2σ Guide

自社株評価を引き下げる
合法的な対策

非上場会社・同族会社の株式評価を、相続税・贈与税評価だけでなく、会社法、税務、会計、事業承継、金融機関対応まで含めて整理します。

16 主要対策
5〜10年 理想の準備期間
100% 特例措置の猶予割合
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自社株評価を引き下げる 合法的な対策

非上場会社・同族会社の株式評価を、相続税 ・贈与税評価だけでなく、会社法、税務、会計、事業承継、金融機関対応まで含めて整理します。

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自社株評価を引き下げる 合法的な対策
非上場会社・同族会社の株式評価を、相続税 ・贈与税評価だけでなく、会社法、税務、会計、事業承継、金融機関対応まで含めて整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 自社株評価を引き下げる 合法的な対策
  • 非上場会社・同族会社の株式評価を、相続税 ・贈与税評価だけでなく、会社法、税務、会計、事業承継、金融機関対応まで含めて整理します。

POINT 1

  • 自社株評価を引き下げる合法的な対策の全体像
  • 節税テクニックではなく、承継・資本政策・ガバナンスを一体で設計するテーマです。
  • 評価方式と株主区分
  • 事業実態に基づく管理
  • 会社法・税法・会計の整合

POINT 2

  • 自社株評価を引き下げる合法的な対策の前提となる定義
  • 評価目的が変われば、見るべき価額や手続も変わります。
  • 自社株とは何か
  • 自社株評価とは何か
  • 一般にはオーナー会社の株式、同族会社株式、非上場株式と近い文脈で用いられます。

POINT 3

  • 自社株評価を引き下げる合法的な対策は評価方式の理解から始まる
  • 1. 株主区分を判定:同族株主等か、経営支配力を持たない少数株主かを確認します。
  • 2. 会社規模を判定:総資産価額、従業員数、取引金額により大会社・中会社・小会社を確認します。
  • 3. 特定会社該当性を確認:株式等保有特定会社、土地保有特定会社などに該当しないかを確認します。
  • 4. 純資産中心で再検討:期待した比準効果が使えない可能性を前提に再試算します。
  • 5. 複数案を比較:利益、純資産、配当、株主構成への影響を横断して比較します。

POINT 4

  • 自社株評価を引き下げる合法的な対策と危険な租税回避の境界線
  • 実体のない役員退職
  • 退職したと称しながら代表者と同じ権限を維持すると、退職金の実態が疑われます。
  • 過大役員報酬・過大退職金
  • 会社規模、職務、功績、同業水準から逸脱する部分は損金算入が制限され得ます。

POINT 5

  • 自社株評価を引き下げる合法的な対策16選
  • 正しい評価、役員退職金、配当、自己株式取得、投資、株主構成、組織再編まで横断します。
  • 正しい評価の再点検
  • 役員退職金・役員報酬・給与
  • 配当・自己株式取得・投資

POINT 6

  • 自社株評価を引き下げる合法的な対策の進め方と役割分担
  • 1. 現状把握
  • 2. 課題抽出
  • 3. 対策案の設計
  • 4. 意思決定
  • 5. 実行・証跡保存
  • 6. 継続管理

POINT 7

  • 自社株評価を引き下げる合法的な対策のFAQ
  • 一般的な制度説明として整理します。個別事情により結論は変わります。
  • Q1. 最も安全な対策は何ですか。
  • Q2. 赤字を出せば自社株評価は下がりますか。
  • Q3. 役員退職金は有効ですか。

まとめ

  • 自社株評価を引き下げる 合法的な対策
  • 自社株評価を引き下げる合法的な対策の全体像:節税テクニックではなく、承継・資本政策・ガバナンスを一体で設計するテーマです。
  • 自社株評価を引き下げる合法的な対策の前提となる定義:評価目的が変われば、見るべき価額や手続も変わります。
  • 自社株評価を引き下げる合法的な対策は評価方式の理解から始まる:非上場株式は、株主の支配力と会社規模で評価方式が変わります。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

自社株評価を引き下げる合法的な対策の全体像

節税テクニックではなく、承継・資本政策・ガバナンスを一体で設計するテーマです。

中小企業、同族会社、非上場会社では、自社株の評価額が相続、贈与、事業承継、M&A、役員退職、株主間紛争、自己株式取得、遺産分割、金融機関との協議、持株会社化、従業員持株会設計など多くの場面で問題になります。創業者一族が株式の大半を保有し、会社が長年の内部留保を積み上げている場合、後継者が株式を承継する際の相続税・贈与税負担が重くなることがあります。

