2σ Guide

未払い金の回収に使える
支払督促の申立て方法

支払督促の制度要件、申立書作成、仮執行宣言、異議時の訴訟移行、強制執行までを実務の順番で整理します。

2週間送達後の異議期間
30日仮執行宣言の期限
60万円少額訴訟の目安
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未払い金の回収に使える 支払督促の申立て方法

支払督促の制度要件、申立書作成、仮執行宣言、異議時の訴訟移行、強制執行までを実務の順番で整理します。

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未払い金の回収に使える 支払督促の申立て方法
支払督促の制度要件、申立書作成、仮執行宣言、異議時の訴訟移行、強制執行までを実務の順番で整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 未払い金の回収に使える 支払督促の申立て方法
  • 支払督促の制度要件、申立書作成、仮執行宣言、異議時の訴訟移行、強制執行までを実務の順番で整理します。

POINT 1

  • 未払い金の回収に使える支払督促の全体像
  • 制度の簡易さだけでなく、異議、仮執行宣言、強制執行まで一体で理解します。
  • 債務者を審尋しない手続
  • 2週間と30日を管理
  • 執行対象の手掛かりが必要

POINT 2

  • 支払督促で回収を狙える未払い金と向き不向き
  • 向いている案件
  • 未払いの事実自体を大きく争っておらず、契約、納品、請求額を資料で説明でき、相手の住所・所在地が分かっている案件です。
  • 慎重に見る案件
  • 契約成立、品質不良、相殺、既払い、時効、損害額で争いがある案件では、異議後の訴訟対応を見込む必要があります。

POINT 3

  • 支払督促と他の未払い金回収手段の比較
  • 請求額、相手の態度、証拠、緊急性に応じて手段を選びます。
  • 未払い金回収では、支払督促以外にも、請求書再送、内容証明郵便、民事調停、少額訴訟、通常訴訟、仮差押え、強制執行があります。
  • 支払督促は、相手が異議を出さない可能性が高い場合に簡易性を生かしやすい手続です。
  • 列は手段、特徴、使いやすい場面を示しており、時間、争点、証拠、緊急性によって選択肢が変わることを読み取ります。

POINT 4

  • 支払督促の法的要件と申立前チェック
  • 金銭請求、送達、管轄、請求原因の特定を先に確認します。
  • 典型的には「金○円を支払え」という請求です。
  • 建物明渡しや謝罪広告などは原則として適しません。
  • 相手の住所・所在地が分からず公示送達が必要な場合、支払督促は利用できません。

POINT 5

  • 支払督促申立書の書き方と請求額の整理
  • 当事者、請求の趣旨、請求の原因、内訳表を正確に作ります。
  • 事実、日付、金額、根拠を短く固定する
  • 支払督促申立書では、感情的な非難ではなく、誰が、誰に、いくらを、なぜ、いつから支払うべきなのかを明確に書きます。
  • 法人相手では商号、本店所在地、代表者名を登記事項証明書に基づいて確認します。

POINT 6

  • 支払督促申立て後の流れと2週間・30日の期限
  • 1. 支払督促が債務者に送達:送達日が2週間の起算点になります。
  • 2. 2週間以内に督促異議があるか:異議の有無で進路が変わります。
  • 3. 通常訴訟へ移行:主張書面、証拠提出、期日対応を準備します。
  • 4. 仮執行宣言を申立て:申立可能時から30日以内の期限を管理します。

POINT 7

  • 支払督促に異議が出た場合と仮執行宣言の効力
  • 異議が出れば通常訴訟に移り、仮執行宣言後も執行停止の問題が残ります。
  • 主張書面の整備
  • 証拠の提出
  • 期日対応と和解協議

POINT 8

  • 支払督促から強制執行へ進む場合
  • 債務名義を得た後も、差押対象の特定と回収可能性の確認が必要です。
  • 支払督促は「回収までの距離」を縮める手続
  • 仮執行宣言付支払督促は、強制執行に使える債務名義となります。
  • 列は対象、例、実務上のポイントを示しており、どの情報を事前に把握すべきかを読み取れます。

