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刑事裁判の手続き内で
損害賠償を命じてもらえる制度とは

交通事故の重大事案で問題になる損害賠償命令制度について、対象事件、申立期限、費用、手続の流れ、保険や民事訴訟との関係を整理します。

4回以内 原則の審理期日
2,000円 申立手数料
2週間 決定への異議期間
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刑事裁判の手続き内で 損害賠償を命じてもらえる制度とは

交通事故の重大事案で問題になる損害賠償命令制度について、対象事件、申立期限、費用、手続の流れ、保険や民事訴訟との関係を整理します。

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刑事裁判の手続き内で 損害賠償を命じてもらえる制度とは
交通事故の重大事案で問題になる損害賠償命令制度について、対象事件、申立期限、費用、手続の流れ、保険や民事訴訟との関係を整理します。
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  • 刑事裁判の手続き内で 損害賠償を命じてもらえる制度とは
  • 交通事故の重大事案で問題になる損害賠償命令制度について、対象事件、申立期限、費用、手続の流れ、保険や民事訴訟との関係を整理します。

POINT 1

  • 刑事裁判の損害賠償命令制度の全体像
  • 刑罰を重くする制度ではなく、刑事裁判に付随した民事賠償請求の簡易迅速な手続です。
  • 中心となる答えは損害賠償命令制度です
  • 刑罰の重さを決める制度ではない
  • 刑事記録を使える

POINT 2

  • 刑事裁判の損害賠償命令制度を交通事故で使える場合
  • 最初に確認するのは、刑事事件の罪名、起訴状の訴因、事件が地方裁判所に係属しているかです。
  • 利用を検討しやすい交通事故
  • 飲酒や薬物の影響
  • 制御困難な高速度

POINT 3

  • 損害賠償命令制度の申立人・相手方・期限と費用
  • 1. 警察や検察から説明を受けた時点:送致、送検、事情聴取、被害者通知制度の説明を受けたら、罪名や起訴見通しの確認を始めます。
  • 2. 罪名と裁判所を確認する:危険運転致死傷などの対象罪名に該当し得るか、地方裁判所に係属するか、公判期日までの時間を確認します。
  • 3. 申立書と損害資料を整える:請求額、診断書、後遺障害の見込み、収入資料、既払金、相続資料などを整理します。

POINT 4

  • 刑事裁判の中で損害賠償命令を求める手続の流れ
  • 1. 1. 事故発生と捜査:実況見分、現場写真、車両損傷、ドライブレコーダー、目撃者供述、信号サイクル、速度推定などが収集されます。
  • 2. 2. 起訴と罪名確認:対象罪名か、地方裁判所に係属しているか、弁論終結までの時間を確認します。
  • 3. 3. 申立書の作成と提出:当事者、法定代理人、請求の趣旨、訴因として特定された事実、請求を特定する事実を記載します。
  • 4. 4. 被告人への送達:不適法として直ちに却下される場合を除き、申立書が被告人へ送達されます。
  • 5. 5. 有罪判決後の審理開始:有罪の言渡しがあり、対象罪名に該当する場合、損害賠償命令事件の審理が始まります。
  • 6. 6. 決定または和解など:認容、一部認容、棄却、却下、和解、認諾、民事訴訟への移行など、終局の形は事案により異なります。
  • 7. 確定判決と同一の効力:強制執行を検討できる状態になります。
  • 8. 通常の民事訴訟へ移行:適法な異議があれば、原則として通常の民事訴訟手続に移ります。

POINT 5

  • 損害賠償命令制度で請求する損害項目と証拠資料
  • 刑事記録を利用できても、損害額の資料は被害者側で整理する必要があります。
  • 準備したい証拠資料
  • 損害賠償命令制度で請求する内容は、刑事事件で起訴されている犯罪事実を原因とする不法行為に基づく損害賠償です。
  • 交通事故では、民事交通事故賠償と同じように、傷害事故、死亡事故、物損の各項目が問題になります。