このテーマは、単に評価額を小さく見せる話ではありません。会社法上の手続、税法上の評価通達、法人税・所得税・相続税贈与税、会計処理、株主平等、取締役の善管注意義務、金融機関対応、少数株主保護、労務、内部統制、将来のM&A価格への影響まで含めて検討する必要があります。

対象は主として非上場会社・同族会社の株式です。上場会社の株価対策、公開買付け、インサイダー取引規制、適時開示、株価操縦規制は中心対象ではありません。非上場会社でも、会社法、税法、会計、ガバナンスを無視した評価引下げ策は、税務否認、株主代表訴訟、役員責任、相続人間紛争、金融機関との信頼低下につながり得ます。

次の重要ポイントは、自社株評価を引き下げる合法的な対策の核心を表しています。読者にとって重要なのは、評価額だけを見るのではなく、評価方式、手続、事業実態、税負担、危険な形式操作を同時に確認することです。各項目を、対策を選ぶ前の共通チェックとして読み取ってください。

CORE 01

評価方式と株主区分

同族株主か少数株主か、会社規模がどこに該当するかを正しく判定し、過大評価を防ぎます。

CORE 02

事業実態に基づく管理

利益、純資産、配当、会社規模は、事業目的と実態に沿って管理する必要があります。

CORE 03

会社法・税法・会計の整合

役員退職金、配当、自己株式取得、設備投資、組織再編は、手続と処理をそろえて実行します。

CORE 04

制度と資金の併用

評価額を下げる対策だけでなく、事業承継税制、贈与時期、持株構成、納税資金を併用します。

CORE 05

危険な形式操作の回避

相続直前の不自然な取引、仮装経理、実体のない退職、過大役員給与、不合理な不動産・借入スキームを避けます。

この強調表示は、結論として押さえるべき考え方を示しています。なぜ重要かというと、評価引下げだけを目的にすると会社価値や関係者の信頼を損ねる可能性があるためです。読み取るべき点は、合法的な対策とは会社価値を毀損することではなく、税務評価と資本政策を適法に整える長期プロジェクトだという点です。

自社株評価対策は長期プロジェクト

後継者が会社を引き継ぎ、雇用を守り、事業を継続し、株主・債権者・相続人・従業員との関係を安定させるために、評価診断、対策設計、証跡保存、継続管理を積み重ねます。

Section 01

自社株評価を引き下げる合法的な対策の前提となる定義

評価目的が変われば、見るべき価額や手続も変わります。

自社株とは何か

このページでいう自社株とは、会社の経営者、創業者、親族、資産管理会社、役員、従業員持株会などが保有する、その会社の株式を指します。一般にはオーナー会社の株式、同族会社株式、非上場株式と近い文脈で用いられます。

自社株評価とは何か

自社株評価とは、その株式の価額を評価することです。ただし、相続税・贈与税、M&A、株主間売買、自己株式取得、紛争・訴訟では、同じ会社の株式でも評価の考え方が異なります。

次の比較表は、自社株評価の目的ごとに、どの価額を見て、どの実務リスクに注意するかを整理しています。目的を取り違えると、税務評価をM&A価格と同一視したり、自己株式取得の手続を軽視したりするため重要です。左から評価目的、主な考え方、実務上の注意点を読み比べてください。

評価目的主な評価の考え方実務上の注意点
相続税・贈与税財産評価基本通達に基づく取引相場のない株式の評価このページの中心です。評価通達、明細書、株主区分が重要です。
M&ADCF法、類似会社比較法、時価純資産法など税務評価とは異なります。低すぎる売買価格は課税・株主責任リスクがあります。
株主間売買契約、定款、株主間合意、会社法、税務上の時価同族間では贈与認定、みなし配当、所得税課税に注意します。
自己株式取得会社法上の手続と分配可能額、税務上の資本取引・みなし配当評価引下げ策として検討できますが、手続違反は重大です。
紛争・訴訟裁判所、鑑定、会社法上の公正な価格など税務評価と同一とは限りません。

自社株評価を引き下げる合法的な対策とは、主に相続税・贈与税評価を中心にしつつ、会社法、会計、法人税、ガバナンス上も無理がない対策を意味します。個別の売買価格や紛争上の価格まで同じ枠組みで処理できるわけではありません。

