2σ Guide

2018年の民法改正で
相続はどう変わったか

配偶者居住権、預貯金払戻し、遺留分、特別寄与、自筆証書遺言、遺言執行者、相続登記義務化との関係まで、相続実務の視点で体系的に整理します。

約40年1980年以来の大きな見直し
150万円一金融機関ごとの払戻し上限
2024年相続登記義務化も確認
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2018年の民法改正で 相続はどう変わったか

配偶者居住権、預貯金払戻し、遺留分、特別寄与、自筆証書遺言、遺言執行者、相続登記義務化との関係まで、相続実務の視点で体系的に整理します。

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2018年の民法改正で 相続はどう変わったか
配偶者居住権、預貯金払戻し、遺留分、特別寄与、自筆証書遺言、遺言執行者、相続登記義務化との関係まで、相続実務の視点で体系的に整理します。
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  • 2018年の民法改正で 相続はどう変わったか
  • 配偶者居住権、預貯金払戻し、遺留分、特別寄与、自筆証書遺言、遺言執行者、相続登記義務化との関係まで、相続実務の視点で体系的に整理します。

POINT 1

  • 2018年の民法改正で相続がどう変わったかの全体像
  • 法定相続分の大改造ではなく、相続開始後に困りやすい実務場面を整える改正です。
  • 2018年改正は相続の「困る場面」を整える実務型の改正です
  • 配偶者居住権と配偶者短期居住権
  • 遺産分割前の預貯金払戻し

POINT 2

  • 2018年の民法改正で相続が変わった施行日と適用関係
  • 1. 自筆証書遺言の方式緩和:財産目録をパソコン作成、通帳コピー、不動産登記事項証明書などで作成しやすくなりました。
  • 2. 多くの実務制度が施行
  • 3. 配偶者居住権と配偶者短期居住権:残された配偶者が自宅に住み続けるための制度が施行されました。
  • 4. 自筆証書遺言書保管制度:自筆証書遺言の紛失、隠匿、改ざんリスクを下げ、検認不要のルートができました。

POINT 3

  • 2018年の民法改正前に相続実務で問題になっていたこと
  • 自宅と生活費の両立が難しい
  • 預貯金が凍結される

POINT 4

  • 2018年の民法改正で相続の配偶者保護はどう変わったか
  • 配偶者居住権、短期居住権、婚姻20年以上の居住用不動産贈与等をまとめて確認します。
  • 配偶者保護は、2018年改正の中心的なテーマです。
  • 自宅に住み続けたい配偶者を、所有権だけでなく居住利益という形でも守る発想が導入されました。
  • 住まい、遺産分割、老後生活、紛争予防、税務の各観点で、どのような意味があるかを読み取ります。

POINT 5

  • 2018年の民法改正で相続の預貯金払戻しと処分財産はどう変わったか
  • 1. 必要額と使途を整理:葬儀費用、医療費、生活費、相続債務などを資料で確認します。
  • 2. 単独払戻しの範囲内か確認:計算式と一金融機関150万円の上限を照合します。
  • 3. 合意または家庭裁判所手続を検討:仮取得、相続人全員の合意、立替払い、生命保険金の活用を比べます。
  • 4. 記録を残して払戻し:払戻し後の領収書、明細、説明資料を保管します。

POINT 6

  • 2018年の民法改正で相続の遺言制度はどう変わったか
  • 自筆証書遺言の方式緩和、法務局保管、遺言執行者の権限を確認します。
  • 自筆証書遺言は費用を抑えて作れる一方、改正前は財産目録も含めて全文自書が必要でした。
  • 不動産、預貯金口座、株式、投資信託が多い人や、高齢で長文を書くのが難しい人には大きな負担でした。
  • 財産目録だけが自書不要になった点を読み誤らないことが重要です。

POINT 7

  • 2018年の民法改正で相続の登記と対抗要件はどう変わったか
  • 法定相続分を超える取得では、登記などの対抗要件がより重要になりました。
  • 遺言があるから安心、というだけでは足りない場面があります。
  • 誰に何を主張する必要があるのか、どの手続を早めるべきかを読み取ります。
  • 2024年4月1日からは 相続登記が義務化されています。

POINT 8

  • 2018年の民法改正で相続の遺留分と特別寄与はどう変わったか
  • 遺留分は金銭請求に整理され、相続人ではない親族の介護貢献も一定範囲で評価されます。
  • 遺留分は、兄弟姉妹以外の一定の相続人に最低限保障される相続利益です。
  • 2018年改正後は、遺留分を侵害された人が受遺者や受贈者に対して金銭の支払を請求する制度へ整理されました。
  • 不動産や株式の共有化を避ける効果と、金銭支払の準備が必要になる点を読み取ります。

まとめ

  • 2018年の民法改正で 相続はどう変わったか
  • 2018年の民法改正で相続がどう変わったかの全体像:法定相続分の大改造ではなく、相続開始後に困りやすい実務場面を整える改正です。
  • 2018年の民法改正で相続が変わった施行日と適用関係:平成30年法律第72号と第73号を分け、制度ごとの施行日を確認します。
  • 2018年の民法改正前に相続実務で問題になっていたこと:配偶者の生活、預金凍結、遺留分共有、介護貢献、遺言利用の負担が背景にあります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

