弁護士の仕事・職業について、制度上の位置づけ、法曹三者との違い、基本業務、周辺職種、選び方、費用、将来動向まで一般向けに整理します。
弁護士の仕事・職業について、制度上の位置づけ、法曹三者との違い、基本業務、周辺職種、選び方、費用、将来動向まで一般向けに整理します。
法律問題の解決だけでなく、予防、制度設計、社会的な権利保障まで含めて見渡します。
弁護士の仕事・職業は、法律を用いて個人・企業・団体・行政・社会の問題を予防し、整理し、解決する専門職です。法廷で争う場面だけでなく、法律相談、交渉、契約書作成、刑事弁護、企業法務、相続、離婚、倒産、労働、知的財産、個人情報、行政事件、人権救済、第三者委員会、成年後見、破産管財、仲裁、法教育、リーガルテックまで広がります。
まず、弁護士の仕事・職業を大きな役割で整理します。この一覧は、困りごとが裁判に進む前の予防、実際に紛争化した後の代理、社会制度を支える公的な役割を分けて見るために重要です。
相談、交渉、調停、ADR、訴訟、刑事弁護を通じ、事実、証拠、法律、費用、期限を分けて検討します。
このページでは、制度上の位置づけ、法曹三者との違い、基本業務、事件類型、依頼の流れ、倫理、周辺職種、選び方、費用、将来動向を順に整理します。
弁護士法上の使命、法律事務の範囲、登録制度、弁護士自治を確認します。
弁護士は、法律事務を行う専門職です。弁護士法は、弁護士の使命を基本的人権の擁護と社会正義の実現に置いています。これは、弁護士の仕事・職業が単なる私的サービスにとどまらず、適正手続、法の支配、制度改善にも関わる公共性の高い仕事であることを示します。
制度上の要点を整理すると、弁護士の仕事・職業は資格、登録、法律事務、自治の四つで理解しやすくなります。次の比較表では、それぞれが読者の相談場面にどう関わるかを読み取れます。
| 観点 | 制度上の意味 | 読者に関係するポイント |
|---|---|---|
| 使命 | 基本的人権を擁護し、社会正義を実現する専門職です。 | 刑事弁護、人権救済、行政事件などでも公共性を持ちます。 |
| 法律事務 | 訴訟、非訟、行政不服申立て、その他一般の法律事務を扱います。 | 裁判だけでなく、相談、契約、交渉、示談、意見書、社内調査も含まれます。 |
| 登録 | 資格を得た後、弁護士会と日弁連の審査を経て名簿登録されます。 | 司法試験合格と、実際に弁護士として活動することは別の段階です。 |
| 自治 | 登録、懲戒、会則、研修、業務改善を弁護士会が自律的に担います。 | 権力から独立して活動するための制度的な基盤です。 |
弁護士の仕事・職業を一文で表すなら、法律を用いて問題を予防し、整理し、解決する仕事です。企業間取引では契約リスクを調整し、相続では遺言や遺産分割の見通しを整理し、労働問題では就業規則やハラスメント対応を検討し、刑事事件では被疑者・被告人の権利を守ります。
登録制度と弁護士自治は、弁護士が依頼者、相手方、行政、裁判所、世論、所属組織から不当な影響を受けにくくするための仕組みです。専門職としての独立性は、相談者が不利な事情も話しやすくする土台になります。
弁護士、裁判官、検察官、司法修習生は同じ法律専門職でも立場が異なります。
弁護士を理解するには、法曹三者の違いを押さえることが役立ちます。三者はいずれも司法試験や司法修習に関わる法律専門職ですが、事件で立つ位置が違います。
次の比較表は、同じ事件に関わる専門職がどの立場から動くかを示します。相談先を考えるときは、依頼者の立場に立って活動するのが弁護士である点を読み取ることが重要です。
| 職業 | 立場 | 主な仕事 |
|---|---|---|
| 弁護士 | 依頼者の立場 | 相談、交渉、訴訟代理、刑事弁護、契約、予防法務を行います。 |
| 裁判官 | 中立の判断者 | 当事者の主張と証拠を踏まえ、法律に基づいて判断します。 |
