2σ Guide

相続放棄の費用は
相続人ごとにかかるのか

収入印紙800円は申述人1人につき必要です。一方で、家族で同時に準備し、共通書類を1通にまとめ、同じ家庭裁判所へ提出できる部分もあります。

800円 申述人1人につき
3か月 熟慮期間の原則
1通 同じ書類は集約可
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相続放棄の費用は 相続人ごとにかかるのか

収入印紙800円は申述人1人につき必要です。

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相続放棄の費用は 相続人ごとにかかるのか
収入印紙800円は申述人1人につき必要です。
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  • 相続放棄の費用は 相続人ごとにかかるのか
  • 収入印紙800円は申述人1人につき必要です。

POINT 1

  • 相続放棄の費用と家族手続きの結論
  • 800円は人数分、準備と提出は家族でまとめられる部分があります。
  • 収入印紙800円は申述人1人につき必要
  • 各相続人に発生するもの
  • 家族でまとめやすいもの

POINT 2

  • 相続放棄とは何か ― 家族単位ではなく相続人単位の制度
  • 遺産分割で何ももらわないこととは、債務への効き方が異なります。
  • 相続放棄とは、相続人が被相続人の権利義務を承継しないため、家庭裁判所に対して行う手続です。
  • 被相続人は亡くなった人、相続人は民法上その人の財産や債務を承継する立場にある人を指します。
  • 相続開始後、相続人は大きく分けて単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選びます。

POINT 3

  • 相続放棄の費用は相続人ごとにかかる
  • 裁判所費用、郵便料、戸籍費用、受理証明書、専門家報酬を分けます。
  • 家庭裁判所に納める相続放棄の申述手数料は、収入印紙800円分が申述人1人につき必要です。
  • したがって、基本式は「相続放棄の申述手数料 = 800円 × 相続放棄をする相続人の人数」と整理できます。
  • 家族同時提出でもこの人数計算は変わらないため重要であり、誰が申述人になるかを確認して合計額を読み取ってください。

POINT 4

  • 相続放棄を家族まとめて進められる範囲
  • 1. 同じ被相続人についての相続放棄か:最後の住所地を管轄する同じ家庭裁判所が申述先になるか確認します。
  • 2. 申述人ごとの申述書を用意:氏名、相続開始を知った日、放棄理由などは本人ごとに確認します。
  • 3. 共通書類と個別書類を分ける:被相続人の戸籍などは共通、各申述人の現在戸籍などは個別に整理します。
  • 4. 先に申述し追完を検討:不足書類がある場合も、申述期間内の提出を優先する場面があります。
  • 5. 書類を整えて同時提出:同じ書類を重複取得しないよう、1通化できるものを確認します。

POINT 5

  • 相続放棄を家族まとめてできない範囲
  • 本人の意思表示
  • 成人相続人は、本人の意思に基づき申述する必要があります。
  • 収入印紙800円
  • 同時提出しても申述人1人につき必要です。

POINT 6

  • 相続放棄の費用内訳とケース別の見方
  • 実費の基本式と、相続関係ごとの増減要因を整理します。
  • 相続放棄の総費用は、収入印紙、郵便料、戸籍等の取得費、受理証明書、専門家報酬を分けて考えます。
  • 実費だけで見る場合でも、相続人の人数と戸籍の通数が別々に動く点が重要です。
  • 法務省の広域交付制度により、本籍地以外の市区町村窓口で戸籍証明書等を請求できる場面があります。

POINT 7

  • 相続放棄を専門家に依頼する費用と役割
  • 弁護士、司法書士、税理士、不動産関連職の関与場面を分けます。
  • 家族全員が同じ被相続人について同時に相続放棄をする場合、共通作業が多いため、2人目以降の報酬が抑えられることもあります。
  • 裁判所提出書類の作成、戸籍収集、相続関係の整理、不動産登記を見据えた手続整理に強い専門職です。
  • 相続税、死亡保険金、みなし相続財産、債務控除、準確定申告、事業承継が絡む場合に重要です。

POINT 8

  • 相続放棄の費用を誰が負担するか
  • 本人負担が基本ですが、代表者の立替えと相続財産からの支出は分けて考えます。
  • 代表者が支払っても放棄の効果は本人ごと
  • 家庭裁判所に対する相続放棄は各相続人本人の手続です。
  • そのため、申述手数料、本人の戸籍取得費、専門家報酬の本人分は、原則として相続放棄をする本人が負担すると考えるのが自然です。

