2σ Guide

暗号資産(仮想通貨)の相続で
見落としやすい実務を整理する

相続財産としての扱い、相続税評価、取引所手続、秘密鍵・シードフレーズの保全、遺産分割、生前対策までを、法務・税務・技術の三面から確認します。

3軸 法務・税務・技術を同時管理
10か月 相続税申告と納税の期限
2週間 死亡直後の保全目安
本ページは株式会社Dプロフェッションズ(医師/医療機関/弁護士/弁護士法人ではありません)が運営しています。
一般的な情報提供を目的としており医療上の助言や法律相談等を行うものではありません。
広告(PR)を掲載しています。広告は編集内容や推奨を意味しません。
Video

暗号資産(仮想通貨)の相続で 見落としやすい実務を整理する

単なる口座解約ではなく、死亡直後から資料保存、評価、分配、移管までを一つの実務として設計します。

動画を読み込み中…
2σ GUIDE ・ VIDEO
暗号資産(仮想通貨)の相続で 見落としやすい実務を整理する
単なる口座解約ではなく、死亡直後から資料保存、評価、分配、移管までを一つの実務として設計します。
動画の文字起こし(全文テキスト)

2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 暗号資産(仮想通貨)の相続で 見落としやすい実務を整理する
  • 単なる口座解約ではなく、死亡直後から資料保存、評価、分配、移管までを一つの実務として設計します。

POINT 1

  • 暗号資産(仮想通貨)の相続は法律・税金・アクセス管理を同時に見る
  • 取引所に連絡するだけでは完了しない
  • 単なる口座解約ではなく、死亡直後から資料保存、評価、分配、移管までを一つの実務として設計します。

POINT 2

  • 暗号資産(仮想通貨)の相続財産としての位置づけ
  • 相続財産であることと、実際にアクセスできることは別の問題です。
  • 日本法では、暗号資産は一般に法定通貨そのものではありません。
  • 円や米ドルなどの法定通貨、通貨建資産、電子決済手段などは、この定義から除外されます。
  • 相続法の観点では、民法896条により、相続人は相続開始時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するのが原則です。

POINT 3

  • 暗号資産(仮想通貨)の相続で死亡直後に優先する初動対応
  • 1. 死亡事実と相続人の確認:死亡診断書、死亡届、戸籍、法定相続情報一覧図の利用可能性を確認します。
  • 2. 遺言と端末を確認:公正証書遺言、自筆証書遺言、法務局保管遺言、貸金庫、金庫、端末、紙資料を確認します。
  • 3. 暗号資産の所在調査:取引所、ウォレット、メール、銀行入出金、税務資料、アプリ、認証情報を調査します。
  • 4. 交換業者と税務見通し:相続手続窓口、残高証明、アカウント凍結、基礎控除、申告期限、納税資金を確認します。

POINT 4

  • 暗号資産(仮想通貨)の相続で所在調査を広げる方法
  • 国内取引所だけでなく、海外サービス、自己管理ウォレット、NFT、DeFi、会社資料まで確認します。
  • 暗号資産(仮想通貨)の相続で最初の難所は、故人がどこに、どの資産を、どれだけ保有していたのかが分からないことです。
  • 取引所登録メール、本人確認通知、出金通知、ログイン通知、二要素認証設定通知を確認します。
  • 取引所アプリ、ウォレットアプリ、認証アプリ、ブラウザ拡張、ブックマーク、ダウンロードファイルを確認します。

POINT 5

  • 暗号資産(仮想通貨)の相続税評価と申告期限
  • 死亡日時点の数量・価格・市場の有無を確認し、10か月以内の申告に備えます。
  • 取引所の残高証明
  • 年間取引報告書
  • トランザクション履歴

POINT 6

  • 暗号資産(仮想通貨)の相続後に売却・交換した場合の所得税
  • 相続税は死亡時点、所得税は相続後の取引で分けて考えます。
  • 相続税は、死亡時点で相続財産を取得したことに対して問題になります。
  • これに対し、相続後に暗号資産を売却、交換、使用した場合には、相続人側の所得税が問題になります。
  • 相続により取得した暗号資産を売却した場合、売却価額から取得価額や必要経費を差し引いて所得を計算します。

POINT 7

  • 暗号資産(仮想通貨)の相続で取引所口座と自己管理ウォレットを扱う手順
  • 1. 利用業者を特定:メール、アプリ、銀行入出金、税務資料から候補を洗い出します。
  • 2. 代表者または遺言執行者が問い合わせ:相続手続窓口、残高証明、凍結、必要書類を確認します。
  • 3. 遺言・遺産分割の状況を確認:取得者、代表者、相続人全員の合意、家庭裁判所手続の有無を整理します。
  • 4. 移管・払戻しと資料保存:暗号資産または日本円として移管し、税務申告用資料を保存します。
  • 5. 物理媒体を保全:ハードウェアウォレット、紙、ノート、USBメモリ、スマートフォン、パソコンを保全します。
  • 6. 相続関係と権限を確認:遺言、遺言執行者、相続人、代表者、紛争の有無を確認します。
  • 7. 秘密情報の閲覧人数を最小化:弁護士立会い、複数人確認、記録化、封緘などを検討します。
  • 8. 公開アドレス等で残高を確認:可能なら秘密鍵を入力せず、公開アドレスやウォッチ専用機能で確認します。
  • 9. 移転方針と資料保存:送金先、テスト送金、手数料、トランザクションID、死亡日時点の評価資料を保存します。

POINT 8

  • 暗号資産(仮想通貨)の相続で遺産分割を設計する
  • 単独で秘密鍵を持つ相続人
  • ウォレットアドレス、残高、取引履歴、秘密情報の保管経緯を確認します。
  • 死亡後の移転
  • 送金日時、送金先アドレス、数量、手数料、関連アドレスを記録します。

