2σ Guide

保険会社の提示額と
弁護士基準の差額シミュレーション

示談案の総額だけで判断せず、入通院慰謝料、休業損害、後遺障害、死亡損害、過失割合、既払金を分けて再計算するための見方を整理します。

120万円 自賠責の傷害限度額
4,300円 自賠責慰謝料の日額
78万円 14級慰謝料差額の目安
本ページは株式会社Dプロフェッションズ(医師/医療機関/弁護士/弁護士法人ではありません)が運営しています。
一般的な情報提供を目的としており医療上の助言や法律相談等を行うものではありません。
広告(PR)を掲載しています。広告は編集内容や推奨を意味しません。
Video

保険会社の提示額と 弁護士基準の差額シミュレーション

示談案の総額だけで判断せず、入通院慰謝料、休業損害、後遺障害、死亡損害、過失割合、既払金を分けて再計算するための見方を整理します。

動画を読み込み中…
2σ GUIDE ・ VIDEO
保険会社の提示額と 弁護士基準の差額シミュレーション
示談案の総額だけで判断せず、入通院慰謝料、休業損害、後遺障害、死亡損害、過失割合、既払金を分けて再計算するための見方を整理します。
動画の文字起こし(全文テキスト)

2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 保険会社の提示額と 弁護士基準の差額シミュレーション
  • 示談案の総額だけで判断せず、入通院慰謝料、休業損害、後遺障害、死亡損害、過失割合、既払金を分けて再計算するための見方を整理します。

POINT 1

  • 保険会社の提示額と弁護士基準の差額シミュレーションの全体像
  • 提示書の金額を、費目・証拠・控除の順にほどいて確認します。
  • 総額より内訳
  • 証拠で変わる
  • 調整も見る

POINT 2

  • 保険会社の提示額と弁護士基準を分けて理解する
  • 任意保険会社の提示、強制保険の最低限の枠組み、裁判実務上の目安を区別します。
  • 保険会社の提示額とは何か
  • 保険会社の提示額とは、典型的には加害者側の任意保険会社が 示談交渉の終盤に提示する損害賠償案です。
  • 書面では「損害額計算書」「示談案」「賠償額のご案内」などの名称で示されます。

POINT 3

  • 保険会社の提示額と弁護士基準の差額を計算する基本式
  • 1. 治療関係費・通院交通費・入院雑費:実費、必要性、既払の有無を確認します。
  • 2. 休業損害・入通院慰謝料:収入資料、通院期間、傷害の内容、通院頻度を整理します。
  • 3. 後遺障害・将来損害:後遺障害慰謝料、逸失利益、将来介護費、装具費などを積み上げます。
  • 4. その他相当因果関係のある損害:事故と相当な関係がある損害を資料で裏付けます。

POINT 4

  • 入通院慰謝料で見る保険会社の提示額と弁護士基準の差額
  • 自賠責の日額計算と、通院期間を軸に見る弁護士基準の違いを確認します。
  • 自賠責基準の基本計算
  • 弁護士基準の入通院慰謝料
  • シミュレーション1 ― むち打ちで3か月通院した場合

POINT 5

  • 休業損害・物損で見る保険会社の提示額と弁護士基準の差額
  • 給与所得者、家事従事者、自営業者、物損では、証拠と評価方法が差額を左右します。
  • 休業損害の基礎
  • 会社員が20日休業した場合
  • 家事従事者の休業損害

POINT 6

  • 後遺障害で大きくなる保険会社の提示額と弁護士基準の差額
  • 後遺障害慰謝料と逸失利益は、等級・収入・喪失期間によって差が大きくなります。
  • 後遺障害損害の基本式
  • 後遺障害慰謝料の比較
  • 3%ライプニッツ係数の代表例

POINT 7

  • 死亡事故・過失割合・既払金で変わる差額シミュレーション
  • 大きな損害ほど、生活費控除、過失割合、既払金の扱いで結果が変わります。
  • 死亡事故の主要項目
  • 一家の支柱、年収600万円、就労可能年数30年
  • 過失割合が差額に与える影響

POINT 8

  • 保険会社の提示額を受け取った後の読み方と必要資料
  • 提示書は、総額ではなく項目別に比較すると争点が見えます。
  • 提示書でよくある低額化パターン
  • 項目別に比較する
  • シミュレーションに必要な資料