まとめ

  • 相続放棄の費用は 相続人ごとにかかるのか
  • 相続放棄の費用と家族手続きの結論:800円は人数分、準備と提出は家族でまとめられる部分があります。
  • 相続放棄とは何か ― 家族単位ではなく相続人単位の制度:遺産分割で何ももらわないこととは、債務への効き方が異なります。
  • 相続放棄の費用は相続人ごとにかかる:裁判所費用、郵便料、戸籍費用、受理証明書、専門家報酬を分けます。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

相続放棄の費用と家族手続きの結論

800円は人数分、準備と提出は家族でまとめられる部分があります。

相続放棄の費用で最初に分けるべきなのは、相続人ごとに必ず発生する部分と、家族でまとめることで重複を避けやすい部分です。この整理は、支払額だけでなく、誰が申述した扱いになるかを誤解しないために重要です。次の重要ポイントから、800円、3か月、共通書類1通という読み取り軸を押さえてください。

収入印紙800円は申述人1人につき必要

配偶者と子2人の3人が相続放棄をする場合、収入印紙だけで見ると800円×3人で2,400円です。家族で同じ封筒に入れて提出しても、申述手数料は1家族1回分にはなりません。

相続放棄は、各相続人が家庭裁判所へ申述する制度です。1人の申述で家族全員が当然に放棄した扱いになるわけではなく、法的効果も本人ごとに発生します。

一方で、家族が同じ被相続人について同時期に相続放棄をするなら、申述書を同じ家庭裁判所へまとめて提出したり、被相続人の戸籍や住民票除票などの共通書類を1通に集約したりする実務上の工夫は可能です。

次の一覧は、相続放棄で人数分かかるものと、家族でまとめやすいものを対比しています。この区別は見積もりや家族内精算で重要であり、どの費用を人数で掛けるべきか、どの費用を重複させないでよいかを読み取るために使います。

人数分

各相続人に発生するもの

収入印紙800円、各申述人本人の戸籍、必要な場合の受理証明書、専門家報酬の個別対応部分は、相続人ごとに見る必要があります。

共通化

家族でまとめやすいもの

被相続人に関する戸籍、住民票除票、戸籍附票、相続関係の整理、同時提出の準備、専門家への相談の一部は重複を避けやすい項目です。

注意

本人意思は個別に確認

代表者が費用を立て替えても、相続放棄をした扱いになるのは、本人が申述し家庭裁判所で受理された各相続人です。

Section 01

相続放棄とは何か ― 家族単位ではなく相続人単位の制度

遺産分割で何ももらわないこととは、債務への効き方が異なります。

相続放棄とは、相続人が被相続人の権利義務を承継しないため、家庭裁判所に対して行う手続です。被相続人は亡くなった人、相続人は民法上その人の財産や債務を承継する立場にある人を指します。

相続開始後、相続人は大きく分けて単純承認、限定承認、相続放棄のいずれかを選びます。相続放棄が受理されると、その人は初めから相続人ではなかったものとみなされ、プラス財産だけでなく、借金や保証債務などのマイナス財産も原則として承継しません。

次の比較表は、相続放棄と遺産分割で取得分をゼロにする合意、限定承認の違いを表しています。似た言葉を混同すると債務への対応を誤るため重要であり、手続先、必要な人、債務への影響の列を中心に読み取ってください。

制度手続の単位債務への基本的な影響家族との関係
相続放棄各相続人が家庭裁判所へ申述初めから相続人ではなかった扱いになり、原則として承継しません本人ごとに申述が必要です
遺産分割で取得なし相続人間の協議債権者との関係で当然に借金を免れるとは限りません家族間の財産配分の合意です
限定承認相続人全員が共同して家庭裁判所へ申述プラス財産の範囲で債務を弁済します相続人全員で行う必要があります

死亡保険金や遺族年金のように、受取人固有の権利として扱われるものは、相続財産そのものとは別に検討します。相続放棄をしたから一切のお金を受け取れない、または税金と無関係になる、という単純な整理にはなりません。

相続放棄の申述期間は、原則として自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内です。財産や負債の調査に時間がかかり判断できない場合には、期間伸長の申立てを検討する場面があります。

