顔、頭部、首に残った傷あとを、外貌の範囲、醜状の種類、長さや面積、人目につく程度、事故との因果関係から整理します。
顔、頭部、首に残った傷あとを、外貌の範囲、醜状の種類、長さや面積、人目につく程度、事故との因果関係から整理します。
顔、頭部、首に残った傷あとを、感覚ではなく等級基準と資料で整理します。
バイク事故で顔、頭部、首に傷あと、へこみ、色の変化、変形が残った場合、外貌醜状による後遺障害が問題になります。判断の中心は、傷あとが「外貌」に当たる部位か、評価対象となる醜状があるか、等級ごとの長さや面積を満たすか、人目につく程度以上か、事故との因果関係を医学的資料で示せるかです。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 部位 | 頭部、顔面部、頸部という外貌に当たるか |
| 種類 | 瘢痕、線状痕、組織陥没、欠損、変形、永久的な色素変化か |
| 大きさ | 3センチメートル、5センチメートル、10円銅貨大、鶏卵大面、てのひら大などの基準 |
| 視認性 | 眉毛、頭髪、通常の状態で隠れていないか |
| 因果関係 | 事故直後資料、医療記録、写真、診断書で事故由来と説明できるか |
後遺症と後遺障害、外貌の範囲、醜状の種類を分けて理解します。
交通事故後に残った痛み、しびれ、傷あと、変形などは一般に後遺症と呼ばれます。一方、自賠責保険や損害賠償実務でいう後遺障害は、事故との因果関係があり、医学的に症状固定に至り、将来も残存すると見込まれ、等級表のいずれかに該当するものを指します。
外貌とは、頭部、顔面部、頸部のように、上肢および下肢以外の日常露出する部分をいいます。腕、手、脚、足、胸、腹、背中、臀部の醜状は、外貌醜状とは別の枠組みで整理します。
| 用語 | 意味 | バイク事故での典型例 |
|---|---|---|
| 瘢痕 | 皮膚に残る傷あと | 路面擦過、切創、熱傷、手術痕 |
| 線状痕 | 線状に残った傷あと | 顔面裂創の縫合痕、シールドや路面で切れた痕 |
| 組織陥没 | 皮膚や皮下組織がへこんだ状態 | 顔面骨折後の陥没、皮下組織欠損 |
| 頭蓋骨欠損 | 頭蓋骨の一部欠損 | 頭部外傷、手術後の骨欠損 |
| 色素変化 | 黒褐色の変色や白斑 | 熱傷後の黒ずみ、白抜け、外傷後色素変化 |
| 欠損 | 耳介、鼻などの一部または大部分の欠け | 路面接触、挫滅、再建手術後の欠損 |
車室がないため、転倒、路面滑走、ヘルメット離脱、シールド破損、車体やガードレールとの接触で外貌に損傷が残ることがあります。
あごひもの状態、シールド破損、ヘルメットの打痕、ジャケットやグローブの損傷は、接触部位や衝撃方向の説明に役立ちます。
中心となる第7級12号、第9級16号、第12級14号を、限度額と慰謝料等の目安とあわせて整理します。
自賠責保険の外貌醜状実務では、等級表と認定基準を分けて把握することが重要です。自賠責保険金額の上限は、後遺障害慰謝料だけでなく逸失利益などを含む限度額であり、示談や裁判で検討される総損害額そのものではありません。
| 自賠責等級 | 内容 | 保険金額の上限 | 自賠責の後遺障害慰謝料等 |
|---|---|---|---|
| 第7級12号 | 外貌に著しい醜状を残すもの | 1,051万円 | 419万円 |
| 第9級16号 | 外貌に相当程度の醜状を残すもの | 616万円 | 249万円 |
| 第12級14号 | 外貌に醜状を残すもの | 224万円 | 94万円 |
| 等級 | 部位 | 基準 |
|---|---|---|
| 第7級12号 | 頭部 | てのひら大以上の瘢痕、または頭蓋骨のてのひら大以上の欠損 |
| 第7級12号 | 顔面部 | 鶏卵大面以上の瘢痕、または10円銅貨大以上の組織陥没 |
| 第7級12号 | 頸部 | てのひら大以上の瘢痕 |
| 第9級16号 | 顔面部 | 長さ5センチメートル以上の線状痕で、人目につく程度以上 |
| 第12級14号 | 頭部 | 鶏卵大面以上の瘢痕、または頭蓋骨の鶏卵大面以上の欠損 |
| 第12級14号 | 顔面部 | 10円銅貨大以上の瘢痕、または長さ3センチメートル以上の線状痕 |
| 第12級14号 | 頸部 | 鶏卵大面以上の瘢痕 |