まとめ

  • 保険会社の提示額と 弁護士基準の差額シミュレーション
  • 保険会社の提示額と弁護士基準の差額シミュレーションの全体像:提示書の金額を、費目・証拠・控除の順にほどいて確認します。
  • 保険会社の提示額と弁護士基準を分けて理解する:任意保険会社の提示、強制保険の最低限の枠組み、裁判実務上の目安を区別します。
  • 保険会社の提示額と弁護士基準の差額を計算する基本式:弁護士基準総損害額を作り、過失相殺と既払金を反映して差額を見ます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

保険会社の提示額と弁護士基準の差額シミュレーションの全体像

提示書の金額を、費目・証拠・控除の順にほどいて確認します。

交通事故の示談交渉で最初に悩みやすいのは、相手方保険会社から示された金額が妥当かどうかです。提示書には、治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益、過失相殺、既払金などが並びます。各項目の根拠が分からないまま総額だけを見ると、低く見積もられている部分を見落としやすくなります。

基本式差額の概算 = 弁護士基準で再構成した総損害額 - 保険会社提示額 - 必要に応じた過失相殺・既払金・費用・社会保険給付の調整

重要なのは、提示額が何円かだけではありません。どの損害項目が低く見積もられているか、後遺障害等級や休業損害の証拠が反映されているか、過失割合や既払金控除が正しいかを分解することです。

Point 1

総額より内訳

治療費既払が大きいだけで提示総額が高く見えることがあります。慰謝料、休業損害、後遺障害損害を項目別に比較します。

Point 2

証拠で変わる

医療記録、画像、休業損害証明書、確定申告書、家事支障メモ、事故資料の有無で、弁護士基準の試算精度が変わります。

Point 3

調整も見る

過失相殺、労災、人身傷害保険、既払治療費、休業内払を整理しないと、差額を過大または過小に見積もるおそれがあります。

注意このページは一般的な制度・実務上の考え方を整理するものです。個別の見通しは、事故態様、負傷程度、証拠関係、時期、保険契約によって変わります。
Section 01

保険会社の提示額と弁護士基準を分けて理解する

任意保険会社の提示、強制保険の最低限の枠組み、裁判実務上の目安を区別します。

保険会社の提示額とは何か

保険会社の提示額とは、典型的には加害者側の任意保険会社が示談交渉の終盤に提示する損害賠償案です。書面では「損害額計算書」「示談案」「賠償額のご案内」などの名称で示されます。

分類代表項目確認すべきポイント
積極損害治療費、薬代、入院雑費、通院交通費、診断書費用、装具費実費が漏れていないか、必要性・相当性が争われていないかを確認します。
休業損害会社員の欠勤、有給使用、家事従事者の家事労働制限、自営業者の売上減少収入資料、休業損害証明書、確定申告書、家事労働の評価が反映されているかを見ます。
入通院慰謝料入院・通院期間、実通院日数、傷病の重さ自賠責基準や任意保険基準に近い低額提示になっていないかを見ます。
後遺障害損害後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益等級、労働能力喪失率、喪失期間、基礎収入が適切かを確認します。
死亡損害葬儀費、死亡慰謝料、死亡逸失利益家庭内地位、扶養関係、生活費控除、基礎収入が適切かを見ます。
調整項目過失相殺、既払金、労災、健康保険、人身傷害保険との調整控除順序、控除対象、既払金の内訳が正しいかを見ます。

3つの基準の位置づけ

弁護士基準は、交通事故損害賠償で弁護士が交渉や訴訟を行う際に参照する裁判実務上の水準です。裁判基準、裁判所基準と呼ばれることもあります。ただし、誰にでも機械的に同額が支払われる保証額ではありません。

基準位置づけ実務上の特徴
自賠責基準強制保険である自賠責保険の支払基準被害者救済の最低限の枠組みです。傷害部分は被害者1人につき120万円などの限度額があります。
任意保険基準各任意保険会社が社内実務で用いる提示水準公開された統一基準ではなく、保険会社・事案により幅があります。自賠責基準に近い提示もあります。
弁護士基準裁判例・裁判実務を踏まえた水準慰謝料や逸失利益で増額余地が生じやすい一方、訴訟になれば個別事情で増減します。
限度額自賠責保険では、傷害による損害は120万円、死亡による損害は3,000万円、後遺障害による損害は程度に応じて75万円から4,000万円が限度額として案内されています。
Section 02

