2σ Guide

横断歩道のない場所を渡って
事故に遭った場合の過失割合

単路横断、横断歩道のない交差点、横断禁止場所、車両直前直後横断を分け、基本割合と修正要素、保険、医療、証拠の見方を一般情報として整理します。

20% 単路横断の出発点
7割未満 自賠責の重過失減額なし
1,784件 横断歩道外の死亡事故
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横断歩道のない場所を渡って 事故に遭った場合の過失割合

単路横断、横断歩道のない交差点、横断禁止場所、車両直前直後横断を分け、基本割合と修正要素、保険、医療、証拠の見方を一般情報として整理します。

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横断歩道のない場所を渡って 事故に遭った場合の過失割合
単路横断、横断歩道のない交差点、横断禁止場所、車両直前直後横断を分け、基本割合と修正要素、保険、医療、証拠の見方を一般情報として整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 横断歩道のない場所を渡って 事故に遭った場合の過失割合
  • 単路横断、横断歩道のない交差点、横断禁止場所、車両直前直後横断を分け、基本割合と修正要素、保険、医療、証拠の見方を一般情報として整理します。

POINT 1

  • 横断歩道のない場所を渡って事故に遭った場合の過失割合の全体像
  • 「横断歩道がない」という一点だけでは結論は決まりません。まず事故場所の分類、次に修正要素、最後に証拠と損害額を確認します。
  • 20%対80%は固定値ではなく、検討の入口です
  • 「横断歩道がない」という一点だけでは結論は決まりません。
  • まず事故場所の分類、次に修正要素、最後に証拠と損害額を確認します。

POINT 2

  • 「横断歩道のない場所」の分類と法律上の注意義務
  • 1. 事故場所を分類:単路、交差点直近、横断歩道付近、横断禁止場所を分けます。
  • 2. 歩行者側の横断方法を確認:左右確認、斜め横断、直前直後横断、横断禁止規制の有無を見ます。
  • 3. 車両側の注意義務を確認:前方注視、速度、停止可能性、横断歩道や交差点周辺の保護義務を検討します。
  • 4. 基本割合から動く:夜間、速度超過、横断禁止、年齢、障害、集団横断などを反映します。
  • 5. 資料確認を優先:映像、実況見分、現場写真、診断書などで根拠を補います。

POINT 3

  • 横断歩道のない場所の基本過失割合 ― 単路20%から交差点類型まで
  • 基本割合は、事故類型を選ぶための目安です。単路横断と交差点直近では、車両の進行態様まで分けて見ます。
  • 単路での横断事故
  • 基本割合は、事故類型を選ぶための目安です。
  • 単路横断と交差点直近では、車両の進行態様まで分けて見ます。

POINT 4

  • 歩行者側の過失割合が増えやすい修正要素
  • 夜間
  • 運転者から歩行者が見えにくく、歩行者も車両の距離や速度を誤認しやすい時間帯です。
  • 幹線道路
  • 片側2車線以上、中央分離帯、交通量、制限速度などにより横断危険性が高くなります。

POINT 5

  • 歩行者側の過失割合が減りやすい修正要素
  • 住宅街・商店街
  • 児童・高齢者・幼児・障害者
  • 集団横断
  • 運転者の著しい過失・重過失

POINT 6

  • 横断歩道のない場所の事故統計と工学的な争点
  • 死亡事故の統計と事故鑑定の視点を押さえると、速度、視認、停止可能性、横断時間の意味が見えてきます。
  • 次の割合の横棒は、死亡事故統計の中で横断中、横断歩道外、法令違反がどれほど大きな位置を占めるかを表します。
  • 直進車は右左折車より減速しにくく、速度が高いまま歩行者と衝突しやすい構造があります。
  • このような工学的要素は、法律論だけでは判断できません。

POINT 7

  • 保険会社提示の過失割合と自賠責・任意保険の違い
  • 1. 類型を確認:単路横断か、横断歩道のない交差点または直近かを確認します。
  • 2. 加算根拠を確認:夜間、幹線道路、直前直後横断、横断禁止規制が証拠に基づくかを見ます。
  • 3. 減算要素を確認:住宅街、児童・高齢者、障害、集団横断、運転者過失が検討されているかを確認します。
  • 4. 損害額と後遺障害も確認:過失割合だけでなく、慰謝料、休業損害、逸失利益、後遺障害の見落としを確認します。