まとめ

  • 未払い金の回収に使える 支払督促の申立て方法
  • 未払い金の回収に使える支払督促の全体像:制度の簡易さだけでなく、異議、仮執行宣言、強制執行まで一体で理解します。
  • 支払督促で回収を狙える未払い金と向き不向き:売掛金、貸金、報酬、賃料など、請求額と根拠が明確な案件で活用しやすい手続です。
  • 支払督促と他の未払い金回収手段の比較:請求額、相手の態度、証拠、緊急性に応じて手段を選びます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

未払い金の回収に使える支払督促の全体像

制度の簡易さだけでなく、異議、仮執行宣言、強制執行まで一体で理解します。

支払督促は、金銭等の支払いを求める債権者の申立てに基づき、簡易裁判所の裁判所書記官が債務者に支払いを督促する民事手続です。申立人の申立てを前提に、債務者を審尋しないで進む点に特徴があります。

ただし、支払督促は簡易で安価な請求手続とだけ理解すると危険です。債務者が異議を出せば通常訴訟へ移行し、異議がない場合でも仮執行宣言を30日以内に申し立てなければ効力を失う場面があります。

結論支払督促は、請求額と根拠が明確で、相手に送達でき、異議が出にくく、強制執行まで見据えられる未払い金回収で有効です。争点が複雑な案件では、訴訟、調停、仮差押えなども比較します。

次の一覧は、支払督促を選ぶ前に押さえるべき3つの柱を整理したものです。制度、期限、回収可能性の順に確認することで、申立て後に何を管理すべきかを読み取れます。

SYSTEM

債務者を審尋しない手続

申立書を基礎に裁判所書記官が発付しますが、相手が異議を出すと通常訴訟に移ります。

LIMIT

2週間と30日を管理

送達後2週間の異議期間と、仮執行宣言申立ての30日期限を正確に管理します。

COLLECT

執行対象の手掛かりが必要

債務名義を得ても、預金、給与、売掛金など差押対象を特定できなければ回収は難しくなります。

Section 01

支払督促で回収を狙える未払い金と向き不向き

売掛金、貸金、報酬、賃料など、請求額と根拠が明確な案件で活用しやすい手続です。

支払督促を使えるのは、金銭その他の代替物または有価証券の一定数量の給付を目的とする請求です。売買代金、貸金、報酬、賃料などが典型ですが、相手が強く争う見込みがある場合は別手段も検討します。

次の比較表は、支払督促で回収を狙いやすい未払い金の種類と、相性を左右する資料を整理したものです。列は未払い金の種類、具体例、支払督促との相性を示しており、証拠の整い方が手続選択に影響することを読み取ります。

未払い金の種類具体例支払督促との相性
売買代金商品を納品したが代金が支払われない。納品書、請求書、取引基本契約書が整っていれば比較的相性がよいです。
請負代金・業務委託報酬制作物、工事、保守、コンサルティング、システム開発等の報酬未払い。検収、成果物、作業完了の証拠が重要です。
貸金個人間・法人間の貸付金返還請求。金銭消費貸借契約書、振込記録、返済期限の証拠が重要です。
立替金相手のために支払った費用の精算未了。立替合意、領収書、精算書が重要です。
家賃・地代賃料の滞納。賃貸借契約書、入金履歴、督促履歴が重要です。
給料・報酬労務提供後の賃金・報酬未払い。契約、勤務記録、報酬計算の根拠が重要です。
損害賠償物損事故、契約違反による損害など。相手が争いやすいため、訴訟の方が適することがあります。

次の一覧は、支払督促に向く案件と慎重に見る案件を分けたものです。左右の違いは、相手が争う見込み、資料の明確さ、送達可能性、強制執行の実益にあるため、手続選択の基準として読み取ります。

向いている案件

未払いの事実自体を大きく争っておらず、契約、納品、請求額を資料で説明でき、相手の住所・所在地が分かっている案件です。

慎重に見る案件

契約成立、品質不良、相殺、既払い、時効、損害額で争いがある案件では、異議後の訴訟対応を見込む必要があります。

別手段を急ぐ案件

相手の所在が不明、倒産状態、財産隠しのおそれがある場合は、通常訴訟や仮差押えなども検討します。

Section 02

支払督促と他の未払い金回収手段の比較

請求額、相手の態度、証拠、緊急性に応じて手段を選びます。

未払い金回収では、支払督促以外にも、請求書再送、内容証明郵便、民事調停、少額訴訟、通常訴訟、仮差押え、強制執行があります。支払督促は、相手が異議を出さない可能性が高い場合に簡易性を生かしやすい手続です。

