2σ Guide

請負か派遣かの厚労省37号告示を
契約設計に落とす方法

業務委託、請負、準委任、SES、BPO、構内請負を、契約名ではなく実態で見直すために、37号告示の要件を条項、業務手順、証跡、内部統制へ展開します。

2大 37号告示の中心要件
3層 契約・手順・証跡
30日 導入ロードマップ
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請負か派遣かの厚労省37号告示を 契約設計に落とす方法

契約名ではなく、誰が人を動かし、誰が業務を処理しているかを設計対象にします。

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請負か派遣かの厚労省37号告示を 契約設計に落とす方法
契約名ではなく、誰が人を動かし、誰が業務を処理しているかを設計対象にします。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 請負か派遣かの厚労省37号告示を 契約設計に落とす方法
  • 契約名ではなく、誰が人を動かし、誰が業務を処理しているかを設計対象にします。

POINT 1

  • 請負か派遣かの厚労省37号告示を契約設計で捉える
  • 契約名ではなく、誰が人を動かし、誰が業務を処理しているかを設計対象にします。
  • 37号告示対応は「派遣ではない」と書くことではない
  • 契約条項
  • 業務手順

POINT 2

  • 37号告示の基本構造と請負・派遣の境界
  • 37号告示は、受託者の自己管理性と独立処理性を軸に実態を確認する基準です。
  • 37号告示の正式名称は「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」です。
  • 昭和61年労働省告示第37号として定められ、請負形式で行われる事業と労働者派遣事業との区分を明らかにする目的を持ちます。
  • 契約書の表題が「業務委託契約書」「請負契約書」「準委任契約書」であっても、それだけでは足りません。

POINT 3

  • 37号告示を契約条項・業務手順・証跡へ変換する
  • 告示の要件を、レビューで使える実務チェック項目へ置き換えます。
  • 契約レビューでは、各行について文言と現場運用が同じ方向を向いているかを読み取ることが重要です。

POINT 4

  • 請負か派遣かの厚労省37号告示を契約設計へ落とす7ステップ
  • 事業部門の本当に必要なものを切り分ける
  • 発注単位を人から業務へ変換する
  • 指示系統を受託者管理責任者経由に固定する
  • 変更依頼を合意と記録に乗せる
  • 作業場所、設備、システム利用を整理する
  • 安全衛生と法令遵守の例外を限定する
  • 検収と品質評価を個人評価にしない
  • 最初に契約類型を判定し、その後に発注単位、連絡経路、変更管理、設備、例外、検収を組み立てます。

POINT 5

  • 37号告示対応の契約条項を作る実務設計
  • 独立性、非指揮命令、管理責任者、変更管理、労働時間、設備、監査を一体で入れます。
  • 文案例で押さえる独立性条項
  • 文案例で押さえる直接指示禁止条項
  • 文案例で押さえる変更管理条項

POINT 6

  • 現場運用と証跡で請負・派遣の境界を崩さない
  • チャット、会議、チケット、入退館、検収、教育、監査まで同じ線引きで動かします。
  • 内部統制としての点検
  • 37号告示対応は、契約書だけでは失敗します。
  • 契約条項で定めた連絡経路を、現場が毎日使う道具に落とし込みます。

POINT 7

  • 業務類型別に厚労省37号告示を契約設計へ反映する
  • 製造、BPO、IT、研究開発、受付案内など、現場ごとに境界が崩れる場所を変えて見ます。
  • 製造工程委託
  • コールセンター・事務処理
  • 情報システム運用・保守

POINT 8

  • 違法派遣・労働契約申込みみなし制度のリスク管理
  • 直接雇用リスク
  • 無許可派遣リスク
  • 受託者が労働者派遣事業許可を持たないまま実態が派遣に近い場合、無許可派遣の問題が生じ得ます。

まとめ

  • 請負か派遣かの厚労省37号告示を 契約設計に落とす方法
  • 請負か派遣かの厚労省37号告示を契約設計で捉える:契約名ではなく、誰が人を動かし、誰が業務を処理しているかを設計対象にします。
  • 37号告示の基本構造と請負・派遣の境界:37号告示は、受託者の自己管理性と独立処理性を軸に実態を確認する基準です。
  • 37号告示を契約条項・業務手順・証跡へ変換する:告示の要件を、レビューで使える実務チェック項目へ置き換えます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

請負か派遣かの厚労省37号告示を契約設計で捉える

契約名ではなく、誰が人を動かし、誰が業務を処理しているかを設計対象にします。

請負か派遣かの厚労省37号告示を契約設計に落とす方法の核心は、契約書に「請負」や「準委任」と書くことではありません。厚生労働省の整理では、労働者派遣か請負かは契約形式ではなく実態に即して判断されるため、企業法務、労務、購買、事業部門が同じ運用を再現できる状態まで設計する必要があります。