まとめ

  • 暗号資産(仮想通貨)の相続で 見落としやすい実務を整理する
  • 暗号資産(仮想通貨)の相続財産としての位置づけ:相続財産であることと、実際にアクセスできることは別の問題です。
  • 暗号資産(仮想通貨)の相続で死亡直後に優先する初動対応:売却や送金を急ぐ前に、証拠保全と権限確認を先に行います。
  • 暗号資産(仮想通貨)の相続で所在調査を広げる方法:国内取引所だけでなく、海外サービス、自己管理ウォレット、NFT、DeFi、会社資料まで確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

暗号資産(仮想通貨)の相続は法律・税金・アクセス管理を同時に見る

単なる口座解約ではなく、死亡直後から資料保存、評価、分配、移管までを一つの実務として設計します。

暗号資産(仮想通貨)の相続で最も重要なのは、法律上の相続財産として誰が管理・取得・処分するのか、相続税・所得税の評価や資料保存をどう行うのか、秘密鍵・シードフレーズ・二要素認証・ウォレットへのアクセスをどう保全するのかを、同時に整理することです。

一般の預貯金や不動産と異なり、暗号資産(仮想通貨)の相続では、法律上は相続財産であっても技術的に取り出せない、相続人の一人が単独で移転できてしまう、死亡時点と売却時点で価格が大きく動く、取引履歴が国内外の複数サービスに散在する、といった問題が起こり得ます。

次の重要ポイントは、暗号資産(仮想通貨)の相続で最初に押さえるべき3つの管理軸を表しています。読者にとって重要なのは、どれか一つを済ませても全体の安全が確保されるわけではない点で、各項目を並行して進める必要があることを読み取ってください。

取引所に連絡するだけでは完了しない

死亡直後の証拠保全、ウォレットの所在調査、相続税評価、遺産分割、売却・換金、所得税処理、相続人間の紛争対応、生前対策までを一体で考える必要があります。

次の一覧は、暗号資産(仮想通貨)の相続で同時に管理する3つの領域を表しています。相続人にとって重要なのは、法的な取得者、税務上の評価額、技術的に操作できる人が一致しないことがある点で、それぞれ別の確認作業が必要だと読み取ってください。

Legal

権限と帰属

相続人、遺言、遺言執行者、遺産分割協議、相続分、遺留分、特別受益、寄与分などを確認し、誰がどの権限で管理するのかを明確にします。

Tax

評価と申告

死亡日時点の数量・価格・取引履歴・残高証明を保存し、相続税評価、納税資金、相続後の売却に伴う所得税を分けて検討します。

Security

秘密情報の保全

秘密鍵、シードフレーズ、二要素認証、端末、ハードウェアウォレットを安全に保全し、無断移転や回収不能を避ける設計を取ります。

次の比較表は、同じ暗号資産(仮想通貨)でも、法的帰属、税務評価、技術的支配、実務処分、紛争処理で見るポイントが異なることを表しています。読者にとって重要なのは、表の各行が別々のリスクを示している点で、どの問題が未確認かを洗い出す材料として読んでください。

観点意味実務上の問題
法的帰属誰の相続財産か遺言、遺産分割、相続分、遺留分、特別受益、寄与分を確認します。
税務評価いくらで相続税評価するか死亡日時点の価格、残高証明、時価、評価資料が必要です。
技術的支配誰が秘密鍵やアカウントを操作できるか秘密鍵、シードフレーズ、二要素認証、端末の保全が問題になります。
実務処分換金・移管・保管をどう行うか代表相続人、交換業者の手続、ウォレット移転、売却時期を決めます。
紛争処理相続人間でもめたときにどう解決するか交渉、調停、審判、訴訟、使い込み調査、保全手続を検討します。
注意相続人全員の合意がないまま一人の相続人が秘密鍵を使って外部ウォレットへ移転すると、技術的には移転できても、法務・税務・証拠保全の面で深刻な問題が生じる可能性があります。
Section 01

暗号資産(仮想通貨)の相続財産としての位置づけ

相続財産であることと、実際にアクセスできることは別の問題です。

日本法では、暗号資産は一般に法定通貨そのものではありません。資金決済に関する法律では、代価の弁済に不特定の者へ使用でき、不特定の者を相手方として購入・売却できる財産的価値であり、電子的方法で記録され、電子情報処理組織を用いて移転できるもの等として定義されています。円や米ドルなどの法定通貨、通貨建資産、電子決済手段などは、この定義から除外されます。

金融庁も、暗号資産は法定通貨ではないこと、価格が変動すること、暗号資産交換業者は金融庁・財務局への登録が必要であること、詐欺的勧誘に注意すべきことを利用者向けに示しています。

相続法の観点では、民法896条により、相続人は相続開始時から被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継するのが原則です。ただし、被相続人の一身に専属した権利は除かれます。この枠組みに照らすと、暗号資産そのものの経済的価値、暗号資産交換業者に対する返還・移管・払戻しに関する地位、秘密鍵を管理しているウォレット内の価値は、原則として相続財産として把握すべき対象になります。

次の比較表は、暗号資産(仮想通貨)の相続でよく混同される法的な扱いと実際の回収可能性の違いを表しています。読者にとって重要なのは、権利として承継できることと操作できることが一致しない点で、規約、準拠法、本人確認、秘密鍵の有無を別々に確認する必要があることを読み取ってください。

項目相続上の見方確認すべき実務
取引所の残高交換業者に対する返還・移管・払戻しに関する地位として把握します。利用規約、相続手続窓口、必要書類、アカウント凍結、残高証明を確認します。
自己管理ウォレット秘密鍵で管理される経済的価値として把握します。秘密鍵、シードフレーズ、端末、送金履歴、相続人の合意を確認します。
海外サービス相続財産に含まれる可能性があります。準拠法、本人確認、英訳、公証、現地手続、送金規制を確認します。
NFT・DeFi経済的価値があれば課税対象や分割対象になり得ます。権利内容、利用規約、マーケット価格、ウォレット操作権限を確認します。

