2σ Guide

交通事故の紛争処理センターは
どのように利用するのか

示談案、過失割合、後遺障害、資料不足で悩むときに、交通事故紛争処理センターの対象・申込み・和解あっ旋・審査を一般情報として整理します。

11か所全国のセンター
14日以内審査申立ての目安
3回/5回和解あっ旋の成立傾向
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交通事故の紛争処理センターは どのように利用するのか

示談案、過失割合、後遺障害、資料不足で悩むときに、交通事故紛争処理センターの対象・申込み・和解あっ旋・審査を一般情報として整理します。

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交通事故の紛争処理センターは どのように利用するのか
示談案、過失割合、後遺障害、資料不足で悩むときに、交通事故紛争処理センターの対象・申込み・和解あっ旋・審査を一般情報として整理します。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 交通事故の紛争処理センターは どのように利用するのか
  • 示談案、過失割合、後遺障害、資料不足で悩むときに、交通事故紛争処理センターの対象・申込み・和解あっ旋・審査を一般情報として整理します。

POINT 1

  • 交通事故紛争処理センターの利用方法の全体像
  • 無料ADRとしての位置づけ、使える時期、申込みから審査までの基本構造を先に整理します。
  • 交通事故の損害賠償では、治療費、休業損害、慰謝料、後遺障害、逸失利益、物損、過失割合などが同時に問題になります。
  • 相談担当者は交通事故賠償に詳しい弁護士ですが、被害者側の代理人ではなく、中立・公正な第三者として関与します。
  • どの時点で何を確認するかが分かると、利用時期の早すぎ、資料不足、審査申立て期限の見落としを避けやすくなります。

POINT 2

  • 交通事故紛争処理センターとは何をする機関か
  • 法律相談
  • 和解あっ旋
  • 審査
  • 正式名称、ADRとしての位置づけ、3つの機能、費用と役割の違いを整理します。

POINT 3

  • 交通事故紛争処理センターを利用できる事故と利用しにくい事故
  • 相手方が自動車等
  • 自動車または原動機付自転車による事故が中心です。
  • 申立人の立場
  • 原則として被害者本人が申立てます。

POINT 4

  • 交通事故紛争処理センターへ申し込む適切なタイミング
  • 1. 治療・証拠保全:警察届出、医療機関受診、事故状況資料、保険会社との連絡を整理します。
  • 2. 損害額の前提を固める:入通院期間、休業損害、後遺障害の有無などが賠償額に反映されます。
  • 3. 後遺障害部分を検討:等級に不服がある場合は、自賠責保険 ・共済紛争処理機構など別制度との関係を検討します。
  • 4. センター利用を検討:提示明細の内訳、過失割合、既払金控除、争点を整理して予約へ進みます。

POINT 5

  • 交通事故紛争処理センターの申込み手順と電話予約の準備
  • 1. 担当センターを確認:申立人の住所地または事故地を基準に、利用する窓口を確認します。
  • 2. 事故と保険情報を整理:事故日、場所、治療状況、後遺障害、相手方保険会社、示談案の有無を手元に置きます。
  • 3. 電話予約:予約窓口では法律相談そのものではなく、受付、適格性確認、期日調整が行われます。
  • 4. 保険会社へ連絡:予約後、協定保険会社等の担当者へセンターに予約したことを連絡し、センターにも連絡日時を知らせます。

POINT 6

  • 交通事故紛争処理センターで必要になる資料
  • コピー提出、基本資料、人身資料、物損資料、代理人関与時の資料を整理します。
  • センターに提出する資料は原則として返却されず、コピー提出が基本です。
  • マイナンバーが記載された資料を提出する必要がある場合は、完全に塗りつぶすなどの対応が求められます。
  • 資料不足は期日延期や手続終了の原因になり得るため、主張より先に資料を整えることが重要です。

