MRI画像は重要な資料ですが、それだけで12級が決まるわけではありません。画像所見、神経学的所見、症状の分布、事故との因果関係、症状固定後の残存性をどう見られるかを整理します。
MRI画像は重要な資料ですが、それだけで12級が決まるわけではありません。
まず結論と、12級・14級・非該当を分ける判断軸を整理します
交通事故後に首・腰・腕・脚の痛みやしびれが残り、MRIで椎間板ヘルニアが見つかると、多くの方は「客観的な異常があるなら後遺障害12級になるはず」と考えます。
結論からいうと、MRIで椎間板ヘルニアが確認されたという事実だけで、自動的に後遺障害12級になるわけではありません。
自賠責保険の神経症状では、12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」と、14級9号の「局部に神経症状を残すもの」が中心になります。この違いは、痛みの強さだけではなく、画像所見・神経学的検査所見・症状の分布・治療経過などから、神経症状をどこまで医学的に裏づけられるかで考えます。
12級ほどの客観的証明までは難しくても、事故後の症状経過、治療状況、一貫性、医師の記録などから神経症状が説明できる場合に検討されます。
MRI所見があっても、事故との因果関係、症状との整合性、後遺障害としての残存性が不十分と判断されると、非該当となる可能性があります。
後遺障害として評価されるには、自動車事故による傷害が治った後に残る精神的・肉体的な毀損状態であること、傷害と後遺障害との間に相当因果関係があること、そしてその存在が医学的に認められることが重要です。
MRIで椎間板ヘルニアが見つかった場合でも、少なくとも次の5点が問題になります。
これらがそろうほど12級13号の可能性は高まります。反対に、MRI所見があっても、症状と部位が合わない、神経学的所見が乏しい、事故からかなり経って初めて症状が出た、既往症や加齢変性の影響が強い、治療中断が長いといった事情があると、12級ではなく14級、または非該当となる可能性があります。
なお、本ページは一般的な情報提供です。個別事案の等級認定、診断、治療方針、訴訟見通しを保証するものではありません。実際の判断では、診療録、画像、事故態様、既往歴、神経学的所見、後遺障害診断書、保険実務、裁判例などを総合検討する必要があります。
制度の言葉と医学の言葉を分けて理解すると、認定の見通しを誤りにくくなります
一般には、治療後も残った痛み・しびれ・可動域制限などを「後遺症」と呼びます。しかし交通事故賠償で問題になるのは、より制度的な概念である後遺障害です。
後遺障害とは、事故による傷害が治った後も残存する障害で、事故との相当因果関係があり、医学的に認められ、自賠責保険の等級表に該当するものをいいます。本人が痛い、しびれると感じていることは重要ですが、それだけで等級が決まるわけではありません。
症状固定とは、治療を続けても大幅な改善が見込めない状態に達した時点をいいます。完治を意味するわけではありません。後遺障害等級は、原則として症状固定時点の残存症状を基準に判断されます。
椎間板ヘルニアによる神経症状では、後遺障害診断書、MRI・CT・X線などの画像、診療録、リハビリ記録、神経学的検査の結果、痛み・しびれ・筋力低下の経過、就労・家事・日常生活への影響が問題になります。
治療後も残る痛み、しびれ、可動域制限などの一般的な呼び方です。本人の実感として重要ですが、制度上の等級とは別に考えます。
一般用語事故との相当因果関係があり、医学的に認められ、自賠責保険の等級表に該当する障害です。賠償ではこの認定が大きな意味を持ちます。
制度上の概念治療を続けても大幅な改善が見込めない時点です。事故直後の痛みではなく、この時点で何が残っているかが審査されます。
判断時点椎間板は、背骨の骨と骨の間にあるクッションのような組織です。中心部には髄核、周囲には線維輪があり、体重や衝撃を分散します。椎間板ヘルニアとは、椎間板の一部が後方または側方へ突出し、神経根や脊髄を圧迫・刺激する状態をいいます。
ただし、MRIで椎間板の突出が見つかっても、それが必ず症状の原因とは限りません。無症状の人にも椎間板変性や膨隆が見られることがあり、画像所見の解釈には、年齢、症状、神経学的所見、経過の整合性が必要です。