保険会社の提示額と弁護士基準の差額を計算する基本式

弁護士基準総損害額を作り、過失相殺と既払金を反映して差額を見ます。

まず総損害額を再構成する

人身損害の再構成

治療関係費・通院交通費・入院雑費

実費、必要性、既払の有無を確認します。

休業損害・入通院慰謝料

収入資料、通院期間、傷害の内容、通院頻度を整理します。

後遺障害・将来損害

後遺障害慰謝料、逸失利益、将来介護費、装具費などを積み上げます。

その他相当因果関係のある損害

事故と相当な関係がある損害を資料で裏付けます。

人身損害弁護士基準総損害額 = 治療関係費 + 通院交通費 + 入院雑費 + 休業損害 + 入通院慰謝料 + 後遺障害慰謝料 + 後遺障害逸失利益 + 将来治療費・将来介護費・装具費等 + その他相当因果関係のある損害
死亡事故死亡事故の弁護士基準総損害額 = 治療費等の死亡前損害 + 葬儀関係費 + 死亡慰謝料 + 死亡逸失利益 + その他相当因果関係のある損害

過失相殺と既払金を調整する

被害者にも過失があるとされる場合、弁護士基準で総損害額が増えても、請求可能額は過失割合により減ります。さらに、保険会社が病院へ直接支払った治療費、休業損害の内払い、自賠責保険金、労災保険給付、人身傷害保険金などがある場合、既払金や社会保険給付の調整が必要です。

Step 1

過失相殺後

過失相殺後の請求可能額 = 弁護士基準総損害額 × (1 - 被害者過失割合)

Step 2

最終差額

最終的な増額余地の概算 = 過失相殺後の弁護士基準請求可能額 - 既払金 - 保険会社の最終提示額または既提示残額

Step 3

注意点

労災、人身傷害保険、健康保険が絡む場合、控除順序や費目対応により単純な引き算では不正確になることがあります。

差額が発生しやすい損害項目

  1. 入通院慰謝料
  2. 休業損害、特に家事従事者・自営業者・役員・歩合給・副業がある場合
  3. 後遺障害慰謝料
  4. 後遺障害逸失利益
  5. 死亡慰謝料・死亡逸失利益
  6. 将来介護費、住宅改造費、装具費、将来雑費
  7. 過失割合
  8. 既往症・素因減額の有無
  9. 画像所見、神経学的所見、症状固定時期、治療期間の相当性
Section 03

入通院慰謝料で見る保険会社の提示額と弁護士基準の差額

自賠責の日額計算と、通院期間を軸に見る弁護士基準の違いを確認します。

自賠責基準の基本計算

自賠責保険の支払基準では、傷害慰謝料は1日につき4,300円とされています。対象日数は、傷害の態様、実治療日数その他を勘案し、治療期間の範囲内で考えます。

概算式自賠責基準の入通院慰謝料 = 4,300円 × 対象日数。対象日数は、総治療期間の日数と実入通院日数 × 2の少ない方を目安にします。

ただし、自賠責の傷害部分は、治療費、文書料、休業損害、慰謝料などを含めて120万円が限度です。治療費が高額になると、慰謝料や休業損害に十分な枠が残らないことがあります。

弁護士基準の入通院慰謝料

弁護士基準では、入院期間、通院期間、傷害の内容、他覚所見の有無、通院頻度、治療の相当性などを踏まえて算定します。骨折・脱臼・手術・臓器損傷など比較的重い傷害では通常の表、他覚所見に乏しいむち打ち、打撲、捻挫などでは軽傷用の表を参照することが多いです。

通院期間軽傷・むち打ち等の目安骨折等の通常傷害の目安
1か月19万円28万円
2か月36万円52万円
3か月53万円73万円
4か月67万円90万円
5か月79万円105万円
6か月89万円116万円
7か月97万円124万円
8か月103万円132万円
9か月109万円139万円
10か月113万円145万円
11か月117万円150万円
12か月119万円154万円
むち打ち3か月
27.2万円
骨折6か月
64.4万円
代表例の慰謝料差額です。通院頻度、治療内容、既払治療費、症状固定時期で変動します。

シミュレーション1 ― むち打ちで3か月通院した場合

項目前提
傷病頚椎捻挫・腰椎捻挫、他覚所見なし
治療期間90日
実通院日数30日
後遺障害なし
被害者過失0%
保険会社提示の慰謝料自賠責基準相当として25万8,000円
試算4,300円 × 60日 = 258,000円。弁護士基準を530,000円と置くと、530,000円 - 258,000円 = 差額272,000円です。

シミュレーション2 ― 骨折で6か月通院した場合

項目前提
傷病橈骨遠位端骨折、保存療法、後遺障害なし
治療期間180日
実通院日数60日
被害者過失0%
保険会社提示の慰謝料自賠責基準相当として51万6,000円
試算4,300円 × 120日 = 516,000円。弁護士基準を1,160,000円と置くと、1,160,000円 - 516,000円 = 差額644,000円です。