このページでは、37号告示対応を、発注者の関与を「注文、仕様提示、成果確認、契約上の協議」に限定し、受託者が「業務遂行方法、労働時間、服務、配置、評価、教育、代替要員、再作業指示」を自ら行う構造として整理します。

次の重要ポイントは、37号告示対応で何を作り込むべきかを一つの結論として示しています。契約書の文言だけでは足りない理由を把握し、契約、業務手順、証跡の三つをそろえて説明できる状態を読み取ってください。

37号告示対応は「派遣ではない」と書くことではない

発注者が人を直接動かさず、受託者が業務を自ら動かす仕組みを、条項、業務手順、記録で後から説明できる状態にすることです。

次の一覧は、実務で同時に設計すべき三つの層を表しています。どれか一つでも欠けると、契約書と現場の実態がずれやすいため、各層が互いに支え合っているかを読み取ることが重要です。

Layer 01

契約条項

発注者ができることを仕様提示、成果確認、品質指摘、変更依頼に寄せ、直接指揮命令、労働時間管理、個人評価、配置決定をしないことを明文化します。

Layer 02

業務手順

日々の依頼、仕様変更、障害対応、クレーム、緊急安全対応を、受託者管理責任者を中心とする経路に整理します。

Layer 03

証跡管理

発注書、仕様書、議事録、変更依頼、受託者側の指示記録、検収記録、教育記録、是正記録を保存し、実態を説明できるようにします。

注意このページは一般的な企業法務・労務実務の情報提供です。業務実態、業界、就業場所、指示系統、労働時間管理、発注者と受託者の関係性により結論は変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士、社会保険労務士、所轄労働局等へ相談する必要があります。
Section 01

37号告示の基本構造と請負・派遣の境界

37号告示は、受託者の自己管理性と独立処理性を軸に実態を確認する基準です。

37号告示の正式名称は「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」です。昭和61年労働省告示第37号として定められ、請負形式で行われる事業と労働者派遣事業との区分を明らかにする目的を持ちます。

重要なのは、請負形式の契約で自己の雇用する労働者を業務に従事させる事業主であっても、告示所定の要件を満たす場合を除き、労働者派遣事業を行う事業主と扱われるという構造です。契約書の表題が「業務委託契約書」「請負契約書」「準委任契約書」であっても、それだけでは足りません。

次の比較表は、契約実務で混同されやすい用語を37号告示の観点で整理したものです。用語の定義だけで結論を決めるのではなく、発注者と受託者労働者の間に指揮命令関係が生じていないかを読み取ることが重要です。

用語実務上の意味37号告示との関係
労働者派遣派遣元が雇用する労働者を、派遣先の指揮命令を受けて派遣先のために労働させる仕組みです。発注者に相当する側が労働者へ直接指揮命令する前提なら、適法な派遣契約を検討する領域です。
請負民法上は仕事の完成を目的とする契約です。37号告示上は、注文主と請負業者の労働者との間に指揮命令関係が生じない設計が必要です。
準委任法律行為でない事務処理を委託する契約です。準委任であっても、発注者が受託者労働者に指揮命令すれば派遣該当性が問題になります。
偽装請負契約形式は請負や業務委託でも、実態として発注者が受託者労働者に具体的な指揮命令を行う状態です。契約形式ではなく実態で判断され、労働者派遣法上の問題につながり得ます。

次の比較表は、37号告示の二つの柱を契約設計の言葉に置き換えたものです。左側が告示上の要件、右側が契約書と現場運用で確認すべき状態であり、両方がそろっているかを読み取ることが重要です。

37号告示の柱求められる状態契約設計での読み替え
自己の雇用する労働者の労働力を自ら直接利用する受託者が、業務遂行方法、労働時間、服務規律、配置、評価を自ら管理します。発注者の依頼は受託者管理責任者へ集約し、作業順序、担当割当、残業、休暇、教育は受託者が決めます。
請け負った業務を自己の業務として独立して処理する受託者が資金、費用、責任、設備、専門性、管理体制をもって業務を処理します。発注単位を人員提供ではなく、成果、処理業務、品質基準、サービス水準、専門的業務処理に寄せます。
偽装目的の排除形式を整えても、真の目的が労働者派遣なら派遣事業と扱われ得ます。条項だけでなく、チャット、会議、変更管理、検収、監査記録まで契約と一致させます。
重要37号告示第3条の観点では、形式的に要件を整えても、実態が労働者派遣法の規制を免れるための偽装であれば危険です。条項を整えるほど、実態との乖離が証拠化する場合もあります。
Section 02