眉毛、頭髪、化粧、マスク、照明条件、写真の撮り方が評価に影響します。
外貌醜状の認定では、面積や長さだけでなく、人目につく程度以上であることが必要です。眉毛、頭髪等に隠れる部分は醜状として取り扱われないため、どこまでが通常の状態で見えるのかを丁寧に確認します。
マスクや化粧で隠れるかどうかだけで結論が決まるわけではありません。通常の状態で見えるか、眉毛や頭髪で隠れる部分を除くと何センチメートル残るか、陥没や色素変化が写真で伝わるかが問題になります。
前髪を下ろすと隠れても、通常の状態では見えるかを確認します。髪型に依存しすぎる説明は慎重に扱われます。
眉毛に隠れる部分と、赤みや凹凸として見える部分を分けて測ります。
日常生活で常に隠すことを前提にできるとは限らず、通常状態での見え方が重要です。
陥没、隆起、色素変化は、斜位、側面、自然光、室内光など複数条件の写真で補います。
正面、右斜位、左斜位、右側面、左側面を残します。
定規またはスケールを添え、加工や過度な照明補正を避けます。
自然光と室内光、表情なしと口を開ける状態などを比較します。
眉毛や髪で隠れる部分を除いた長さ、面積、陥没を記録します。
顔面神経麻痺、頭蓋骨欠損、耳介や鼻の欠損、複数痕、色素変化は別枠の検討が必要です。
口のゆがみは外貌醜状として扱われうる一方、顔面神経麻痺は神経系統の機能障害です。閉瞼不能は眼瞼障害としても整理します。
頭部の陥没と神経症状が併存する場合、外貌醜状と神経障害のうち上位等級の検討が必要になることがあります。
欠損障害として定められた等級と外貌醜状の等級を比較し、上位の等級で整理される場合があります。
隣接し、相まって一体の醜状を呈する場合、面積や長さを合算して評価する余地があります。
永久的に残ると認められ、人目につく程度以上で、単なる醜状の範囲基準を満たすかが問題になります。
腕、脚、胸、腹、背中、臀部の醜状は、露出面醜状や露出面以外の醜状として別に整理します。
外貌醜状の後遺障害では、事故との因果関係が基本です。事故前から存在した傷、にきび跡、手術痕、ケロイド、体質性の色素沈着と区別するため、事故直後の資料が重要になります。
| 資料 | 意義 |
|---|---|
| 交通事故証明書 | 事故発生の基本資料 |
| 実況見分調書、供述調書 | 衝突態様、転倒方向、路面接触の説明 |
| 救急搬送記録 | 受傷部位、出血、救急処置、搬送時状態 |
| 救急外来カルテ | 初診時の創部、縫合、汚染、画像検査 |
| 顔面や頭部の写真 | 事故直後から傷の経過を示す |
| ヘルメットや衣類の写真 | 接触部位、衝撃方向、ヘルメット離脱の有無 |
| 手術記録、形成外科記録 | 傷の深さ、再建内容、術後痕の因果関係 |
顔、頭部、頸部の損傷、縫合、皮膚欠損、骨折、熱傷、感染、皮弁、植皮、再建、既往との区別を確認します。
顔全体、斜位、側面、近接、スケール付き、自然光、室内光、表情変化、症状固定前後の時系列を残します。
部位、種類、長さ、面積、陥没の大きさ、人目につく程度、隠れる部分、症状固定日、今後の改善見込みを具体化します。
写真、測定、専門科所見を主体的に出したい場合は、請求方法の選択が重要になります。
自賠責保険の請求では、請求者が損害保険会社または共済組合に書類を提出し、調査事務所が事故状況、支払の適確性、傷害と事故の因果関係、損害額などを調査します。外貌醜状では、写真、測定、形成外科意見、事故直後からの経過資料が重要です。
| 方法 | 概要 | 外貌醜状での特徴 |
|---|---|---|
| 事前認定 | 加害者側任意保険会社が資料を取りまとめる | 負担は少ない一方、提出資料のコントロールが弱くなることがあります。 |
| 被害者請求 | 被害者側が加害者の自賠責保険に直接請求する | 写真、医療意見、測定資料を主体的に提出しやすい方法です。 |
形成外科または皮膚科で評価を受け、写真、縫合痕、色素沈着、陥没、併存症を記録します。
部位、長さ、面積、陥没、色調、見える部分、複数痕の一体性を確認します。
医師の測定値、写真の測定値、事故前写真、隠れる部分、複数傷の一体性を整理します。
慰謝料、逸失利益、単独事故、通勤中や業務中の事故を分けて検討します。