神経根症とは、背骨から枝分かれして腕や脚に向かう神経根が圧迫・刺激される状態です。頚椎なら腕や手指、腰椎なら臀部から脚にかけて、痛み・しびれ・感覚低下・筋力低下などが出ることがあります。
脊髄症とは、脊髄そのものが圧迫される状態です。頚椎で問題になりやすく、手指の巧緻運動障害、歩行障害、腱反射亢進、病的反射などが問題になることがあります。脊髄症が疑われる場合は、単なる「むち打ち」や「腰痛」よりも慎重な医学的評価が必要です。
自賠責後遺障害で神経症状がどう扱われるかを、等級表と実務感覚で整理します
椎間板ヘルニアによる痛み・しびれなどは、多くの場合、神経症状として評価されます。中心になるのは12級13号と14級9号です。
| 等級 | 号 | 等級表の文言 | 実務上の意味 | 自賠責の金額 |
|---|---|---|---|---|
| 12級 | 13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 神経症状が医学的に証明されるレベル | 224万円 |
| 14級 | 9号 | 局部に神経症状を残すもの | 神経症状が医学的に説明・推認されるレベル | 75万円 |
ここでいう金額は、自賠責保険の支払限度・保険金額に関する制度上の数字です。任意保険会社との示談や裁判では、慰謝料、逸失利益、休業損害、治療費、将来治療費、過失相殺などが別途問題になります。
12級13号の「頑固」という表現は、単に本人が強く痛いと訴えているという意味ではありません。実務上は、神経症状の原因が、医学的な他覚所見によって相当程度裏づけられることが重要です。
たとえば、MRIで神経根圧迫、脊髄圧迫、椎間孔狭窄などが確認され、痛み・しびれの分布が神経根の支配領域と一致し、感覚障害、筋力低下、腱反射異常、誘発テストなども整合する場合、12級13号の検討対象になりやすくなります。
14級9号は、12級13号ほどの医学的証明までは認められないものの、事故後の症状が一貫し、治療経過、受傷態様、診療録、医師の所見などから、神経症状が後遺障害として説明できる場合に問題となります。
むち打ち損傷でMRIに明確な神経圧迫がない場合でも、事故直後から首の痛み、上肢のしびれ、頭痛などが継続し、相応の通院・治療があり、症状固定時にも残存していれば、14級9号が検討されることがあります。ただし、14級でも単なる自覚症状だけで必ず認定されるわけではありません。
ここが出発点です。所見だけで結論は出ません。
神経根の支配領域、痛み・しびれ・筋力低下の分布を見ます。
医学的証明に近づきます。
一貫性や治療経過が重要になります。
後遺障害診断書、診療録、検査結果、事故態様、症状経過がまとめて審査されます
自賠責保険の後遺障害認定では、保険会社が独断で等級を決めるわけではありません。損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所が、請求書類に基づき、事故状況、支払的確性、損害額などを調査します。必要に応じて、当事者への照会、事故現場の把握、医療機関への照会なども行われます。
難しい事案では、地区本部、本部、審査会などで審査され、異議申立事案や特定事案では外部専門家が参加する審査体制も用意されています。つまり、MRI画像の有無だけでなく、後遺障害診断書、診療録、検査結果、事故態様、症状経過などが総合的に評価されます。
神経症状の後遺障害実務では、12級13号は神経症状が医学的に証明できる場合、14級9号は神経症状が医学的に説明できる、または推認できる場合と整理されることがあります。
12級を目指す場合には、MRI所見だけでなく、そのMRI所見が症状や神経学的所見と一致している必要があります。逆に、MRIに異常があっても、症状や神経学的検査と整合しなければ、12級の根拠としては弱くなります。
神経症状12級・14級に関する実務研究では、12級以上の評価には、医学的な他覚的所見により神経症状を証明できることが重視されると整理されています。裁判例でも、医師の診断と検査所見が整合しているか、事故による外傷性異常所見があるか、症状経過に矛盾がないかなどが検討されています。
MRI画像、画像診断報告書、神経根圧迫・椎間孔狭窄・脊髄信号変化などの記載を確認します。
事故直後からの症状、通院頻度、治療内容、しびれや筋力低下の記録が一貫しているかを確認します。
衝撃の大きさ、身体への外力、既往歴、事故前後の症状変化を整理します。
