2σ Guide

企業の謝罪会見で
法的に気をつけるべきポイント

謝罪、事実説明、法的評価、被害拡大防止、補償、再発防止、追加公表を切り分け、誠実さと法的慎重さを両立させるための実務ポイントを整理します。

5基準 発言前に確認する観点
4分類 会見前の事実整理
10項目 冒頭説明の基本構成
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企業の謝罪会見で 法的に気をつけるべきポイント

謝罪、事実説明、法的評価、被害拡大防止、補償、再発防止、追加公表を切り分け、誠実さと法的慎重さを両立させるための実務ポイントを整理します。

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企業の謝罪会見で 法的に気をつけるべきポイント
謝罪、事実説明、法的評価、被害拡大防止、補償、再発防止、追加公表を切り分け、誠実さと法的慎重さを両立させるための実務ポイントを整理します。
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  • 企業の謝罪会見で 法的に気をつけるべきポイント
  • 謝罪、事実説明、法的評価、被害拡大防止、補償、再発防止、追加公表を切り分け、誠実さと法的慎重さを両立させるための実務ポイントを整理します。

POINT 1

  • 企業の謝罪会見で法的に最も重要なポイント
  • 謝罪会見は広報イベントにとどまらず、将来の手続で参照され得る公開文書に近い性質を持ちます。
  • 法令適合性
  • 被害拡大防止性
  • 証拠・責任管理性

POINT 2

  • 企業の謝罪会見で混同しやすい責任と基本概念
  • 謝罪、法的責任、経営責任、説明責任を分けて話すことが出発点です。
  • 謝罪会見
  • 発言の証拠価値
  • 個人情報・通報者情報

POINT 3

  • 企業の謝罪会見前に必ず行う法的チェック
  • 1. 事案分類:不祥事を法的リスクの類型として分類します。
  • 2. 法定報告・行政対応:個人情報、製品事故、食品回収、適時開示、業法報告、警察相談などを確認します。
  • 3. 事実を4分類:確認済み、高い可能性、未確認、公表不可に分けます。
  • 4. 証拠保全:メール、ログ、端末、広告素材、顧客対応履歴、承認履歴を保存します。
  • 5. 発言権限:代表者、担当役員、法務、外部専門家がどの質問に答えるかを決めます。

POINT 4

  • 企業の謝罪会見で避けるべき表現と望ましい表現
  • 断定、責任転嫁、補償約束、隠蔽印象を避け、確認済み事実と対応方針を分けます。
  • 安全な基本構文
  • 調査範囲
  • 調査方法

POINT 5

  • 企業の謝罪会見で民事・刑事・行政・会社法上注意すること
  • 対象者
  • 誰が対象者か、法人顧客、海外顧客、未成年者、代理店経由顧客をどう扱うかを整理します。
  • 対象範囲
  • 対象期間、直接損害、間接損害、逸失利益、慰謝料を含むかを確認します。

POINT 6

  • 企業の謝罪会見で個人情報・名誉・信用を守るポイント
  • 被害者情報
  • 氏名、年齢、性別、居住地域、所属部署、病名、障害、家族関係、相談内容を不用意に出しません。
  • 通報者情報
  • どの部署から通報があったか、どの時期に誰が相談したかなど、社内で特定される情報も控えます。

POINT 7

  • 企業の謝罪会見で上場会社・消費者・製品事故に注意すること
  • 1. 開示要否を確認:IR、法務、証券代行、主幹事証券、監査法人等と、投資判断上重要な情報かを確認します。
  • 2. 適時開示文書を作成:確認済み事実、未確認事項、業績影響、今後の見通しを区別します。
  • 3. 正式開示とウェブ掲載:TDnet等で正式開示し、会社ウェブサイトに掲載します。
  • 4. 会見資料・質疑応答を整合:質疑応答で未開示の重要情報を出さず、新事実が出た場合は追加開示を検討します。

