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後遺障害の等級ごとの
逸失利益の目安一覧

交通事故の後遺障害で逸失利益がいくらになるかは、等級だけでは決まりません。公式の労働能力喪失率、基礎収入、ライプニッツ係数、自賠責限度額との違いを整理します。

100% 第1級から第3級などの喪失率
18.327 40歳モデルの係数
5% 第14級の喪失率
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後遺障害の等級ごとの 逸失利益の目安一覧

交通事故の後遺障害で逸失利益がいくらになるかは、等級だけでは決まりません。

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後遺障害の等級ごとの 逸失利益の目安一覧
交通事故の後遺障害で逸失利益がいくらになるかは、等級だけでは決まりません。
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  • 後遺障害の等級ごとの 逸失利益の目安一覧
  • 交通事故の後遺障害で逸失利益がいくらになるかは、等級だけでは決まりません。

POINT 1

  • 後遺障害の等級ごとの逸失利益の目安一覧で最初に押さえる結論
  • 固定金額ではなく、労働能力喪失率と計算要素を見るのが出発点です。
  • 等級は出発点、金額は計算で決まる
  • 逸失利益は、事故がなければ将来得られたはずの収入が、後遺障害による労働能力低下のために減少した部分を指します。
  • 基本式は、基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数です。

POINT 2

  • 後遺障害の逸失利益の計算式と3つの要素
  • 基礎収入
  • 労働能力喪失率
  • ライプニッツ係数
  • 基礎収入、労働能力喪失率、ライプニッツ係数を順に確認します。

POINT 3

  • 後遺障害の等級ごとの逸失利益で見る労働能力喪失率一覧
  • 金額表ではなく、まず等級ごとの割合を確認します。
  • 後遺障害の等級ごとの逸失利益で最も参照価値が高いのは、等級ごとの労働能力喪失率です。
  • 限度額は逸失利益単独ではなく、慰謝料等を含む総枠です。
  • 次の割合の横棒は、等級ごとの労働能力喪失率の差を視覚的に示しています。

POINT 4

  • 後遺障害の等級ごとの逸失利益を500万円・40歳モデルで試算
  • 固定金額ではないことを前提に、同一条件の比較で金額感をつかみます。
  • 第14級でも理論計算上は約458万円、第12級なら約1,283万円、第9級なら約3,207万円という結果になります。
  • ただし、これをそのまま受け取れる金額と考えるのは危険です。
  • 自賠責には後遺障害ごとの限度額があり、その枠には慰謝料等も含まれるためです。

POINT 5

  • 後遺障害の逸失利益と自賠責の限度額・慰謝料等の違い
  • 第14級75万円などの数字を逸失利益そのものと誤解しないことが重要です。
  • 自賠責の後遺障害限度額は、逸失利益だけでなく慰謝料等を含む総額です。
  • 数字の列の違いを確認し、限度額上の残り枠が逸失利益として自動的に支払われるわけではない点を読み取ってください。
  • 第14級は限度額75万円、慰謝料等32万円なので、限度額上の残り枠は43万円です。

POINT 6

  • 後遺障害の逸失利益は基礎収入と労働能力喪失期間で変わる
  • 等級が同じでも、収入属性と症状固定時年齢で結果は大きく変わります。
  • 年齢によってライプニッツ係数も変わる
  • 逸失利益は等級だけで決まらず、何を基礎収入として採るかで大きく変わります。
  • 自分の就労状況に近い行を見て、事故前収入、平均給与額、家事従事者や学生の扱いがどのように分かれるかを読み取ってください。

POINT 7

  • 同じ後遺障害等級でも逸失利益が変わる理由
  • 警察官・消防職・救急隊員
  • 医師・看護師・リハビリ職

POINT 8

  • 後遺障害の併合等級と逸失利益を支える証拠
  • 複数障害では最終等級、単独障害でも資料の質が金額に影響します。
  • 後遺障害が複数ある場合、重い等級をそのまま採るだけでは終わらないことがあります。
  • 等級が付いた後も金額の争いが残るため重要です。
  • どの資料が、医学的に何が残り、職業上どの機能が失われ、収入にどうつながったかを説明する材料になるかを読み取ってください。

