契約書、開示書面、募集資料、マニュアル、商標、ロイヤルティ、独占禁止法、労務、個人情報、終了後義務まで、フランチャイズ本部の立上げに必要な契約群を横断的に整理します。
契約書だけでなく、募集から終了後までの文書群を一体で組み立てる考え方を整理します。
契約書だけでなく、募集から終了後までの文書群を一体で組み立てる考え方を整理します。
フランチャイズ本部を始めるときの契約体系設計は、フランチャイズ契約書を一通作る作業ではありません。商標、屋号、ノウハウ、商品・サービス、営業方法、研修、システム、マニュアル、販売促進、品質管理、経営指導を、加盟者の独立事業者性と矛盾しない契約群として組み立てることです。
この一覧は、本部立上げで最初に確認すべき設計対象を整理したものです。単独の条項ではなく、募集、開示、運営、終了処理までを一体で見ることが重要です。3つの項目から、本部が何を提供し、どこまで統制し、どの終了処理まで準備するかを読み取ってください。
加盟金、ロイヤルティ、システム利用料、仕入差益、広告分担金などを、提供価値ごとに説明できる形にします。
本部はブランド統一と品質管理を求めますが、加盟者は原則として独立事業者です。支援と統制の境界を明確にします。
商標使用停止、在庫処理、顧客情報返還、競業避止、原状回復まで決めておくことで退店時の混乱を減らします。
契約体系が不十分な本部では、募集時の説明と契約書が一致しない、売上予測の根拠が曖昧になる、費用構造が不透明になる、指定仕入れや価格政策が独占禁止法上問題になる、商標・営業秘密・顧客データの帰属が曖昧になる、といった問題が起こりやすくなります。
用語定義、契約書、マニュアル、ロイヤルティ、テリトリーの意味をそろえます。
基本用語は、契約書だけでなく、募集資料、説明資料、マニュアル、社内規程の共通言語になります。次の表は、用語の意味と契約設計への影響を整理したものです。左列で言葉を確認し、右列でどの実務論点に接続するかを読み取ってください。
| 用語 | 意味 | 設計上の注意点 |
|---|---|---|
| フランチャイズ・システム | 本部が商標、営業標識、ノウハウ、商品・サービス供給、教育訓練、継続的指導を提供し、加盟者が対価を支払って統一ブランドで事業を行う仕組みです。 | 商標使用許諾、経営指導、対価支払、同一イメージでの営業を一体で整理します。 |
| 本部 | ブランド、ノウハウ、商品、システム、研修、マニュアル、営業支援を提供し、チェーン全体を統括する事業者です。 | 支援内容、監査権限、変更権限、責任範囲を契約で明確にします。 |
| 加盟者 | 本部のブランドやノウハウを利用して、独立事業者として店舗または事業拠点を運営する者です。 | 従業員ではないことを契約上も実態上も維持します。 |
| 法定開示書面 | 一定の取引形態で、契約締結前に加盟希望者へ交付・説明する重要事項説明書面です。 | 加盟金、ロイヤルティ、商品供給条件、契約期間、更新、解除、違約金、競業避止、店舗数、収支情報などを開示します。 |
| オペレーション・マニュアル | 店舗運営、接客、商品管理、衛生管理、販促、クレーム対応、システム操作などを定める実務文書です。 | 拘束力、変更手続、重大負担変更の扱いを契約書で支えます。 |
| ロイヤルティ | 加盟者が本部に支払う継続的対価です。 | 売上歩合、粗利分配、定額、システム利用料、仕入差益などの計算基礎を明確にします。 |
| テリトリー・商圏 | 営業地域、出店保護地域、顧客吸引範囲を指します。 | 近隣出店、独占・非独占、商圏説明を募集資料と契約書で一貫させます。 |
契約書に書く事項とマニュアルに書く事項の分離も重要です。契約書には、当事者の基本的権利義務、金銭、期間、更新、解除、損害賠償、商標、秘密保持、競業避止、紛争解決など、法的に安定させる事項を書きます。マニュアルには、日々の店舗運営、発注、清掃、接客、表示、キャンペーン、システム操作など、頻繁に更新される事項を書きます。
募集、開示、契約、運営、違反対応、終了処理を文書としてつなぎます。
