2σ Guide

不動産を贈与した場合の
贈与税計算と評価額の出し方

土地・建物・マンション・賃貸物件・負担付贈与では、評価の入口が変わります。110万円控除、2,500万円控除、税率表、登記費用、相続時の影響まで一体で確認します。

110万円 基礎控除
2,500万円 精算課税の特別控除
20% 精算課税の税率
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不動産を贈与した場合の 贈与税計算と評価額の出し方

土地・建物・マンション・賃貸物件・負担付贈与では、評価の入口が変わります。

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不動産を贈与した場合の 贈与税計算と評価額の出し方
土地・建物・マンション・賃貸物件・負担付贈与では、評価の入口が変わります。
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2σ GUIDE ・ VIDEO

  • 不動産を贈与した場合の 贈与税計算と評価額の出し方
  • 土地・建物・マンション・賃貸物件・負担付贈与では、評価の入口が変わります。

POINT 1

  • 不動産贈与の贈与税計算と評価額の全体像
  • 1. 当事者と贈与日:誰から誰へ、いつ贈与したかを確認し、年齢・親族関係・同一年の他の贈与を整理します。
  • 2. 財産の種類:土地、建物、マンション、賃貸物件、借地権、使用貸借、負担付贈与、低額譲渡を分類します。
  • 3. 評価方式:路線価方式、倍率方式、固定資産税評価額、貸家評価、区分所有補正率、通常の取引価額を確認します。
  • 4. 課税方式:暦年課税か相続時精算課税か、特例や非課税制度の適用可能性を確認します。
  • 5. 申告・登記・相続影響:贈与税、不動産取得税、登録免許税、相続税への精算、遺留分・特別受益をまとめて確認します。

POINT 2

  • 不動産贈与の基本用語と計算手順
  • 1. 当事者・日付・財産:誰から誰へ贈与したか、贈与日、財産の種類を確定します。
  • 2. 評価方式と評価額:路線価、倍率、固定資産税評価、貸家、貸家建付地、通常の取引価額を確認します。
  • 3. 課税方式・特例・税額:暦年課税か相続時精算課税かを判定し、特例の可否を確認して税額を計算します。
  • 4. 申告・登記・相続影響:申告納税、登記、関連税金、相続時の課税関係、特別受益、遺留分を確認します。

POINT 3

  • 暦年課税による不動産贈与税の計算方法
  • 基礎控除110万円、一般税率、特例税率、申告期限を一体で確認します。
  • 贈与税額 =(その年に受けた贈与財産の価額合計 − 基礎控除110万円)× 税率 − 控除額
  • 暦年課税は、不動産だけを単独で見る制度ではありません。
  • 同じ年に受けた現金、株式、保険料負担なども受贈者単位で合算するため重要です。

POINT 4

  • 相続時精算課税による不動産贈与税の計算方法
  • 有利になり得る場面
  • 戻れない点
  • 制度選択後は、その特定贈与者からの贈与について暦年課税へ戻れません。

POINT 5

  • 不動産贈与の評価額の出し方
  • 路線価方式
  • 土地の評価額 = 路線価 × 各種補正率 × 地積。
  • 倍率方式
  • 土地の評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率。

POINT 6

  • 不動産贈与税額の具体例
  • 自宅、配偶者控除、相続時精算課税、賃貸アパート、ローン付き不動産の計算を比較します。
  • 評価減があっても贈与税は高額になり得ます
  • 評価額から基礎控除・控除制度・税率がどう働くかを読み取ってください。
  • 次の強調表示は、計算例から読み取るべき共通点です。

POINT 7

  • 不動産贈与の特例・相続関係・紛争リスク
  • 1. 相続開始前3年以内:相続開始前3年以内の暦年課税贈与が基本的な加算対象になります。
  • 2. 2024年1月1日から相続開始日まで:移行期間として、2024年1月1日以後の贈与から加算対象が広がります。
  • 3. 相続開始前7年以内:相続開始前7年以内の暦年課税贈与が基本となります。

POINT 8

  • 不動産贈与の登記・関連税金・専門職
  • 登録免許税
  • 贈与による所有権移転登記では、原則として不動産の価額の1,000分の20、すなわち2%です。
  • 不動産取得税
  • 都道府県が課税する地方税で、贈与による取得でも対象になることがあります。

まとめ

  • 不動産を贈与した場合の 贈与税計算と評価額の出し方
  • 不動産贈与の贈与税計算と評価額の全体像:受贈者・評価方法・課税方式・登記費用・相続への影響を同時に確認します。
  • 不動産贈与の基本用語と計算手順:贈与者・受贈者、暦年課税、相続時精算課税、相続税評価額を正しく切り分けます。
  • 暦年課税による不動産贈与税の計算方法:基礎控除110万円、一般税率、特例税率、申告期限を一体で確認します。
  • 本動画は一般的な情報提供であり、法律上の助言ではありません。記載の数値・金額・期間は目安です。個別事情で結論は変わります。
Overview

