2σ Guide

バイク事故で多い後遺障害の種類と
認定等級の傾向

四肢骨折、神経症状、頭部外傷、脊髄損傷、胸腹部障害、醜状、歯牙、眼耳、精神症状まで、等級認定で問題になるポイントを整理します。

18.7% 交通事故死者数に占める二輪車
54.3% 東京都内二輪車死亡事故の頭部
84.7% 胸部損傷の骨折割合
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バイク事故で多い後遺障害の種類と 認定等級の傾向

四肢骨折、神経症状、頭部外傷、脊髄損傷、胸腹部障害、醜状、歯牙、眼耳、精神症状まで、等級認定で問題になるポイントを整理します。

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バイク事故で多い後遺障害の種類と 認定等級の傾向
四肢骨折、神経症状、頭部外傷、脊髄損傷、胸腹部障害、醜状、歯牙、眼耳、精神症状まで、等級認定で問題になるポイントを整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • バイク事故で多い後遺障害の種類と 認定等級の傾向
  • 四肢骨折、神経症状、頭部外傷、脊髄損傷、胸腹部障害、醜状、歯牙、眼耳、精神症状まで、等級認定で問題になるポイントを整理します。

POINT 1

  • バイク事故で多い後遺障害と認定等級の全体像
  • 二輪車事故の損傷傾向と、自賠責の 後遺障害等級で問題になりやすい類型を整理します。
  • 棒が長いほど、診断書、画像、検査、日常生活記録を早めに整理する必要が高い領域として読んでください。

POINT 2

  • バイク事故の後遺障害で押さえる用語と等級表
  • 後遺症、後遺障害、症状固定、別表第一・第二を分けて理解すると、認定の見通しを整理しやすくなります。
  • 症状が残っている状態
  • 等級表に対応する障害
  • 診断書の基準時点

POINT 3

  • バイク事故で後遺障害が残りやすい受傷機序
  • 1. 衝突・転倒:身体が路面や相手車両に直接衝突します。
  • 2. 骨折、神経損傷、頭部外傷:複数部位に外傷が残ることがあります。
  • 3. 症状固定時の障害:可動域、しびれ、認知機能、傷跡、臓器機能を確認します。
  • 4. 等級表との対応:診断名ではなく、残った障害が等級表にどう対応するかを見ます。

POINT 4

  • バイク事故の後遺障害認定は資料で決まる
  • 医学的事実と法的評価をつなぐには、事故態様、症状の連続性、等級表との対応を資料で示す必要があります。
  • その傷害が生じ得ること
  • 症状と治療経過が続いていること
  • 症状固定時の障害が等級表に合うこと

POINT 5

  • 四肢骨折と神経症状の後遺障害等級
  • 画像所見
  • MRIで神経根圧迫、椎間板突出、脊髄信号変化があるかを確認します。
  • 神経学的所見
  • 腱反射、筋力、感覚、スパーリングテスト、SLRなどが一貫するかを見ます。

POINT 6

  • 頭部外傷、高次脳機能障害、脊髄損傷、胸腹部障害の等級傾向
  • 頭部、脊髄、胸腹部の障害は日常生活や就労への影響が大きく、高い等級や介護等級が問題になりやすい領域です。
  • 高次脳機能障害は外から見えにくい障害です
  • 脊髄損傷・脊柱障害
  • 胸腹部臓器障害

POINT 7

  • 醜状、歯牙、眼耳、精神症状の後遺障害は見落とされやすい
  • 痛みや可動域だけでなく、傷跡、歯、視力、聴力、めまい、精神症状も資料化が重要です。
  • 醜状障害と皮膚・軟部組織損傷
  • 歯牙・顎・咀嚼・言語機能障害
  • 眼・耳・平衡機能障害

POINT 8

  • バイク事故の後遺障害等級は14級から介護等級まで幅がある
  • 神経症状、関節機能障害、頭部外傷、脊髄損傷、胸腹部臓器障害では、等級の幅と併合の確認が重要です。
  • 複数障害の併合
  • 軽度から中等度の痛みやしびれでは14級9号、客観的裏付けが強い神経症状では12級13号が中心になります。
  • 骨折後の関節可動域制限では、制限の程度により12級、10級、8級が問題になります。