まとめ

  • 後遺障害の等級ごとの 逸失利益の目安一覧
  • 後遺障害の等級ごとの逸失利益の目安一覧で最初に押さえる結論:固定金額ではなく、労働能力喪失率と計算要素を見るのが出発点です。
  • 後遺障害の等級ごとの逸失利益で見る労働能力喪失率一覧:金額表ではなく、まず等級ごとの割合を確認します。
  • 後遺障害の等級ごとの逸失利益を500万円・40歳モデルで試算:固定金額ではないことを前提に、同一条件の比較で金額感をつかみます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

後遺障害の等級ごとの逸失利益の目安一覧で最初に押さえる結論

固定金額ではなく、労働能力喪失率と計算要素を見るのが出発点です。

後遺障害の等級ごとの逸失利益を調べるとき、最初に理解したいのは、公的に存在するのは等級ごとの固定金額表ではなく、等級ごとの労働能力喪失率表だという点です。逸失利益は、事故がなければ将来得られたはずの収入が、後遺障害による労働能力低下のために減少した部分を指します。

基本式は、基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数です。同じ等級でも、年収、年齢、仕事内容、症状の中身、労働能力喪失期間、複数障害の有無によって金額は大きく変わります。

次の要点は、等級表を見る前に押さえるべき計算の核をまとめたものです。自賠責の限度額や慰謝料等と混同しないために重要なので、固定金額ではなく計算要素で金額が決まる点を読み取ってください。

等級は出発点、金額は計算で決まる

後遺障害の逸失利益は、等級ごとの労働能力喪失率を土台に、基礎収入と症状固定時の年齢に対応する係数を掛けて考えます。自賠責の後遺障害限度額は逸失利益だけの一覧ではなく、慰謝料等を含む総枠です。

  • 別表第一第1級と第2級、別表第二第1級から第3級などは労働能力喪失率100%が目安です。
  • 第4級92%、第5級79%、第6級67%、第7級56%、第8級45%、第9級35%、第10級27%、第11級20%、第12級14%、第13級9%、第14級5%が公式資料上の目安です。
  • 自賠責の第14級75万円、第12級224万円などは後遺障害による損害全体の限度額であり、逸失利益単独の金額ではありません。
Section 01

後遺障害の逸失利益の計算式と3つの要素

基礎収入、労働能力喪失率、ライプニッツ係数を順に確認します。

後遺障害による逸失利益は、年間収入額又は年相当額、等級に対応する労働能力喪失率、症状固定時の年齢に対応するライプニッツ係数を掛けて算出する考え方が基本です。事業所得者では必要経費を控除した額が問題になり、後遺障害逸失利益では本人の生活費控除をしない点も死亡逸失利益との大きな違いです。

基本式逸失利益 = 年間収入額又は年相当額のいずれか高い額 × 労働能力喪失率 × 症状固定時の年齢に対応するライプニッツ係数

次の一覧は、逸失利益を計算するときに確認する3つの要素を表しています。どの要素が欠けても金額の見通しがずれるため重要です。左から順に、収入の土台、等級による割合、将来分を現在価値へ直す係数を読み取ってください。

Income

基礎収入

事故前収入、平均給与額、家事従事者や学生の扱いなどをもとに、将来収入の土台を決めます。

Rate

労働能力喪失率

後遺障害等級ごとの公式目安です。等級が重いほど割合は高くなりますが、個別事情による修正も問題になります。

Coefficient

ライプニッツ係数

将来得るはずだった収入を一時金として評価するため、症状固定時の年齢と就労可能年数に応じて使います。

次の判断の流れは、逸失利益を概算するときの確認順序を表しています。数字だけを先に当てはめると誤解しやすいため重要です。上から順に、症状固定、等級、収入、係数、修正事情の順で確認することを読み取ってください。

逸失利益を概算するときの確認順序

症状固定時点を確認

年齢起点や医学的評価の基準になります。

後遺障害等級と喪失率を確認

公式資料上の割合を計算の土台にします。

基礎収入と係数を当てはめる

収入属性と年齢により金額が変わります。

期間や職業影響を検討

神経症状や外貌醜状では期間や率が争点になることがあります。

後遺障害とは、自動車事故による傷害が治ったときに身体に残った精神的又は肉体的な毀損状態で、傷害との相当因果関係があり、医学的に認められる症状をいいます。症状固定とは、症状が安定し、医学上一般に認められた医療を行っても医療効果が期待できなくなった時点を指し、通常は医師が判断します。

