2σ Guide

相続と遺贈と
死因贈与の違い

死亡を契機に財産が移る三つの制度を、発生原因、承諾、方式、税務、登記、遺留分、証拠設計まで横断して整理します。

3制度 相続・遺贈・死因贈与
10か月 相続税申告の期限
4/20 登録免許税率の差
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相続と遺贈と 死因贈与の違い

死亡を契機に財産が移る三つの制度を、発生原因、承諾、方式、税務、登記、遺留分、証拠設計まで横断して整理します。

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相続と遺贈と 死因贈与の違い
死亡を契機に財産が移る三つの制度を、発生原因、承諾、方式、税務、登記、遺留分、証拠設計まで横断して整理します。
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  • 相続と遺贈と 死因贈与の違い
  • 死亡を契機に財産が移る三つの制度を、発生原因、承諾、方式、税務、登記、遺留分、証拠設計まで横断して整理します。

POINT 1

  • 相続と遺贈と死因贈与の違いを読む前提
  • 法律上当然に承継
  • 遺言による財産処分
  • 死亡で効力が出る契約
  • 法令や税務は改正や通達、個別事情によって結論が変わります。

POINT 2

  • 相続と遺贈と死因贈与の違いを定義から整理する
  • 相続とは
  • 遺贈とは
  • 死因贈与とは
  • 相続とは、亡くなった人である「被相続人」の財産上の権利義務を、一定の親族などである「相続人」が承継する制度です。

POINT 3

  • 比較一覧: 相続と遺贈と死因贈与の違い
  • 制度の全体像を確認します。
  • 制度や手続の違いを一度に確認できるため重要です。

POINT 4

  • 相続と遺贈と死因贈与の法的性質の違いを深く理解する
  • 相続は「人の死亡による包括承継」
  • 遺贈は「遺言による財産処分」
  • 死因贈与は「死亡時に効力が出る契約」
  • 相続では、被相続人の死亡により、相続人が権利義務を承継します。

POINT 5

  • 相続と遺贈と死因贈与の方式の違い: 書類の作り方で効力が変わる
  • 相続に書類は不要だが、手続には書類が必要
  • 遺贈は遺言方式が生命線
  • 死因贈与は契約書の証拠化が生命線
  • 相続自体は死亡によって開始します。

POINT 6

  • 相続と遺贈と死因贈与は放棄・拒否・撤回が違う
  • 相続の放棄
  • 遺贈の放棄
  • 死因贈与の撤回と拒否
  • 相続では、相続人は単純承認、限定承認、相続放棄を選択できます。

POINT 7

  • 相続と遺贈と死因贈与は遺留分への影響が違う
  • 遺留分とは何か
  • 相続、遺贈、死因贈与と遺留分
  • 遺留分とは、一定の相続人に法律上保障される最低限の取り分です。
  • 遺留分を侵害された場合、遺留分権利者は贈与または遺贈を受けた者に対して、侵害額に相当する金銭の支払を請求できます。

POINT 8

  • 相続と遺贈と死因贈与は税務上の扱いが違う
  • 相続税では、死因贈与も遺贈に含めて扱われる
  • 相続税の基礎控除
  • 申告期限
  • 2割加算

まとめ

  • 相続と遺贈と 死因贈与の違い
  • 相続と遺贈と死因贈与の違いを読む前提:法律上当然に承継
  • 相続と遺贈と死因贈与の違いを定義から整理する:相続とは
  • 比較一覧: 相続と遺贈と死因贈与の違い:制度の全体像を確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

相続と遺贈と死因贈与の違いを読む前提

この記事は、相続問題に直面している一般の方が「相続と遺贈と死因贈与の違い」を体系的に理解できるように、民法、相続税、登記、遺留分、家庭裁判所手続、不動産実務の観点を統合して整理したものです。…

この記事は、相続問題に直面している一般の方が「相続と遺贈と死因贈与の違い」を体系的に理解できるように、民法、相続税、登記、遺留分、家庭裁判所手続、不動産実務の観点を統合して整理したものです。弁護士、司法書士、税理士、行政書士、公証実務、不動産評価、家事事件実務の視点を重ね、専門的な正確性と一般読者へのわかりやすさを両立する構成にしています。

法令や税務は改正や通達、個別事情によって結論が変わります。この記事は2026年6月23日時点で確認できる公的情報、法令、裁判所、法務省、国税庁等の情報を基礎にした一般的解説であり、個別案件の最終判断は、弁護士、司法書士、税理士等に確認してください。

次の一覧は、相続・遺贈・死因贈与を見分ける最初の三つの視点を複数の観点に分けて整理したものです。大きな分類を先に把握すると、その後の詳細を読みやすくなります。各項目の見出しと説明を見比べ、どの論点が自分の状況に近いかを読み取ります。

相続

法律上当然に承継

死亡により法定相続人が権利義務を承継し、遺産分割や相続放棄が問題になります。

遺贈

遺言による財産処分

受ける人の生前承諾は不要ですが、遺言方式、遺言能力、遺言執行者が重要です。

死因贈与

死亡で効力が出る契約

受贈者の承諾が必要で、契約書、負担の履行、撤回、登記の証拠設計が重要です。

Section 01

相続と遺贈と死因贈与のまず結論: 3つの違いは「発生原因」と「法律構造」で決まる

「相続」「遺贈」「死因贈与」は、いずれも人の死亡を契機として財産が移る点で似ています。しかし、法律上はまったく同じ制度ではありません。 最重要ポイントは次の3つです。

「相続」「遺贈」「死因贈与」は、いずれも人の死亡を契機として財産が移る点で似ています。しかし、法律上はまったく同じ制度ではありません。

次の比較表は、相続と遺贈と死因贈与のまず結論: 3つの違いは「発生原因」と「法律構造」で決まるに関する要点を行ごとに整理したものです。制度や手続の違いを一度に確認できるため重要です。左列で項目を確認し、右側の列で意味、注意点、関係する実務を読み取ります。

制度一言でいうと法律上の構造財産を受ける人典型例
相続死亡により、相続人が権利義務を承継する制度法律上当然に発生する包括承継法定相続人夫が亡くなり、妻と子が遺産を承継する
遺贈遺言によって、財産を与える制度遺言者の単独行為相続人でも第三者でもよい「友人Aに自宅を遺贈する」と遺言する
死因贈与贈与者の死亡で効力が出る贈与契約贈与者と受贈者の契約契約相手「私が死んだらこの土地をあげる」「受け取ります」と合意する