POINT 8

  • 医療資料と損害額計算が過失割合に与える影響
  • 過失割合の争いだけでなく、治療、後遺障害、健康保険、損害項目、計算順序を同時に確認します。
  • 過失割合の争いに意識が向きすぎると、治療や後遺障害の資料整備が遅れることがあります。
  • 受診、診断書、症状固定、保険制度を分けることが重要で、読者は「賠償交渉の前に残すべき医療資料」を読み取ることができます。
  • 頭を打った、意識が飛んだ、嘔吐した、記憶が途切れた、強い頭痛、しびれ、歩行困難がある場合は、救急受診が重要です。

まとめ

  • 横断歩道のない場所を渡って 事故に遭った場合の過失割合
  • 横断歩道のない場所を渡って事故に遭った場合の過失割合の全体像:「横断歩道がない」という一点だけでは結論は決まりません。まず事故場所の分類、次に修正要素、最後に証拠と損害額を確認します。
  • 「横断歩道のない場所」の分類と法律上の注意義務:同じ横断歩道外でも、単路、交差点直近、横断歩道付近、横断禁止場所では、歩行者側と車両側の注意義務が変わります。
  • 横断歩道のない場所の基本過失割合 ― 単路20%から交差点類型まで:基本割合は、事故類型を選ぶための目安です。単路横断と交差点直近では、車両の進行態様まで分けて見ます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

横断歩道のない場所を渡って事故に遭った場合の過失割合の全体像

「横断歩道がない」という一点だけでは結論は決まりません。まず事故場所の分類、次に修正要素、最後に証拠と損害額を確認します。

横断歩道のない場所を渡って事故に遭った場合の過失割合は、単純に「歩行者が悪い」とも「車が常に100%悪い」とも決まりません。民事実務では、横断歩道も交差点も近くにない道路の途中なのか、横断歩道のない交差点またはその直近なのか、近くに横断歩道があるのに使わなかった場所なのかを分けて検討します。

典型的には、横断歩道も交差点も近くにない道路を歩行者が横断し、直進してきた自動車やバイクと衝突した事故では、実務上の出発点として歩行者20%、車80%がよく参照されます。ただし、この数字は結論ではなく出発点です。夜間、幹線道路、横断禁止場所、車両の直前直後横断などがあれば歩行者側に加算されることがあります。

反対に、住宅街・商店街、児童・高齢者、幼児・障害者、集団横断、運転者の著しい過失・重過失、歩車道の区別がない道路などでは、歩行者側の過失が減る方向に働くことがあります。示談前には、事故態様、証拠、負傷内容、後遺障害、保険契約、労災や健康保険の利用状況を一体として確認することが重要です。

次の強調表示は、このページ全体で最初に押さえるべき結論を示します。出発点と修正要素を切り分けることが重要で、ここから「提示された割合がどの根拠で作られているか」を読み取ると、確認すべき資料が整理しやすくなります。

20%対80%は固定値ではなく、検討の入口です

単路横断事故で歩行者20%が参照されることはありますが、事故場所、見通し、速度、夜間視認性、横断禁止規制、映像証拠、負傷内容で結論は変わります。

Section 01

「横断歩道のない場所」の分類と法律上の注意義務

同じ横断歩道外でも、単路、交差点直近、横断歩道付近、横断禁止場所では、歩行者側と車両側の注意義務が変わります。

日常会話では「横断歩道のない場所」とまとめて呼ばれますが、過失割合を検討する場面では横断場所を細かく分けます。どの類型に入るかが出発点を左右するため、次の比較表では場所の違い、なぜ重要か、どの注意義務を読むべきかを確認できます。

類型典型的な意味過失割合で見る主なポイント
単路横断横断歩道も交差点も近くにない道路の途中を横断歩行者20%、車80%が出発点になりやすく、夜間、幹線道路、横断禁止、直前直後横断などで修正します。
横断歩道のない交差点・直近交差点またはその近くに横断歩道がない道路交通法38条の2により、車両側の歩行者保護義務が強く問題になります。
横断歩道付近の横断歩道外横断横断歩道が近くにあるのに横断歩道を使わない道路交通法12条の横断方法義務が問題になりやすく、実測距離と道路状況を確認します。
横断禁止場所標識等で歩行者の横断が禁止されている歩行者側の過失が加算されやすく、標識、規制、道路構造の確認が必要です。
車両直前直後横断走行車両の直前または直後を横断道路交通法13条との関係で、急な進出と発見可能性が争点になります。

交通事故の過失割合は、刑事処分や違反点数と同じものではありません。民事事件では、治療費、休業損害、慰謝料、逸失利益などの損害を誰がどの程度負担するかが問題になり、民法722条2項の過失相殺が土台になります。