フランチャイズ本部の法務設計では、契約前、契約時、開業前、開業後、更新時、違反発生時、終了時のそれぞれに対応する文書群が必要です。次の表は、どの文書がどの局面を支え、どの注意点を吸収するのかを示します。文書名だけでなく、役割と注意点の組み合わせを読んでください。
| 文書・制度 | 主な役割 | 設計上の注意点 |
|---|---|---|
| 募集方針・加盟審査基準 | 誰を加盟させるかを決める | 資金力、経営適性、反社会的勢力排除、許認可適性を確認します。 |
| 募集資料・ウェブ広告 | 加盟希望者に事業概要を示す | 売上・利益・成功率を過度に強調しない設計にします。 |
| NDA・秘密保持契約 | 契約前に開示するノウハウを保護する | 契約不成立時の返還・廃棄義務を定めます。 |
| 法定開示書面・重要事項説明書 | 加盟判断に重要な情報を開示する | 説明記録、質問回答記録、交付日を残します。 |
| フランチャイズ契約書 | 中核的な権利義務を定める | 募集資料、開示書面、マニュアルと矛盾させません。 |
| 商標使用規程 | ブランドの使い方を統制する | 表示、看板、SNS、広告、退店後の使用停止を定めます。 |
| オペレーション・マニュアル | 店舗運営の詳細基準を定める | 契約上の位置付けと改訂手続を明確にします。 |
| 研修契約・研修規程 | 開業前後の教育を定める | 研修費、再研修、未修了時の扱いを定めます。 |
| 商品供給契約・購買規程 | 指定商品・推奨商品の供給条件を定める | 指定仕入れの必要性と合理性を説明可能にします。 |
| POS・システム利用規約 | 売上管理、発注、顧客管理を定める | データ帰属、利用目的、障害時責任、費用を定めます。 |
| 個人情報・データ取扱規程 | 顧客情報、従業員情報、購買情報を管理する | 委託、共同利用、第三者提供、漏えい対応を整理します。 |
| 広告・販促規程 | 全国広告、地域広告、SNS運用を定める | 広告分担金の使途、精算、報告方法を定めます。 |
| 違反是正通知・解除通知 | 契約違反に対応する | 是正期間、証拠、解除要件を整えます。 |
| 契約終了合意書 | 退店処理を定める | 商標撤去、在庫、顧客情報、競業、未払金を精算します。 |
文書間の優先順位は、矛盾が生じたときの解釈を左右します。次の判断の流れは、契約体系の整合性を点検する順番を示しています。上から順に、個別合意、契約書、開示書面、各規程、マニュアル、募集資料を見比べ、加盟者に有利な説明と契約条項が食い違っていないかを確認します。
金銭、期間、解除、商標、終了後義務など中核条件を確認します。
加盟希望者に説明した内容と契約条項が一貫しているかを見ます。
日々の運用ルールが契約上の根拠を持つかを確認します。
交付日、質問回答、改訂履歴を残し、後日の説明可能性を高めます。
本部が最初に確認すべき法領域は、契約法だけではありません。次の比較表は、どの規制がどの場面に関係し、契約体系に何を反映すべきかを整理しています。左列で法領域を確認し、中央列で実務上の論点、右列で契約・運用への落とし込みを読み取ってください。
| 法領域 | 主な論点 | 契約体系への反映 |
|---|---|---|
| 中小小売商業振興法 | 特定連鎖化事業に該当する場合、契約締結前の書面交付・説明が求められます。2021年改正以降、類似立地条件にある加盟者店舗の直近3事業年度の収支情報も重要です。 | 加盟金、保証金、ロイヤルティ、商品供給条件、契約期間、更新、解除、違約金、競業避止、店舗数、収支情報を開示します。 |
| 独占禁止法 | 募集時情報開示、優越的地位の濫用、不公正な取引方法、再販売価格拘束、指定仕入れ、営業時間、近隣出店が問題になります。 | 強制と推奨を区別し、合理的理由、協議手続、例外ルール、説明記録を整えます。 |
| 景品表示法・消費者法的観点 | 「高収益」「未経験でも成功」「低リスク」「短期回収」「月収○○万円可能」などの表現は誤認リスクがあります。 | 収益資料に根拠、不利なシナリオ、変動要因、保証ではない旨を併記します。 |