まとめ

  • バイク事故で多い後遺障害の種類と 認定等級の傾向
  • バイク事故で多い後遺障害と認定等級の全体像:二輪車事故の損傷傾向と、自賠責の 後遺障害等級で問題になりやすい類型を整理します。
  • バイク事故の後遺障害で押さえる用語と等級表:後遺症、後遺障害、症状固定、別表第一・第二を分けて理解すると、認定の見通しを整理しやすくなります。
  • バイク事故で後遺障害が残りやすい受傷機序:二輪車では身体保護構造が乏しく、転倒、滑走、衝突、挟圧が重なるため多発外傷が問題になります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

バイク事故で多い後遺障害と認定等級の全体像

二輪車事故の損傷傾向と、自賠責の後遺障害等級で問題になりやすい類型を整理します。

バイク事故では、乗員の身体が車体外に露出しているため、転倒、路面への衝突、相手車両や工作物への衝突によって、頭部、胸腹部、四肢、脊柱、顔面、皮膚に複合的な外傷が生じやすくなります。

結論実務上よく問題になる後遺障害は、骨折後の関節可動域制限、変形、短縮、欠損、頚部・腰部・末梢神経・脊髄に関する神経症状、頭部外傷後の高次脳機能障害、胸腹部臓器障害、顔面や四肢の醜状、歯牙・顎・眼・耳・平衡機能の障害です。

次の横棒は、この記事で特に重視する損傷領域を実務上の争点化しやすさで並べたものです。割合は公的統計の発生率ではなく、このページ内での注意度を示す目安です。棒が長いほど、診断書、画像、検査、日常生活記録を早めに整理する必要が高い領域として読んでください。

四肢・関節
神経症状
頭部外傷
胸腹部
醜状・歯・眼耳
注意度は、原資料の部位別損傷傾向と等級認定で争点になりやすい資料要件を統合した整理です。

公開されている公的統計には、バイク事故に限定した後遺障害認定件数の部位別・等級別内訳が網羅的に見える形では十分にそろっていません。そのため、ここでいう「多い」「傾向」は、警察統計、交通事故総合分析センターの損傷部位分析、自賠責制度資料、等級表、医療・法務実務で争点化しやすい類型を統合した実務的整理です。

Section 01

バイク事故の後遺障害で押さえる用語と等級表

後遺症、後遺障害、症状固定、別表第一・第二を分けて理解すると、認定の見通しを整理しやすくなります。

後遺症は、治療をしても残った症状を広く指す医学的・日常的な言葉です。これに対して後遺障害は、交通事故賠償の文脈で、症状固定後に残った障害が法令上の後遺障害等級に該当すると評価されたものをいいます。

後遺症

症状が残っている状態

痛み、しびれ、関節の動きにくさ、記憶障害、疲れやすさ、めまい、傷跡などが残る状態を広く含みます。

後遺障害

等級表に対応する障害

医学的に症状が残っていても、等級表に該当しない、因果関係や資料の裏付けが不足する場合には認定されないことがあります。

症状固定

診断書の基準時点

治療を続けても大幅な改善が見込めず、症状が一定の状態で残っていると医学的に評価される段階です。

後遺障害等級は、自動車損害賠償保障法施行令の別表第一と別表第二に定められています。別表第一は介護を要する後遺障害で1級と2級、別表第二はその他の後遺障害で1級から14級までがあり、数字が小さいほど障害は重くなります。

区分内容保険金額の例
別表第一1級常時介護を要する後遺障害4,000万円
別表第一2級随時介護を要する後遺障害3,000万円
別表第二1級介護以外の重い後遺障害3,000万円
別表第二12級関節機能障害や頑固な神経症状などが問題になりやすい等級224万円
別表第二14級局部神経症状などで問題になりやすい等級75万円
喪失率自賠責保険支払基準では、後遺障害による損害は逸失利益と慰謝料等で構成され、等級に応じた労働能力喪失率が示されています。たとえば14級は5パーセント、12級は14パーセント、9級は35パーセントとされています。
Section 02

バイク事故で後遺障害が残りやすい受傷機序

二輪車では身体保護構造が乏しく、転倒、滑走、衝突、挟圧が重なるため多発外傷が問題になります。

四輪車では車体、シートベルト、エアバッグ、クラッシャブルゾーンが一定の衝撃吸収を担います。二輪車ではヘルメット、プロテクター、グローブ、ブーツが重要であるものの、乗員は車体外に投げ出されやすく、路面、相手車両、縁石、ガードレール、標識柱、壁などに身体が直接衝突しやすい構造です。