次の判断の流れは、歩行者側の義務と車両側の義務をどの順で見るかを表します。この順番が重要なのは、横断歩道外という事実だけでなく、横断禁止、交差点直近、横断歩道付近、車両側の前方注視義務まで一緒に読まなければならないためです。

法律上の検討順序

事故場所を分類

単路、交差点直近、横断歩道付近、横断禁止場所を分けます。

歩行者側の横断方法を確認

左右確認、斜め横断、直前直後横断、横断禁止規制の有無を見ます。

車両側の注意義務を確認

前方注視、速度、停止可能性、横断歩道や交差点周辺の保護義務を検討します。

修正あり
基本割合から動く

夜間、速度超過、横断禁止、年齢、障害、集団横断などを反映します。

証拠不足
資料確認を優先

映像、実況見分、現場写真、診断書などで根拠を補います。

Section 02

横断歩道のない場所の基本過失割合 ― 単路20%から交差点類型まで

基本割合は、事故類型を選ぶための目安です。単路横断と交差点直近では、車両の進行態様まで分けて見ます。

単路での横断事故

横断歩道も交差点も近くにない道路の途中を歩行者が横断し、直進してきた車と衝突した典型類型では、実務上の目安として歩行者20%、車80%が出発点として説明されることが多いです。歩行者にも安全確認義務がありますが、自動車は人身事故を発生させる危険性の高い交通手段であり、運転者には前方注視と安全運転の高度な注意義務があります。

この一覧は、横断歩道のない場所で参照される基本割合を事故類型ごとに比較するものです。出発点を見誤ると修正要素の検討もずれるため、読者は「単路なのか、交差点直近なのか、直進車か右左折車か」を読み取ることが重要です。

場所・車両態様歩行者側の基本目安車両側の基本目安実務上の説明
横断歩道も交差点も近くにない単路を横断し、直進車と衝突20%80%単路横断事故の典型。歩行者の安全確認義務と車両の前方注視義務を調整します。
横断歩道のない交差点または直近で、幹線道路・広路の直進車と衝突20%80%車両速度が高くなりやすく、歩行者側にも相応の確認義務があります。
横断歩道のない交差点または直近で、右左折車と衝突10%前後90%前後右左折車は速度を落とし、交差点周辺の歩行者を確認すべき義務が重くなります。
横断歩道のない狭路等の交差点で衝突10%前後90%前後狭い道路では車両側に徐行・歩行者予測が強く求められます。
横断歩道のない同幅員交差点で衝突15%前後85%前後広路20%と狭路10%の中間的評価として説明されます。

次の比較グラフは、歩行者側の基本目安を割合として並べたものです。数値の高さは歩行者側に割り振られる出発点の大きさを示しており、10%、15%、20%の差が重傷事故や死亡事故では大きな金額差につながることを読み取るために重要です。

20%
単路・広路直進
15%
同幅員交差点
10%
右左折・狭路

この表と比較グラフはいずれも一般的な説明であり、個別事故の結論ではありません。事故現場の幅員、道路標識、見通し、信号機の有無、歩道の有無、車両の速度、横断開始時点、停止可能距離、夜間視認性によって大きく動きます。

Section 03

歩行者側の過失割合が増えやすい修正要素

夜間、幹線道路、横断禁止場所、車両直前直後横断、近くの横断歩道を使わなかった事情は、加算方向の争点になりやすい要素です。

過失割合は、基本割合に修正要素を加えて検討します。次の一覧は歩行者側に不利に働きやすい事情をまとめたものです。なぜ重要かというと、保険会社の提示ではこれらが機械的に使われることがあるためで、読者は「証拠に基づく加算なのか」を読み取る必要があります。

夜間

運転者から歩行者が見えにくく、歩行者も車両の距離や速度を誤認しやすい時間帯です。発見遅れ、前方不注意、照明、服装、反射材が争点になります。

幹線道路

片側2車線以上、中央分離帯、交通量、制限速度などにより横断危険性が高くなります。停止距離が長くなる点も重要です。

横断禁止場所

歩行者横断禁止の標識、中央分離帯、ガードレール、植栽などがあると、歩行者側の過失が加算されやすくなります。

車両直前直後横断

走行車両の直前、停車車両や大型車の陰、バスや駐車車両の後ろからの進出では、急な横断か発見可能だったかが問題になります。

近くの横断歩道を使わない

横断歩道からの実測距離、見えやすさ、道路状況、ガードレールや植栽の有無が評価に影響します。

夜間と幹線道路

夜間は、運転者から歩行者が見えにくく、歩行者からも車両の距離や速度を誤認しやすい時間帯です。夜間だから常に歩行者が悪いという意味ではありませんが、歩行者側には昼間より慎重な横断判断が求められます。交通事故総合分析センターの分析でも、横断歩道のない場所を横断中の夜間重大事故では、危険認知速度の高さや発見遅れが問題になりやすいことが示されています。

