2σ Guide

肖像権・
パブリシティ権

企業が人物の顔、姿、氏名、声、似姿を扱うときに、人格的利益、顧客吸引力、著作権、個人情報、広告表示、契約実務を横断して確認するための実務整理です。

3段階 撮影・公表・二次利用
3類型 顧客吸引力利用
10項目 公開チェック
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肖像権・ パブリシティ権

企業が人物の顔、姿、氏名、声、似姿を扱う前に押さえるべき判断軸を整理します。

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肖像権・ パブリシティ権
企業が人物の顔、姿、氏名、声、似姿を扱う前に押さえるべき判断軸を整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 肖像権・ パブリシティ権
  • 企業が人物の顔、姿、氏名、声、似姿を扱う前に押さえるべき判断軸を整理します。

POINT 1

  • 肖像権・パブリシティ権の全体像
  • 企業が人物の顔、姿、氏名、声、似姿を扱う前に押さえるべき判断軸を整理します。
  • パブリシティ権
  • 横断チェック
  • 写真の著作権を取得しても、写っている人の人格的利益や顧客吸引力の処理が完了するわけではありません。

POINT 2

  • 肖像権とは何か ― 撮影・公表・二次利用の三段階
  • 顔写真だけでなく、姿、服装、場所、周辺情報から本人が分かる場合も検討対象になります。
  • 肖像権とプライバシー権
  • 肖像権と個人情報
  • 肖像権は、自己の容ぼうや姿態をみだりに撮影されず、撮影された写真や動画をみだりに公表、利用されない人格的利益を指します。

POINT 3

  • パブリシティ権とは何か ― 顧客吸引力の利用を見分ける
  • 氏名、肖像、声、似姿などが商品やサービスの注意を引く場合、商業的価値の処理が必要です。
  • 芸能人やスポーツ選手だけでなく、インフルエンサー、専門家、経営者、地域で著名な人なども検討対象になります。
  • 対象ごとに商標、著作権、不正競争、契約の論点が重なるため、本人を想起させる情報がどこにあるかを読み取ることが重要です。
  • 侵害判断の軸が異なるため、一般人の無断掲載と著名人の広告利用を同じ発想で処理しないことが読み取れます。

POINT 4

  • 肖像権・パブリシティ権の主要判例を読む
  • 1. 京都府学連事件:憲法13条の趣旨に照らし、承諾なしにみだりに容ぼうや姿態を撮影されない自由が示されました。
  • 2. 法廷内写真撮影事件:無断撮影が違法になるかは、社会的地位、活動内容、場所、目的、態様、必要性などを総合考慮すると示されました。
  • 3. ピンク・レディー事件:氏名や肖像等の顧客吸引力を排他的に利用する権利が人格権に由来する権利の一内容を構成し得ると示されました。

POINT 5

  • 企業が直面する肖像権・パブリシティ権の典型場面
  • 広告・販促
  • 著名人、AIで似せた画像、インフルエンサー投稿、顧客の顔写真を広告に使う場面は高リスクです。
  • 企業サイト・採用サイト
  • 社員や役員の写真は、掲載期間、退職後の扱い、外部広告への転載、肩書表示を文書で確認します。

POINT 6

  • 肖像権・パブリシティ権と周辺法令の関係
  • 著作権処理だけでは足りず、個人情報、商標、不正競争、広告表示まで分けて確認します。
  • 人物写真には、写真を撮った側の著作権と、写っている本人の肖像権が別々に存在します。
  • 顔写真や動画は、個人が識別できる限り個人情報になり得ます。
  • 顔特徴量データはさらに慎重に扱います。

POINT 7

  • 生成AI・ディープフェイク・声の利用と肖像権・パブリシティ権
  • 本人写真を使わなくても、特定人物を想起させる広告利用は高リスクです。
  • 声も本人を識別させる情報になり得ます
  • 生成AIにより、実在人物に似た顔、声、動作、話し方、署名、映像を容易に生成できるようになりました。
  • 禁止、承認、契約確認、表示、記録の区分を読むことで、制作現場だけで判断させない体制の必要性が分かります。