最重要ポイントは次の3つです。

  1. 相続は、法律が定める相続人に発生する承継です。遺言がなくても起きます。
  2. 遺贈は、遺言で財産を与える行為です。受ける人の生前の承諾は不要です。
  3. 死因贈与は、死亡を条件とする贈与契約です。受ける人の承諾が必要です。

民法は、相続について「相続は、死亡によって開始する」と定めています。遺贈は遺言による財産処分であり、死因贈与は「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与」として、性質に反しない限り遺贈の規定が準用されます。

Section 02

相続と遺贈と死因贈与の違いを定義から整理する

相続とは、亡くなった人である「被相続人」の財産上の権利義務を、一定の親族などである「相続人」が承継する制度です。政府広報も、相続を「亡くなった人の財産などの権利・義務を、残された家族などが引…

相続とは

相続とは、亡くなった人である「被相続人」の財産上の権利義務を、一定の親族などである「相続人」が承継する制度です。政府広報も、相続を「亡くなった人の財産などの権利・義務を、残された家族などが引き継ぐこと」と説明しています。

相続の特徴は、プラス財産だけでなく、原則として借金などのマイナス財産も含めて問題になる点です。預貯金、不動産、有価証券、貸付金、特許権、著作権などの経済的価値のある財産は相続税の対象にもなり得ます。国税庁は、相続税の対象となる財産として、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋のほか、貸付金、特許権、著作権など、金銭に見積もることができる経済的価値のあるものを挙げています。

相続人になる人は、民法上、配偶者と一定の血族です。配偶者は常に相続人となり、血族相続人は子、直系尊属、兄弟姉妹という順位で問題になります。法定相続分は、配偶者と子であれば配偶者2分の1、子全体で2分の1、配偶者と直系尊属であれば配偶者3分の2、直系尊属全体で3分の1、配偶者と兄弟姉妹であれば配偶者4分の3、兄弟姉妹全体で4分の1が基本です。

遺贈とは

遺贈とは、遺言によって、財産の全部または一部を特定の人や法人に与えることです。民法964条は、遺言者が包括または特定の名義で、その財産の全部または一部を処分できる旨を定めています。

遺贈の核心は、遺言者の単独行為であることです。受遺者、つまり遺贈を受ける人が、遺言者の生前に承諾している必要はありません。そのため、遺贈は、相続人以外の人、内縁のパートナー、友人、介護で世話になった人、法人、公益団体などに財産を残す手段として使われます。

遺贈には大きく分けて2種類があります。

次の比較表は、遺贈とはに関する要点を行ごとに整理したものです。制度や手続の違いを一度に確認できるため重要です。左列で項目を確認し、右側の列で意味、注意点、関係する実務を読み取ります。

種類内容実務上の注意
包括遺贈遺産の全部または割合を指定して与える「遺産の3分の1をAに遺贈する」包括受遺者は相続人に近い地位を持ち、債務も問題になりやすい
特定遺贈特定の財産を指定して与える「自宅土地建物をAに遺贈する」目的物の特定、登記、税務、遺留分が問題になりやすい

遺贈は遺言によって行うため、遺言の方式に従わなければなりません。民法上の普通方式の遺言は、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言です。法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用すると、相続開始後の家庭裁判所の検認が不要になるという重要な実務上の利点があります。ただし、法務省は、この制度が遺言内容の有効性を保証するものではないことも明示しています。

死因贈与とは

死因贈与とは、贈与者の死亡によって効力を生じる贈与です。民法554条は、死因贈与について「贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与」には、その性質に反しない限り遺贈に関する規定を準用すると定めています。

ただし、死因贈与は遺贈と違い、あくまで契約です。民法549条の贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾することで効力を生じる契約です。死因贈与もこの贈与の一種であるため、「あげる」という意思表示だけでなく、「受け取る」という相手方の承諾が必要です。

たとえば、父が長男に対し「私が死んだらこの土地をあげる」と述べ、長男が「受け取ります」と承諾すれば、死因贈与契約が問題になり得ます。ただし、口頭だけでは死後に証明が困難です。実務では、少なくとも契約書を作成し、不動産が関係する場合は公正証書化や仮登記の検討が重要です。

Section 03

比較一覧: 相続と遺贈と死因贈与の違い

制度の全体像を確認します。

次の比較表は、比較一覧: 相続と遺贈と死因贈与の違いに関する要点を行ごとに整理したものです。制度や手続の違いを一度に確認できるため重要です。左列で項目を確認し、右側の列で意味、注意点、関係する実務を読み取ります。

比較項目相続遺贈死因贈与
発生原因死亡により法律上当然に発生遺言によって発生生前の契約に基づき、死亡で効力発生
法的性質包括承継遺言による単独行為贈与契約
財産を受ける人法定相続人受遺者。相続人でも第三者でもよい受贈者。契約相手
受ける人の生前承諾不要不要必要
方式遺言がなくても発生遺言の方式が必要契約。遺言方式までは不要だが書面化が必須に近い
債務の承継原則として問題になる包括遺贈では特に問題になる。特定遺贈では通常は目的財産中心契約内容による。負担付死因贈与では負担が問題になる
拒否方法相続放棄。原則3か月以内特定遺贈は死亡後いつでも放棄可能。包括遺贈は相続放棄に近い処理契約関係として処理。相続放棄とは別問題になり得る
撤回のしやすさ相続そのものは撤回の対象ではない遺言者は遺言を撤回できる原則として遺言撤回規定が準用され得るが、負担履行後は制限され得る
相続税対象になり得る対象になり得る相続税法上、遺贈に含めて扱われる
登録免許税不動産相続登記は原則1,000分の4相続人への遺贈は相続扱い。相続人以外への遺贈は別扱いになり得る贈与系の登記として重くなることがある
相続登記義務不動産を相続で取得した相続人に義務相続人が遺言で取得する場合も注意死因贈与による取得は登記原因と義務関係を個別確認
典型的な争点遺産分割、使い込み、寄与分、特別受益、相続放棄遺言能力、方式違反、遺留分、遺言解釈契約成立、承諾、撤回、負担履行、登記、証拠
Section 05

相続と遺贈と死因贈与の方式の違い: 書類の作り方で効力が変わる

相続自体は死亡によって開始します。相続の開始に契約書や遺言書は不要です。しかし、実際に預金を解約し、不動産を登記し、相続税を申告し、遺産分割を進めるには、多数の書類が必要です。 典型的には次…