片側2車線以上の道路、中央分離帯がある道路、交通量が多い道路、制限速度が高い道路では、歩行者が横断する危険性は高くなります。ただし、幹線道路だから直ちに歩行者の過失が大幅に増えるとは限りません。横断禁止規制の有無、歩道橋や横断歩道の位置、道路照明、車両側の速度超過、スマートフォン使用、飲酒、前方不注視などを併せて検討します。

横断禁止、直前直後横断、近くの横断歩道

「歩行者横断禁止」の道路標識がある場所で横断した場合、歩行者側の過失は加算されやすくなります。また、車両の直前に飛び出した、停車車両や大型車の陰から出た、横断途中で停止または後退したという事情がある場合も、歩行者側の危険行為として扱われやすくなります。

横断歩道が近くにある場合は、横断歩道からどの程度離れていたか、現場が「横断歩道の付近」といえるか、歩行者が横断歩道の存在を認識できたか、夜間や積雪などで見えにくかったか、ガードレールや植栽で横断歩道に行きにくかったかを確認します。数メートル、20メートル、30メートル、50メートル程度の差でも評価が変わることがあります。

Section 04

歩行者側の過失割合が減りやすい修正要素

住宅街、児童・高齢者、障害、集団横断、運転者の著しい過失、歩車道の区別がない道路は、歩行者側の割合を下げる方向で検討されます。

歩行者側に不利な事情がある一方で、歩行者側の過失が減る方向の事情もあります。次の一覧は、車両側がより歩行者を予測すべき場面を整理したものです。読者にとって重要なのは、保険会社の加算主張だけでなく、減算方向の事情も証拠に基づいて確認することです。

地域

住宅街・商店街

住宅街、商店街、学校付近、駅前、病院付近、バス停付近では、歩行者の出現が予測されやすく、車両側の注意義務が重く評価されることがあります。

属性

児童・高齢者・幼児・障害者

判断能力、反応速度、歩行速度、視野、聴力、身体動作の面で保護が必要な場合、歩行者側の過失が軽く評価されることがあります。

集団

集団横断

複数の歩行者が横断していた場合、運転者から横断中であることを発見しやすく、減速や停止をすべき状況と評価されることがあります。

車側

運転者の著しい過失・重過失

速度超過、脇見、スマートフォン使用、酒気帯び、酒酔い、居眠り、無免許、ライト不点灯などがある場合、車両側の修正が問題になります。

道路

歩車道の区別がない道路

歩行者と車両が同じ空間を使う生活道路では、車両側の徐行義務や安全運転義務が強く問われることがあります。

高齢者修正については、2026年3月に公刊された過失相殺基準の全訂6版に関する公開解説で、従来の65歳以上を前提にした説明だけでは誤差が生じ得ると指摘されています。事故時期、示談時期、参照される基準、裁判所の考え方を確認する必要があります。

運転者側の著しい過失・重過失では、ドライブレコーダーにスマートフォン操作や脇見が映っている場合、EDRや車両データから速度が推定できる場合、実況見分で制動痕や衝突位置が明確な場合に、車両側の修正を検討しやすくなります。

Section 05

横断歩道のない場所の事故統計と工学的な争点

死亡事故の統計と事故鑑定の視点を押さえると、速度、視認、停止可能性、横断時間の意味が見えてきます。

警察庁は、令和3年から令和7年までの過去5年間で、自動車と歩行者が衝突した交通死亡事故4,158件のうち約7割の2,843件が歩行者横断中の事故であり、そのうち約6割の1,784件が横断歩道以外の場所を横断している時に発生し、その中の約7割に法令違反があったと公表しています。

次の割合の横棒は、死亡事故統計の中で横断中、横断歩道外、法令違反がどれほど大きな位置を占めるかを表します。横棒が長いほど割合が高いことを示し、横断歩道外の事故では「法的評価」と「事故予防」の両方から検討する必要があることを読み取れます。

横断中事故
約7割
横断歩道外
約6割
法令違反あり
約7割
数値は公表資料に基づく概数です。個別事故の過失割合を直接決めるものではありません。

交通事故総合分析センターの分析では、横断歩道のない場所を横断中の事故では乗用車が直進中であるケースが多く、夜間の重大事故率や危険認知速度の高さが問題として示されています。直進車は右左折車より減速しにくく、速度が高いまま歩行者と衝突しやすい構造があります。