次の比較表は、主な回収手段の特徴と向いている場面を整理したものです。列は手段、特徴、使いやすい場面を示しており、時間、争点、証拠、緊急性によって選択肢が変わることを読み取ります。

手段特徴向いている場面
電話・メール・請求書再送最も簡易で、関係維持に配慮しやすいです。支払遅延が軽微で、相手に支払意思がある場合。
内容証明郵便請求の意思と時期を明確化しやすい通知手段です。正式通知、時効管理、交渉前の心理的圧力。
民事調停裁判所で話合いを行います。分割払い、関係継続、柔軟な和解を目指す場合。
支払督促申立人の申立てを基礎に進む簡易手続です。金額と根拠が比較的明確で、異議が出にくい案件。
少額訴訟原則60万円以下の金銭請求を迅速に審理します。少額で証拠が整理され、相手が争う可能性もある案件。
通常訴訟証拠調べを通じて判決を得ます。争点がある、高額、法的判断が必要な案件。
仮差押え判決前に財産を保全します。相手が財産を移すおそれがあり、緊急性が高い場合。
強制執行債務名義に基づき財産を差し押さえます。判決、和解調書、仮執行宣言付支払督促等を得た後。
誤解注意支払督促は、相手に反論させない制度ではありません。異議が出た場合には通常訴訟に移るため、申立前から訴訟になった場合に説明できる資料を整理しておく必要があります。
Section 03

支払督促の法的要件と申立前チェック

金銭請求、送達、管轄、請求原因の特定を先に確認します。

支払督促の法的要件は、金銭等の一定数量の給付であること、公示送達によらず送達できること、管轄のある簡易裁判所に申し立てること、請求の趣旨と原因を特定できることです。

次の一覧は、申立て前に最低限確認する要件を整理したものです。上から順に確認することで、そもそも支払督促を使えるか、どの裁判所に出すか、申立書に何を書くかを読み取れます。

01

金銭等の一定数量の給付

典型的には「金○円を支払え」という請求です。建物明渡しや謝罪広告などは原則として適しません。

対象
02

通常の送達ができること

相手の住所・所在地が分からず公示送達が必要な場合、支払督促は利用できません。

送達
03

管轄簡易裁判所

原則として債務者の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。

管轄
04

請求の趣旨と原因

誰に、いくらを、どの契約や事実に基づいて求めるのかを特定します。

書面

次の比較表は、申立前に整理する事実を、債権発生、未払い額、相手方情報、証拠資料に分けたものです。各列の確認事項を埋めることで、申立書の記載と異議後の訴訟準備を同時に進められる点を読み取れます。

確認領域主な確認事項資料例
債権の発生原因契約日、相手、内容、代金、支払期限、納品・役務提供の完了。契約書、注文書、発注書、見積書、納品書
未払い額の計算元本、一部入金、消費税、遅延損害金、起算日、利率、内訳。請求書、入金履歴、計算表
相手方情報個人の現住所、法人の商号・本店所在地・代表者名、送達可能性。住民票関係資料、登記事項証明書、取引記録
証拠資料契約、納品、請求、督促、相手が債務を認めた文面。メール、チャット、議事録、内容証明郵便
Section 04

支払督促申立書の書き方と請求額の整理

当事者、請求の趣旨、請求の原因、内訳表を正確に作ります。

支払督促申立書では、感情的な非難ではなく、誰が、誰に、いくらを、なぜ、いつから支払うべきなのかを明確に書きます。法人相手では商号、本店所在地、代表者名を登記事項証明書に基づいて確認します。

次の比較表は、申立書の主要部分と、書くべき内容を整理したものです。列は記載部分、目的、注意点を示しており、形式的な正確性と請求原因の明確性が補正防止につながることを読み取ります。

記載部分目的注意点
当事者の表示債権者と債務者を特定します。法人名の表記ゆれ、旧所在地、代表者名の誤りに注意します。
請求の趣旨裁判所にどのような命令を求めるかを示します。元本、遅延損害金、起算日、利率、手続費用を明確にします。
請求の原因なぜ請求が発生したかを説明します。契約日、契約内容、納品、支払期限、未払いの事実を時系列で記載します。
複数請求の内訳複数請求書や複数月賃料を特定します。発生日、支払期限、請求額、入金額、残額を分けます。