2018年の民法改正で相続がどう変わったかの全体像

法定相続分の大改造ではなく、相続開始後に困りやすい実務場面を整える改正です。

2018年の民法改正で相続がどう変わったかを短く整理すると、残された配偶者の住まい、遺産分割前の資金確保、遺留分紛争、相続人ではない親族の介護貢献、遺言作成と保管、遺言執行者や登記の実務が大きく整理された、ということです。配偶者や子の法定相続分の基本構造を全面的に変えた改正ではありません。

次の強調表示は、このページ全体で追うべき結論を表します。最初に全体の位置づけを押さえると、個別制度がなぜ重要なのか、どの場面で確認すべきかを読み取りやすくなります。

2018年改正は相続の「困る場面」を整える実務型の改正です

自宅に住み続けたい、葬儀費用を払いたい、遺言で財産が偏った、介護した親族が相続人ではない、遺言を安全に残したいという場面に、制度上の選択肢が増えました。

次の一覧は、2018年の民法改正で相続実務に影響した主要テーマを並べたものです。どの制度が何を解決するのかを先に見ることで、自分の相続で確認すべき論点を絞り込めます。

住まい

配偶者居住権と配偶者短期居住権

自宅所有権と住む権利を分け、相続開始直後から長期の居住まで、残された配偶者の生活基盤を守る選択肢を増やしました。

資金

遺産分割前の預貯金払戻し

葬儀費用、医療費、生活費などの資金需要に対応するため、一定額まで単独で払い戻せる制度と家庭裁判所の仮取得が整備されました。

権利調整

遺留分の金銭請求化

不動産や株式が当然に共有化する問題を避け、遺留分侵害額請求として金銭で調整する方向に変わりました。

介護貢献

特別寄与制度

相続人ではない一定の親族が無償で療養看護などを行った場合、相続人に金銭の支払を求められる可能性が生まれました。

遺言

自筆証書遺言の方式緩和と保管制度

財産目録の作成負担が軽くなり、法務局で原本を保管する制度により紛失、隠匿、改ざんのリスクを下げやすくなりました。

名義実務

遺言執行者と対抗要件の明確化

遺言を実現する人の権限や、法定相続分を超える取得について登記などが重要になることが明確になりました。

この改正は、1980年の配偶者相続分引上げ等以来、約40年ぶりの大きな相続法改正と位置づけられます。ただし、個別案件では相続人の関係、遺言の有無、財産の種類、相続開始日、税務、登記、紛争の程度によって結論が変わります。

Section 01

2018年の民法改正で相続が変わった施行日と適用関係

平成30年法律第72号と第73号を分け、制度ごとの施行日を確認します。

2018年の相続法改正の中心は、民法及び家事事件手続法の一部改正と、法務局における遺言書保管制度の創設です。相続開始日と施行日がずれると使える制度が変わるため、まず根拠法を分けて把握することが重要です。

次の表は、改正の根拠となる二つの法律を示します。公布日は同じでも、扱う制度が異なるため、相続手続ではどちらの制度を使う場面かを読み分けます。

法律公布日主な内容
民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律、平成30年法律第72号2018年7月13日配偶者居住権、配偶者短期居住権、預貯金払戻し、遺留分の金銭債権化、特別寄与、遺言執行者の権限明確化など
法務局における遺言書の保管等に関する法律、平成30年法律第73号2018年7月13日法務局における自筆証書遺言書保管制度の創設

次の時系列は、主要制度がいつから使えるようになったかを表します。相続開始日が施行日前か後かで扱いが変わるため、左の日時と右の制度名を対応させて確認します。

2019年1月13日

自筆証書遺言の方式緩和

財産目録をパソコン作成、通帳コピー、不動産登記事項証明書などで作成しやすくなりました。

2019年7月1日

多くの実務制度が施行

預貯金払戻し、遺留分制度の見直し、特別寄与、遺産分割前の処分財産、婚姻20年以上の配偶者への居住用不動産贈与等の優遇、対抗要件、遺言執行者関係などが動き出しました。

2020年4月1日

配偶者居住権と配偶者短期居住権

残された配偶者が自宅に住み続けるための制度が施行されました。

2020年7月10日

自筆証書遺言書保管制度

自筆証書遺言の紛失、隠匿、改ざんリスクを下げ、検認不要のルートができました。

改正項目は一斉に施行されたわけではありません。相続が施行日前に開始している場合には、原則として改正前のルールが適用される場面があるため、2018年改正後の制度を当然に使えるとは限りません。

Section 02

2018年の民法改正前に相続実務で問題になっていたこと

配偶者の生活、預金凍結、遺留分共有、介護貢献、遺言利用の負担が背景にあります。

2018年改正は、抽象的な制度変更ではなく、相続開始後に家庭で起こりやすい問題への対応として設計されました。どの問題にどの制度が対応したのかを見ておくと、制度の使いどころが分かります。