POINT 7

  • 交通事故紛争処理センターの法律相談と和解あっ旋の進み方
  • 虚偽主張をしない
  • 事実を誇張せず、資料に基づく説明に徹する必要があります。
  • 威圧・誹謗中傷を避ける
  • 相手方やセンター担当者への不適切な言動は手続進行を妨げます。

POINT 8

  • 交通事故紛争処理センターの審査と手続終了後の注意点
  • 1. 不調通知:相談担当者が和解成立の見込みがないと判断します。
  • 2. 14日以内に審査申立て:期間を過ぎると審査へ進めないため、期限管理が必要です。
  • 3. 審査会で説明:原則面接で、1回あたり1時間30分以内を目安に争点や事故状況を説明します。
  • 4. 和解成立:裁定内容に基づいて免責証書または示談書が作成されます。
  • 5. 手続終了:センターでの本手続は終了し、別の手段を検討します。

まとめ

  • 交通事故の紛争処理センターは どのように利用するのか
  • 交通事故紛争処理センターの利用方法の全体像:無料ADRとしての位置づけ、使える時期、申込みから審査までの基本構造を先に整理します。
  • 交通事故紛争処理センターを利用できる事故と利用しにくい事故:自動車事故か、申立人の立場、保険会社の種類、他手続との重複を確認します。
  • 交通事故紛争処理センターへ申し込む適切なタイミング:示談案が出た後、後遺障害等級認定 後、時効接近時の注意点を確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

交通事故紛争処理センターの利用方法の全体像

無料ADRとしての位置づけ、使える時期、申込みから審査までの基本構造を先に整理します。

交通事故の損害賠償では、治療費、休業損害、慰謝料、後遺障害、逸失利益、物損、過失割合などが同時に問題になります。相手方保険会社の示談案に納得できないとき、裁判までは避けつつ第三者の関与を求める選択肢が、公益財団法人交通事故紛争処理センターの手続です。

センターは、1974年2月に前身となる交通事故裁定委員会が設立されて以来、自動車事故の損害賠償紛争について、法律相談、和解あっ旋、審査を無償で行ってきた交通事故ADR機関です。相談担当者は交通事故賠償に詳しい弁護士ですが、被害者側の代理人ではなく、中立・公正な第三者として関与します。

次の一覧は、センター利用の入口から終了までを段階順に表しています。どの時点で何を確認するかが分かると、利用時期の早すぎ、資料不足、審査申立て期限の見落としを避けやすくなります。左から順に進む流れとして読み、各段階の意味を確認してください。

段階行うこと実務上の意味
事前確認治療終了、後遺障害等級認定、相手方保険を確認する損害額が未確定の段階では利用時期が早い場合があります
電話予約住所地または事故地を担当するセンターへ予約する予約窓口で事件が手続に適するか確認されます
資料提出事故証明、提示明細、診断書、収入資料、物損資料などのコピーを出す資料不足は延期や終了につながることがあります
法律相談相談担当者が主張と資料を確認する中立の立場で問題点が整理されます
和解あっ旋双方の主張を聴き、あっ旋案を提示する合意できれば示談成立、不調なら審査を検討します
審査不調通知後14日以内に申立てを検討する審査会が裁定を示し、申立人の同意で和解成立となります
終了和解、裁定同意、不同意、取下げ、不調などで終わる終了後は同一事案で再申込みできないとされています

制度の核心は、裁判より柔軟で迅速な話合いを目指しつつ、不調時には審査会の判断段階へ進める点にあります。ただし、センターは万能ではありません。対象事故、利用時期、資料、他手続との重複、時効の有無を順に確認する必要があります。

Section 01

交通事故紛争処理センターとは何をする機関か

正式名称、ADRとしての位置づけ、3つの機能、費用と役割の違いを整理します。

一般に交通事故の紛争処理センターと呼ばれる機関の正式名称は、公益財団法人交通事故紛争処理センターです。対象は、自動車事故の被害者である申立人と、加害者または加害者側の保険会社・共済組合との損害賠償紛争です。