Section 02

相続放棄の費用は相続人ごとにかかる

裁判所費用、郵便料、戸籍費用、受理証明書、専門家報酬を分けます。

家庭裁判所に納める相続放棄の申述手数料は、収入印紙800円分が申述人1人につき必要です。したがって、基本式は「相続放棄の申述手数料 = 800円 × 相続放棄をする相続人の人数」と整理できます。

次の表は、放棄する相続人の人数と収入印紙の合計を表しています。家族同時提出でもこの人数計算は変わらないため重要であり、誰が申述人になるかを確認して合計額を読み取ってください。

放棄する相続人収入印紙の合計
配偶者1人800円
子2人1,600円
配偶者と子2人2,400円
兄弟姉妹4人3,200円
甥姪6人4,800円

収入印紙のほか、家庭裁判所との連絡に使う郵便切手が必要です。郵便料の金額や組合せは裁判所ごとに異なることがあるため、提出先である被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所の案内を確認します。

戸籍等の取得費は、相続人の人数だけでなく、相続関係の複雑さによって増減します。戸籍全部事項証明書は1通450円、除籍全部事項証明書や改製原戸籍謄本は1通750円とされる自治体例が多く、兄弟姉妹や甥姪が放棄する場合は通数が増えやすくなります。

相続放棄が受理された後、債権者や金融機関に証明するため相続放棄申述受理証明書を取得することがあります。案内例では証明書1枚につき収入印紙150円とされ、必要通数に応じて別費用になります。

弁護士や司法書士に依頼する場合は、裁判所費用とは別に専門家報酬が発生します。報酬は全国一律ではなく、人数、戸籍収集、3か月経過の有無、債権者対応、家族内対立などで変わります。

Section 03

相続放棄を家族まとめて進められる範囲

申述は本人ごとでも、準備と提出には共通化できる部分があります。

家族まとめて手続きできるという表現は、1枚の申述書で全員が放棄できるという意味ではありません。正確には、家族全員分の準備作業をまとめる、各申述書を同じ封筒で提出する、共通添付書類を1通で済ませる、専門家への相談や書類作成を一括して進める、という意味です。

次の判断の流れは、家族で同時に進められる範囲を表しています。代表者が取りまとめられる作業と、各本人が確認すべき作業を分けるために重要であり、上から順に確認して、同時提出できる部分と個別判断が必要な部分を読み取ってください。

家族同時申述で確認する順番

同じ被相続人についての相続放棄か

最後の住所地を管轄する同じ家庭裁判所が申述先になるか確認します。

申述人ごとの申述書を用意

氏名、相続開始を知った日、放棄理由などは本人ごとに確認します。

共通書類と個別書類を分ける

被相続人の戸籍などは共通、各申述人の現在戸籍などは個別に整理します。

期限が迫る
先に申述し追完を検討

不足書類がある場合も、申述期間内の提出を優先する場面があります。

余裕がある
書類を整えて同時提出

同じ書類を重複取得しないよう、1通化できるものを確認します。

同じ被相続人について複数の相続人が同時期に申述する場合、配偶者、長男、長女の各申述書を作成し、必要な収入印紙と郵便切手、共通添付書類を整理して同じ封筒で郵送することは実務上行われます。

裁判所は、同じ書類は1通で足りる旨を案内しています。さらに、同じ被相続人について先に相続放棄がされている場合、先行事件で提出済みのものは不要とされる扱いがあります。

必要な戸籍等を申述時までに入手できない場合、申述後に追加提出することでも差し支えないと案内されています。特に兄弟姉妹や甥姪の相続放棄では戸籍収集に時間がかかるため、3か月期限が迫る場面では早めの確認が重要です。

Section 04

相続放棄を家族まとめてできない範囲

本人の意思、収入印紙、未成年者、後順位者は個別確認が必要です。

相続放棄は本人の重大な法的選択です。1人の意思表示で家族全員を放棄させることはできず、成人した子について親が当然に代理できるわけでもありません。

次の一覧は、家族でまとめられない代表的な場面を表しています。ここを誤ると、手続きしたつもりの人が実際には放棄できていない可能性があるため重要であり、誰の意思や費用が個別に必要かを読み取ってください。