次の比較表は、事故鑑定や映像解析で確認される工学的争点を整理したものです。法律上の評価だけではなく、いつ発見できたか、止まれたか、どの位置で衝突したかを読むことが重要で、各項目から証拠収集の優先順位を読み取れます。

工学的争点具体的に見る内容
危険認知速度運転者が危険を認知した時点の速度。衝突速度そのものではありませんが、回避可能性の重要資料になります。
停止距離空走距離と制動距離。反応時間、路面状況、速度、タイヤ状態で変わります。
視認距離歩行者を何メートル手前で発見できたか。夜間、街灯、対向車ライト、服の色、反射材で変わります。
横断時間歩行者の歩行速度、年齢、杖や荷物、横断幅、車線数で変わります。
衝突位置車道端、中央付近、反対車線、停止線付近、交差点内など。横断開始時点の推定に関わります。
運転者行動ブレーキ、ハンドル、警音器、減速の有無、前方注視、スマートフォン使用、飲酒、眠気を確認します。
歩行者行動横断前の左右確認、斜め横断、急な飛び出し、横断途中の停止・後退、車両認識を確認します。

このような工学的要素は、法律論だけでは判断できません。事故鑑定、映像解析、現場測量、制動痕、破片散乱位置、車両損傷、EDR、ドライブレコーダー、目撃供述を総合して検討します。

Section 06

保険会社提示の過失割合と自賠責・任意保険の違い

提示割合の根拠、自賠責の重過失減額、任意保険の過失相殺、人身傷害保険を分けて確認します。

保険会社の担当者が提示する過失割合は、実務基準に基づくことが多いものの、必ず正しいとは限りません。横断歩道のない場所を渡って事故に遭った場合、歩行者側の過失が強調されることがあります。

次の判断の流れは、保険会社の提示を受けたときに確認する順番を表します。どの事故類型に当てはめ、どの修正要素を使い、どの証拠に基づいているかを分けることが重要で、読者は「割合」だけでなく「根拠の有無」を読み取る必要があります。

提示割合を確認する順番

類型を確認

単路横断か、横断歩道のない交差点または直近かを確認します。

加算根拠を確認

夜間、幹線道路、直前直後横断、横断禁止規制が証拠に基づくかを見ます。

減算要素を確認

住宅街、児童・高齢者、障害、集団横断、運転者過失が検討されているかを確認します。

損害額と後遺障害も確認

過失割合だけでなく、慰謝料、休業損害、逸失利益、後遺障害の見落としを確認します。

自賠責保険は、交通事故被害者の基本的な対人補償を確保する制度です。自賠責では、被害者に重大な過失がある場合に減額が行われますが、民事上の過失相殺のように、1%でも過失があればその分を機械的に減らす仕組みではありません。

次の比較表は、自賠責、任意保険、裁判、人身傷害保険で過失の扱いが異なることを示します。どの制度で何が減額されるのかを分けて理解することが重要で、示談案を見るときは「自賠責の話」と「民事上の過失相殺」を混同していないかを読み取ります。

区分過失の扱い実務上の注意
自賠責保険被害者に重大な過失がある場合に限り減額7割未満なら重過失減額なし。限度額と支払基準に注意します。
任意保険民事上の過失割合を前提に示談交渉される保険会社提示の類型当てはめと修正要素を確認します。
裁判民法722条2項に基づき裁判所が過失を考慮証拠、判例、事故鑑定、医療資料に基づく主張立証が重要です。
人身傷害保険契約内容によって自分の保険から補償される約款、過失控除、代位、弁護士費用特約との関係を確認します。

国土交通省資料では、7割未満の被害者過失は自賠責の重過失減額の対象にならないこと、後遺障害または死亡については過失割合が7割以上8割未満で2割減額、8割以上9割未満で3割減額、9割以上10割未満で5割減額、傷害については7割以上10割未満で2割減額という運用が示されています。

Section 07

医療資料と損害額計算が過失割合に与える影響

過失割合の争いだけでなく、治療、後遺障害、健康保険、損害項目、計算順序を同時に確認します。

横断中の歩行者が自動車と衝突する事故では、身体への衝撃が大きく、骨折、脊椎損傷、頭部外傷、脳挫傷、急性硬膜下血腫、びまん性軸索損傷、胸腹部損傷、骨盤骨折、膝関節損傷、顔面外傷、歯牙損傷、PTSDなどが生じることがあります。過失割合の争いに意識が向きすぎると、治療や後遺障害の資料整備が遅れることがあります。

