2σ Guide

自賠責保険の後遺障害認定に必要な
診断書のポイント

標準様式の読み方、他覚所見、画像・可動域・神経学的所見、高次脳機能障害、異議申立てまで、診断書を等級評価に耐える資料へ整理する要点を解説します。

5軸 認定で見られる評価軸
3年 症状固定翌日からの請求期限
6類型 診断書で整理する障害別要点
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自賠責保険の後遺障害認定に必要な 診断書のポイント

痛みやしびれの訴えを、等級評価に耐える医学的な資料へ整理するための要点です。

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自賠責保険の後遺障害認定に必要な 診断書のポイント
痛みやしびれの訴えを、等級評価に耐える医学的な資料へ整理するための要点です。
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  • 自賠責保険の後遺障害認定に必要な 診断書のポイント
  • 痛みやしびれの訴えを、等級評価に耐える医学的な資料へ整理するための要点です。

POINT 1

  • 自賠責保険の後遺障害認定に必要な診断書の全体像
  • 痛みやしびれの訴えを、等級評価に耐える医学的な資料へ整理するための要点です。
  • 症状固定時点の残存内容
  • 他覚所見
  • 客観資料

POINT 2

  • 自賠責保険の後遺障害認定で後遺症と後遺障害を分けて考える
  • 1. 交通事故による受傷:初診時の部位、症状、画像、神経所見などが出発点になります。
  • 2. 治療と経過観察:診療録、診断書、診療報酬明細書、リハビリ記録の一貫性が見られます。
  • 3. 症状固定の判断:医学的に大きな改善が期待しにくい時点で、残った障害を整理します。
  • 4. 後遺障害診断書の作成:事故との関係、他覚所見、測定値、予後を等級評価に耐える形で記載します。

POINT 3

  • 後遺障害診断書で自賠責保険の等級評価に伝えるべきこと
  • 1. 初診時の症状と初期所見:受傷部位、初診までの空白、初回画像、神経学的所見が相当因果関係の基礎になります。
  • 2. 診療録とリハビリ記録:症状の推移、治療内容、検査結果、ADLや就労支障が一貫しているかが確認されます。
  • 3. 後遺障害診断書:残った障害、他覚所見、測定値、予後、既存障害との区別を等級評価に使える形にまとめます。

POINT 4

  • 後遺障害診断書のポイントを障害類型別に確認する
  • 神経症状、可動域、高次脳機能障害など、障害の種類によって必要資料は変わります。
  • 神経症状では症状と所見の対応が重要
  • 可動域制限では数字と測定法が重要
  • 高次脳機能障害では急性期資料と生活変化をつなぐ

POINT 5

  • 自賠責保険の後遺障害認定で弱い診断書と修正方向
  • 不十分になりやすい記載を、評価可能な事実へ置き換えます。
  • 後遺障害診断書で重要なのは、文章のうまさではなく、評価可能な事実を落とさないことです。
  • 測定値、検査結果、画像、診療経過、ADL支障の具体性が中心になります。
  • 診断書本文に書いたから添付資料はいらない、という考え方は危険です。

POINT 6

  • 後遺障害診断書を作成する前に確認したい実務ポイント
  • 1. 事故直後からの症状を整理:どこが、どのように、いつ悪化し、何ができなくなったかを時期ごとに確認します。
  • 2. 画像や検査の所在を確認:どの医療機関で、いつ、何を撮影・検査したかを把握し、取り付け可能な状態にします。
  • 3. リハビリ記録を軽視しない:可動域、歩行、巧緻動作、ADL、注意機能などの記録が裏付けになる場合があります。
  • 4. 残存障害を主治医へ共有:左右差、頻度、誘発動作、仕事上困る作業、家族や職場から見た変化を整理します。

POINT 7

  • 後遺障害診断書の質を高める医療・法務・支援職の連携
  • 交通事故の後遺障害は、医師だけで完結しないことが多くあります。
  • 交通事故の後遺障害は、医師だけで完結しません。
  • 救急・急性期医療、専門診療科、リハビリ職、弁護士・保険実務担当、家族や職場など、複数の視点が残存障害の立証に関わります。
  • 診断書の記載が薄いとき、どの立場の情報を補うと全体像がつながるかを読み取ってください。