本人の意思表示

成人相続人は、本人の意思に基づき申述する必要があります。代表者が勝手に署名や意思決定をすることはできません。

収入印紙800円

同時提出しても申述人1人につき必要です。家族全体で1回分にまとめることはできません。

未成年者と利益相反

親権者が関与する場合でも、親と子の利害が対立すると特別代理人の選任が問題になります。

後順位相続人

子が全員放棄すると親や兄弟姉妹などが相続人になる可能性があります。後順位者の手続は自動完了しません。

未成年者や成年後見制度の利用者がいる場合、法定代理人の権限、利益相反、特別代理人の要否を確認します。親も子も同じ相続で判断する場面では、単に家族だからまとめてよいとは限りません。

先順位者が相続放棄した結果、後順位の親族が相続人になることがあります。後順位者は、先順位者全員の放棄を知った時点から改めて熟慮期間が問題になることがあり、前順位者の手続だけで安心しないことが大切です。

Section 05

相続放棄の費用内訳とケース別の見方

実費の基本式と、相続関係ごとの増減要因を整理します。

相続放棄の総費用は、収入印紙、郵便料、戸籍等の取得費、受理証明書、専門家報酬を分けて考えます。実費だけで見る場合でも、相続人の人数と戸籍の通数が別々に動く点が重要です。

次の比較表は、代表的な家族構成ごとの費用構造を表しています。どのケースで印紙が人数分になり、どのケースで戸籍収集が難しくなるかを把握するために重要であり、収入印紙の列と戸籍等の特徴の列を合わせて読み取ってください。

ケース収入印紙戸籍等の特徴費用上の注意
子1人が放棄800円被相続人死亡戸籍、申述人戸籍等が中心最も単純な類型です
配偶者と子2人が同時放棄2,400円共通書類を1通化できる同時提出で戸籍重複を避けやすいです
子全員放棄後に父母が放棄父母の人数分先行事件提出済み書類を使える可能性後順位者の熟慮期間に注意します
兄弟姉妹4人が放棄3,200円被相続人と父母の戸籍が多くなりやすい戸籍収集の難易度が上がります
甥姪複数人が放棄人数分兄弟姉妹の死亡戸籍等も必要になり得る専門家依頼の合理性が高まります

戸籍取得費が膨らみやすいのは、被相続人が転籍を繰り返している、婚姻や離婚が複数回ある、前婚の子や養子がいる、兄弟姉妹や甥姪が相続人になる、海外在住者や旧戸籍の確認が必要になる、といった場面です。

法務省の広域交付制度により、本籍地以外の市区町村窓口で戸籍証明書等を請求できる場面があります。ただし、対象外の証明書、郵送や代理人請求の制限、顔写真付き本人確認書類などの条件があるため、必要な戸籍すべてが簡単にそろうとは限りません。

法定相続情報一覧図の写しを利用できる場合、相続関係の説明を簡略化できることがあります。もっとも、相続放棄の申述で必要な書類がすべて不要になるわけではないため、提出先の案内を確認します。

Section 06

相続放棄を専門家に依頼する費用と役割

弁護士、司法書士、税理士、不動産関連職の関与場面を分けます。

専門家報酬は、1人目は基本料金、2人目以降は追加料金、家族一式で定額、相続人1人ごとに同額など、事務所ごとの料金設計で異なります。家族全員が同じ被相続人について同時に相続放棄をする場合、共通作業が多いため、2人目以降の報酬が抑えられることもあります。

次の一覧は、相続放棄で関わり得る専門職の役割を表しています。誰に何を頼むかで費用と業務範囲が大きく変わるため重要であり、裁判所対応、税務、不動産、生活資金のどの論点に強いかを読み取ってください。

弁護士

3か月経過、債権者からの請求、家族間対立、財産処分、訴訟や支払督促、未成年者や後見など、紛争性や法的判断が強い場面で関与します。

紛争対応個別判断

司法書士

裁判所提出書類の作成、戸籍収集、相続関係の整理、不動産登記を見据えた手続整理に強い専門職です。

書類作成登記連携

税理士

相続税、死亡保険金、みなし相続財産、債務控除、準確定申告、事業承継が絡む場合に重要です。

税務保険金

行政書士、FP、金融機関、不動産関連職

相続関係書類、家計や保険の整理、預金解約や残高証明、不動産評価や売却可能性の確認などで周辺支援を行う場面があります。

周辺支援業務範囲確認

家族一括依頼でも、各相続人が相続開始を知った日が違う、一部の相続人が財産を使っている、3か月経過が問題になる、未成年者や後見制度利用者がいる、海外在住者がいる、家族内で意見対立がある場合は、単純な割引にならないことがあります。