次の一覧は、医療面で確認する順番を整理したものです。受診、診断書、症状固定、保険制度を分けることが重要で、読者は「賠償交渉の前に残すべき医療資料」を読み取ることができます。

1

事故直後の受診

頭を打った、意識が飛んだ、嘔吐した、記憶が途切れた、強い頭痛、しびれ、歩行困難がある場合は、救急受診が重要です。CT、MRI、X線などの画像検査が必要になる場合があります。

初期対応
2

診断書と症状経過

診断書、診療録、画像、検査結果、リハビリ記録が損害賠償の中核資料になります。痛みや神経症状は事故直後からの一貫性が問題になりやすいです。

医療資料
3

症状固定と後遺障害

医学上一般に認められた医療を行っても大きな改善が見込めない状態になると、後遺障害等級認定を検討します。認定されると慰謝料や逸失利益に影響します。

後遺障害
4

健康保険・労災

仕事中または通勤中なら労災が問題になります。業務外でも、健康保険を使って治療費を抑えることが有利になる場合があります。第三者行為による傷病届などの手続も確認します。

制度確認

過失割合は、最終的な受取額に直結します。しかし、過失割合だけを見ても損害賠償額は分かりません。まず損害額を計算し、その後に過失相殺を行います。

次の比較表は、横断歩道のない場所の事故で問題になり得る主な損害項目と証拠を整理したものです。損害額が低く見積もられると過失割合を改善しても受取額が伸びにくいため、読者は「どの項目にどの証拠が必要か」を読み取ることが重要です。

損害項目内容証拠
治療費診察、投薬、手術、入院、リハビリ診療報酬明細書、領収書、診断書
通院交通費病院への交通費、タクシー代の一部領収書、通院日数、医師指示
休業損害事故で働けなかった収入減休業損害証明書、給与明細、確定申告書
入通院慰謝料入院・通院による精神的苦痛通院期間、実通院日数、傷害内容
後遺障害慰謝料後遺障害が残った精神的苦痛後遺障害等級認定、医証
逸失利益後遺障害や死亡による将来収入減年収、労働能力喪失率、就労状況
介護費将来介護、近親者介護、職業介護医師意見書、介護記録、見積書
装具・住宅改造費義肢、車椅子、手すり、住宅改修見積書、医師意見書
死亡損害葬儀費、死亡慰謝料、死亡逸失利益戸籍、収入資料、葬儀費資料
計算例総損害額が1,000万円で歩行者側過失が20%なら、民事上の過失相殺後の請求可能額は原則800万円です。総損害額が5,000万円なら、同じ20%でも差し引かれる額は1,000万円になります。
Section 08

横断歩道のない場所の事故で集めたい証拠と相談準備

過失割合は証拠で動きます。現場、映像、警察資料、医療資料、収入資料、保険資料を早めに整理します。

横断歩道のない場所を渡って事故に遭った場合の過失割合は、証拠で動きます。事故直後から、現場と事故態様、医療と損害、相談時の説明資料を分けて整理することが有益です。

次の比較表は、現場と事故態様を示す証拠を整理したものです。横断位置、速度、視認可能性、ブレーキ、道路標識を裏づける資料が重要で、読者は「事故類型と修正要素を支える証拠」を読み取れます。

証拠目的
事故現場の写真横断位置、標識、横断歩道との距離、街灯、歩道、ガードレール、見通しを確認します。
ドライブレコーダー映像横断開始、車両速度、ブレーキ、視認可能性、信号、歩行者の動きを確認します。
防犯カメラ映像店舗、住宅、駐車場、バス停、交差点周辺の客観映像を確認します。
目撃者の連絡先歩行者の横断方法、車両速度、信号、ブレーキ音などの確認に使います。
実況見分調書衝突地点、見通し、当事者供述、道路状況の重要資料になります。
交通事故証明書人身事故として届出があるか、事故日時、当事者、場所を確認します。
車両損傷写真衝突部位、速度、歩行者の位置推定に利用します。
破片・血痕・制動痕衝突地点や制動開始の推定に利用します。
EDR・車両データ速度、ブレーキ、アクセル、シートベルト等の解析に利用できる場合があります。

次の比較表は、医療と損害を示す証拠を整理したものです。過失割合だけでなく総損害額の立証に直結するため、読者は「治療経過、収入、後遺障害、介護費を何で示すか」を読み取ることが重要です。

