100対0事故で自分の保険会社が示談代行できない制度的理由を、賠償責任保険、弁護士法72条、保険実務、医療・証拠実務の順に整理します。
100対0事故で自分の保険会社が示談代行できない制度的理由を、賠償責任保険、弁護士法72条、保険実務、医療・証拠実務の順に整理します。
最初に、100対0事故で起きる違和感と、制度上の結論を整理します。
信号待ち中の追突、停車中の衝突、センターラインを越えてきた車両との衝突などでは、被害者側の過失割合がゼロと評価されることがあります。ところが、自分の保険会社に連絡すると「過失がない事故では相手方との示談交渉はできません」と説明されることがあります。
この説明は、保険料を支払っている被害者にとって直感に反します。しかし、理由は単に保険会社が消極的だからではありません。自分に相手方へ賠償金を支払う責任がないため、対人賠償保険・対物賠償保険の支払局面が生じず、さらに保険会社が被害者本人の代理人として損害賠償請求を行うと、弁護士法上の問題が生じ得るからです。
次の重要ポイントは、このページ全体の結論をまとめたものです。100対0事故で何が止まり、何が使えるのかを先に把握しておくと、交渉できないという説明を「支援がない」と誤解しにくくなります。
自分の保険会社は、相手方への損害賠償請求を代理して示談条件を詰めることは原則として難しくなります。一方で、契約確認、弁護士費用特約、人身傷害補償、車両保険、必要書類の案内などは、契約内容に応じて支援の対象になり得ます。
制度を理解するうえで大切なのは、関係者の立場を混同しないことです。次の一覧は、自分の保険会社、相手方保険会社、弁護士、自賠責保険がどの位置にいるのかを表します。役割の違いを読むことで、どこに何を求めるべきかを判断しやすくなります。
| 関係者 | 100対0事故での基本的な立場 | 主に扱うこと |
|---|---|---|
| 自分の保険会社 | 被害者の契約に基づく補償を確認する立場 | 事故受付、契約確認、弁護士費用特約、人身傷害、車両保険、必要書類の案内 |
| 相手方保険会社 | 相手方の賠償責任保険を処理する立場 | 治療費、休業損害、慰謝料、物損などの賠償提示と示談交渉 |
| 弁護士 | 被害者本人の代理人になれる専門職 | 損害額計算、過失割合、後遺障害、示談、ADR、訴訟対応 |
| 自賠責保険・共済 | 対人被害者救済の基礎制度 | 傷害、後遺障害、死亡の基礎的な対人補償と被害者請求 |
賠償責任保険の構造と、弁護士法72条の非弁行為規制を分けて理解します。
自動車保険の対人賠償保険と対物賠償保険は、自分または被保険者が事故で他人に損害を与え、法律上の損害賠償責任を負う場合に、その責任を保険金で填補する仕組みです。自分が追突して相手をけがさせた場面では、自分の保険会社に支払責任が生じ得るため、保険会社が被保険者の同意を得て折衝・示談交渉を行う実務があります。
反対に、被害者に過失がなく、相手方へ賠償金を支払う責任がない場合、自分の対人賠償保険・対物賠償保険は原則として支払局面に入りません。支払うべき賠償金がないため、その保険に付随する示談交渉サービスも動かないという構造です。
次の判断の流れは、自分の保険会社が示談代行に入れるかどうかを左右する制度上の分岐を表します。どの段階で「支払う立場」から「被害者の請求を代わりに行う立場」へ変わるのかを読み取ることが重要です。
相手方と被害者側の過失割合、損害項目、保険契約を確認します。
責任があれば対人・対物賠償保険の支払可能性が生じます。
自社の保険金支払責任の範囲で交渉に関与しやすくなります。
相手方への賠償請求を代行すると法律事務の代理に近づきます。
弁護士法72条は、弁護士または弁護士法人でない者が、報酬を得る目的で、一般の法律事件について、代理、和解その他の法律事務を取り扱うことを原則として禁止しています。交通事故の示談交渉は、相手方の法的責任、損害額、過失割合、和解条件を扱うため、法律事務の性質を持ちます。
保険会社が通常の加害者側対応を行えるのは、何でも代理できるからではありません。自社が保険金を支払う可能性のある賠償責任保険の処理だからです。100対0事故ではこの根拠が弱くなり、被害者本人の損害賠償請求を代理する形に近づくため、示談交渉代行が難しくなります。