相続に書類は不要だが、手続には書類が必要

相続自体は死亡によって開始します。相続の開始に契約書や遺言書は不要です。しかし、実際に預金を解約し、不動産を登記し、相続税を申告し、遺産分割を進めるには、多数の書類が必要です。

典型的には次の書類が必要になります。

  • 被相続人の出生から死亡までの戸籍、除籍、改製原戸籍
  • 相続人全員の現在戸籍
  • 住民票除票または戸籍附票
  • 固定資産評価証明書
  • 残高証明書
  • 証券会社の評価資料
  • 生命保険関係資料
  • 借入金や未払金の資料
  • 遺産分割協議書
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続関係説明図

相続は「法律上当然に起きる」制度ですが、手続は証明の連続です。この点で、戸籍収集、相続関係説明図、遺産分割協議書、登記申請書類などを扱う司法書士や行政書士の実務が重要になります。登記申請代理や法務局提出書類の作成は、司法書士の中心業務です。司法書士法は、司法書士が登記または供託に関する手続の代理などを業とすることを定めています。

遺贈は遺言方式が生命線

遺贈は、遺言の中で行います。したがって、遺言の方式に不備があると、遺贈も失敗します。

代表的な遺言方式は次の3つです。

次の比較表は、遺贈は遺言方式が生命線に関する要点を行ごとに整理したものです。制度や手続の違いを一度に確認できるため重要です。左列で項目を確認し、右側の列で意味、注意点、関係する実務を読み取ります。

方式概要長所短所
自筆証書遺言遺言者が自筆で作成費用が低い。自分だけで作れる方式不備、紛失、偽造、検認、解釈争いのリスク
公正証書遺言公証人が関与して作成方式不備が起きにくい。原本保管。検認不要費用、証人、準備資料が必要
秘密証書遺言内容を秘密にしつつ公証手続を利用内容を秘密にできる実務では少なく、方式確認が複雑

公正証書遺言は、特に次のようなケースで有力です。

  • 遺留分侵害が予想される
  • 相続人以外へ遺贈する
  • 不動産や株式がある
  • 認知症や意思能力を争われる可能性がある
  • 相続人どうしの仲が悪い
  • 遺言執行者を明確に指定したい
  • 銀行、証券会社、法務局での手続を円滑にしたい

日本公証人連合会は、公正証書遺言のメリットとして、安全確実な遺言方法であること、遺言者の自書が不要であること、公証人の出張が可能であること、検認手続が不要であること、遺言書原本が役場で保管されることなどを挙げています。

死因贈与は契約書の証拠化が生命線

死因贈与は、遺言方式に従う必要はありません。しかし、だからといって口約束でよいという意味ではありません。

死因贈与で最低限確認すべき事項は次のとおりです。

  • 贈与者と受贈者の氏名、住所、生年月日
  • 贈与の対象財産
  • 贈与者の死亡によって効力が生じること
  • 受贈者が承諾したこと
  • 負担がある場合は、その内容、履行時期、証明方法
  • 不動産の場合は所在、地番、家屋番号、持分
  • 解除、撤回、変更に関する定め
  • 遺言との優劣や抵触時の扱い
  • 死亡後の登記手続に協力する者
  • 執行者または登記手続を行う者
  • 公正証書にするか
  • 仮登記を行うか

死因贈与は、契約であることを強みにできます。たとえば「受贈者が生前に介護する」「家業を支える」「墓や祭祀を引き継ぐ」などの負担を明確にできます。一方で、負担の履行状況を巡って争われやすく、安易な契約書はかえって紛争の火種になります。

Section 06

相続と遺贈と死因贈与は放棄・拒否・撤回が違う

相続では、相続人は単純承認、限定承認、相続放棄を選択できます。裁判所は、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に、単純承認、限定承認または相続放棄をしなけ…

相続の放棄

相続では、相続人は単純承認、限定承認、相続放棄を選択できます。裁判所は、相続人は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月の熟慮期間内に、単純承認、限定承認または相続放棄をしなければならないと説明しています。財産状況を調査しても判断できない場合には、家庭裁判所への申立てにより熟慮期間を伸長できる場合があります。

相続放棄の重要点は次のとおりです。

  • 家庭裁判所への申述が必要
  • 原則として3か月以内
  • 放棄すると初めから相続人でなかったものとして扱われる
  • 預金を使う、不動産を処分するなどの行為は単純承認と評価されるリスクがある
  • 次順位の相続人に相続権が移ることがある
  • 借金が多い場合、早急な判断が必要

相続放棄は、遺産分割協議で「私は何もいらない」と書くこととは違います。家庭裁判所で相続放棄をしていない限り、債権者との関係で相続債務を負う可能性が残ります。

遺贈の放棄

遺贈を受けた人は、遺贈を受けるかどうかを選べます。特定遺贈については、民法986条により、受遺者は遺言者の死亡後いつでも遺贈を放棄できるとされています。

ただし、包括遺贈は注意が必要です。包括受遺者は相続人と同一の権利義務を有するとされるため、相続放棄に近い手続や期間制限が問題になります。負債が含まれる可能性がある包括遺贈を受けた場合は、すぐに弁護士や司法書士に相談する必要があります。

遺贈の放棄でよくある誤解は次のとおりです。

次の比較表は、遺贈の放棄に関する要点を行ごとに整理したものです。制度や手続の違いを一度に確認できるため重要です。左列で項目を確認し、右側の列で意味、注意点、関係する実務を読み取ります。

誤解正しい理解
遺言で書かれたら必ず受け取らなければならない受遺者は放棄できる
特定遺贈も家庭裁判所で相続放棄が必要特定遺贈の放棄は通常、遺贈義務者等への意思表示で足りる
包括遺贈もいつでも自由に放棄できる包括遺贈は相続人に近い扱いとなり、期間や家庭裁判所手続が問題になる
遺贈を放棄すれば相続人としての相続放棄も済む受遺者の地位と相続人の地位は別に検討する

死因贈与の撤回と拒否

死因贈与は契約です。したがって、遺贈のように「受ける人が知らないうちに一方的に指定される」ものではありません。受贈者は生前に承諾しているはずです。

では、贈与者は死因贈与を撤回できるのでしょうか。民法554条は死因贈与に遺贈の規定を準用するとしており、判例上、死因贈与についても遺言撤回に関する規定が方式に関する部分を除いて準用されると解されています。つまり、一般論としては、贈与者は死因贈与を撤回できる方向で理解されます。