MRIは椎間板ヘルニア評価の中心資料ですが、無症状でも変性所見が見つかる点に注意が必要です
腰椎椎間板ヘルニアについて、専門的な診療ガイドラインでは、病歴・身体所見が腰椎椎間板ヘルニアによる神経根症と一致する患者では、MRIが椎間板ヘルニアを確認するための適切な非侵襲的検査であるとされています。
この意味で、MRIは椎間板ヘルニアの医学的評価における中心的資料です。交通事故後の後遺障害申請でも、MRI画像は非常に重要です。しかし、重要であることと、決定的であることは同じではありません。MRIは形を示しますが、後遺障害認定では、その形が事故後に残る症状をどの程度説明しているかが問われます。
MRIで椎間板ヘルニアや椎間板膨隆が見つかると、どうしても「これが事故でできた」と考えたくなります。しかし医学的には、無症状の人にも椎間板変性や膨隆が比較的多く見られることが知られています。
そのため、保険実務では、事故前から存在していた加齢性変性ではないか、症状の原因ではない偶発的所見ではないか、事故で新たに発生したのではなく既存の変性が画像上確認されただけではないか、画像上の圧迫部位と症状の部位が一致していないのではないか、といった反論があり得ます。
| 障害される神経根 | 典型的症状の例 | 確認したい所見 |
|---|---|---|
| L4 | 大腿前面、膝周囲、下腿内側の痛み・しびれ | 膝蓋腱反射低下など |
| L5 | 臀部から大腿外側、下腿外側、足背、母趾付近の痛み・しびれ | 足関節背屈筋力低下など |
| S1 | 臀部から大腿後面、下腿後面、足外側の痛み・しびれ | アキレス腱反射低下など |
| C5〜C8 | 肩、上腕、前腕、手指の痛み・しびれ | 筋力低下、腱反射異常、支配領域の感覚低下 |
12級13号を検討する場面では、感覚検査、筋力検査、腱反射、SLRテスト、FNSテスト、スパーリングテスト、病的反射などが重要になります。これらの検査所見がMRI所見と一致するほど、後遺障害12級の主張は医学的に強くなります。
一般的な腰痛・神経根症の診療では、すべての患者に直ちにMRIが必要とは限りません。ただし、交通事故後の後遺障害実務では、画像が後日の立証資料として重要になることがあります。
症状が強い、神経脱落症状がある、しびれが継続する、筋力低下がある、痛みの範囲が神経根症を疑わせるといった場合には、主治医と相談し、適切な時期にMRIを検討することが重要です。頚椎神経根症でも、持続する症状、進行する神経脱落症状、重篤な病態が疑われる場合などにMRIが重視されます。
画像があっても、症状・検査・経過とのつながりが弱いと12級の証明力は下がります
C5/6に軽度突出があるのに、しびれがC8領域に近い小指側中心である場合などは、対応関係に疑問が出ます。腰椎でも、L4/5の膨隆と症状分布が合わない場合は12級の根拠として弱くなります。
MRIでヘルニアがあっても、感覚障害、筋力低下、腱反射異常、誘発テストなどに明確な異常がない場合、12級の医学的証明は難しくなります。
事故前から同じ部位の痛み・しびれで通院していた、過去にヘルニアと診断されていた、手術歴がある場合、事故との因果関係が厳しく検討されます。
事故直後の診療録に症状の記載がなく、長期間受診もなく、後から急に下肢しびれなどが出た場合、事故との関連性が弱く評価されるリスクがあります。
「軽度膨隆」「年齢相応の変性」「明らかな神経圧迫なし」「脊髄信号変化なし」などの記載は、12級の根拠として慎重に評価されます。
このような場合でも、症状が一貫していれば14級9号が検討される余地はあります。ただし、12級を主張するには、画像、診察所見、症状経過を丁寧に整理し、弱点を補う必要があります。
既往症があるから必ず否定されるわけではありません。事故により既存のヘルニアや変性が悪化し、症状が増悪したと評価できる場合もあります。ただし、その場合も、事故前後の症状変化、画像変化、治療内容、就労状況などの比較が重要です。
明確な神経圧迫と症状・神経学的所見・経過が一貫すると、12級の検討余地が高まります
12級13号を検討しやすい典型例は、MRIで明らかな椎間板ヘルニアがあり、神経根や脊髄を圧迫している場合です。たとえば、腰椎L4/5のヘルニアによりL5神経根が圧迫され、足背や母趾方向のしびれ、足関節背屈筋力低下、感覚障害があり、診療録上も事故後から一貫している場合、12級の検討余地が高まります。