Section 02

自社株評価を引き下げる合法的な対策は評価方式の理解から始まる

非上場株式は、株主の支配力と会社規模で評価方式が変わります。

取引相場のない株式は、株式を取得した株主が経営支配力を持つ同族株主等か、それ以外の株主かによって、原則的評価方式または特例的な配当還元方式で評価されます。原則的評価方式では、総資産価額、従業員数、取引金額により大会社・中会社・小会社に区分し、大会社は原則として類似業種比準方式、小会社は原則として純資産価額方式、中会社は両方式の併用で評価します。

次の比較表は、評価方式ごとに評価額へ影響しやすい要素と注意点を整理しています。読者にとって重要なのは、自社がどの方式で評価されるかによって有効な対策が変わる点です。各行を見て、利益、純資産、配当、株主区分のどれが主な検討対象になるかを読み取ってください。

主な評価方式評価を下げる方向に働き得る要素注意点
類似業種比準方式利益の適正化、配当政策、簿価純資産の圧縮、会社規模区分の見直し、低い類似業種株価の時期選択不合理な利益圧縮、過大報酬、仮装取引は認められません。
純資産価額方式役員退職金、適法な配当、自己株式取得、設備投資、福利厚生、債務の適正認識、不良資産処理資産購入が逆効果になる場合や、特定会社該当リスクがあります。
配当還元方式株主区分の適正化、少数株主の実態、配当政策支配権分散の実体が必要です。形式的な分散は危険です。
併用方式類似業種比準方式と純資産価額方式の両方に効く施策片方だけを見た対策では効果が限定的です。

類似業種比準方式

類似業種比準方式は、類似業種の株価を基礎に、評価会社の一株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額などを比準して評価する方法です。大会社では原則としてこの方式が用いられます。配当水準、利益水準、簿価純資産水準、類似業種の業種目別株価等、会社規模区分、評価時点が重要になります。

純資産価額方式

純資産価額方式は、会社の総資産と負債を原則として相続税評価に洗い替え、評価した総資産価額から負債や評価差額に対する法人税額等相当額を控除して評価する方法です。現預金、有価証券、不動産、保険積立金、貸付金、借入金、未払金、退職給付債務、含み損益、不良債権、簿外債務の有無が評価に直結します。

配当還元方式

配当還元方式は、経営支配力を持たない同族株主以外の株主等が取得した株式について、会社規模にかかわらず用いられる特例的な評価方式です。少数株主の経済的実態を反映する制度であり、支配株主の評価を下げるために形式的に株式を細分化する制度ではありません。

特定の評価会社

比準要素数1の会社、株式等保有特定会社、土地保有特定会社、開業後3年未満の会社等、開業前・休業中の会社、清算中の会社などは、原則として純資産価額方式または清算分配見込額により評価する枠組みがあります。余剰資金で上場株式や不動産を購入した結果、株式等保有特定会社や土地保有特定会社に該当すると、期待した効果が失われることがあります。

次の判断の流れは、評価方式を誤らないための確認順序を表しています。なぜ重要かというと、方式を取り違えると、利益対策、配当対策、不動産対策の効果を反対に読んでしまうからです。上から順に、株主区分、会社規模、特定会社該当性、対策案のシミュレーションへ進むものとして読み取ってください。

評価方式を確認する判断の流れ

株主区分を判定

同族株主等か、経営支配力を持たない少数株主かを確認します。

会社規模を判定

総資産価額、従業員数、取引金額により大会社・中会社・小会社を確認します。

特定会社該当性を確認

株式等保有特定会社、土地保有特定会社などに該当しないかを確認します。

該当あり
純資産中心で再検討

期待した比準効果が使えない可能性を前提に再試算します。

該当なし
複数案を比較

利益、純資産、配当、株主構成への影響を横断して比較します。

Section 03

自社株評価を引き下げる合法的な対策と危険な租税回避の境界線

形式だけの対策は、通達に沿って見えても安全とは限りません。

合法的な評価引下げとは、法令、通達、会社法手続、会計基準、税務上の損金算入要件、取引実態に沿って行われる対策です。実体のない退職金、相続直前の不自然な不動産・借入取引、架空債務、架空外注費、架空役員報酬、議事録の後付け、実態と異なる株主名簿や契約書、時価から大きく乖離した移転、必要な機関決定や分配可能額規制を無視した取引は危険です。

最高裁は、財産評価基本通達の定める方法により評価した価額を上回る価額によることが租税法上の平等原則に違反しない場合があることを示しています。したがって、通達に形式上沿っているように見えても、著しく不自然な租税負担軽減スキームは安全とはいえません。

