2σ Guide

ダブル不倫の場合の
慰謝料はどうなるか

双方が既婚者である不貞関係では、被害配偶者が2人になり、相互請求、求償権、家計への影響まで重なります。請求する側・請求された側の双方に向けて、一般的な判断枠組みを整理します。

4者夫婦2組の関係
50万〜300万語られやすい目安
3年知った時からの時効
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ダブル不倫の場合の 慰謝料はどうなるか

双方が既婚者である不貞関係では、被害配偶者が2人になり、相互請求、求償権、家計への影響まで重なります。

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ダブル不倫の場合の 慰謝料はどうなるか
双方が既婚者である不貞関係では、被害配偶者が2人になり、相互請求、求償権、家計への影響まで重なります。
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  • ダブル不倫の場合の 慰謝料はどうなるか
  • 双方が既婚者である不貞関係では、被害配偶者が2人になり、相互請求、求償権、家計への影響まで重なります。

POINT 1

  • ダブル不倫の場合の慰謝料は四者関係で考える
  • 通常の不倫と異なり、請求する人・請求される人・家庭への影響が二重に発生します。
  • AさんとBさん
  • CさんとDさん
  • BさんとCさん

POINT 2

  • ダブル不倫の慰謝料を考える前に押さえる用語
  • 不倫、不貞行為、慰謝料、共同不法行為を分けて理解します。
  • 日常用語の不倫は、配偶者以外との親密な交際全般を指すことがあります。
  • これに対し、法律上問題になる中心概念は、通常、民法770条1項の不貞行為です。
  • 実務上は、配偶者以外の者との性的関係を中心に理解されます。

POINT 3

  • ダブル不倫の慰謝料額は相場より個別事情で決まる
  • 離婚の有無、不貞期間、悪質性、既存の夫婦関係などを総合して評価します。
  • 双方の夫婦が婚姻を継続
  • 一方の夫婦だけが離婚
  • 双方の夫婦が離婚

POINT 4

  • ダブル不倫の慰謝料で押さえる最高裁判例
  • 1. 不貞相手の責任を肯定する基本的な流れ
  • 2. 婚姻関係が既に破綻していた場合:不貞行為の時点で婚姻関係が既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、不貞相手は不法行為責任を負わないとしました。
  • 3. 不貞相手への離婚慰謝料の制限

POINT 5

  • ダブル不倫の慰謝料で見落としやすい求償権
  • 1. 誰が慰謝料を支払うか:不貞相手のみか、自分の配偶者も支払うのかを確認します。
  • 2. 求償権を残すか放棄するか:支払者が後で共同責任者へ内部負担を求める余地を整理します。
  • 3. 条項の当事者を確認:放棄する人が示談書の当事者になっているかを確認します。
  • 4. 後日の請求に備える:家計への影響や追加紛争の可能性を見込みます。

POINT 6

  • ダブル不倫の慰謝料で請求前・請求後に確認すること
  • スマートフォンへの無断侵入
  • ID・パスワードの不正利用や端末への無断アクセスは、別の法的問題を招く可能性があります。
  • GPSの違法な設置
  • 位置情報を得る方法によっては、プライバシー侵害などが問題になります。

POINT 7

  • ダブル不倫の慰謝料と調停・訴訟・時効
  • 1. 証拠と時系列を整理:不貞の事実、相手、夫婦関係への影響、相互請求の可能性を整理します。
  • 2. 内容証明郵便や示談交渉:請求書を送る前に、相手方配偶者からの反対請求、求償権、包括解決の必要性を検討します。
  • 3. 家庭裁判所の調停:離婚、親権、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料をまとめて話し合うことがあります。
  • 4. 3年・20年・5年・2年:不貞慰謝料は損害および加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年が問題になります。

POINT 8

  • ダブル不倫の慰謝料に関するよくある質問
  • 個別の結論ではなく、一般的な考え方として整理します。
  • Q1. ダブル不倫だと慰謝料は2倍になりますか。
  • Q2. 相手も既婚者なら、こちらは慰謝料を払わなくてよいのですか。
  • Q3. 相手の配偶者から請求されたら、自分の配偶者にも払わせられますか。