POINT 6

  • 損害賠償命令制度のメリットと限界を比較する
  • 対象事件が限られる
  • 交通事故の多くを占める過失運転致死傷事件では、通常、この制度は使えません。
  • 被告人以外への請求には向かない
  • 任意保険会社、車両所有者、勤務先会社、運行供用者、使用者などへの請求を一括で解決する制度ではありません。

POINT 7

  • 刑事和解・被害者参加・民事訴訟との違い
  • 名前が似た制度でも、目的、相手方、効果は大きく異なります。
  • 損害賠償命令制度は、刑事裁判に付随するため、迅速性や刑事記録の利用に利点があります。
  • その一方で、保険会社や会社を直接相手にできない、申立期限が短い、対象罪名が限られるという制約があります。

POINT 8

  • 交通事故の損害賠償命令制度を検討する実務チェック
  • 弁護士相談 前に、刑事事件、損害、保険・給付の資料を分けて整理しておくと判断が早くなります。
  • 早めに相談を検討する事情
  • 資料整理のチェックリスト
  • 事件の進行

まとめ

  • 刑事裁判の手続き内で 損害賠償を命じてもらえる制度とは
  • 刑事裁判の損害賠償命令制度の全体像:刑罰を重くする制度ではなく、刑事裁判に付随した民事賠償請求の簡易迅速な手続です。
  • 刑事裁判の損害賠償命令制度を交通事故で使える場合:最初に確認するのは、刑事事件の罪名、起訴状の訴因、事件が地方裁判所に係属しているかです。
  • 損害賠償命令制度の申立人・相手方・期限と費用:誰が、誰に対して、いつまでに申し立てるかを外すと制度を使えなくなるおそれがあります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

刑事裁判の損害賠償命令制度の全体像

刑罰を重くする制度ではなく、刑事裁判に付随した民事賠償請求の簡易迅速な手続です。

中心となる答えは損害賠償命令制度です

一定の重大犯罪について、被害者や相続人などが、刑事事件を担当する地方裁判所に対し、起訴された犯罪事実を原因とする不法行為上の損害賠償を被告人に命じるよう申し立てる制度です。

刑事裁判は、国家が被告人に刑罰を科すべきかを判断する手続です。一方、交通事故被害者が求める治療費、休業損害、逸失利益、慰謝料、将来介護費などは、民法上の不法行為に基づく損害賠償の問題です。損害賠償命令制度は、この二つを完全に一体化する制度ではありませんが、刑事裁判の記録を利用して、同じ裁判所で民事賠償の判断を受けやすくする仕組みです。

観点内容
制度名損害賠償命令制度
手続の性質刑事手続に付随した民事賠償請求の特例
判断する裁判所原則として刑事事件を担当した地方裁判所
対象一定の重大犯罪の被害者または一般承継人
申立時期起訴後、刑事事件の弁論終結まで
審理開始有罪の言渡し後
審理回数特別の事情がある場合を除き4回以内
決定後異議がなければ確定判決と同一の効力
異議がある場合通常の民事訴訟手続へ移行
重要交通事故なら常に使える制度ではありません。飲酒、薬物、高速度、赤信号無視、通行禁止道路の暴走などが問題になる重大事故で、危険運転致死傷罪などとして起訴された場合に検討対象になり得ます。
Point 01

刑罰の重さを決める制度ではない

制度の目的は、被害者側の民事賠償請求を刑事裁判の成果に結び付け、一定範囲で簡易迅速に判断してもらうことです。

Point 02

刑事記録を使える

実況見分、供述、鑑定、証人尋問、被告人質問、判決で認定された事実などが、民事賠償の前提事実の整理に役立ちます。

Point 03

回収は別に検討が必要

命令が出ても、被告人に資力がない場合は、保険、強制執行、分割払い、公的制度などを別に整理する必要があります。

Section 01

刑事裁判の損害賠償命令制度を交通事故で使える場合

最初に確認するのは、刑事事件の罪名、起訴状の訴因、事件が地方裁判所に係属しているかです。

損害賠償命令制度の根拠は、犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律です。同法第7章に、刑事訴訟手続に伴う犯罪被害者等の損害賠償請求に係る裁判手続の特例が置かれています。