次の比較表は、保険会社が「支払う側」として動く場合と、「取り立てる側」に見える場合の違いを表します。列の違いを見ることで、同じ保険会社の連絡でも法的性質が変わることを把握できます。
| 場面 | 保険会社の当事者性 | 交渉の性質 | 100対0事故での見方 |
|---|---|---|---|
| 自分側にも過失がある事故 | 対人・対物賠償保険の支払可能性がある | 自社の保険金支払責任を処理する折衝 | 示談代行サービスが機能し得る |
| 被害者の過失がゼロの事故 | 相手方へ支払う賠償責任がない | 被害者本人の損害賠償請求の代理に近い | 弁護士法上の問題が生じ得る |
| 相手方が被害者にも過失があると主張する事故 | 相手方請求の内容によって支払可能性が出ることがある | 防御的な対応が問題になる | 事故報告と契約確認が特に重要 |
代理交渉と契約上の支援を切り分けると、利用できる窓口が見えます。
100対0事故で混乱が大きくなるのは、「交渉できない」という説明が「何もしてくれない」という意味に聞こえやすいからです。実際には、相手方への損害賠償請求を代理することと、自分の契約に基づく保険金請求や手続を支援することは別です。
次の比較表は、自分の保険会社が原則として代行しにくい行為と、契約に応じて支援できる行為を並べています。左列は法律事務の代理に近いもの、右列は契約事務・保険金請求事務に近いものとして読み分けることが大切です。
| 原則として代行しにくいこと | 契約に応じて支援できること |
|---|---|
| 相手方保険会社へ被害者の代理人として損害賠償金を請求すること | 事故受付、契約内容の確認、必要書類の説明 |
| 慰謝料、休業損害、逸失利益などの金額交渉を被害者に代わって行うこと | 弁護士費用特約の有無、対象者、利用手続の案内 |
| 過失割合について被害者の代理人として相手方と争うこと | 人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険、車両保険などの請求案内 |
| 示談書や免責証書の文言を被害者の代理人として修正交渉すること | 事故証明書、診断書、修理見積書などの提出先の案内 |
| 法的主張書面を相手方へ送り、和解をまとめること | 相手方保険会社名・担当者名の確認補助、修理工場との契約上可能な調整 |
「この書類を用意してください」「契約には弁護士費用特約があります」「人身傷害を使う場合はこの流れです」といった説明は、契約事務や保険金請求事務の範囲に収まりやすいものです。一方、「慰謝料をこの金額に上げるよう交渉します」「過失割合ゼロを主張して相手と詰めます」となると、被害者本人の代理交渉に近づきます。
次の重要ポイント一覧は、被害者が保険会社との会話で確認したい境界を整理したものです。どの質問が契約確認で、どの依頼が代理交渉に近いのかを読み取ると、無用な行き違いを減らせます。
弁護士費用特約、人身傷害、車両保険、搭乗者傷害、無保険車傷害などの有無と対象者を確認します。
事故証明書、診断書、診療報酬明細書、修理見積書、休業損害証明書などの提出先を確認します。
相手方への請求交渉はできないとしても、契約上どの支援が受けられるかを一覧で確認します。
交渉代行とは別に、費用・治療・車両・被害者請求の選択肢を確認します。
自分の保険会社が相手方との示談交渉を代行できない場合でも、自分の保険が役に立たないわけではありません。契約内容によっては、弁護士費用特約、人身傷害補償保険、車両保険、搭乗者傷害保険、無保険車傷害保険などが生活防衛や資料整理に関わります。
次の一覧は、100対0事故で確認したい主な補償を並べています。どの補償が「交渉の代行」ではなく「費用・損害・手続の支え」になるのかを読み取ることが重要です。
示談交渉、法律相談、民事訴訟などに必要な弁護士費用を一定の限度額まで補償する特約です。100対0事故では、自分の保険会社が交渉できない場面の代替手段になり得ます。
費用支援事前連絡契約自動車に乗車中の契約者や家族が死傷した場合に、治療費、休業損害、精神的損害などを補償する保険です。過失割合に関係なく実損害を補償する特徴があります。
治療費求償調整相手方の支払いが遅い場合に、自分の車両保険で先に修理を進めることがあります。等級や保険料への影響、相手方への求償、代車期間などの確認が必要です。