まとめ

  • ダブル不倫の場合の 慰謝料はどうなるか
  • ダブル不倫の場合の慰謝料は四者関係で考える:通常の不倫と異なり、請求する人・請求される人・家庭への影響が二重に発生します。
  • ダブル不倫の慰謝料を考える前に押さえる用語:不倫、不貞行為、慰謝料、共同不法行為を分けて理解します。
  • ダブル不倫の慰謝料額は相場より個別事情で決まる:離婚の有無、不貞期間、悪質性、既存の夫婦関係などを総合して評価します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

ダブル不倫の場合の慰謝料は四者関係で考える

通常の不倫と異なり、請求する人・請求される人・家庭への影響が二重に発生します。

ダブル不倫の場合の慰謝料は、単に「不倫をしたから慰謝料を払うのか」という一問一答では整理しにくい問題です。通常の不倫でも、慰謝料の有無、金額、証拠、時効、示談の範囲が問題になります。ダブル不倫では、そこにもう一組の夫婦が加わるため、法律関係が四者に広がります。

次の一覧は、ダブル不倫で登場する四者と請求関係を表しています。読者にとって重要なのは、自分の家庭だけでなく相手方の家庭でも別の慰謝料請求が起こり得る点です。誰が被害配偶者で、誰に対する請求が並行し得るのかを読み取ってください。

夫婦1

AさんとBさん

BさんがCさんと不貞関係にある場合、Aさんは被害を受けた配偶者として、Bさん・Cさんへの請求を検討し得ます。

夫婦2

CさんとDさん

Cさんにも配偶者Dさんがいるため、Dさんも被害を受けた配偶者として、Cさん・Bさんへの請求を検討し得ます。

不貞関係

BさんとCさん

AさんからCさんへの請求と、DさんからBさんへの請求が並行して発生し得ることが最大の特徴です。

もっとも、ダブル不倫だからといって慰謝料が当然に2倍になるわけではありません。慰謝料は、各配偶者が受けた精神的苦痛を、婚姻関係が破綻したか、離婚したか、別居したか、不貞の期間・回数、未成年の子の有無、発覚後の態度、婚姻関係が不貞前から破綻していたかなどによって個別に評価します。

注意このページは一般的な法情報です。個別の慰謝料請求、示談書作成、調停・訴訟対応では、証拠関係や当事者の状況によって結論が変わるため、具体的な見通しは弁護士等の専門家に相談する必要があります。
Section 01

ダブル不倫の慰謝料を考える前に押さえる用語

不倫、不貞行為、慰謝料、共同不法行為を分けて理解します。

日常用語の不倫は、配偶者以外との親密な交際全般を指すことがあります。これに対し、法律上問題になる中心概念は、通常、民法770条1項の不貞行為です。実務上は、配偶者以外の者との性的関係を中心に理解されます。

次の比較表は、似ている言葉の違いを整理したものです。慰謝料請求では、単に親密だったかではなく、法律上保護される婚姻共同生活の平和が侵害されたといえるかが重要です。各列から、どの言葉が請求の根拠や証拠評価に関わるのかを読み取ってください。

用語意味慰謝料での位置付け
不倫配偶者以外との親密な交際全般を指す日常用語です。これだけで慰謝料が認められるとは限らず、内容と証拠が問題になります。
不貞行為配偶者以外との性的関係を中心に理解されます。離婚事由や不法行為責任の判断で重要になります。
慰謝料精神的苦痛に対する損害賠償です。民法709条、710条、719条などを根拠に検討されます。
ダブル不倫不貞関係にある2人の双方が、それぞれ別の配偶者を持つ状態です。被害配偶者が2人になり、相互請求や求償権の整理が必要になります。

次の比較表は、ダブル不倫で並行し得る2本の請求を表しています。重要なのは、Aさんの損害とDさんの損害が別々に評価されることです。請求する人、請求され得る人、損害の性質が一致していない点を確認してください。

請求する人請求され得る人請求の性質
AさんBさん、Cさん、またはその双方Aさんの婚姻共同生活の平和が侵害されたことに基づく慰謝料
DさんCさん、Bさん、またはその双方Dさんの婚姻共同生活の平和が侵害されたことに基づく慰謝料

「不倫っぽい」「親密そう」というだけでは、慰謝料請求が当然に認められるわけではありません。ホテルへの出入り、宿泊、親密なメッセージ、旅行記録などから総合的に推認されることがありますが、故意・過失、婚姻関係の状態、損害、因果関係も検討されます。