POINT 8

  • 同意・契約・モデルリリースで肖像権リスクを下げる
  • 1. 素材と本人を特定:写真、動画、音声、氏名、コメント、似姿のどれを使うか確認します。
  • 2. 著作権と被写体同意を分けて確認:写真家や制作会社の権利と、写っている本人の許諾を別々に見ます。
  • 3. 広告・商品化・AI利用を判定:顧客吸引力の利用やセンシティブ文脈があれば、追加承認に進めます。
  • 4. 個別契約・法務確認:期間、媒体、地域、改変、対価、削除対応を明記します。
  • 5. 記録保存して公開:同意書、ライセンス、承認記録を保管します。

まとめ

  • 肖像権・ パブリシティ権
  • 肖像権・パブリシティ権の全体像:企業が人物の顔、姿、氏名、声、似姿を扱う前に押さえるべき判断軸を整理します。
  • 肖像権とは何か ― 撮影・公表・二次利用の三段階:顔写真だけでなく、姿、服装、場所、周辺情報から本人が分かる場合も検討対象になります。
  • パブリシティ権とは何か ― 顧客吸引力の利用を見分ける:氏名、肖像、声、似姿などが商品やサービスの注意を引く場合、商業的価値の処理が必要です。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

肖像権・パブリシティ権の全体像

企業が人物の顔、姿、氏名、声、似姿を扱う前に押さえるべき判断軸を整理します。

肖像権・パブリシティ権は、広告、SNS、採用サイト、商品パッケージ、イベントレポート、動画配信、生成AIコンテンツ、研修資料などで人物素材を扱う企業にとって、避けて通れない論点です。写真の著作権を取得しても、写っている人の人格的利益や顧客吸引力の処理が完了するわけではありません。

この概要一覧は、肖像権・パブリシティ権を検討するときの三つの軸を示しています。最初に全体像を押さえることで、広告利用、契約確認、個人情報対応を別々に確認する必要性を読み取れます。

人格的利益

肖像権

顔や姿をみだりに撮影、公表、利用されない利益です。場所、目的、態様、本人の不利益、媒体、文脈を総合して判断します。

商業的価値

パブリシティ権

氏名、肖像、声などが持つ顧客吸引力を排他的に利用する利益です。著名人だけでなく、一定の影響力を持つ個人でも問題になります。

実務確認

横断チェック

著作権、肖像利用許諾、個人情報保護、広告表示、商標、不正競争、契約上の利用範囲を分けて確認する必要があります。

注意日本法には包括的な肖像権法があるわけではなく、人格権、不法行為、差止め、契約、個人情報保護法、知的財産法、広告規制を組み合わせて検討します。

実際の案件では、素材、人物、媒体、契約、利用地域、業界規制、紛争状況により結論が変わります。個別の対応方針は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家に相談する必要があります。

Section 01

肖像権とは何か ― 撮影・公表・二次利用の三段階

顔写真だけでなく、姿、服装、場所、周辺情報から本人が分かる場合も検討対象になります。

肖像権は、自己の容ぼうや姿態をみだりに撮影されず、撮影された写真や動画をみだりに公表、利用されない人格的利益を指します。顔が明瞭でなくても、服装、体型、髪型、場所、氏名、アカウント名、職場、同伴者などと組み合わさって本人が分かる場合には、肖像やプライバシーの問題が生じます。

次の比較表は、人物素材の利用を撮影、公開、再利用に分けて整理したものです。段階ごとに確認事項が変わるため、撮影時に問題がなくても、広告転用やAI加工で別のリスクが出る点を読み取ることが重要です。

段階典型例主な確認事項
撮影・収録店舗内撮影、イベント撮影、街頭撮影、ウェビナー録画、防犯カメラ撮影目的、場所、撮影方法、告知、拒否機会、必要性を確認します。
公表・配信Webサイト掲載、SNS投稿、プレスリリース、広告動画、採用ページ公開範囲、文脈、本人の識別可能性、社会的評価への影響を確認します。
二次利用・加工別キャンペーンへの転用、切り抜き、字幕付け、AI加工、海外配信許諾範囲、改変、期間、媒体、地域、撤回や削除対応を確認します。

肖像権とプライバシー権

肖像権は、顔や姿という外面的な人格表象をめぐる利益です。プライバシー権は、私生活上の情報や私的領域をみだりに公開されない利益です。会社の表彰式の写真でも、本人の同意なく広告に使えば肖像権の問題になり得ます。病院、宗教施設、政治集会、学校、家庭内、医療、障害、性に関する文脈では、プライバシーの問題も強くなります。