| 検察官 | 公益の代表者 | 犯罪の捜査、公訴提起、刑事裁判での立証、刑の執行監督を担います。 |
| 司法修習生 | 実務を学ぶ立場 | 裁判所、検察庁、弁護士会などで実務を学び、法曹資格の取得を目指します。 |
民事事件で弁護士は原告または被告の代理人となり、刑事事件では被疑者・被告人の弁護人となります。裁判官は当事者双方の主張と証拠を検討して判断し、検察官は刑事事件で証拠提出や証人尋問を通じて立証活動を行います。
司法修習生は、司法試験合格者の中から採用され、裁判所、検察庁、弁護士会などで実務を学びます。修習を終え、試験に合格すると、裁判官、検察官、弁護士になる資格を得ます。
法律相談、紛争予防、交渉、民事訴訟、刑事弁護が基礎になります。
弁護士の仕事・職業は広いものの、基礎にある業務は、法律相談、紛争予防、交渉・示談・ADR、民事訴訟、刑事弁護の五つです。どの分野でも、事実、証拠、法律、手続、費用を分けて考える点は共通します。
次の一覧は、相談者が弁護士に何を頼めるのかを把握するためのものです。入口の相談から、裁判や刑事手続まで、段階ごとの役割の違いを読み取れます。
事実関係を聴き取り、時系列、証拠、希望、相手方の反論、手続の選択肢を整理します。
入口金額、期限、謝罪、再発防止、秘密保持、清算条項などを調整し、合意形成を図ります。
解決訴状、答弁書、準備書面、証拠説明書、陳述書を作成し、期日、争点整理、和解、判決後の対応を行います。
手続接見、黙秘権の説明、取調べ対応、示談、保釈請求、公判準備、証拠意見、弁論、控訴に関わります。
防御権法律相談の専門性は、条文を知っていることだけではありません。相談者の言葉を法的論点に変換し、感情、事実、証拠、法律、手続、費用を分けて整理するところにあります。
民事訴訟では、法律上の要件、証明責任、証拠の信用性、時効、管轄、回収可能性が問題になります。刑事弁護では、国家権力による刑事責任追及に対し、防御権を実質的に保障することが中心になります。
弁護士の仕事・職業は、事件類型によって重視される力が変わります。民事では証拠と回収可能性、家事では生活や子どもの利益、企業法務では事業目的とリスク管理、刑事では防御権の保障が大きな意味を持ちます。
次の比較表は、主要分野ごとに弁護士が扱う内容を整理したものです。自分の問題がどの分野に近いかを見ることで、相談時に伝えるべき資料や論点を考えやすくなります。
| 分野 | 代表的な内容 | 弁護士が見る主な観点 |
|---|---|---|
| 民事事件 | 貸金、売買代金、建物明渡し、交通事故、名誉毀損、不動産、請負、投資トラブル | 勝訴可能性、費用、時間、相手方の資力、証拠、関係継続の必要性 |
| 家事事件 | 離婚、親権、養育費、面会交流、相続、遺産分割、成年後見 | 生活、子どもの利益、心理的負担、親族関係、将来の関係性 |
| 労働事件 | 解雇、残業代、ハラスメント、労災、退職勧奨、団体交渉 | 生活基盤、証拠、就業規則、労基署対応、企業側の手続適正 |
| 企業法務 | 契約、会社法、M&A、下請法、景品表示法、個人情報、危機管理 | 事業目的、スピード、コスト、経営判断、社会的信用 |
| 倒産・事業再生 | 破産、民事再生、会社更生、私的整理、任意整理、事業譲渡 | 資金繰り、金融機関交渉、従業員対応、取引先対応、担保、税務、会計 |
| 知的財産・IT | 著作権、商標、特許、営業秘密、ライセンス、個人情報漏えい、AI・データ利活用 | 差止め、損害賠償、利用規約、営業秘密、プラットフォーム規制 |
| 国際取引・国際仲裁 | 英文契約、準拠法、裁判管轄、仲裁条項、海外子会社、輸出管理 | 外国法、証拠開示、翻訳、専門家証人、国際的な協働 |