しかし、負担付死因贈与では別の問題が生じます。たとえば「長年介護してくれたら自宅を贈与する」という契約で、受贈者が実際に長期間介護や扶養を行った後に、贈与者が一方的に撤回できるとすると、受贈者の信頼を大きく害します。最高裁昭和57年4月30日判決は、負担の履行期が贈与者の生前と定められ、受贈者が負担の全部またはこれに類する程度の履行をした場合には、特段の事情がない限り、遺言撤回規定の準用は否定されるという趣旨を示しています。

したがって、死因贈与は「契約だから絶対に撤回できない」でも「遺言と同じく必ず自由に撤回できる」でもありません。負担の有無、履行状況、契約の動機、財産価値、家族関係、生活関係などを総合的に検討する必要があります。

Section 07

相続と遺贈と死因贈与は遺留分への影響が違う

遺留分とは、一定の相続人に法律上保障される最低限の取り分です。裁判所は、遺留分を「一定の相続人について、被相続人の財産から法律上取得することが保障されている最低限の取り分」と説明し、生前贈与…

遺留分とは何か

遺留分とは、一定の相続人に法律上保障される最低限の取り分です。裁判所は、遺留分を「一定の相続人について、被相続人の財産から法律上取得することが保障されている最低限の取り分」と説明し、生前贈与や遺贈によっても奪われないものとしています。遺留分を侵害された場合、遺留分権利者は贈与または遺贈を受けた者に対して、侵害額に相当する金銭の支払を請求できます。

遺留分が問題になるのは、主に次の場面です。

  • 全財産を一人の相続人に相続させる遺言
  • 相続人以外への多額の遺贈
  • 内縁のパートナーへの遺贈
  • 介護者への死因贈与
  • 生前贈与を大量に行ったケース
  • 事業承継のため株式を後継者に集中させたケース

相続、遺贈、死因贈与と遺留分

次の比較表は、相続、遺贈、死因贈与と遺留分に関する要点を行ごとに整理したものです。制度や手続の違いを一度に確認できるため重要です。左列で項目を確認し、右側の列で意味、注意点、関係する実務を読み取ります。

制度遺留分との関係
相続法定相続分どおりなら問題になりにくいが、遺言や特別受益で不公平があると問題になる
遺贈遺留分を侵害する典型原因。受遺者に遺留分侵害額請求が向けられることがある
死因贈与贈与として遺留分算定に影響し、受贈者が請求対象になることがある

遺留分の実務では、「遺言が無効になる」と誤解されることがあります。現在の実務では、遺留分を侵害する遺言や贈与が直ちに無効になるのではなく、原則として金銭請求の問題になります。そのため、遺贈や死因贈与を設計する側は、遺留分侵害額としていくら請求され得るか、受遺者や受贈者が支払資金を用意できるかを事前に検討する必要があります。

Section 08

相続と遺贈と死因贈与は税務上の扱いが違う

相続税の世界では、民法上の分類と税法上の分類が完全には一致しません。国税庁は、相続税は原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈、死因贈与を含む遺贈によって取得した場合に、その取得した財産にか…

相続税では、死因贈与も遺贈に含めて扱われる

相続税の世界では、民法上の分類と税法上の分類が完全には一致しません。国税庁は、相続税は原則として、死亡した人の財産を相続や遺贈、死因贈与を含む遺贈によって取得した場合に、その取得した財産にかかると説明しています。

つまり、民法上は次のように分かれます。

  • 相続
  • 遺贈
  • 死因贈与

しかし、相続税法上は、死因贈与が「遺贈」に含めて扱われます。相続税法の条文でも、相続または遺贈には、贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含むとされています。

相続税の基礎控除

相続税が必ず発生するわけではありません。国税庁は、正味の遺産額が基礎控除額を超える場合に相続税がかかると説明しています。基礎控除額は次の計算式です。

計算式3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

たとえば、法定相続人が配偶者と子2人の合計3人であれば、基礎控除額は次のとおりです。

計算式3,000万円 + 600万円 × 3人 = 4,800万円

正味の遺産額が4,800万円以下であれば、原則として相続税はかかりません。ただし、相続時精算課税、過去の贈与、生命保険金、債務、葬式費用、小規模宅地等の特例などが絡むと計算は複雑になります。

申告期限

相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内に行うのが原則です。国税庁は、申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署であり、相続人の住所地の税務署ではないと説明しています。

遺贈や死因贈与で財産を取得した人がいる場合でも、相続税申告全体に影響します。受遺者や受贈者が相続人ではない場合でも、相続税申告に関与しなければならないことがあります。

2割加算

相続人以外の人に遺贈や死因贈与で財産を渡す場合、相続税額の2割加算に注意が必要です。国税庁は、被相続人から相続または遺贈により財産を取得した人で、被相続人の配偶者、父母、子ではない人などが2割加算の対象になると説明しています。加算額は、各人の税額控除前の相続税額に0.2を乗じて計算します。

たとえば、次の人が財産を取得すると、2割加算が問題になり得ます。

  • 兄弟姉妹
  • 甥、姪
  • 代襲相続人ではない孫
  • 内縁のパートナー
  • 友人
  • 事実上の介護者
  • 法人

死因贈与は相続税法上、遺贈に含まれるため、受贈者が配偶者や一親等の血族等でない場合には、2割加算の検討が必要です。

Section 09

相続と遺贈と死因贈与は登記・不動産税務が違う

不動産がある相続では、相続登記が極めて重要です。法務省は、相続により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日…

相続登記の義務化

不動産がある相続では、相続登記が極めて重要です。法務省は、相続により不動産の所有権を取得した相続人は、自己のために相続開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する義務があると説明しています。正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象となります。この義務化は令和6年、つまり2024年4月1日に施行され、施行日前の相続にも一定の猶予期間付きで適用されます。

相続登記義務化により、相続、遺贈、死因贈与の違いは、単なる理論問題ではなくなりました。誰が、どの原因で、不動産を取得したのかを明確にしなければ、登記期限、必要書類、登録免許税、過料リスクが変わるからです。

登録免許税

不動産の所有権移転登記には登録免許税がかかります。国税庁の登録免許税の税額表では、土地の所有権移転登記について、相続、法人の合併または共有物分割は不動産価額の1,000分の4、贈与、交換、収用、競売等は1,000分の20とされています。

