題なのか、契約・相続手続・交渉の問題なのかを読み分けられます。

内縁パートナーの居住保護を確認する順番

Step 1. 婚姻届の有無

法律上の配偶者か、内縁・事実婚かを戸籍で確認します。

Step 2. 持ち家か賃貸か

所有権、賃借権、借地借家法、共有のどれが中心かを分けます。

Step 3. 相続人の有無

相続人との交渉か、相続財産清算人・特別縁故者制度かを確認します。

Step 4. 遺言・契約・合意書

公正証書遺言、自筆証書遺言、死因贈与、賃貸借、使用貸借、メールやメモを探します。

Step 5. 当面の明渡し請求への対応

所有者、請求根拠、賃料相当損害金、動産、交渉・調停・訴訟の見通しを整理します。

次の時系列は、相続開始後に確認が遅れると不利になりやすい項目を並べています。日数や月数そのものよりも、証拠保全、相続人確認、税務・登記期限が別々に進む点を読み取ってください。

死亡直後

居住と資料の保全

鍵、荷物、契約書、住民票、郵便物、公共料金、介護記録、費用負担資料を整理します。

3か月目安

相続放棄や相続人調査

相続人側の手続状況が、賃借権や明渡請求の相手方に影響します。

10か月目安

相続税申告の有無

遺贈、生命保険、贈与、配偶者税額軽減の不適用など、税務論点を確認します。

3年以内

相続登記義務化への対応

相続人側が不動産の名義変更を進めると、明渡しや売却の交渉が具体化することがあります。

Section 05

内縁の配偶者に配偶者短期居住権がないため必要な生前対策

公正証書遺言、契約、共有、生命保険、信託などを組み合わせて、住まいと生活資金を設計します。

内縁の配偶者に配偶者短期居住権が認められない以上、相続開始前の設計が重要です。ここでは、住まいそのものを残す方法、使用権を残す方法、生活資金を残す方法を分けて考えます。

次の対策一覧は、生前に検討される主な手段を並べたものです。読者は、所有権を移すのか、住む権利を確保するのか、生活資金を残すのかという違いを読み取ってください。

1

公正証書遺言

自宅や共有持分の遺贈、転居費用・生活費の遺贈、遺言執行者の指定を具体的に定めます。

基本
2

死因贈与契約

死亡によって効力が生じる契約として、不動産や使用関係を設計します。遺留分、撤回、登記、税務に注意します。

契約
3

生前贈与・共有名義

自宅の全部または一部を移す方法です。贈与税、不動産取得税、将来の共有紛争を検討します。

不動産
4

賃貸借契約

実体のある賃料支払と契約書があれば、相続後も賃借人として居住を主張しやすくなります。

有償
5

使用貸借契約

無償で住まわせる場合は、目的、期間、費用負担、解除事由を明文化しておくことが重要です。

無償
6

生命保険・預貯金

住み続けることが難しい場合に、転居費用や生活資金を確保する手段として検討します。

資金
7

任意後見・財産管理・信託

判断能力低下や財産管理の疑いを避けるため、生前から権限と記録を整えます。

管理

次の比較表は、主な対策ごとの効果と弱点をまとめています。制度名だけで選ぶのではなく、証拠、税務、登記、相続人との衝突可能性をセットで読む必要があります。

手段主な効果主な注意点
公正証書遺言不動産・金銭の帰属を具体的に残せる遺留分、税務、登記、換価可能性を設計する
死因贈与契約として死亡後の贈与を定められる契約有効性、撤回、執行者、登記が問題になる
共有名義共有者として使用関係を主張しやすい共有物分割、使用対価、売却困難が生じ得る
賃貸借契約相続後も賃借人としての地位を主張しやすい形式だけでは弱く、賃料支払の実体が重要
使用貸借契約無償居住の合意を資料化できる賃貸借より保護が弱く、期間・目的が争点になる
生命保険転居費用や生活資金を確保しやすい受取人指定、課税関係、遺留分との関係を確認する
Section 06

内縁の配偶者に配偶者短期居住権がない場合の税務・登記実務

配偶者税額軽減、遺贈・贈与の課税、相続登記義務化を別々に確認します。

内縁パートナーへの財産移転では、配偶者短期居住権が発生しないことに加え、税務や登記でも法律婚の配偶者とは扱いが変わりやすくなります。特に配偶者の税額軽減が使えない可能性は大きな差です。

次の比較表は、内縁パートナーへ財産や居住利益を残すときに問題になりやすい税目と実務上の注意点を整理しています。どの財産をどの法律構成で移すかによって、税務の出発点が変わることを読み取ってください。

方法主な税目注意点
遺言による遺贈相続税配偶者税額軽減なし、遺留分侵害額請求の可能性
死因贈与原則として相続税契約の有効性、登記、執行者、遺留分
生前贈与贈与税税率、登録免許税、不動産取得税、意思能力
生命保険相続税・所得税・贈与税の検討契約者、被保険者、受取人の関係で課税が変わる
賃貸借契約所得税等賃料収入、適正賃料、契約実体の有無