次の表は、複数請求をまとめる場合の内訳整理例です。金額列は請求額、入金額、残額を分けており、一部入金がある場合でも残額を明確に読み取れるようにすることが重要です。

請求番号発生日支払期限請求額入金額残額
2024-001令和6年1月31日令和6年2月29日300,000円0円300,000円
2024-002令和6年2月29日令和6年3月31日400,000円100,000円300,000円
2024-003令和6年3月31日令和6年4月30日500,000円0円500,000円

次の重要ポイントは、文章技法の違いを示しています。感情的な表現ではなく、日付、金額、契約内容、未払い事実を固定すると、裁判所や相手方が請求原因を確認しやすくなります。

事実、日付、金額、根拠を短く固定する

「不誠実で許せない」といった評価ではなく、「令和6年1月10日に契約し、同月20日に納品し、支払期限を過ぎても支払わない」と書く方が、請求原因の特定に役立ちます。

Section 05

支払督促申立て後の流れと2週間・30日の期限

送達、異議、仮執行宣言申立期限を案件管理表で追います。

申立後は、支払督促の発付、債務者への送達、2週間の異議期間、仮執行宣言の申立て、仮執行宣言付支払督促、強制執行という順に進みます。単に待っていれば自動的に強制執行できるわけではありません。

次の時系列は、申立てから強制執行までの順番を示しています。上から順に進み、途中の分岐は異議の有無を表すため、どの時点で訴訟移行や仮執行宣言申立てが必要になるかを読み取れます。

Step 1

債権・相手方情報・証拠を整理する

契約、請求額、送達先、証拠、執行対象の手掛かりを確認します。

Step 2

管轄簡易裁判所を確認し、申立書を提出する

原則として債務者の住所地を管轄する簡易裁判所に申し立てます。

Step 3

裁判所書記官の審査と支払督促の送達

申立書に不備があれば補正を求められ、発付後は債務者に送達されます。

Step 4

2週間以内の異議を確認する

債務者が異議を出せば通常訴訟へ移行します。

Step 5

30日以内に仮執行宣言を申し立てる

異議がない場合でも、債権者が期限内に申立てをしないと支払督促の効力を失うことがあります。

次の判断の流れは、申立後に異議が出た場合と出なかった場合の違いを示しています。左右の分岐は、通常訴訟に移行するか、仮執行宣言へ進むかを表しており、期限管理の重要性を読み取れます。

支払督促申立後の判断の流れ

支払督促が債務者に送達

送達日が2週間の起算点になります。

2週間以内に督促異議があるか

異議の有無で進路が変わります。

異議あり
通常訴訟へ移行

主張書面、証拠提出、期日対応を準備します。

異議なし
仮執行宣言を申立て

申立可能時から30日以内の期限を管理します。

Section 06

支払督促に異議が出た場合と仮執行宣言の効力

異議が出れば通常訴訟に移り、仮執行宣言後も執行停止の問題が残ります。

債務者が異議を出すと、支払督促の目的である請求について、支払督促申立時に訴えの提起があったものとみなされ、通常訴訟に移行します。これは支払督促を使ううえで最も重要なリスクの一つです。

次の一覧は、異議後に必要になり得る対応を整理したものです。各項目は訴訟移行後に生じる作業を示しており、申立前から証拠を整える理由を読み取れます。

PLEADING

主張書面の整備

申立書の請求原因を、訴訟で説明できる形に補強します。

EVIDENCE

証拠の提出

契約書、納品書、請求書、メール、入金履歴などを整理します。

HEARING

期日対応と和解協議

相手方の反論へ再反論し、必要に応じて和解条件も検討します。

仮執行宣言が付された後も、債務者は一定期間、異議を申し立てることができます。ただし、異議だけで強制執行が当然に止まるわけではなく、執行停止手続が問題になる場合があります。

次の比較表は、仮執行宣言付支払督促の効力と、その後の手続を整理したものです。左列は段階、右列は実務上の意味で、確定判決と同一の効力や執行停止の問題を読み取ります。