次の棒グラフは、二輪車事故の重大損傷を考えるうえで原資料に出てくる代表的な数値を並べたものです。上の数値は割合や構成比を表し、棒が高いほどその資料で強調されている比率が大きいことを示します。死亡統計は後遺障害統計ではありませんが、頭部・胸部損傷の重大性を読み取る背景として使います。

54.3%
東京都内死亡事故の頭部
43.2%
過去5年平均の頭部
29.2%
過去5年平均の胸部
84.7%
胸部損傷の骨折割合

転倒、滑走、衝突、挟圧が組み合わさる

右直事故では相手車両の側面に衝突し、肩、胸、骨盤、下肢を強打し、その後に路面で頭部や顔面を打つことがあります。単独転倒では肩から路面に落ちて鎖骨や肩関節を損傷し、手をついて橈骨遠位端骨折を生じ、膝や足関節にも損傷が残ることがあります。

受傷から認定資料までのつながり

衝突・転倒

身体が路面や相手車両に直接衝突します。

骨折、神経損傷、頭部外傷

複数部位に外傷が残ることがあります。

症状固定時の障害

可動域、しびれ、認知機能、傷跡、臓器機能を確認します。

等級表との対応

診断名ではなく、残った障害が等級表にどう対応するかを見ます。

Section 03

バイク事故の後遺障害認定は資料で決まる

医学的事実と法的評価をつなぐには、事故態様、症状の連続性、等級表との対応を資料で示す必要があります。

自賠責の損害調査では、請求書類に基づいて、事故発生状況、支払いの的確性、損害額などが調査されます。必要に応じて、事故当事者への照会、事故現場の把握、医療機関への治療状況確認が行われます。

事故態様

その傷害が生じ得ること

衝突方向、速度、転倒、車両損傷、装備品損傷などから、受傷機序と傷害の整合性を確認します。

連続性

症状と治療経過が続いていること

事故直後から症状固定まで、同じ部位の症状と治療が一貫しているかが重要です。

等級対応

症状固定時の障害が等級表に合うこと

診断名だけではなく、可動域制限、神経症状、変形、醜状、臓器機能などの残存状態を確認します。

事前認定と被害者請求

後遺障害等級認定には、一般に、加害者側任意保険会社を通じて資料を提出する事前認定と、被害者側が自賠責保険会社に直接請求する被害者請求があります。どちらでも、後遺障害診断書、診断書、診療報酬明細書、画像、検査結果、事故資料などが審査資料になります。

方式特徴注意点
事前認定加害者側任意保険会社を通じて資料を提出する手続の負担は軽い反面、提出資料の内容を十分に把握しにくいことがある
被害者請求被害者側が自賠責保険会社に直接請求する資料の不足を補いやすい一方で、書類準備の負担が大きい
判断軸争点がある事案、重い等級が見込まれる事案、複数部位の後遺障害がある事案では、どの方式で進めるかを早期に検討する価値が高くなります。
Section 04

バイク事故で多い後遺障害の種類と等級傾向一覧

四肢、神経、頭部、脊髄、胸腹部、醜状、歯牙、眼耳、精神症状を一つの表で比較します。

次の表は、バイク事故で多く問題になりやすい後遺障害を、受傷部位、主な症状、等級傾向、認定上の焦点に整理したものです。行ごとに「どの部位に」「どんな症状が残り」「どの等級が問題になりやすく」「何を資料化するか」を読み取ります。