肖像権と個人情報

顔写真や動画は、個人が識別できる限り個人情報に該当し得ます。顔認証の特徴量データは個人識別符号として扱われ得るため、通常の写真以上に慎重な管理が必要です。個人情報保護法を守っていても、人格的利益を社会通念上受忍しにくい程度に害すれば、民事上の問題は残ります。

Section 02

パブリシティ権とは何か ― 顧客吸引力の利用を見分ける

氏名、肖像、声、似姿などが商品やサービスの注意を引く場合、商業的価値の処理が必要です。

パブリシティ権は、氏名、肖像、声、芸名、筆名、署名、映像、似姿などが商品の販売やサービス利用を促進する顧客吸引力を持つ場合に、その顧客吸引力を排他的に利用する利益として説明されます。芸能人やスポーツ選手だけでなく、インフルエンサー、専門家、経営者、地域で著名な人なども検討対象になります。

次の表は、パブリシティ権で問題になりやすい表示対象を整理しています。対象ごとに商標、著作権、不正競争、契約の論点が重なるため、本人を想起させる情報がどこにあるかを読み取ることが重要です。

対象留意点
氏名本名、芸名、リングネーム、ペンネーム同姓同名、商標、著名性の範囲を確認します。
肖像写真、動画、似顔絵、アバター、AI生成画像本人を想起させるかが重要です。
ナレーション、歌声、AI音声、ものまね音声生成AIとの関係で重要性が高まっています。
署名・筆跡サイン入り商品風の表示偽造、誤認、表示規制にも注意します。
特徴的な外観衣装、ポーズ、髪型、決め台詞著作権、商標、不正競争、契約も確認します。

次の比較表は、肖像権とパブリシティ権の違いを示しています。侵害判断の軸が異なるため、一般人の無断掲載と著名人の広告利用を同じ発想で処理しないことが読み取れます。

項目肖像権パブリシティ権
保護の中心人格的、精神的利益です。氏名や肖像等の顧客吸引力、商業的価値です。
主な対象一般人を含むすべての個人です。主に顧客吸引力を持つ人物です。
問題場面無断撮影、無断掲載、侮辱的文脈、プライバシー侵害です。広告、商品化、販促、ブランド利用、推薦表示です。
判断軸受忍限度、相当性、場所、目的、態様などの総合考慮です。専ら顧客吸引力の利用を目的とするかが中心です。
損害慰謝料、削除、差止めなどが問題になります。使用料相当額、逸失利益、損害賠償、差止めなどが問題になります。
Section 03

肖像権・パブリシティ権の主要判例を読む

最高裁判例は、人格的利益、受忍限度、顧客吸引力の判断軸を示しています。

判例は、企業が人物素材を使う場面を直接すべて説明しているわけではありません。ただし、無断撮影、掲載文脈、著名人の顧客吸引力を判断するための基礎になります。

次の時系列は、肖像権・パブリシティ権を考えるうえで重要な三つの判例を並べたものです。古い順に読むことで、みだりに撮影されない自由、受忍限度、顧客吸引力の利用という判断軸の広がりを読み取れます。

昭和44年

京都府学連事件

憲法13条の趣旨に照らし、承諾なしにみだりに容ぼうや姿態を撮影されない自由が示されました。

平成17年

法廷内写真撮影事件

無断撮影が違法になるかは、社会的地位、活動内容、場所、目的、態様、必要性などを総合考慮すると示されました。

平成24年

ピンク・レディー事件

氏名や肖像等の顧客吸引力を排他的に利用する権利が人格権に由来する権利の一内容を構成し得ると示されました。

次の重要ポイントは、ピンク・レディー事件で侵害となりやすい典型例を整理したものです。どの使い方が広告や商品化に近いかを読み取ることで、記事や論評としての利用と販促利用を分けやすくなります。

専ら顧客吸引力の利用かを確認します

肖像等そのものを鑑賞対象の商品にする場合、商品差別化のために付す場合、広告として使う場合は高リスクです。一方、報道、論評、解説、創作など正当な表現行為として受忍される余地がある場合もあります。

有名な場所、商品、動物、建物、キャラクターを使う場面では、人のパブリシティ権と同じ発想だけでは足りません。商標、著作権、意匠権、不正競争防止法、施設管理規約、撮影許可、契約、景品表示法上の誤認表示を別に確認します。