POINT 8

  • 企業の謝罪会見当日と会見後の運営ポイント
  • 1. 謝罪と事案概要:迷惑・心配をかけたことへの謝意を述べ、事案の概要を確認済み範囲で示します。
  • 2. 確認済み事実と調査中事項:分かっていること、分かっていないこと、調査中の事項を分けて説明します。
  • 3. 被害拡大防止と対象者行動:利用停止、返品、本人通知、問い合わせ窓口など、関係者が取るべき行動を明示します。
  • 4. 当局対応・補償・再発防止:関係当局への報告・相談状況、決定済みの補償・返金・回収方法、再発防止策の検討状況を示します。
  • 5. 今後の公表予定:新たに公表すべき事実が判明した場合の公表方法と更新予定を示します。

まとめ

  • 企業の謝罪会見で 法的に気をつけるべきポイント
  • 企業の謝罪会見で法的に最も重要なポイント:謝罪会見は広報イベントにとどまらず、将来の手続で参照され得る公開文書に近い性質を持ちます。
  • 企業の謝罪会見で混同しやすい責任と基本概念:謝罪、法的責任、経営責任、説明責任を分けて話すことが出発点です。
  • 企業の謝罪会見前に必ず行う法的チェック:事案分類、法定報告、事実分類、証拠保全、発言権限を順に確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

企業の謝罪会見で法的に最も重要なポイント

謝罪会見は広報イベントにとどまらず、将来の手続で参照され得る公開文書に近い性質を持ちます。

企業の謝罪会見は、単なる広報イベントではありません。将来の訴訟、行政調査、刑事手続、株主対応、被害者対応、個人情報対応、信用回復措置に影響する、公開された法的文書に近い性質を持ちます。そのため、誠実に謝罪しながら、未確認事項を断定せず、必要な情報を迅速に出す設計が必要です。

次の一覧は、会見で発する言葉を確認する5つの基準です。各項目は、何を話すかだけでなく、何をまだ断定しないかを決めるために重要です。5つを横並びで見ると、正確性、限定、法令適合、被害拡大防止、責任管理を同時に満たす必要があることが分かります。

Truth

真実性

現時点で確認できた事実か。推測、伝聞、希望的観測、社内の未検証情報を断定していないかを確認します。

Scope

限定性

「現時点で確認している限り」「調査中」「原因は特定中」など、発言の範囲を適切に限定します。

Law

法令適合性

個人情報、名誉、営業秘密、インサイダー情報、捜査情報、契約上の秘密保持義務、業法上の報告義務を確認します。

Care

被害拡大防止性

被害者、利用者、消費者、取引先、株主、従業員が次に何をすべきか分かる情報を提供します。

Proof

証拠・責任管理性

会社や役員の法的責任を不必要に拡大せず、一方で責任回避に見える不誠実な表現も避けます。

結論良い謝罪会見とは、確認済み事実を隠さず、未確認事項を断定せず、被害者・消費者・利用者の安全を優先し、法定報告・適時開示と整合し、追加公表と再発防止まで責任を持つ会見です。
Section 01

企業の謝罪会見で混同しやすい責任と基本概念

謝罪、法的責任、経営責任、説明責任を分けて話すことが出発点です。

謝罪会見では、「謝罪すること」と「すべての法的責任を認めること」が混同されがちです。次の比較表は、法的責任、経営責任、説明責任の違いを整理しています。左列で責任の種類を、中央で意味を、右列で会見上の注意点を確認してください。

概念意味会見での注意点
法的責任民事責任、刑事責任、行政上の責任、業法違反、役員責任など断定には法的検討が必要です。過失、因果関係、損害、違法性を確認します。
経営責任経営判断、監督体制、内部統制、組織文化に関する責任法的責任と別に、役員報酬減額、辞任、再発防止策などが問題になります。
説明責任社会、顧客、株主、取引先に対し透明性をもって説明する責任法的責任が未確定でも、確認済み事実と対応方針を説明できます。

次の一覧は、謝罪会見で押さえる基本概念をまとめたものです。概念ごとに「どこまで話せるか」「何を伏せるべきか」が変わるため、会見案文と想定問答の前提として重要です。各項目から、公表範囲と権利侵害リスクの関係を読み取ってください。