物損等級確認相手が無保険、ひき逃げ、自転車、業務中車両、レンタカー、会社車両などの場合、契約上の特約が関係することがあります。家族の契約も含めた確認が重要です。
特約確認対象者確認自賠責保険・共済は、交通事故による対人被害者救済のため、すべての自動車等に加入が義務付けられている基礎制度です。物損には使えず、人身損害が対象です。相手方任意保険会社が対応している場合は任意保険会社が自賠責部分も含めて一括対応することが多い一方、相手方が任意保険未加入の場合や対応が不安定な場合は、被害者請求を検討することがあります。
次の比較表は、自賠責保険・共済の主な支払限度額と、100対0事故で確認したい意味を表します。数字は上限を示すもので、実際の支払額は損害内容と資料で変わるため、限度額だけで十分かどうかを読み取ることが大切です。
| 区分 | 支払限度額 | 確認したい意味 |
|---|---|---|
| 傷害による損害 | 被害者1人につき120万円 | 治療費、休業損害、慰謝料などの基礎部分。治療が長引くと不足することがあります。 |
| 後遺障害による損害 | 等級に応じて75万円から4,000万円 | 等級認定の有無で慰謝料、逸失利益、将来費用に大きく影響します。 |
| 死亡による損害 | 3,000万円 | 葬儀費、逸失利益、慰謝料などが問題になります。 |
人身傷害補償保険や車両保険を使った場合、自分の保険会社が支払った範囲で相手方へ求償することがあります。また、約款上の算定基準と裁判実務上の損害額が一致しないこともあります。使う順番や示談の仕方は、事案ごとの検討が必要です。
100対0に見える事故でも、後から事故態様や因果関係が争われることがあります。
100対0事故であっても、相手方が「急ブレーキだった」「被害者も動いていた」「接触は軽微だった」「けがは事故と関係ない」と主張することがあります。過失割合と損害額は別の問題であり、過失がゼロでも、損害の必要性・相当性・因果関係が争われることがあります。
次の時系列は、事故直後から数日以内に整えたい警察、医療、証拠の順番を表します。順番の意味は、後で争点になりやすい事故発生状況と症状の連続性を、早い段階で客観資料に残すことにあります。
負傷者救護、二次事故防止、警察への報告を行い、事故日時、場所、当事者、車両、事故類型を基礎資料に残します。
氏名、住所、連絡先、車両番号、保険会社名、担当者名、車両位置、損傷、信号、道路状況を記録します。
事故直後は軽症に見えても、頚部痛、腰痛、頭痛、めまい、しびれなどが数日後に出ることがあります。症状と事故との関係を医療記録に残します。
自分の保険会社へ事故報告し、弁護士費用特約や人身傷害、車両保険の有無を確認します。ドライブレコーダー映像や写真は上書き前に保存します。
次の一覧は、100対0事故で保存したい証拠資料を分野別に整理したものです。列ごとに、事故態様、損害額、医療上の因果関係、生活への影響を裏づける資料が異なることを読み取ると、抜け漏れを減らせます。
| 分野 | 保存したい資料 | 後で問題になる点 |
|---|---|---|
| 事故態様 | ドライブレコーダー、防犯カメラ、現場写真、車両位置、目撃者情報、刑事記録 | 過失割合、速度、衝突角度、回避可能性 |
| 車両損害 | 損傷写真、修理見積書、修理明細、アジャスター資料、レッカー費用、保管料 | 修理費の相当性、全損・分損、代車期間、評価損 |
| 医療 | 診断書、診療報酬明細書、診療録、画像データ、神経学的所見、後遺障害診断書 | 治療の必要性、事故との因果関係、症状固定、後遺障害等級 |
| 収入・生活 | 休業損害証明書、給与明細、確定申告書、通院交通費、介護・付添記録、日常生活支障メモ | 休業損害、逸失利益、将来介護費、生活支障の程度 |
過失割合がゼロでも、損害額の必要性と相当性は別途確認されます。
症状固定とは、治療を続けても大きな改善が見込めなくなった状態をいいます。示談は、原則として損害が確定してから行うべきです。治療中に示談してしまうと、その後の治療費、休業損害、後遺障害に関する請求が困難になることがあります。
次の注意要素一覧は、後遺障害の検討が必要になりやすい症状や状況を表します。どの症状が残っているかだけでなく、医師の診断書、画像、検査結果、日常生活状況がそろっているかを読み取ることが重要です。