Section 04

企業が直面する肖像権・パブリシティ権の典型場面

広告、採用、SNS、イベント、カメラ、専門家表示では、文脈と許諾範囲の確認が中心になります。

企業実務で最もリスクが高いのは、人物の顔、氏名、声を商品やサービスの信頼、魅力、推薦、イメージ形成に直接使う場面です。特に、医療、金融、転職、婚活、宗教、政治、美容、健康、コンプレックス商材では慎重な確認が必要です。

次の一覧は、企業で相談が多い利用場面を整理しています。場面ごとに本人同意、表示、契約、個人情報、広告規制の重なり方が異なるため、自社の利用目的がどこに当たるかを読み取ってください。

広告・販促

著名人、AIで似せた画像、インフルエンサー投稿、顧客の顔写真を広告に使う場面は高リスクです。

企業サイト・採用サイト

社員や役員の写真は、掲載期間、退職後の扱い、外部広告への転載、肩書表示を文書で確認します。

SNS・投稿キャンペーン

リポストできることと、広告利用できることは別です。第三者の肖像が含まれる場合は追加確認が必要です。

イベント・セミナー

会場掲示だけで広範な二次利用まで許されるとは限りません。登壇者や主役の参加者は個別同意を検討します。

防犯カメラ・顔認証

防犯目的から分析、広告配信、入店管理へ用途を広げると、通知、公表、安全管理、保存期間が問題になります。

専門家・経営者表示

監修、推薦、顧問、提携、共同研究といった表示は、景品表示法や士業広告規制との関係も確認します。

高リスク著名人に似たAI画像を広告に使う、退職者の写真を採用サイトに残す、顧客レビュー写真を効果保証のように見せる、といった利用は早期に法務確認が必要です。
Section 05

肖像権・パブリシティ権と周辺法令の関係

著作権処理だけでは足りず、個人情報、商標、不正競争、広告表示まで分けて確認します。

人物写真には、写真を撮った側の著作権と、写っている本人の肖像権が別々に存在します。モデル本人の同意があっても写真家の権利処理が必要な場合があり、素材サイトのライセンスがあってもモデルリリースやセンシティブ利用の制限が残る場合があります。

次の表は、人物素材の利用で同時に確認する権利や利益を整理したものです。権利者が異なるため、一つの契約やライセンスだけで全てが解決しているかを読み取るのではなく、列ごとに確認してください。

権利・利益関係者確認事項
写真・動画の著作権カメラマン、制作会社、従業員、委託先譲渡、利用許諾、改変、二次利用、SNS広告、海外利用を確認します。
被写体の肖像権写っている本人掲載目的、媒体、期間、加工、撤回や削除対応を確認します。
パブリシティ権本人、所属事務所、マネジメント会社顧客吸引力の利用、広告、商品化、独占、競合排除を確認します。
個人情報本人、個人情報取扱事業者利用目的、安全管理、第三者提供、委託、開示等請求を確認します。
商標・表示商標権者、ブランド、事業者氏名、芸名、ロゴ、商品等表示の使用を確認します。

次の一覧は、周辺法令ごとの実務上の見落としを示しています。どの法律が主役かを一つに絞るのではなく、広告の見え方、データ管理、表示の誤認、契約上の範囲を同時に読み取ることが重要です。

個人情報保護法

顔写真や動画は、個人が識別できる限り個人情報になり得ます。顔特徴量データはさらに慎重に扱います。

利用目的安全管理

商標法

氏名、芸名、略称、肖像をブランド名や商品名に使う場合、登録可否と実際の使用許諾を分けて確認します。

氏名承諾

不正競争防止法

出所、品質、推薦関係について誤認を生じさせる使い方では、表示規制の問題が出ます。

誤認信用

景品表示法・広告表示

インフルエンサーや専門家の写真、氏名、コメントを使う場合、広告であることや実際の推薦関係を明確にします。

PR表示推薦表示
Section 06

生成AI・ディープフェイク・声の利用と肖像権・パブリシティ権

本人写真を使わなくても、特定人物を想起させる広告利用は高リスクです。

生成AIにより、実在人物に似た顔、声、動作、話し方、署名、映像を容易に生成できるようになりました。AI生成物であっても、需要者が特定人物を想起し、広告や商品化にその顧客吸引力を使っていると評価されれば、パブリシティ権侵害などが問題になります。