取引所の利用規約、海外サービスの準拠法、アカウント凍結、本人確認、二要素認証、秘密鍵喪失などによって、実際に回収できるかどうかは大きく変わります。遺産分割協議で取得者が決まっていても、秘密鍵やシードフレーズが不明であれば、実際には回収不能となることがあります。

Section 02

暗号資産(仮想通貨)の相続で死亡直後に優先する初動対応

売却や送金を急ぐ前に、証拠保全と権限確認を先に行います。

暗号資産の価値は短時間で大きく変動し、ブロックチェーン上の送金は一般に取消しが困難です。死亡直後は、焦って売却・送金・ログインを繰り返すよりも、証拠保全と権限確認を優先します。

次の注意事項の一覧は、死亡直後に避けたい行為を表しています。読者にとって重要なのは、秘密情報の漏えいと証拠消失が後から回復しにくい点で、どの行為が資産保全・税務資料・相続人間の公平性を損なうかを読み取ってください。

無断送金

相続人全員の合意や権限確認なしに、故人のウォレットから外部へ送金する行為は避けます。

端末や紙資料の廃棄

スマートフォン、パソコン、ハードウェアウォレット、紙のメモを不用意に処分しないようにします。

秘密情報の共有

シードフレーズや秘密鍵をメール、チャット、クラウド共有、写真共有サービスに載せないようにします。

真偽不明の業者への開示

復旧業者、投資回収業者、税金代行業者を名乗る相手に秘密鍵を渡すことは避けます。

評価資料の喪失

相続税の評価前に、取引履歴や残高を確認できる資料を失わないようにします。

本人としての継続操作

故人名義の取引所アカウントを、本人が生存しているかのように操作し続けることは避けます。

次の時系列は、死亡直後からおおむね2週間以内に進めたい確認作業を表しています。読者にとって重要なのは、資産の操作より先に相続人・遺言・端末・資料を保全する順番で、早い段階で専門家へ相談すべき場面を読み取ってください。

死亡直後

死亡事実と相続人の確認

死亡診断書、死亡届、戸籍、法定相続情報一覧図の利用可能性を確認します。

初期保全

遺言と端末を確認

公正証書遺言、自筆証書遺言、法務局保管遺言、貸金庫、金庫、端末、紙資料を確認します。

1週間前後

暗号資産の所在調査

取引所、ウォレット、メール、銀行入出金、税務資料、アプリ、認証情報を調査します。

2週間以内

交換業者と税務見通し

相続手続窓口、残高証明、アカウント凍結、基礎控除、申告期限、納税資金を確認します。

次の表は、初動対応で行う作業、実施内容、主な担当候補を整理したものです。読者にとって重要なのは、相続人だけで抱え込む作業と専門家へ早めに渡す作業を区別する点で、どの作業に誰の関与が必要かを読み取ってください。

項目実施内容主な担当候補
死亡事実の確認死亡診断書、死体検案書、死亡届、戸籍取得遺族、市区町村、医師
相続人確認戸籍収集、法定相続情報一覧図の検討司法書士、行政書士、弁護士
遺言確認公正証書遺言、自筆証書遺言、法務局保管遺言、貸金庫等弁護士、司法書士、行政書士、公証役場、法務局
暗号資産の所在調査取引所、ウォレット、端末、メール、銀行入出金、税務資料相続人、弁護士、税理士、技術者
証拠保全端末保全、スクリーンショット、取引履歴、残高証明、送金履歴弁護士、税理士、フォレンジック担当者
交換業者への連絡相続手続窓口、残高証明、アカウント凍結、必要書類確認代表相続人、弁護士等
税務見通し基礎控除、評価額、申告期限、納税資金税理士
紛争予防相続人への情報共有、単独操作の禁止、議事録化弁護士、遺言執行者

暗号資産交換業者では、死亡連絡後に取引・入出金を停止する運用が示されている例があります。取引所ごとに運用は異なるため、故人の利用業者ごとに必要書類、残高証明、移管方法、凍結のタイミングを確認します。

Section 03

暗号資産(仮想通貨)の相続で所在調査を広げる方法

国内取引所だけでなく、海外サービス、自己管理ウォレット、NFT、DeFi、会社資料まで確認します。

暗号資産(仮想通貨)の相続で最初の難所は、故人がどこに、どの資産を、どれだけ保有していたのかが分からないことです。暗号資産は、国内交換業者の口座だけでなく、海外交換業者、スマートフォンアプリ、ハードウェアウォレット、ブラウザ拡張ウォレット、紙に書かれたシードフレーズ、会社名義の口座、DeFi、NFTマーケットプレイスなどに分散していることがあります。

次の一覧は、暗号資産(仮想通貨)の所在調査で確認する資料と読み取る内容を表しています。読者にとって重要なのは、取引所名が分からなくても、メール、端末、銀行口座、税務資料から手掛かりをたどれる点で、どの資料から何を確認するかを読み取ってください。

メール・通知

取引所登録メール、本人確認通知、出金通知、ログイン通知、二要素認証設定通知を確認します。

取引所候補

スマートフォン・パソコン

取引所アプリ、ウォレットアプリ、認証アプリ、ブラウザ拡張、ブックマーク、ダウンロードファイルを確認します。

端末保全

紙資料・金庫

シードフレーズ、秘密鍵、ウォレット名、取引所名、税務メモ、パスワード管理表、ハードウェアウォレットを確認します。

秘密情報

銀行口座・確定申告資料

交換業者への入出金、海外送金、カード決済、雑所得計算書、年間取引報告書、税理士とのやり取りを確認します。

評価資料

SNS・会社資料

投資コミュニティ、ウォレットアドレス、取引履歴の共有、会社保有暗号資産、役員貸付・借入、事業用ウォレットを確認します。

関連資産

国内交換業者を利用していた可能性がある場合、故人のメール、銀行入出金、アプリ、税務資料を確認します。交換業者によって手続は異なりますが、相続手続窓口に連絡し、必要書類の案内を受けるのが通常です。手続完了まで1か月から2か月程度と案内する業者もあり、早めに確認することが重要です。