自賠責の後遺障害等級は、損害賠償の重要な基礎です。しかし、等級が決まれば全損害額が自動的に決まるわけではありません。治療費、入通院慰謝料、休業損害、後遺障害慰謝料、逸失利益、将来治療費、装具費、交通費、文書料などを個別に検討します。
自賠責基準だけでなく、交渉や訴訟では裁判例の傾向を踏まえた実務資料が参照されることがあります。傷の部位、程度、目立ち方、年齢、職業、日常生活への影響などで主張内容が変わります。
外貌醜状は労働能力への影響を争われやすい障害です。接客、営業、販売、受付、講師など対面性の高い職業や、顔面神経麻痺、瘢痕拘縮、心理的影響がある場合は具体的検討が必要です。
通勤中や業務中のバイク事故では、労災保険の障害補償給付も検討します。自賠責実務と関係はありますが、手続や給付内容は異なります。
不足資料を補強し、初回認定の理由に対応することが重要です。
異議申立で重要なのは、単に納得できないと述べることではなく、初回認定で不足していた資料を補強することです。理由書を確認し、どの傷がどのように評価されたかを検討します。
| 問題点 | 補強資料 |
|---|---|
| 傷が基準より短いとされた | 形成外科医の再測定、スケール付き写真、面談記録との比較 |
| 眉毛や頭髪に隠れるとされた | 通常の髪型での写真、隠れる部分と見える部分の区別、医師意見 |
| 人目につく程度ではないとされた | 遠景、近景、斜位、自然光写真、第三者が確認できる資料 |
| 複数痕が別々に小さいとされた | 隣接性、一体性を示す写真、図示、医師意見 |
| 色素変化が一時的とされた | 治療経過、症状固定後の継続写真、皮膚科や形成外科の意見 |
| 陥没が写真で分かりにくい | 斜め方向写真、影の出る照明条件、触診所見、3D計測資料 |
| 事故との因果関係が疑われた | 事故直後写真、救急記録、手術記録、事故前写真、目撃資料 |
専門職ごとの見るポイントを押さえると、資料不足を防ぎやすくなります。
届出、交通事故証明書、実況見分、現場写真、車両損傷、ヘルメット損傷、路面痕跡を整理します。
受傷部位、出血、搬送時状態、処置内容が事故との因果関係を支えます。
縫合方法、再建方法、瘢痕修正術、色素変化、肥厚性瘢痕、瘢痕拘縮を評価します。
写真が不鮮明、測定値がない、医師の記載が抽象的な場合、低い評価につながることがあります。
後遺障害診断書、写真、被害者請求、異議申立、慰謝料、逸失利益、労災や心理的影響を検討します。
| 時期 | 確認すること |
|---|---|
| 治療中 | 定期写真、カルテ記録、形成外科評価、併存症、事故前傷との区別、修正術前の証拠 |
| 症状固定時 | 症状固定日、診断書の具体性、スケール付き写真、見える部分、複数傷、機能障害 |
| 申請前 | 請求方法、必要書類、経過の一貫性、因果関係の弱点、時効、弁護士費用特約 |
顔に傷が残れば必ず認定されるわけではなく、基準と資料で検討します。
一般的には、顔に傷が残っても、基準となる長さ、面積、陥没の大きさ、人目につく程度を満たさなければ、外貌醜状の後遺障害としては非該当になる可能性があります。個別の見通しは資料により変わります。
一般的には、マスクや化粧で隠れるかだけで結論が決まるわけではありません。通常の状態で人目につく程度か、眉毛や頭髪で隠れる部分を除くとどの程度残るかが問題になります。
一般的には、後遺障害診断書は重要ですが、それだけで十分とは限りません。写真、測定、治療経過、事故直後資料、専門科所見、既往との区別が必要になることがあります。
| 事例 | 検討の方向 |
|---|---|
| 頬に4センチメートルの線状痕 | 人目につく程度以上であれば第12級14号が問題になります。5センチメートル以上なら第9級16号を検討します。 |
| 額に複数の擦過痕と色素沈着 | 個々の痕が小さくても、隣接し一体の醜状を呈する場合は合算評価を検討します。 |
| 耳介が一部欠損 | 耳介軟骨部の2分の1以上なら著しい醜状、一部欠損なら単なる醜状として整理します。 |
| 顔面神経麻痺で口元がゆがんだ | 口のゆがみは外貌醜状として扱われうる一方、神経障害や眼瞼障害も別に検討します。 |
| 単独転倒で顔に大きな傷が残った | 自分のバイクの自賠責から補償を受けることは原則できません。人身傷害、搭乗者傷害、労災、道路や他車の過失を確認します。 |