次の3つの機能は、センターの手続を理解するうえで重要です。どれも同じ相談の延長に見えますが、入口の整理、合意形成、判断提示という役割が異なります。各機能の違いを読むことで、自分が今どの段階を利用したいのかを判断しやすくなります。

入口

法律相談

申立人の主張と資料を確認し、損害賠償上の問題点を整理します。和解あっ旋を前提とする入口段階です。

話合い

和解あっ旋

相談担当者が双方の主張を聴き、中立・公正な立場であっ旋案を示し、合意による解決を目指します。

判断

審査

あっ旋が不調となった場合に、審査会が裁定を示します。和解あっ旋とは別の判断段階です。

費用面では、センターの法律相談、和解あっ旋、審査の利用自体に費用はかかりません。一方で、診断書など医療関係書類の取得費、交通費、コピー代、通信費、手話通訳等の実費は当事者の負担とされています。

次の比較は、センターの相談担当者、被害者側代理人、相手方側の立場の違いを表します。誰がどの利益を代表しているかを理解することは、センターに期待できることと、別途弁護士相談が必要になる場面を読み分けるために重要です。

立場役割
センターの相談担当者中立・公正な第三者として、双方の主張と資料をもとに解決案をまとめます
被害者側の代理人弁護士被害者の利益を守る立場で、主張、証拠、交渉、訴訟対応を行います
保険会社担当者・相手方代理人相手方側の立場で、損害額、過失割合、因果関係などを主張します
誤解しやすい点センターの相談担当者が弁護士であっても、申立人の代理人として最大限の主張を代わりに行う立場ではありません。個別の戦略判断や代理交渉が必要な場合は、弁護士等への相談を別に検討する必要があります。
Section 02

交通事故紛争処理センターを利用できる事故と利用しにくい事故

自動車事故か、申立人の立場、保険会社の種類、他手続との重複を確認します。

センターの対象は、相手方が自動車または原動機付自転車である損害賠償紛争を中心に考える必要があります。自転車同士、歩行者と自転車、道路管理の問題、自分の保険契約に基づく保険金請求などは、別制度を検討する場面があります。

次の重要ポイントは、利用できるかどうかを最初に分ける条件を表しています。ここで条件を外すと、予約しても手続に入れない可能性があるため重要です。各項目が満たされているかを、上から順に確認してください。

相手方が自動車等

自動車または原動機付自転車による事故が中心です。自転車同士などは対象外となる可能性が高いです。

申立人の立場

原則として被害者本人が申立てます。死亡事故では法定相続人が申立人になります。

保険会社等の確認

相手方の任意保険・共済、協定保険会社等かどうか、直接請求権の有無が問題になります。

治療と後遺障害

治療中や後遺障害等級認定中は、損害額が定まらず利用時期が早い場合があります。

次の一覧は、センターの本手続の対象外または利用しにくい典型例です。対象外の理由をあわせて読むことで、単に交通事故であるだけでは足りず、損害賠償問題全体を扱える状態かが重要であると分かります。

対象外または利用しにくい例確認すべき理由
自転車対歩行者、自転車対自転車相手方が自動車・原動機付自転車ではないため、対象外となる可能性があります
搭乗者傷害保険、人身傷害補償保険など自分の保険会社との紛争相手方への損害賠償請求ではなく、自分の保険契約上の請求です
求償に関する紛争保険会社、医療機関、社会保険等との精算問題は対象外とされます
慰謝料だけ、過失割合だけの申立てセンターは損害賠償問題全体の解決を予定しています
訴訟、調停、他ADRが進行している場合同じ事件を複数機関で同時に扱うと手続が重複します
既に示談、裁判上の和解、判決で終局解決している場合いったん終局解決すると、後から扱うことが難しくなります
時効期間経過後に相手方が時効を援用している場合法的請求が困難になっている可能性があります
自賠責保険・共済で無責と判断されている場合責任なしの判断があるため、対象外とされることがあります
Section 03