次の比較表は、国内取引所、自己管理ウォレット、NFT・DeFiで調査対象がどう異なるかを表しています。読者にとって重要なのは、窓口対応で解決するものと、秘密鍵やオンチェーン履歴の調査が必要なものを分ける点で、資産の種類ごとに次の確認先を読み取ってください。

保管形態主な手掛かり注意点
国内交換業者登録メール、本人確認通知、銀行入出金、年間取引報告書相続窓口、残高証明、代表相続人、移管方法を確認します。
海外交換業者英語メール、海外送金、アプリ、取引履歴準拠法、英訳、公証、アポスティーユ、現地本人確認が問題になります。
自己管理ウォレットハードウェアウォレット、アプリ、ブラウザ拡張、紙のメモ秘密鍵を失うと対応するデジタル資産を失う可能性があります。
NFT・DeFiウォレット接続履歴、マーケットプレイス、ブロックチェーンエクスプローラー権利内容、流動性、利用規約、評価資料を個別に確認します。
会社・事業用資産法人名義口座、会計帳簿、会社ウォレット、役員貸付・借入個人財産と会社財産を分け、株式評価や事業承継への影響を確認します。

自己管理ウォレットでは、秘密鍵が取引の署名に使われ、公開鍵やアドレスによって取引を検証する仕組みが採られます。利用者が実際に管理しているのは秘密鍵であり、資金は台帳上に存在するという考え方を前提に、見つけた秘密鍵をすぐ使うのではなく、何の資産に対応するのか、相続人全員の合意はあるか、送金記録をどう残すか、税務評価資料をどう確保するかを確認します。

Section 04

暗号資産(仮想通貨)の相続税評価と申告期限

死亡日時点の数量・価格・市場の有無を確認し、10か月以内の申告に備えます。

国税庁は、暗号資産を被相続人等から相続または遺贈により取得した場合、その暗号資産は相続税の課税対象になると示しています。故人が死亡時に暗号資産を保有していた場合、預貯金、不動産、上場株式、生命保険金等と同様に、相続税の課税価格の計算に含める必要があります。

基礎控除相続税が課されるのは、正味の遺産額が基礎控除額を超える場合です。基礎控除額は、3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算します。
期限相続税の申告と納税が必要な場合、申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です。提出先は、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署です。

次の比較表は、暗号資産(仮想通貨)の相続税評価で、活発な市場がある場合とない場合、NFTの場合の考え方を表しています。読者にとって重要なのは、同じデジタル資産でも市場価格の有無で資料の集め方が変わる点で、どの評価資料を優先して保存するかを読み取ってください。

対象評価の考え方保存したい資料
活発な市場がある暗号資産相続人等が取引を行っている暗号資産交換業者が公表する課税時期の取引価格で評価します。複数業者で取引しているときは、評価に用いる交換業者を選択して差し支えないとされています。残高証明書、死亡日時点の価格、取引所別価格、保有数量、取引履歴
活発な市場がない暗号資産客観的な交換価値を示す一定の相場が成立していないため、内容、性質、取引実態等を勘案して個別に評価します。売買実例価額、精通者意見価格、流動性資料、ブロックチェーン履歴
NFT経済的価値を有するNFTを相続・遺贈で取得した場合、相続税の課税対象になり得ます。内容、性質、取引実態等を踏まえて個別に評価します。成約価格、市場価格、利用規約、権利内容、専門家意見、ウォレット履歴

暗号資産は価格変動が大きいため、死亡時点では高値で相続税評価され、その後に価格が下落して納税資金が不足することがあります。相続税の評価時点と実際の売却時点が一致しないことを前提に、納税資金を早めに試算します。

次の一覧は、暗号資産(仮想通貨)の相続税評価で収集したい資料を表しています。読者にとって重要なのは、税務署への説明では数量・価格・履歴・根拠の組み合わせが必要になる点で、手元にない資料を早めに交換業者や専門家へ確認する必要があることを読み取ってください。

Balance

取引所の残高証明

死亡日時点の保有数量・価格を確認します。取引価格が記載されている場合があります。

History

年間取引報告書

取得、売却、交換、手数料を確認し、所得税の検討にも使います。

On Chain

トランザクション履歴

自己管理ウォレット、DeFi、NFT取引の送受信日時、数量、相手方アドレスを確認します。

Market

市場価格データ

死亡日時点の時価、流動性、取引所別価格、成約価格を確認します。

Opinion

専門家意見

流動性の低い資産やNFT等では、個別評価の根拠として保存します。

NFT相続では、トークンの保有が画像データの所有や著作権そのものの取得を意味するとは限りません。画像、利用許諾、会員権、ゲーム内アイテム、マーケットプレイス規約、著作権商標権、肖像権を分けて確認します。

Section 05

暗号資産(仮想通貨)の相続後に売却・交換した場合の所得税

相続税は死亡時点、所得税は相続後の取引で分けて考えます。

相続税は、死亡時点で相続財産を取得したことに対して問題になります。これに対し、相続後に暗号資産を売却、交換、使用した場合には、相続人側の所得税が問題になります。国税庁のFAQでは、暗号資産取引による所得は原則として雑所得に区分されると説明されていますが、帳簿書類の保存など一定の実態がある場合には事業所得に該当することがあります。

次の比較表は、相続税と相続後の所得税で確認する時点・資料・リスクの違いを表しています。読者にとって重要なのは、死亡時点の評価額と売却時点の損益が別の計算になる点で、どの税目のためにどの資料を残すかを読み取ってください。

税目問題になる時点主な資料注意点
相続税死亡時点残高証明、死亡日時点の価格、保有数量、評価根拠価格下落が直ちに死亡時評価を減らすわけではありません。
所得税相続後の売却・交換・使用時点売却価格、取得価額、必要経費、年間取引報告書、取引履歴取得価額や必要経費の扱いは取引内容と記録で変わります。
資料保存申告後も継続銀行入出金、交換業者履歴、オンチェーン履歴、過去の申告書取得価額が不明な場合に備え、複数資料から裏付けます。