37号告示を契約条項・業務手順・証跡へ変換する

告示の要件を、レビューで使える実務チェック項目へ置き換えます。

37号告示を契約設計に落とす基本命題は、発注者の関与を「何を求めるか」に限定し、受託者の権限を「どのように、誰が、いつ、どの順序で行うか」に及ばせることです。発注者は要求、仕様、成果、品質基準、納期、検収、契約上の改善要求を設計し、受託者は作業方法、順序、担当者割当、勤怠、残業、休暇、服務、教育、評価、配置変更を管理します。

次の比較表は、37号告示の主要論点を、契約条項、業務手順、保存すべき記録、避けるべき運用へ変換したものです。契約レビューでは、各行について文言と現場運用が同じ方向を向いているかを読み取ることが重要です。

37号告示上の論点契約条項に落とす内容業務手順に落とす内容保存すべき証跡危険な運用例
業務遂行方法発注者は仕様、成果、検収条件を提示するにとどめ、個々の従事者への方法、順序、割当、緩急調整を指示しない。依頼は受託者責任者へ集約し、受託者責任者が社内で作業指示する。作業依頼票、受託者責任者から従事者への指示記録、議事録。発注者がチャットで個人に今日の担当作業を直接割り振る。
業務評価発注者は成果物や業務結果を評価し、従事者個人の人事評価をしない。品質指摘は受託者責任者へ行い、受託者が原因分析、教育、配置を判断する。検収記録、品質指摘票、是正報告。発注者が個人別評価表を作り、単価や継続可否に反映する。
労働時間始業終業、休憩、休暇、残業、休日労働は受託者が決定・管理する。発注者は施設管理やセキュリティ目的の在館把握にとどめ、勤務指示をしない。受託者の勤怠記録、入退館ログの利用目的記録。発注者が受託者従業員へ残業や休日対応を直接依頼する。
服務規律服装、服務、懲戒、教育、業務態度への指導は受託者が行う。安全、秘密保持、施設利用ルールは契約で客観条件として合意する。施設ルールは全入館者向けに提示し、個別指導は受託者責任者経由にする。入館ルール、受託者教育記録、施設利用合意。発注者が受託者従業員を直接叱責し、服務改善命令を出す。
配置決定従事者の選任、交代、増減、代替要員は受託者の裁量とし、発注者は必要スキルや資格を業務要件として定める。発注者は個人指名や個人拒否をせず、問題は業務水準未達として受託者へ通知する。要員計画、スキル要件、受託者の選任通知。発注者が面談で人を選び、特定者の交代を命じる。
費用負担業務遂行費用、教育費、労務費、一般管理費、保険等の負担主体を明確化する。発注者設備を使う場合は、利用範囲、費用、責任を契約又は別紙で整理する。費用負担表、機器貸与契約、利用台帳。発注者が人員分の労務費だけを支払う。
事業主責任受託者は労働法、社会保険、安全衛生、教育、損害賠償、再委託管理の責任を負う。発注者は委託先管理として確認するが、雇用主的管理に踏み込まない。誓約書、保険証券、教育記録、再委託承認記録。発注者が受託者従業員の労務管理を実質的に代行する。
単なる労働力提供の排除成果物、処理業務、専門性、設備、手法、管理ノウハウを明確化する。発注単位を人数ではなく、業務、成果、処理量、サービス水準に寄せる。SOW、サービス仕様、SLA、検収記録。「SE1名を月160時間常駐させる」だけの契約にする。
偽装目的の排除労働者派遣法回避目的ではないこと、実態運用を契約に従わせる是正条項を置く。定期点検、違反時の是正、必要な場合の契約類型変更を行う。点検チェックリスト、是正報告、研修記録。実態は派遣なのに請負文言だけで押し通す。
Section 03

請負か派遣かの厚労省37号告示を契約設計へ落とす7ステップ

最初に契約類型を判定し、その後に発注単位、連絡経路、変更管理、設備、例外、検収を組み立てます。

契約書を作る前に、事業部門が本当に必要としているものを切り分けます。発注者が毎日タスクを割り振り、作業順序や方法を直接変え、残業や休暇を調整し、候補者を選び、個人評価を行いたいのであれば、請負・準委任に無理に寄せるより、適法な派遣として処理する方が整合する場合があります。

次の時系列は、37号告示対応の契約設計を進める順番を表しています。前の判断が曖昧なまま後ろの条項だけを作っても実態が崩れやすいため、上から順に確認し、各段階で何を決めるべきかを読み取ることが重要です。