| 特定商取引法 | 副業型、在宅型、代理店型、紹介ビジネス型、業務委託型では、業務提供誘引販売取引との関係が問題になることがあります。 | 仕事提供と商品・設備・サービス購入の構造を確認し、勧誘資料を管理します。 |
| 商標法・不正競争防止法・著作権法 | ブランド、ロゴ、店舗デザイン、商品名、レシピ、マニュアル、広告素材、顧客データなど無形資産を守る必要があります。 | 商標調査・登録、著作権帰属、営業秘密管理、退店後の表示削除を整えます。 |
| 個人情報保護法・データ法務 | 顧客情報、予約情報、購買履歴、従業員情報、監視カメラ映像、問い合わせ履歴を扱います。 | 取得主体、利用目的、共同利用、委託、第三者提供、漏えい時対応、契約終了時の返還・削除を定めます。 |
| 労務法務 | 本部が採用、賃金、シフト、懲戒、指揮命令へ過度に関与すると問題になります。 | 研修・接客基準と直接指揮命令を区別し、独立事業者性を実態でも維持します。 |
| 業法・許認可 | 飲食、食品製造、酒類販売、古物、旅行、教育、医療・介護、美容、建設、不動産、金融、通信販売などで規制が異なります。 | 許認可の取得名義、更新、変更届、違反時報告を契約体系に組み込みます。 |
独占禁止法の観点では、売上・利益予測、指定仕入れ、過大発注、価格政策、営業時間、近隣出店、契約終了後の競業避止が特に重要です。ブランド統一のために必要な場合もありますが、必要性を超える拘束や一方的な負担は、優越的地位の濫用等として問題になり得ます。
商標、金銭、研修、物件、仕入れ、監査、解除、終了後義務を整理します。
フランチャイズ契約の中核条項は、ブランド統一、本部収益、加盟者の独立性、終了時処理を同時に支えます。次の一覧は、主要条項ごとに何を決めるべきかを整理したものです。各項目の内容を見て、抜けやすい論点を確認してください。
商標・ノウハウ・営業システムの利用許諾と、加盟者が独立事業者として店舗を運営することを明記します。本部支援の範囲、加盟者の経営責任、本部が保証しない事項のバランスが重要です。
基礎使用できる商標、ロゴ、屋号、SNS、看板、広告素材、店舗デザインを特定し、ロゴ改変禁止、第三者からの権利主張対応、終了後の撤去を定めます。
知財加盟金の対価、返還有無、保証金の担保範囲、ロイヤルティの計算基礎、税抜・税込、返品、値引き、ポイント、決済手数料を明確にします。
金銭物件選定、事業計画、資金調達、内装、許認可、研修、採用、販促、発注初期設定の範囲と成果保証の有無を定めます。
支援品質保持、衛生管理、ブランド統一、トレーサビリティ、安全性、規格統一、共同購買メリットなど、指定の合理的理由を説明できるようにします。
独禁法店舗監査、衛生監査、帳簿監査、違反通知、改善計画、解除通知、商標撤去、情報返還、在庫処理、競業避止までを段階的に設計します。
終了物件方式は、投資負担と退店後の統制に直結します。次の比較表は、代表的な方式ごとの長所とリスクを示しています。どの方式が常に優れているかではなく、本部が何を管理したいのか、加盟者にどの負担を求めるのかを読み取ってください。
| 方式 | 特徴 | 主なリスク |
|---|---|---|
| 加盟者賃借型 | 加盟者が直接賃貸借契約を締結します。独立性は高く、物件投資を本部が負わない方式です。 | 退店後コントロールが弱く、旧店舗での類似営業や表示管理が課題になります。 |
| 本部賃借・加盟者転貸型 | 本部が物件を借り、加盟者へ転貸します。本部の店舗支配は強くなります。 | 賃料不払い、原状回復、借地借家法、転貸承諾のリスクがあります。 |
| 本部所有・加盟者使用型 | 本部が物件または設備を所有し、加盟者に使用させます。 | 統制しやすい一方、本部の投資負担が大きくなります。 |
| 加盟者所有型 | 加盟者が土地建物を所有します。地域密着型に向きます。 | 契約終了後のブランド排除や競業避止が難しくなります。 |