次の一覧は、改正前に生じやすかった困りごとと、改正後に整えられた対応策を対応させたものです。左側の問題が自分の状況に近い場合、右側の制度を重点的に確認します。

自宅と生活費の両立が難しい

自宅評価額が高く預貯金が少ない家庭では、配偶者が自宅を取得すると生活資金を取りにくく、自宅を手放すと住まいを失うおそれがありました。

預貯金が凍結される

2016年の最高裁大法廷決定以降、相続預貯金は遺産分割の対象と整理され、相続人の一人が当然に単独払戻しを受けることは難しくなりました。

遺留分が共有を生む

改正前の遺留分減殺請求では、不動産や株式などが共有化し、事業承継や不動産管理に支障が出ることがありました。

相続人ではない介護者が評価されにくい

長男の妻、甥、姪などが無償で療養看護に尽くしても、相続人でなければ寄与分制度では救済できない人がいました。

自筆証書遺言が使いにくい

全文自書の負担、方式不備、紛失、隠匿、改ざん、発見されないリスクがありました。

これらの問題は、どれか一つだけで起こるとは限りません。例えば不動産が多い相続では、配偶者居住権、遺留分、相続税評価、登記、遺言執行が同時に問題になることがあります。

Section 03

2018年の民法改正で相続の配偶者保護はどう変わったか

配偶者居住権、短期居住権、婚姻20年以上の居住用不動産贈与等をまとめて確認します。

配偶者保護は、2018年改正の中心的なテーマです。自宅に住み続けたい配偶者を、所有権だけでなく居住利益という形でも守る発想が導入されました。

次の表は、配偶者居住権の実務上の効果を整理したものです。住まい、遺産分割、老後生活、紛争予防、税務の各観点で、どのような意味があるかを読み取ります。

観点効果
住まい配偶者が自宅に住み続ける選択肢になります。
遺産分割建物所有権と居住権を分け、遺産配分の柔軟性が高まります。
老後生活配偶者が預貯金などの生活資金を取得しやすくなります。
紛争予防自宅を出るか、現金をあきらめるかという対立を緩和し得ます。
税務相続税評価上、配偶者居住権と負担付き所有権を分けて評価する必要があります。

配偶者居住権は、被相続人の配偶者が相続開始時に被相続人所有の建物に居住していた場合に、その建物を無償で使用収益できる権利です。所有権ではないため、建物を相続する人と、建物に住む権利を持つ配偶者を分けられます。

次の表は、配偶者居住権の成立方法と期間をまとめたものです。どの取得ルートか、期間をどう定めるかにより、登記、税務、遺留分、将来の施設入居の検討が変わります。

項目実務上の確認点
取得方法遺産分割協議、調停または審判、遺言による遺贈、家庭裁判所の審判で取得する場合があります。
居住要件相続開始時に配偶者がその建物に住んでいることが重要です。別荘、投資用物件、長期空き家は慎重に検討します。
所有関係被相続人と配偶者の共有は問題になり得ますが、配偶者以外の第三者と被相続人が共有していた建物では制限があります。
存続期間原則は配偶者の終身ですが、10年間、一定年齢までなど別段の定めも可能です。
登記第三者に対抗するには配偶者居住権の登記が重要で、建物所有者には登記協力義務があります。
制約譲渡は禁止され、増改築や第三者使用には所有者の承諾が問題になります。善良な管理者の注意義務もあります。

配偶者居住権の期間は、長いほど権利評価額が大きくなり、建物所有権の評価額は小さくなる傾向があります。相続税申告が必要な案件では、税理士が配偶者居住権、負担付き建物、敷地利用権、敷地所有権の評価を検討し、弁護士や司法書士と連携することが重要です。

次の比較表は、長期の配偶者居住権と一時的な配偶者短期居住権の違いを表します。相続開始直後の保護なのか、長期的な住まいの設計なのかを読み分けます。

比較項目配偶者居住権配偶者短期居住権
性質長期的な居住権一時的な居住保護
成立方法遺産分割、遺言、審判など一定要件を満たせば相続開始後に発生
期間原則終身、別段の定めも可能遺産分割まで、または一定の最低期間
登記登記により第三者対抗力を確保登記制度は中心ではありません
相続税評価財産的価値として評価対象通常、財産価値としては扱われにくいと整理されています

婚姻期間20年以上の夫婦間で居住用不動産またはその取得資金の遺贈や贈与があった場合には、原則として特別受益の持戻し免除の意思表示があったものと推定されます。生前に自宅を贈与された配偶者が、そのことだけで当然に具体的相続分を大きく減らされるとは限らない方向に、配偶者保護が強まりました。

注意この優遇は、配偶者へのすべての贈与を無条件に守る制度ではありません。婚姻20年以上、居住用不動産または取得資金、遺贈または贈与という要件のほか、贈与税、不動産取得税、登録免許税、将来の相続税評価は別に検討します。
Section 04

2018年の民法改正で相続の預貯金払戻しと処分財産はどう変わったか

葬儀費用や生活費の資金需要と、遺産分割前の使い込み疑いを整理します。

被相続人が死亡すると、金融機関は預貯金口座の払戻しを止めるのが通常です。2016年の最高裁大法廷決定後、預貯金が遺産分割の対象と整理されたため、相続人の一人が単独で自由に払い戻すことは難しくなりました。

次の強調表示は、家庭裁判所を通さない預貯金払戻しの計算方法と例を表します。上限と法定相続分の両方を見る必要があるため、式と具体例をセットで確認します。

相続開始時の預貯金債権額 × 3分の1 × 払戻しを求める相続人の法定相続分

同一金融機関からの払戻しは150万円までとされています。例えば900万円の預金について、法定相続分4分の1の子が単独で払い戻せる額は、900万円 × 3分の1 × 4分の1 = 75万円です。