Step 01

事業部門の本当に必要なものを切り分ける

成果や専門的業務処理が必要なのか、発注者の指揮命令下で働く人員が必要なのかを確認します。

Step 02

発注単位を人から業務へ変換する

「エンジニア2名を月160時間常駐」ではなく、照合、分類、設計、実装、検査、報告などの業務単位に置き換えます。

Step 03

指示系統を受託者管理責任者経由に固定する

発注者からの依頼、注文、仕様変更、品質指摘、障害連絡は受託者管理責任者に集約します。

Step 04

変更依頼を合意と記録に乗せる

仕様、納期、数量、品質基準、優先度の変更は、影響、費用、体制を確認し、変更発注書や議事録で記録します。

Step 05

作業場所、設備、システム利用を整理する

発注者施設やアカウントを使う場合は、利用目的、権限、費用、保守、返還、事故時責任を定めます。

Step 06

安全衛生と法令遵守の例外を限定する

人身事故、災害、重大な情報セキュリティ事故など、必要最小限の直接連絡を許す場面を限定し、事後報告を記録します。

Step 07

検収と品質評価を個人評価にしない

発注者は成果物、SLA、エラー率、報告内容を評価し、個人別評価、教育、配置、再作業割当は受託者が行います。

実務の軸「人」ではなく「業務」を買い、「作業者」ではなく「受託者責任者」に依頼し、「命令」ではなく「注文、依頼、品質指摘」として記録します。どうしても直接指揮命令が必要な業務は、派遣契約を含めて再設計します。
Section 04

37号告示対応の契約条項を作る実務設計

独立性、非指揮命令、管理責任者、変更管理、労働時間、設備、監査を一体で入れます。

条項設計では、抽象的に「本契約は請負である」と宣言するだけでは不十分です。目的条項、業務範囲、管理責任者、直接指示禁止、コミュニケーション、労働時間、要員、報酬、施設設備、是正監査が、同じ線引きを繰り返す構造にします。

次の比較表は、契約書に入れるべき主要条項と、それぞれの設計目的を表しています。各条項の役割を分けることで、発注者の注文権限と受託者の労務管理権限を混同しない読み方ができます。

条項入れるべき内容避けるべき表現・運用
目的・独立性受託者が自己の責任と裁量により、要員を管理して業務を遂行することを明示します。「請負である」とだけ宣言し、現場運用を定めない。
業務範囲・仕様書対象業務、成果物、処理結果、業務量、品質基準、SLA、検収基準、除外業務、変更手続を特定します。「甲が随時指示する業務」「甲担当者の指示に従う」と書く。
管理責任者受託者管理責任者の選任、権限、代理者、発注者との連絡窓口を定めます。名前だけ置き、実際は発注者が日々の作業指示をする。
直接指示禁止方法、順序、割当、労働時間、休日、服務、教育、評価、配置に関する直接指示を禁止します。「必要な指示を行える」と広く書く。
会議・チャット情報共有、協議、仕様確認、品質確認は許容しつつ、作業割当や勤務時間指示を行わないことを明記します。チャットで個人名宛に作業順序や残業を直接求める。
労働時間・入退館労働時間は受託者が管理し、発注者のログ確認は施設管理、セキュリティ、請求確認等の目的に限定します。発注者が勤怠承認や休暇承認を行う。
要員・スキル必要な技能、資格、経験、教育、セキュリティ水準を客観要件として定め、配置は受託者が決めます。発注者が個人名、写真、詳細経歴をもとに面接選考する。
報酬・精算成果物、処理件数、サービス水準、業務範囲、専門業務、管理責任と報酬を結び付けます。人数と時間だけを契約目的にする。
施設・設備・材料発注者設備を使う場合は、利用条件、管理責任、費用負担、返還、損傷時責任、情報セキュリティを定めます。無償・無条件で発注者設備を使わせ、責任関係を曖昧にする。
是正・監査直接指示の疑いが生じた場合の通知、事実確認、再発防止、連絡経路見直し、契約類型再判定を定めます。締結後に点検せず、実態が崩れても放置する。

文案例で押さえる独立性条項

文案例本契約は、発注者が受託者に対し、別紙仕様書に定める業務の遂行又は成果物の作成を委託するものであり、発注者が受託者の業務従事者に対して指揮命令を行うことを目的とするものではない。受託者は、自己の責任と裁量により、本業務の遂行方法、作業順序、業務従事者の配置、労働時間管理、服務規律、教育訓練及び評価を決定し、本業務を発注者から独立して処理する。

文案例で押さえる直接指示禁止条項

文案例発注者は、受託者の業務従事者に対し、本業務の遂行方法、作業順序、優先順位、作業割当、労働時間、休憩、休日、時間外労働、服務規律、配置、交代その他労務管理に関する直接の指示又は命令を行わない。発注者が依頼、確認、変更、苦情、改善要求その他の連絡を行う場合は、受託者が指定する管理責任者を通じて行う。