契約終了後義務は、契約書で詳細に定めるだけでは足りません。次の重要ポイントは、退店処理を実行可能にするために、物理的な撤去、オンライン表示、資料・データ、金銭、店舗状態を分けて管理する必要があることを示しています。
募集担当者の説明差を減らし、収益説明と契約締結前の熟慮期間を整えます。
募集・開示・契約締結は、後日の紛争で最重要証拠になる局面です。次の時系列は、資料請求から開業までの標準的な順番を示しています。各段階で、交付資料、説明者、説明日、質問内容、回答内容、確認署名を残すことを読み取ってください。
加盟希望者に事業概要を示します。売上・利益・成功率を過度に強調せず、リスク説明も同時に整えます。
契約前に開示するノウハウを保護し、説明内容と質疑応答を記録します。
資金力、経営適性、反社会的勢力排除、許認可適性、立地前提を確認します。
加盟金、ロイヤルティ、商品供給条件、更新、解除、違約金、競業避止、収支情報を説明します。
契約書、開示書面、収支モデル、資金計画を検討する時間を確保し、契約後に研修と開業準備へ進みます。
売上予測・モデル収支は、フランチャイズ紛争の中心になりやすい情報です。次の比較一覧は、モデル収支で明示すべき前提を整理しています。数値を出すこと自体よりも、根拠、条件、不利なケースを一緒に示しているかを読み取ってください。
直営店実績、既存加盟店実績、類似立地店舗実績、第三者統計など、どのデータに基づくのかを明示します。
商圏人口、通行量、競合、営業時間、席数、スタッフ数、家賃、広告費、原価率、人件費を示します。
減価償却、ロイヤルティ、廃棄率、決済手数料、システム利用料などを計算に含めます。
加盟者の経営能力、人材確保、地域事情で変動すること、不利なシナリオ、損益分岐点、資金繰りリスクを説明します。
「売上○○万円可能」や「投資回収○年」といった説明は、根拠を示さなければ危険です。平均値だけでは分布のばらつきや赤字店舗の存在が見えにくいため、中央値、上位・下位レンジ、撤退店舗、開業年数別収支を検討することが望まれます。
ロイヤルティ方式、指定仕入れ、違約金、競業避止、個人保証を整理します。
収益モデル、加盟形態、高リスク条項は、契約条項の作り方を大きく変えます。次の表は、本部収益の取り方ごとに、どの計算・説明・監査が必要になるかを整理したものです。方式名だけでなく、加盟者の損益や不透明感につながる点を確認してください。
| 収益モデル | 特徴 | 設計上の焦点 |
|---|---|---|
| 売上歩合ロイヤルティ型 | 売上に一定率を乗じてロイヤルティを算定します。 | POS連携、現金売上、ポイント値引き、返品、キャンセル、デリバリー手数料、税抜・税込を明確にします。 |
| 粗利分配型 | 売上から売上原価等を控除した粗利を基礎に算定します。 | 粗利定義、廃棄、値引き、棚卸差損、仕入リベート、原価計算、会計処理の統一が重要です。 |
| 定額ロイヤルティ型 | 毎月一定額を支払う方式です。 | 売上不振時に加盟者負担が重くなりやすいため、損益分岐点を検討します。 |
| 仕入差益型 | 本部が商品・原材料を供給し、その仕入差益を収益源とします。 | 指定仕入れの合理性、価格改定、リベート、代替調達を明確にします。 |
| システム利用料型 | IT、予約、決済、学習管理、在庫管理、CRM、配送管理などを提供します。 | 障害時責任、メンテナンス、セキュリティ、データ帰属、外部SaaS利用条件、料金改定を定めます。 |
| 広告分担金型 | 全国広告や地域広告の費用を加盟者から徴収します。 | 徴収目的、金額、使途、未使用分、報告、監査を透明化します。 |
高リスク条項は、本部の統制に必要な場合がある一方で、過度に広げると加盟者との紛争や独占禁止法上の疑義につながります。次の一覧は、争われやすい条項ごとに、危険な設計と予防策を対応させたものです。どの条項を強めるかではなく、説明可能な範囲に絞ることを読み取ってください。
「必ず儲かる」「平均月商○○万円」「投資回収○年」は、収益保証と受け止められやすい表現です。根拠、条件、変動要因、不利なケースを併記します。