Section 02

ダブル不倫の慰謝料額は相場より個別事情で決まる

離婚の有無、不貞期間、悪質性、既存の夫婦関係などを総合して評価します。

不貞慰謝料には、法律上の定額表はありません。実務上は数十万円から300万円程度の範囲で語られることが多く、夫婦が離婚に至らない場合は比較的低く、離婚に至った場合は比較的高くなる傾向があります。ただし、必ずその範囲に収まるという意味ではありません。

次の比較表は、慰謝料額を左右しやすい事情を増額方向と減額方向に分けたものです。重要なのは、ダブル不倫という形式だけでなく、各家庭で実際にどのような影響が生じたかを読むことです。左右の列を比べ、どの事情が金額評価に関わるかを確認してください。

要素増額方向に働きやすい事情減額方向に働きやすい事情
婚姻関係への影響離婚、長期別居、深刻な夫婦関係破綻婚姻継続、短期の一時的悪化
不貞期間・回数長期間、反復継続、多数回一回限り、短期間
婚姻期間長期婚姻で家庭基盤が強い婚姻期間が短い
子の有無未成年の子がいる、子への影響が大きい子がいない、影響が限定的
悪質性積極的誘引、虚偽説明、発覚後の継続、挑発的言動早期解消、謝罪、再発防止
既存の夫婦関係不貞前は円満不貞前から別居・離婚協議などが進んでいた
支払状況未払い、責任否定、証拠隠し既払い、謝罪、接触禁止合意

次の比較一覧は、ダブル不倫でよく出る4つの典型場面をまとめたものです。読者にとって重要なのは、片方の家庭ともう片方の家庭で結論が同じになるとは限らない点です。各項目から、婚姻継続、離婚、破綻の有無によって検討事項が変わることを読み取ってください。

パターン1

双方の夫婦が婚姻を継続

慰謝料額は比較的抑えられる傾向があります。接触禁止、再発防止、秘密保持、求償権の処理が重要になります。

パターン2

一方の夫婦だけが離婚

離婚する側の損害は大きく評価されやすい一方、婚姻継続側とは金額に差が出ることがあります。

パターン3

双方の夫婦が離婚

双方に高額方向の事情が生じますが、婚姻期間、子の有無、主導性、発覚後の経緯により同額とは限りません。

パターン4

不貞前から婚姻関係が破綻

不貞時点で婚姻関係が既に客観的に破綻していた場合、請求が否定または制限される可能性があります。

ダブル不倫特有の注意点は、家計への跳ね返りです。たとえばAさんがCさんから200万円を受け取っても、Cさんの配偶者DさんがBさんへ慰謝料を請求したり、CさんがBさんへ100万円を求償したりすると、Aさん家庭全体で見た純受領額が小さくなることがあります。

Section 03

ダブル不倫の慰謝料で押さえる最高裁判例

不貞相手の責任、婚姻関係破綻、離婚慰謝料の制限を整理します。

判例実務では、夫婦の一方と肉体関係を持った第三者が、故意または過失がある限り、他方配偶者に対して慰謝料責任を負い得るという考え方が基本にあります。ただし、婚姻関係が既に破綻していた場合や、不貞相手へ離婚慰謝料を請求する場合には、責任が制限される重要な判断もあります。

次の時系列は、不貞慰謝料の考え方に関わる主要な最高裁判断を並べたものです。重要なのは、古い判断が責任肯定の基礎を示し、その後の判断が破綻後の不貞や離婚慰謝料を限定している点です。年代の順番に、請求の根拠と限界を読み取ってください。

昭和54年3月30日

不貞相手の責任を肯定する基本的な流れ

配偶者の一方と肉体関係を持った第三者について、故意または過失がある限り、他方配偶者の精神的苦痛を慰謝すべき義務がある旨を示した判断として引用されます。

平成8年3月26日

婚姻関係が既に破綻していた場合

不貞行為の時点で婚姻関係が既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、不貞相手は不法行為責任を負わないとしました。

平成31年2月19日

不貞相手への離婚慰謝料の制限

不貞相手が単に不貞行為に及んだだけでは、直ちに夫婦を離婚させたことを理由とする不法行為責任を負うものではないとしました。

ダブル不倫では、一方の家庭では不貞前から婚姻関係が客観的に破綻していたと評価され、もう一方の家庭では破綻していなかったと評価されることもあります。その場合、一方では慰謝料が否定・制限され、もう一方では認められるという非対称な結論もあり得ます。