段階実務上の意味
仮執行宣言付支払督促が送達債権者は強制執行を検討できる状態になります。
送達後2週間以内の異議債務者はなお異議を申し立てられますが、執行停止は別途問題になります。
異議がないまま期間経過仮執行宣言付支払督促は確定判決と同一の効力を持ちます。
異議申立てを却下する決定が確定同じく確定判決と同一の効力が問題になります。
Section 07

支払督促から強制執行へ進む場合

債務名義を得た後も、差押対象の特定と回収可能性の確認が必要です。

仮執行宣言付支払督促は、強制執行に使える債務名義となります。ただし、裁判所が債務者の財産を自動的に探してくれるわけではないため、債権者側で差押対象の手掛かりを整理しておく必要があります。

次の比較表は、未払い金回収でよく検討される差押対象を整理したものです。列は対象、例、実務上のポイントを示しており、どの情報を事前に把握すべきかを読み取れます。

差押対象実務上のポイント
預貯金債権銀行口座、信用金庫口座金融機関や支店等の特定が問題になります。
給与債権債務者が勤務先から受け取る給与勤務先情報が必要で、差押可能範囲に制限があります。
売掛金債権債務者が取引先に対して有する売掛金第三債務者である取引先の特定が重要です。
賃料債権債務者が貸主として受け取る賃料賃借人情報が必要です。
動産現金、商品、備品等執行官による手続が必要になる場合があります。
不動産土地・建物高額案件で検討され、費用と期間が大きくなりやすいです。

次の重要ポイントは、支払督促と回収可能性の関係を整理したものです。債務名義を得ることと現金を回収することは別段階であり、差押対象の情報があるかを読み取る必要があります。

支払督促は「回収までの距離」を縮める手続

仮執行宣言付支払督促を得ても、相手に財産がなければ実際の回収は難しくなります。申立前から預金、給与、売掛金、不動産などの手掛かりを整理します。

Section 08

支払督促で失敗しやすいポイントと実務戦略

任意交渉、内容証明、社内管理、専門家相談を組み合わせて考えます。

支払督促を申し立てる前には、請求書再送、督促メール、電話、内容証明郵便などで任意支払いを求めることもあります。一方で、支払約束を何度も破っている、時効が近い、財産移転のおそれがある場合は早めの法的手続を検討します。

次の一覧は、失敗しやすいポイントを整理したものです。各項目は手続が止まる、訴訟で不利になる、回収できないといったリスクにつながるため、申立前の確認で何を読み取るべきかが分かります。

相手の住所が不正確

送達できなければ手続が進みません。法人の本店移転や個人の現住所を確認します。

請求額の根拠が不明確

元本、消費税、遅延損害金、一部入金、相殺の有無を内訳で示します。

遅延損害金の計算誤り

起算日、利率、元本額、支払済みまでの期間を確認します。

異議を想定していない

通常訴訟に移る可能性を見込み、証拠と主張を準備します。

仮執行宣言の期限を逃す

30日以内の申立てを失念すると、支払督促の効力を失うことがあります。

回収可能性の見誤り

債務名義を得ても、差押対象の手掛かりがなければ回収は難しくなります。

次の一覧は、法人や個人が申立前に整える実務を示しています。債権管理、証拠化、請求額チェック、与信管理を並行することで、申立ての正確性と回収可能性を高める点を読み取れます。

01

債権管理台帳を整える

取引先名、契約番号、請求書番号、支払期限、残額、督促履歴、時効管理日を一覧化します。

台帳
02

口頭情報を文書化する

営業担当者の記憶だけでなく、メール、議事録、チャット、訪問記録など客観資料を整えます。

証拠
03

請求額を二重チェックする

消費税、源泉徴収、立替経費、値引き、相殺、分割入金、返金処理を確認します。

金額
04

専門家相談を検討する

高額、複雑、緊急、相手が争う意思を示す案件では、資料をまとめて相談します。

相談
Section 09

支払督促のFAQ

制度説明にとどめ、個別の申立て可否や結果保証とは分けて整理します。

FAQは一般的な制度説明として整理します。実際の手続選択や申立て可否は、請求内容、証拠、送達可能性、相手の反論、回収可能性によって変わるため、個別の見通しは資料を整理して専門家に相談する必要があります。