残期間分ロイヤルティ全額相当など過大な条項は争われやすくなります。期間経過に応じた逓減、損害項目、やむを得ない事由を検討します。
「本部はいつでも契約条件を変更できる」という文言は危険です。必要性、合理性、事前通知、意見聴取、移行期間、協議を定めます。
営業秘密やノウハウ保護に必要な範囲へ限定します。期間、地域、業種、行為を過度に広げると、無効または権利濫用と主張されやすくなります。
保証範囲、極度額、保証期間、主債務、解除条件を明確にします。保証依存ではなく、加盟審査、保証金、早期警戒を組み合わせます。
契約期間中から、商標、営業秘密、マニュアル、顧客データ、レシピ、仕入先、店舗デザインの保護を徹底します。
設計、教育、契約管理、更新管理、定期レビューを企業統治として運用します。
契約体系設計は、思いついた順に書類を増やす作業ではありません。次の時系列は、事業モデルの可視化から定期レビューまでの順番を示しています。上から下へ、事業内容、規制、文書、教育、管理、見直しの順に積み上げることを読み取ってください。
収益構造、提供価値、本部支援、加盟者負担、必要ノウハウ、標準店舗、商圏、投資額、損益分岐点を整理します。
中小小売商業振興法、独占禁止法、景品表示法、特定商取引法、商標法、個人情報保護法、労働法、業法を確認します。
契約書、開示書面、募集資料、NDA、マニュアル、商標使用規程、商品供給規程、広告規程、情報管理規程、退店チェックリストを同時に設計します。
営業トーク、禁止表現、収益説明、質問対応、説明記録、指導と強制の境界を研修します。
契約期間、更新期限、保証金、保険、許認可、研修履歴、監査結果、違反記録、未払、広告分担金、退店予定を管理します。
法改正、判例、行政指導、チェーン規模拡大、業態変更、IT導入、海外展開、加盟者属性の変化に応じて、年1回以上見直します。
契約管理は、店舗数が増えるほど企業統治と内部統制の問題になります。次の強調表示は、取締役会や経営会議が定期的に見るべき項目をまとめています。単なる法務部の作業ではなく、経営指標として確認することを読み取ってください。
開業数・閉店数、収益実績とモデル収支の乖離、苦情・相談、訴訟・調停・行政相談、ロイヤルティ未払、重大事故・法令違反、解除件数、近隣出店紛争、広告分担金の使用状況、契約書・開示書面の改訂状況を定期的に確認します。
立上げ前、募集前、契約前、開業前、開業後、契約終了時の確認事項を整理します。
チェックリストは、抜け漏れを防ぐために段階別に使う必要があります。次の一覧は、本部立上げ前から契約終了時までの確認事項を整理したものです。横方向に局面、縦方向に確認内容を見て、どの段階で何を証拠化すべきかを読み取ってください。
| 局面 | 主な確認事項 |
|---|---|
| 本部立上げ前 | 商標登録または出願、ノウハウ文書化、直営店実績・実証データ、モデル収支の根拠、収益構造の透明性、中小小売商業振興法の適用有無、独占禁止法、許認可、個人情報、加盟審査基準を確認します。 |
| 募集前 | 募集資料と契約書の整合、収益表現の根拠、成功事例だけでないリスク説明、営業担当者の説明スクリプト、禁止表現リスト、説明記録様式、熟慮期間を整えます。 |
| 契約締結前 | 開示書面または重要事項説明書、契約書全文、質問回答記録、資金計画、物件・商圏調査、契約締結権限、保証人、反社会的勢力排除チェックを確認します。 |
| 開業前 | 研修修了、許認可、保険加入、店舗表示、POS・決済・予約・CRM設定、個人情報教育、労務管理の説明、初期在庫と発注ルールを確認します。 |
| 開業後 | 売上報告とロイヤルティ計算、マニュアル遵守、クレーム・事故・法令違反の報告体制、広告分担金の使途説明、加盟者相談記録、監査結果と是正状況を管理します。 |
| 契約終了時 | 解除・終了の法的根拠、未払金、商標・看板・広告表示撤去、SNS・予約サイト・地図アプリ変更、秘密資料返還・廃棄、顧客データ返還・削除、競業避止・秘密保持、原状回復、設備処理を確認します。 |