骨折、手術、可動域制限、疼痛、画像所見がある事案では、むち打ちより慰謝料差額が大きくなりやすいです。ただし、治療費が高額で自賠責120万円枠を超えている場合、提示書では自賠責基準の慰謝料そのものではなく、治療費既払後の残額調整になっていることがあります。

Section 04

休業損害・物損で見る保険会社の提示額と弁護士基準の差額

給与所得者、家事従事者、自営業者、物損では、証拠と評価方法が差額を左右します。

休業損害の基礎

自賠責保険の支払基準では、休業損害は休業による収入減少があった場合または有給休暇を使用した場合に、1日につき原則6,100円とされています。立証資料により6,100円を超えることが明らかな場合は、一定限度で実額が認められます。家事従事者については、休業による収入減少があったものとみなされます。

属性主な証拠争点
会社員休業損害証明書、源泉徴収票、給与明細、勤怠記録欠勤・遅刻・早退・有給使用と事故の因果関係
パート・アルバイトシフト表、給与明細、雇用契約書事故がなければ勤務できた日数
自営業者確定申告書、帳簿、売上台帳、請求書、入出金記録売上減少と事故の因果関係、経費控除
会社役員役員報酬の労務対価部分、決算書、職務内容役員報酬が労務対価か利益配当か
家事従事者家族構成、家事内容、診断書、通院状況家事労働にどの程度支障が出たか
学生・就職内定者内定通知、アルバイト収入、就職予定資料将来収入や就労開始遅延の評価

会社員が20日休業した場合

項目前提
事故前月収36万円
事故前の1日あたり給与12,000円相当
実休業日数20日
保険会社提示6,100円 × 20日 = 122,000円
試算12,000円 × 20日 = 240,000円。240,000円 - 122,000円 = 差額118,000円です。

家事従事者の休業損害

家事従事者は現金収入がないため、保険会社から収入減少がないと見られやすい項目です。しかし、交通事故実務では、家事労働も経済的価値を持つ労働として評価されます。

考え方家事従事者の休業損害 = 女性労働者または全年齢平均賃金等を基礎にする評価 × 家事労働制限日数または制限割合

主婦・主夫が骨折により30日間、家事に大きな支障を受け、その後60日間も一部制限があった場合、通院日数だけでは実態を反映しません。診断書、家族構成、介助状況、家事代替の有無、痛みや可動域制限、医師の指示、リハビリ内容を整理する必要があります。

物損は証拠と相当性が中心になる

物損では、修理費、時価額、買替諸費用、代車費用、評価損、休車損、積荷損などが問題になります。人身の慰謝料ほど基準差を表で単純に説明しにくく、争点は金額基準よりも証拠と相当性に寄りやすいです。

争点内容必要資料
経済的全損修理費が時価額を超える場合、時価額を上限とされやすい中古車市場価格、車検残、年式、走行距離
評価損修理しても事故歴により市場価値が下がる損害修理内容、骨格損傷、査定資料、車種・年式
代車費用修理期間・買替期間の代車利用の必要性修理期間証明、業務利用、代車領収書
休車損営業車両が稼働できない損害稼働率、売上、代替車両の有無
費用対効果物損だけでは弁護士費用とのバランスが問題になることがあります。弁護士費用特約がある場合は、相談のハードルが下がる可能性があります。
Section 05

後遺障害で大きくなる保険会社の提示額と弁護士基準の差額

後遺障害慰謝料と逸失利益は、等級・収入・喪失期間によって差が大きくなります。

後遺障害損害の基本式

交通事故で最も差額が大きくなりやすいのは、後遺障害が残った場合です。後遺障害では、後遺障害慰謝料と後遺障害逸失利益が主要項目です。

後遺障害後遺障害損害 = 後遺障害慰謝料 + 後遺障害逸失利益
逸失利益後遺障害逸失利益 = 基礎収入 × 労働能力喪失率 × 労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

後遺障害慰謝料の比較

等級自賠責基準の慰謝料等弁護士基準の代表的目安慰謝料差額の目安
1級1,150万円2,800万円1,650万円
2級998万円2,370万円1,372万円
3級861万円1,990万円1,129万円
4級737万円1,670万円933万円
5級618万円1,400万円782万円
6級512万円1,180万円668万円
7級419万円1,000万円581万円
8級331万円830万円499万円
9級249万円690万円441万円
10級190万円550万円360万円
11級136万円420万円284万円
12級94万円290万円196万円
13級57万円180万円123万円
14級32万円110万円78万円