Section 04

ダブル不倫の慰謝料で見落としやすい求償権

慰謝料を受け取っても、共同責任者間の内部負担が後から問題になることがあります。

求償権とは、共同で損害賠償責任を負う者の一人が被害者に損害賠償金を支払った場合に、他の共同責任者へ内部的な負担分を求める権利をいいます。不貞慰謝料では、不貞をした配偶者と不貞相手が共同不法行為者として扱われることがあります。

次の重要ポイントは、求償権が家計に戻ってくる構造を示しています。なぜ重要かというと、慰謝料を受け取った家庭でも、婚姻を継続する場合には配偶者の支払いが生活に影響することがあるためです。200万円の受領と100万円の求償という数字から、手元に残る効果が単純ではないことを読み取ってください。

200万円を受け取っても、100万円の求償で純受領額が縮むことがある

AさんがCさんから200万円を受け取った後、CさんがBさんへ100万円を求償し、AさんとBさんが婚姻を継続している場合、Aさん家庭全体の経済的効果は小さくなる可能性があります。

次の判断の流れは、示談時に求償権を残すのか放棄するのかを考える順番を表しています。読者にとって重要なのは、求償権の放棄だけでは相手方配偶者からの別請求まで当然に消えないことです。分岐の先に残る請求範囲を読み取ってください。

求償権を示談で扱うときの確認順

誰が慰謝料を支払うか

不貞相手のみか、自分の配偶者も支払うのかを確認します。

求償権を残すか放棄するか

支払者が後で共同責任者へ内部負担を求める余地を整理します。

放棄する
条項の当事者を確認

放棄する人が示談書の当事者になっているかを確認します。

残す
後日の請求に備える

家計への影響や追加紛争の可能性を見込みます。

求償権放棄条項は、慰謝料を支払った不貞相手が、後で被害配偶者の配偶者へ内部負担分を請求しないようにするものです。ただし、放棄する人が示談書の当事者でなければ効力が及ばない可能性があり、相手方配偶者からの別請求までは当然に解決できません。

Section 05

ダブル不倫の慰謝料で請求前・請求後に確認すること

証拠、反対請求、支払義務、示談書の署名リスクを整理します。

請求する側は、不貞行為の相手、既婚者であることの認識、不貞の期間・回数・場所、発覚前後の夫婦関係、離婚意思、相手方配偶者から請求される可能性、求償権、証拠収集の適法性を整理する必要があります。請求された側は、金額の前に支払義務の有無を検討します。

次の一覧は、請求する側と請求された側が初期段階で確認しやすい項目を並べたものです。なぜ重要かというと、最初の連絡や署名が後の示談・訴訟の証拠になることがあるためです。各項目から、金額交渉の前に事実関係と法的反論を点検する必要があることを読み取ってください。

1

請求する側の整理

不貞相手、既婚者認識、期間・回数・場所、夫婦関係への影響、離婚意思、相手方配偶者からの請求可能性を整理します。

初動
2

証拠の確認

ホテル出入りの写真・動画、宿泊旅行記録、LINE・メール、SNS、領収書、交通系IC履歴、調査報告書、自認書、録音、謝罪文などを確認します。

証拠
3

請求された側の反論

不貞行為の有無、故意・過失、婚姻関係破綻、時効、金額過大、同一損害の填補、離婚慰謝料としての構成を検討します。

反論
4

署名前の確認

謝罪文、誓約書、示談書にすぐ署名すると、不貞行為や高額慰謝料、広すぎる接触禁止、求償権放棄を認めた形になることがあります。

注意

次の注意点一覧は、証拠集めで避けるべき行動を整理したものです。重要なのは、証拠を得るための行動自体が別の法的トラブルを招くことがある点です。各項目から、強い証拠ほど取得方法の適法性も確認すべきことを読み取ってください。