POINT 8

  • 自賠責保険の後遺障害認定に納得できないときの補強
  • 1. 判断理由を書面で確認:非該当や低位認定の理由、追加情報の必要性、異議申立て手続きを確認します。
  • 2. 不足した証明を特定:画像、可動域、神経学的所見、意識障害記録、既往との区別などを点検します。
  • 3. 医証を補強:再評価、検査、画像取り付け、家族報告、事故前資料との比較を検討します。
  • 4. 手続を選択:異議申立て、紛争処理申請、説明請求、国土交通大臣への申出制度を確認します。

まとめ

  • 自賠責保険の後遺障害認定に必要な 診断書のポイント
  • 自賠責保険の後遺障害認定に必要な診断書の全体像:痛みやしびれの訴えを、等級評価に耐える医学的な資料へ整理するための要点です。
  • 自賠責保険の後遺障害認定で後遺症と後遺障害を分けて考える:症状が残ることと、自賠責で後遺障害として評価されることは同じではありません。
  • 後遺障害診断書で自賠責保険の等級評価に伝えるべきこと:診断書は1枚で完結する資料ではなく、医療記録を等級評価に翻訳する中心資料です。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

自賠責保険の後遺障害認定に必要な診断書の全体像

痛みやしびれの訴えを、等級評価に耐える医学的な資料へ整理するための要点です。

自賠責保険の後遺障害認定では、単に「痛い」「しびれる」「つらい」と書かれているだけでは足りません。認定対象になるのは、交通事故と相当因果関係があり、将来にわたって回復困難と見込まれ、その存在が医学的に認められる精神的・身体的障害です。

後遺障害診断書は病名を書いた紙ではなく、症状の残存、客観性、事故との整合性、等級評価に耐える測定値を整理する法医実務上の文書です。まず重要点の一覧で、診断書に何を残すべきかを確認してください。

POINT 01

症状固定時点の残存内容

抽象的なつらさではなく、どの部位に、どの症状が、どの動作で問題になるかを具体化します。

POINT 02

他覚所見

医師が診察や検査で確認できる所見を、検査名、検査日、数値、左右差とあわせて示します。

POINT 03

客観資料

画像、可動域、神経学的所見、心理・認知検査など、障害類型に応じた資料を添付できる形にします。

POINT 04

診療経過との一貫性

事故直後から症状固定までの診療録、診断書、リハビリ記録と内容が矛盾しないことが重要です。

POINT 05

等級表への対応

角度、視力、聴力、神経症状、ADL、就労支障など、等級表で評価できる要素に落とし込みます。

このページの結論は、診断書を「症状の説明」ではなく「認定者が等級判断できる事実の整理」として扱うことです。次の強調部分は、本文全体で繰り返し確認する中心命題を表しています。

診断書は証拠の集約点です

事故直後の記録、継続した診療、画像・検査、リハビリ記録、生活上の支障を矛盾なくつなげることで、自賠責保険の後遺障害認定に必要な診断書の説得力が高まります。

Section 01

自賠責保険の後遺障害認定で後遺症と後遺障害を分けて考える

症状が残ることと、自賠責で後遺障害として評価されることは同じではありません。

日常会話では、事故後に症状が残れば広く後遺症と呼ばれます。しかし、自賠責保険で問題になるのは、法的・医学的評価に耐える後遺障害です。事故で受傷した傷害が治ったときに身体へ残された精神的または肉体的な毀損状態で、事故との相当因果関係が認められ、医学的にも認められ、施行令別表に該当するものが対象になります。

ここでいう治ったとは完治ではありません。自賠責実務でいう症状固定は、症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても大きな医療効果が期待できなくなった時点を指し、医師が判断します。被害者請求の後遺障害は、症状固定日の翌日から3年以内が請求期限とされています。

次の判断の流れは、事故後の症状がどのように診断書の対象へ整理されるかを表しています。どこで「治療中の症状説明」から「症状固定時に残った障害の証明」へ切り替わるのかを読み取ることが重要です。

後遺障害診断書の対象になるまでの流れ

交通事故による受傷

初診時の部位、症状、画像、神経所見などが出発点になります。

治療と経過観察

診療録、診断書、診療報酬明細書、リハビリ記録の一貫性が見られます。

症状固定の判断

医学的に大きな改善が期待しにくい時点で、残った障害を整理します。

後遺障害診断書の作成

事故との関係、他覚所見、測定値、予後を等級評価に耐える形で記載します。

出発点は、まだ治療途中の症状説明ではなく、症状固定時に残った障害を事故との関係を含めて客観的に示す文書だと理解することです。

Section 02

後遺障害診断書で自賠責保険の等級評価に伝えるべきこと

診断書は1枚で完結する資料ではなく、医療記録を等級評価に翻訳する中心資料です。

後遺障害診断書は重要ですが、診断書だけで認定が完結するわけではありません。後遺障害請求では、後遺障害診断書に加え、レントゲン、CT、MRI画像、診断書、診療報酬明細書などが必要書類とされ、必要に応じて追加書類が求められることもあります。