12級で最も重要なのは、各資料の整合性です。画像と症状が別々に存在するのではなく、医学的に一つの病態として説明できることが重要です。
C6/7椎間板ヘルニアによるC7神経根圧迫
中指周辺を中心とするしびれ、上肢痛
C7領域の感覚低下、上腕三頭筋筋力低下、上腕三頭筋反射低下
事故直後から頚部痛と上肢症状があり、治療中も一貫して記録されている
痛み・しびれ・筋力低下が残り、就労や日常生活に影響している
交通事故実務では、時間的近接性も重要です。事故直後または早期から、首・腰の痛みだけでなく、腕や脚への放散痛、しびれ、感覚異常、筋力低下などが記録されていれば、事故との関連性を説明しやすくなります。
通院頻度、治療内容、投薬、リハビリ、神経ブロック、専門医紹介、画像検査などの経過が、症状の程度と整合していることも重要です。重い神経症状を主張しているのに、診療録上は症状の記載が乏しい、通院が極端に少ない、治療中断が長い、医師にしびれを伝えていないといった場合には、不利になることがあります。
報告書の言葉をそのまま等級に結びつけず、神経への影響と症状との一致を確認します
| 用語 | 概要 | 実務上の注意点 |
|---|---|---|
| 膨隆 | 椎間板が全体的に膨らむ状態です。 | 加齢性変化として見られることも多く、単独では12級の根拠になりにくいことがあります。 |
| 突出 | 椎間板の一部が限局して突出する状態です。 | 神経根や脊髄を圧迫しているか、症状と一致するかが重要です。 |
| 脱出 | 髄核などがより大きく外へ出る状態です。 | 病変としては明確でも、神経症状との整合性が必要です。 |
| 遊離 | 脱出した組織が分離した状態です。 | 明確な病変として評価されやすい一方、事故との因果関係と症状との一致が必要です。 |
| 神経根圧迫 | 神経根が圧迫されている所見です。 | 12級主張で重要ですが、圧迫されている神経根と症状部位が一致する必要があります。 |
| 椎間孔狭窄 | 神経根が通る出口が狭くなった状態です。 | 神経根症状を起こすことがあり、症状・神経学的所見との整合性が重視されます。 |
| 脊柱管狭窄 | 脊髄や馬尾神経が通る管が狭くなった状態です。 | 加齢性変化として存在することもあり、事故との因果関係は慎重に検討されます。 |
| 脊髄信号変化 | 頚椎MRIで脊髄内に高信号変化などが見られる状態です。 | 脊髄障害の評価上重要で、歩行障害や巧緻運動障害、病的反射があれば専門医評価が必要です。 |
後遺障害認定では、用語の強さだけではなく、神経根・脊髄への影響、症状との一致、事故との因果関係が問題になります。報告書に「神経根圧迫」と書かれていても、L5神経根圧迫ならL5領域の症状や所見があるか、C7神経根圧迫ならC7領域の症状や所見があるかを確認します。
脊髄症状がある場合は、単なる局部の神経症状にとどまらず、より重い障害評価が問題になることもあります。歩行障害、巧緻運動障害、病的反射などがある場合は、専門医による慎重な診断が必要です。
椎間板ヘルニアは事故でも起こり得ますが、加齢・職業負荷・日常生活でも起こり得ます
交通事故の強い外力により、椎間板ヘルニアが発症または悪化することはあり得ます。しかし椎間板ヘルニアは、加齢、職業上の負荷、日常生活動作、スポーツ、体質などによっても起こり得ます。
そのため、保険実務や裁判では、「MRIでヘルニアがある」だけではなく、「そのヘルニアまたは症状が事故によるものか」が大きな争点になります。
追突事故か、正面衝突か、側面衝突か、衝撃の大きさ、車両損傷の程度、エアバッグ展開の有無、乗車姿勢、身体の向き、シートベルト装着の有無、頭部・頚部・腰部への直接外力の有無、事故直後の救急搬送・受診の有無、物損資料、修理見積、写真、ドライブレコーダー映像などが確認されます。
車両損傷が軽いから症状が必ず否定されるわけではありません。ただし、外力が軽微と評価される場合、重い神経症状との因果関係はより厳しく検討される傾向があります。
事故前から腰痛・頚部痛、ヘルニア、脊柱管狭窄がある場合、事故前後の症状変化、画像変化、治療内容、就労状況が重要になります。
既往症や体質的要因が損害拡大に寄与したとして、損害賠償額から一定割合が減額されるかが争われることがあります。
診断書は等級判断の中核資料です。自覚症状・他覚所見・画像所見・経過を具体化します