スマートフォンへの無断侵入

ID・パスワードの不正利用や端末への無断アクセスは、別の法的問題を招く可能性があります。

GPSの違法な設置

位置情報を得る方法によっては、プライバシー侵害などが問題になります。

職場への押しかけ

相手の勤務先での強い接触は、名誉毀損、業務妨害、脅迫的言動の問題につながる可能性があります。

SNSでの暴露

社会的制裁を目的とした投稿は、名誉毀損やプライバシー侵害のリスクを高めます。

次の表は、示談書に入れることが多い基本条項を整理したものです。読者にとって重要なのは、金額だけでなく、支払方法、接触禁止、秘密保持、清算範囲まで書面化する点です。各行から、後日の追加請求や違反時の紛争を防ぐために何を決めるかを確認してください。

条項定める内容
当事者の表示誰と誰の合意か、四者全員を含むのかを明確にします。
慰謝料額・支払条件金額、支払期限、分割条件、遅延時の扱いを定めます。
接触禁止・再発防止面会、電話、メール、SNS、メッセージアプリなどの私的接触を整理します。
秘密保持・口外禁止職場、親族、SNS、地域コミュニティへの拡散を防ぐ内容を検討します。
求償権の処理後で共同責任者へ内部負担分を請求するかどうかを明確にします。
清算条項・違約金この合意でどの請求まで終了するのか、違反時にどう扱うのかを示します。

四者全員が署名押印しない限り、合意の効力が全員に及ぶとは限りません。二者間示談で四者全員の紛争を終わらせようとする場合は、残る請求の有無を特に慎重に確認する必要があります。

Section 06

ダブル不倫の慰謝料と調停・訴訟・時効

離婚問題、財産分与、養育費、時効期間をまとめて見ます。

離婚について話合いがまとまらない場合や話合いができない場合、家庭裁判所の夫婦関係調整調停を利用できます。夫婦関係調整調停では、離婚そのものだけでなく、親権、養育費、親子交流、財産分与、年金分割、慰謝料なども一緒に話し合うことができます。

次の時系列は、ダブル不倫が調停・訴訟へ進む場合に意識される流れと期間をまとめたものです。重要なのは、慰謝料だけでなく離婚関連の制度や時効が同時に動く点です。上から順に、話合い、調停、訴訟、期間制限を読み取ってください。

発覚直後

証拠と時系列を整理

不貞の事実、相手、夫婦関係への影響、相互請求の可能性を整理します。

交渉段階

内容証明郵便や示談交渉

請求書を送る前に、相手方配偶者からの反対請求、求償権、包括解決の必要性を検討します。

調停段階

家庭裁判所の調停

離婚、親権、養育費、財産分与、年金分割、慰謝料をまとめて話し合うことがあります。

期間制限

3年・20年・5年・2年

不貞慰謝料は損害および加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年が問題になります。財産分与は2026年4月1日以降の離婚では離婚した日の翌日から5年、それより前の離婚等では従前どおり2年とされています。

調停で合意内容が調停調書に記載されると、確定判決と同一の効力があります。慰謝料の合意を私文書にするのか、調停調書・公正証書など強制執行を見据えた形にするのかは、支払能力や分割払いの有無によって検討されます。時効が近い場合、内容証明郵便だけで足りるか、協議による時効完成猶予の合意や訴訟提起が必要かなど、専門的判断が必要になります。

FAQ

ダブル不倫の慰謝料に関するよくある質問

個別の結論ではなく、一般的な考え方として整理します。

Q1. ダブル不倫だと慰謝料は2倍になりますか。

一般的には、ダブル不倫という事実だけで慰謝料が自動的に2倍になるわけではないとされています。ただし、婚姻関係への影響、不貞期間、悪質性、子の有無、発覚後の態度などによって結論が変わる可能性があります。具体的な見通しは、資料を整理したうえで弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 相手も既婚者なら、こちらは慰謝料を払わなくてよいのですか。

一般的には、相手が既婚者であることは相互請求の問題を生じさせますが、それだけで慰謝料責任が当然に否定されるわけではないとされています。ただし、故意・過失、婚姻関係の状態、証拠関係によって判断が変わる可能性があります。具体的な対応は、弁護士等の専門家へ相談する必要があります。

Q3. 相手の配偶者から請求されたら、自分の配偶者にも払わせられますか。

一般的には、慰謝料を支払った人が、不貞の共同当事者に内部負担分を求める求償権を検討することがあります。ただし、求償の可否、割合、実行可能性、示談での求償権放棄の有無によって結論が変わる可能性があります。具体的には、示談書や支払資料を確認して専門家へ相談する必要があります。