認定実務は、診断書を核にした資料束の評価です。次の時系列は、評価者がどの資料の連続性を見るのかを表しています。途中で記録が薄くなる部分があると、症状と事故とのつながりや残存性の説明が弱くなるため、どの段階の資料を補うべきかを読み取ってください。

事故直後

初診時の症状と初期所見

受傷部位、初診までの空白、初回画像、神経学的所見が相当因果関係の基礎になります。

治療期間

診療録とリハビリ記録

症状の推移、治療内容、検査結果、ADLや就労支障が一貫しているかが確認されます。

症状固定時

後遺障害診断書

残った障害、他覚所見、測定値、予後、既存障害との区別を等級評価に使える形にまとめます。

標準様式の読み方

自賠責の標準様式には、交通事故に起因した精神・身体障害とその程度をできるだけ詳しく記入すること、歯牙障害では歯科後遺障害診断書を使用すること、後遺障害の等級を記入しないことが示されています。目的は等級を書くことではなく、等級判断に必要な事実を書くことです。

次の比較表は、標準様式の主要欄が何を確認するためにあるのかを整理したものです。単なる空欄埋めではなく、どの欄が相当因果関係、客観性、一貫性、予後を支えるのかを読み取ることが重要です。

様式の欄評価上の意味記載の要点
基本情報受傷から症状固定までの連続性受傷日時、入通院期間、実治療日数、症状固定日、職業、既存障害を整合させます。
自覚症状残存障害の具体像部位、左右差、頻度、誘発動作、継続時間、日常生活上の支障を具体化します。
他覚症状・検査結果医学的な確認可能性検査名、検査日、数値、左右差、部位、画像レベル、神経学的所見を示します。
添付資料本文記載の裏付け視野表、オージオグラム、X線画像、CT、MRI、図示、歯科用別様式などを類型に応じて準備します。
予後将来も残る障害か改善した部分と残った部分を分け、今後の大きな改善見込みが乏しいかを説明します。

自覚症状欄はつらさではなく機能的実態を書く欄

「首が痛い」「しびれる」「肩が上がらない」「物忘れがある」だけでは、部位、左右差、頻度、誘発動作、日常生活上の支障が分かりません。頚部から右上肢橈側に放散する疼痛、上向き姿勢や長時間作業での増悪、結髪・更衣動作の困難、注意持続困難や段取り障害など、症状名より機能的な実態を書くことが大切です。

他覚症状・検査結果欄は認定の中心部分

自賠責の後遺障害認定では、症状があるという主張だけでなく、その存在が医学的に確認できるかが問われます。神経症状では感覚低下の領域、深部腱反射、筋力、筋萎縮の有無、必要に応じた筋電図や神経伝導検査などが検討されます。関節機能障害では、単に制限ありではなく角度で示された測定値が不可欠です。

Section 03

自賠責保険の後遺障害認定で重視される5つの評価軸

評価者の思考順序を押さえると、診断書に必要な事実が見えやすくなります。

後遺障害診断書の作成を成功させるには、書式の埋め方だけではなく、評価者がどの順序で資料を読むかを理解することが重要です。実務上は、事故との相当因果関係、残存性、客観性、一貫性、等級対応性の5軸で読まれます。

次の比較表は、5つの評価軸ごとに、評価者が見る点と診断書での示し方を対応させたものです。どの欄を厚く書くべきか、どの資料を添付すべきかを判断するために、右列の具体化方法を確認してください。

評価軸何を見られているか診断書での示し方
事故との相当因果関係本当にその事故で生じた障害か受傷部位、事故態様、初診時所見、既存障害との区別を示します。
残存性・症状固定いまも症状が残り、回復困難か症状固定日、治療経過、予後、固定後も残る機能障害を記載します。
客観性医学的に確認できるか画像、可動域、神経学的所見、検査値、心理検査で裏付けます。
一貫性初診から現在まで矛盾していないか経過診断書、カルテ、リハビリ記録と整合した記載にします。
等級対応性等級表で評価できる形か角度、視力、聴力、神経症状の程度、ADL、就労支障を具体化します。