首、腰、肩、膝などの痛みやしびれが続く場合、事故直後からの症状推移と神経学的所見が重要になります。
可動域制限、変形、短縮、関節障害が残る場合、画像所見や計測結果が損害額に影響します。
記憶障害、注意障害、易疲労性、感情コントロール困難がある場合、専門科の評価と生活状況資料が重要です。
めまい、耳鳴り、難聴、視力低下、複視、傷跡、歯牙欠損などは、後遺障害等級と損害項目に関係します。
交通事故で傷害を負った場合、治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害逸失利益、後遺障害慰謝料、介護料、器具購入費、住宅・自動車改造費、弁護士費用などが問題になり得ます。過失ゼロは過失相殺されないことを意味しますが、各損害の発生、必要性、事故との因果関係は別に確認されます。
次の比較表は、人身損害と物損で争われやすい項目を並べています。列ごとに必要資料と争点が異なるため、示談前にどの資料が不足しているかを読み取ることが重要です。
| 区分 | 主な損害項目 | 争われやすい点 |
|---|---|---|
| 人身損害 | 治療費、通院交通費、休業損害、入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益 | 治療期間、通院頻度、症状固定、後遺障害等級、収入資料 |
| 将来損害 | 将来介護費、装具費、住宅改造費、自動車改造費 | 医学的必要性、介護の程度、将来期間、資料の具体性 |
| 物損 | 修理費、代車料、レッカー費用、保管料、評価損、休車損害、積載物損害 | 時価額、全損・分損、代車の必要性、修理方法の相当性 |
物損では、修理費が車両時価額を超えるか、全損か分損か、代車の必要性と期間、評価損が認められるか、社外品や改造部品、営業損害が問題になります。損傷写真、見積書、作業内容、部品交換理由、フレーム損傷の有無、修復歴への影響を残しておくことが重要です。
相手方保険会社は被害者の代理人ではないため、事実と資料を中心に進めます。
相手方保険会社の担当者が丁寧であっても、その保険会社は相手方の賠償責任保険を処理する立場です。被害者の代理人ではありません。適正な支払を行う責任はありますが、損害額を最大化するために被害者を代理してくれる存在ではない点を理解する必要があります。
次の注意要素一覧は、相手方保険会社との直接連絡で起きやすいリスクを表します。どの発言やタイミングが後の損害認定に影響しやすいかを読み取り、重要事項は書面やメモで残すことが大切です。
一括対応終了の連絡は、医学的に治療不要と最終判断するものではありません。治療継続の要否は医師と相談する必要があります。
治療中、後遺障害申請前、休業損害未確定、車両修理未完了の段階で示談すると、追加請求が難しくなることがあります。
「もう大丈夫です」「早く終わらせたい」「後遺症はないと思います」といった発言が、後の評価に影響することがあります。
治療費、休業損害、過失割合、物損評価、示談額提示は、後で認識違いが生じないよう書面やメールで確認することが望ましいです。
相手方保険会社との初期連絡では、感情的なやり取りを避け、担当者名、部署、電話番号、相手方契約者名、自賠責保険会社名、証明書番号、任意保険の一括対応の有無、治療費の支払い方法、休業損害の提出書類、物損担当者、代車対応の可否を確認します。
次の比較表は、相手方保険会社への確認事項を、治療・休業・物損・書面化に分けたものです。どの項目も後の示談条件に関係するため、担当者名と説明内容を一緒に残すことを読み取ってください。
| 確認分野 | 主な確認事項 | 記録しておきたいこと |
|---|---|---|
| 治療 | 一括対応の有無、支払い方法、健康保険への切替、人身傷害の利用可能性 | 連絡日、担当者名、説明内容、医師への相談結果 |
| 休業損害 | 提出書類、給与資料、確定申告書、家事従事者や会社役員の場合の扱い | 必要資料、提出期限、計算根拠 |
| 物損 | 修理見積り、代車、レッカー、保管料、全損評価、評価損 | 見積書、写真、代車期間、修理工場の説明 |
| 示談前 | 提示額の内訳、清算条項、既払金控除、後遺障害申請の要否 | 示談案、計算書、未確定項目の有無 |