同じ「弁護士」でも専門分野は細分化しています。企業法務、民事訴訟、刑事弁護、家事事件、相続、労働法、知的財産法、倒産・事業再生、金融法務、独占禁止法、IT・個人情報、不動産法務、医療法務、行政事件、国際取引、国際仲裁、エンタメ法務、スポーツ法務、環境法務、スタートアップ法務などがあります。
次の一覧は、専門分野を選ぶときに注目したい代表例です。案件の種類と弁護士の経験分野が合っているかを確認することが、相談の質を左右します。
予約から終了・清算まで、通常の進み方と資料整理の要点を見ます。
弁護士に相談・依頼する場合、いきなり裁判に進むわけではありません。相談予約、利益相反確認、初回相談、見通し説明、委任契約、事件処理、報告・協議、終了・清算という順番で進むことが一般的です。
次の判断の流れは、相談者がどの段階で何を確認するかを示します。各段階の目的を押さえると、資料準備や費用確認を先回りして行いやすくなります。
相談内容、相手方、緊急性、資料の有無を確認します。
相手方や過去案件との衝突がないかを確認します。
事実、時系列、証拠、希望、期限を整理します。
法的論点、選択肢、リスク、費用、期間を確認します。
業務範囲と費用を合意し、交渉、書面作成、調停、訴訟などへ進みます。
相談結果をもとに、資料補充、別制度の利用、再相談の要否を検討します。
相談時には、何が起きたかだけでなく、何を証明できるかが重要です。次の比較表は、典型的に整理しておくと役立つ資料を分野横断で示します。
| 資料の種類 | 具体例 | 読み取れること |
|---|---|---|
| 契約・合意 | 契約書、覚書、合意書、利用規約、発注書 | 権利義務、期限、解除、損害賠償、管轄など |
| やり取り | メール、LINE、社内チャット、通知書、内容証明 | 時系列、相手方の認識、約束、警告、交渉経過など |
| 金銭・損害 | 請求書、領収書、通帳、見積書、給与明細 | 請求額、支払状況、損害額、回収可能性など |
| 公的・専門資料 | 登記、診断書、議事録、就業規則、行政文書 | 権利関係、健康状態、社内手続、行政対応など |
費用が不安な場合、法テラスの民事法律扶助、弁護士会相談、自治体相談、分割払いの可否を確認する方法があります。相談は、裁判を起こすためだけでなく、証拠確保、交渉方針、期限管理、制度利用を整理するためにも使われます。
守秘義務、独立性、利益相反、非弁行為、AI利用の限界を確認します。
弁護士は、依頼者の秘密、財産、自由、家族、企業経営、社会的信用に深く関わります。そのため、弁護士の仕事・職業には高度な倫理と規律が求められます。
次の一覧は、信頼を支える主要な規律をまとめたものです。相談者は、説明の分かりやすさだけでなく、秘密保持、利益相反確認、独立した判断が確保されているかを読み取ることが大切です。
職務上知り得た秘密を保持する権利と義務があります。相談者が不利な事情も話せる基盤です。
依頼者、相手方、行政、裁判所、世論、所属組織から不当な影響を受けず、専門職として判断します。
複数の依頼者や過去の依頼者との関係で、忠実に職務を行えなくなる危険を確認します。
弁護士または弁護士法人でない者が、報酬目的で法律事務を扱うことには制限があります。
離婚事件で一方の相談を受けた弁護士が相手方の代理人になる、企業間紛争で過去に相手方の機密情報を得ていた、といった場面は利益相反が問題になります。相談予約時に相手方の名前を確認するのは、形式的な手続ではなく信頼確保のためです。
AI契約レビューや法務支援サービスも、弁護士法72条との関係が問題になることがあります。法務省は、AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスについて、個別事情に基づく判断が必要であり、最終的には裁判所の判断に委ねられると説明しています。
企業内弁護士、社外役員、破産管財人、成年後見人、第三者委員などの派生的役割です。