Section 02

後遺障害の等級ごとの逸失利益で見る労働能力喪失率一覧

金額表ではなく、まず等級ごとの割合を確認します。

後遺障害の等級ごとの逸失利益で最も参照価値が高いのは、等級ごとの労働能力喪失率です。金額そのものは基礎収入と年齢で変わるため、ここではまず、等級、代表例、喪失率、自賠責の後遺障害限度額の関係を読み取ってください。限度額は逸失利益単独ではなく、慰謝料等を含む総枠です。

区分等級代表的な後遺障害の例労働能力喪失率自賠責の後遺障害限度額
別表第一第1級神経系統・精神又は胸腹部臓器に著しい障害が残り、常時介護を要するもの100%4,000万円
別表第一第2級神経系統・精神又は胸腹部臓器に著しい障害が残り、随時介護を要するもの100%3,000万円
別表第二第1級両眼失明、咀嚼及び言語機能の廃絶、両上肢又は両下肢の用全廃など100%3,000万円
別表第二第2級一眼失明かつ他眼0.02以下、両上肢を手関節以上で失う、両下肢を足関節以上で失うなど100%2,590万円
別表第二第3級神経系統・精神又は胸腹部臓器に著しい障害が残り、終身労務に服することができないものなど100%2,219万円
別表第二第4級両眼0.06以下、両耳全聾、一上肢又は一下肢を大関節以上で失うなど92%1,889万円
別表第二第5級特に軽易な労務以外に服することができない程度の神経・精神・胸腹部障害、一上肢又は一下肢の用全廃など79%1,574万円
別表第二第6級脊柱に著しい変形又は運動障害、一上肢又は一下肢の二関節廃用など67%1,296万円
別表第二第7級軽易な労務以外に服することができない程度の障害、外貌に著しい醜状を残すものなど56%1,051万円
別表第二第8級一眼失明、一上肢又は一下肢の一関節廃用、一下肢5cm以上短縮など45%819万円
別表第二第9級服することができる労務が相当な程度に制限される障害、鼻の欠損、外貌に相当程度の醜状を残すものなど35%616万円
別表第二第10級正面視での複視、14歯以上の歯科補綴、一関節の著しい機能障害など27%461万円
別表第二第11級胸腹部臓器の機能障害で労務遂行に相当程度の支障、脊柱変形、一指の喪失など20%331万円
別表第二第12級局部に頑固な神経症状、外貌に醜状を残すもの、一関節の機能障害など14%224万円
別表第二第13級胸腹部臓器の機能障害、一眼の視力0.6以下、下肢短縮1cm以上など9%139万円
別表第二第14級局部に神経症状、上肢・下肢露出面の醜いあと、一耳の難聴など5%75万円

次の割合の横棒は、等級ごとの労働能力喪失率の差を視覚的に示しています。等級間で計算の前提がどれほど変わるかをつかむために重要です。横棒が長いほど喪失率が高く、下位等級ほど基礎収入や期間の立証が金額に強く響く点を読み取ってください。

第1級から第3級
100%
第4級
92%
第5級
79%
第6級
67%
第7級
56%
第8級
45%
第9級
35%
第10級以下
27%以下
第10級は27%、第11級は20%、第12級は14%、第13級は9%、第14級は5%です。

代表例は理解の手がかりであり、実際の認定は診断書、検査所見、症状の推移、障害の部位や程度によって判断されます。複数障害がある場合には併合等級の検討も必要になります。

Section 03

後遺障害の等級ごとの逸失利益を500万円・40歳モデルで試算

固定金額ではないことを前提に、同一条件の比較で金額感をつかみます。

読者が知りたい金額感をつかむため、基礎収入500万円、症状固定時40歳、就労可能年数27年、ライプニッツ係数18.327という単一条件を置いて試算します。この表は、同じ収入と同じ年齢を仮定した説明用モデルなので、等級ごとの差がどの程度出るかを読み取るために使ってください。