次の表は、預貯金払戻し制度を使うときの注意点を整理したものです。払い戻せるかだけでなく、後日の精算、説明資料、税務資料まで読み取ることが大切です。

注意点実務対応
払戻し額の計算金融機関ごとの残高、法定相続分、一金融機関150万円の上限を確認します。
使途の記録葬儀費用、医療費、生活費などの領収書を保存します。
他の相続人への説明後日の紛争を避けるため、早めに共有します。
相続税との関係相続財産の一部として税理士に資料を渡します。
紛争がある場合弁護士に相談し、家庭裁判所の仮取得も検討します。

必要額が単独払戻しの上限を超える場合や、相続人間で紛争がある場合は、家庭裁判所に遺産分割の審判または調停が申し立てられていることを前提に、預貯金債権の全部または一部を仮に取得させる制度が重要になります。

次の判断の流れは、資金が必要になったときに確認する順番を表します。必要額、合意の有無、紛争の程度により、金融機関手続で足りるか、家庭裁判所手続を検討するかを読み取ります。

預貯金を使う必要があるときの確認順序

必要額と使途を整理

葬儀費用、医療費、生活費、相続債務などを資料で確認します。

単独払戻しの範囲内か確認

計算式と一金融機関150万円の上限を照合します。

範囲を超える
合意または家庭裁判所手続を検討

仮取得、相続人全員の合意、立替払い、生命保険金の活用を比べます。

範囲内
記録を残して払戻し

払戻し後の領収書、明細、説明資料を保管します。

遺産分割前に相続財産が処分された場合、共同相続人全員の同意により、その処分財産を遺産分割時に遺産として存在するものとみなせる制度も整備されました。処分した共同相続人については、その人の同意がなくてもよいとされています。

次の表は、使い込み疑いを時期別に分けたものです。2018年改正が扱いやすくした場面は相続開始後、遺産分割前の処分ですが、相続開始前や分割後は別の法的構成が問題になります。

時期主な争点必要な資料
相続開始前被相続人の意思、代理権、認知能力、贈与か立替えか、介護費用か取引履歴、医療記録、介護記録、同居状況、メッセージ
相続開始後、遺産分割前遺産に属する財産の処分、預貯金払戻し、遺産分割での調整出金日、金額、使途、領収書、他の相続人への説明記録
遺産分割後協議書違反、不当利得、損害賠償、執行の問題協議書、支払履歴、履行状況、催告記録
Section 05

2018年の民法改正で相続の遺言制度はどう変わったか

自筆証書遺言の方式緩和、法務局保管、遺言執行者の権限を確認します。

自筆証書遺言は費用を抑えて作れる一方、改正前は財産目録も含めて全文自書が必要でした。不動産、預貯金口座、株式、投資信託が多い人や、高齢で長文を書くのが難しい人には大きな負担でした。

次の表は、自筆証書遺言の方式緩和で変わった部分と、変わっていない部分を分けて示します。財産目録だけが自書不要になった点を読み誤らないことが重要です。

項目改正後の扱い注意点
財産目録パソコン作成、通帳コピー、不動産登記事項証明書などを添付できます。各ページに署名押印が必要です。
遺言本文原則として遺言者本人の自書が必要です。本文をパソコンで作成し、署名押印だけする方法は方式不備のおそれがあります。
日付と氏名原則として自書が必要です。日付が特定できない書き方は無効のおそれがあります。
訂正民法の方式に従う必要があります。訂正方法を誤ると訂正部分の効力が問題になります。

次の表は、方式不備になりやすい例を整理したものです。自筆証書遺言は簡単に作れる反面、形式の小さなミスで効力が争われるため、問題点を具体的に確認します。

問題点
遺言本文をパソコンで作成し、署名押印だけ自分でした自書要件を満たさないおそれがあります。
「令和6年吉日」と書いた日付が特定できず無効のおそれがあります。
財産目録に署名押印がない方式不備のおそれがあります。
夫婦連名で一通の遺言を作った共同遺言は禁止され、無効のおそれがあります。
訂正方法が民法の方式に従っていない訂正部分の効力に問題が出るおそれがあります。

2020年7月10日から、法務局における自筆証書遺言書保管制度も始まりました。原本を保管し画像データ化して管理するため、紛失、亡失、破棄、隠匿、改ざんの防止に役立ち、保管された自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が不要です。

次の表は、法務局保管制度の利点と限界を並べたものです。保管や検認不要と、内容の有効性が保証されることは別である点を読み取ります。

視点内容
利点原本保管、画像データ管理、紛失や改ざん防止、検認不要、相続人等による証明書取得や閲覧、通知制度があります。
限界遺言書保管官は民事上の法律関係に関する相談に応じず、保管制度の利用が遺言の有効性を保証するものではありません。
内容面の争点遺留分、遺言能力、財産の特定、受遺者の先死亡、文言解釈、遺言執行者の指定漏れなどは別途問題になります。

2018年改正では、遺言執行者の権限や義務も明確化されました。次の表は、遺言執行者が関わる場面と必要な対応を示します。遺言執行者だけで完結しない場面では、登記、税務、紛争対応の専門職と連携します。