交通事故で問題になりやすいのは、危険運転致死傷など、故意の犯罪行為により人を死傷させた罪に該当し得る重大事案です。一般的な過失運転致死傷罪として扱われる事故では、通常、損害賠償命令制度の対象にはなりません。

利用を検討しやすい交通事故

危険性

飲酒や薬物の影響

正常な運転が困難な状態での走行が問題になる重大事故では、対象罪名で起訴されるかが焦点になります。

速度

制御困難な高速度

速度、制動距離、衝突態様、道路状況などから危険運転が争点になることがあります。

違反態様

無謀な信号無視や通行禁止道路の走行

事故態様が重大で、人の死亡または重大な後遺障害が生じた場合には、刑事事件の罪名確認が重要です。

利用できないことが多い交通事故

交通事故の多くを占める過失運転致死傷罪は、運転上必要な注意を怠ったことを問題にする過失犯です。損害賠償命令制度の中心的対象は、殺人、傷害、危険運転致死傷などの故意の犯罪行為により人を死傷させた罪等です。そのため、過失運転致死傷罪として起訴された事案では、通常、この制度の利用は難しいと整理されます。

注意被害者参加制度の対象になることと、損害賠償命令制度を使えることは同じではありません。過失運転致死傷事件では被害者参加が問題になる場合があっても、損害賠償命令制度の対象範囲とは別に確認が必要です。

交通事故で多い3つの誤解

誤解実際の整理
刑事裁判になれば自動的に賠償も決まる申立てが必要です。裁判所が当然に賠償命令を出すわけではありません。
過失運転致死傷罪でも当然に利用できる被害者参加制度とは対象範囲が異なり、通常は損害賠償命令制度の対象になりません。
命令が出れば全額回収できる支払義務を確定させる効果と、現実の回収可能性は別問題です。
Section 02

損害賠償命令制度の申立人・相手方・期限と費用

誰が、誰に対して、いつまでに申し立てるかを外すと制度を使えなくなるおそれがあります。

申立人

被害者または一般承継人

一般承継人の典型は相続人です。死亡事故では戸籍、相続関係、請求額の配分、遺族固有の損害の整理が重要になります。

相手方

刑事裁判の被告人

任意保険会社、自賠責保険会社、勤務先会社、車両所有者などは、制度上の直接の相手方ではありません。

期限

起訴後から弁論終結まで

判決言渡しを待ってから準備すると間に合わないことがあります。刑事裁判の進行と別に期限管理が必要です。

費用

申立手数料は2,000円

通常の民事訴訟の印紙代と比べると低額ですが、弁護士費用、診断書料、鑑定費用、戸籍取得費用などは別途問題になります。

死亡事故・重篤事故で特に整理すること

場面確認したい事項
相続人が複数いる死亡事故誰が申立人になるか、被害者本人の損害と遺族固有の精神的損害をどう分けるかを整理します。
未成年の被害者親権者、特別代理人、利益相反の有無など、法的代理関係が問題になることがあります。
高次脳機能障害や意識障害がある被害者成年後見人、保佐人、補助人などの必要性を検討する場面があります。
被告人の資力が不明任意保険、自賠責、勤務中事故の会社責任、政府保障事業など、別の回収先も並行して検討します。

期限管理の実務感覚

捜査段階

警察や検察から説明を受けた時点

送致、送検、事情聴取、被害者通知制度の説明を受けたら、罪名や起訴見通しの確認を始めます。

起訴前後

罪名と裁判所を確認する

危険運転致死傷などの対象罪名に該当し得るか、地方裁判所に係属するか、公判期日までの時間を確認します。

弁論終結前

申立書と損害資料を整える

請求額、診断書、後遺障害の見込み、収入資料、既払金、相続資料などを整理します。

申立期限は、交通事故賠償の時効とは別の問題です。民法上の損害賠償請求権の時効に余裕があっても、損害賠償命令制度の申立期限を過ぎれば、この制度は利用できなくなります。