弁護士は、法律事務所で依頼者を代理するだけではありません。資格と実務経験を生かし、企業、裁判所、福祉、ガバナンス、紛争解決の現場で多様な役割を担います。
次の比較表は、弁護士資格を生かす代表的な役割を示します。依頼者代理と中立的な管理・調査の役割が混在している点を読み取ると、弁護士の仕事・職業の広がりが見えます。
| 役割 | 概要 | 主な場面 |
|---|---|---|
| 企業内弁護士 | 会社の中で契約、コンプライアンス、M&A、紛争対応を担います。 | 法務部、リスク管理、経営企画、海外事業 |
| 社外取締役 | 法律、ガバナンス、不祥事対応の観点から経営を監督します。 | 上場企業、成長企業、危機管理 |
| 監査役・監査等委員 | 会社の適法性、内部統制、取締役の職務執行を監査します。 | 会社法、内部統制、取締役会 |
| 破産管財人 | 破産財産を管理・換価し、債権者へ配当します。 | 破産手続、財産調査、免責意見 |
| 成年後見人 | 判断能力が不十分な本人の財産管理や法律行為を支援します。 | 福祉、相続、施設入所、契約 |
| 遺言執行者 | 遺言の内容を実現します。 | 相続、財産移転、遺言手続 |
| 仲裁人・調停人 | 裁判外の紛争解決手続で中立的に関与します。 | 企業間紛争、国際仲裁、ADR |
| 第三者委員会委員 | 企業不祥事などを外部の立場で調査し、原因分析と提言を行います。 | 会計不正、品質不正、情報漏えい、ハラスメント |
企業内弁護士は、契約審査、法令遵守、紛争対応、M&A、個人情報、労務、危機管理、内部通報、取締役会・株主総会、海外法務などを担当します。日本組織内弁護士協会の統計では、企業内弁護士数は2001年の66人から2025年6月時点の3,596人へ増え、2025年6月30日時点の登録弁護士総数47,040人に占める割合は7.6%とされています。
破産管財人は破産者の代理人ではなく、裁判所の監督の下で破産財団を公平に管理します。成年後見人は、認知症、知的障害、精神障害などにより一人で判断することに不安がある人の契約や手続を支援します。
司法書士、行政書士、弁理士、税理士、社会保険労務士などとの違いです。
弁護士の仕事・職業を正確に理解するには、周辺資格との違いを知る必要があります。各資格には独自の制度目的と業務範囲があり、連携する場面も多くあります。
次の比較表は、弁護士に近い法律系国家資格・専門職の主な業務を整理したものです。どの専門家が何を得意とするかを把握すると、相談先を選ぶときの迷いを減らせます。
| 職業 | 主な業務 | 弁護士との関係 |
|---|---|---|
| 司法書士 | 不動産登記、商業登記、裁判所提出書類、簡裁代理、成年後見 | 登記、相続、簡裁事件で連携が多い専門職です。 |
| 行政書士 | 官公署提出書類、許認可、契約書作成、在留資格など | 許認可や行政手続で連携します。 |
| 弁理士 | 特許、実用新案、意匠、商標、知財出願 | 知財訴訟やライセンスで弁護士と連携します。 |
| 税理士 | 税務代理、税務書類作成、税務相談 | 相続、M&A、事業承継、税務紛争で連携します。 |
| 社会保険労務士 | 労働社会保険手続、労務管理、年金、ADR | 労務法務、就業規則、労働紛争で連携します。 |
| 土地家屋調査士 | 表示登記、境界、測量 | 不動産、境界、相続で連携します。 |
| 公認会計士 | 監査、会計、内部統制、財務調査 | 不祥事調査、M&A、事業再生で連携します。 |
| 海事代理士 | 船舶・海運関係の手続 | 海事法務で連携することがあります。 |
司法書士は登記や簡易裁判所での代理、行政書士は官公署提出書類や許認可、弁理士は知的財産、税理士は税務、社会保険労務士は労働社会保険手続を中心に扱います。弁護士は、紛争性が高い場面、代理交渉、訴訟、刑事弁護、複数領域をまたぐ案件で関与することが多くなります。