交通事故紛争処理センターへ申し込む適切なタイミング

示談案が出た後、後遺障害等級認定後、時効接近時の注意点を確認します。

センターは事故直後や治療中の一般相談窓口ではありません。典型的には、治療終了または症状固定後、後遺障害がある場合は等級認定結果が出た後、相手方保険会社から賠償金提示明細書が届き、提示額や過失割合に納得できない段階で利用を検討します。

次の時系列は、事故後にどの順序でセンター利用を検討するかを表しています。順番を間違えると、損害額が未確定のまま手続に入ろうとしたり、逆に時効リスクを見落としたりするため重要です。上から下へ、準備が整う流れとして読んでください。

事故後

治療・証拠保全

警察届出、医療機関受診、事故状況資料、保険会社との連絡を整理します。

治療終了・症状固定

損害額の前提を固める

入通院期間、休業損害、後遺障害の有無などが賠償額に反映されます。

等級認定後

後遺障害部分を検討

等級に不服がある場合は、自賠責保険・共済紛争処理機構など別制度との関係を検討します。

示談案提示後

センター利用を検討

提示明細の内訳、過失割合、既払金控除、争点を整理して予約へ進みます。

時効が近い場合は、センター予約だけで安心しないことが重要です。一般の不法行為では、損害および加害者を知った時から3年、人の生命・身体を害する不法行為では5年に読み替えられ、不法行為時から20年という枠組みもあります。ただし、起算点、物損と人身損害、交渉中の完成猶予・更新、改正法の経過措置は個別判断が必要です。

時効接近時の注意予約受付時点で消滅時効期間が経過し、相手方が時効を援用している事案は対象外とされています。時効が疑われるときは、センターの予約と別に、弁護士等の専門家へ早急に相談する必要があります。
Section 04

交通事故紛争処理センターの申込み手順と電話予約の準備

住所地または事故地のセンター、予約時間、電話前に確認する情報を整理します。

利用申込みは、申立人と相手方があらかじめ合意した場合を除き、申立人の住所地または事故地を担当するセンターで扱われます。センターは全国11か所にあり、予約受付は月曜日から金曜日の午前9時から午後5時まで、祝祭日と12月29日から1月3日を除くとされています。

次の判断の流れは、電話予約から初回相談までに行うことを表しています。手続の順番を知っておくと、予約窓口で必要事項を即答でき、保険会社への連絡や資料提出が遅れにくくなります。上から下へ、予約前後の行動順として確認してください。

電話予約から初回期日まで

担当センターを確認

申立人の住所地または事故地を基準に、利用する窓口を確認します。

事故と保険情報を整理

事故日、場所、治療状況、後遺障害、相手方保険会社、示談案の有無を手元に置きます。

電話予約

予約窓口では法律相談そのものではなく、受付、適格性確認、期日調整が行われます。

保険会社へ連絡

予約後、協定保険会社等の担当者へセンターに予約したことを連絡し、センターにも連絡日時を知らせます。

電話前に準備する情報は、事故の特定、保険会社の確認、損害の種類、治療状況、交渉状況に分けて整理すると漏れにくくなります。次の表は、予約時に聞かれやすい事項を分類したものです。左列の項目ごとに、右列の具体例を手元の資料で確認してください。

確認事項具体例
事故情報事故日、事故場所、警察届出、交通事故証明書の有無
当事者情報氏名、住所、連絡先、相手方氏名、車両番号、勤務先など
保険情報相手方任意保険会社名、担当者名、連絡先、証券番号が分かる場合はその情報
損害の種類人身、後遺障害、死亡、物損、または複合事案か
治療状況治療中、治療終了、症状固定、入通院期間、主治医名
後遺障害後遺障害診断書、等級認定結果、異議申立ての有無
交渉状況示談案の有無、争点、裁判・調停・他ADRの有無

初回相談は、希望により電話または面接による利用ができるとされています。ただし、2回目以降は事案により相談担当者の判断で面接になることがあり、物損のみの事案や代理人が関与する事案では、法律相談を経ずに初回から和解あっ旋に入る取扱いもあります。