Section 03

刑事裁判の中で損害賠償命令を求める手続の流れ

有罪の言渡し後に審理が始まり、原則4回以内の期日で判断されます。

損害賠償命令制度の行動の順番

1. 事故発生と捜査

実況見分、現場写真、車両損傷、ドライブレコーダー、目撃者供述、信号サイクル、速度推定などが収集されます。

2. 起訴と罪名確認

対象罪名か、地方裁判所に係属しているか、弁論終結までの時間を確認します。

3. 申立書の作成と提出

当事者、法定代理人、請求の趣旨、訴因として特定された事実、請求を特定する事実を記載します。

4. 被告人への送達

不適法として直ちに却下される場合を除き、申立書が被告人へ送達されます。

5. 有罪判決後の審理開始

有罪の言渡しがあり、対象罪名に該当する場合、損害賠償命令事件の審理が始まります。

6. 決定または和解など

認容、一部認容、棄却、却下、和解、認諾、民事訴訟への移行など、終局の形は事案により異なります。

異議なし
確定判決と同一の効力

強制執行を検討できる状態になります。

異議あり
通常の民事訴訟へ移行

適法な異議があれば、原則として通常の民事訴訟手続に移ります。

起訴後に確認したい事項

確認項目見る理由
起訴されたか損害賠償命令の申立ては、対象刑事事件が起訴された後に問題になります。
起訴罪名は何か危険運転致死傷など対象罪名に当たり得るかを確認します。
事件が地方裁判所に係属しているか制度上、刑事事件を担当している裁判所への申立てが前提になります。
公判期日はいつか弁論終結までに申立てを終える必要があります。
被告人の認否事実を認めているか争っているかで、審理の進み方や資料準備が変わります。
被害者参加制度の利用刑事裁判の情報把握や意見整理と併せて検討する場面があります。

申立書は、通常の民事訴状のように長大な主張を自由に書くものではありません。制度の趣旨が、刑事裁判の成果を利用した簡易迅速な手続にあるため、記載事項には一定の制限があります。

実務損害額、因果関係、過失相殺、既払金、保険金、休業損害、後遺障害、慰謝料額などについて、被告人側が争うことがあります。刑事記録だけでなく、損害額を示す資料の準備が重要です。
Section 04

損害賠償命令制度で請求する損害項目と証拠資料

刑事記録を利用できても、損害額の資料は被害者側で整理する必要があります。

損害賠償命令制度で請求する内容は、刑事事件で起訴されている犯罪事実を原因とする不法行為に基づく損害賠償です。交通事故では、民事交通事故賠償と同じように、傷害事故、死亡事故、物損の各項目が問題になります。

区分主な損害項目注意点
傷害事故治療費、入院雑費、通院交通費、付添看護費、将来治療費、休業損害、傷害慰謝料、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料、将来介護費、弁護士費用相当額、遅延損害金など骨折、脊椎損傷、関節可動域制限、末梢神経障害、CRPS、高次脳機能障害、PTSDなど、医学的立証が争点になり得ます。
死亡事故死亡逸失利益、死亡慰謝料、葬儀関係費、死亡前治療費、死亡前の休業損害、近親者固有の精神的損害、弁護士費用相当額、遅延損害金など相続関係、戸籍、法定相続分遺産分割相続放棄の有無、未成年相続人の代理関係が重要です。
物損車両修理費、評価損、代車費用、休車損害、積荷損害など物損部分が複雑な場合、保険会社との示談、民事訴訟、調停、ADRで整理する方が実務的な場合があります。

準備したい証拠資料

1

医療資料

診断書、診療報酬明細書、カルテ、X線、CT、MRI、画像診断報告書、手術記録、リハビリ記録、後遺障害診断書、神経心理学的検査結果、介護必要性に関する意見書などを整理します。

後遺障害将来介護
2

収入資料

会社員では源泉徴収票、給与明細、休業損害証明書、賞与明細、雇用契約書、休職証明などが必要です。自営業者では確定申告書、青色申告決算書、総勘定元帳、請求書、売上帳、経費資料などが問題になります。