Q4. 夫婦関係が悪かった場合でも慰謝料は発生しますか。

一般的には、夫婦関係が悪かっただけで慰謝料が当然に否定されるわけではないとされています。不貞行為時点で婚姻関係が客観的に破綻していたと評価されるかは、別居、離婚協議、調停、生活実態などの事情によって変わります。具体的な判断は、証拠を整理して弁護士等へ相談する必要があります。

Q5. 不貞相手に離婚慰謝料を請求できますか。

一般的には、不貞行為そのものによる慰謝料と、離婚したことを理由とする慰謝料は区別して検討されます。不貞相手に離婚そのものの責任を問うには、単なる不貞を超える特段の事情が問題になるとされています。具体的な請求構成は、判例や証拠関係を踏まえて専門家へ相談する必要があります。

Q6. ダブル不倫では示談を四者全員で結ぶべきですか。

一般的には、必ず四者全員でなければならないわけではありません。ただし、相互請求、求償権、接触禁止、秘密保持を一括で処理したい場合、二者間示談だけでは紛争が残る可能性があります。合意に誰を含めるべきかは、解決したい請求の範囲を整理して専門家へ相談する必要があります。

Q7. 慰謝料を受け取った後、さらに自分の配偶者にも請求できますか。

一般的には、同じ精神的損害について既に十分な賠償を受けている場合、同一損害を二重に回収することはできないと考えられます。ただし、受け取った金額が損害全体の一部にとどまる場合や、示談書の清算条項の内容によって結論が変わる可能性があります。具体的には、支払額と合意内容を確認して専門家へ相談する必要があります。

Conclusion

ダブル不倫の場合の慰謝料は相互請求と求償権まで見て判断する

通常の不倫慰謝料を単純に当てはめるだけでは足りません。

ダブル不倫の場合の慰謝料は、通常の不倫と同じく、不法行為責任、婚姻共同生活の平和、故意・過失、損害、因果関係を基礎として判断されます。しかし、被害配偶者が2人存在し得ること、双方の家庭で慰謝料請求が発生し得ること、請求の相殺が当然にはできないこと、支払いが家計に跳ね返ること、求償権の有無・放棄が重要になることから、単純な一対一の問題ではありません。

次の重要ポイント一覧は、ダブル不倫の慰謝料を判断するときの結論部分をまとめたものです。読者にとって重要なのは、金額だけでなく、誰のどの請求を終わらせるのかを明確にすることです。各項目から、四者関係、求償権、離婚関連問題を同時に整理する必要性を読み取ってください。

被害配偶者が2人になり得る

Aさんの損害とDさんの損害は別々に評価され、同時に請求が起こる可能性があります。

相殺は当然ではない

当事者が異なる請求は、法律上当然に差し引きされるわけではありません。

求償権が家計に影響する

慰謝料の受領後に共同責任者間の内部負担が問題になり、家庭全体の経済効果が変わることがあります。

四者間示談が必要な場合がある

相互請求、接触禁止、秘密保持、求償権をまとめて処理したい場合は、合意の当事者と範囲を精密に設計します。

請求する側は、感情的な請求によって相手方配偶者からの反対請求や求償を招くリスクを検討する必要があります。請求された側は、支払義務の有無、金額の相当性、求償権、示談条項を慎重に確認する必要があります。いずれの立場でも、証拠、時効、交渉方針、示談書の内容を専門家に確認することが望ましい場面が多いといえます。

Reference

参考資料・出典

公的資料、法令、裁判例、一般化した実務解説を掲載しています。

法令・裁判所資料

  • e-Gov法令検索「民法」
  • 裁判所「裁判手続 家事事件Q&A」
  • 裁判所「夫婦関係調整調停(離婚)」
  • 裁判所「調停手続一般」
  • 裁判所「財産分与請求調停」

裁判例・実務解説

  • 最高裁判所第二小法廷昭和54年3月30日判決・民集33巻2号303頁
  • 最高裁判所第三小法廷平成8年3月26日判決・民集50巻4号993頁
  • 最高裁判所第三小法廷平成31年2月19日判決・平成29年(受)第1456号損害賠償請求事件
  • 法律実務解説(不貞相手の不法行為責任に関する解説)