次の比較表は、合法性を判断する七つの観点と、残しておくべき典型的な証拠をまとめたものです。読者にとって重要なのは、対策の効果だけでなく、後から第三者に説明できる根拠をそろえることです。各行を、税務調査、株主説明、金融機関説明で確認されやすい項目として読み取ってください。

観点確認すべき事項典型的な証拠
事業目的取引に節税以外の合理的目的があるか事業計画、投資稟議、取締役会資料
経済合理性価格、時期、条件が第三者取引として説明できるか鑑定書、算定書、同業比較、契約書
会社法手続株主総会・取締役会・分配可能額・利益相反を満たすか議事録、計算書類、承認書類
税務処理損金算入、時価、みなし配当、贈与税、寄附金を検討したか税務メモ、申告書、届出書
会計処理収益・費用・資産・負債の計上根拠が妥当か仕訳、証憑、監査調書
時期相続・贈与直前の不自然な駆込みでないか長期計画、過去の経営会議資料
継続性取引後も事業・組織・人員の実態が継続しているか業務分掌、雇用契約、実績資料

次のリスク一覧は、避けるべき典型例をまとめています。なぜ重要かというと、これらは評価引下げ効果が否認されるだけでなく、重加算税、役員責任、内部統制違反、株主紛争にも広がり得るためです。どの項目も、形式と実態がずれていないかという観点で読み取ってください。

実体のない役員退職

退職したと称しながら代表者と同じ権限を維持すると、退職金の実態が疑われます。

過大役員報酬・過大退職金

会社規模、職務、功績、同業水準から逸脱する部分は損金算入が制限され得ます。

架空債務・架空費用

架空外注費、実在しない未払金、後日作成した契約書は重大な税務・刑事リスクにつながります。

相続直前の不自然な取引

多額借入と不動産購入だけで評価差を狙う設計は、総則6項の観点から慎重な検討が必要です。

名義株・形式的贈与

名義だけを移して実質的な権利者が変わらない場合、株主権や相続財産性が問題になります。

少数株主を軽視した自己株式取得

有利な条件で特定株主から取得すると、株主平等、利益供与、みなし配当、贈与が問題になり得ます。

Section 04

自社株評価を引き下げる合法的な対策16選

正しい評価、役員退職金、配当、自己株式取得、投資、株主構成、組織再編まで横断します。

次の一覧は、実務で検討される16の対策を、どの評価要素へ効き得るかという観点で整理したものです。読者にとって重要なのは、どの対策も単独で安全になるわけではなく、会社法手続、税務処理、会計処理、事業目的と一体で確認する必要がある点です。各項目を、効果が出る前提と注意点を同時に読む一覧として活用してください。