Apology

謝罪会見

企業が不祥事、事故、違法行為のおそれ、社会的批判を受けて、謝罪、事実説明、原因説明、再発防止策、被害者対応、今後の調査方針を公に説明する場です。

Evidence

発言の証拠価値

会見での発言は、訴訟上の裁判上の自白そのものではないとしても、会社の認識や事実経過を示す資料として参照され得ます。

Privacy

個人情報・通報者情報

個人名、住所、勤務先、病歴、家族関係、相談内容、通報者情報を明らかにすると、二次被害を生むことがあります。

Disclosure

適時開示

上場会社では、投資判断に重要な情報を会見で先に話すのではなく、正式な開示、IR資料、会見資料、質疑応答を整合させます。

Committee

第三者委員会

重大不祥事では、調査の客観性・透明性を確保する選択肢になりますが、設置すれば直ちに説明責任が消えるわけではありません。

Section 02

企業の謝罪会見前に必ず行う法的チェック

事案分類、法定報告、事実分類、証拠保全、発言権限を順に確認します。

会見前の確認は、広報案件としてではなく法的リスクの類型として始める必要があります。次の表は、不祥事類型と主要な法的論点を整理したものです。左列で事案の種類を特定し、右列で報告先、本人通知、証拠保全、当局対応などの論点を読み取ってください。

類型主要な法的論点
個人情報漏えい・サイバー攻撃個人情報保護委員会への報告、本人通知、被害拡大防止、公表、警察相談、委託先責任
製品事故・リコール消費生活用製品安全法、消費者安全法、製造物責任、消費者への注意喚起、行政報告
食品・医薬・健康被害食品衛生法、食品表示法、薬機法、景品表示法、健康被害情報、回収報告
不当表示・広告問題景品表示法、優良誤認・有利誤認、不実証広告規制、返金措置、措置命令・課徴金
会計不正・開示不正金融商品取引法、適時開示、有価証券報告書、監査法人対応、内部統制、株主対応
役職員の不正・横領・背任刑事告訴、証拠保全、労務処分、役員責任、再発防止策
ハラスメント・労務問題労働法、個人情報、プライバシー、被害者保護、加害者処分、再発防止
カルテル・談合・下請問題独占禁止法、下請法、公正取引委員会対応、リニエンシー、取引先対応
反社会的勢力・AML取引排除、犯罪収益移転防止、金融機関・取引先対応、警察・行政対応
SNS炎上・不適切投稿名誉毀損、肖像権、著作権、個人情報、従業員処分、二次拡散対策

次の判断の流れは、会見前に確認する5段階を示しています。上から順に、類型、法定報告、事実分類、証拠保全、発言権限へ進む構成です。どこかを飛ばすと、会見で言ってよいことと控えるべきことの線引きが崩れる点を読み取ってください。

会見前チェックの順番

事案分類

不祥事を法的リスクの類型として分類します。

法定報告・行政対応

個人情報、製品事故、食品回収、適時開示、業法報告、警察相談などを確認します。

事実を4分類

確認済み、高い可能性、未確認、公表不可に分けます。

証拠保全

メール、ログ、端末、広告素材、顧客対応履歴、承認履歴を保存します。

発言権限

代表者、担当役員、法務、外部専門家がどの質問に答えるかを決めます。

会見で最も危険なのは、未確認情報を確認済み事実のように話すことです。次の表は、事実の4分類と会見での表現を対応させています。分類ごとに言い方を変えることで、透明性を保ちながら不用意な断定を避けられます。

分類会見での表現
確認済み事実発生日、影響を受けたシステム、対象商品、判明経緯確認している事実は次のとおりです
高い可能性があるが未確定原因候補、影響人数の概算、関与部署可能性が高いと考えていますが、調査中です
未確認情報SNS情報、報道、従業員の噂、第三者の証言現時点で確認できていません
公表不可情報個人情報、営業秘密、捜査情報、契約上の秘密関係者のプライバシー・調査への影響を踏まえ、詳細は差し控えます
Section 03