次の表は、家族で専門家に依頼する際に見積書や委任契約書で確認すべき項目を表しています。追加費用や業務範囲の誤解を防ぐために重要であり、誰のどこまでが含まれるか、実費と報酬がどう分かれるかを読み取ってください。

確認項目確認すべき理由
対象となる相続人の氏名誰の相続放棄まで含まれるかを明確にするためです
報酬が人数ごとか一式か追加料金の有無を防ぐためです
戸籍収集が含まれるか実費と手間に大きく影響するためです
収入印紙、郵便料、戸籍代の負担者実費を誰がいつ支払うか明確にするためです
受理証明書の取得が含まれるか債権者対応で必要になることがあるためです
債権者への通知が含まれるか放棄後の督促対応に影響するためです
3か月経過後の事情説明が含まれるか難易度が大きく変わるためです
家族間対立が生じた場合の扱い同じ専門家が全員を支援できなくなる可能性があるためです

経済的に一度の支払いが難しい場合、法テラスの民事法律扶助を検討できることがあります。利用には収入、資産、制度趣旨への適合などの要件があるため、相続放棄の相談で常に使えるとは限りません。

Section 07

相続放棄の費用を誰が負担するか

本人負担が基本ですが、代表者の立替えと相続財産からの支出は分けて考えます。

家庭裁判所に対する相続放棄は各相続人本人の手続です。そのため、申述手数料、本人の戸籍取得費、専門家報酬の本人分は、原則として相続放棄をする本人が負担すると考えるのが自然です。

家族内の合意で、代表者が全員分をいったん立て替えることはあり得ます。たとえば長男が母と兄弟姉妹全員分の戸籍を集め、実費をまとめて支払い、後で精算する運用は実務上見られます。

次の重要ポイントは、支払者と相続放棄の効果の関係を表しています。誰が払ったかと誰が放棄したかを混同しないために重要であり、費用精算と法的効果を分けて読み取ってください。

代表者が支払っても放棄の効果は本人ごと

全員分の収入印紙や郵便切手を代表者が購入しても、相続放棄をした扱いになるのは家庭裁判所に申述し受理された各本人です。

被相続人の預貯金や現金から相続放棄の費用を出すことには注意が必要です。相続財産を処分したと評価される行為をすると、単純承認をしたものと扱われるリスクがあるためです。

葬儀費用、保存行為、管理費用などは個別判断が必要で、一概にすべて危険ともすべて安全ともいえません。相続放棄を予定している場合は、預金の引き出し、遺品売却、財産分配などを安易に行わないことが重要です。

Section 08

相続放棄を家族で進める具体的な手順

相続人確認から受理後の通知まで、順番と分担を整理します。

家族で相続放棄を進めるときは、誰が相続人か、各人の期限はいつか、財産と債務は何か、どの書類が共通かを順に確認します。順序を決めることで、3か月期限と書類収集の遅れを防ぎやすくなります。

次の時系列は、家族で相続放棄を進める基本的な順番を表しています。早い段階で相続人と期限を把握することが重要であり、各段階で誰が何を確認するかを読み取ってください。

手順1

相続人の範囲を確認

配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹、甥姪の順に、法定相続人になり得る人を洗い出します。

手順2

3か月の起算点を整理

各相続人が相続開始を知った日を確認します。同居の配偶者と遠方の親族では日付が異なることがあります。

手順3

財産と債務を調査

預貯金、不動産、借入金、保証債務、税金滞納、管理費などを整理します。

手順4

申述書を本人ごとに作成

相続開始を知った日、放棄理由、財産の概略など、本人ごとの事実関係を確認します。

手順5

共通書類と個別書類を整理

被相続人の戸籍などは共通、各申述人の現在戸籍などは個別に分けます。

手順6以降

提出、照会書回答、受理後通知

家庭裁判所へ提出し、照会書には各本人が回答します。受理後は債権者や金融機関へ必要に応じて通知します。

次の期限表は、相続開始を知った日が相続人ごとに異なる例を表しています。家族で同時に進めても起算点が常に同じとは限らないため重要であり、最も早い期限を優先して動く必要があることを読み取ってください。