Section 05

交通事故紛争処理センターで必要になる資料

コピー提出、基本資料、人身資料、物損資料、代理人関与時の資料を整理します。

センターに提出する資料は原則として返却されず、コピー提出が基本です。マイナンバーが記載された資料を提出する必要がある場合は、完全に塗りつぶすなどの対応が求められます。資料不足は期日延期や手続終了の原因になり得るため、主張より先に資料を整えることが重要です。

次の表は、全事案で土台になりやすい基本資料を表しています。事故の存在、事故態様、保険会社の提示、既払金を確認する資料であり、どの争点にも関係しやすいため重要です。目的欄を見ながら、不足資料を確認してください。

資料目的
交通事故証明書事故発生、当事者、事故類型を確認します
事故発生状況報告書信号、一時停止、道路状況、進行方向、衝突位置などを説明します
実況見分調書、現場写真、車両写真、ドライブレコーダー映像過失割合、事故態様、衝突の強さが争点になる場合に役立ちます
保険会社等の賠償金提示明細書相手方提示額と争点を確認する中心資料です
既に受領した金額が分かる資料自賠責、任意保険、内払金、治療費支払などを確認します

人身事故では、治療、通院、休業、後遺障害、死亡の各損害を資料で裏付ける必要があります。次の表は、損害項目ごとに中心となる資料を示しています。左列の損害項目が請求内容、右列がそれを支える資料という関係で読んでください。

損害項目主な資料
治療費診断書、診療報酬明細書、領収書、施術証明書等
通院交通費通院交通費明細、領収書、利用経路メモ
休業損害休業損害証明書、源泉徴収票、給与明細、欠勤記録等
自営業者の休業損害確定申告書、納税証明書、帳簿、売上資料等
後遺障害後遺障害診断書、等級認定票、認定理由、画像資料、検査結果等
死亡事故死亡診断書または死体検案書、戸籍謄本、法定相続情報、葬儀費用資料等

物損事故では、所有者、修理の必要性、時価額、代車やレッカーの必要性が問題になります。次の表は、物損の項目ごとに必要になりやすい資料を表しています。車両所有者がローン会社やリース会社の場合は、所有者確認資料も読み落とさないでください。

損害項目主な資料
車両損害修理見積書、修理請求書、事故車両写真、車検証等
評価損修理内容、車両年式、走行距離、査定資料等
代車料代車利用期間、代車請求書、必要性を示す資料
レッカー費用レッカー代請求書、領収書
所有者確認自動車検査証、軽自動車届出済証、標識交付証明書等

代理人弁護士が関与する場合は、和解あっ旋申立書、損害額計算書、治療状況表、証拠説明書などの提出が原則として求められることがあります。センターは、資料と損害計算をもとに解決案を形成する専門的なADR機関として理解する必要があります。

Section 06

交通事故紛争処理センターの法律相談と和解あっ旋の進み方

相談担当者の役割、あっ旋案、実施回数、禁止事項、和解成立時の書面を確認します。

法律相談では、相談担当者が申立人の主張を聴き、提出資料を確認し、損害賠償上の問題点を整理します。相談内容によっては、裁判所手続や他機関を案内し、和解あっ旋には進まず法律相談だけで終了する場合もあります。

次の割合の比較は、センターが公表する和解あっ旋の実施回数と成立傾向を表しています。数字は迅速な解決を目指す制度であることを示す目安であり、個別の事件で同じ結果を保証するものではありません。棒の高さは成立傾向の大きさを示すため、3回までと5回までの差を読み取ってください。

70%
通常3回まで
90%
5回まで
1時間
1回の目安

和解あっ旋では、相談担当者が双方の主張を聴き、原則としてあっ旋案を書面で示します。相手方が協定保険会社等である場合、センターの和解あっ旋に応じることになっています。一方、協定保険会社等以外や相手方本人が関係する場合は、相手方の了解が必要になることがあります。