場面必要な対応
任務開始遅滞なく遺言の内容を相続人に通知します。
不動産を相続させる遺言登記、相続人への通知、固定資産税資料の確認を進めます。
預金を取得させる遺言金融機関手続、残高証明、相続税資料の整備が必要です。
遺留分侵害のおそれ遺留分権利者との交渉、支払原資の確保を検討します。
会社株式がある株主名簿、会社法、事業承継税制、非上場株式評価を確認します。

財産が少なく争いが見込みにくい場合には、自筆証書遺言と法務局保管制度が有用です。一方、財産が多い、不動産や会社がある、再婚家庭である、遺留分が問題になる場合には、公正証書遺言を基本に検討するのが実務上は安定しやすいとされています。

Section 06

2018年の民法改正で相続の登記と対抗要件はどう変わったか

法定相続分を超える取得では、登記などの対抗要件がより重要になりました。

改正法では、相続による権利承継について、法定相続分を超える部分は登記その他の対抗要件を備えなければ第三者に対抗できないことが定められました。遺言があるから安心、というだけでは足りない場面があります。

次の表は、登記や名義変更が重要になる典型場面を整理したものです。誰に何を主張する必要があるのか、どの手続を早めるべきかを読み取ります。

場面実務上の意味
特定の相続人に不動産を相続させる遺言がある法定相続分を超える取得について、早期に登記を備える必要があります。
別の相続人の債権者が差押えをする登記が遅れると、法定相続分を超える取得を第三者に対抗できないおそれがあります。
配偶者居住権を設定する配偶者居住権の登記をしておくことで第三者への主張がしやすくなります。
預貯金や株式を遺言で承継する遺言執行者の権限、金融機関手続、株主名簿などの実行面を確認します。

2024年4月1日からは相続登記が義務化されています。これは2018年の相続法改正そのものではありませんが、現在の相続実務では一体として確認すべき制度です。

次の表は、2018年改正の対抗要件と2024年からの相続登記義務化を比べたものです。権利を第三者に主張するための登記と、申請義務としての登記を分けて読みます。

制度確認すべき点
2018年改正後の対抗要件法定相続分を超える権利取得は、登記その他の対抗要件を備えないと第三者に対抗できない場面があります。
2024年4月1日からの相続登記義務化相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があります。
過去の相続施行日前に発生した相続も義務化の対象と説明されています。
過料正当な理由なく申請しない場合、10万円以下の過料の対象となります。
相続人申告登記遺産分割が未了の場合の負担軽減策として検討されますが、本来の相続登記との違いを確認します。
重要不動産がある相続では、遺言の確認、相続人調査、遺産分割協議書、固定資産評価証明書、登記記録を整理し、司法書士に早めに確認することが実務上重要です。
Section 07

2018年の民法改正で相続の遺留分と特別寄与はどう変わったか

遺留分は金銭請求に整理され、相続人ではない親族の介護貢献も一定範囲で評価されます。

遺留分は、兄弟姉妹以外の一定の相続人に最低限保障される相続利益です。2018年改正後は、遺留分を侵害された人が受遺者や受贈者に対して金銭の支払を請求する制度へ整理されました。

次の表は、遺留分制度の改正前後を比較したものです。不動産や株式の共有化を避ける効果と、金銭支払の準備が必要になる点を読み取ります。

項目改正前改正後
請求の名称遺留分減殺請求遺留分侵害額請求
基本的な効果遺贈や贈与の対象財産が共有化することがありました。原則として金銭の支払請求に整理されました。
事業承継への影響会社株式の共有により経営に支障が出るおそれがありました。株式自体の分散を避けやすくなりました。
支払期限共有化の処理が中心でした。裁判所が相当の期限を許与できる制度があります。
相続人への生前贈与期間制限の整理が不明確な面がありました。特別受益に当たる贈与は原則として相続開始前10年間が算入対象です。

遺留分侵害額が大きい場合、請求される側は支払原資と期限猶予を検討する必要があります。請求する側も、相続財産の評価、生前贈与、債務、保険、特別受益、時効管理を整理する必要があります。

次の表は、遺留分紛争で集めるべき資料をまとめたものです。金額計算と交渉の土台になるため、資料の種類と確認目的を対応させて読みます。

資料意味
遺言書侵害の有無、受遺者、財産配分を確認します。
相続財産目録不動産、預金、株式、保険、債務を把握します。
不動産評価資料固定資産評価、路線価、時価、鑑定評価を比較します。
生前贈与資料通帳、贈与契約書、贈与税申告書を確認します。
相続人関係資料戸籍、養子縁組、代襲相続を確認します。
支払能力資料金銭請求後の支払方法、期限猶予を検討します。

特別寄与制度は、相続人ではない被相続人の親族が、無償で療養看護その他の労務を提供し、それによって被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合、相続人に特別寄与料の支払を求められる制度です。