次の時系列は、配偶者居住権制度、相続登記義務化、税務申告期限など、実務で見落としやすい時点を並べています。読者は、居住の問題と税務・登記の問題が同時に進むことを読み取ってください。

2020年4月1日

配偶者居住権関連制度の施行

配偶者短期居住権は相続法改正で創設された制度ですが、権利者は法律上の配偶者が前提です。

2024年4月1日

相続登記の申請義務化

不動産を相続で取得した相続人には、一定期間内の登記申請義務が生じます。

10か月目安

相続税申告の検討

内縁パートナーが遺贈や死因贈与で財産を取得する場合、配偶者税額軽減が使えない可能性を踏まえて試算します。

税務相続税が発生しそうな場合、内縁パートナーに何を渡すか、誰が税を負担するか、遺留分の金銭支払原資をどう確保するかを税理士等と確認する必要があります。
Section 07

内縁の配偶者に明渡しを求められたときの実務対応

資料保全、相続人との交渉、裁判所手続、専門職の役割を整理します。

相続開始後に明渡しを求められた場合、内縁パートナー側も相続人側も、強硬な対応は紛争を深刻化させます。まずは関係資料を整理し、所有者、契約関係、交渉の余地を確認することが実務上の出発点です。

次の資料一覧は、内縁関係、居住の根拠、不動産、相続関係、生活上の必要性を分けて示しています。どの資料が何を裏付けるかを読み取り、足りない証拠を早めに確認することが重要です。

関係性の資料

住民票、公共料金、郵便物、写真、親族・近隣の証言、介護記録など。

居住根拠の資料

契約書、メモ、メール、LINE、家賃や固定資産税・修繕費の負担記録など。

不動産の資料

登記事項証明書、固定資産税納税通知書、住宅ローン資料、売買契約書、リフォーム資料など。

相続関係の資料

戸籍、相続人関係説明図、遺言書、遺産分割協議書案、相続財産に関する資料など。

次の解決案の一覧は、裁判で白黒を決める前に検討されることがある合意の方向性です。読者は、居住期間、費用負担、退去時期、売却や買い取りの選択肢を分けて読み取ってください。

A

一定期間の無償居住

転居準備や生活再建のため、期間を区切って無償居住を認める合意です。

期間
B

有償賃貸借への切替え

相続人を賃貸人、内縁パートナーを賃借人として、賃料や更新を定める方法です。

賃料
C

転居費用・搬出期間の合意

家財道具の搬出、転居費用、退去日を明確にして紛争を収束させる方法です。

退去
D

買い取り・売却代金の調整

内縁パートナーが不動産を買い取る、または売却代金の一部を和解金等として扱う方法です。

不動産

次の役割分担表は、この問題に関わる専門職の担当領域を整理したものです。争い、登記、税務、不動産評価、書類作成で相談先が異なる点を読み取ってください。

専門職主な役割関与が重要になる場面
弁護士明渡請求、遺留分、遺言無効、使い込み疑い、交渉、調停、訴訟相続人との争いがある場合
司法書士相続登記、遺贈登記、戸籍収集、裁判所提出書類作成不動産や登記名義が問題になる場合
税理士遺贈、死因贈与、生前贈与、生命保険、相続税申告税負担や申告が問題になる場合
行政書士紛争性のない書類作成支援遺言や説明図などの書面整理が中心の場合
公証人公正証書遺言、死因贈与契約、任意後見契約の公正証書化生前対策を証拠化したい場合
不動産専門職評価、売却、賃料相場、共有持分評価遺留分や代償金、不動産売却が問題になる場合
Section 08

内縁の配偶者と配偶者短期居住権のよくある質問

制度の一般的な考え方を中心に、個別事情で結論が変わる点もあわせて確認します。

Q1. 内縁の配偶者に配偶者短期居住権は認められるか。

一般的には、民法1037条の「配偶者」は法律上の配偶者を指すため、婚姻届を出していない内縁の夫・妻には配偶者短期居住権は発生しないと整理されています。ただし、居住を守る可能性は、賃貸借、使用貸借、遺言、特別縁故者制度など別の法律構成で変わります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 何十年も同居していても認められませんか。

一般的には、同居期間が長いだけで配偶者短期居住権が発生するわけではないとされています。ただし、内縁関係の存在、使用貸借契約、賃貸借契約、共有持分、特別縁故者該当性などによって検討事項は変わります。個別の見通しは、証拠関係を踏まえて弁護士等に確認する必要があります。

Q3. 住民票に「妻(未届)」とあれば短期居住権はありますか。

一般的には、住民票の記載は内縁関係の証拠になり得ても、民法1037条の配偶者性を直接生じさせるものではないと考えられています。ただし、別の居住権原や交渉では重要な資料になる可能性があります。具体的には、他の資料とあわせて専門家へ相談する必要があります。