次の重要ポイントは、あっ旋中に注意すべき行動を整理したものです。手続の信頼性を守るルールであり、違反すると手続終了や再申込み不可につながる可能性があります。各項目は、冷静に資料と論点を示すための前提として読んでください。

虚偽主張をしない

事実を誇張せず、資料に基づく説明に徹する必要があります。

威圧・誹謗中傷を避ける

相手方やセンター担当者への不適切な言動は手続進行を妨げます。

録音・撮影をしない

手続内容の録音、撮影、公表は禁止事項として扱われています。

資料提出を怠らない

必要資料が提出されないと、適正な損害額の算出ができず終了することがあります。

和解が成立した場合は、相談担当者の立会いのもと、センター所定の免責証書または示談書が作成されます。示談書や免責証書は終局解決を意味する重要書類であり、通常は後から追加請求することが困難です。

Section 07

交通事故紛争処理センターの審査と手続終了後の注意点

あっ旋不調後14日以内の審査申立て、裁定への同意、終了後の再申込み不可を確認します。

和解あっ旋がまとまらない場合、相談担当者が不調と判断し、当事者は不調通知を受けた後14日以内に限り審査の申立てをすることができます。審査会は、法律学者、裁判官経験者、経験豊富な弁護士から選任された審査員で構成されます。

次の判断の流れは、あっ旋不調から裁定後の終了までを表しています。14日以内の期限と、裁定への同意・不同意の分岐が重要です。上から順に、審査が交渉の続きではなく審査会へ説明する段階であることを読み取ってください。

あっ旋不調後の判断

不調通知

相談担当者が和解成立の見込みがないと判断します。

14日以内に審査申立て

期間を過ぎると審査へ進めないため、期限管理が必要です。

審査会で説明

原則面接で、1回あたり1時間30分以内を目安に争点や事故状況を説明します。

同意
和解成立

裁定内容に基づいて免責証書または示談書が作成されます。

不同意
手続終了

センターでの本手続は終了し、別の手段を検討します。

審査会は相手方と交渉する場ではありません。審査員に対して、資料と法的主張を整理して説明する段階です。裁定が告知された後、申立人は14日以内に同意または不同意を回答する必要があり、期間内に回答がない場合は同意しなかったものとみなされます。

次の一覧は、手続終了後に特に注意すべき点をまとめています。センター終了後は同一事案で再度の利用申込みができないとされるため、どの終了事由に当たるか、次にどの制度へ進むかを事前に考えることが重要です。

対象事件か再確認

治療中、等級認定中、他ADR中、訴訟中などでは別手続を優先すべき場合があります。

資料を十分にそろえる

損害額、過失割合、因果関係、後遺障害は資料なしに説得的に示せません。

裁定不同意後を想定する

不同意後は、弁護士交渉、調停、訴訟などへ移る可能性を考えておく必要があります。

物損の審査では、双方に物損と過失がある場合、双方の所有者が裁定に従う旨の同意書を提出することが条件になることがあります。車両所有者、使用者、ローン会社、リース会社が分かれる場合は、請求権者の確認も重要です。

Section 08

交通事故紛争処理センターと弁護士相談・他制度の使い分け

センターだけで足りる場面と、弁護士相談や別ADRを併用すべき場面を比較します。

センターは本人申立てを前提に設計されており、弁護士依頼は必須ではありません。一方で、相談担当者は申立人の代理人ではないため、後遺障害、死亡事故、高額損害、医学的因果関係、過失割合、時効、訴訟移行などが問題になる事案では、弁護士相談を併用する意義があります。

次の比較表は、交通事故紛争処理センターと関連制度の主な違いを表しています。争点によって向いている制度が異なるため重要です。左から制度名、対象、特徴、向いている場面の順に読み、自分の争点がどの列に近いか確認してください。