3%ライプニッツ係数の代表例

ライプニッツ係数は、将来の損害を現在価値に直すための中間利息控除に使われます。令和5年4月1日から令和11年3月31日までの法定利率は年3%が維持されると公表されています。

喪失期間3%ライプニッツ係数の概算
1年0.9709
2年1.9135
3年2.8286
5年4.5797
10年8.5302
20年14.8775
30年19.6004
40年23.1148

後遺障害14級9号、年収400万円、喪失期間5年

項目前提
後遺障害等級14級9号
基礎収入年400万円
労働能力喪失率5%
喪失期間5年
3%ライプニッツ係数4.5797
保険会社提示後遺障害部分75万円と仮定
試算4,000,000円 × 5% × 4.5797 = 915,940円。後遺障害慰謝料1,100,000円を加えると2,015,940円です。保険会社提示750,000円との差額は1,265,940円です。

後遺障害12級13号、年収500万円、喪失期間10年

項目前提
後遺障害等級12級13号
基礎収入年500万円
労働能力喪失率14%
喪失期間10年
3%ライプニッツ係数8.5302
保険会社提示後遺障害部分224万円と仮定
試算5,000,000円 × 14% × 8.5302 = 5,971,140円。後遺障害慰謝料2,900,000円を加えると8,871,140円です。保険会社提示2,240,000円との差額は6,631,140円です。

医学的証拠が重要になる理由

後遺障害の差額シミュレーションは、等級が前提です。等級が非該当であれば、後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益は原則として認められません。14級と12級、12級と10級、9級と7級など、等級が1つ違うだけで金額は大きく変わります。

分野重要資料
整形外科X線、CT、MRI、可動域測定、徒手筋力検査、疼痛・しびれの一貫性、リハビリ記録
脳神経外科頭部CT、MRI、意識障害の記録、神経心理検査、高次脳機能障害の生活状況報告
形成外科醜状痕の写真、瘢痕の部位・大きさ、機能障害の記録
眼科・耳鼻科視力・視野・聴力・平衡機能検査
精神科・心療内科PTSD、うつ、不眠、不安の経過、事故との因果関係
リハビリPT・OT・STの評価、ADL、復職可否、日常生活制限
Section 06

死亡事故・過失割合・既払金で変わる差額シミュレーション

大きな損害ほど、生活費控除、過失割合、既払金の扱いで結果が変わります。

死亡事故の主要項目

死亡事故では、葬儀費、死亡逸失利益、死亡慰謝料、死亡に至るまでの傷害損害が問題になります。自賠責保険の死亡限度額3,000万円を超えることも珍しくありません。

死亡損害死亡損害 = 葬儀関係費 + 死亡慰謝料 + 死亡逸失利益 + 死亡前の治療費・入院雑費・付添費等
逸失利益死亡逸失利益 = 基礎収入 × (1 - 生活費控除率) × 就労可能年数に対応するライプニッツ係数

一家の支柱、年収600万円、就労可能年数30年

項目前提
基礎収入年600万円
生活費控除率30%と仮定
就労可能年数30年
3%ライプニッツ係数19.6004
死亡慰謝料2,800万円を目安と仮定
葬儀関係費150万円を目安と仮定
試算死亡逸失利益は6,000,000円 × 70% × 19.6004 = 82,321,680円です。死亡慰謝料28,000,000円と葬儀関係費1,500,000円を加えると、概算総額は111,821,680円です。

過失割合が差額に与える影響

過失割合は総損害額に掛けるだけの単純な調整に見えますが、事故態様の分類、信号、速度、一時停止、横断歩道、車線変更、右左折、歩行者・自転車・バイクの属性、ドライブレコーダー、実況見分調書、防犯カメラ、目撃者、車両損傷などの評価を含みます。

項目金額
弁護士基準総損害額500万円
被害者過失20%
過失相殺後400万円
保険会社提示300万円
差額100万円
過失の影響500万円 × 80% = 400万円。400万円 - 300万円 = 100万円です。過失割合を10%に修正できるなら、500万円 × 90% = 450万円となり、差額は150万円に変わります。

既払金・損益相殺の確認

保険会社の提示額と弁護士基準を比較する際、既払金の控除を誤ると差額を過大評価します。労災、健康保険、人身傷害保険、障害年金、遺族年金、搭乗者傷害保険などが絡む場合は、費目対応と控除順序が特に重要です。