01

正しい評価を行う

評価明細書、会社規模、株主区分、資産・負債、類似業種、特定会社該当性を精査し、誤った高評価を修正します。

最初に実施
02

役員退職金を適正に支給する

実際の退任または分掌変更、適正額、株主総会・取締役会手続、源泉徴収、法人税申告を整えます。

純資産実態重視
03

役員報酬・給与・賞与を適正化する

職務内容、責任、業績、同業水準を整理し、定期同額給与や事前確定届出給与などの税務制約を確認します。

利益水準
04

配当政策を見直す

純資産を減らす効果がある一方、類似業種比準方式や配当還元方式では評価を上げる方向に働く場合があります。

配当方式別試算
05

自己株式取得を活用する

株主整理、支配権安定、納税資金確保の目的を明確にし、分配可能額、株主平等、みなし配当、時価算定を確認します。

資本政策
06

事業投資を行う

設備投資、研究開発、IT投資、人材採用、広告宣伝、教育研修は、事業目的が明確なら合法性が高い選択肢です。

事業目的
07

不要資産・不良資産を整理する

回収不能債権、滞留在庫、陳腐化資産、遊休不動産を実態に合わせて評価・処理します。

実態修正
08

借入金・負債を適正に活用する

借入だけでは純資産は通常変わりません。資金使途、返済原資、金利条件、担保、保証、承認手続を明確にします。

資金使途
09

会社規模区分を長期的に見直す

実際の事業拡大、人員増加、取引金額増加により会社規模区分が変われば、評価方式に影響する可能性があります。

長期戦略
10

株主構成・議決権構成を整える

後継者、非後継者、配偶者、兄弟姉妹、資産管理会社、従業員持株会、役員持株の構成を整理します。

支配権
11

持株会社化・組織再編を検討する

事業リスクの分離、グループ経営、M&A準備などの目的を確認し、税制適格要件、許認可、金融機関同意も確認します。

再編専門家必須
12

不動産活用を慎重に行う

事業用不動産や収益物件は評価に影響し得ますが、土地保有特定会社、総則6項、借入、空室、修繕リスクを伴います。

不動産
13

生命保険・退職金準備を過信しない

法人保険は保障、退職金準備、納税資金計画の一部として位置づけ、単純な節税商品として扱わないことが重要です。

資金計画
14

贈与・譲渡の時期を設計する

評価額が低い時期、退職金支給後、設備投資後、業績低迷期、配当政策変更後などを検討します。

時期設計
15

事業承継税制を検討する

評価額を直接下げる制度ではありませんが、非上場株式の相続税・贈与税負担への対応策として重要です。

納税猶予
16

納税資金を設計する

評価を下げても税負担が残る場合があります。役員退職金、生命保険金、配当、自己株式取得、借入、延納・物納、M&Aを検討します。

資金確保

正しい評価の再点検

最初に行うべきことは、節税スキームの実行ではなく現状評価の精査です。評価明細書の記載ミス、会社規模判定の誤り、株主区分の誤り、資産評価の誤り、負債控除漏れ、類似業種の選定誤り、不良債権の未反映により、実際より高い評価額が算定されていることがあります。評価会社の業種目、総資産価額、従業員数、取引金額、同族株主・中心的な同族株主・少数株主、配当還元方式の可否、土地・建物・有価証券・保険積立金・貸付金、回収不能債権、滞留在庫、退職給付債務、未払賞与、未払費用、借入金、保証債務、特定会社該当性、評価時点の類似業種株価等を確認します。

役員退職金・役員報酬・給与

創業者や先代経営者が実際に退任する場合、適正な役員退職金は純資産価額方式と類似業種比準方式の双方に影響し得ます。実際の退任または分掌変更、職務・権限・報酬の実質的変化、株主総会・取締役会・退職慰労金規程、金額の相当性、根拠資料、未払計上、支払時期、源泉徴収、法人税申告、後継者への株式移転時期を整えます。役員報酬や賞与は、会社の成長、貢献、採用競争力、退職金制度、福利厚生、人的資本経営の観点から合理的に支出することが前提です。

配当・自己株式取得・投資

配当は純資産を減らす一方、配当が評価要素になる方式では評価を上げる場合があります。分配可能額、機関決定、基準日、株主平等、種類株式、配当制限契約、株主側の所得税・住民税・法人税、受取配当等の益金不算入、グループ法人税制、同族会社の留保金課税まで確認します。自己株式取得は、資金流出により純資産に影響し、非後継者株主や少数株主からの株式整理にも使われますが、取得事由、株主総会決議、取締役会決定、通知、特定株主からの取得、分配可能額、みなし配当、時価乖離、売主追加請求権を検討します。

次の比較表は、事業投資の種類ごとに評価への影響と実務評価を整理しています。なぜ重要かというと、支出が費用になるのか資産になるのかで評価への影響が変わるためです。各行を、短期の評価効果と長期の事業合理性を分けて読み取ってください。

投資の種類評価への影響実務評価
収益力向上に資する設備投資短期的には現金減・償却費増、長期的には利益増事業目的が明確なら有力です。
研究開発・新規事業費用化されれば利益減、将来価値増証拠と計画が重要です。
広告宣伝・採用・研修費用化されやすい通常の事業活動として説明しやすい項目です。
不要な高額資産購入純資産は下がらない場合が多い税務・金融機関・株主から疑問視されます。
相続直前の不自然な不動産購入一時的に評価差が出ることがある総則6項・特定会社・資金繰りリスクが大きい項目です。

不要資産・負債・会社規模

不良債権、滞留在庫、陳腐化した機械、利用見込みのないソフトウェア、遊休不動産は、実態に合わせて評価・処理することで評価が下がることがあります。貸倒処理、棚卸資産評価損、固定資産除却損、減損処理は税務要件が厳格なので、債務者の破産・民事再生・支払停止・所在不明、回収努力、販売可能性、廃棄証明、除却・売却・使用停止の実態、会計と税務の差異を管理します。借入だけでは資産と負債が同額増えるため、純資産は通常変わりません。借入の目的、返済原資、金利条件、担保、保証、資金使途、取締役会承認を明確にします。