休業損害逸失利益
3

事故態様資料

実況見分調書、交通事故証明書、ドライブレコーダー映像、防犯カメラ映像、信号サイクル資料、道路図、現場写真、車両損傷写真、EDR、ECU、タコグラフ、速度鑑定、目撃者供述などが重要です。

過失割合危険運転

治療継続中で症状固定前の場合、後遺障害逸失利益や将来介護費の算定が不確実になります。この場合、損害賠償命令で一部を先に請求するのか、治療終了や症状固定を待って民事訴訟で一括請求するのか、慎重な判断が必要です。

注意刑事裁判で危険運転が認定されるかどうかは民事賠償にも影響します。ただし、有罪認定があっても、民事の過失割合、損害額、因果関係、既往症、素因減額がすべて自動的に決まるわけではありません。
Section 05

損害賠償命令制度のメリットと限界を比較する

対象事件に当たる場合は強力ですが、制度だけで生活再建まで完結するとは限りません。

メリット

Merit 01

刑事裁判の証拠を利用できる

通常の民事訴訟では被害者側が事故態様や加害行為を一から立証する負担がありますが、この制度では刑事裁判の記録を利用できます。

Merit 02

申立手数料が低額

申立手数料は2,000円です。高額な損害賠償請求で通常訴訟を起こす場合の印紙代と比べると低額です。

Merit 03

早期の債務名義取得を目指せる

異議が出されなければ、損害賠償命令は確定判決と同一の効力を持ち、強制執行を検討できます。

Merit 04

心理的・時間的負担を下げられることがある

刑事裁判とは別に長期の民事訴訟を起こす負担を、一定範囲で軽減できる場合があります。

限界

対象事件が限られる

交通事故の多くを占める過失運転致死傷事件では、通常、この制度は使えません。

被告人以外への請求には向かない

任意保険会社、車両所有者、勤務先会社、運行供用者、使用者などへの請求を一括で解決する制度ではありません。

複雑な損害額の算定には限界がある

重度後遺障害、将来介護費、事業所得の逸失利益、複数加害者、企業責任、素因減額などは通常訴訟向きのことがあります。

回収可能性は別問題

命令が出ても、被告人の資力、勤務状況、財産、保険対応、分割払い能力、破産可能性に左右されます。

生活再建のためには、損害賠償命令だけでなく、自賠責保険、任意保険、労災保険、健康保険、高額療養費、傷病手当金、障害年金、介護保険、障害福祉サービス、自治体支援、犯罪被害者等給付金の該当性などを総合的に検討する必要があります。

Section 06

刑事和解・被害者参加・民事訴訟との違い

名前が似た制度でも、目的、相手方、効果は大きく異なります。

制度目的主な特徴
損害賠償命令制度刑事裁判に付随して被告人へ損害賠償を命じてもらう合意がなくても裁判所の判断を求めます。対象事件、申立期限、相手方に制約があります。
刑事和解被告人と被害者等の合意を公判調書に記載してもらう合意が前提です。公判調書に民事上の裁判上の和解と同じ効力が与えられる場合があります。
被害者参加制度被害者や遺族が刑事裁判に参加する公判期日への出席、被告人質問、意見陳述などが問題になります。賠償を命じる制度ではありません。
通常の民事訴訟加害者、保険会社、運行供用者、使用者などへ損害賠償を請求する対象事件の制限は広く、過失運転致死傷、物損中心、会社責任が問題になる事故でも利用できます。

損害賠償命令制度は、刑事裁判に付随するため、迅速性や刑事記録の利用に利点があります。その一方で、保険会社や会社を直接相手にできない、申立期限が短い、対象罪名が限られるという制約があります。

整理被害者参加は刑事裁判に参加する制度、刑事和解は合意を公判調書に載せる制度、通常の民事訴訟は損害賠償請求を独立して行う制度です。損害賠償命令制度は、合意がない場合でも裁判所に賠償判断を求める制度です。
Section 07