また、登録免許税法上、所有権の相続には「相続人に対する遺贈」が含まれるとされています。

実務上は、次のような整理が重要です。

次の比較表は、登録免許税に関する要点を行ごとに整理したものです。制度や手続の違いを一度に確認できるため重要です。左列で項目を確認し、右側の列で意味、注意点、関係する実務を読み取ります。

取得原因取得者登録免許税の考え方
相続相続人原則1,000分の4
遺産分割相続人原則1,000分の4
遺贈相続人相続に含まれる扱いになり得る
遺贈相続人以外原則として「その他」の移転として1,000分の20が問題になりやすい
死因贈与相続人または第三者贈与系の登記として1,000分の20が問題になりやすい

この違いは金額に直結します。固定資産評価額が5,000万円の不動産であれば、1,000分の4なら20万円、1,000分の20なら100万円です。誰にどの制度で不動産を渡すかによって、登記コストだけで大きな差が生じます。

不動産取得税

不動産取得税も見落とされやすい税目です。東京都主税局は、不動産取得税について、土地や家屋の購入、贈与、家屋の建築などで不動産を取得したときに課税され、有償、無償、登記の有無にかかわらず課税されると説明しています。ただし、相続により取得した場合など、一定の場合には課税されません。

相続では非課税となるのが基本ですが、生前贈与や死因贈与、相続人以外への特定遺贈などでは不動産取得税が問題になることがあります。地方税であるため、実際の申告、軽減、非課税の確認は、不動産所在地の都道府県税事務所に確認する必要があります。

Section 10

相続と遺贈と死因贈与は手続権限が違う

遺贈を確実に実現するには、遺言執行者の指定が重要です。民法上、遺言者は遺言で遺言執行者を指定できます。遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な行為を行う…

遺言執行者の役割

遺贈を確実に実現するには、遺言執行者の指定が重要です。民法上、遺言者は遺言で遺言執行者を指定できます。遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な行為を行う立場です。

遺言執行者がいると、次のような実務が進めやすくなります。

  • 預貯金の解約
  • 株式、投資信託の名義変更
  • 不動産の遺贈登記
  • 相続人への通知
  • 財産目録の作成
  • 受遺者への引渡し
  • 相続人の協力が得られない場合の手続推進

遺言執行者がいない遺言では、相続人全員の協力が必要になり、受遺者が財産を受け取るまでに時間がかかることがあります。特に、相続人以外への遺贈では、遺言執行者の指定が実務上かなり重要です。

死因贈与では誰が登記するのか

死因贈与で不動産を取得する場合、贈与者はすでに亡くなっているため、登記義務者として誰が関与するかが問題になります。契約書に執行者を定めていないと、贈与者の相続人全員の協力が必要になることがあり、相続人が反対すると手続が止まりやすくなります。

そのため、死因贈与契約では次の設計が重要です。

  • 契約書を公正証書にする
  • 対象不動産を登記簿どおりに特定する
  • 死因贈与執行者を定める
  • 贈与者の権利証、登記識別情報の所在を整理する
  • 印鑑証明書や本人確認資料の扱いを検討する
  • 仮登記を行うか検討する
  • 相続人への説明資料を残す

死因贈与は、契約成立を証明できなければ意味がありません。さらに、契約成立を証明できても、登記手続で相続人と対立すると、訴訟に発展することがあります。

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相続と遺贈と死因贈与で紛争になりやすいポイント

相続では、次の論点で揉めやすいです。 - 遺産の範囲

相続で揉める典型論点

相続では、次の論点で揉めやすいです。

  • 遺産の範囲
  • 預金の使い込み
  • 不動産評価
  • 遺産分割方法
  • 代償金の額
  • 特別受益
  • 寄与分
  • 生前贈与の有無
  • 遺言書の有効性
  • 相続人の一人が連絡に応じない
  • 未成年者、成年後見人、行方不明者がいる
  • 共有不動産を誰が管理するか

話合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停、調停不成立後の審判が中心になります。調停では、当事者双方から事情を聴き、必要に応じて資料提出や鑑定を行い、解決案の提示や助言を通じて合意を目指します。

遺贈で揉める典型論点

遺贈では、次の論点が典型です。

  • 遺言書の方式違反
  • 自筆証書遺言の日付、押印、訂正方法
  • 遺言能力
  • 認知症、精神疾患、薬の影響
  • 遺言者が内容を理解していたか
  • 第三者の誘導、強迫、詐欺
  • 遺言書の偽造、変造
  • 複数の遺言書の抵触
  • 遺留分侵害額請求
  • 遺言執行者の権限濫用
  • 受遺者と相続人の対立

遺贈は、相続人以外に財産を移せる強力な手段です。その反面、相続人から見れば「自分たちの取り分が減る」制度です。争いを避けるには、公正証書遺言、遺言能力資料、作成経緯メモ、医師の診断、専門家関与、遺留分資金の準備が重要です。

死因贈与で揉める典型論点

死因贈与では、次の論点が典型です。

  • 契約が本当に成立したか
  • 受贈者の承諾があったか
  • 贈与者に意思能力があったか
  • 口頭合意の証明ができるか
  • 契約書の署名押印が本人のものか
  • 負担付死因贈与の負担内容が明確か
  • 介護や扶養の履行があったか
  • 贈与者が撤回したか
  • 後の遺言と抵触するか
  • 仮登記があるか
  • 相続人が登記に協力するか
  • 遺留分を侵害するか

死因贈与は、証拠設計を誤ると極めて危険です。「介護してくれたから家をあげると言われていた」という主張だけでは、相続人との訴訟で立証が難しくなることがあります。

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相続と遺贈と死因贈与のどれを選ぶべきか

次のような場合は、特段の遺言や死因贈与を行わなくても、法定相続と遺産分割協議で足りることがあります。 - 相続人どうしの関係が良好

法定相続に任せてよいケース

次のような場合は、特段の遺言や死因贈与を行わなくても、法定相続と遺産分割協議で足りることがあります。

  • 相続人どうしの関係が良好
  • 財産が預金中心
  • 不動産がない、または不動産の取得者が明確
  • 借金が少ない
  • 相続人全員が話合いに応じる
  • 特定の人へ多く残す必要がない
  • 相続税が発生しない見込み

ただし、家族関係が良好でも、死亡後に配偶者の生活費、実家の管理、相続税納税、不動産売却などで意見が分かれることがあります。相続人が複数いるなら、遺言書を作る価値はあります。