項目注意点
治療費直接払い保険会社が病院へ支払済みの治療費被害者が受領していなくても既払として扱われます。
休業損害内払い月ごとに支払われた休業補償最終提示額から控除済みか確認します。
自賠責既払金被害者請求で受け取った保険金後遺障害分と傷害分を区別します。
労災給付休業補償給付、療養補償給付など費目対応と控除順序が問題になります。
人身傷害保険自分の保険からの支払約款、代位、過失部分の扱いに注意します。
健康保険・高額療養費医療費負担軽減求償・控除関係を確認します。
Section 07

保険会社の提示額を受け取った後の読み方と必要資料

提示書は、総額ではなく項目別に比較すると争点が見えます。

最初に見るべき5つの欄

確認欄見るべき内容
1. 傷害慰謝料自賠責日額計算に近いか、弁護士基準表に近いか
2. 休業損害実収入、有給、家事労働、自営業の損失が反映されているか
3. 後遺障害慰謝料認定等級に対する弁護士基準との差額が大きくないか
4. 後遺障害逸失利益基礎収入、喪失率、喪失期間、ライプニッツ係数が妥当か
5. 控除・調整過失相殺、既払金、労災、健康保険、人身傷害保険の控除が正しいか

提示書でよくある低額化パターン

パターン典型例対応の考え方
慰謝料が自賠責基準に近い3か月通院で25万8,000円など弁護士基準表で再計算します。
休業損害が6,100円固定実際の日額給与が1万円超でも6,100円収入資料を整理して実額を検討します。
家事従事者が低評価主婦・主夫の休業損害が0円または少額家事労働制限を具体化します。
後遺障害逸失利益が低い14級で逸失利益なし、喪失期間2年など職務内容、症状持続、裁判例を検討します。
基礎収入が低い自営業者の売上ではなく所得のみを機械適用経費構造と実労働を分析します。
過失割合が高いドラレコや実況見分に反する過失を提示事故証拠を再検討します。
既払金控除が不透明治療費、休業内払、人身傷害の控除が混在内訳表を取り寄せて確認します。

項目別に比較する

提示総額が一見高くても、治療費既払が大きいだけで、慰謝料や休業損害が低いことがあります。比較表を作ると、どこに争点があるかが明確になります。

損害項目保険会社提示弁護士基準試算差額証拠・争点
治療費80万円80万円0円既払
通院交通費1万円3万円2万円領収書、通院経路
休業損害12万円24万円12万円休業損害証明書
入通院慰謝料25.8万円53万円27.2万円通院3か月、軽傷表
後遺障害慰謝料なしなし0円後遺障害なし
後遺障害逸失利益なしなし0円後遺障害なし
小計118.8万円160万円41.2万円項目別に確認

シミュレーションに必要な資料

分類資料
事故関係交通事故証明書、事故状況説明図、実況見分調書、ドライブレコーダー、写真
医療関係診断書、診療報酬明細書、カルテ、画像CD、検査結果、リハビリ記録
収入関係源泉徴収票、給与明細、休業損害証明書、確定申告書、帳簿、売上資料
通院関係通院日一覧、交通費メモ、領収書、タクシー利用理由
後遺障害後遺障害診断書、認定結果通知、異議申立資料、画像、医師意見書
保険関係任意保険提示書、自賠責支払通知、人身傷害保険資料、労災資料
生活支障家事・育児・介護の支障メモ、職場復帰状況、家族の陳述書
署名前示談書や免責証書に署名・押印すると、原則として追加請求が難しくなります。提示額が総額か追加支払額か、既払金の控除が済んでいるかを確認する必要があります。
Section 08