交通事故の損害賠償命令制度を検討する実務チェック

弁護士相談前に、刑事事件、損害、保険・給付の資料を分けて整理しておくと判断が早くなります。

早めに相談を検討する事情

  • 死亡事故である
  • 重度後遺障害が見込まれる
  • 高次脳機能障害、脊髄損傷、重度骨折、遷延性意識障害がある
  • 危険運転致死傷罪で起訴される可能性がある
  • 被告人の飲酒、薬物、高速度、信号無視が問題になっている
  • 被告人や保険会社から示談の打診が来ている
  • 刑事裁判の期日が近い
  • 後遺障害等級認定がまだ出ていない
  • 加害者が無保険、任意保険未加入、資力不明である
  • 勤務先会社や車両所有者の責任も検討したい

資料整理のチェックリスト

刑事事件

事件の進行

  • 事故日、事故場所
  • 警察署名、検察庁名、担当者
  • 起訴、不起訴、送致の状況
  • 起訴罪名、裁判所名、事件番号
  • 公判期日、被害者参加の希望
損害

損害額の資料

  • 診断書、入通院先一覧
  • 治療費明細、交通費明細
  • 休業損害証明書、源泉徴収票、確定申告書
  • 後遺障害診断書、等級認定結果
  • 葬儀費用、介護費用、住宅改造の資料
保険・給付

既払金と支援制度

  • 交通事故証明書
  • 自賠責保険会社、任意保険会社
  • 治療費一括対応の有無
  • 既払金一覧
  • 労災、健康保険、傷病手当金、障害年金、介護保険、障害福祉の利用状況

医療・保険・鑑定・福祉の視点

視点実務上の注意点
医療後遺障害、就労能力、介護必要性、日常生活動作を示す記録が重要です。高次脳機能障害では神経心理学的検査、家族の生活記録、職場での変化も問題になります。
保険既に支払われた自賠責保険金、任意保険会社からの仮払金、治療費一括対応、労災給付は、損益相殺や既払金控除として管理する必要があります。
事故鑑定速度、制動距離、衝突角度、回避可能性、視認性、信号サイクル、ドライブレコーダー映像、EDR、車両損傷、タイヤ痕などが重要です。
福祉・心理支援労災、傷病手当金、障害年金、介護保険、障害福祉、自治体給付、就労支援、心理支援を組み合わせる必要があります。

制度利用を判断する順番

  1. 刑事事件として起訴されたかを確認する
  2. 起訴罪名が対象罪名かを確認する
  3. 地方裁判所に係属しているかを確認する
  4. 弁論終結までに申立てが間に合うかを確認する
  5. 損害額をどこまで立証できるかを整理する
  6. 後遺障害や将来介護費が未確定ではないかを確認する
  7. 被告人本人から回収できる可能性を検討する
  8. 保険会社、会社、車両所有者など別の責任主体を検討する
  9. 異議や民事訴訟移行を見込んでも有利かを考える
  10. 被害者本人、家族、遺族の心理的負担に照らして適切かを確認する
FAQ

損害賠償命令制度のよくある質問

個別事案の結論は、罪名、証拠、損害状況、保険契約、刑事裁判の進行で変わります。

Q1. 刑事裁判の手続き内で損害賠償を命じてもらえる制度とは、具体的に何ですか。

一般的には、損害賠償命令制度を指します。一定の重大犯罪について、被害者または一般承継人が、刑事事件を担当している地方裁判所に、被告人へ損害賠償を命じるよう申し立てる制度です。ただし、対象事件や申立期限によって利用可否は変わります。

Q2. 交通事故ならすべて利用できますか。

一般的には、交通事故でも危険運転致死傷など対象罪名で地方裁判所に起訴された場合に検討対象になるとされています。過失運転致死傷事件では、通常、損害賠償命令制度の対象ではありません。具体的には起訴罪名や訴因を確認する必要があります。

Q3. 申立てはいつまでに必要ですか。

一般的には、起訴後、刑事事件の弁論が終結するまでに申立てが必要とされています。判決言渡しを待ってからでは間に合わない可能性があります。刑事裁判の期日や進行状況は、検察官、裁判所、弁護士等へ確認する必要があります。