事故直後、数日以内、治療中、症状固定後の順に、やることを整理します。
100対0事故で最も避けたいのは、自分の保険会社が交渉できないと言われた時点で制度全体を諦めてしまうことです。交渉できない理由を理解したうえで、契約上使える補償、相手方への確認、医療資料、専門機関を順番に確認します。
次の判断の流れは、事故直後から示談前までの全体手順を表します。上から順に、安全・届出、保険契約、治療と証拠、損害項目、専門家相談へ進む構造を読み取ってください。
安全確保、負傷者救護、警察連絡、相手方情報、現場写真、医療機関受診を優先します。
自分の保険会社へ事故報告し、弁護士費用特約、人身傷害、車両保険、搭乗者傷害の有無を確認します。
症状、通院日、交通費、休業日、生活支障を記録し、治療費終了連絡があれば医師や専門家へ相談します。
後遺障害の可能性、被害者請求または事前認定、損害項目、相手方提示額、清算条項を確認します。
未確定項目がないか確認し、必要に応じて弁護士、ADR、相談機関を利用します。
次の一覧は、自分の保険会社へ連絡するときに確認したい質問をまとめたものです。交渉代行を求めるだけで終わらせず、補償ごとに対象者、限度額、手続、必要書類を確認することが重要です。
| 分野 | 確認したい質問 |
|---|---|
| 弁護士費用特約 | 今回の事故で特約はありますか。対象者は契約者本人だけですか、家族や同乗者も含まれますか。利用前に承認が必要ですか。 |
| 費用限度 | 相談料、着手金、報酬金、実費の限度額はいくらですか。弁護士を自分で選べますか。 |
| 人身傷害 | 人身傷害補償保険は使えますか。使う場合、相手方賠償との調整や求償はどうなりますか。 |
| 車両保険 | 車両保険を使うと等級や保険料に影響しますか。修理工場や代車との調整は可能ですか。 |
| その他特約 | 搭乗者傷害、無保険車傷害、家族の保険、火災保険等の弁護士費用特約は関係しますか。 |
| 支援範囲 | 示談交渉はできないとしても、契約上受けられる支援を一覧で教えてください。 |
次のチェックリストは、保険、警察・証拠、医療、損害資料、示談前の5分野を横断して、抜け漏れを防ぐためのものです。未確認項目がどの分野に偏っているかを読み取り、資料整理の優先順位を決めることが重要です。
| 分野 | 確認項目 |
|---|---|
| 保険関係 | 事故報告、弁護士費用特約、人身傷害、車両保険、搭乗者傷害、無保険車傷害、家族契約の確認 |
| 警察・証拠 | 警察届出、人身事故扱い、交通事故証明書、ドライブレコーダー、現場写真、目撃者情報 |
| 医療 | 医師の診察、症状の具体的説明、診断書、画像検査、通院日、生活支障、症状固定前の示談回避 |
| 損害資料 | 治療費領収書、通院交通費、休業損害証明書、給与資料、確定申告書、修理見積書、代車期間 |
| 示談前 | 損害項目の漏れ、後遺障害申請の要否、提示額の根拠、清算条項、弁護士相談の要否 |
弁護士、ADR、医療、保険、車両、生活再建の役割はそれぞれ異なります。
100対0事故でも、すべての事件で弁護士依頼が必要とは限りません。一方で、けががあり通院が続く、後遺障害の可能性がある、治療費終了連絡を受けた、休業損害で争いがある、自営業・会社役員・家事従事者・学生・高齢者など損害算定が複雑、相手方が無保険、過失ゼロを争われている、高額物損や評価損が問題、といった場面では早期相談の利益が大きくなります。
次の一覧は、交通事故で関わる専門職や機関の役割を整理したものです。相談先ごとに扱える範囲が違うため、法律判断、医学的診断、保険金請求、車両評価、生活再建を混同しないことを読み取ることが重要です。
被害者の代理人として示談交渉、損害額計算、後遺障害申請の方針整理、ADR、訴訟対応を行えます。交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センターも選択肢です。
診断、治療、医学的評価、機能評価を担います。後遺障害が問題になる場合、診断書、画像所見、検査結果が中核資料になります。
保険金支払、事故態様、因果関係、後遺障害等級、求償などに関わります。ただし被害者本人の代理交渉とは区別されます。
自動車整備士、アジャスター、事故鑑定人、映像解析者などが、損傷、速度、衝突角度、回避可能性、修理方法の相当性を分析します。