差額シミュレーションの限界と専門職の見方

計算だけでは、医学的評価、事故態様、交渉・訴訟リスクまでは確定できません。

専門職別に見る差額の発生原因

警察・事故捜査

実況見分、現場写真、信号状況、車両損傷などが過失割合の根拠になります。

医師・リハビリ職

診断、治療、症状固定、後遺障害診断書、可動域、ADL、復職可否が金額に影響します。

法律実務

損害項目の漏れ、過失割合、逸失利益、将来介護費、素因減額、時効、訴訟リスクを統合して評価します。

保険・損害調査

契約内容、支払基準、既払金、保険約款、物損評価、後遺障害調査の資料が問題になります。

事故鑑定・車両技術

速度、衝突角度、回避可能性、ドラレコ映像、EDR、信号サイクルが過失割合に関わります。

労務・福祉

労災、傷病手当金、障害年金、休職・復職、住宅改造、介護体制の整理が必要になることがあります。

試算時に入力・確認する項目

  1. 事故基本情報 ― 事故日、事故類型、過失割合、相手任意保険の有無
  2. 保険会社提示情報 ― 総提示額、今回支払額、費目別内訳、既払金
  3. 傷害情報 ― 入院日数、通院期間、実通院日数、傷病名、手術の有無
  4. 収入情報 ― 職業、年収、休業日数、家事従事者該当性
  5. 後遺障害情報 ― 等級、症状固定日、労働能力喪失率、喪失期間
  6. 死亡事故情報 ― 年齢、年収、家族構成、生活費控除率
  7. 物損情報 ― 修理費、時価、代車、評価損
  8. 控除情報 ― 自賠責既払、労災、健康保険、人身傷害、仮払金
  9. 弁護士費用特約 ― 有無、補償上限、保険会社承認の要否

誤認しやすい表示

不明な提示額保険会社提示額が「今回支払額」か「総損害額」か不明な場合、弁護士基準総額と直接比較すると誤差が出ます。
既払治療費既払治療費が入力されていない場合、差額が過大に表示される可能性があります。
後遺障害後遺障害等級が入力されていても、症状固定日、喪失期間、基礎収入、医学的証拠が不十分なら、逸失利益計算は不正確になります。
通院頻度実通院日数が極端に少ない場合、弁護士基準慰謝料が修正される可能性があります。

よくある誤解

Misread 1

弁護士基準なら必ず満額になる

弁護士基準は交渉上の強い参照枠ですが、過失割合、通院頻度、治療相当性、既往症、後遺障害の因果関係などで変動します。

Misread 2

保険会社はすべて不当に低い

資料上妥当な提示もあります。差額が小さい事案、過失が大きい事案、既払金が多い事案では、大きな増額が出ないこともあります。

Misread 3

後遺障害診断書を書けば等級が取れる

等級認定は診断書だけでなく、事故態様、初診時所見、症状の一貫性、治療経過、画像、検査などを総合して判断されます。

相談を検討しやすいタイミング

状況理由
後遺障害が残りそう等級認定前の医療資料整備が重要です。
後遺障害認定結果に不服異議申立ては資料追加が核心です。
治療費打切りを言われた症状固定時期と治療継続の必要性が争点です。
休業損害が払われない職業別の立証が必要です。
家事従事者の損害が低い家事労働の経済的評価が必要です。
過失割合に納得できない事故証拠の再評価が必要です。
提示書に後遺障害逸失利益がない大きな漏れの可能性があります。
死亡事故・重度後遺障害損害項目が多く高額になりやすいです。
弁護士費用特約がある費用負担を抑えて相談・依頼できる可能性があります。
Section 09

差額シミュレーションのチェックリストとまとめ

署名前、後遺障害、過失割合の3場面で確認します。

保険会社提示を受け取った直後

  • 示談書に署名・押印していない
  • 提示額が総額か追加支払額か確認した
  • 提示書の内訳を項目別に確認した
  • 慰謝料が自賠責基準なのか弁護士基準なのか確認した
  • 休業損害の計算根拠を確認した
  • 後遺障害慰謝料と逸失利益が記載されているか確認した
  • 過失割合の根拠を確認した
  • 既払金の内訳を確認した
  • 労災・健康保険・人身傷害保険との調整を確認した
  • 弁護士費用特約の有無を確認した

後遺障害が疑われる場合

  • 症状固定の判断が医師と十分に話し合われている
  • 必要な画像検査を受けている
  • 自覚症状が診療録に継続して記載されている
  • 神経学的検査・可動域測定が実施されている
  • 後遺障害診断書の記載内容を確認した
  • 仕事・家事・日常生活の支障をメモ化している
  • 被害者請求と事前認定の違いを理解している
  • 非該当や低い等級の場合の異議申立て資料を検討している

過失割合に争いがある場合

  • 交通事故証明書を取得した
  • 実況見分調書の取得可能性を確認した
  • ドライブレコーダー映像を保存した
  • 現場写真・車両損傷写真を保存した
  • 信号、停止線、横断歩道、標識、見通しを確認した
  • 目撃者情報を確保した
  • 保険会社提示の過失割合の根拠を聞いた