次の表は、特別寄与制度の要件と期限を示します。請求できる人の範囲は広くないため、親族性、無償性、労務提供、財産維持への結びつき、期限を順番に確認します。

要件・期限内容
請求できる人相続人ではない被相続人の親族です。内縁配偶者、友人、近隣住民、報酬を受ける介護事業者などは原則として対象外です。
無償の労務提供療養看護その他の労務提供が必要です。金銭援助だけでは特別寄与にならないことが多いとされています。
財産の維持または増加介護費用の節約、施設入所回避など、財産への具体的な影響が問題になります。
特別の寄与通常期待される親族扶助を超える必要があります。
請求期限相続の開始および相続人を知った時から6か月、または相続開始時から1年を過ぎると請求できません。

特別寄与制度は、介護をした人を相続人にする制度ではありません。請求できるのは金銭であり、当然に不動産や預金を取得できるわけではないため、介護日誌、通院付き添い記録、介護サービス利用票、要介護認定資料、医療記録、交通費、写真、親族間の連絡記録などを早期に整理します。

Section 08

2018年の民法改正が不動産・税務・裁判所実務に与えた影響

使い込み、不動産評価、相続税、家庭裁判所、事業承継を横断して整理します。

2018年改正の影響は、単独の制度にとどまりません。不動産、税務、家庭裁判所、会社、特殊財産が絡む相続では、複数の専門領域を同時に確認する必要があります。

次の表は、不動産がある相続で2018年改正の影響を受けやすい制度をまとめたものです。自宅、評価、登記、遺留分、遺言が同時に関係しやすい点を読み取ります。

制度不動産相続への影響
配偶者居住権自宅所有権と居住権を分けます。
配偶者短期居住権相続開始直後の退去リスクを下げます。
婚姻20年以上の配偶者への居住用不動産贈与等特別受益の持戻し免除が推定されます。
遺留分侵害額請求不動産共有化を避け、金銭請求に整理します。
相続の効力と対抗要件法定相続分を超える取得は登記が重要になります。
自筆証書遺言方式緩和登記事項証明書等を財産目録として使いやすくなりました。

不動産評価では、固定資産税評価額、相続税評価額、時価、鑑定評価額、売却見込額が一致しません。代償金、遺留分侵害額、配偶者居住権、特別受益の評価では、不動産鑑定士の関与が必要になることがあります。境界確認や分筆には土地家屋調査士、売却には宅地建物取引士や不動産仲介業者が関与します。

次の表は、相続税との関係で税理士が確認するポイントを示します。民法改正が相続税率や基礎控除を直接変えたわけではありませんが、新しい権利や金銭請求は税務資料に影響します。

項目税務上の検討
配偶者居住権権利評価、建物所有権、敷地利用権、敷地所有権の評価を検討します。
婚姻20年以上の配偶者贈与贈与税の配偶者控除、登録免許税、不動産取得税、将来の相続税を確認します。
遺留分侵害額請求金銭支払、相続税申告後の更正の請求や修正申告を検討します。
特別寄与料相続税法上の取扱い、支払側と受取側の整理を行います。
預貯金払戻し相続財産として把握し、使途資料や債務控除資料を整えます。
非上場株式遺留分、事業承継税制、株価評価、議決権維持を検討します。

家庭裁判所実務でも、生活費、居住、介護貢献、遺留分、遺言執行が制度枠組みとして整理されました。次の表は、調停や審判で出やすい争点と関係制度を対応させたものです。

争点関係する制度
配偶者が自宅に住み続けたい配偶者居住権、配偶者短期居住権
預金を先に使いたい預貯金仮取得、単独払戻し
相続人の一人が遺産を処分した遺産分割前処分財産の扱い
遺言で不動産や株式が偏っている遺留分侵害額請求
介護した親族が相続人でない特別寄与料
特定財産を相続させる遺言がある遺言執行者、対抗要件、登記

次の一覧は、会社や特殊財産が含まれる場合に確認する相手先を示します。財産の性質によって関与する専門職が変わるため、相続法だけで処理しきれない領域を見落とさないことが重要です。

非上場株式と事業承継

後継者に株式を集中させやすくなった一方、遺留分相当額の支払原資を生命保険、代償金、退職金、役員報酬、借入、事業承継税制で設計します。

会社法遺留分

知的財産、農地、借地権、賃貸不動産

弁理士、行政書士、農業委員会、不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引士など、財産の性質に応じた専門家を確認します。

特殊財産個別確認

家庭裁判所の専門的関与

調停委員、調査官、鑑定人、専門委員が、合意形成、不動産評価、会社価値、医療、建築、介護などの争点に関わることがあります。

調停評価
Section 09

2018年の民法改正後に相続で相談する専門職の選び方

争い、登記、税務、書類整理、遺言、不動産、事業承継で相談先は変わります。

相続では、どの専門職に相談すべきかを誤ると、手続が進まなかったり、税務や登記との整合性が崩れたりします。2018年改正後は制度が増えたため、相談内容ごとに役割を分ける視点がより重要です。