相続により取得した暗号資産を売却した場合、売却価額から取得価額や必要経費を差し引いて所得を計算します。国内暗号資産交換業者を利用していた場合、年間取引報告書によって取引履歴を確認できることがあります。取引履歴が不明な場合には、取引所の履歴、銀行口座の入出金、過去の申告書などから取得価額を確認します。

損益通算暗号資産取引が雑所得に区分される場合、損失が出ても給与所得など他の所得と損益通算することはできません。所得区分や計算方法は、取引の内容、記録、事業性によって変わります。

たとえば、死亡時点で1億円相当だった暗号資産を相続税評価に含めた後、相続人が売却した時点で4,000万円に下落していたとしても、その価格下落が直ちに相続税評価を減らすわけではありません。売却時の所得税計算、納税資金、遺産分割の公平性を別々に検討します。

Section 06

暗号資産(仮想通貨)の相続で取引所口座と自己管理ウォレットを扱う手順

交換業者の窓口手続と、秘密鍵を扱う自己管理ウォレットの手順は分けて設計します。

国内交換業者に預けている暗号資産については、故人が利用していた交換業者を特定し、相続人代表者または遺言執行者が問い合わせ、必要書類を準備し、アカウント凍結、残高確認、残高証明書発行、移管・払戻しを進めるのが一般的です。業者によっては、代表相続人がアカウントを開設し、被相続人の日本円残高や暗号資産残高が代表相続人アカウントへ移管される運用が示されています。

次の判断の流れは、交換業者に預けている暗号資産(仮想通貨)の相続手続で確認する順番を表しています。読者にとって重要なのは、業者特定、権限確認、残高証明、分配方法を段階的に確認する点で、どの段階で書類や相続人の合意が必要になるかを読み取ってください。

交換業者に預けている場合の進め方

利用業者を特定

メール、アプリ、銀行入出金、税務資料から候補を洗い出します。

代表者または遺言執行者が問い合わせ

相続手続窓口、残高証明、凍結、必要書類を確認します。

遺言・遺産分割の状況を確認

取得者、代表者、相続人全員の合意、家庭裁判所手続の有無を整理します。

移管・払戻しと資料保存

暗号資産または日本円として移管し、税務申告用資料を保存します。

次の比較表は、交換業者の相続手続で一般に求められやすい書類と目的を表しています。読者にとって重要なのは、相続人の確定、取得者の確認、代理権限の確認が別々の書類で確認される点で、不足しやすい書類を読み取ってください。

書類目的
被相続人の死亡が分かる戸籍等死亡事実を確認します。
被相続人の出生から死亡までの戸籍相続人を確定します。
法定相続情報一覧図戸籍一式に代わる資料として利用されることがあります。
相続人全員の戸籍と印鑑登録証明書相続人の現在性、遺産分割協議書や委任状の真正を確認します。
遺産分割協議書または遺言書取得者、代表者、分配方法、遺言による承継内容を確認します。
遺言執行者の資格を示す書類遺言執行者による手続権限を確認します。
家庭裁判所の調停調書・審判書紛争解決結果を確認します。
代表相続人の本人確認書類・委任状移管・払戻し先と代理人の権限を確認します。

未成年者、成年被後見人、被保佐人、被補助人が相続人に含まれる場合、利益相反の有無に応じて特別代理人、臨時保佐人、臨時補助人の選任が必要になることがあります。家庭裁判所の審判書等を求められる場合もあります。

次の判断の流れは、自己管理ウォレットが見つかった場合に秘密情報を扱う順番を表しています。読者にとって重要なのは、秘密鍵を入力する前に物理媒体・権限・残高確認方法・移転方針を確認する点で、回収不能や無断移転を避ける手順を読み取ってください。

自己管理ウォレットが見つかった場合の進め方

物理媒体を保全

ハードウェアウォレット、紙、ノート、USBメモリ、スマートフォン、パソコンを保全します。

相続関係と権限を確認

遺言、遺言執行者、相続人、代表者、紛争の有無を確認します。

秘密情報の閲覧人数を最小化

弁護士立会い、複数人確認、記録化、封緘などを検討します。

公開アドレス等で残高を確認

可能なら秘密鍵を入力せず、公開アドレスやウォッチ専用機能で確認します。

移転方針と資料保存

送金先、テスト送金、手数料、トランザクションID、死亡日時点の評価資料を保存します。

秘密情報シードフレーズや秘密鍵を、検索で見つけたウェブサイト、チャット、メール、SNS、クラウドフォーム、真偽不明のアプリに入力することは避けます。復旧が必要な場合でも、秘密鍵を第三者に開示しない設計を検討します。

高額の暗号資産を保有している場合、生前対策としてマルチシグや秘密分散を検討することがあります。複数の鍵のうち一定数が揃わないと送金できない仕組みや、秘密情報を複数断片に分ける考え方は、単独盗難や単独相続人による無断移転を防ぐ可能性があります。ただし設計を誤ると、必要な鍵が揃わず誰も資産を回収できないという逆効果が生じます。

Section 07

暗号資産(仮想通貨)の相続で遺産分割を設計する

価格変動リスク、売却時期、税負担、秘密鍵管理を協議書に落とし込みます。

暗号資産(仮想通貨)の相続では、遺産分割の方法として、現物分割、換価分割、代償分割、共有的管理が考えられます。暗号資産は価格変動が大きいため、遺産分割協議書では、評価基準日、採用する取引所、価格、手数料、売却時期、売却後の税負担、送金手数料、価格変動リスクの帰属を明記することが望ましいです。

次の比較表は、暗号資産(仮想通貨)の遺産分割で使われる主な分け方を表しています。読者にとって重要なのは、分け方ごとに価格変動リスクと税務・操作リスクの負担者が変わる点で、自分たちの協議で明文化すべき項目を読み取ってください。