株主構成・組織再編・不動産・保険

株主区分は評価方式を左右します。後継者、非後継者、配偶者、兄弟姉妹、資産管理会社、従業員持株会、取引先持株、役員持株の構成を慎重に検討します。従業員持株会は、従業員の経営参加、福利厚生、長期的インセンティブ、株式分散防止、退職時買戻しルールの明確化に役立つ場合がありますが、評価引下げだけを目的に設けることは避けるべきです。種類株式、議決権制限株式、取得条項付株式、拒否権付株式、属人的定めは、支配権と経済的利益を分けるために用いられますが、会社法、税務評価、相続法、遺留分、株主間紛争、金融機関対応に影響します。

持株会社化、会社分割、株式交換、合併、事業譲渡、資産管理会社の活用は、事業リスク分離、経営管理効率化、不動産と事業の分離、後継者別の承継、資本政策整理などの目的が必要です。税制適格要件、繰越欠損金、含み損益、消費税、不動産取得税、登録免許税、許認可、金融機関同意、労働契約承継を総合検討します。不動産活用では、土地保有特定会社、借入金による資金繰り、空室・修繕・災害・金利上昇、不動産取得税、登録免許税、固定資産税、相続直前取引に対する総則6項、金融機関との財務制限条項への影響を確認します。法人保険は、保障、退職金準備、事業保障、借入金返済原資、納税資金、キーマンリスク対応として検討し、節税商品として過信しないことが重要です。

贈与・事業承継税制・納税資金

相続は発生時期を自由に選べませんが、贈与や譲渡は時期を設計できます。評価額が低い時期、役員退職金支給後、設備投資後、業績低迷期、配当政策変更後、類似業種株価が低い時期などを検討します。暦年贈与、相続時精算課税、事業承継税制、売買、遺言、民事信託を組み合わせる場合も、議決権、納税資金、遺留分、兄弟姉妹間の公平、経営権安定を考慮します。

法人版事業承継税制は、自社株評価を直接引き下げる制度ではありませんが、非上場株式の相続税・贈与税負担への対応策として重要です。特例承継計画の提出期限は令和9年9月30日まで、対象となる贈与・相続による株式取得は令和9年12月31日までとされています。特例措置では、対象株式数の上限撤廃、猶予割合100%、対象者拡充、雇用要件の見直しなどが示されています。ただし、代表者要件、後継者要件、株式継続保有、年次報告、継続届出、認定取消時の納税、利子税、M&A・廃業時の取扱いなど、長期管理が必要です。

Section 05

自社株評価を引き下げる合法的な対策の進め方と役割分担

専門家横断の役割、標準手順、ケース、チェックリストをまとめます。

自社株評価対策は、税務だけでも、会社法だけでも完結しにくい領域です。公認会計士は会計数値の実在性・網羅性、税理士は評価通達と税務申告、弁護士は株主区分、贈与契約、株主間合意、会社法手続、司法書士は株主名簿・登記・種類株式設計を確認します。最初の評価診断を専門家横断で行うことにより、違法な節税策を採らずとも評価が下がることがあります。

次の比較表は、専門家・担当者ごとの主な役割を示しています。なぜ重要かというと、自己株式取得、組織再編、役員退職、相続紛争、登記、労務、会計が重なると、単独の専門家だけでは見落としが生じやすいためです。各行を、誰に何を確認すべきかを整理する一覧として読み取ってください。

専門家・担当者主な役割
弁護士・企業内弁護士会社法手続、株主間契約、利益相反、遺留分、紛争予防、M&A、ガバナンス
外部弁護士複雑案件、株主紛争、組織再編、自己株式取得、第三者委員会的検証
税理士相続税・贈与税評価、法人税、所得税、事業承継税制、申告・届出
公認会計士財務数値、純資産、減損、不良資産、内部統制、M&A評価
司法書士商業登記、株式分割、種類株式、役員変更、定款変更、株主名簿整理
社会保険労務士役員退職、従業員給与、退職金制度、就業規則、労務リスク
不動産鑑定士不動産評価、事業用不動産、賃貸不動産、鑑定書
中小企業診断士・経営コンサルタント事業計画、後継者育成、投資計画、金融機関説明
法務担当・商事法務担当議事録、定款、株主総会、取締役会、社内承認手順
内部監査・コンプライアンス担当証跡管理、関連当事者取引、内部統制、利益相反管理
金融機関担当借入、担保、保証、資金繰り、財務制限条項

次の時系列は、合法的な対策を進める標準手順を表しています。なぜ重要かというと、対策案だけ先に決めると、株主区分、評価方式、証跡、利害関係者説明が後追いになり、否認や紛争リスクが高まるためです。上から順に、現状把握から継続管理までの作業順序として読み取ってください。