相続人相続開始を知った日3か月期限注意点
配偶者2026年5月1日2026年8月1日頃同居なら死亡日と同日になりやすいです
長男2026年5月1日2026年8月1日頃葬儀対応で財産使用に注意します
長女2026年5月5日2026年8月5日頃遠方在住で通知日が異なることがあります
被相続人の兄先順位者全員放棄を知った日個別判断後順位者として別途検討します

次の比較表は、財産調査で確認するプラス財産とマイナス財産を表しています。相続放棄は借金だけでなくプラス財産も失う選択であるため重要であり、左右の列を見比べて、何を調査してから判断するかを読み取ってください。

プラス財産マイナス財産、リスク
預貯金借入金
不動産住宅ローン
株式、投資信託連帯保証債務
自動車クレジットカード債務
生命保険金税金、社会保険料の滞納
退職金医療費、施設費の未払
事業用資産賃貸借、事業債務、損害賠償債務
家財、貴金属管理費、修繕費、空き家リスク

次の書類表は、家族同時申述で共通化しやすい書類と個別に必要な書類を表しています。戸籍代や取得の手間を抑えるために重要であり、どの書類を1通化し、どの書類を本人ごとに用意するかを読み取ってください。

書類の種類家族まとめの考え方
共通書類被相続人の死亡戸籍、住民票除票、戸籍附票同じ書類は1通で足りる扱いを利用します
相続関係書類被相続人の出生から死亡までの戸籍、父母の戸籍等兄弟姉妹、甥姪では重要です
個別書類各申述人の現在戸籍申述人ごとに必要です
代理関係書類親権者、後見人、特別代理人関係書類未成年者等がいる場合に必要です
追加説明資料債権者通知、督促状、財産調査資料3か月経過後や事情説明が必要な場合に整理します

提出時は、送付状、申述人一覧表、各申述書と収入印紙、共通添付書類、個別添付書類、連絡用郵便切手、不足書類がある場合の説明メモを分けると整理しやすくなります。

Section 09

相続放棄と税務・保険・不動産の注意点

民法上の放棄と、税務・保険・登記の扱いは同じとは限りません。

相続放棄は民事上の債務承継を避けるための手続として語られがちですが、相続税、死亡保険金、不動産登記、財産管理まで影響が及ぶことがあります。放棄した人と放棄しない人が混在する家族では、周辺制度も同時に確認することが重要です。

次の一覧は、相続放棄の周辺で確認すべき専門論点を表しています。相続放棄だけで全問題が終わるわけではないため重要であり、税務、保険、不動産、財産管理のどこに追加確認が必要かを読み取ってください。

税務

基礎控除の法定相続人の数

相続税の基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数で計算されます。相続放棄があった場合でも、放棄がなかったものとして数える扱いがあります。

保険

死亡保険金の非課税枠

死亡保険金は相続放棄後も受け取れる場合がありますが、放棄した人が取得する死亡保険金には非課税枠が適用されない場合があります。

不動産

相続登記の義務化

相続で不動産を取得した人は、所有権取得を知った日から3年以内の相続登記が問題になります。違反すると10万円以下の過料の対象になり得ます。

全員放棄

相続財産清算人と管理

全員が放棄した後も、空き家、山林、賃貸物件、動産保管などで財産管理や相続財産清算人選任が問題になることがあります。

相続放棄をした人でも、現に相続財産を占有している場合には、一定の保存義務が問題になることがあります。危険な空き家、漏水、倒木、近隣被害などがある場合は、制度上の扱いを確認する必要があります。

相続放棄をする家族と、相続する家族が混在する場合、放棄後に不動産を誰が取得し、誰が登記するのかを早めに整理します。放棄した人は相続人でなかった扱いになるため、相続登記の当事者や必要書類も変わります。

Section 10

相続放棄の家族同時申述で失敗しやすい点

期限、本人理解、遺産分割との混同、財産処分、受理後通知に注意します。

家族で同時に進める相続放棄は効率的ですが、代表者任せにしすぎると本人意思、期限、財産処分、後順位者への影響を見落としやすくなります。失敗しやすい点を先に把握することが、費用節約以上に重要です。