社会保険労務士、医療ソーシャルワーカー、社会福祉士、ケアマネジャー、産業医などが、労災、傷病手当金、障害年金、復職、介護に関わることがあります。
収入・資産要件などを満たす場合、法的トラブルの制度案内や費用援助が選択肢になります。利用条件は個別確認が必要です。
次の比較表は、弁護士費用特約がある場合とない場合に検討しやすい選択肢を表します。どちらの場合も、資料整理と相手方提示額の確認が出発点になることを読み取ってください。
| 状況 | 主な選択肢 | 確認したい点 |
|---|---|---|
| 弁護士費用特約がある | 弁護士への相談・依頼、相手方保険会社との交渉、後遺障害申請、ADR・訴訟対応 | 対象者、限度額、保険会社への事前連絡、弁護士の選任方法 |
| 弁護士費用特約がない | 初回相談、交通事故紛争処理センター、日弁連交通事故相談センター、法テラス、自賠責被害者請求 | 対象事件、利用条件、費用、資料の準備、時効や期限 |
| 相手方対応が難航 | ADR、弁護士相談、書面での根拠確認、治療・物損資料の追加整理 | 提示額の内訳、争点、未提出資料、清算条項の内容 |
FAQは一般的な制度説明として整理しています。個別の見通しは資料により変わります。
一般的には、自動車保険は補償ごとに役割が分かれており、対人賠償保険・対物賠償保険は自分が相手に賠償責任を負う場合に機能するとされています。ただし、事故態様、相手方請求、契約内容によって対応範囲が変わる可能性があります。具体的な対応は、保険証券や約款を確認し、必要に応じて弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、事務的な連絡、契約に関する照会、必要書類の確認は可能な場合があります。一方で、相手方へ損害賠償を請求したり、金額や過失割合を交渉したり、示談条件をまとめたりする行為は、被害者本人の代理交渉に当たる可能性があります。具体的な境界は、連絡内容や契約内容によって変わります。
一般的には、相手方が被害者にも過失があると主張し、被害者側へ損害賠償を求めている場合、自分の保険会社に対人・対物賠償保険の支払可能性が生じることがあります。ただし、どこまで対応するかは事故態様、相手方請求、約款、保険会社の判断によって変わる可能性があります。
一般的には、警察は事故直後の安全確保、実況見分、違反捜査、刑事手続に関わる事実確認を行いますが、民事上の過失割合を最終確定する機関ではありません。過失割合は、当事者間の合意、ADR、裁判所の判断などで決まります。警察資料は重要な資料ですが、最終決定書とは限りません。
一般的には、過失がゼロであることは、賠償額が過失相殺で減らされないことを意味します。ただし、賠償額は実際に発生した損害、事故との因果関係、治療の必要性、後遺障害の有無、収入資料、物損資料などで変わる可能性があります。過失ゼロと損害額の大きさは別の問題です。
一般的には、弁護士費用特約は交通事故の法律相談や示談交渉などの費用負担を軽くするための特約とされています。ただし、利用には保険会社への事前連絡、対象事故、対象者、費用基準、限度額などの条件があります。具体的な利用可否は契約内容を確認する必要があります。
保険会社が交渉しないのは役割の境界であり、支援策が消えるわけではありません。
被害者の過失がゼロだと自分の保険会社が交渉してくれない理由は、感情論ではなく制度論で説明できます。自動車保険の示談交渉サービスは、基本的に自分が相手方へ損害賠償責任を負う場合に、対人賠償保険・対物賠償保険の支払責任を処理するためのものです。
また、保険会社が被害者本人の代理人として相手方へ損害賠償請求を行うと、弁護士法72条の非弁行為禁止との関係で問題になります。示談交渉は法律事務であり、被害者の権利義務を確定させる重大な行為だからです。
次の重要ポイントは、100対0事故で最後に確認したい行動方針をまとめたものです。保険会社ができない範囲を争うだけでなく、使える補償と相談先を組み合わせることを読み取ってください。
自分の保険会社は100対0事故で相手方との示談交渉を代行できないことがあります。しかし、弁護士費用特約、人身傷害、車両保険、自賠責被害者請求、ADR、相談機関を組み合わせることで、損害回復を支える道は残ります。