Phase 01

現状把握

株主名簿、定款、登記簿、議事録、直近3〜5期の決算書、申告書、勘定科目内訳書を確認し、現在の評価額、会社規模、評価方式、株主区分、特定会社該当性、相続人・後継者・非後継者の関係を整理します。

Phase 02

課題抽出

評価額が高い原因を、純資産、利益、配当、類似業種株価に分解し、会社法上の未整備事項、税務リスク、会計リスク、労務リスクを整理します。

Phase 03

対策案の設計

役員退職金、配当、自己株式取得、設備投資、組織再編、株主構成変更、事業承継税制を複数案で試算し、評価額、税額、キャッシュフロー、支配権、金融機関対応を比較します。

Phase 04

意思決定

取締役会、株主総会、家族会議、後継者会議で説明し、利害関係者ごとのメリット・デメリット、専門家意見書、税務メモ、評価算定書を整えます。

Phase 05

実行・証跡保存

契約書、議事録、規程、届出書、申告書を整備し、支払、登記、株主名簿変更、会計処理を行い、意思決定過程と事業目的を記録します。

Phase 06

継続管理

毎期の評価額、株主構成、会社規模、配当政策、退職金制度を見直し、事業承継税制を利用している場合は年次報告・継続届出を管理します。

次の比較一覧は、典型的なケースごとに検討策と注意点をまとめたものです。なぜ重要かというと、同じ自社株評価対策でも、創業者退任、現預金が多い小会社、不動産保有会社では重点が異なるためです。自社の状況に近い行を見て、効果が出る前提と注意点を読み取ってください。

CASE 01

創業者退任と役員退職金

製造業の非上場会社で創業者が代表取締役を退任し、長男が後継者となる場面では、実質的退任を前提に適正な退職金を支給し、退職慰労金規程、株主総会決議、取締役会議事録、退職後の職務・報酬・権限縮小を整えます。

CASE 02

現預金が多い小会社

サービス業の小会社で現預金が多く純資産価額方式の評価が高い場合、事業上必要な人材投資、システム投資、広告投資、遊休資産・不良債権整理、適法な配当または自己株式取得、事業承継税制や計画的贈与を検討します。

CASE 03

不動産を保有する同族会社

賃貸不動産を多数保有する会社では、土地保有特定会社該当性、不動産ごとの収益性、含み益、借入、修繕リスク、事業会社と不動産保有会社の分離、不動産鑑定、税務評価、会社法手続を確認します。

実務チェックリスト

評価診断では、最新の株主名簿、名義株、同族株主・中心的同族株主・少数株主判定、会社規模判定、類似業種の業種目、純資産価額方式の資産・負債、特定の評価会社該当性、評価明細書の記載を確認します。

役員退職金では、実質的退任または分掌変更、退職慰労金規程または算定根拠、株主総会・取締役会手続、金額の相当性、退任後の職務・権限・報酬、税務処理と源泉徴収を確認します。

自己株式取得では、取得目的、分配可能額、株主総会・取締役会手続、特定株主からの取得手続、取得価格の合理性、みなし配当・譲渡所得、株主間紛争リスクを確認します。

事業承継税制では、対象会社要件、後継者要件、先代経営者要件、特例承継計画の提出期限、認定支援機関の関与、年次報告・継続届出の管理体制、認定取消時の納税リスクを確認します。

制度動向への注意

取引相場のない株式の評価については、制度のあり方が今後も検討される可能性があります。国税庁は2026年4月20日に取引相場のない株式の評価に関する有識者会議資料を公表しており、類似業種比準価額と純資産価額のかい離、会社規模が大きいほど申告評価額が相対的に低くなる傾向、配当還元率10%の見直し未了などが資料上示されています。現行制度に基づく対策を否定するものではありませんが、実行時点の法令、通達、国税庁公表資料、税制改正、裁判例を確認することが重要です。

Section 06

自社株評価を引き下げる合法的な対策のFAQ

一般的な制度説明として整理します。個別事情により結論は変わります。

Q1. 最も安全な対策は何ですか。

一般的には、現状評価の誤りをなくすこと、事業実態に即した役員退職金・投資・不良資産整理を行うこと、事業承継税制を検討することが安全性の高い方向とされています。ただし、会社の財務内容、株主構成、承継時期、税務処理によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 赤字を出せば自社株評価は下がりますか。

一般的には、利益が評価要素になる場合、赤字や利益減少が評価を下げる方向に働くことがあります。ただし、わざと赤字を作るための不合理な支出、仮装取引、過大支出は危険です。事業上必要な投資や適正な人件費の結果なのか、証拠関係や会計処理によって判断が変わるため、具体的には専門家へ確認する必要があります。