内部規程は、担当者ごとの対応差を減らし、行政調査、訴訟、加盟者説明、内部監査で本部の管理体制を説明するために重要です。次の一覧は、契約書の外側で整えるべき社内ルールを示しています。規程名ごとに、募集、契約、運営、違反対応、終了のどこを支えるかを確認してください。
加盟店募集規程、加盟審査規程、営業担当者説明ルール、収益予測資料作成規程、反社会的勢力排除規程を整えます。
契約締結権限規程、法定開示書面管理規程、商標使用管理規程、マニュアル改訂規程を整えます。
指定仕入れ・指定業者選定規程、広告分担金管理規程、店舗監査規程、個人情報・データ管理規程、システム障害対応規程を整えます。
加盟者相談対応規程、クレーム・事故報告規程、契約違反対応規程、解除・退店対応規程、紛争・訴訟対応規程、契約書改訂・法改正対応規程を整えます。
契約前、契約時、開業前、開業後、更新・終了の文書と条項設計思想をまとめます。
契約パッケージは、契約前、契約時、開業前、開業後、更新・終了の順に揃えると漏れを減らせます。次の表は、最小限検討したい文書セットを局面別に整理したものです。どの文書が説明、契約、運用、終了処理のどこを担うかを読み取ってください。
| 局面 | 検討すべき文書 |
|---|---|
| 契約前文書 | 加盟募集要項、事業説明資料、収益モデル説明資料、リスク説明書、NDA、加盟申込書、加盟審査同意書、反社会的勢力でないことの誓約書、法定開示書面・重要事項説明書、契約前質問回答書 |
| 契約時文書 | フランチャイズ基本契約書、個別店舗契約書、商標使用許諾条項または別紙、ロイヤルティ・費用明細書、保証金預り証、個人保証契約書、店舗賃貸借・転貸関連書類、設備売買・リース関連書類、POS・システム利用申込書、個人情報取扱覚書 |
| 開業前文書 | 研修規程、研修修了確認書、開業準備チェックリスト、許認可確認書、保険加入確認書、店舗表示確認書、初期在庫確認書、広告開始確認書 |
| 開業後文書 | オペレーション・マニュアル、衛生管理マニュアル、接客マニュアル、クレーム対応マニュアル、発注・在庫管理マニュアル、POS利用マニュアル、個人情報取扱マニュアル、店舗監査チェックシート、是正勧告書、改善計画書 |
| 更新・終了文書 | 契約更新申請書、更新審査チェックシート、契約変更合意書、中途解約申入書、解除通知書、退店合意書、退店チェックリスト、商標撤去確認書、秘密資料返還・廃棄確認書、データ返還・削除確認書 |
条項例を考えるときは、そのまま文言を写すのではなく、設計思想を把握することが重要です。次の一覧は、マニュアル改訂、指定仕入れ、競業避止、終了後表示管理の考え方を整理しています。各項目で、本部権限と加盟者の予見可能性をどう両立するかを読み取ってください。
品質維持、法令改正、顧客安全、システム改善、ブランド価値向上のため改訂できます。ただし、重大な追加投資や運営負担を生む改訂には、事前通知、説明会、移行期間、代替措置を設けます。
変更品質、安全性、ブランド統一、安定供給、トレーサビリティのため指定できます。ただし、目的達成に必要な範囲へ限定し、欠品、価格改定、代替品使用、緊急時対応を定めます。
独禁法契約期間中は本部の事前承諾なく同一・類似ブランドを用いた競合事業を行わないことを定め、終了後は営業秘密、顧客情報、特殊ノウハウ保護に必要な範囲で限定します。
終了後契約終了後直ちに、商標、ロゴ、屋号、看板、広告物、制服、ウェブ表示、SNS表示、予約サイト表示、地図アプリ表示を撤去または変更し、写真その他の証拠を提出させます。
表示強い本部ほど、契約体系を加盟者を縛る道具ではなく、信頼を設計する制度として扱います。募集資料、開示書面、契約書、マニュアル、実際の運用を一貫させ、売上・利益に関する説明を客観的根拠に基づかせ、本部の権限と加盟者の裁量の境界を明確にすることが、長期的なブランド統治につながります。
フランチャイズは、短期的に加盟店数を増やすための仕組みではなく、長期的にブランドと加盟者の双方を成長させる制度です。初期段階で契約体系、開示、運用、監査、データ管理、知財保護を丁寧に設計すれば、チェーンが拡大しても統制を失いにくくなります。