企業の謝罪会見で避けるべき表現と望ましい表現

断定、責任転嫁、補償約束、隠蔽印象を避け、確認済み事実と対応方針を分けます。

会見案文では、短い一言が後の紛争や行政対応に影響します。次の表は、避けるべき表現、問題点、代替表現を対応させたものです。右列の表現は、責任逃れではなく、確認済み事実と調査中事項を分けるための言い換えとして読み取ってください。

避けるべき表現問題点代替表現
当社に法的責任はありません早期断定。被害者・行政・裁判所の心証を悪化させるおそれがあります。法的評価については調査・確認中ですが、被害拡大防止と原因究明に取り組みます。
担当者が勝手にやったことです個人への責任転嫁、名誉・労務問題、組織的原因の軽視につながります。関係者への確認を含め、業務プロセスと管理体制の両面から調査します。
被害はありません後に被害判明時、虚偽・過小説明と評価される可能性があります。現時点で確認された被害はありませんが、調査を継続しています。
原因は〇〇です原因未確定段階での断定は危険です。現時点では〇〇が原因の一つである可能性を調査しています。
全額補償します補償範囲・対象・因果関係が未整理だと紛争を拡大します。被害状況を確認し、法令・契約・個別事情を踏まえて誠実に対応します。
二度と起こしません絶対保証に近い表現で、再発時の批判が大きくなります。再発防止策を実施し、継続的に検証・改善します。
詳細は言えませんだけ隠蔽に見えます。関係者のプライバシーと調査への影響を踏まえ、詳細は差し控えます。公表可能になった事項は速やかにお知らせします。
報道は事実無根です一部事実がある場合に危険です。報道のうち〇〇については確認中です。現時点で確認できている事実は〇〇です。

次の重要ポイントは、謝罪、事実、未確定事項、対応、追加公表を分ける基本構文を示しています。読み取るべき点は、謝意を示しつつも、原因・影響範囲・法的評価の未確認部分を断定しない構造です。

安全な基本構文

本日現在確認している事実、現在調査中である事項、被害拡大防止策、関係当局への報告、対象者への連絡、再発防止策の検討、次回公表予定を分けて説明します。

限定表現は便利ですが、多用すると責任逃れに見えます。次の一覧は、限定表現に添えるべき情報を整理したものです。調査範囲、調査方法、次の公表時期を合わせて示すと、透明性が高まることを読み取ってください。

Range

調査範囲

対象期間、対象ログ、対象商品、対象顧客を示し、数値が変動する可能性を説明します。

Method

調査方法

資料確認、ログ調査、関係者聴取、外部専門家の関与など、確認方法を言える範囲で示します。

Update

次回更新

次にいつ、どの媒体で、どの事項を公表する予定かを示します。

Section 04

企業の謝罪会見で民事・刑事・行政・会社法上注意すること

補償発言、捜査・行政調査、役員責任を切り分けて説明します。

謝罪会見では、民事責任、刑事・行政責任、会社法上の役員責任が同時に問題になります。次の比較表は、各領域で注意すべき発言をまとめたものです。どの責任について話しているのかを明確にし、個別の法的評価を急がないことが重要です。

観点注意すべき内容会見での基本姿勢
民事責任違法性、故意・過失、損害、因果関係、損害額、免責・過失相殺・契約上の制限被害状況を確認し、法令・契約・個別事情を踏まえて誠実に対応すると述べます。
補償・返金・見舞金対象者、対象期間、直接損害、間接損害、逸失利益、慰謝料、証明資料、約款、保険対象者、対象範囲、手続を整理し、専用窓口で案内すると述べます。
刑事事件化横領、背任、詐欺、業務上過失致死傷、贈収賄、インサイダー取引、粉飾決算、談合、営業秘密侵害犯罪の有無、告訴予定、本人の認否を慎重に扱い、捜査・調査への影響を避けます。
行政調査景品表示法、金融商品取引法、個人情報保護法、独占禁止法、業法上の報告・調査関係当局への報告・相談状況、協力姿勢、法令評価は確認中であることを整理します。
会社法・役員責任善管注意義務、忠実義務、損害拡大、取締役会、監査役、社外取締役、第三者委員会トップの謝罪とトップ個人の法的責任を分け、経営として検証する範囲を明示します。