Q3. 役員退職金は有効ですか。

一般的には、実際の退任、適正額、会社法手続、税務処理が整っていれば有効な対策になり得るとされています。ただし、実体のない退任や過大退職金は否認リスクがあります。役員の職務、権限、報酬、議事録、支給規程、同業水準などで結論が変わるため、資料を整理したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q4. 配当を出すと株価は下がりますか。

一般的には、配当により純資産が減少するため、純資産価額方式では評価を下げる方向に働くことがあります。ただし、配当が評価要素になる方式では評価を上げる方向に働く可能性があり、株主側の個人財産や課税も考慮が必要です。評価方式と株主の属性によって結論が変わるため、個別の試算が必要です。

Q5. 不動産を買えば評価は下がりますか。

一般的には、不動産の相続税評価と市場価格に差がある場合、評価に影響することがあります。ただし、土地保有特定会社該当性、総則6項、借入リスク、賃貸リスク、金融機関対応によって逆効果となる可能性があります。事業目的と長期合理性を示せるかを含め、具体的には専門家へ相談する必要があります。

Q6. 借入をすれば株価は下がりますか。

一般的には、借入だけでは資産と負債が同額増えるため、純資産は通常変わりません。借入金を退職金支給、設備更新、事業投資、不良資産処理、自己株式取得などに用いた場合、その資金使途と実態によって評価への影響が変わります。返済原資、担保、保証、承認手続を含めて検討する必要があります。

Q7. 株式を親族に少しずつ分ければ配当還元方式を使えますか。

一般的には、配当還元方式の可否は、株主区分、同族関係者、議決権割合、中心的な同族株主などを正確に判定して決まるとされています。形式的な株式分散は危険で、名義株や贈与税、株主権行使の問題が生じる可能性があります。具体的には株主名簿や議決権関係を確認したうえで専門家へ相談する必要があります。

Q8. 自己株式取得は有効ですか。

一般的には、株主整理、支配権安定、納税資金確保などの目的があり、会社法手続と税務処理を満たす場合、有効な選択肢になり得ます。ただし、分配可能額、株主平等、みなし配当、時価算定、売主追加請求権などで結論が変わる可能性があります。具体的な実行は専門家の確認が必要です。

Q9. 持株会社化は評価を下げますか。

一般的には、グループ経営上の合理性がある場合、持株会社化や組織再編が選択肢になることがあります。ただし、株式等保有特定会社や土地保有特定会社への該当、税制適格要件、許認可、金融機関同意を誤ると逆効果になる可能性があります。具体的には再編前後の試算と手続確認が必要です。

Q10. 事業承継税制を使えば評価引下げは不要ですか。

一般的には、事業承継税制は納税猶予・免除の制度であり、評価額を直接下げる制度ではありません。認定取消、将来の売却・廃業、年次報告、継続届出のリスクに備えるため、評価適正化と納税資金対策を併用することが考えられます。具体的には要件と長期管理体制を確認する必要があります。

Q11. 税理士だけに相談すれば十分ですか。

一般的には、税務評価は税理士が中心になります。ただし、自己株式取得、種類株式、株主間契約、組織再編、役員退職、相続紛争、登記、労務、会計が絡む場合、弁護士、公認会計士、司法書士、社会保険労務士等との連携が望ましいとされています。具体的な体制は案件の複雑さにより変わります。

Q12. いつから対策を始めるべきですか。

一般的には、承継予定の5〜10年前から検討することが望ましいとされています。役員退職、株主構成、事業承継税制、組織再編、納税資金は短期間で整えにくく、相続直前の対策ほど否認リスクや紛争リスクが高まる可能性があります。具体的には事業計画と家族・株主関係を踏まえて専門家へ相談する必要があります。

Reference

参考資料

公的機関・法令・裁判例を中心に確認した資料名です。

公的資料・法令

  • 国税庁「取引相場のない株式の評価」
  • 国税庁「類似業種比準価額計算上の業種目及び業種目別株価等について」
  • 国税庁「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議資料」
  • 国税庁「役員の退職金の損金算入時期」
  • 国税庁「役員に対する給与」
  • 国税庁「財産評価基本通達」
  • 中小企業庁「法人版事業承継税制(特例措置)」
  • e-Gov法令検索「会社法」
  • e-Gov法令検索「会社計算規則」

裁判例

  • 最高裁判所「相続税更正処分等取消請求事件」