区分等級労働能力喪失率試算額
別表第一第1級100%約9,164万円
別表第一第2級100%約9,164万円
別表第二第1級100%約9,164万円
別表第二第2級100%約9,164万円
別表第二第3級100%約9,164万円
別表第二第4級92%約8,430万円
別表第二第5級79%約7,239万円
別表第二第6級67%約6,140万円
別表第二第7級56%約5,132万円
別表第二第8級45%約4,124万円
別表第二第9級35%約3,207万円
別表第二第10級27%約2,474万円
別表第二第11級20%約1,833万円
別表第二第12級14%約1,283万円
別表第二第13級9%約825万円
別表第二第14級5%約458万円
注意この試算は、労働能力喪失期間が表どおり全面的に認められると仮定した説明用モデルです。現実には、下位等級、神経症状、外貌醜状などで喪失期間が短く評価される可能性があります。

第14級でも理論計算上は約458万円、第12級なら約1,283万円、第9級なら約3,207万円という結果になります。ただし、これをそのまま受け取れる金額と考えるのは危険です。自賠責には後遺障害ごとの限度額があり、その枠には慰謝料等も含まれるためです。

Section 04

後遺障害の逸失利益と自賠責の限度額・慰謝料等の違い

第14級75万円などの数字を逸失利益そのものと誤解しないことが重要です。

自賠責の後遺障害限度額は、逸失利益だけでなく慰謝料等を含む総額です。次の表は、普通後遺障害である別表第二の限度額、慰謝料等、限度額上の残り枠を並べたものです。数字の列の違いを確認し、限度額上の残り枠が逸失利益として自動的に支払われるわけではない点を読み取ってください。

等級自賠責の後遺障害限度額慰謝料等差額
第1級3,000万円1,150万円1,850万円
第2級2,590万円998万円1,592万円
第3級2,219万円861万円1,358万円
第4級1,889万円737万円1,152万円
第5級1,574万円618万円956万円
第6級1,296万円512万円784万円
第7級1,051万円419万円632万円
第8級819万円331万円488万円
第9級616万円249万円367万円
第10級461万円190万円271万円
第11級331万円136万円195万円
第12級224万円94万円130万円
第13級139万円57万円82万円
第14級75万円32万円43万円

第14級は限度額75万円、慰謝料等32万円なので、限度額上の残り枠は43万円です。理論計算上の逸失利益が43万円を超える場合、自賠責だけで全額をまかなえるとは限らず、任意保険や加害者への賠償請求の問題になります。

「14級なら75万円」「12級なら224万円」とだけ理解すると、それが逸失利益の金額だと誤認しやすくなります。実務上は、逸失利益、慰謝料等、自賠責の総枠を分けて確認することが大切です。

Section 05

後遺障害の逸失利益は基礎収入と労働能力喪失期間で変わる

等級が同じでも、収入属性と症状固定時年齢で結果は大きく変わります。

逸失利益は等級だけで決まらず、何を基礎収入として採るかで大きく変わります。次の表は、支払基準ベースの属性別の考え方を整理したものです。自分の就労状況に近い行を見て、事故前収入、平均給与額、家事従事者や学生の扱いがどのように分かれるかを読み取ってください。

属性基礎収入の考え方
有職者の原則事故前1年間の収入額と、症状固定時年齢に対応する年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額
35歳未満で収入立証あり事故前1年間の収入額、全年齢平均給与額の年相当額、年齢別平均給与額の年相当額のうち最も高い額
収入立証困難・35歳未満全年齢平均給与額の年相当額又は年齢別平均給与額の年相当額のいずれか高い額
収入立証困難・35歳以上年齢別平均給与額の年相当額
退職後1年以内の失業者事故前1年間の収入額を退職前1年間の収入額と読み替えて検討する
幼児・児童・生徒・学生・家事従事者原則として全年齢平均給与額の年相当額。ただし59歳以上で年齢別平均給与額が下回るときは年齢別平均給与額
その他働く意思と能力を有する者年齢別平均給与額の年相当額。ただし全年齢平均給与額の年相当額を上限とする

年齢によってライプニッツ係数も変わる

18歳以上の有職者や家事従事者では、52歳未満は67歳までの差を就労可能年数とし、52歳以上は男女いずれか短い平均余命の2分の1を基礎とする扱いがあります。18歳未満の未就労者は、原則として18歳を就労始期、67歳を終期として差し引き計算します。

次の比較は、年齢ごとの就労可能年数と係数の違いを示しています。年齢だけで将来収入を評価する期間が変わるため重要です。40歳、29歳、59歳の違いから、若いほど係数が大きくなりやすく、高齢では別の考え方が入りやすいことを読み取ってください。