遺贈が向くケース

遺贈が向くのは、次のような場合です。

  • 相続人以外に財産を残したい
  • 内縁のパートナーに住まいを残したい
  • 世話になった人に預金を残したい
  • 法人や公益団体に寄付したい
  • 相続人間の取得財産を明確にして争いを減らしたい
  • 遺言者が後で自由に変更できる余地を残したい
  • 受ける人に生前の契約上の義務を負わせる必要がない

遺贈を選ぶなら、原則として公正証書遺言の検討が重要です。自筆証書遺言でも可能ですが、方式不備、紛失、検認、解釈争いを考えると、財産額が大きい場合や相続人以外が関係する場合は公正証書の方が安全とされています。

死因贈与が向くケース

死因贈与が向くのは、次のような場合です。

  • 受ける人と生前に合意しておきたい
  • 介護、扶養、同居などの負担を明確にしたい
  • 事業承継で後継者に一定の義務を負わせたい
  • 不動産について仮登記を検討したい
  • 単なる遺言より契約上の安定性を重視したい
  • 贈与者と受贈者の間で相互の期待を明文化したい

ただし、死因贈与は相続人との対立を生みやすい制度です。とくに、受贈者が相続人以外の場合、相続人から強い反発を受けることがあります。契約書を作るだけでなく、遺留分、相続税、登録免許税、不動産取得税、登記手続、撤回可能性まで設計する必要があります。

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相続と遺贈と死因贈与のケース別選択例

配偶者に自宅を残す場合、まず遺言を検討します。法定相続でも配偶者は相続人ですが、子や親、兄弟姉妹がいると遺産分割協議が必要になり、自宅が共有になるリスクがあります。 有力な方法は次のとおりで…

ケース1: 配偶者に自宅を確実に残したい

配偶者に自宅を残す場合、まず遺言を検討します。法定相続でも配偶者は相続人ですが、子や親、兄弟姉妹がいると遺産分割協議が必要になり、自宅が共有になるリスクがあります。

有力な方法は次のとおりです。

  • 公正証書遺言で自宅を配偶者に相続させる
  • 預金や生命保険で他の相続人の遺留分資金を確保する
  • 配偶者居住権の利用を検討する
  • 相続税の配偶者税額軽減や小規模宅地等の特例を税理士に確認する
  • 相続登記義務化を踏まえ、登記に必要な資料を整える

死因贈与でも不可能ではありませんが、配偶者への自宅承継なら、通常は遺言の方が分かりやすいことが多いです。

ケース2: 内縁のパートナーに財産を残したい

内縁のパートナーは、法律婚の配偶者と違い、原則として法定相続人ではありません。政府広報も、内縁関係のような事実婚の人や離婚した元配偶者は法定相続人に含まれないと説明しています。

この場合、相続ではなく、遺贈または死因贈与を検討します。

一般には、次の設計が考えられます。

  • 公正証書遺言で特定遺贈する
  • 遺言執行者を指定する
  • 相続人の遺留分に配慮する
  • 2割加算を含む相続税を試算する
  • 不動産を残す場合、登録免許税と不動産取得税を確認する
  • 生活保障が目的なら生命保険の受取人指定も検討する

内縁のパートナーへの財産承継は、相続人から争われやすいため、遺言能力資料や作成経緯の記録が特に重要です。

ケース3: 介護してくれた子に多く残したい

介護した子に多く残すには、遺言、死因贈与、生命保険、家族信託など複数の選択肢があります。

遺言を使う場合は、次の点が重要です。

  • 介護への感謝だけでなく、財産配分を明確に書く
  • 他の相続人の遺留分を試算する
  • 付言事項で理由を説明する
  • 可能であれば公正証書遺言にする

死因贈与を使う場合は、次の点が重要です。

  • 介護内容を負担として具体化する
  • 履行記録を残す
  • 途中で介護ができなくなった場合の扱いを定める
  • 撤回や変更の条件を定める
  • 不動産なら仮登記を検討する

介護の評価は、感情対立になりやすい領域です。「長男は親と同居していたから当然多くもらうべき」「他の兄弟も金銭援助していた」という対立が起きやすいため、弁護士の設計が有用です。

ケース4: 事業承継で株式を後継者に集中させたい

非上場会社の株式がある場合、相続、遺贈、死因贈与の違いは会社支配権に直結します。

検討事項は次のとおりです。

  • 株式の評価額
  • 議決権割合
  • 後継者の経営能力
  • 他の相続人の遺留分
  • 相続税納税資金
  • 種類株式や会社法上の譲渡制限
  • 遺言による株式承継
  • 死因贈与契約による後継者義務
  • 事業承継税制の適用可能性
  • 会社の借入金、個人保証

この分野では、弁護士、税理士、公認会計士、中小企業診断士、司法書士が連携する必要があります。単に「株式を長男に相続させる」と書くだけでは、税務、遺留分、会社運営、金融機関対応が解決しません。

ケース5: 相続人以外の友人に不動産を残したい

友人に不動産を残す場合は、遺贈または死因贈与です。通常の相続では友人は相続人になりません。

注意点は次のとおりです。

  • 公正証書遺言で特定遺贈するか、死因贈与契約書を作るか
  • 相続人の遺留分侵害額請求を試算する
  • 受遺者または受贈者が相続税を払えるか
  • 2割加算を確認する
  • 登録免許税が1,000分の20になる可能性を確認する
  • 不動産取得税が課税される可能性を確認する
  • 固定資産税や管理費を負担できるか
  • 空き家管理、売却、境界、共有持分を整理する

友人に不動産を残す場合は、税負担と維持管理負担が重くなりやすいです。受け取る側が本当に欲しいのか、売却できる不動産か、境界問題がないかを生前に確認する必要があります。

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相続と遺贈と死因贈与で相談先を分ける

相続、遺贈、死因贈与は、ひとつの専門職だけで完結しないことが多い領域です。問題の性質に応じて、次のように相談先を分けます。 国税庁は、税理士業務を税務代理、税務書類の作成、税務相談と説明して…

相続、遺贈、死因贈与は、ひとつの専門職だけで完結しないことが多い領域です。問題の性質に応じて、次のように相談先を分けます。

次の比較表は、相続と遺贈と死因贈与で相談先を分けるに関する要点を行ごとに整理したものです。制度や手続の違いを一度に確認できるため重要です。左列で項目を確認し、右側の列で意味、注意点、関係する実務を読み取ります。