差額シミュレーションは、どこが低いかを診断する作業です

単なる慰謝料計算ではなく、法律、医療、保険、事故鑑定、労務、福祉の観点から損害を分解し、項目ごとに再構成する作業です。

  1. 保険会社提示は、総額ではなく項目別に確認します。
  2. 自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準は目的が異なります。
  3. 入通院慰謝料では、通院期間、傷害内容、通院頻度が重要です。
  4. 休業損害では、職業別の証拠が差額を左右します。
  5. 後遺障害では、慰謝料だけでなく逸失利益が差額の中心になります。
  6. 過失割合が10%変わるだけで、損害額が大きい事件では差額が大きく変わります。
  7. 労災、健康保険、人身傷害保険、既払金の調整を無視してはいけません。
  8. 示談書に署名する前に、弁護士基準での再計算を行うことが重要です。
FAQ

保険会社の提示額と弁護士基準に関するFAQ

一般的な考え方として、よくある疑問を整理します。

Q1. 保険会社の提示額は必ず低いのですか。

一般的には、必ず低いとは限りません。物損中心の軽微事故、通院期間が短い事案、弁護士基準でも増額幅が小さい事案では、提示額との差が小さいこともあります。ただし、後遺障害、休業損害、家事従事者、自営業者、過失割合争いがある事案では、差額が大きくなる可能性があります。具体的な見通しは資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 弁護士基準なら必ず満額で支払われますか。

一般的には、弁護士基準は裁判実務上の目安とされています。ただし、事故態様、通院頻度、治療内容、後遺障害等級、証拠関係、過失割合によって結論が変わる可能性があります。保険会社との交渉で合意できない場合、訴訟、調停、紛争処理手続などが検討されることがあります。

Q3. 自賠責基準と弁護士基準のどちらが正しいのですか。

一般的には、両者は目的が異なる基準とされています。自賠責基準は強制保険による最低限の被害者救済を前提とした支払基準です。弁護士基準は裁判実務を踏まえた損害賠償額の目安です。どの基準でどの範囲まで請求できるかは、個別事情によって変わります。

Q4. 後遺障害14級でも弁護士に相談する意味はありますか。

一般的には、14級でも差額が生じる可能性があります。慰謝料差額だけでなく、基礎収入、労働能力喪失率、喪失期間を踏まえた逸失利益が問題になるためです。ただし、14級か非該当か、14級か12級か、症状と事故の因果関係などで結論は変わります。具体的には医療資料を含めて確認する必要があります。

Q5. 交通事故の相談では何を持っていけばよいですか。

一般的には、保険会社の提示書、事故証明、診断書、診療報酬明細書、後遺障害診断書、後遺障害認定通知、給与資料、休業損害証明書、確定申告書、通院日一覧、事故現場写真、ドライブレコーダー映像などが参考資料になります。すべて揃っていなくても、提示書だけで初期的な確認ができる場合があります。

Q6. 治療中でも相談できますか。

一般的には、治療中でも相談できることがあります。後遺障害が残りそうな事案では、症状固定前の資料整備が重要になる場合があります。ただし、治療方針や医学的判断は医師の診察に基づく必要があり、法律上の見通しは事故態様や医療記録によって変わります。

Q7. 整骨院・接骨院への通院は慰謝料に反映されますか。

一般的には、事案によって扱いが変わるとされています。医師の診断・指示、施術の必要性・相当性、施術内容、症状経過、病院との併用状況が問題になります。後遺障害や治療必要性の中核資料は、通常、医師の診断書、画像所見、検査結果、診療録が中心になります。

Q8. 弁護士費用を差し引くと得にならないことはありますか。

一般的には、増額見込みが小さい場合、弁護士費用特約がない場合、過失割合や証拠状況が不利な場合には、費用対効果が問題になる可能性があります。相談時には、増額見込み、回収可能性、弁護士費用、解決までの期間をセットで確認する必要があります。

Reference

この記事の参考資料

公的機関・中立的な資料

  • 国土交通省「自賠責保険・共済の限度額と補償内容」
  • 国土交通省「自賠責保険・共済 よくあるご質問」
  • 国土交通省・金融庁告示「自動車損害賠償責任保険の保険金等及び自動車損害賠償責任共済の共済金等の支払基準」
  • 国土交通省「障害が残ったときは」
  • 法務省「令和5年4月1日以降の法定利率について」
  • 法務省「令和8年4月1日以降の法定利率について」
  • 東京労働局「第三者行為災害について」
  • 金融庁「保険商品等に関する利用者からの相談事例等」

交通事故実務・制度解説

  • 公益財団法人日弁連交通事故相談センター「青本及び赤い本」
  • 損害保険料率算出機構「当機構で行う損害調査」
  • 日本損害保険協会「自賠責保険」
  • 日本損害保険協会「交通事故による賠償問題の解決方法」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「自動車損害賠償保障法」