方法内容メリット注意点
現物分割暗号資産を特定の相続人が取得する売却せず保有継続できます。価格変動リスクを誰が負うか明確にします。
換価分割暗号資産を売却し、現金を分ける分配が分かりやすくなります。売却時期、税務、手数料、価格下落リスクが問題になります。
代償分割一人が暗号資産を取得し、他の相続人に代償金を払う事業承継や投資継続に向きます。評価額、代償金支払能力、納税資金が問題になります。
共有的管理複数相続人で共同管理するすぐ売却しない選択が可能です。ウォレット操作、秘密鍵管理、意思決定で紛争化しやすくなります。

相続人の一人だけが秘密鍵やシードフレーズを知っている場合、他の相続人から見ると、財産の有無、移転の有無、残高、評価額が分かりません。ウォレットアドレス、残高、取引履歴の開示を求め、ブロックチェーンエクスプローラーで送金履歴を確認し、税務資料、銀行入出金、端末、メールから裏付けを取ります。

次の一覧は、遺産分割で紛争になりやすい場面と確認事項を表しています。読者にとって重要なのは、技術的に見える送金履歴だけで法的な結論が直ちに決まるわけではない点で、どの資料を保全し専門家へ相談すべきかを読み取ってください。

単独で秘密鍵を持つ相続人

ウォレットアドレス、残高、取引履歴、秘密情報の保管経緯を確認します。

死亡後の移転

送金日時、送金先アドレス、数量、手数料、関連アドレスを記録します。

価格変動

評価基準日、採用価格、売却期限、税負担、再協議条項を協議書に残します。

隠匿の疑い

銀行入出金、税務申告、メール、アプリ、端末、紙資料、会社資料を確認します。

相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合、家庭裁判所の遺産分割調停または審判を利用することがあります。暗号資産が関係する調停・審判では、取引所の残高証明書、死亡日時点の価格資料、ウォレットアドレスとトランザクション履歴、取得・売却・交換の履歴、税務申告書、年間取引報告書、相続人が管理・移転した事実を示す資料、評価額に関する専門家意見、秘密鍵管理に関する事実経過が重要になります。

Section 08

暗号資産(仮想通貨)の相続を見据えた遺言・生前対策

遺言書には秘密そのものを書かず、取得者・執行者・手順書の所在を整備します。

暗号資産の相続対策として、遺言書にシードフレーズを書いておく方法は危険です。遺言書は、相続開始後に相続人、受遺者、遺言執行者、場合によっては裁判所や法務局等の手続関係者が閲覧する可能性があります。秘密鍵やシードフレーズを直接記載すると、閲覧者が資産を移転できる状態になります。

次の一覧は、遺言書に書く情報と、別管理すべき秘密情報を分けて表しています。読者にとって重要なのは、遺言で承継先や執行者を定めつつ、秘密鍵そのものは安全に保管する点で、書くべき内容と書かない内容を読み取ってください。

Will

遺言書に記載しやすい情報

暗号資産が存在すること、取得させたい相続人または受遺者、遺言執行者、資産一覧の保管場所、アクセス手順書の所在、相談すべき専門家を記載します。

Secret

直接書かない情報

秘密鍵、シードフレーズ、二要素認証コード、暗号資産を直接移転できる秘密情報は、遺言書本文に直接書かない設計が望ましいです。

Storage

別管理の方法

耐火金庫、貸金庫、封緘文書、複数地点保管、マルチシグ、専門家保管、法人内部規程などを組み合わせます。

自筆証書遺言は、民法上、全文、日付、氏名を自書し、押印する必要があります。ただし、財産目録については自書でないものを添付でき、その場合は各頁に署名押印が必要です。法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すると、遺言書の原本が法務局で保管され、紛失・改ざん等を防止でき、相続開始後の家庭裁判所の検認が不要になります。

次の比較表は、暗号資産(仮想通貨)の相続対策で利用される遺言・保管方法の特徴を表しています。読者にとって重要なのは、方式面の安全性だけでなく、アクセス手順と税務評価が実際に機能するかを確認する点で、どの制度にどの専門家の関与が必要かを読み取ってください。

方法利点暗号資産での注意点
自筆証書遺言自分で作成でき、財産目録は自書でない資料も添付できます。秘密鍵を本文に書かず、財産目録とアクセス手順書の所在を整合させます。
法務局保管制度紛失・改ざんを防ぎ、検認が不要になります。法務局は内容の法律的有効性や承継設計の相談機関ではありません。
公正証書遺言公証人が関与し、方式不備や作成経緯の争いを抑えやすくなります。高額資産、複数相続人、海外取引所、会社保有資産がある場合に検討します。
遺言執行者の指定取引所連絡、相続人調整、残高証明、移管、税理士連携を担いやすくなります。技術者や税理士との連携、秘密情報の扱い、手順の文書化が必要です。

暗号資産を含む遺言では、遺言執行者の指定が特に重要です。遺言執行者は、遺言内容を実現するために、取引所への連絡、相続人間の調整、残高証明の取得、ウォレット移転の手配、税理士との連携を担うことがあります。

Section 09

暗号資産(仮想通貨)の相続で専門職・会社資産・国際論点を確認する

単一の専門職だけで完結しにくいため、役割を分けて連携します。

暗号資産(仮想通貨)の相続は、相続法、税法、取引所実務、ブロックチェーン技術、情報セキュリティ、家族間紛争が交差する領域です。争いがある場合、相続税が問題になる場合、自己管理ウォレットやDeFiがある場合、会社保有資産や海外取引所がある場合では、関与すべき専門職が変わります。

次の比較表は、暗号資産(仮想通貨)の相続で関与し得る専門職・関係者の役割を表しています。読者にとって重要なのは、法務、税務、技術、登記、事業承継を一人の専門家に寄せすぎない点で、どの場面で誰へ相談するかを読み取ってください。