制度主な対象特徴向いている場面
交通事故紛争処理センター自動車事故の損害賠償紛争無料。和解あっ旋不調後に審査あり相手方保険会社等との賠償額・過失割合がまとまらない場合
日弁連交通事故相談センター自動車事故の民事上の法律問題弁護士による無料相談、示談あっせん・審査等まず弁護士に直接相談したい場合
そんぽADRセンター損害保険会社との相談・苦情・紛争保険業法に基づく指定紛争解決機関損害保険会社の対応や保険契約上のトラブルがある場合
自賠責保険・共済紛争処理機構自賠責保険・共済の支払、後遺障害等級、責任の有無等弁護士、医師、学識経験者等が審査。原則無料後遺障害等級や自賠責支払内容そのものに不服がある場合
裁判所の調停・訴訟民事紛争全般訴訟では判決により強制的判断が示されます事実関係、医学的因果関係、高額損害などで厳格な証拠判断が必要な場合

次の一覧は、センター利用前または利用中に弁護士相談を検討する場面を表しています。センターの中立性と、代理人弁護士の役割は異なるため重要です。各項目に当てはまるほど、資料整理、損害額計算、法的主張、裁定後の方針判断を専門家と検討する必要性が高まります。

弁護士相談を検討する場面理由
後遺障害等級に不服がある等級を争うか、現在の等級で賠償交渉するかの戦略判断が必要です
高次脳機能障害、脊髄損傷、死亡事故など重度事案逸失利益、介護費、将来治療費など専門論点が多くなります
事故と症状の因果関係が争われている医学的資料、画像、診療経過、既往症の評価が必要です
過失割合が大きく争われている実況見分調書、ドライブレコーダー、判例基準の検討が重要です
休業損害・逸失利益が否認または大幅減額されている収入資料、就労実態、家事労働、事業所得の立証が必要です
時効が近い、示談書が不安期限管理や署名前のリーガルチェックが重要です

弁護士費用特約が使える場合は、保険金の支払限度額の範囲で弁護士費用をまかなえる場合があります。自分の自動車保険だけでなく、家族の保険、同居親族の保険、火災保険、クレジットカード付帯保険なども確認対象になります。

Section 09

交通事故紛争処理センター利用前のチェックリストと失敗しやすい点

事件適格、時期、資料、方針、署名前確認を実務向けにまとめます。

センターを有効に使うには、電話前に「使える事件か」「使う時期か」「資料が足りるか」「何を求めるか」を整理する必要があります。感情的な不満だけでは争点が伝わりにくく、資料不足や手続終了につながることがあります。

次の重要ポイント一覧は、電話予約前の確認事項を4つの観点に分けたものです。どれも手続の入口でつまずきやすい項目であり、抜けがあると予約や期日で説明が止まる可能性があります。左上から順に、自分の状況に当てはめて確認してください。

事件適格

使える事故か

相手方が自動車等か、保険会社名が分かるか、既に示談・訴訟・他ADRがないかを確認します。

時期

早すぎないか

治療終了、症状固定、後遺障害等級認定、賠償金提示明細書の有無を確認します。

資料

裏付けがあるか

事故証明、診断書、収入資料、物損資料、既払金資料をコピーで整理します。

方針

何に不満か

希望額、争点、早期解決を優先するか、裁判も視野に入れるかを整理します。

次の一覧は、センター利用で失敗しやすいポイントを表しています。問題点と避け方を並べて読むことで、手続を始める前に修正できる準備不足を見つけやすくなります。

失敗しやすい点避け方
争点を整理せず「納得できない」とだけ伝えるどの項目が、なぜ、どれだけ不足するのかを項目ごとに整理します
後遺障害等級が未確定のまま申し込む等級認定結果を待つか、等級を争う手続との順序を検討します
他ADR・裁判手続と重複させるどの制度を先に使うかを決め、重複申立てを避けます
資料の原本を提出してしまう原本は手元に保管し、コピーを提出します
示談成立後に追加請求できると思い込む署名前に後遺障害、未請求損害、将来悪化、社会保険との関係を確認します