Q4. 法律上の配偶者が相続放棄した場合はどうなりますか。

一般的には、法律上の配偶者であれば、相続放棄をしても配偶者短期居住権が問題になる場面があります。これは相続人としての地位そのものとは別に、短期的な居住を保護する制度と整理されるためです。ただし、相続欠格や廃除などの事情で結論が変わる可能性があり、具体的には専門家への確認が必要です。

Q5. 内縁パートナーに配偶者居住権を遺贈できますか。

一般的には、配偶者居住権も民法上の「配偶者」を前提にする制度のため、内縁パートナーへそのまま遺贈することは難しいと考えられています。代わりに、所有権や共有持分の遺贈、賃貸借契約、使用貸借契約、死因贈与、信託などを検討することになります。具体的な設計は、遺留分・税務・登記を含めて専門家へ相談する必要があります。

Q6. 賃貸住宅なら内縁パートナーは住み続けられますか。

一般的には、相続人がいない場合には借地借家法36条、相続人がいる場合には相続人に承継された賃借権の援用が問題になる可能性があります。ただし、当然に共同賃借人になるわけではなく、賃貸借契約の解除、賃料不払い、相続人との関係で結論は変わります。具体的な対応は専門家へ相談する必要があります。

Q7. 相続人がいない場合、内縁パートナーは家を取得できますか。

一般的には、相続人不存在の場合、特別縁故者として相続財産分与を受けられる可能性があります。ただし、家庭裁判所の手続が必要であり、財産の全部または一部を取得できるかは裁判所の判断によります。手続期間や申立期間もあるため、具体的には専門家に確認する必要があります。

Q8. 内縁パートナーが介護していた場合、寄与分はありますか。

一般的には、寄与分は相続人の制度であり、特別寄与料も民法上は親族を対象とする制度です。内縁パートナーが法律上の親族に当たらない場合、これらを当然に利用できるとは限りません。ただし、特別縁故者、契約、不当利得、事務管理など別の構成が問題になる可能性があり、具体的には専門家へ相談する必要があります。

Q9. 相続人から急に退去を求められた場合はどう考えますか。

一般的には、強硬な対応を避け、遺言、契約書、住民票、生活費負担記録、介護記録、固定資産税や修繕費の支払記録などを保全することが重要とされています。そのうえで、所有者、請求根拠、賃貸借の有無、交渉余地を整理します。具体的な対応方針は、資料を持って弁護士等へ相談する必要があります。

Q10. 内縁パートナーを守る確実性を高める方法は何ですか。

一般的には、公正証書遺言を中心に、遺留分、税務、登記、生活資金を踏まえて設計する方法が検討されます。不動産を残すのか、使用権を残すのか、転居費用を残すのかで手段は変わります。具体的な設計は、弁護士、司法書士、税理士、公証人などと連携して確認する必要があります。

Section 09

内縁の配偶者に配偶者短期居住権は認められるかの最終整理

結論は原則否定ですが、別制度と生前対策で住まいを守れる可能性を検討します。

最後に、内縁の配偶者に配偶者短期居住権が認められるかという問いを、実務上の行動につながる形で整理します。法律上の答えと、住まいを守るための現実的な検討事項は分けて考える必要があります。

次の重要ポイントは、このページ全体の結論を一文でまとめたものです。読者は、短期居住権がないという結論だけでなく、生前対策と証拠化が中心になることを読み取ってください。

法律上の答えは「原則として認められない」

ただし、賃貸住宅、特別縁故者、遺言、契約、共有持分、生前贈与、生命保険、信託などにより、住まいと生活資金を守れる可能性は事案ごとに残ります。

次の整理一覧は、相続開始後に主張する権利と、生前に準備する手段を分けています。どの項目も単独で万能ではないため、複数の対策を組み合わせる視点が重要です。

After Death

相続開始後の確認

賃貸借、使用貸借、共有持分、相続人の有無、遺言、特別縁故者、明渡請求の根拠を確認します。

Before Death

生前対策

公正証書遺言、死因贈与、賃貸借契約、使用貸借契約、共有化、生命保険、信託などを設計します。

Evidence

証拠化

同居実態、費用負担、介護、財産管理、被相続人の意思、契約内容を資料で残すことが紛争予防につながります。

Reference

参考資料・主要根拠

法令・公的資料

  • e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」
  • e-Gov法令検索「借地借家法(平成三年法律第九十号)」
  • 法務省「残された配偶者の居住権を保護するための方策が新設されます。」
  • 法務省「相続に関するルールが大きく変わります」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」

税務・登記・判例資料

  • 国税庁「No.4666 配偶者居住権等の評価」
  • 国税庁 税務大学校論叢「民法(相続法)改正に伴う相続税・贈与税の課税関係の考察」
  • 国税庁「第19条の2《配偶者に対する相続税額の軽減》関係」
  • 最高裁昭和42年2月21日判決・民集21巻1号155頁
  • 国会会議録検索システム「第196回国会 衆議院 法務委員会 第20号 平成30年6月13日」