後遺障害診断書は、後遺障害申請における中核資料です。椎間板ヘルニアによる神経症状では、自覚症状、他覚症状および検査結果、画像所見、神経学的所見、症状固定日、今後の見通し、就労・日常生活への影響が特に重要になります。
自覚症状欄に単に「腰痛」「首痛」とだけ書かれると、不十分な場合があります。望ましいのは、症状の部位、性質、持続性、動作との関係、しびれの範囲などが具体的に記載されることです。
| 欄・資料 | 具体的に書かれるとよい内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 自覚症状 | 頚部痛、右肩から右上肢外側、母指・示指方向へのしびれ。腰痛、右臀部から下腿外側、足背にかけての放散痛など。 | 部位・範囲・持続性・増悪動作を具体化します。 |
| 他覚所見 | MRI上、C5/6椎間板ヘルニアにより右C6神経根圧迫を認める。右C6領域の感覚低下、反射低下、筋力低下など。 | 12級では客観的所見の記載が極めて重要です。 |
| 症状固定日 | 治療を続けても大幅な改善が見込めないと判断された日。 | 等級は原則として症状固定時点の残存症状で判断されます。 |
| 生活・就労への影響 | 長時間座位で増悪、歩行時に下肢しびれが増強、手指の巧緻運動低下、握力低下感など。 | 労働能力への影響を説明する材料になります。 |
医師が診療上必要な記載をしていても、後遺障害認定に必要な観点が十分に書かれていないことがあります。患者が毎回しびれを訴えていたにもかかわらず、診療録や後遺障害診断書に十分記載されていない場合、審査上は「資料上確認できない」と扱われるリスクがあります。
症状固定前には、主治医に対し、現在残っている症状、しびれの範囲、筋力低下、生活上の支障などを正確に伝えることが重要です。ただし、医師に虚偽や誇張を求めてはいけません。必要なのは、事実を正確に医学的記録へ反映してもらうことです。
資料を誰が集め、どのように提出するかで、主張の組み立てやすさが変わります
手続負担が比較的小さいことがメリットです。一方で、被害者側が提出資料の内容を十分にコントロールしにくい場合があります。
画像、診断書、意見書、陳述書、事故資料などを被害者側で整理して提出できます。資料収集の負担は大きくなります。
単に納得できないと書くだけでは足りません。初回認定で不足していた点を分析し、新たな医学的資料や具体的な反論を出す必要があります。
椎間板ヘルニアで12級を目指す事案では、画像所見と症状・神経学的所見の整合性を丁寧に示す必要があるため、被害者請求が有効な場合があります。
認定結果に不服がある場合には、新たな立証資料を添付して損害保険料率算出機構へ異議申立てを行う方法、自賠責保険・共済紛争処理機構へ申請する方法、さらに訴訟を提起する方法があります。
MRI、診療録、神経学的所見、通院経過を整理します。
症状と他覚所見が具体的に書かれているかを見ます。
資料を積極的に構成したい場合は被害者請求を検討します。
不足点を補う資料を添付して、画像・症状・検査・事故態様をつなげます。
MRIでヘルニアが見つかった時点、症状固定前、14級・非該当の結果後は相談価値が高い場面です
神経根圧迫や脊髄圧迫が記載されている、腕や脚のしびれ・痛みが続く、筋力低下・感覚低下・反射異常がある、治療費打ち切りを打診されている場合は、早めの相談に意味があります。
後遺障害認定では、後から資料を補うことが難しい場合があります。神経学的所見や症状の一貫性は治療期間中の記録が重要です。
画像所見は明確か、神経圧迫の有無は記載されているか、症状の部位と画像所見は一致しているか、神経学的所見があるか、因果関係や既往症が問題にされたかを確認します。
異議申立てで12級を目指すには、初回提出資料の弱点を特定し、追加資料で補強する必要があります。後遺障害診断書の作成前、事前認定か被害者請求か迷っている時点、14級または非該当の結果に不服がある時点は、相談によって手順を整理しやすい場面です。
医療・法律・保険・事故調査・生活再建が交差するため、職種ごとに見るポイントが異なります
| 専門職 | 主に見るポイント | 後遺障害実務での意味 |
|---|---|---|
| 整形外科医・脳神経外科医 | MRIの部位と圧迫の程度、症状分布、神経学的所見、保存療法への反応、手術適応、症状固定時の残存障害、事故との時間的関係。 | 症状の原因が神経根症・脊髄症として医学的に説明できるかを評価します。 |