専門職・関係者主な役割相談すべき場面
弁護士相続人間の紛争、遺産分割、遺留分、使い込み疑い、交渉、調停、審判、訴訟、保全、照会手続争いがある、無断送金が疑われる、高額資産がある
税理士相続税申告、暗号資産評価、所得税計算、税務調査対応相続税が発生しそう、売却予定がある、取引履歴が複雑
司法書士・行政書士相続登記、法定相続情報、戸籍収集、遺産分割協議書、相続人関係説明図不動産がある、相続関係を整理したい、争いがない書類整理
公証人・遺言執行者・信託銀行等公正証書遺言、遺言内容の実現、遺言保管、資産承継支援生前対策を強化したい、暗号資産の取得者を指定する
技術者・フォレンジック担当者ウォレット確認、アドレス調査、移転手順、端末保全、ログ解析、証拠化自己管理ウォレット、DeFi、マルチシグ、無断移転、端末調査がある
公認会計士・中小企業診断士会社保有暗号資産、非上場株式評価、事業承継、経営改善会社や事業用ウォレットがある
弁理士・著作権に詳しい専門家NFT、商標、特許、知財権の承継NFTや知財が相続財産に含まれる
FP・社会保険労務士家計、保険、納税資金、資産配分、遺族年金等の死亡後周辺手続相続後の生活設計や年金・社会保険手続が必要
家庭裁判所調停、審判、特別代理人選任等遺産分割協議がまとまらない、未成年者がいる
不動産鑑定士・土地家屋調査士・宅地建物取引士等不動産評価、境界、分筆、表示登記、相続不動産の売却不動産評価争い、土地分割、売却による納税資金確保がある

相続登記は2024年4月1日から義務化されています。暗号資産の相続に注目していても、不動産がある場合は相続登記を放置しないことが重要です。

次の一覧は、暗号資産(仮想通貨)の相続で典型的に紛争や追加調査になりやすい特殊論点を表しています。読者にとって重要なのは、個人資産だけでなく会社資産、海外取引所、NFTやDAO関連権利が混ざると判断材料が増える点で、追加で確認すべき資料を読み取ってください。

価格変動で公平感が崩れる

評価基準日、採用価格、売却期限、手数料、税負担、価格変動リスクの帰属、再協議条項を残します。

死亡後に移転されている

オンチェーン上の送金日時、送金先、数量、手数料を保存し、予約取引、内部移管、無断操作、詐欺などを切り分けます。

会社・事業用資産がある

法人名義口座、会社ウォレット、役員貸付・借入、会計帳簿、取締役会議事録、税務申告書を確認します。

国際相続になる

住所、国籍、居住国、税務上の居住者性、海外取引所の準拠法、本人確認、英訳、公証、アポスティーユを確認します。

NFT・知財が関係する

トークン、利用規約、ライセンス、マーケットプレイス規約、著作権法上の権利を分けて確認します。

海外取引所の相続手続では、日本の戸籍や印鑑証明がそのまま通用しないことがあります。英訳、公証、アポスティーユ、領事認証、現地専門家の意見書が必要になる場合があります。制裁規制、マネーロンダリング規制、AML・CFT対応、日本国内への移管後の税務資料も確認します。

Section 10

暗号資産(仮想通貨)の相続で使う実務ひな形と進め方

調査票、協議書、遺言、アクセス手順書を組み合わせて、見つける・評価する・守る・分ける・申告する流れを作ります。

暗号資産(仮想通貨)の相続では、資産の種類、保管先、数量、評価基準日、評価額、証拠資料、備考を一覧化しておくと、相続人間の情報共有と税務申告の準備が進めやすくなります。実際に使用する場合は、専門家が個別事情に合わせて修正する必要があります。

次の表は、暗号資産調査票の項目例を表しています。読者にとって重要なのは、資産名だけでなく評価基準日、証拠資料、秘密鍵の保管状況まで一体で残す点で、何を一覧化すべきかを読み取ってください。

No.種別業者・ウォレット名資産名数量評価基準日評価額証拠資料備考
1国内取引所国内交換業者BTC0.50死亡日円換算額残高証明相続手続中
2自己管理ハードウェアウォレットETH10.00死亡日円換算額アドレス履歴秘密鍵は別保管
3NFTマーケットプレイスNFT名1点死亡日円換算額成約価格資料個別評価要

次の比較表は、遺産分割協議書・遺言・アクセス手順書に入れる項目例を表しています。読者にとって重要なのは、協議書は取得と価格変動リスク、遺言は取得者と執行者、手順書は保管先と禁止事項を中心に分ける点で、どの文書に何を書くかを読み取ってください。

文書主な項目書き方の注意点
遺産分割協議書暗号資産を取得する相続人、評価基準日、採用する取引所の価格、価格変動リスク、移管手続への協力評価額と実際の換価額の差額が誰に帰属するかを明確にします。
遺言暗号資産および交換業者に対する権利の取得者、遺言執行者、手順書の所在秘密鍵、シードフレーズ、直接移転できる秘密情報は本文に記載しない設計が望ましいです。
アクセス手順書取引所口座一覧、登録メール、二要素認証、年間取引報告書、ウォレット保管場所、アドレス一覧、連絡すべき専門家、操作してはいけない事項、最終更新日必要最小限を超えて秘密鍵そのものを書かず、封緘、分散、貸金庫、専門家保管、マルチシグ等を組み合わせます。

次の判断の流れは、暗号資産(仮想通貨)の相続を実務で進める順番を表しています。読者にとって重要なのは、相続人・遺言の確認から資料保全、調査、評価、協議、移管、申告、次世代対策までが連続している点で、途中で抜けやすい作業を読み取ってください。