文案例で押さえる変更管理条項

文案例発注者が本業務の内容、仕様、優先順位、納期、数量、サービス水準その他契約条件の変更を希望する場合、発注者は受託者の管理責任者に対して変更依頼を行う。受託者は、当該変更が遂行方法、体制、費用、納期、品質、労働時間管理に与える影響を検討し、必要に応じて見積書、変更仕様書又は変更注文書を提出する。

文案例で押さえる緊急時条項

文案例発注者は、災害、事故、生命・身体の危険、情報セキュリティ事故、施設管理上の緊急事態その他緊急の必要がある場合、危険回避、退避、設備停止、法令遵守又は安全衛生確保のために必要最小限の指示を行うことができる。この場合、発注者は速やかに受託者の管理責任者へ内容と理由を通知する。
Section 05

現場運用と証跡で請負・派遣の境界を崩さない

チャット、会議、チケット、入退館、検収、教育、監査まで同じ線引きで動かします。

37号告示対応は、契約書だけでは失敗します。実際に境界が崩れやすいのは、Slack、Teams、Backlog、Jira、メール、朝会、現場口頭連絡、入退館ログ、日報承認です。契約条項で定めた連絡経路を、現場が毎日使う道具に落とし込みます。

次の責任分担表は、発注者、受託者管理責任者、受託者労働者の役割を業務事項ごとに整理したものです。誰が決めるかが曖昧だと直接指揮命令に近づくため、各行で決定権限と保存記録を読み取ることが重要です。

業務事項発注者受託者管理責任者受託者労働者証跡
業務目的・成果・品質基準提示する協議する共有を受ける契約書、仕様書
作業順序・作業方法相談を受ける範囲にとどめる決定する受託者の指示に従う受託者作業計画
個々人へのタスク割付行わない決定する共有を受ける受託者指示ログ
優先順位変更受託者へ変更依頼する反映可否と対応を判断する共有を受ける変更依頼書、チケット
残業・休日対応納期や必要性を相談する労働時間管理として判断する共有を受ける受託者労務記録
不具合是正受託者へ通知する原因分析と再発防止を行う受託者の指示を受ける不具合票、是正報告
緊急退避・安全確保必要最小限の直接連絡があり得る速やかに関与する安全確保に対応する緊急対応ログ

次の文例比較は、日々の連絡で何が直接指示に近づくかを表しています。左側の表現は個人への命令に見えやすく、右側は受託者管理責任者に業務上の注文や相談を行う形に直している点を読み取ってください。

危険な投稿望ましい投稿
Aさん、今日中にこの作業を終わらせてください。本件は本日中の処理を希望します。受託者管理責任者にて対応可否と担当調整をご確認ください。
Bさんは明日9時に出社してください。明日9時の現地確認が必要です。受託者として対応可能な体制をご調整ください。
Cさんの作業が遅いので外してください。本業務のSLA未達が発生しています。原因分析と是正策をご提示ください。
この順番で処理してください。優先度としては案件Xを高く扱いたいです。受託者の作業計画への反映可否をご検討ください。
終わるまで残業でお願いします。納期影響が見込まれます。受託者側で対応可能な体制、納期、追加費用をご確認ください。

次の証跡一覧は、行政対応、労務紛争、内部通報M&Aデューデリジェンス、内部監査で説明に使う記録を示しています。契約書だけでなく、実際の連絡、変更、検収、教育、是正が残っているかを読み取ることが重要です。

証跡目的具体例
契約書・基本契約法的構造を示す独立性、指揮命令禁止、管理責任者、変更管理、責任条項。
個別契約・発注書業務単位の注文を示す業務範囲、成果、納期、サービス水準、費用。
仕様書・SOW人員提供ではなく業務委託であることを示す成果物、品質基準、前提条件、対象外業務。
変更依頼書仕様変更が受託者経由で行われたことを示す変更理由、影響、見積、合意日。
議事録会議が指揮命令でなく注文・協議だったことを示す参加者、議題、決定事項、受託者側アクション。
チケットログ直接指示の有無を確認する起票者、宛先、内容、担当決定者、履歴。
月次報告書受託者が自己管理していることを示す進捗、品質、課題、改善提案、体制報告。
教育記録受託者が自社労働者を教育していることを示す業務教育、安全衛生、情報セキュリティ。
緊急対応ログ例外的な直接連絡の必要性を示す日時、理由、内容、通知先、事後確認。