問題中心となる専門家役割
相続人間の争い、遺留分、使い込み、調停、審判、訴訟弁護士交渉、調停、審判、訴訟、法的主張、証拠整理
相続登記、不動産名義変更、戸籍収集、登記用書類司法書士登記申請代理、法務局提出書類、相続関係説明図
相続税申告、税務相談、税務調査税理士相続税試算、申告、税務代理、評価、特例適用
遺産分割協議書、相続人関係説明図、遺言作成支援行政書士紛争、税務、登記申請を除く書類作成支援
公正証書遺言公証人公正証書の作成、公証事務
遺言内容の実現遺言執行者預金解約、登記、財産引渡しなどの遺言執行
不動産評価不動産鑑定士遺産分割や遺留分で争われる不動産価格の評価
境界、分筆、表示登記土地家屋調査士土地境界、分筆、表示登記
相続不動産の売却宅地建物取引士、不動産業者売却査定、媒介、重要事項説明、契約実務
会社株式、事業承継税理士、公認会計士、弁護士、中小企業診断士株価評価、税務、会社法、承継計画
知的財産の承継弁理士特許、商標等の名義変更、特許庁手続
遺族年金等社会保険労務士年金、社会保険の死亡後手続

国税庁は、税理士業務を税務代理、税務書類の作成、税務相談と説明しています。税務判断が必要な相続税申告は税理士領域です。

行政書士会は、遺言書作成支援や、法的紛争段階にある事案、税務、登記申請業務を除く遺産分割協議書や相続人関係説明図等の書類作成を行政書士の取扱いとして説明しています。

弁護士会は、遺産分割、遺言、相続に関する相談先として弁護士を案内しています。相続人どうしで対立している場合、遺留分請求がある場合、使い込み疑いがある場合は弁護士が中心になります。

Section 15

相続と遺贈と死因贈与の実務チェックリスト

- 死亡診断書、死亡届の提出状況を確認したか - 遺言書の有無を確認したか

相続が起きた直後のチェック

  • 死亡診断書、死亡届の提出状況を確認したか
  • 遺言書の有無を確認したか
  • 公正証書遺言検索を検討したか
  • 法務局保管の自筆証書遺言を確認したか
  • 自宅や貸金庫に自筆証書遺言がないか確認したか
  • 相続人を戸籍で確定したか
  • 借金、保証債務、税金滞納を確認したか
  • 相続放棄の3か月期限を意識しているか
  • 相続税申告の10か月期限を意識しているか
  • 不動産の相続登記義務を確認したか

遺贈を受けた人のチェック

  • 遺言書の種類を確認したか
  • 検認が必要か確認したか
  • 遺言執行者がいるか確認したか
  • 自分が包括受遺者か特定受遺者か確認したか
  • 放棄する場合の手続を確認したか
  • 相続税申告に関与する必要があるか確認したか
  • 2割加算の対象か確認したか
  • 不動産なら登録免許税、不動産取得税を確認したか
  • 遺留分請求を受ける可能性を確認したか

死因贈与を主張する人のチェック

  • 契約書があるか
  • 契約書に贈与者と受贈者の署名押印があるか
  • 対象財産が明確か
  • 贈与者の死亡で効力が生じると明記されているか
  • 受贈者の承諾が明確か
  • 負担がある場合、その履行証拠があるか
  • 贈与者の意思能力を裏付ける資料があるか
  • 後の遺言と抵触していないか
  • 撤回通知がないか
  • 不動産なら仮登記の有無を確認したか
  • 相続人全員が協力する見込みがあるか
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相続と遺贈と死因贈与の違いに関するFAQ

相続は法律上当然に相続人へ承継される制度、遺贈は遺言によって財産を与える制度、死因贈与は死亡時に効力が出る贈与契約です。最大の違いは、遺贈が単独行為であるのに対し、死因贈与は受贈者の承諾を要…

Q1. 相続と遺贈と死因贈与の違いを一言でいうと何ですか。

一般的には、相続は法律上当然に相続人へ承継される制度、遺贈は遺言によって財産を与える制度、死因贈与は死亡時に効力が出る贈与契約と整理されます。ただし、財産内容や当事者の関係によって検討点は変わるため、具体的な扱いは資料を確認して専門家へ相談する必要があります。

Q2. 相続人以外に財産を残すには、遺贈と死因贈与のどちらがよいですか。

一般的には、公正証書遺言による遺贈が使いやすいことが多いとされています。受ける人の生前承諾が不要で、遺言執行者を指定でき、後から撤回や変更もしやすいためです。ただし、介護などの負担を合意させたい場合や不動産の仮登記を検討したい場合は、死因贈与も候補になります。具体的な制度選択は、遺留分、税務、登記を含めて専門家へ相談する必要があります。

Q3. 死因贈与は口約束でも成立しますか。

一般的には、死因贈与は遺言方式を要する制度ではなく、契約として成立し得るとされています。ただし、口約束は死亡後に証明が非常に困難です。相続人から争われる可能性があるため、契約書、公正証書、履行記録、意思能力資料を整える必要があります。

Q4. 遺贈を受けたくない場合、拒否できることはありますか。

一般的には、特定遺贈は遺言者の死亡後いつでも放棄できるとされています。ただし、包括遺贈は相続人に近い地位を持つため、相続放棄に近い期間や家庭裁判所手続が問題になります。包括遺贈を受けた可能性がある場合は、3か月以内の扱いも含めて専門家へ相談する必要があります。

Q5. 相続放棄をすれば、死因贈与も受けなくて済みますか。

一般的には、相続放棄は相続人としての地位を放棄する手続です。死因贈与は契約上の地位に基づくため、相続放棄だけで当然に死因贈与契約上の問題が消えるとは限りません。受贈者として取得したくない場合は、契約内容や撤回・解除の有無を別途確認する必要があります。

Q6. 遺贈や死因贈与でも相続税はかかりますか。

一般的には、遺贈や死因贈与でも相続税がかかる可能性があります。国税庁は、相続税は相続や遺贈、死因贈与を含む遺贈により取得した財産にかかると説明しています。さらに、相続人以外などが取得する場合は2割加算が問題になることがあります。

Q7. 遺贈と死因贈与で登録免許税は違いますか。

一般的には、遺贈と死因贈与で登録免許税が異なることがあります。相続による移転登記は原則1,000分の4です。相続人に対する遺贈は相続に含まれる扱いになり得ますが、相続人以外への遺贈や死因贈与では1,000分の20が問題になりやすく、税額差が大きくなります。