補償に関する発言は、会見で最も紛争化しやすい領域の一つです。次の一覧は、補償・返金・見舞金を述べる前に確認する項目です。対象、範囲、証明、契約、保険の各条件を読み取り、会見で未決定事項を約束しないようにします。

対象者

誰が対象者か、法人顧客、海外顧客、未成年者、代理店経由顧客をどう扱うかを整理します。

対象範囲

対象期間、直接損害、間接損害、逸失利益、慰謝料を含むかを確認します。

証明資料

申告だけで足りるのか、契約番号、注文番号、領収書、被害資料が必要かを確認します。

契約・保険

契約約款、免責条項、保険契約、返金、交換、無償修理、見舞金の位置づけを分けます。

会見と示談謝罪文は社会的・道義的な説明文であり、示談書は権利義務を確定させる契約です。会見で示談条件のような具体的約束を不用意に述べると、後の個別交渉に影響します。
Section 05

企業の謝罪会見で個人情報・名誉・信用を守るポイント

被害者、通報者、従業員、取引先を特定させる情報を出しすぎないことが重要です。

個人情報漏えい、ハラスメント、事故、医療・健康被害、学校・福祉・金融などの事案では、会見で出す情報が二次被害を生むことがあります。次の一覧は、公表を控えるべき情報を整理したものです。具体的な氏名だけでなく、組み合わせで個人が特定される情報にも注意することを読み取ってください。

被害者情報

氏名、年齢、性別、居住地域、所属部署、病名、障害、家族関係、相談内容を不用意に出しません。

通報者情報

どの部署から通報があったか、どの時期に誰が相談したかなど、社内で特定される情報も控えます。

調査中の人物

関係者の証言が食い違う段階で、個人を犯人扱いする発言は避けます。

取引先・委託先

契約上の秘密保持義務、事故時公表条項、相手方との事実認識、共同発表の可否を確認します。

個人名や取引先名を出すかは、法的義務、公益性、被害拡大防止、真実性、反論機会、秘密保持義務を総合して判断します。次の表では、公表検討時の基準を整理しています。各列を確認し、名称公表が本当に必要かを読み取ってください。

確認項目見るべきポイント
法的義務その人物・企業名を出す法的義務があるか。
既公表性既に公的機関や本人が公表しているか。
被害拡大防止名称公表が安全確保や注意喚起に必要か。
根拠資料公表内容が真実で、根拠資料があるか。
反論機会相手方に確認・反論の機会を与えたか。
権利侵害名誉、信用、プライバシー、営業秘密への影響を検討したか。
契約関係秘密保持義務、公表条項、求償関係に反しないか。
労務事案ハラスメントや労務問題では、被害者の所属、年齢、性別、経歴を特定できる形で説明したり、被害者にも問題があったように見える表現を用いたりすると、二次被害につながります。
Section 06

企業の謝罪会見で上場会社・消費者・製品事故に注意すること

適時開示、消費者への注意喚起、リコール情報は会見と整合させます。

上場会社の会見では、投資判断上重要な情報を会見で先に出さないよう、正式開示、IR資料、会見資料、質疑応答を整合させます。次の時系列は、適時開示と会見の順序を示しています。上から下へ進めると、公平・迅速・正確な情報開示を保つ流れが分かります。

Step 1

開示要否を確認

IR、法務、証券代行、主幹事証券、監査法人等と、投資判断上重要な情報かを確認します。

Step 2

適時開示文書を作成

確認済み事実、未確認事項、業績影響、今後の見通しを区別します。

Step 3

正式開示とウェブ掲載

TDnet等で正式開示し、会社ウェブサイトに掲載します。

Step 4

会見資料・質疑応答を整合

質疑応答で未開示の重要情報を出さず、新事実が出た場合は追加開示を検討します。

消費者法、表示規制、製品事故、食品リコールでは、社会的評価の回復よりも被害拡大防止を優先します。次の一覧は、消費者や利用者に具体的に伝えるべき項目を整理したものです。対象、危険、行動、窓口がそろっているかを読み取ってください。