内部統制としての点検

入口統制では、発注前に、直接指揮命令の必要性、業務成果の特定可能性、受託者の管理責任者・教育体制・品質管理体制、発注者施設や設備の利用、個人選定、報酬体系、派遣への切替余地を確認します。

契約統制では、非指揮命令条項、管理責任者条項、変更管理条項、要員選任・個人特定禁止条項、労働時間管理条項、施設・設備利用条項、検収・品質指摘条項、是正・監査条項、契約類型再判定条項を標準化します。

運用統制では、発注部門、PM、現場リーダー、情報システム部門、購買、総務、セキュリティ、受託者側責任者に対し、言ってよいことと言ってはいけないこと、会議での発言、変更依頼、品質指摘、緊急時の例外を教育します。

Section 06

業務類型別に厚労省37号告示を契約設計へ反映する

製造、BPO、IT、研究開発、受付案内など、現場ごとに境界が崩れる場所を変えて見ます。

37号告示の基本線は共通ですが、どこで直接指揮命令に近づくかは業務類型で異なります。次の一覧は、業務ごとの典型的な注意点をまとめたものです。自社の委託案件で、どの場面に直接指示、個人評価、労働時間管理、設備依存が現れやすいかを読み取ることが重要です。

Manufacturing

製造工程委託

受託工程の範囲、投入物、成果物、検査基準、前後工程との連絡、発注量変動時の連絡期限、設備貸与条件を定めます。発注者のライン速度に受託者の労働者管理が従属しない設計が必要です。

BPO

コールセンター・事務処理

発注者はFAQ、商品情報、業務ルール、エスカレーション条件を提示し、受託者が教育、シフト、応対割付、品質管理、改善指導を行います。KPIは委託業務全体のSLAとして設計します。

IT

情報システム運用・保守

通常障害は受託者窓口へ連絡し、重大障害やセキュリティ事故では必要最小限の即時連絡を許容しつつ、復旧作業、担当割当、夜間対応、休日対応は受託者が管理します。

Agile

アジャイル型開発・SES

発注者はプロダクト価値、要求事項、バックログ、優先順位、受入基準を提示し、受託者が開発方法、技術選定、スプリント内の作業順序、担当割当、品質管理を自律的に決めます。

R&D

研究開発・共同開発

技術的議論やレビューは対等な協議として記録し、受託者研究員の勤務時間、実験順序、担当割当は受託者が決めます。共同設備利用や危険物管理も条項化します。

Facility

受付案内・施設管理

施設安全、機密保持、入退館ルールは客観条件として設定しつつ、日常的な接客指示、勤務態度指導、配置変更は受託者を通じて行います。

アジャイル型開発での線引き

アジャイル型開発では、発注者側のプロダクトオーナーや担当者と、受託者側開発者が密に連携します。情報共有、技術的助言、提案、レビューがあるだけで直ちに問題になるわけではありませんが、発注者が個々の開発者へ作業割当、勤務時間指示、残業指示、個人評価、個人指名を行うと危険です。

契約では、発注者側の役割をプロダクトビジョン、要求事項、優先順位、受入基準の提示に置き、受託者側の役割を開発方法、実装方法、技術選定、スプリント内の作業順序、担当割当、品質管理、要員管理に置きます。

禁止業務領域との関係

建設、警備、港湾など、労働者派遣に禁止業務がある領域では、「請負として独立処理できているか」と「実態が派遣になっていないか」を特に慎重に確認します。禁止業務に近い領域では、契約形式だけで安全とはいえず、業務範囲、指示系統、設備利用、安全衛生、証跡を個別に確認する必要があります。

Section 07

違法派遣・労働契約申込みみなし制度のリスク管理

契約分類の誤りは、行政対応、労務紛争、直接雇用リスク、内部統制へ波及します。

偽装請負は、単なる契約分類ミスにとどまりません。労働者派遣法上の規制、行政指導、事業停止、許可問題、発注者・受託者双方のレピュテーション、労務紛争、労働契約申込みみなし制度に波及し得ます。

次のリスク一覧は、37号告示対応が崩れた場合に企業法務が早期に確認すべき論点を表しています。どの記録が証拠になり得るか、どの部門に影響が及ぶかを読み取ることが重要です。

直接雇用リスク

違法派遣に該当する場合、一定の場面で派遣先が労働者に対して労働契約の申込みをしたものとみなされる制度が問題になり得ます。

無許可派遣リスク

受託者が労働者派遣事業許可を持たないまま実態が派遣に近い場合、無許可派遣の問題が生じ得ます。

証跡リスク

現場責任者のチャット、メール、日報承認、勤怠確認、個人別評価が、指揮命令の証拠として問題化し得ます。

乖離リスク

契約書に直接指示禁止と書いてあるのに実態が反対である場合、認識可能性や過失が争点になる可能性があります。

次の比較表は、よくある失敗例と是正方法を対応させたものです。問題の所在は契約書だけでなく、現場の連絡経路、個人選定、報酬、就業規則、管理責任者の機能にあることを読み取ってください。