Q8. 遺留分を侵害する遺贈や死因贈与は無効ですか。

一般的には、遺留分を侵害する遺贈や死因贈与が直ちに無効になるわけではなく、侵害額に相当する金銭請求の問題として整理されます。ただし、請求期間、財産評価、贈与の時期などで結論が変わる可能性があります。具体的には専門家へ相談する必要があります。

Q9. 争いがある場合、どの専門家への相談が考えられますか。

一般的には、相続人間の対立、遺留分、使い込み、遺言無効、死因贈与契約の有無などで争いがある場合は、弁護士が中心になることが多いです。不動産登記は司法書士、相続税は税理士、紛争性のない書類作成は行政書士が関わることがあります。

Q10. 相続と遺贈と死因贈与の違いを理解するうえで、最初に見るべき資料は何ですか。

一般的には、民法、相続登記義務化情報、相続税情報、裁判所の遺言書検認、相続放棄、遺産分割調停、遺留分侵害額請求調停の案内が基本です。個別案件では、戸籍、不動産登記簿、固定資産評価証明書、預金残高、遺言書、契約書、診断書、介護記録などの一次資料が結論を左右します。

Section 17

相続と遺贈と死因贈与の違いを目的・証拠・税務で確認する

相続と遺贈と死因贈与の違いは、単なる言葉の違いではありません。 相続は、死亡によって相続人が権利義務を承継する制度です。遺言がなくても発生し、相続人、相続分、遺産分割、相続放棄、相続税、相続…

相続と遺贈と死因贈与の違いは、単なる言葉の違いではありません。

相続は、死亡によって相続人が権利義務を承継する制度です。遺言がなくても発生し、相続人、相続分、遺産分割、相続放棄、相続税、相続登記が中心になります。

遺贈は、遺言によって財産を与える制度です。相続人以外にも財産を残せますが、遺言方式、遺言能力、検認、遺言執行者、遺留分、税務、登記が問題になります。

死因贈与は、死亡によって効力が生じる贈与契約です。受贈者の承諾が必要で、介護や扶養などの負担を契約化しやすい反面、契約成立、撤回、負担履行、登記、証拠を巡る争いが起きやすい制度です。

実務上の判断は、次の順番で整理すると見通しがよくなります。

  1. 誰に財産を渡したいのか
  2. その人は法定相続人か
  3. 渡したい財産は何か
  4. 借金や保証債務はあるか
  5. 遺留分を侵害するか
  6. 相続税や2割加算があるか
  7. 不動産登記や登録免許税、不動産取得税はどうなるか
  8. 相手に生前の義務を負わせたいか
  9. 後で変更する可能性を残したいか
  10. 争いになったときに証拠で耐えられるか

結論として、相続人間で争いがない単純な相続なら、相続登記と税務を中心に整理します。相続人以外へ財産を残したいなら、公正証書遺言による遺贈を第一候補にします。受ける人との契約関係や負担を明確にしたいなら、死因贈与を慎重に設計します。

「相続と遺贈と死因贈与の違い」を正しく理解することは、財産を残す側にとっては意思を実現するため、受ける側にとっては不要な債務や税負担を避けるため、相続人にとっては不公平や紛争を予防するために不可欠です。

Reference

この記事の参考資料

公的・中立的な資料名を分類して整理しています。

法令・公的制度

  • e-Gov法令検索「民法」。相続開始、贈与、死因贈与、遺言、遺贈、遺言撤回、遺言執行者等の条文
  • e-Gov法令検索「相続税法」。相続または遺贈に、贈与をした者の死亡により効力を生ずる贈与を含む旨
  • 政府広報オンライン「知っておきたい相続の基本。大切な財産をスムーズに引き継ぐ」。相続、法定相続人、法定相続、遺言相続等の説明
  • e-Gov法令検索「登録免許税法」。所有権の相続に相続人に対する遺贈を含む旨
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」。2024年4月1日からの相続登記義務、3年以内の申請義務、10万円以下の過料、施行日前相続への適用
  • 法務省「自筆証書遺言書保管制度とは」。法務局保管、外形的チェック、検認不要、有効性を保証しない旨
  • 裁判所「遺言書の検認」。検認の概要、公正証書遺言や法務局保管制度利用時の検認不要、検認が有効無効判断ではない旨
  • 最高裁昭和47年5月25日判決に関する公開判例情報。死因贈与の取消し、撤回について民法1022条が方式部分を除いて準用される旨の判示
  • 日本司法書士会連合会「司法書士の業務」およびe-Gov法令検索「司法書士法」。不動産登記、相続登記、登記手続代理等

税務・裁判所・登記

  • 国税庁「No.4105 相続税がかかる財産」。相続や遺贈、死因贈与を含む遺贈によって取得した財産に相続税がかかる旨、対象財産の範囲
  • 国税庁「No.4102 相続税がかかる場合」。基礎控除額、正味の遺産額、申告納税の要否
  • 国税庁「No.4132 相続人の範囲と法定相続分」。法定相続人、法定相続分
  • 国税庁「No.4157 相続税額の2割加算」。2割加算の対象者と計算式
  • 国税庁「No.4205 相続税の申告と納税」。相続税申告期限、提出先、納税に関する説明
  • 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」。不動産の所有権移転登記に関する登録免許税率
  • 裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」。単純承認、相続放棄、限定承認、3か月の熟慮期間、期間伸長
  • 裁判所「遺産分割調停」。遺産分割調停、審判、調停不成立時の審判移行
  • 裁判所「遺留分侵害額の請求調停」。遺留分の定義、贈与または遺贈による侵害、金銭支払請求、調停手続
  • 東京都主税局「不動産取得税」。不動産取得税の概要、相続による取得の非課税、生前贈与や相続時精算課税適用贈与が相続に含まれない旨
  • 国税庁「税理士制度に関するQ&A 2 税理士の業務」。税務代理、税務書類の作成、税務相談

専門職・その他の中立資料

  • 日本公証人連合会「遺言」。公正証書遺言のメリット、作成手順等
  • 最高裁昭和57年4月30日判決に関する公開判例情報。負担付死因贈与で受贈者が負担を履行した場合の撤回制限に関する判示
  • 日本行政書士会連合会「遺言・相続」。遺言書作成支援、遺産分割協議書、相続人関係説明図等の書類作成支援
  • 日本弁護士連合会「相続のご相談は、弁護士へ」。遺産分割、遺言、相続に関する相談先としての弁護士