弱くなりやすいのは客観性と一貫性です。本人の訴えが強くても、受傷直後からの記録が薄い、画像がない、測定値がない、左右が不明、検査日が書いていない場合、診断書の説得力は大きく落ちます。

注意既存障害欄は軽視できません。頚椎症、腰椎椎間板変性、変形性関節症、うつ病、難聴、糖尿病性神経障害などがある場合、事故前からあった症状と事故後に新たに生じた変化を分けて説明する必要があります。
Section 04

後遺障害診断書のポイントを障害類型別に確認する

神経症状、可動域、高次脳機能障害など、障害の種類によって必要資料は変わります。

障害類型が変わると、診断書で重視される客観資料も変わります。次の一覧は、どの症状で、どの所見や添付資料が評価の中心になるかをまとめています。自分の障害に近い項目で、何を補うべきかを読み取ることが重要です。

01

頚椎・腰椎捻挫、神経症状

疼痛やしびれの部位、左右差、放散範囲、感覚低下、反射差、筋力低下、筋萎縮、MRI上の椎間レベルなどを対応させます。

神経所見画像との整合
02

上下肢・手指・足指の可動域制限

患側だけでなく健側も記載し、自動・他動、測定肢位、疼痛による制限か器質的拘縮かを分けて示します。

角度測定法
03

骨折、変形、短縮、脊柱障害

どの画像で、どの部位に、どの変形・転位・癒合不全が確認できるかを、機能面の支障と結び付けます。

X線等計測
04

高次脳機能障害

記憶障害、注意障害、遂行機能障害、判断力低下、易怒性、脱抑制、自発性低下を、急性期資料と生活変化で具体化します。

CT・MRI家族報告
05

非器質性精神障害

脳損傷を伴う高次脳機能障害とは分け、精神症状、発症時期、既往歴、日常生活や就労機能への支障を整理します。

経過既往歴
06

視覚、聴覚、醜状、歯牙、咀嚼・言語

視力・視野、聴力レベル、明瞭度、部位と大きさ、歯科用別様式など、標準様式が求める定量資料を用意します。

定量資料部位特定

神経症状では症状と所見の対応が重要

「頚部痛あり。右上肢しびれあり」だけでは弱くなります。右C6領域優位のしびれ、上腕二頭筋反射の左右差、握力低下、右上肢の知覚鈍麻、C5/6レベルの画像所見など、症状と所見が対応する書き方が望まれます。

可動域制限では数字と測定法が重要

「肩が上がらない」ではなく、右肩関節屈曲 自動80度/他動100度、外転 自動70度/他動90度、左肩正常、疼痛により終末域制限のように、患側・健側、自動・他動、疼痛の影響を分けて記載します。

高次脳機能障害では急性期資料と生活変化をつなぐ

高次脳機能障害では、事故直後から症状固定までのCT・MRI等の画像資料、意識障害の有無・程度・持続時間、神経心理学的検査、家族・職場・学校での変化が重要です。PETやSPECTなどの機能画像だけで足りるとは限らず、画像所見、意識障害、症状経過を総合して見られます。

Section 05

自賠責保険の後遺障害認定で弱い診断書と修正方向

不十分になりやすい記載を、評価可能な事実へ置き換えます。

後遺障害診断書で重要なのは、文章のうまさではなく、評価可能な事実を落とさないことです。測定値、検査結果、画像、診療経過、ADL支障の具体性が中心になります。

次の比較表は、よくある弱い記載と、不足している要素、修正の方向を並べたものです。左列のような抽象表現にとどまっている場合、右列のように所見や機能障害へ置き換える必要があります。

弱い記載何が足りないか修正の方向
頚部痛、右上肢しびれ部位、範囲、左右差、神経学的裏付け神経領域、反射、筋力、知覚、画像レベルを追記します。
肩が上がらない定量性がない屈曲・外転などを角度で、自動・他動・健側と比較して記載します。
物忘れがある高次脳機能障害としての具体性がない記銘力、注意、遂行機能、行動変化、検査結果、家族報告を明示します。
腰痛あり生活・就労支障が不明立位保持、前屈、荷物運搬、歩行距離など機能障害を書きます。
既存障害欄が空欄既往との区別が不明既往の有無と事故後の増悪・新規症状を区別して記載します。
医師が等級相当と書く様式の趣旨とずれる等級ではなく、判断材料になる事実所見を書きます。

診断書本文に書いたから添付資料はいらない、という考え方は危険です。視覚障害では視力・視野の定量資料、聴覚障害ではオージオグラム、骨折・変形・脊柱障害では画像、醜状障害では図示や大きさの明示、歯牙障害では歯科用の後遺障害診断書が重要になります。