Q4. 被害者参加制度を利用しないと、損害賠償命令を申し立てられませんか。

一般的には、被害者参加制度と損害賠償命令制度は別制度とされています。併用されることはありますが、被害者参加をしていないことだけで当然に損害賠償命令を利用できない、という関係ではありません。ただし、情報把握や意見整理のために併せて検討されることがあります。

Q5. 無罪になった場合はどうなりますか。

一般的には、刑事事件で有罪の言渡しがない場合、損害賠償命令制度による審理は進まないとされています。民事上の賠償責任を追及する場合には、通常の民事訴訟など別の手続を検討することになります。

Q6. 損害賠償命令が出ればすぐ支払ってもらえますか。

一般的には、命令が確定すれば確定判決と同一の効力を持つとされています。しかし、実際に支払われるかどうかは、被告人の任意支払、保険対応、資力、強制執行可能性によって変わります。

Q7. 相手が任意保険に入っていない場合、損害賠償命令は有効ですか。

一般的には、法的な支払義務を確定させる意味はあります。ただし、無保険で資力が乏しい場合は回収困難が残る可能性があります。自賠責保険の被害者請求、政府保障事業、労災、各種公的給付も併せて確認する必要があります。

Q8. 後遺障害等級がまだ決まっていない場合でも申し立てるべきですか。

一般的には、治療中で損害が確定していない場合、損害賠償命令で扱う範囲を限定するか、民事訴訟への移行を見込むか、別途請求を検討するかが問題になります。後遺障害の程度や証拠状況で判断が変わるため、具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q9. 物損も対象になりますか。

一般的には、対象犯罪に係る訴因として特定された事実を原因とする不法行為上の損害であれば問題になり得ます。ただし、制度の主たる利用場面は人身被害を伴う重大犯罪です。車両修理費、評価損、休車損害などが複雑に争われる場合は、保険交渉、民事訴訟、ADRなどが適することもあります。

Q10. 弁護士なしで申し立てられますか。

一般的には、制度上は本人申立ても考えられます。ただし、交通事故の損害算定、後遺障害、保険、刑事手続の期限管理、相続、強制執行まで関係する場合があります。費用が不安な場合は、法テラス、犯罪被害者支援制度、弁護士費用特約の有無を確認する方法があります。

Conclusion

刑事裁判の手続き内で賠償命令を求める前に整理すること

制度の強みと制約を踏まえ、保険・民事訴訟・公的支援との組み合わせで考えることが重要です。

刑事裁判の手続き内で損害賠償を命じてもらえる制度とは、損害賠償命令制度です。交通事故被害者にとっては、特に危険運転致死傷など重大な刑事事件で、刑事裁判の成果を利用して損害回復を図る重要な選択肢になります。

ただし、利用できる事件は限定されています。過失運転致死傷事件では通常利用できず、被告人以外の保険会社や会社に対する請求もこの制度だけでは解決しません。申立期限は起訴後から弁論終結までであり、準備の遅れは制度利用に大きく影響します。

まとめ死亡事故や重度後遺障害事故、危険運転が疑われる事故では、刑事裁判の進行を待つだけでなく、制度利用の可否、証拠、損害額、保険、回収可能性を早めに整理することが重要です。
Reference

この記事の参考情報源

公的機関、法令、犯罪被害者支援に関する資料を中心に整理しています。

公的機関・法令

  • 法務省「公判段階での被害者支援」損害賠償命令制度
  • 裁判所「刑事手続における犯罪被害者のための制度」
  • 警視庁「交通事故にあわれた方へ」
  • 国土交通省「自賠責保険・共済ポータルサイト」
  • 国土交通省「政府保障事業」
  • e-Gov法令検索「犯罪被害者等の権利利益の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律」

支援制度・時効に関する資料

  • 法テラス「民事法律扶助制度」
  • 法テラス「犯罪被害者支援に関する交通犯罪の利用例」
  • 法務省「事件や事故によって発生する損害賠償請求権の時効期間に関する資料」