次の表は、企業が生成AIを使う際に最低限決めておきたい社内ルールです。禁止、承認、契約確認、表示、記録の区分を読むことで、制作現場だけで判断させない体制の必要性が分かります。

区分ルール例
禁止実在人物に似せた広告用AI画像やAI音声を無断で生成、利用しないことを明確にします。
原則禁止有名人、顧客、従業員、退職者、取引先担当者に似たアバター生成は、例外承認にします。
法務承認人物写真をAI加工して外部公開する行為、AIナレーションの広告利用は事前承認にします。
契約確認タレント、声優、モデル、ナレーター契約にAI利用条項があるか確認します。
表示AI生成であること、本人関与の有無、推薦関係の有無を明確にします。
記録プロンプト、入力素材、生成結果、承認者、利用媒体を保存します。

次の重要ポイントは、声の利用で見るべき確認事項をまとめたものです。写真と異なり、声は見落とされやすい一方で、広告やアプリの価値に直結するため、生成元、似方、契約範囲を読み取る必要があります。

声も本人を識別させる情報になり得ます

声そのものを商品にする、声で商品を差別化する、声を広告に使う、特徴的な台詞や芸名と組み合わせる場合は高リスクです。AIで生成した声と表示しても、顧客吸引力の利用が残る場合があります。

Section 08

肖像権・パブリシティ権の紛争予防と危機対応

削除要請や炎上に備え、事前チェック、初動、素材管理をセットで整えます。

人物素材は感情的な対立やSNS拡散につながりやすいため、事前チェックだけでなく、クレームを受けたときの初動と素材管理が重要です。許諾があると考える場合でも、媒体、期間、商品、広告利用、AI加工、第三者提供が範囲外でないかを確認します。

次の判断の流れは、人物素材を外部公開する前の確認順序です。順番に沿って識別可能性、人物属性、同意、周辺法令、文脈、削除対応を確認することで、公開後の修正や差止めリスクを読み取れます。

公開時の十項目確認

本人を識別できるか

顔、声、氏名、似姿、周辺情報を含めて確認します。

一般人か著名人か

顧客吸引力の有無、専門家や経営者表示の意味を確認します。

同意と権利処理を確認

撮影、公表、広告、商品化、二次利用の許諾を分けて見ます。

高リスク要素を確認

未成年、顧客、従業員、退職者、AI加工、声、海外配信を確認します。

証跡を保存して公開

契約、同意書、ライセンス、承認記録、削除対応窓口を保存します。

次の一覧は、社内規程やDAMで管理すべき項目です。素材ごとの利用可能範囲を見える化することで、退職者や過去キャンペーン素材の無制限な再利用を防ぐ点を読み取れます。

項目規程・管理内容
対象素材写真、動画、音声、氏名、コメント、署名、アバター、AI生成物を対象にします。
承認手続広告利用、著名人利用、未成年利用、AI加工は法務承認にします。
許諾管理同意書、契約書、モデルリリース、素材サイトライセンスを保存します。
メタデータ管理利用媒体、期間、地域、禁止用途、削除期限を記録します。
委託先管理代理店、制作会社、カメラマン、SNS運用会社との契約を確認します。
紛争対応削除要請、本人確認、初動、エスカレーション、広報対応を整えます。

次の時系列は、クレームを受けた後の初動を整理しています。最初に拡散停止と証拠確認を行い、その後に謝罪、削除、修正、金銭解決、再発防止を検討する流れを読み取ってください。

受付直後

素材と掲載範囲の特定

URL、投稿、広告配信先、掲載期間、二次利用の有無を確認します。

初期判断

停止要否と許諾範囲の確認

拡散停止の必要性、同意書、契約、素材サイトライセンス、委託先の資料を確認します。

対応方針

修正・削除・再発防止

謝罪、修正、削除、秘密保持、プレス対応、再発防止策を検討します。

Section 09

肖像権・パブリシティ権のよくある質問

個別事案の結論ではなく、制度と実務上の一般的な考え方として整理します。

Q1. 写真の著作権を購入すれば、写っている人物も自由に使えますか。

一般的には、写真の著作権と、写っている人物の肖像権・パブリシティ権は別に確認するとされています。写真家や素材サイトからライセンスを得ても、モデルリリース、広告利用、センシティブ用途、AI利用の可否で結論が変わる可能性があります。具体的な利用可否は、契約書やライセンスを整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 公道で撮影した写真なら会社SNSに載せてもよいですか。