Section 06

後遺障害診断書を作成する前に確認したい実務ポイント

被害者側ができることは、正確な材料を整理して記載漏れを防ぐことです。

一般の被害者ができることは、医師に等級を書いてもらうことではありません。正確な材料を主治医に渡し、記載漏れを防ぐことが中心です。症状固定時点で初めて強い症状を述べても、初診時からの記録とつながらなければ弱くなります。

次の行動の順番は、診断書作成前に整理すべき事項を表しています。上から順に確認すると、症状の一貫性、画像・検査、リハビリ記録、生活上の支障が診断書に反映されやすくなります。

診断書作成前の確認順序

事故直後からの症状を整理

どこが、どのように、いつ悪化し、何ができなくなったかを時期ごとに確認します。

画像や検査の所在を確認

どの医療機関で、いつ、何を撮影・検査したかを把握し、取り付け可能な状態にします。

リハビリ記録を軽視しない

可動域、歩行、巧緻動作、ADL、注意機能などの記録が裏付けになる場合があります。

残存障害を主治医へ共有

左右差、頻度、誘発動作、仕事上困る作業、家族や職場から見た変化を整理します。

これは誇張のためではなく、診療録に散らばった情報を後遺障害評価に適した形で再確認するための準備です。画像資料は後遺障害請求の必要資料であり、高次脳機能障害では事故直後から症状固定までの画像資料が特に重視されます。

Section 07

後遺障害診断書の質を高める医療・法務・支援職の連携

交通事故の後遺障害は、医師だけで完結しないことが多くあります。

交通事故の後遺障害は、医師だけで完結しません。救急・急性期医療、専門診療科、リハビリ職、弁護士・保険実務担当、家族や職場など、複数の視点が残存障害の立証に関わります。

次の比較表は、関係者ごとにどの資料や観察が診断書を支えるのかを整理したものです。診断書の記載が薄いとき、どの立場の情報を補うと全体像がつながるかを読み取ってください。

関係者主な役割診断書に生かされる情報
救急・急性期医療受傷機転、初期意識障害、初回画像、初期神経所見事故直後から症状が生じたことを支える基礎資料になります。
整形外科・脳神経外科・専門診療科診断、症状固定、画像・検査評価残存障害、他覚所見、予後の中心的な記載につながります。
PT・OT・ST可動域、ADL、高次脳機能、巧緻動作、復職支援生活動作や就労支障を具体化する裏付けになります。
弁護士・保険実務担当必要資料の収集、不足資料の特定、異議申立て設計等級評価に必要な資料の抜けを見つける視点になります。
家族・職場・学校・福祉職事故前後の生活機能変化の観察高次脳機能障害や精神症状で、日常生活上の変化を補強します。

特に高次脳機能障害では、家族や介護者の報告が重要であることが公的資料でも示されています。診断書を主治医へ一任するだけでなく、周辺資料を整理することが認定の質を左右します。

Section 08

自賠責保険の後遺障害認定に納得できないときの補強

不認定や低位認定では、理由を確認し、足りない証明を補う発想が必要です。

損害保険会社等は、自賠責保険金の支払に際して、支払額、後遺障害等級と判断理由、支払わない場合の理由、異議申立ての手続き等を書面で提供することとされています。必要な追加情報も請求できます。

次の判断の流れは、認定結果に納得できないときに、感情的な再申請ではなく不足資料の補強へ進むための手順を示しています。どの不足理由に、どの追加資料を対応させるかを読み取ることが重要です。

認定結果を見直すときの進め方

判断理由を書面で確認

非該当や低位認定の理由、追加情報の必要性、異議申立て手続きを確認します。

不足した証明を特定

画像、可動域、神経学的所見、意識障害記録、既往との区別などを点検します。

不足あり
医証を補強

再評価、検査、画像取り付け、家族報告、事故前資料との比較を検討します。

制度上の不服
手続を選択

異議申立て、紛争処理申請、説明請求、国土交通大臣への申出制度を確認します。

たとえば、画像不足なら画像取り付け、可動域不明なら測定法を明示した再評価、神経学的所見不足なら反射・筋力・知覚の再診察、高次脳機能障害の立証不足なら救急記録、意識障害記録、神経心理学的検査、家族報告、既往との区別不足なら事故前資料との比較が考えられます。