類型主な傷害残りやすい症状認定等級の傾向認定上の焦点
四肢骨折・関節障害鎖骨、肩、肘、手関節、骨盤、大腿骨、膝、足関節可動域制限、変形、短縮、疼痛、しびれ12級、10級、8級、部位によって9級以上画像、可動域測定、骨癒合、変形、手術歴
神経症状頚椎捻挫、腰椎捻挫、神経根障害、末梢神経損傷痛み、しびれ、感覚障害、筋力低下14級9号、12級13号、重症では9級以上画像、神経学的所見、症状の一貫性
頭部外傷・高次脳機能障害脳挫傷、急性硬膜下血腫、びまん性軸索損傷、外傷性くも膜下出血記憶障害、注意障害、遂行機能障害、易怒性、失語、麻痺別表第一1級・2級、別表第二3級、5級、7級、9級、12級、14級画像、意識障害、神経心理検査、日常生活状況
脊髄損傷・脊柱障害頚椎、胸椎、腰椎骨折、脊髄損傷麻痺、歩行障害、排尿障害、脊柱変形、運動障害6級、8級、11級、神経系統では1級から14級MRI、神経所見、ADL、可動性、固定術
胸腹部臓器障害肺損傷、肋骨多発骨折、横隔膜損傷、肝脾腎損傷、膀胱直腸損傷呼吸機能低下、排尿排便障害、臓器機能低下1級から13級まで幅広い機能検査、手術歴、将来治療、労務制限
醜状障害顔面裂創、熱傷、擦過創、四肢の瘢痕傷跡、色素沈着、ケロイド、外貌醜状外貌7級、9級、12級、四肢14級など部位、面積、露出面、写真、形成外科評価
歯牙・顎・咀嚼障害顎骨骨折、歯牙破折、咬合異常咀嚼障害、歯科補綴、開口障害10級から14級など歯科補綴本数、咬合、顎関節、口腔外科資料
眼・耳・平衡障害眼球打撲、視神経損傷、顔面骨骨折、内耳障害視力低下、複視、難聴、耳鳴り、めまい1級から14級まで幅広い視力、視野、眼球運動、聴力、平衡機能検査
非器質性精神障害PTSD、不安、抑うつ、睡眠障害外出困難、運転恐怖、就労制限9級、12級、14級が問題になることがある精神科通院、事故との因果関係、症状経過
症状名ではない鎖骨骨折、むち打ち、頚椎捻挫、腰椎捻挫という診断名だけで等級が決まるわけではありません。症状固定時にどの障害が残り、医学的に説明でき、資料で裏付けられるかが焦点になります。
Section 05

四肢骨折と神経症状の後遺障害等級

肩、膝、足関節の可動域制限、骨の変形、痛みやしびれは、12級、10級、8級、14級9号、12級13号が問題になります。

四肢骨折・関節機能障害

バイク事故の重傷者では手足の損傷が多い傾向があります。転倒時に手をつく、膝や足首をひねる、車体や相手車両に脚を挟まれる、路面を滑走して肩や肘を強打するなどの機序が多いためです。

資料重要性
X線、CT、MRI骨折部位、関節内骨折、変形、骨癒合、偽関節を示す
手術記録固定範囲、骨移植、靱帯再建、神経血管損傷を示す
リハビリ記録可動域、筋力、歩行能力、訓練経過を示す
後遺障害診断書症状固定時の可動域、疼痛、変形、神経症状を示す
写真変形、瘢痕、露出面の状態を示す
補装具資料杖、装具、義足、サポーター等の必要性を示す

神経症状

交通事故後遺障害で頻繁に争点になりやすいのが、局部の神経症状です。14級9号は局部に神経症状を残すもの、12級13号は局部に頑固な神経症状を残すものです。12級13号では、画像所見、神経学的所見、電気生理学的検査などによる客観的裏付けがより強く求められます。

画像所見

MRIで神経根圧迫、椎間板突出、脊髄信号変化があるかを確認します。

神経学的所見

腱反射、筋力、感覚、スパーリングテスト、SLRなどが一貫するかを見ます。

症状の連続性

事故直後から同じ部位に痛みやしびれがあるかが重要です。

既往症との区別

事故前から同様症状があったか、加齢性変化との区別ができるかを検討します。

変形、短縮、欠損

鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨に著しい変形を残す場合は12級5号が問題になります。下肢の短縮では、1センチメートル以上、3センチメートル以上、5センチメートル以上など、短縮の程度により等級が分かれます。

Section 06

頭部外傷、高次脳機能障害、脊髄損傷、胸腹部障害の等級傾向

頭部、脊髄、胸腹部の障害は日常生活や就労への影響が大きく、高い等級や介護等級が問題になりやすい領域です。

二輪車ではヘルメットが重要な保護具ですが、着用していても、衝撃の大きさ、転倒後の二次衝突、あごひもの不適切装着、顔面や側頭部への衝撃により、脳挫傷、急性硬膜下血腫、外傷性くも膜下出血、びまん性軸索損傷、頭蓋骨骨折を生じることがあります。

高次脳機能障害は外から見えにくい障害です

記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害、人格変化などは本人が自覚しにくい場合があります。画像、意識障害、神経心理検査、家族や職場の観察記録を合わせて整理します。

確認する資料見るべき内容
急性期記録救急搬送時の意識障害、GCS、入院経過、頭部CT・MRIの所見
画像脳挫傷、出血、びまん性軸索損傷、微小出血の有無
神経心理学的検査記憶、注意、遂行機能、処理速度の評価
日常生活状況金銭管理、予定管理、対人関係、家事、学業、仕事の変化
家族や職場の記録事故前後の変化、支援状況、ミスの増加、易怒性など