一般的には、公道で撮影されたことだけで自由に使えるとは限らないとされています。人物の識別可能性、写り方、撮影を予期できる状況か、投稿文脈、広告利用か、削除要請対応で判断が変わります。個別の投稿可否は、写真と利用目的を確認して専門家に相談する必要があります。

Q3. イベント会場に撮影告知を掲示すれば十分ですか。

一般的には、掲示は重要ですが万能ではないとされています。撮影目的、掲載媒体、配信、アーカイブ、広告転用、拒否方法、問い合わせ先を明確にする必要があります。登壇者や主役として扱う参加者については、個別同意を検討することが多いです。

Q4. 退職した従業員の写真を採用サイトに載せ続けてもよいですか。

一般的には、当初の同意書や社内規程の内容によって判断が変わります。退職後の利用が明確でない場合や削除要請がある場合は、掲載継続の合理性、表示の正確性、労務管理上の影響を確認する必要があります。

Q5. 有名人に似たAI画像を広告に使うのは安全ですか。

一般的には、安全とはいえない場合があります。本人写真を使っていなくても、需要者が特定の有名人を想起し、顧客吸引力を広告に利用していると評価される可能性があります。名誉、信用、プライバシー、景品表示法、不正競争防止法、契約違反も確認する必要があります。

Q6. 本人とは関係がないと表示すれば侵害を避けられますか。

一般的には、表示は一要素にとどまるとされています。広告全体の印象、画像や声や名前の似方、商品との関連性、需要者の認識、顧客吸引力の利用目的によって結論が変わります。具体的な表示で十分かは専門家に相談する必要があります。

Q7. ニュース記事なら有名人の写真を無断で使えますか。

一般的には、報道、論評、解説などは正当な表現行為として考慮されますが、常に自由ではありません。写真の入手方法、著作権、掲載文脈、記事との関連性、侮辱的またはセンシティブな表現、広告との混同を確認する必要があります。

Q8. 顧客のレビュー写真を広告に使う場合、何が必要ですか。

一般的には、顧客本人の肖像利用許諾、レビュー文の利用許諾、広告利用の明示、効果効能表示の根拠、景品表示法や薬機法等の確認が必要とされています。投稿規約だけで広告利用まで扱えるかは慎重に確認する必要があります。

Q9. 社内資料なら肖像権は問題になりませんか。

一般的には、社内利用でも問題になる可能性があります。従業員の健康状態、懲戒、ハラスメント、事故、悪い例としての研修利用、監視カメラ映像、顧客クレーム映像は、人格的利益、個人情報保護、労務管理上の確認が必要です。

Q10. 故人の写真や声を使う場合はどう考えますか。

一般的には、故人については人格権の性質、遺族の利益、相続、契約、所属事務所、商標、不正競争、著作権、名誉や敬愛追慕の情、社会的配慮が問題になります。著名な故人や商業利用では、権利管理者等への許諾確認を検討する必要があります。

Guide

肖像権・パブリシティ権で次に確認したいこと

目的に近い詳しい解説へ進めるよう、関連するテーマを整理しました。

知りたい内容を選ぶと、手続、費用、地域、具体的な論点などの詳しい解説に進めます。

このテーマから次に確認されやすい詳しい解説を7件表示しています。

Reference

参考資料

判例

  • 最高裁判所大法廷昭和44年12月24日判決・京都府学連事件
  • 最高裁判所第一小法廷平成17年11月10日判決・法廷内写真撮影事件
  • 最高裁判所第一小法廷平成24年2月2日判決・ピンク・レディー事件

法令・公的資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • e-Gov法令検索「著作権法」
  • e-Gov法令検索「商標法」
  • e-Gov法令検索「不正競争防止法」
  • e-Gov法令検索「個人情報の保護に関する法律施行令」
  • 個人情報保護委員会「犯罪予防や安全確保のための顔識別機能付きカメラシステムの利用について」
  • 経済産業省・総務省「カメラ画像利活用ガイドブック ver.3.0」
  • 経済産業省「肖像と声のパブリシティ価値に係る現行の不正競争防止法における考え方の整理について」
  • 特許庁「他人の氏名を含む商標の登録要件が緩和されます」
  • 消費者庁「ステルスマーケティング規制に関する公表資料」
  • 法務省「肖像、声等の無断利用による民事責任の在り方に関する検討会」