証拠目的
診断書傷病名、治療見込み、人身事故届、後遺障害資料になります。
診療録・画像外傷の存在、事故との因果関係、後遺障害の立証に使います。
休業損害証明書会社員の休業損害を確認します。
確定申告書・帳簿自営業者、フリーランスの収入立証に使います。
家事従事者の資料主婦・主夫の休業損害、家事制限の立証に使います。
リハビリ記録症状経過、可動域制限、筋力低下、疼痛の一貫性を確認します。
後遺障害診断書症状固定後の等級認定の中核資料になります。
介護記録重度後遺障害や高齢被害者の将来介護費を確認します。

次の時系列は、事故直後から相談前までの資料整理の順番を表します。順番が重要なのは、映像の保存期間や初期診断の記録は後から補いにくいためで、読者は「先に消えやすい証拠から確保する」ことを読み取れます。

事故直後

安全確保と受診、現場記録

人命・安全に関わる場面では、119番・110番への連絡や医療機関の受診が一般に優先される対応とされています。可能な範囲で現場写真や標識も残します。

早期

映像と警察資料の所在を確認

ドライブレコーダー、防犯カメラ、目撃者、実況見分調書、交通事故証明書の有無を整理します。

通院中

診療経過と収入資料を保存

診断書、画像、リハビリ記録、休業損害証明書、給与資料、確定申告書をまとめます。

示談前

提示割合と損害計算を照合

保険会社の提示書、過失割合、損害項目、後遺障害の可能性、健康保険や労災の資料を確認します。

次の比較表は、弁護士や交通事故相談機関に相談する前に整理すると有益なメモ項目を示します。相談時に事実関係を短時間で伝えるために重要で、読者は「何を具体的に書いておくか」を読み取れます。

項目書くべき内容
事故日時年月日、時刻、天候、明るさ
事故場所住所、道路名、交差点名、横断歩道との距離
自分の動きどこからどこへ横断したか、左右確認、歩行速度、停止や後退の有無
相手車両の動き直進、右折、左折、速度感、ブレーキ、ライト、車線
道路状況車線数、歩道、路側帯、中央分離帯、ガードレール、標識、街灯
証拠ドラレコ、防犯カメラ、写真、目撃者、警察資料
怪我診断名、通院先、画像検査、手術、リハビリ、後遺症
保険相手保険会社、自分の人身傷害、弁護士費用特約、労災、健康保険
提示内容保険会社の過失割合、損害額、示談案、支払済み金額
Section 09

保険会社への反論骨子と事例別の見方

感情的な主張ではなく、事故類型、基本割合、修正要素、証拠の三段階で整理します。

保険会社から提示された過失割合に納得できない場合、単に「車が悪い」と主張するだけでは足りません。事故類型、基本割合、修正要素、証拠を整理して、どの部分が不十分なのかを示す必要があります。

次の判断の流れは、反論を組み立てる三段階を示します。順番が重要なのは、類型を間違えると基本割合も修正要素もずれるためで、読者は「当てはめ、修正、証拠」のどこに問題があるかを読み取れます。

反論の組み立て方

事故類型を示す

単路横断ではなく交差点直近である、横断禁止規制が確認できないなど、出発点を整理します。

修正要素を点検する

直前横断、夜間、幹線道路の加算が証拠に基づくか、減算要素が見落とされていないかを確認します。

証拠を対応させる

現場写真、地図、実況見分、映像、速度資料、診断書を主張ごとに結びつけます。

反論の骨子例

たとえば、単路横断として歩行者20%を出発点にされているものの、事故地点が交差点直近である場合は、横断歩道のない交差点または直近における事故類型として検討すべきだと整理します。現場写真、地図、実況見分調書で、衝突地点が交差点から近接していることを確認します。

直前横断を理由に歩行者側へ加算されている場合は、ドライブレコーダー映像上、歩行者が衝突の数秒前から車道上にいたか、運転者が前方注視により発見できたか、車両側に速度超過やブレーキ遅れがないかを確認します。住宅街・商店街で歩行者の横断が通常予測される場所であれば、その点も修正要素として検討します。

次の一覧は、典型場面ごとの見方を整理したものです。事例名だけで結論を決めるのではなく、どの事情が加算・減算方向に働くかを読むことが重要で、読者は自分の事故で確認する観点を絞り込めます。