裁判所、検察、矯正、更生保護などの職種も司法制度を動かしています。
弁護士の仕事は、裁判官・検察官だけでなく、司法制度を支える多くの職種と関わります。裁判所や検察庁、矯正、更生保護、入管の職種は、事件の手続や社会復帰支援に関わります。
次の比較表は、司法制度を支える職種の役割を整理したものです。弁護士が提出する書面や証拠は、これらの職種による手続運営と結びついて処理されます。
| 職種 | 役割 |
|---|---|
| 裁判所書記官 | 法廷立会、調書作成、記録管理、手続進行、法令・判例調査を担います。 |
| 家庭裁判所調査官 | 家庭事件・少年事件で当事者や環境を調査します。 |
| 裁判所事務官 | 裁判所の事務運営を支えます。 |
| 執行官 | 民事執行の現場実施に関与します。 |
| 検察事務官 | 検察官の捜査・公判・検務を支えます。 |
| 保護観察官・保護司 | 更生保護、再犯防止、社会復帰支援に関わります。 |
| 法務教官・刑務官 | 矯正施設で教育、指導、処遇、保安に関わります。 |
| 入国審査官 | 在留資格、退去強制手続などに関わります。 |
裁判所書記官は裁判手続の進行や記録管理を担い、家庭裁判所調査官は家庭事件や少年事件で当事者の事情を調査します。検察事務官は検察官の指揮を受け、犯罪捜査や罰金徴収などの事務を担います。
企業法務、官公庁、国際・公共・人権、研究教育、出版、リーガルテックまで見ます。
弁護士資格を持たなくても、法律に近い仕事をする職種は多くあります。企業、官公庁、国際機関、大学、出版、メディア、リーガルテックは、弁護士の仕事・職業と密接につながる領域です。
次の一覧は、企業・公共・教育・テック領域で法律知識が使われる場面を整理したものです。法律専門職が単独で動くのではなく、組織内外の職種と連携して課題を処理する点を読み取れます。
国家公務員、法制局関係職、自治体法務、政策秘書、消費者行政、労働行政、外交、国際交渉などがあります。
国際機関の法務官、国際仲裁実務家、NGO・NPOの法務担当、難民支援、人権調査などがあります。
大学教授、法科大学院教授、実務家教員、司法試験講師、法律書編集者、判例データベース編集者が制度や知識を支えます。
パラリーガル、リーガルアシスタント、法律事務職員、文書レビュー、eディスカバリ、フォレンジック調査、法務リサーチャー、通訳、翻訳、鑑定人が関わります。
法律ジャーナリスト、法律監修者、法律書編集者、契約レビュー、電子契約、判例検索、案件管理などの開発者が関わります。
法学部、法科大学院、研究機関、シンクタンク、法律出版社、司法試験予備校は、法律知識を体系化し、制度を研究し、専門家を育成します。文部科学省は、法曹になるには原則として法科大学院を修了し、司法試験に合格し、司法修習を終了する必要があると説明しています。予備試験合格により法科大学院を経由せず司法試験を受験できる制度もあります。
大型訴訟、国際仲裁、企業不祥事調査では、弁護士だけでなく、公認会計士、ITフォレンジック専門家、翻訳者、調査会社、リサーチャーがチームで動くことがあります。リーガルテックは業務効率を高めますが、個別事情の評価や代理交渉まで自動的に担うものではありません。
法律事務所、企業内、公的機関、研究教育・出版・テックで働き方が変わります。
弁護士の働き方は、法律事務所勤務・独立開業だけではありません。大規模事務所、地域密着型事務所、企業内、公的機関、自治体、国際機関、研究教育、出版、リーガルテックなどへ広がっています。
次の時系列は、弁護士の仕事・職業を取り巻く働き方の広がりを、典型的な移動や発展の順番として整理したものです。資格取得後も、経験分野と働く場所によって役割が変化することを読み取れます。