支払督促を申し立てれば、必ず未払い金を回収できますか。

一般的には、必ず回収できる制度ではありません。相手が異議を出せば通常訴訟へ移行し、仮執行宣言付支払督促を得ても、差し押さえる財産がなければ実際の回収は困難です。具体的な回収可能性は、相手の財産情報や証拠関係によって変わります。

相手の住所が分からなくても支払督促は使えますか。

一般的には、公示送達による送達が必要な場合には支払督促は利用できないとされています。相手の住所・所在地が不明な場合は、住所調査や通常訴訟等の別手続を検討する必要があります。

相手が異議を出したらどうなりますか。

一般的には、適法な督促異議が出ると通常訴訟に移行します。訴訟では、請求原因を主張し、証拠を提出し、相手の反論に対応する必要があります。請求額や争点によっては、弁護士等の専門家への相談が適切です。

仮執行宣言を申し立てなかったらどうなりますか。

一般的には、債権者が仮執行宣言を申し立てることができる時から30日以内に申立てをしない場合、支払督促は効力を失うとされています。期限管理は極めて重要です。

支払督促と少額訴訟はどちらがよいですか。

一般的には、支払督促は相手が異議を出さない可能性が高い場合に有効で、少額訴訟は原則60万円以下の金銭請求で、証拠が整理されており迅速な審理を望む場合に検討されます。請求額、争点、証拠、相手の態度で選択が変わります。

相手が法人の場合、代表者個人にも請求できますか。

一般的には、契約相手が法人である場合、債務者は法人です。代表者個人が連帯保証人になっている、個人として契約したなどの特別な事情がない限り、当然に代表者個人へ請求できるわけではありません。契約書や保証条項を確認する必要があります。

Section 10

支払督促申立て前の最終チェックリスト

制度要件、資料、期限、回収可能性を確認してから申立てに進みます。

最後に、申立前の確認事項を一覧で整理します。左から項目、確認内容、チェック欄の順に並べており、制度要件、証拠、期限、専門相談を一通り読み取れる形にしています。

項目確認内容チェック
請求の種類金銭等の一定数量の給付か。
債務者情報住所、所在地、法人名、代表者名は正確か。
管轄債務者住所地等を管轄する簡易裁判所か。
請求額元本、一部入金、消費税、遅延損害金を確認したか。
証拠契約書、請求書、納品書、メール等を整理したか。
異議リスク通常訴訟に移行した場合の対応を想定したか。
回収可能性預金、給与、売掛金など執行対象の手掛かりがあるか。
申立書請求の趣旨と原因が明確か。
費用手数料、郵便料、電子納付等を確認したか。
期限管理2週間と30日の期限を管理できるか。
専門家相談高額、複雑、緊急案件では相談先を決めたか。

支払督促は、申立書を裁判所に提出するだけの手続ではありません。制度要件、申立先、送達、異議、仮執行宣言、30日以内の申立期限、強制執行までを一体として理解し、未払い金の回収戦略の一部として位置づけることが重要です。

まとめ支払督促が有効なのは、請求額と根拠が明確で、相手に送達でき、異議が出にくく、債務名義取得後の回収可能性を見込める場合です。争点が複雑、所在不明、財産保全が急務の場合は、他の手続も比較します。
Reference

支払督促の参考資料

制度理解のために参照した公的資料・中立的資料を整理します。

法令・裁判所資料

  • 日本法令外国語訳データベース「民事訴訟法」第382条から第396条
  • 裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」支払督促等の利用可能な紛争類型に関する説明
  • 裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」支払督促の申立先に関する説明
  • 裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」支払督促申立後の流れ、異議、仮執行宣言、30日以内の申立期限に関する説明
  • 裁判所「簡易裁判所の民事事件Q&A」仮執行宣言付支払督促への異議と執行停止に関する説明

書式・費用・オンライン手続

  • 裁判所「申立て等で使う書式」支払督促書式の案内
  • 裁判所「手数料額早見表」支払督促申立手数料の例示
  • 督促手続オンラインシステム「初めての方へ」
  • 裁判所「民事裁判手続のデジタル化」令和8年5月21日施行の改正民事訴訟法等に関する手続案内
  • 裁判所「債権執行(債務名義に基づく差押え)」