次の一覧は、家族同時申述で特に起こりやすい失敗を表しています。手続きのやり直しや債務承継リスクを避けるために重要であり、どの段階で何を確認すべきかを読み取ってください。

期限を全員同じだと思い込む

各相続人の熟慮期間の起算点は同じとは限りません。後順位者は別途検討が必要になることがあります。

代表者だけが内容を理解している

相続放棄は本人の意思に基づく手続です。各本人がプラス財産も取得できないことを理解する必要があります。

遺産分割協議と混同する

家族内で財産をいらないと言うだけでは、家庭裁判所での相続放棄にはなりません。

財産を処分してしまう

預金引き出し、車の売却、不動産賃貸、家財の大量処分などは単純承認と評価されるリスクがあります。

受理後の通知を怠る

債権者が相続放棄を知らないと督促が続くことがあります。必要に応じて受理通知書や受理証明書で説明します。

相続放棄が受理されても、債権者が後に放棄の有効性を争う可能性がゼロになるわけではありません。紛争性がある場合、最初の段階から弁護士等へ相談する必要が高くなります。

後順位相続人がいる場合、先順位者の放棄により請求先が移ることがあります。家族関係が許すなら、先順位者が相続放棄をしたこと、債権者から連絡が来る可能性があることを伝えると混乱を減らせます。

Section 11

相続放棄の費用と家族手続きのFAQ

よくある疑問を一般情報として整理します。

Q1. 相続放棄の費用は相続人ごとにかかるのですか

一般的には、家庭裁判所に納める収入印紙800円は申述人1人につき必要とされています。ただし、郵便料、戸籍代、受理証明書代、専門家報酬は提出先や事案によって変わる可能性があります。具体的な費用確認は、提出先の案内や専門家への相談が必要です。

Q2. 家族全員で1枚の相続放棄申述書を出せますか

一般的には、相続放棄申述書は各相続人ごとに作成するとされています。ただし、同じ被相続人について複数人が同時に申述する場合、同じ封筒で提出し、共通添付書類を1通にまとめられることがあります。具体的な提出方法は家庭裁判所へ確認する必要があります。

Q3. 同じ戸籍を人数分取る必要がありますか

一般的には、同じ家庭裁判所に同じ被相続人について申述する場合、同じ書類は1通で足りると案内されています。ただし、各申述人本人の戸籍など個別に必要な書類があります。相続順位や提出済み書類によって変わるため、必要書類の確認が必要です。

Q4. 代表者が全員分を郵送してもよいですか

一般的には、家族全員の申述書と添付書類を代表者が取りまとめて郵送する運用はあり得ます。ただし、代表者が他の成人相続人の意思を決めることはできません。各本人が内容を確認し、本人の意思で申述する必要があります。

Q5. 親が成人した子の相続放棄を代わりにできますか

一般的には、成人した子について親が当然に代理できるわけではありません。本人の意思と手続が必要です。未成年者の場合は親権者が法定代理人として関与することがありますが、利益相反の有無によって特別代理人が問題になる可能性があります。

Q6. 子が全員放棄すれば親や兄弟姉妹は何もしなくてよいですか

一般的には、先順位の相続人が全員放棄すると、後順位の親族が相続人になる可能性があります。後順位者は、自分が相続人になったことを知った時点で、相続放棄を検討する必要が生じることがあります。具体的な順位や期限は個別事情で変わります。

Q7. 相続放棄をすれば死亡保険金も受け取れませんか

一般的には、死亡保険金が受取人固有の権利として扱われる場合、相続放棄後も受け取れることがあります。ただし、相続税法上のみなし相続財産や非課税枠の扱いは別途問題になります。保険契約と税務関係を整理し、必要に応じて税理士等へ相談する必要があります。

Q8. 3か月を過ぎたら絶対に相続放棄できませんか

一般的には、相続放棄は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内が原則とされています。ただし、知った時期、財産債務の把握状況、通知の有無などで検討が必要になることがあります。期限経過が問題になる場合は、資料を整理して弁護士等へ相談する必要があります。

Q9. 相続放棄をした後に撤回できますか

一般的には、相続放棄は重大な効果を持つため安易に撤回できないとされています。ただし、詐欺、強迫、錯誤などが問題になる特殊な事情では別途検討されることがあります。具体的な見通しは、事実関係と資料に基づき専門家へ相談する必要があります。