脊髄損傷・脊柱障害

頚椎、胸椎、腰椎の骨折や脱臼により脊髄や神経根が損傷されると、四肢麻痺、対麻痺、感覚障害、排尿障害、排便障害、性機能障害、疼痛が残ることがあります。障害が重ければ、介護を要する後遺障害として別表第一1級または2級が問題になります。

胸腹部臓器障害

胸部外傷では肋骨多発骨折、血気胸、肺挫傷、胸骨骨折、鎖骨・肩甲骨骨折、横隔膜損傷、心大血管損傷が問題となります。腹部外傷では肝損傷、脾損傷、腎損傷、膵損傷、腸管損傷、膀胱損傷、尿道損傷、直腸損傷などがあります。

Section 07

醜状、歯牙、眼耳、精神症状の後遺障害は見落とされやすい

痛みや可動域だけでなく、傷跡、歯、視力、聴力、めまい、精神症状も資料化が重要です。

醜状障害と皮膚・軟部組織損傷

バイク事故では、路面との摩擦による広範囲擦過創、熱傷、裂創、顔面外傷、手足の挫創が生じやすく、治療後に瘢痕、色素沈着、ケロイド、肥厚性瘢痕が残ることがあります。外貌の醜状障害は、顔、頭、首など人目につく部位の傷跡について、程度に応じて7級、9級、12級が問題になります。

歯牙・顎・咀嚼・言語機能障害

転倒時に顔面を強打して、歯牙破折、歯の脱落、顎骨骨折、顎関節症状、咬合異常、開口障害が残ることがあります。歯牙障害では、歯科補綴を加えた歯の本数により等級が分かれます。

眼・耳・平衡機能障害

顔面外傷、頭部外傷、側頭骨骨折、眼窩骨折、眼球打撲、内耳損傷により、視力低下、視野障害、複視、眼球運動障害、難聴、耳鳴り、めまい、平衡機能障害が残ることがあります。

非器質性精神障害、PTSD、不安、抑うつ

事故の恐怖、重傷、長期入院、加害者対応、保険対応、復職困難により、PTSD、不安障害、抑うつ、不眠、パニック症状、運転恐怖が生じることがあります。脳外傷による高次脳機能障害とは区別して、事故との因果関係、既往症、治療継続、症状の一貫性が検討されます。

醜状

写真、部位、面積、色調、隆起、陥凹、ひきつれ、露出面かどうかを記録します。

写真

歯牙・顎

歯科・口腔外科の診療録、パノラマX線、CT、補綴計画、咬合評価が重要です。

歯科資料

眼・耳・平衡

視力、視野、眼球運動、聴力、耳鳴り、平衡機能検査を整理します。

専門検査

精神症状

精神科または心療内科の診療録、心理検査、服薬歴、休職・復職状況を残します。

因果関係
Section 09

後遺障害診断書でバイク事故の等級認定を左右する事項

可動域、画像、傷跡、認知機能、仕事や家事への影響を、症状固定時点で漏れなく整理します。

後遺障害診断書は医師が作成する医学文書であり、被害者本人や弁護士が代筆するものではありません。しかし、医師が事故後の生活や仕事への影響を十分に把握していないと、重要な症状が記載されないことがあります。

項目伝える内容の例
痛み部位、頻度、強さ、動作との関係、服薬状況
しびれ範囲、左右差、感覚鈍麻、筋力低下の有無
可動域上がらない、曲がらない、しゃがめない、階段困難など
歩行杖、装具、跛行、歩行距離、段差の困難
仕事重量物、運転、立位、細かな手作業、集中作業への影響
家事掃除、料理、買い物、育児、入浴、洗濯への影響
認知物忘れ、予定管理困難、易怒性、注意散漫
傷跡部位、大きさ、ひきつれ、露出面、痛み、かゆみ

可動域測定と画像保存

関節機能障害では、可動域測定が極めて重要です。測定値が診療録や後遺障害診断書に残っていなければ、後から機能障害を主張することは難しくなります。事故直後のCT、MRI、X線、手術前後画像、術中所見、退院サマリーも保存しておく必要があります。