次の表は、専門職ごとの主な役割を整理したものです。自分の問題が争い、登記、税務、書類、遺言、不動産、裁判所手続のどれに近いかを読み取ります。

専門職主な役割注意点
弁護士遺産分割紛争、遺留分、使い込み疑い、配偶者居住権、特別寄与、遺言無効などを扱います。紛争が顕在化している場合の中心職です。
司法書士不動産登記、配偶者居住権の登記、特定財産承継、相続登記義務化への対応を担います。不動産がある相続では早期関与が重要です。
税理士相続税申告、配偶者居住権評価、遺留分後の税務処理、特別寄与料、非上場株式評価を扱います。遺産分割協議の前に税務影響を確認します。
行政書士紛争、税務、登記申請を除く範囲で、協議書、相続人関係説明図、金融機関書類、遺言作成支援を行います。争いがある場合は弁護士との連携が必要です。
公証人公正証書遺言を作成する公証実務の中心です。遺言能力、財産特定、証人、執行可能性を確認します。
遺言執行者、信託銀行等遺言内容の実現、保管、執行を扱うことがあります。費用、取扱財産、紛争対応の可否に制限があります。
不動産専門職不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅地建物取引士などが評価、境界、分筆、売却、賃貸を担います。配偶者居住権、代償分割、換価分割では結論を左右します。
家庭裁判所関係者裁判官、家事調停官、調停委員、書記官、調査官、鑑定人、専門委員が関与します。未成年者や後見利用者がいる場合は特別代理人等も問題になります。

相続税が発生しそうな案件では、弁護士と税理士が別々に動くと、遺産分割協議書、相続税申告書、登記申請、金融機関手続の整合性が崩れることがあります。早い段階で必要な専門職をそろえることが望ましいといえます。

Section 10

2018年の民法改正後の相続手続チェックリスト

相続開始直後、協議前、協議書作成時、相談類型、遺言作成に分けて確認します。

2018年改正後の相続では、いつ、何を確認するかが大切です。次の表は、相続開始直後から遺産分割協議書作成までの確認事項を時期別に整理したものです。

次の表は、手続の順番と確認項目を対応させています。期限がある制度と、後から証拠を集めにくい制度を優先して読み取ります。

時期確認事項関係制度・対応
相続開始直後遺言書、配偶者の居住、生活費や葬儀費用、相続人、相続放棄、介護した親族の有無自筆証書遺言、法務局保管制度、配偶者短期居住権、預貯金払戻し、3か月以内の相続放棄、特別寄与の期限
遺産分割協議前相続財産、生前贈与、使い込み疑い、配偶者の住居、不動産評価、相続税預金、不動産、株式、保険、債務、デジタル資産を調査し、税理士や不動産評価も確認します。
協議書作成時財産の特定、配偶者居住権、代償金、換価分割、税務整合性、登記手続不動産は登記記録どおり、預金は金融機関や支店、口座種別を明記し、司法書士と税理士が確認します。

次の一覧は、相談内容別に何を検討するかを表します。自分の状況に近い行を見て、配偶者居住権、預貯金払戻し、遺留分、特別寄与、相続登記のどれを優先するかを確認します。

住まいと生活費

配偶者が自宅と生活費を確保したい

自宅所有権、配偶者居住権、自宅売却、代償金を比較し、存続期間、評価額、登記、修繕費、施設入居、相続税を確認します。

資金需要

葬儀費用や生活費に困っている

金融機関ごとの残高、法定相続分、単独払戻し上限を確認し、必要額が上限を超える場合は合意、仮取得、立替、生命保険金を検討します。

遺言の偏り

遺言で一人に財産が偏っている

遺言の有効性、遺留分侵害、財産評価、生前贈与、債務、保険、特別受益を確認し、金額算定と支払原資を検討します。

介護貢献

介護したのに相続人ではない

親族性、無償の労務提供、通常の親族扶助を超えるか、財産維持との結びつき、期限内かを確認し、介護記録や医療記録を整理します。

名義変更

不動産を相続したが名義変更していない

法定相続分を超える取得の対抗要件と、2024年4月1日からの相続登記義務化を確認し、戸籍、協議書、遺言、評価証明書、登記記録を整理します。

次の表は、2018年改正後に遺言を作る際の検討事項をまとめたものです。財産の渡し方だけでなく、居住、納税、遺留分、執行、予備的指定、税務まで一体で読みます。

項目検討内容
配偶者の住居所有権を渡すか、配偶者居住権を設定するかを検討します。
預貯金生活資金、納税資金、遺留分支払原資を確保します。
遺留分侵害の有無、付言事項、生命保険、代償金を検討します。
遺言執行者誰を指定し、どの権限を持たせるかを決めます。
予備的遺言受遺者が先に死亡した場合に備えます。
財産目録不動産、預金、株式を正確に特定します。
税務相続税、小規模宅地等の特例、配偶者税額軽減を踏まえます。
Section 11

2018年の民法改正と相続でよくある誤解

FAQは一般的な制度説明として整理し、個別事情で結論が変わる点を明示します。

法定相続分が変わったのですか

一般的には、2018年改正は法定相続分を全面的に変更する改正ではないとされています。配偶者や子の法定相続分の基本構造は維持され、変わったのは配偶者の居住保護、預貯金の扱い、遺留分請求の方法、相続人ではない親族の介護貢献、自筆証書遺言、遺言執行者の権限などです。ただし、相続開始日や遺言の内容によって確認点は変わるため、具体的な対応は資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

配偶者は必ず自宅に住み続けられますか

一般的には、配偶者短期居住権により一定期間の保護があり、長期的には配偶者居住権、所有権取得、賃貸借、遺産分割協議、遺言などを組み合わせて検討するとされています。ただし、建物の所有関係、相続人間の合意、登記、税務によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