一般情報具体的な見通しや対応方針は、事故態様、負傷程度、証拠関係、時期、保険契約などで変わります。個別の判断は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
Section 09

診断書のポイントを証拠の集約点として整理する

最後に、診断書で落としてはいけない核心を確認します。

自賠責保険の後遺障害認定に必要な診断書のポイントは、「症状を詳しく書くこと」だけではありません。認定者が等級判断できる事実を、事故との関係を含めて、矛盾なく、客観資料付きで示すことです。

次の要点一覧は、診断書を確認するときの最終チェックを表しています。各項目が欠けると、症状が残っていても評価資料として弱くなりやすいため、どの証拠が不足しているかを読み取ってください。

症状の感想文にしない

事故と因果関係のある残存障害を、医学的に確認可能な形で記載します。

資料束として整合させる

診断書だけでなく、画像、経過資料、診療報酬明細書等との総合評価を意識します。

数字と左右差を入れる

可動域、視力、聴力、神経学的所見では、数値、検査日、測定法が重要です。

高次脳機能障害は時系列が重要

CT・MRI、意識障害記録、神経心理学的評価、家族等の観察をつなげます。

不認定でも理由分析を行う

異議申立て、紛争処理申請、説明請求などは、不足証明の補強とあわせて検討します。

後遺障害診断書の出来は、症状固定日の診察室だけで決まりません。事故直後の初期記録、継続した診療、適切な画像・検査、リハビリ記録、家族や職場の観察、必要資料を過不足なく束ねる実務が、最終的な認定の質を左右します。

診断書を最後に書いてもらう紙ではなく、事故直後から積み上がる証拠の集約点として位置付けることが、最も本質的な対策です。

FAQ

後遺障害診断書でよくある質問

診断書の役割、他覚所見、不備への対応を一般情報として整理します。

次の質問一覧は、後遺障害診断書を確認するときに迷いやすい論点をまとめたものです。なぜ重要かというと、診断書の文言だけでなく、画像、検査、診療経過とのつながりが認定資料として読まれるためです。各回答から、個別の結論ではなく、どの資料を確認する視点が必要かを読み取ってください。

Question 01

医師に等級を書いてもらえば認定されますか

一般的には、後遺障害診断書は等級そのものを書く文書ではなく、等級判断に必要な事実所見を整理する文書とされています。ただし、障害類型、検査結果、診療経過、既存障害の有無によって評価は変わる可能性があります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Question 02

痛みやしびれが残れば後遺障害として扱われますか

一般的には、痛みやしびれの訴えだけでなく、事故との関係、症状固定後の残存性、神経学的所見や画像などの医学的資料が確認されるとされています。ただし、事故態様、症状の一貫性、検査内容、通院経過によって結論は変わる可能性があります。個別の判断は、医師や弁護士等の専門家に確認する必要があります。

Question 03

画像に異常がない場合も資料整理は必要ですか

一般的には、画像だけでなく、知覚、反射、筋力、可動域、症状経過、日常生活や就労への支障なども確認対象になり得るとされています。ただし、画像所見が乏しい場合は資料の要求水準が高くなる可能性があります。具体的にどの資料が必要かは、受傷部位や症状の内容に応じて専門家へ相談する必要があります。

Question 04

診断書に不備があるときはどう考えますか

一般的には、記載の不足が疑われる場合、診断書だけでなくカルテ、検査記録、画像、リハビリ記録、結果通知の理由を合わせて確認するとされています。ただし、訂正や補充意見の可否は医療記録の内容や時期によって変わります。具体的な進め方は、主治医や弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Reference

参考資料

本文で扱った制度、様式、測定法、損害調査に関する資料名です。

公的資料・制度資料

  • 国土交通省「限度額と補償内容」
  • 国土交通省「よくあるご質問」
  • 国土交通省「支払までの流れと請求方法」
  • 国土交通省「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」
  • 国土交通省「障害が残ったときは?」
  • 国土交通省「支払に疑問、不服がある場合には」

損害調査・高次脳機能障害に関する資料

  • 損害保険料率算出機構「自賠責保険(共済)損害調査のしくみ」
  • 損害保険料率算出機構「当機構で行う損害調査」
  • 損害保険料率算出機構「脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定について」
  • 損害保険料率算出機構「2018年度 自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会 報告書」

様式・測定法・紛争処理

  • 自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書(公表様式例)
  • 公益社団法人日本リハビリテーション医学会「関節可動域ならびに測定法」
  • 一般財団法人 自賠責保険・共済紛争処理機構「初めての方へ」