失敗例問題是正方法
契約書は請負、現場は社員同様の指揮命令発注者PMが毎朝タスクを割り振り、進捗を個人別に管理し、残業も依頼している。受託者管理責任者を実効的に置き、発注者は優先度、期限、成果要件を伝え、作業割当は受託者が行う。
スキルシートで実質的に面接している個人名、年齢、詳細経歴、写真付き資料を提出させ、発注者が採否を決めている。必要スキル、資格、経験年数、チーム体制を仕様化し、配置は受託者が決める。
請負代金が人員単価だけで構成されている業務内容が薄く、月額単価と人数で精算され、成果物や処理責任が定められていない。業務範囲、成果物、処理件数、品質基準、SLA、報告義務を定める。
発注者の就業規則をそのまま適用している受託者従業員が発注者社員と同じ休暇申請、勤怠システム、服務規律に従っている。発注者は施設利用、安全衛生、情報セキュリティ等の客観ルールにとどめ、勤怠や服務指導は受託者が行う。
一人常駐で管理責任者も同じ人発注者から管理責任者への注文が、実態としてその作業者への指揮命令になりやすい。受託者社内の別管理責任者を置く、リモート管理者を明確化する、又は実態に応じて派遣契約への切替えを検討する。

微妙な論点の整理

日常会話そのものが直ちに問題になるわけではありません。ただし、雑談の形で作業順序、担当割当、残業、休日対応を個々の作業者へ直接求めれば、実質的な指示と見られる可能性があります。

技術説明や安全衛生上の緊急対応は一定の場合にあり得ますが、日常的な作業方法の命令や作業順序の指定に転化しないよう、目的、範囲、日時、資料、参加者を記録します。

発注者と受託者の作業スペースが物理的に混在していることだけで直ちに結論が決まるわけではありません。重要なのは、混在によって発注者が受託者労働者に業務遂行方法を直接指示せざるを得ない状態になっていないかです。

Section 08

30日導入ロードマップと契約レビューのチェックリスト

既存案件を棚卸しし、条項、運用、研修、監査を短期間で同じ方向にそろえます。

37号告示対応を全社的に導入する場合、既存の業務委託、請負、準委任、SES、BPO、構内請負を一覧化し、常駐、チャット参加、朝会参加、人月精算などの特徴を持つ案件から優先的に点検します。

次のロードマップは、30日で初期対応を進めるための実施事項と成果物を表しています。短期導入では、全案件を完璧に作り替えるより、リスクの高い案件を抽出し、条項、業務手順、教育、監査を順にそろえることを読み取ってください。

期間実施事項成果物
Day 1〜5業務委託、請負、準委任、SES、BPO、構内請負を一覧化し、常駐、チャット参加、朝会参加、人月精算案件を抽出する。委託案件台帳
Day 6〜10直接指示、残業依頼、配置関与、個人評価、受託者管理責任者の有無を確認する。リスク分類表
Day 11〜15独立性、直接指揮命令禁止、管理責任者、変更管理、緊急時対応の条項を修正する。契約修正案・SOW案
Day 16〜20連絡経路、チケット、会議、クレーム、変更依頼、緊急時ログの運用を定める。運用マニュアル
Day 21〜25発注者側PM、現場責任者、調達、法務、受託者管理責任者へ研修を行う。研修資料・参加記録
Day 26〜30チャット、チケット、議事録をサンプリングし、是正不能案件は派遣切替え等を検討する。監査メモ・是正計画

次のチェックリストは、契約書レビューと現場ヒアリングで確認する項目をまとめたものです。条項の有無だけでなく、現場で誰が何を決めているか、証跡が残るかを読み取ることが重要です。

区分確認項目NGの兆候
契約目的成果・業務処理内容が明確か。人員提供だけが目的になっている。
業務範囲対象業務、成果、品質基準、除外業務があるか。「甲の指示する業務全般」と書かれている。
指示系統受託者管理責任者経由になっているか。発注者が作業者へ直接指示している。
労働時間受託者が管理しているか。発注者が残業、休暇、休日対応を承認している。
評価成果・業務結果を評価しているか。個人別評価を発注者が実施している。
報酬成果、処理量、SLA、業務範囲と連動しているか。人数と時間だけで構成されている。
変更管理変更依頼、合意、記録があるか。口頭やチャットで個人へ直接変更している。
監査定期点検と是正条項があるか。締結後に点検せず放置している。