事例1

昼間、生活道路を横断中に直進車と衝突

住宅街で歩行者の往来が多く、歩車道の区別も明確でない場合、車両側には低速走行と歩行者予測が求められます。

事例2

夜間、片側2車線の幹線道路を横断中に衝突

横断禁止標識や歩道橋があると歩行者側に加算されやすい一方、車両側の速度超過、酒気帯び、スマートフォン使用、ライト不点灯も確認します。

事例3

横断歩道のない交差点で右折車と衝突

右折車は交差点で速度を落とし、横断歩行者に注意すべき立場です。単路横断より歩行者側の過失が軽くなる可能性があります。

事例4

バス停近くで停車車両の陰から横断

歩行者側には遮蔽物からの進出が指摘されやすい一方、運転者側もバス停付近で歩行者の進出を予測すべき場合があります。

事例5

高齢歩行者が夕暮れに横断中に衝突

歩行速度、視力、聴力、反応速度、杖や歩行補助具、反射材、街灯、対向車ライトなどが争点になります。

弁護士等への相談を検討しやすい場面

  1. 保険会社から歩行者過失30%以上を提示された。
  2. 横断歩道のない交差点なのに単路横断として処理されている。
  3. 横断禁止場所だと言われたが、標識や規制の根拠が不明である。
  4. 直前直後横断と言われたが、映像では車両側が十分前から発見できた可能性がある。
  5. 運転者の速度超過、脇見、スマートフォン使用、飲酒、ライト不点灯が疑われる。
  6. 頭部外傷、骨折、脊椎損傷、高次脳機能障害など重い傷害がある。
  7. 後遺障害申請を検討している。
  8. 死亡事故で遺族が示談を求められている。
  9. 労災、健康保険、自賠責、任意保険、人身傷害保険の関係が分からない。
  10. 示談案の損害計算と過失割合の両方に不安がある。
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横断歩道のない場所の過失割合でよくある質問

誤解されやすい点を、一般的な制度説明として整理します。個別事故の結論は証拠関係で変わります。

横断歩道がない場所を渡ったら、歩行者が100%悪いのですか。

一般的には、横断歩道のない場所を横断した歩行者にも過失が認められることはありますが、車両側にも前方注視、安全運転、速度調整、歩行者保護の義務があるとされています。ただし、事故態様、横断禁止規制、車両速度、視認可能性、証拠関係によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

歩行者なら過失割合は0%になりますか。

一般的には、横断歩道上で信号を守っていた歩行者なら0%に近い場面が多いとされています。一方、横断歩道のない場所、横断禁止場所、車両直前横断、夜間の幹線道路などでは、歩行者側にも過失が認められる可能性があります。具体的な見通しは、事故場所、信号、横断方法、映像、警察資料などによって変わります。

警察が相手を加害者と言った場合、民事でも相手が100%になりますか。

一般的には、刑事・行政上の加害者という扱いと、民事上の過失割合は同じではありません。運転者が刑事責任を負う場合でも、民事では歩行者側に一定の過失が認められることがあります。ただし、刑事記録や実況見分調書は民事の過失割合を検討する重要資料になる可能性があります。

過失割合だけを争えば賠償額は十分に確認できますか。

一般的には、過失割合は重要ですが、損害額の算定も同じくらい重要とされています。慰謝料、休業損害、逸失利益、後遺障害、介護費などが低く算定されていれば、受取額に大きく影響します。具体的には、過失割合と損害項目の両方を資料に基づいて確認する必要があります。

示談後でも簡単にやり直せますか。

一般的には、示談書に署名すると後から争うことは難しくなるとされています。ただし、示談内容、錯誤、後遺障害の扱い、留保条項の有無などで検討事項は変わります。治療継続中、後遺障害の可能性がある、過失割合や損害計算に疑問がある場合は、示談前に弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Reference

この記事の参考情報源

公的資料、法令、交通事故分析、民事交通訴訟の基準、法律実務上の解説を参照しています。

公的資料・法令

  • 警察庁「横断歩道は歩行者優先です」
  • e-Gov法令検索「道路交通法」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」
  • 警察庁「令和7年における交通事故の発生状況について」
  • 警察庁「薄暮時間帯における死亡事故に係る分析」
  • 国土交通省「損害賠償を受けるときは?」
  • 国土交通省「今後の自動車損害賠償保障制度のあり方に係る懇談会 報告書」

実務基準・事故分析

  • 判例タイムズ社「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂6版〕別冊判例タイムズ39号」
  • 国立国会図書館サーチ「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準 全訂6版」
  • 判例タイムズ社「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準〔全訂5版〕別冊判例タイムズ38号」
  • 交通事故総合分析センター「ITARDA INFORMATION No.146 夜間に横断歩道のない場所を横断中の事故の特徴」

法律実務解説

  • 法律実務解説(横断歩道外横断事故の基本割合と修正要素)
  • 法律実務解説(横断歩道のない道路での単路横断事故)
  • 法律実務解説(横断歩道のない同幅員交差点事故)
  • 法律実務解説(横断歩道のない狭路交差点事故)
  • 法律実務解説(別冊判例タイムズ39号の事故類型・過失相殺率の変更点)