民事、刑事、家事、企業法務、倒産、労働、不動産など、案件処理の基礎を身につけます。
M&A、金融、知財、国際取引、家事、相続、労働、刑事、ITなどへ専門分化します。
企業内弁護士、任期付公務員、自治体内弁護士、法テラス、国際機関、NPOなどで働きます。
法科大学院、司法試験講師、法律書、判例データベース、リーガルテック、法務メディアにも関わります。
大規模事務所ではM&A、金融、国際取引、知財、独占禁止法、大型訴訟などの専門分化が進みます。地域密着型事務所では、離婚、相続、交通事故、債務整理、労働、不動産、刑事など幅広い事件を扱うことが多くなります。
企業内弁護士は社内意思決定に近い位置で迅速な助言とリスク判断を行い、公的機関や自治体で働く弁護士は公共性の高い課題に関わります。研究・教育・出版・テック分野では、法律知識を整理し、制度やサービスとして広く届ける役割を担います。
相談を検討しやすい場面、選ぶ視点、費用項目を一般的に整理します。
弁護士を探すときは、「どの弁護士でも同じ」と考えず、案件の種類と弁護士の経験分野が合っているかを確認することが重要です。裁判所、警察、検察、行政機関、弁護士から書類が届いた場合や、期限、時効、控訴期間、行政不服申立期間が迫っている場合は、早期に相談先を検討しやすい場面です。
次の一覧は、弁護士を選ぶときの確認項目を整理したものです。専門分野だけでなく、説明、連絡、費用、相性を分けて見ることで、相談後の認識違いを減らせます。
相続、労働、刑事、企業法務、知財、倒産、国際など、案件に合う経験があるかを確認します。
事実、証拠、法律、見通し、費用、リスクを分けて説明できるかを見ます。
連絡方法、返信目安、報告頻度、担当者、緊急時対応を確認します。
相談料、着手金、報酬金、手数料、日当、実費、顧問料、追加費用の説明を確認します。
秘密に関わる事情を話すため、聴く姿勢、質問の仕方、現実的な提案があるかを見ます。
費用を検討するときは、安さだけでなく、事件の規模、専門性、対応スピード、相手方の態度、回収可能性を総合的に見る必要があります。次の比較表は、弁護士費用の基本項目と意味を整理したものです。
| 費目 | 意味 |
|---|---|
| 相談料 | 法律相談に対する費用です。 |
| 着手金 | 事件を依頼するときに支払う費用で、結果にかかわらず発生することが多い費用です。 |
| 報酬金 | 成功・解決結果に応じて支払う費用です。 |
| 手数料 | 契約書作成、遺言作成、会社手続などの費用です。 |
| 顧問料 | 継続的な法律相談・契約審査などの月額費用です。 |
| 日当 | 遠方出張、期日出頭などに伴う費用です。 |
| 実費 | 印紙、郵券、交通費、謄写費、鑑定費、翻訳費などです。 |
問題が小さいうちに相談すれば、裁判を避けられる場合があります。証拠が残っているうちに相談すれば、選択肢が広がります。相手方や行政機関から書類が届いた段階では、期限を失わないことが重要です。
デジタル化、専門分化、法的アクセス、よくある誤解、用語をまとめます。
弁護士の仕事・職業は、裁判手続のデジタル化、AIを含むリーガルテック、専門分化、法的アクセスの改善によって変化しています。2026年5月21日からは、改正民事訴訟法・改正民事訴訟規則の下で民事訴訟手続が全面的にデジタル化され、弁護士などの訴訟代理人等にはオンライン手続が義務化される予定です。
次の要点整理は、今後の変化を理解するためのものです。単にAIで仕事が置き換わるかではなく、専門分野の深さと他職種をつなぐ総合力が重要になる点を読み取れます。
スタートアップ法務には会社法、金融、税務、労務、知財、個人情報、国際契約が関わります。高齢者の相続問題には、家事、税務、不動産、成年後見、福祉が関わります。