景品表示法・広告問題

問題となった表示の媒体、期間、対象商品・サービス、誤認可能性、根拠資料、表示審査体制、返金措置、行政対応を確認します。

表示管理

返金・自主回収

対象商品、対象期間、ロット番号、注文番号、返金・交換・回収方法、送料負担、問い合わせ先、期限を明示します。

手続明示

製品事故・食品リコール

対象製品・食品、型番、製造番号、販売期間、想定される危険、使用中止、返品、行政報告、原因調査を説明します。

安全優先

健康被害情報

医学的因果関係が未確定でも、安全確保を最優先に、使用・摂取を控える案内が必要になる場合があります。

注意喚起
表示規制不当表示問題では、事業者の主観より一般消費者にどのように受け取られるかが重要です。「その意味で表示していません」と意図だけを強調すると、反省がないように見えることがあります。
Section 07

企業の謝罪会見当日と会見後の運営ポイント

冒頭説明、会見資料、質疑応答、会見録、追加公表までを一連で管理します。

会見当日は、謝罪だけで終わらせず、関係者が具体的に何をすべきか分かる順序で説明します。次の一覧は、冒頭説明の基本構成を示しています。上から下へ進むことで、謝罪、事実、調査中事項、被害拡大防止、今後の公表予定が自然につながることを読み取ってください。

1

謝罪と事案概要

迷惑・心配をかけたことへの謝意を述べ、事案の概要を確認済み範囲で示します。

2

確認済み事実と調査中事項

分かっていること、分かっていないこと、調査中の事項を分けて説明します。

3

被害拡大防止と対象者行動

利用停止、返品、本人通知、問い合わせ窓口など、関係者が取るべき行動を明示します。

4

当局対応・補償・再発防止

関係当局への報告・相談状況、決定済みの補償・返金・回収方法、再発防止策の検討状況を示します。

5

今後の公表予定

新たに公表すべき事実が判明した場合の公表方法と更新予定を示します。

質疑応答では、仮定の質問、個人名、未確認情報、補償、業績影響、役員処分などで不用意な断定が生じやすくなります。次の比較表は、典型質問への回答方針を整理したものです。回答できない場合でも、理由と後日対応を示すことが重要です。

質問回答方針
法令違反を認めますか確認済み事実を説明し、法令上の評価は関係当局への報告・相談と専門家の助言を踏まえて確認中と述べます。
誰の責任ですか個人責任の断定は差し控え、業務プロセス、管理体制、教育、承認手続を含めて調査すると述べます。
被害者は何人ですか本日時点の確認数、調査対象、今後変動する可能性、更新方法を示します。
補償しますか被害状況を確認し、法令・契約・個別事情を踏まえて誠実に対応すると述べ、決定済みの範囲だけを説明します。
社長は辞任しますかまず被害拡大防止、原因究明、再発防止に取り組む責任があること、役員体制に決定事項があれば公表することを述べます。
報道されている内容は事実ですか確認している事実と確認中の事項を分けて答えます。

会見後は、会見録、訂正、追加公表、社内説明を継続管理します。次の一覧は、会見後に行うべき対応を整理したものです。会見は終点ではなく、継続開示と再発防止の起点であることを読み取ってください。

Record

会見録を確認する

事前案文と異なる発言、誤解を招く表現、未確認情報の断定、追加開示・訂正の必要性を確認します。

Update

追加公表のルールを決める

重要な新事実、影響範囲の変動、返金・回収方法、行政処分、調査結果、再発防止策の実施状況を管理します。

Internal

社内説明を行う

公式発表、問い合わせ対応、SNS投稿注意、証拠保全、相談窓口、被害者・関係者への配慮を伝えます。

Section 08

企業の謝罪会見で弁護士に相談すべきタイミングと会見用骨子

重要な発表ほど、会見案文と想定問答を早期に確認します。

法務・広報担当者が次のいずれかに該当すると判断した場合、できるだけ早く弁護士へ相談すべきとされています。次の一覧は、相談を急ぐべき場面を整理したものです。被害規模、行政・刑事・開示、役員関与、海外要素が重なるほど早期相談の必要性が高いと読み取れます。