実務で進める順番

相続人・遺言・遺言執行者を確認

権限の前提を整理します。

端末・紙資料・金庫・メール・銀行口座・税務資料を保全

証拠と秘密情報を失わないようにします。

国内外取引所・自己管理ウォレット・NFT・DeFi・法人保有資産を調査

保管形態ごとに確認先を分けます。

残高証明と死亡日時点の評価資料を保存

相続税評価と遺産分割の根拠を残します。

取得者・評価基準・価格変動リスクを協議

必要に応じて遺産分割協議書を作成します。

移管・売却・申告・資料保存・次世代対策

相続税申告、所得税申告、管理台帳と遺言の整備まで進めます。

暗号資産(仮想通貨)の相続で重要なのは、暗号資産を見つける、評価する、守る、分ける、申告する、争いを防ぐという一連の流れを設計することです。秘密鍵やシードフレーズは、相続財産へのアクセス権限そのものであり、紛失すれば回収不能、漏えいすれば無断移転のリスクがあります。

Section 11

暗号資産(仮想通貨)の相続FAQ

制度の一般的な考え方を整理します。個別事情によって結論は変わります。

Q1. 暗号資産(仮想通貨)は相続税の対象ですか。

一般的には、暗号資産を相続または遺贈により取得した場合、相続税の課税対象になるとされています。ただし、保有数量、評価時点、取引所、ウォレットの状態、他の相続財産の額によって申告要否や評価資料は変わる可能性があります。具体的な対応は、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q2. 取引所の口座は相続人がそのまま使えますか。

一般的には、故人名義の口座を相続人がそのまま継続使用するのではなく、交換業者所定の相続手続を行うものとされています。ただし、必要書類、代表相続人、遺言執行者、移管・払戻しの方法は交換業者ごとに異なります。具体的な対応は、業者の公式窓口と専門家に確認する必要があります。

Q3. シードフレーズを見つけたら、すぐに送金してよいですか。

一般的には、相続人全員の合意、遺言の有無、遺言執行者の権限、税務評価資料、送金先、価格変動リスク、証拠保存を確認してから操作する必要があるとされています。ただし、紛争の有無や秘密情報の管理状況によって対応は変わります。具体的な対応は、弁護士、税理士、技術専門家等へ相談する必要があります。

Q4. 死亡時点の価格はどの取引所で見ればよいですか。

一般的には、活発な市場が存在する暗号資産について、相続人等が取引を行っている暗号資産交換業者が公表する課税時期の取引価格によって評価するとされています。ただし、複数業者で取引している場合や市場が活発でない資産では判断が変わる可能性があります。具体的には、評価資料を整理して税理士等へ相談する必要があります。

Q5. 相続税の申告期限までに暗号資産を換金できない場合はどうなりますか。

一般的には、相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10か月以内とされています。換金が終わっていない場合でも、申告が必要な場合は期限内申告を前提に準備する必要があります。ただし、資産の流動性、納税資金、延納・物納の可否などで検討事項は変わるため、具体的には税理士等へ相談する必要があります。

Q6. NFTも相続税の対象ですか。

一般的には、経済的価値を有するNFTを相続または遺贈で取得した場合、相続税の課税対象になり得るとされています。ただし、NFTの内容、性質、取引実態、売買実例、市場価格、権利内容によって評価は変わる可能性があります。具体的な評価は、資料を整理したうえで税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q7. 暗号資産を相続した後に売却して損が出た場合、給与所得と相殺できますか。

一般的には、暗号資産取引が雑所得に区分される場合、雑所得の損失は給与所得など他の所得と損益通算できないとされています。ただし、所得区分、取引実態、帳簿書類の保存状況によって判断が変わる可能性があります。具体的な所得税計算は、税理士等の専門家へ相談する必要があります。

Q8. 相続人が暗号資産の存在を隠している疑いがあります。

一般的には、銀行入出金、税務資料、メール、アプリ、端末、取引所通知、ウォレットアドレス等を確認し、根拠がある場合は資料開示、調停、照会手続、オンチェーン分析等を検討することがあります。ただし、証拠関係や相続人間の事情で対応は変わります。具体的には、早期に弁護士等へ相談する必要があります。

Q9. 暗号資産の相続に関係する専門家は誰ですか。

一般的には、争いがある場合は弁護士、相続税が問題になる場合は税理士、不動産がある場合は司法書士、遺言作成では公証人・弁護士・司法書士・行政書士、自己管理ウォレットでは技術者やフォレンジック担当者の関与が考えられます。ただし、資産内容や紛争状況で必要な専門家は変わります。具体的には、資料を整理して複数分野の専門家へ相談する必要があります。

Q10. 生前に最も重要な対策は何ですか。

一般的には、暗号資産管理台帳を作り、遺言書で取得者と遺言執行者を定め、秘密鍵やシードフレーズを安全に保管し、相続開始後のアクセス手順を文書化することが重要とされています。ただし、保有額、家族関係、会社資産、海外サービスの有無によって設計は変わります。具体的な生前対策は、弁護士、税理士、技術専門家等へ相談する必要があります。

Guide

暗号資産(仮想通貨)の相続で次に確認したいこと

目的に近い詳しい解説へ進めるよう、関連するテーマを整理しました。

知りたい内容を選ぶと、手続、費用、地域、具体的な論点などの詳しい解説に進めます。

このテーマから次に確認されやすい詳しい解説を7件表示しています。

Reference

参考資料

法令、公的機関、税務資料、技術資料、交換業者の公表情報を確認しています。

法令・公的機関

  • 資金決済に関する法律
  • 金融庁「暗号資産を利用する際の注意点」
  • 民法896条
  • 裁判所「遺産分割調停」
  • 法務省「自筆証書遺言書の様式について」
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度」
  • 法務省・法務局「相続登記の申請義務化について」

税務資料

  • 国税庁「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」
  • 国税庁「相続税がかかる場合」
  • 国税庁「相続税の申告と納税」
  • 国税庁「暗号資産等に関する税務上の取扱いについて(FAQ)」
  • 国税庁「NFTに関する税務上の取扱いについて(情報)」

技術・交換業者資料

  • NIST「Blockchain Technology Overview」
  • Ethereum.org「Ethereum accounts」
  • bitFlyer「相続手続について」
  • Coincheck Support「相続手続きについて」
  • bitbank Support「相続手続きについて」