| 画像読影医・診療放射線技師 | 椎間板突出、神経根・脊髄への圧迫、椎間孔狭窄、脊柱管狭窄、脊髄信号変化。 | 画像そのものだけでなく、読影報告書の表現が大きな意味を持ちます。 |
| 理学療法士・作業療法士 | 痛み、可動域、筋力、歩行、日常生活動作、作業耐性。 | リハビリ記録が症状の一貫性や機能障害の程度を示す資料になることがあります。 |
| 弁護士 | 後遺障害診断書、画像と症状の整合性、被害者請求、異議申立て、意見書、逸失利益・慰謝料、保険会社交渉、訴訟対応。 | 医学的資料を法律上の主張へ翻訳します。 |
| 保険会社担当者・損害調査担当 | 治療の必要性・相当性、症状固定時期、等級、因果関係、既往症。 | 被害者側も、説明をそのまま受け入れず、医学的資料と制度を理解して対応することが重要です。 |
| 交通事故鑑定人・自動車整備士 | 車両損傷、修理見積、写真、ドライブレコーダー、衝突角度、速度、乗車姿勢。 | 外力の程度が医学的評価と結びつくことがあります。 |
| 社会保険労務士・福祉職 | 労災、傷病手当金、障害年金、休職制度、復職支援、福祉サービス。 | 後遺障害等級は損害賠償上の制度であり、障害年金や身体障害者手帳とは別制度です。 |
このテーマは、医療・法律・保険・事故調査・生活再建が交差する問題です。12級を目指す場合、医学的資料を集めるだけでなく、それを保険実務・賠償実務で意味のある形に整理する必要があります。
医療資料、事故資料、後遺障害申請資料を分けて点検します
なりません。MRI所見は重要ですが、12級には、症状、神経学的所見、画像、事故との因果関係、症状固定時の残存性が総合的に整合する必要があります。
12級の可能性は高まりますが、自動認定ではありません。圧迫されている神経根と、痛み・しびれ・筋力低下・感覚障害の部位が一致するかが重要です。
必ずしもおかしいとはいえません。画像所見が軽度、症状との整合性が弱い、神経学的所見が乏しい、事故との因果関係が不十分と判断された場合、14級にとどまることがあります。ただし、資料不足で14級になっている場合には、異議申立てで再検討の余地があります。
可能性はありますが、単に不満を述べるだけでは困難です。画像所見、神経学的所見、症状経過、事故との因果関係について、初回申請で不足していた資料を補う必要があります。
基本構造は同じです。いずれも、画像所見と神経症状の整合性が重要です。ただし、頚椎では上肢症状や脊髄症、腰椎では下肢症状や坐骨神経痛が中心になりやすく、見るべき神経学的所見が異なります。
椎間板ヘルニアや神経根圧迫は、レントゲンだけでは十分に評価できないことが多いです。12級を検討する事案では、MRIが重要な資料になります。ただし、MRIだけでなく神経学的所見も必要です。
必ず不利とは限りません。しかし、事故直後からの症状記録が乏しいと、事故との因果関係を説明しにくくなることがあります。症状が続く場合は、早期に医師へ正確に伝え、必要に応じて画像検査を相談することが重要です。
痛みの強さだけでは決まりません。12級では、痛みやしびれの原因が医学的に裏づけられるかが重要です。本人の苦痛が大きくても、画像や神経学的所見との整合性が乏しい場合、14級または非該当となることがあります。
診断名と後遺障害等級は別です。医師の診断は重要ですが、等級認定では、診断名だけでなく、症状固定時の障害内容、画像所見、検査所見、事故との因果関係が審査されます。
可能であれば、交通事故証明書、診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書、MRI画像CD、画像診断報告書、保険会社からの書類、事故車両写真、修理見積、認定結果通知、通院経過が分かる資料を持参してください。
最後に、12級を検討するうえで外せない判断ポイントをまとめます
12級を目指すには、画像、症状、検査、事故態様、治療経過、後遺障害診断書を一つの医学的・法的ストーリーとして矛盾なく整理する必要があります。
交通事故後の椎間板ヘルニアは、医学的にも法的にも判断が難しい領域です。MRI画像は出発点です。12級・14級・非該当のどこに位置づけられるかは、画像所見と実際の症状・検査・経過がどれだけ自然につながるかで大きく変わります。