Q10. 専門家に頼まなくてもできますか

一般的には、成人の相続人が3か月以内に通常の申述をする場合、本人で進められることがあります。ただし、兄弟姉妹や甥姪の放棄、3か月経過、未成年者、督促、不動産、事業、家族間対立がある場合は判断が複雑になる可能性があります。具体的な対応は専門家へ相談する必要があります。

Q11. 家族一括で司法書士や弁護士に頼むと安くなりますか

一般的には、共通書類や事情聴取が重なるため、2人目以降の報酬を抑える料金設計もあります。ただし、各人の事情、期限、対立、未成年者、3か月経過の有無で追加費用が発生する可能性があります。見積書で対象者と業務範囲を確認する必要があります。

Q12. 結論を一言でいうと何ですか

一般的には、収入印紙800円と相続放棄の法的効果は相続人ごとに発生すると整理されます。ただし、家族で同時に準備し、申述書をまとめて提出し、共通添付書類を1通に集約することは可能な場合があります。人数分かかる部分と共通化できる部分を分けて考える必要があります。

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相続放棄を進める実務チェックリストとまとめ

費用を抑える前に、期限、本人意思、共通書類、受理後対応を確認します。

相続放棄を家族で進めるときは、支払額だけでなく、期限と本人意思を表にして管理することが重要です。次の一覧は、検討開始直後、申述準備、受理後の確認事項を表しており、どの時点で何を済ませるべきかを読み取るために使います。

検討開始直後

死亡日、最後の住所地、相続人候補、各人が知った日、3か月期限、預金、不動産、借金、保証債務、未成年者や海外在住者の有無を確認します。

期限管理財産調査

家族まとめて申述する準備

申述人ごとの申述書、収入印紙800円、郵便切手額、共通書類と個別書類、不足書類の追完予定、各本人の理解を整理します。

書類整理本人確認

受理後

受理通知書の保管、必要な受理証明書の取得、債権者や金融機関への通知、後順位相続人への連絡、税務や登記の残課題を確認します。

通知後順位

最終的な整理は、人数分かかるものと家族でまとめやすいものを分けることです。この比較表は、費用精算と手続計画の両方に関わるため重要であり、左列は人数で見積もり、右列は重複を避ける対象として読み取ってください。

人数分かかるもの家族でまとめやすいもの
収入印紙800円被相続人に関する共通戸籍
各申述人本人に関する書類住民票除票、戸籍附票等の共通書類
各人の受理証明書が必要な場合の証明書費用相続関係の整理
専門家報酬のうち個別対応部分家庭裁判所への同時提出
個別事情の説明や照会書対応専門家への相談、戸籍収集、債権者通知の一部

相続放棄は、借金を避けるためだけの単純な節約手段ではありません。プラス財産も失う重大な法的選択であり、3か月期限、単純承認リスク、後順位相続人への影響、税務、保険、不動産登記、未成年者の利益相反などを含みます。

家族で進めるなら、誰が相続人か、誰が放棄するか、各人の期限はいつか、何が人数分で何が共通化できるかを先に整理します。通常の範囲なら家庭裁判所の案内に沿って本人申述を進め、複雑な事情があれば弁護士、司法書士、税理士、不動産専門職などへ早期に接続することが、費用を適正に抑えながら失敗を防ぐ堅実な進め方です。

Reference

この記事の参考情報源

公的機関と中立的な制度情報を中心に確認しています。

公的機関・法令

  • 裁判所「相続の放棄の申述」
  • 裁判所「相続放棄」
  • 裁判所「相続の承認又は放棄の期間の伸長」
  • 裁判所公開書式「相続の放棄の申述書 成人用」
  • 裁判所「相続財産清算人の選任」
  • e-Gov法令検索「民法」

戸籍・登記・税務

  • 法務省「戸籍証明書等の広域交付が始まります」
  • 法務省「法定相続情報証明制度について」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 国税庁「No.4152 相続税の計算」
  • 国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」

相談制度・実務情報

  • 法テラス「民事法律扶助」
  • 自治体の戸籍証明書交付手数料案内
  • 司法書士会「司法書士の業務」
  • 法律実務解説(相続放棄の専門家報酬に関する解説)