症状固定時年齢就労可能年数ライプニッツ係数読み取り方
29歳38年22.49267歳までの期間が長く、同じ喪失率でも金額が大きくなりやすい
40歳27年18.327本ページの試算モデルで使った条件
59歳13年10.63552歳以上では平均余命の2分の1も関係する

会社員、自営業者、資格職では、給与明細、源泉徴収票、確定申告書、帳簿、決算書の整合性が重要です。家事従事者は現実の賃金収入がなくても、平均給与額を基礎に検討される枠組みがあります。学生や未就労者でも将来就労を前提に逸失利益が問題になることがあります。

Section 06

同じ後遺障害等級でも逸失利益が変わる理由

障害名ではなく、仕事への具体的な影響と症状の裏付けが問われます。

同じ第12級や第14級でも、仕事への影響は職種によって大きく異なります。次の一覧は、障害の内容が職業上の中核業務にどう響くかを整理したものです。等級名だけでは金額が決まらない理由を理解するために重要なので、どの仕事でどの機能が収入に結びつきやすいかを読み取ってください。

警察官・消防職・救急隊員

追跡、制圧、搬送、夜勤、装備着用、反応速度、平衡機能が重要で、下肢痛、しびれ、頚部可動域制限、めまいが職務適合性に影響しやすい職種です。

医師・看護師・リハビリ職

微細手技、長時間立位、夜勤、患者移乗、集中力、視機能が重要で、上肢障害や高次脳機能障害が収入減に結びつきやすい場合があります。

事務職・研究職・専門職

発声、記憶、注意、長時間の文書作成、対人対応が中核で、高次脳機能障害、耳鳴り、慢性疼痛、視機能障害の影響評価が重要です。

整備・板金塗装・物流現場

握力、上肢挙上、しゃがみ込み、重量物取扱い、平衡機能が収入と直結しやすく、就労制限の具体性が問われやすい分野です。

福祉職・心理職・介護職

移乗、身体介助、対人援助、情動コントロールが必要で、腰部痛、上肢障害、PTSDや抑うつが実収入に影響する可能性があります。

神経症状は期間と因果関係が争われやすい

第12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」、第14級9号の「局部に神経症状を残すもの」は交通事故実務で頻出します。公式の労働能力喪失率は第12級が14%、第14級が5%ですが、争点はしばしば率そのものより、症状の客観性、継続性、喪失期間へ移ります。

外貌醜状は表上の率を機械的に当てはめない場面がある

外貌醜状では、表上の労働能力喪失率より低い率や短い期間で評価される例があります。職業、年齢、就業機会への影響などが重視されるためです。一方で、2011年改正により外貌醜状の男女差解消と9級新設が行われており、現行制度では7級、9級、12級の構造を前提に考える必要があります。

Section 07

後遺障害の併合等級と逸失利益を支える証拠

複数障害では最終等級、単独障害でも資料の質が金額に影響します。

後遺障害が複数ある場合、重い等級をそのまま採るだけでは終わらないことがあります。13級以上が2つ以上なら1級繰上げ、8級以上が2つ以上なら2級繰上げ、5級以上が2つ以上なら3級繰上げという趣旨の併合ルールがあります。逸失利益は最終的に採用された等級に連動するため、単一の傷病名ではなく全体として何級になるかを見る必要があります。

次の一覧は、逸失利益の立証で確認されやすい資料を医療、就労、生活の3分類で整理したものです。等級が付いた後も金額の争いが残るため重要です。どの資料が、医学的に何が残り、職業上どの機能が失われ、収入にどうつながったかを説明する材料になるかを読み取ってください。

医療資料

診断書、後遺障害診断書、MRI、CT、X線、超音波、神経伝導検査、聴力検査、視野検査、関節可動域、筋力評価、神経学的所見などです。高次脳機能障害では神経心理学的検査、画像、生活記録も重要になります。

医学的裏付け

就労資料

源泉徴収票、給与明細、確定申告書、決算書、休職命令、復職判定、業務軽減の記録、人事評価の変化、降格、配置転換、離職の経緯、売上と経費の継続資料などです。

収入への影響

生活・介護資料

通院頻度、服薬継続、家族介助の記録、通勤方法変更、運転中止、家事遂行能力の変化、介護認定、障害福祉サービス利用状況などです。

日常生活への影響

医療、法務、保険、復職支援の各専門家が連携し、医学的に何が残り、職業上どの機能が失われ、収入にどうつながったかを一本の説明として示せるかどうかが、逸失利益の成否に影響します。