預金は相続人の一人が自由に引き出せますか

一般的には、自由に引き出せる制度ではなく、家庭裁判所を通さない払戻しには計算式と金融機関ごとの上限があるとされています。より大きな金額が必要な場合は、家庭裁判所の仮取得制度や相続人全員の合意が必要になる可能性があります。具体的な対応は、残高資料や使途資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

自筆証書遺言は全部パソコンで作れますか

一般的には、方式緩和により自書でなくてもよいのは添付する財産目録であり、遺言本文、日付、氏名は原則として本人が自書する必要があるとされています。財産目録にも各ページの署名押印が必要です。ただし、遺言の方式や内容は個別事情で効力が争われる可能性があるため、具体的には専門家へ相談する必要があります。

法務局に預ければ遺言は有効になりますか

一般的には、法務局の保管制度は外形的確認、保管、紛失や改ざん防止に役立つ制度であり、遺言内容の法律的有効性を保証するものではないとされています。遺留分、遺言能力、財産の特定、文言の解釈などは別途問題になります。具体的には、遺言案と財産資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

長男の妻は相続人になれますか

一般的には、被相続人と養子縁組をしていない限り、長男の妻は通常の法定相続人ではないとされています。ただし、相続人ではない親族として無償で療養看護などを行い、被相続人の財産の維持または増加に特別の寄与をした場合、特別寄与料を請求できる可能性があります。具体的な見通しは、介護記録や医療記録を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

遺留分を請求すると不動産の共有者になれますか

一般的には、改正後の遺留分侵害額請求は金銭請求として整理されています。そのため、遺留分を請求したことだけで当然に不動産共有者になるわけではありません。ただし、遺言の内容、請求時期、財産評価、当事者間の合意によって解決方法は変わる可能性があります。具体的には、財産目録や評価資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

2018年改正前に亡くなった人の相続にも新制度が使えますか

一般的には、制度ごとの経過措置により、相続開始日、権利行使日、制度の施行日で扱いが変わるとされています。例えば、遺産分割前の預貯金払戻し制度は、施行日前に開始した相続でも施行日後に権利を行使する場合に適用される場面があると整理されています。具体的には、死亡日と手続時期を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。

相続登記義務化も2018年改正ですか

一般的には、相続登記義務化は2018年の相続法改正そのものではありません。ただし、2024年4月1日から相続登記が義務化されており、不動産がある相続では現在確認すべき制度です。2018年改正で対抗要件の重要性が高まり、その後、所有者不明土地問題への対応として相続登記義務化が始まったと整理できます。具体的な対応は登記記録や相続関係資料を整理したうえで司法書士等へ相談する必要があります。

Section 12

2018年の民法改正で相続がどう変わったかのまとめ

新制度は争いを自動的になくすものではなく、制度の選び方と証拠整理が重要です。

2018年改正の構造的特徴は、配偶者居住権のように新しい物権的な権利を設ける一方、遺留分については金銭債権化した点にあります。一見逆方向に見えますが、いずれも相続後の権利関係を実務上処理しやすくする目的を持っています。

次の一覧は、2018年の民法改正で相続がどう変わったかを最終確認するための要点です。左から順に、住まい、資金、権利調整、介護貢献、遺言、名義実務という読者が見落としやすい順番で読みます。

第一

配偶者の住まい

配偶者居住権と配偶者短期居住権により、残された配偶者の住まいを守る制度が整備されました。

第二

相続開始直後の資金

遺産分割前の預貯金払戻し制度により、葬儀費用や生活費などの資金需要に対応しやすくなりました。

第三

遺留分の金銭請求

不動産や会社株式の共有化を避け、金銭請求として調整しやすくなりました。

第四

特別寄与

相続人ではない親族の無償介護等が、一定範囲で金銭評価されるようになりました。

第五

遺言の利用促進

自筆証書遺言の方式緩和と法務局保管制度により、遺言作成と保管の選択肢が広がりました。

第六

登記と名義変更

遺言執行者の権限や相続の対抗要件が明確化され、登記や名義変更の重要性が高まりました。

ただし、改正は相続の争いを自動的になくすものではありません。新しい制度を正しく使うためには、相続開始日、施行日、遺言の有無、財産の種類、税務、登記、相続人間の関係、介護の証拠、支払能力を精密に整理する必要があります。

相続に不安がある場合は、争いがあるなら弁護士、不動産があるなら司法書士、相続税が発生しそうなら税理士、争いのない書類整理なら行政書士、遺言作成なら公証人や弁護士等、不動産評価なら不動産鑑定士、境界や分筆なら土地家屋調査士、事業承継なら公認会計士や中小企業診断士など、問題の性質に応じて適切な専門職へ早期に相談することが重要です。

Reference

この記事の参考情報源

公的資料・中立的資料

  • 法務省「相続に関するルールが大きく変わります」
  • 衆議院「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律、平成30年法律第72号」
  • 衆議院「法務局における遺言書の保管等に関する法律、平成30年法律第73号」
  • 法務省「自筆証書遺言書の様式について」
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
  • 国税庁タックスアンサー No.4666「配偶者居住権等の評価」
  • 国税庁税務大学校論叢「配偶者居住権等に係る課税上の課題」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」