人身・健康・多数被害

人身被害、健康被害、死亡事故、個人情報漏えいで多数の本人に影響する場合です。

高リスク

開示・行政・刑事

上場会社の業績・株価・開示、行政報告・行政処分、刑事事件化のおそれがある場合です。

期限注意

役員・通報者・従業員

役員・経営陣関与、内部通報者、被害者、従業員の保護が必要な場合です。

利益相反

取引先・海外・第三者委員会

取引先・委託先との責任分担、海外顧客・外国法、会見で個人名や企業名を出すか、第三者委員会を検討している場合です。

専門連携

会見用骨子は、個別事案に合わせて法務確認を行う前提で使います。次の表は、冒頭から今後の公表までの構成をまとめたものです。左列で項目を、右列で盛り込む内容を確認し、各項目を確認済み事実と調査中事項に分けて作成してください。

項目盛り込む内容
冒頭謝罪顧客、取引先、株主、従業員、関係者に迷惑と心配をかけていることへの謝意
確認済み事実本日時点で確認している発生日時、対象商品・サービス、影響範囲、数値の変動可能性
調査中事項原因、影響範囲、関係者の責任、法令上の評価は調査中であること
被害拡大防止利用停止、連絡先、対象者への案内、ウェブ掲載資料の所在
行政・関係機関対応必要な報告・相談を進め、関係当局の調査・確認に協力すること
補償・返金被害状況、法令、契約、個別事情を踏まえて対応し、決定済みの返金・交換・回収方法を示すこと
再発防止原因究明、管理体制の見直し、教育・監査体制の強化、外部専門家の関与
今後の公表新たに公表すべき事実が判明した場合の公表方法
相談資料弁護士に相談する際は、事案概要、時系列、関係者一覧、契約書・約款、問題資料、申告内容、社内メール、ログ、当局・監査法人とのやり取り、会見案文、想定問答、補償案、既に公表した文書を整理します。
Section 09

企業の謝罪会見でよくある質問

個別事案への断定を避け、一般的な考え方として整理します。

Q1. 謝罪すると、裁判で負けやすくなりますか。

一般的には、謝罪そのものが直ちに全面的な法的責任の承認になるわけではないとされています。ただし、会見で事実、過失、因果関係、損害範囲を断定すると、後に証拠として利用される可能性があります。具体的な表現は、事案の内容、被害状況、証拠関係、訴訟・行政対応の可能性によって変わるため、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 「お騒がせしました」は使ってよいですか。

一般的には、被害者や消費者が実際に損害・不安を受けている事案では、軽く聞こえる表現を避ける必要があります。「ご迷惑とご心配をおかけしました」「安全・信頼を損なう事態を招きました」など、事案の性質に応じた表現を検討します。

Q3. 「調査中」を理由に何も話さなくてよいですか。

一般的には、調査中でも、確認済み事実、被害拡大防止策、問い合わせ窓口、今後の公表予定は説明できるとされています。すべてを調査中としてしまうと、隠蔽や時間稼ぎと見られる可能性があります。

Q4. 役員が泣く、土下座するなどの演出は必要ですか。

一般的には、感情的演出よりも、誠実な謝意、正確な事実、被害者対応、再発防止策が重要とされています。演出が事実説明や再発防止策を弱める場合もあるため、会見の目的に照らして慎重に判断する必要があります。

Q5. 会見で個人名を出してよいですか。

一般的には、個人名公表に法的義務や強い公益性がない場合、個人情報、プライバシー、名誉、労務上の問題が生じる可能性があります。役員など社会的責任が大きい人物であっても、公表範囲と根拠を検討する必要があります。

Q6. 「第三者委員会を設置します」と言えば十分ですか。

一般的には、それだけでは十分とはいえません。委員の独立性、調査対象、調査範囲、報告書の公表方針が重要です。また、被害拡大防止や対象者通知など、調査を待たずに行うべき対応は別に進める必要があります。