別紙構成の実務案

  • 業務仕様書では、対象業務、成果物又は業務処理結果、処理対象範囲、除外業務、品質基準、検収基準、発注者提供資料、受託者作成資料を定めます。
  • 連絡体制表では、発注者責任者、発注者窓口、受託者管理責任者、受託者代行責任者、緊急連絡先、変更依頼ルート、障害対応ルートを定めます。
  • 禁止される直接指示例では、作業割当、勤怠指示、残業指示、休暇承認、個人評価、個人指名、個人交代命令を明示します。
  • チャット・会議運用ルールでは、原則として受託者管理責任者を宛先に入れ、依頼は業務単位で行い、個人名で作業指示しないことを定めます。
  • 施設・設備・システム利用条件では、利用可能施設、時間帯、ID・アカウント管理、端末・設備貸与条件、セキュリティ要件、ログ取得目的、返還・削除・事故時対応を定めます。
  • 定期点検チェックリストでは、四半期又は半年ごとの点検項目、連絡サンプル確認、現場ヒアリング、受託者責任者機能確認、是正期限、再発防止策を定めます。
Section 09

請負か派遣かの37号告示対応でよくある質問

FAQは一般的な制度説明として整理し、個別案件の結論を断定しません。

Q1. 契約書に準委任と書けば派遣ではありませんか。

一般的には、準委任契約であっても、発注者が受託者労働者へ直接作業指示、割付、労働時間管理を行う場合には、契約形式を問わず派遣該当性が問題になるとされています。ただし、業務内容、指示系統、受託者の管理体制、証拠関係によって判断は変わる可能性があります。具体的な契約類型や対応方針は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 日常会話や会議参加は問題ですか。

一般的には、業務に関係のない日常会話や、受託者管理責任者の判断による会議同席だけで直ちに問題になるわけではないとされています。ただし、会話や会議の中で作業順序、担当割付、方針変更、残業、休日対応を個々の作業者へ直接指示する場合、結論が変わる可能性があります。具体的な会議運用は、実際の議事録や連絡内容を確認して専門家へ相談する必要があります。

Q3. 作業手順書やマニュアルを発注者が示せますか。

一般的には、仕様、品質、安全、法令、セキュリティの要件を示すことはあり得るとされています。ただし、作業内容、順序、方法を詳細に示し、そのとおりに受託者労働者を動かす文書になると、発注者による実質的な指揮命令と評価される可能性があります。個別の文書が許容範囲かどうかは、業務実態や運用状況により変わるため、専門家へ相談する必要があります。

Q4. 発注者が担当者を事前確認できますか。

一般的には、資格、入場、セキュリティ、利益相反など合理的な要件の確認はあり得るとされています。ただし、発注者が候補者を面接選考し、特定者を指名又は拒否する運用は、配置決定への関与として問題になる可能性があります。具体的には、提出資料の内容、面談の目的、採否への関与度を整理し、専門家へ相談する必要があります。

Q5. 人月・時間単価は必ず禁止ですか。

一般的には、人月や時間を見積根拠や算定要素として使うことが直ちに否定されるわけではないとされています。ただし、契約の実質が人数と時間の提供だけで、成果、サービス水準、受託者の管理責任、品質責任が弱い場合にはリスクが高まる可能性があります。具体的な料金設計は、業務内容、発注単位、検収方法、管理体制を踏まえて検討する必要があります。

Q6. 災害・事故・セキュリティ事故時に直接連絡できますか。

一般的には、生命身体の安全、退避、事故拡大防止、情報セキュリティ被害防止など、緊急かつ必要最小限の直接連絡はあり得るとされています。ただし、通常時の作業指示に転用すると結論が変わる可能性があります。具体的な運用では、事後に受託者管理責任者へ通知し、緊急対応ログを残す仕組みを専門家と確認する必要があります。

Reference

参考資料

公的資料と法令情報を中心に整理しています。

行政資料

  • 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集」
  • 厚生労働省「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号、最終改正 平成24年厚生労働省告示第518号)」
  • 厚生労働省・都道府県労働局「労働者派遣・請負を適正に行うためのガイド」
  • 厚生労働省「37号告示に関する疑義応答集」
  • 厚生労働省「37号告示に関する疑義応答集(第2集)」
  • 厚生労働省「37号告示に関する疑義応答集(第3集)」
  • 厚生労働省「システム開発を請負業務とする場合の疑義応答集の取扱いについて」
  • 厚生労働省「労働契約申込みみなし制度の概要」
  • 厚生労働省「派遣先が講ずべき措置に関する指針」

法令情報

  • e-Gov法令検索「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
  • e-Gov法令検索「民法」