不動産贈与の贈与税計算と評価額の全体像

受贈者・評価方法・課税方式・登記費用・相続への影響を同時に確認します。

不動産を贈与すると、原則として財産をもらった受贈者に贈与税がかかります。ただし、贈与税額は売れそうな価格や固定資産税の納税通知書の金額だけで決まるわけではありません。贈与の態様を確定し、土地・建物・マンション・賃貸物件・借地権等の評価額を財産評価のルールに沿って算定し、暦年課税または相続時精算課税に当てはめます。

次の一覧は、不動産贈与で最初に押さえる五つの結論を示します。税額だけを見て進めると登記費用や相続紛争に波及するため重要です。どの論点を先に確認すべきかを読み取ってください。

受贈者

税金はもらった人が計算する

暦年課税では1月1日から12月31日までの贈与を受贈者単位で合算し、基礎控除110万円を差し引きます。

評価

売買価格とは限らない

土地は路線価方式または倍率方式、家屋は固定資産税評価額×1.0、マンションは敷地利用権と区分所有権を確認します。

例外

賃貸・負担付きは入口が変わる

貸家建付地、貸宅地、使用貸借、負担付贈与、低額譲渡では、通常の評価と異なる検討が必要です。

費用

贈与税だけで判断しない

登録免許税、不動産取得税、司法書士報酬、測量費、鑑定費、固定資産税、譲渡所得税も連動します。

相続

家族関係と相続税も見る

生前贈与加算、相続時精算課税、特別受益、遺留分、意思能力、証拠化まで設計します。

次の判断の流れは、不動産贈与の計算を進める順番を表します。上から下へ進むほど税額に近づきますが、途中の分岐を誤ると評価額も制度選択も変わるため重要です。まず対象不動産と課税方式を正しく切り分けることを読み取ってください。

不動産贈与の確認順序

当事者と贈与日

誰から誰へ、いつ贈与したかを確認し、年齢・親族関係・同一年の他の贈与を整理します。

財産の種類

土地、建物、マンション、賃貸物件、借地権、使用貸借、負担付贈与、低額譲渡を分類します。

評価方式

路線価方式、倍率方式、固定資産税評価額、貸家評価、区分所有補正率、通常の取引価額を確認します。

課税方式

暦年課税か相続時精算課税か、特例や非課税制度の適用可能性を確認します。

申告・登記・相続影響

贈与税、不動産取得税、登録免許税、相続税への精算、遺留分・特別受益をまとめて確認します。

Section 01

不動産贈与の基本用語と計算手順

贈与者・受贈者、暦年課税、相続時精算課税、相続税評価額を正しく切り分けます。

次の一覧は、不動産贈与で混同しやすい基本用語を整理しています。用語の理解は、税率表や評価式を読む前提になるため重要です。どの制度が税額、登記、相続紛争のどこに関係するかを読み取ってください。

契約

贈与

無償で財産を与える意思と、相手方が受ける意思によって成立します。税務上は契約書がなくても実質移転があれば問題になります。

当事者

贈与者と受贈者

財産をあげる人が贈与者、もらう人が受贈者です。贈与税は原則として受贈者が申告・納税します。

原則

暦年課税

1年間の贈与を合算し、基礎控除110万円を差し引いて税率を適用する方式です。

選択

相続時精算課税

一定の父母・祖父母等から子・孫等への贈与で選択でき、2024年以後は年110万円の基礎控除もあります。

評価

相続税評価額

相続税や贈与税を計算するための税務上の評価額です。ただし負担付贈与や低額譲渡では時価が重要になることがあります。

権利

貸宅地・貸家建付地・使用貸借

他人の権利や賃貸状況、無償使用関係が評価額を左右します。

次の比較表は、代表的な評価用語と計算の入口をまとめたものです。列は用語、意味、計算上の注意の順に並びます。どの不動産でどの評価方法が問題になるかを読み取ってください。

用語意味計算上の注意
路線価方式路線価を基準に補正率と地積を使う評価路線価図の数値は千円単位です。
倍率方式固定資産税評価額に評価倍率を乗じる評価路線価がない地域、農地、山林等で使われます。
固定資産税評価額市区町村等が固定資産税のために登録する価格家屋評価では原則として1.0を乗じます。
負担付贈与債務引受などの負担を伴う贈与通常の取引価額から負担額を控除する考え方が問題になります。
低額譲渡時価より著しく低い対価で譲り受ける取引時価と対価の差額がみなし贈与になる可能性があります。

次の一覧は、実際の計算手順を十段階に分けたものです。順番には意味があり、評価方式や課税方式を後から変えると税額が変わるため重要です。どの段階で資料が必要になるかを読み取ってください。