事故直後

警察届出、早期受診、装備品保存

初診時所見、交通事故記録、ヘルメットや衣類、現場写真を残します。

治療中

症状を毎回具体的に伝える

症状の連続性、画像検査、リハビリ記録、仕事や家事への影響を残します。

症状固定前後

対象症状を漏れなく整理する

可動域測定、傷跡写真、画像CD、検査結果、家族や職場の陳述を準備します。

Section 10

異議申立と損害額から見るバイク事故の後遺障害

非該当や低い等級の後は、足りない資料を補い、慰謝料と逸失利益への影響を確認します。

後遺障害が非該当または想定より低い等級となった場合でも、直ちに諦める必要はありません。ただし、同じ資料をそのまま再提出しても結果が変わりにくいことがあります。異議申立では、初回認定で不足していた医学資料、画像、検査、診療録、意見書、日常生活状況、就労制限を補う必要があります。

神経症状

非該当の場合

事故直後から症状固定までの一貫性、MRI所見、神経学的所見、通院実績、既往症との区別を補います。

関節障害

低く評価された場合

可動域測定の方法、健側比較、画像上の拘縮要因、リハビリ記録を確認します。

高次脳

見落としが疑われる場合

意識障害、画像、神経心理検査、家族の生活状況報告書、職場復帰後の失敗や支援状況を整理します。

損害額との関係

後遺障害等級は、慰謝料だけでなく逸失利益に大きく影響します。逸失利益は、収入額、労働能力喪失率、就労可能年数に対応する係数を用いて算定されます。同じ12級でも、20代の有職者、家事従事者、自営業者、会社役員、高齢者では逸失利益が大きく異なります。

相談場面手術、入院、長期リハビリ、頭部外傷、意識障害、関節可動域制限、神経症状、治療終了の打診、非該当や低い等級、複数部位の障害、収入減少、労災や障害年金が絡む場合は、早期に相談を検討する価値が高くなります。
Section 11

バイク事故の後遺障害等級に関するFAQ

後遺障害の認定は個別事情で変わるため、一般的な制度説明として整理します。

Q1. バイク事故で多い後遺障害は何ですか。

一般的には、四肢骨折後の可動域制限、変形、神経症状、頭部外傷後の高次脳機能障害、脊髄損傷、胸腹部臓器障害、醜状、歯牙、眼耳の障害が問題になりやすいとされています。ただし、事故態様、負傷部位、治療経過、検査結果によって結論は変わります。

Q2. 骨折すれば必ず後遺障害になりますか。

一般的には、骨折しただけで必ず後遺障害になるわけではありません。症状固定時に可動域制限、変形、短縮、欠損、疼痛、神経症状などが残り、資料で裏付けられるかが問題になります。

Q3. 14級9号と12級13号の違いは何ですか。

一般的には、14級9号は局部に神経症状を残すもの、12級13号は局部に頑固な神経症状を残すものと整理されます。12級13号では、画像所見や神経学的所見など客観的裏付けがより強く求められる傾向があります。

Q4. 高次脳機能障害はどう資料化しますか。

一般的には、急性期の意識障害、頭部CT・MRI、入院経過、神経心理学的検査、日常生活状況、家族や職場の観察記録を組み合わせます。具体的な検査や診断は医師の判断に基づきます。

Q5. 傷跡や歯の障害も認定対象になりますか。

一般的には、外貌や四肢の醜状、歯牙補綴、咀嚼障害、顎関節症状、視力や聴力の障害なども等級認定の対象になる可能性があります。ただし、部位、面積、本数、検査結果などで判断が変わります。

Q6. 非該当になったらどう考えればよいですか。

一般的には、非該当の理由を確認し、足りなかった医学資料、画像、検査、診療録、日常生活状況、就労制限を補えるかを検討します。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Reference

この記事の参考情報源

公的機関、準公的機関、法令資料

  • 国土交通省「後遺障害等級表」
  • e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法施行令」
  • 損害保険料率算出機構「自賠責保険の支払基準」
  • 損害保険料率算出機構「損害調査制度」関連資料
  • 損害保険料率算出機構「脳外傷による高次脳機能障害の後遺障害認定」
  • 警察庁交通局「交通事故の発生状況」関連資料
  • 警視庁「二輪車の死亡事故統計」

二輪車事故の損傷傾向に関する資料

  • 交通事故総合分析センター「二輪車事故における胸部損傷事故の特徴について」
  • 交通事故総合分析センター「二輪車事故」
  • 交通事故総合分析センター「二輪車事故の特徴」