自分用の主張整理メモには、事故の概要、けが・治療、相手方提示額の内訳、納得できない点、自分の希望を入れると実務上有用です。正式書面でなくても、相談時の説明や弁護士相談の初回資料として役立ちます。

Section 10

交通事故紛争処理センター利用のFAQ

よくある不安を、一般的な制度説明として整理します。

センターを使うと保険会社との関係が悪くなりますか。

一般的には、センターは相手方保険会社等との損害賠償紛争を解決するためのADR機関であり、制度利用自体を過度に遠慮する必要はないとされています。ただし、事実を誇張せず、資料に基づいて冷静に主張することが重要です。具体的な進め方は、事故態様や交渉経過によって変わるため、必要に応じて弁護士等へ相談する必要があります。

センターの提示額は裁判基準と同じですか。

一般的には、和解あっ旋や審査会の裁定は、裁判所の判例やセンターでの裁定例等を参考に行われるとされています。ただし、個別の提示額が訴訟で得られる可能性のある最大額と同一とは限りません。証拠の強弱、争点、早期解決の利益などで結論が変わる可能性があります。

相手方保険会社の提示額が低いか分からない場合はどう考えますか。

一般的には、治療費、通院交通費、休業損害、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、逸失利益、過失相殺、既払金控除などを項目別に確認するとされています。単に総額を見るだけでは争点が分かりにくいため、内訳と根拠を整理する必要があります。

後遺障害非該当でも利用できますか。

一般的には、後遺障害等級認定手続や異議申立て、自賠責保険・共済紛争処理機構の手続が進行中の場合、センターの予約や和解あっ旋の時期に影響するとされています。非該当判断そのものを争うのか、現在の結果を前提に賠償交渉するのかで対応が変わる可能性があります。

本人だけで利用してもよいですか。

一般的には、本人申立ては制度上予定されています。ただし、重度後遺障害、死亡事故、高額損害、医学的因果関係、時効、訴訟移行の可能性がある事案では、本人だけで資料と主張を整えるのが難しい場合があります。具体的には、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

日弁連交通事故相談センターとは同じですか。

一般的には、同じ組織ではありません。交通事故紛争処理センターは、自動車事故の損害賠償紛争について法律相談、和解あっ旋、審査を行う公益財団法人です。日弁連交通事故相談センターは、弁護士による無料相談、示談あっせん、審査などを行う別の公益財団法人です。

裁定に納得できなければどうなりますか。

一般的には、申立人が審査会の裁定に不同意の場合、センターでの本手続は終了します。期間内に回答しない場合も、同意しなかったものとみなされます。終了後は同一事案で再申込みできないとされるため、不同意後の方針は弁護士等と検討する必要があります。

物損だけでも使えますか。

一般的には、物損のみの事案でも取扱い対象となる場合があります。ただし、所有者確認、双方損害、双方過失、裁定に従う同意などが問題になりやすいため、車検証、修理見積書、写真、所有者資料を十分に準備する必要があります。

Reference

この記事の参考情報源

公的・中立的な資料

  • 公益財団法人交通事故紛争処理センター「センターのご紹介」
  • 公益財団法人交通事故紛争処理センター「ご利用について」
  • 公益財団法人交通事故紛争処理センター「法律相談、和解斡旋および審査の流れ」
  • 公益財団法人交通事故紛争処理センター「ご利用に当たってご注意いただくこと」
  • 公益財団法人交通事故紛争処理センター「ご用意いただく主な資料等」
  • 公益財団法人交通事故紛争処理センター「国内・外国損害保険会社および共済組合」
  • 公益財団法人交通事故紛争処理センター「よくある質問 Q&A」
  • 法務省「かいけつサポート 制度について」
  • e-Gov法令検索「民法」
  • 一般社団法人日本損害保険協会「そんぽADRセンター」
  • 一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構「初めての方へ」
  • 公益財団法人日弁連交通事故相談センター公式情報