法的サービスへのアクセスも重要です。経済的に余裕のない人、地方在住者、外国人、高齢者、障害者、子ども、犯罪被害者、DV被害者、消費者、労働者などが適切な法的支援を受けられるかは、社会の公正に直結します。
一般的には、弁護士相談の目的は裁判を起こすことに限られないとされています。交渉、調停、契約修正、証拠確保、社内対応など、裁判を避けるための整理もあります。ただし、事案の内容、証拠、相手方の対応、期限によって結論が変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、弁護士は依頼者の利益を守る立場ですが、法令や倫理に反する行為はできないとされています。虚偽主張、証拠隠し、相手方への不当圧力、違法行為への加担は許されません。ただし、具体的な職務範囲や方針は委任契約、証拠関係、法令上の制約で変わる可能性があります。具体的な対応は、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、弁護士の仕事は法律知識だけでなく、手続代理権、職業倫理、守秘義務、訴訟経験、証拠評価、交渉、責任体制を伴うものとされています。また、弁護士法上、非弁行為には制限があります。ただし、個別サービスや業務範囲によって法的評価が変わる可能性があります。具体的には弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
一般的には、AIは一般的なリスク指摘や作業効率化に有用とされています。ただし、個別事情、交渉力学、業界慣行、相手方との関係、紛争時の立証可能性、法的責任、非弁規制を総合判断するには、専門職の関与が重要になる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。
最後に、弁護士の仕事・職業を理解するための主要用語を一覧にします。相談や記事を読むときに、言葉の意味を取り違えないことが重要です。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 弁護士 | 法律相談、交渉、訴訟、刑事弁護、契約書作成、法律意見書作成などを行う法律専門職です。 |
| 法曹三者 | 弁護士、裁判官、検察官を指す一般的な呼称です。 |
| 訴訟代理人 | 民事訴訟などで当事者を代理して手続を行う者です。弁護士が典型です。 |
| 弁護人 | 刑事事件で被疑者・被告人の防御権を守る者です。 |
| 民事事件 | 私人間・企業間などの権利義務をめぐる紛争です。 |
| 刑事事件 | 犯罪の成否や刑罰を扱う事件です。 |
| 家事事件 | 離婚、親権、相続、成年後見など家庭に関する事件です。 |
| 行政事件 | 行政処分、行政不服申立て、取消訴訟など行政との関係で生じる事件です。 |
| 非訟事件 | 通常の訴訟とは異なる裁判所手続で、会社、後見、相続、借地借家などに関するものがあります。 |
| ADR | 裁判外紛争解決手続です。調停、仲裁、あっせんなどがあります。 |
| 利益相反 | 弁護士の職務が、複数の依頼者や過去の依頼者の利益と衝突する状態です。 |
| 守秘義務 | 職務上知った秘密を守る義務です。 |
| 破産管財人 | 破産手続で財産を管理・換価し、債権者への配当等を行う者です。 |
| 成年後見人 | 判断能力が不十分な本人を支援し、財産管理や法律行為を行う者です。 |
| 企業内弁護士 | 企業等の組織内で役員・従業員として働く弁護士です。 |
| リーガルテック | 契約レビュー、電子契約、判例検索、文書管理など、法律実務を支援する技術・サービスです。 |
弁護士の仕事・職業を理解することは、単なる職業研究ではありません。自分、家族、会社、地域社会が法的問題に直面したとき、どの専門家に何を相談するかを判断するための基礎知識になります。
制度、手続、資格、統計に関する公的・職能団体資料を中心に確認しています。