Section 08

後遺障害の逸失利益で注意したい実務上のポイント

適用基準、最終賠償額、判断理由の確認を分けて考えます。

実務上は、等級表と計算式だけで結論を出すのではなく、事故日、支払制度、判断理由の確認が必要です。次の時系列は、等級や金額に疑問があるときに一般的に確認される順番を表しています。手続きの見通しを失わないために重要なので、支払額を見た後に理由と不服申立の可能性を分けて確認する流れを読み取ってください。

事故日

適用基準を確認する

適用される支払基準は事故のあった日によって異なることがあります。過去の事故では現在の数表を機械的に当てはめない確認が必要です。

認定後

自賠責の認定と最終賠償額を分ける

自賠責は限度額の範囲で支払う基本補償です。実際の損害額が上回るときは、任意保険や民事賠償の問題が残る可能性があります。

通知確認

支払理由や等級判断理由を見る

支払金額、後遺障害等級と判断理由、減額割合と理由、異議申立手続などの情報を確認することが、次の検討の出発点になります。

重要個別事案の見通しは、事故態様、医学資料、収入資料、保険契約、時期などで変わります。具体的な対応方針は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
Section 09

後遺障害の逸失利益に関するFAQ

一般的な制度理解として、よくある疑問を整理します。

Q1. 後遺障害14級でも逸失利益は問題になりますか

一般的には、公式の労働能力喪失率表で第14級は5%とされています。ただし、金額は基礎収入、症状の客観性、喪失期間、仕事への影響で変わる可能性があります。個別の見通しは、医学資料や収入資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 後遺障害12級13号の逸失利益は大きくなりますか

一般的には、第12級の労働能力喪失率は14%で、第14級より高い率とされています。ただし、収入、年齢、仕事への影響、症状の医学的裏付けによって結論が変わる可能性があります。具体的な金額の検討は、資料をもとに専門家へ相談する必要があります。

Q3. 専業主婦、学生、子どもでも逸失利益は問題になりますか

一般的には、幼児、児童、生徒、学生、家事従事者について、平均給与額を基礎にする枠組みがあります。ただし、年齢、就労可能性、家事従事の実態、事故後の状態によって評価は変わる可能性があります。個別事情は資料を整理して専門家へ確認することが重要です。

Q4. 67歳まで必ず認められますか

一般的には、67歳が就労終期の目安として使われる場面があります。ただし、52歳以上では平均余命の2分の1が基礎になる扱いがあり、神経症状や外貌醜状などでは喪失期間が限定される可能性もあります。事故態様、症状、職業、証拠関係によって判断が変わります。

Section 10

後遺障害の等級ごとの逸失利益の目安一覧のまとめ

等級、収入、期間、証拠をセットで見ることが大切です。

  • 公式に一覧化されているのは、等級ごとの固定金額ではなく労働能力喪失率です。
  • 逸失利益の基本式は、基礎収入 × 労働能力喪失率 × ライプニッツ係数です。
  • 同じ等級でも、年収、年齢、職業、症状の裏付け、複数障害の有無で金額は大きく変わります。
  • 自賠責の限度額は総枠であり、逸失利益だけの金額表ではありません。
  • 本当に知るべき目安は、等級表だけでなく、基礎収入の取り方、喪失期間、職業影響、医療立証まで含めた全体像です。

交通事故の後遺障害は、現場対応、医療、保険、法律、車両技術、福祉・生活再建の各分野が重なって初めて適正評価に近づきます。被害者にとって重要なのは、等級名だけを見ることではなく、その障害が仕事と生活にどのような収入減を生むのかを、資料で説明できる形にすることです。

Reference

参考資料

公的資料と中立的な制度資料をもとに整理しています。

公的資料

  • 国土交通省 自動車損害賠償責任保険の保険金及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準
  • 国土交通省 就労可能年数とライプニッツ係数表
  • 国土交通省 労働能力喪失率表
  • 国土交通省 限度額と補償内容
  • 国土交通省 自賠責保険・共済関連用語集
  • 国土交通省 支払までの流れと請求方法
  • 国土交通省 後遺障害等級表
  • 国土交通省 交通事故にあったときには
  • 厚生労働省 外ぼう障害に係る他制度の概要 損害賠償実務の現状