Q7. SNSで虚偽情報が広がっている場合、法的措置を示唆すべきですか。

一般的には、明白な虚偽、なりすまし、脅迫、業務妨害、個人情報拡散などに対して、訂正、注意喚起、削除請求発信者情報開示、刑事告訴等を検討する余地があります。ただし、批判全般に対して法的措置を示唆すると、言論封殺と受け取られる可能性があります。

Q8. 記者から厳しい質問を受けたらどうすればよいですか。

一般的には、感情的に反論せず、確認済み事実、調査中事項、対応方針に戻ることが重要とされています。答えられない場合は、理由を説明し、後日回答の方法を示す必要があります。

Q9. 非上場会社でも適時開示のような考え方は必要ですか。

一般的には、法的な適時開示義務は上場会社特有の制度ですが、非上場会社でも取引先、金融機関、顧客、従業員、行政への適時・正確な説明は必要とされています。契約上の通知義務や業法上の報告義務がある場合もあります。

Q10. どこまで専門用語を使うべきですか。

一般的には、一般読者向けの会見で専門用語だけを使うことは避けるべきとされています。不実証広告規制、報告対象事態、適時開示、善管注意義務などを使う場合は、短い定義を添える必要があります。

Section 10

企業の謝罪会見の総合チェックリスト

会見前、会見中、会見後で見る項目を分けると、法務と広報の漏れを防げます。

謝罪会見は、準備、当日運営、会見後対応まで一連の手続として管理します。次の比較表は、会見前、会見中、会見後に確認する項目を分けたものです。時点ごとに確認対象が変わることを読み取り、会見だけで対応を終わらせないようにしてください。

時点主な確認項目
会見前事案類型、適用法令、法定報告、適時開示、証拠保全、事実分類、被害拡大防止、対象者通知、補償・返金・回収の仮整理、個人情報・名誉・営業秘密、第三者委員会、役員報告、案文と想定問答、社内外文書の整合
会見中謝罪と法的評価の区別、確認済み事実と調査中事項の区別、未確認事項の断定回避、個人名・被害者情報・通報者情報の管理、責任転嫁の回避、未決定補償の約束回避、業績影響の管理、回答不能事項の理由と後日対応、発言記録
会見後会見録、誤解を招く発言、訂正・追加公表、後日回答、顧客・被害者・取引先対応、行政・取引所・監査法人への追加報告、社内説明、証拠保全継続、再発防止策の実施記録、調査報告書の公表方針

最終的に、良い謝罪会見は言葉だけでなく、救済・改善につながる必要があります。次の重要ポイントは、会見で満たすべき条件をまとめています。確認済み事実、未確認事項、安全優先、権利保護、開示整合、責任区分、追加公表、再発防止がそろっているかを読み取ってください。

誠実に謝罪し、正確に限定し、必要な情報を迅速に出す

企業の謝罪会見で法的に気をつけるべきポイントは、謝るかどうかではなく、謝罪、事実説明、法的評価、被害拡大防止、補償、再発防止、追加公表を切り分けることです。

Reference

企業の謝罪会見に関する参考資料

法令・公的資料

  • e-Gov法令検索 民法
  • e-Gov法令検索 刑法
  • e-Gov法令検索 会社法
  • e-Gov法令検索 個人情報の保護に関する法律
  • 個人情報保護委員会 個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン 通則編
  • 個人情報保護委員会 漏えい等報告・本人への通知の義務化について
  • 日本取引所グループ 上場会社における不祥事対応のプリンシプル
  • 日本取引所グループ 会社情報適時開示ガイドブック
  • 証券取引等監視委員会 不公正取引規制違反に係る課徴金制度について
  • 日本弁護士連合会 企業等不祥事における第三者委員会ガイドライン
  • 消費者庁 景品表示法
  • 消費者庁 表示規制の概要
  • 消費者庁 公益通報者保護法と制度の概要
  • 厚生労働省 自主回収報告制度に関する情報
  • 消費者庁 消費生活用製品の重大製品事故に関する公表資料
  • 公正取引委員会 企業における独占禁止法コンプライアンス