1から3

当事者・日付・財産

誰から誰へ贈与したか、贈与日、財産の種類を確定します。

4から5

評価方式と評価額

路線価、倍率、固定資産税評価、貸家、貸家建付地、通常の取引価額を確認します。

6から8

課税方式・特例・税額

暦年課税か相続時精算課税かを判定し、特例の可否を確認して税額を計算します。

9から10

申告・登記・相続影響

申告納税、登記、関連税金、相続時の課税関係、特別受益、遺留分を確認します。

Section 02

暦年課税による不動産贈与税の計算方法

基礎控除110万円、一般税率、特例税率、申告期限を一体で確認します。

暦年課税は、不動産だけを単独で見る制度ではありません。同じ年に受けた現金、株式、保険料負担なども受贈者単位で合算するため重要です。次の基本式では、価額合計から基礎控除を差し引き、税率と控除額を使うことを読み取ってください。

贈与税額 =(その年に受けた贈与財産の価額合計 − 基礎控除110万円)× 税率 − 控除額

父から土地、母から現金、祖父から株式を同じ年にもらった場合は、受贈者側で合算します。贈与者との関係や受贈者の年齢に応じて、一般贈与財産用または特例贈与財産用の速算表を使います。

次の速算表は、一般贈与財産用の税率と控除額です。兄弟姉妹間、夫婦間、叔父叔母から甥姪、他人からの贈与などで使う場面があります。課税価格の段階ごとに税率と控除額が上がることを読み取ってください。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%0円
300万円以下15%10万円
400万円以下20%25万円
600万円以下30%65万円
1,000万円以下40%125万円
1,500万円以下45%175万円
3,000万円以下50%250万円
3,000万円超55%400万円

次の速算表は、特例贈与財産用の税率と控除額です。贈与を受けた年の1月1日時点で18歳以上の人が、父母や祖父母などの直系尊属から贈与を受けた場合に問題になります。一般贈与財産と段階が違うため、受贈者の年齢と贈与者との関係を読み取ってください。

基礎控除後の課税価格税率控除額
200万円以下10%0円
400万円以下15%10万円
600万円以下20%30万円
1,000万円以下30%90万円
1,500万円以下40%190万円
3,000万円以下45%265万円
4,500万円以下50%415万円
4,500万円超55%640万円
混在する場合同じ年に父から土地をもらい、配偶者の父から現金をもらうような場合は、特例贈与財産と一般贈与財産が混在します。単純に片方の速算表だけを使わず、全体の贈与税額を按分する考え方が必要です。
申告期限贈与税の申告と納税は、原則として財産をもらった年の翌年2月1日から3月15日までです。登記が完了していても申告要否の確認を放置しないことが重要です。
Section 03

相続時精算課税による不動産贈与税の計算方法

累計2,500万円の特別控除、年110万円の基礎控除、相続時の精算を理解します。

相続時精算課税は、一定の60歳以上の父母・祖父母等から、18歳以上の子・孫等への贈与で選択できる制度です。一度選択すると、その特定贈与者からの以後の贈与について暦年課税へ戻れないため重要です。次の基本式から、110万円控除と累計2,500万円控除の関係を読み取ってください。

贈与税額 =(特定贈与者ごとの年間贈与財産価額 − 基礎控除110万円 − 特別控除額の残額)× 20%

特別控除額は累計2,500万円で、過去に使った分を差し引いた残額が限度です。特別控除を使うには期限内申告が必要です。同じ年に複数の特定贈与者から贈与を受けた場合、基礎控除110万円は按分が問題になります。

次の一覧は、相続時精算課税を検討する場面と注意点を並べています。贈与時の税額が低く見えても相続時に精算されるため重要です。短期の税額と長期の相続全体を分けて読み取ってください。

有利になり得る場面

将来値上がりが見込まれる不動産を早期移転したい、子が賃貸経営を引き継ぎたい、親の判断能力が十分なうちに承継者を固定したい場合です。

戻れない点

制度選択後は、その特定贈与者からの贈与について暦年課税へ戻れません。相続税の将来負担まで検討します。

相続時の精算

特定贈与者が亡くなったとき、相続時精算課税適用財産を相続税の計算に加算します。

家族公平

不動産の承継者を早く固定できる一方、他の相続人との公平や納税資金に影響します。

次の比較表は、暦年課税と相続時精算課税の違いを整理しています。制度選択の効果は贈与時だけでなく相続時にも及ぶため重要です。どの項目が後戻りしにくいかを読み取ってください。

項目暦年課税相続時精算課税
基礎控除年110万円2024年以後は年110万円
税率速算表で10%から55%特別控除後は20%
特別控除なし累計2,500万円
相続時一定期間内の贈与を加算選択した贈与財産を相続税で精算
戻れるか原則として毎年判定同じ特定贈与者について戻れない
Section 04

不動産贈与の評価額の出し方

土地、家屋、賃貸物件、マンション、負担付贈与、低額譲渡の評価式を確認します。

評価額の出発点を誤ると、贈与税額全体がずれます。次の表は、不動産の種類ごとに見る資料と専門職をまとめたものです。列は確認項目、資料、主な専門職の順です。どの資料をそろえるべきかを読み取ってください。

確認項目具体的に見る資料主な専門職
土地か建物か登記事項証明書、固定資産評価証明書司法書士、税理士
地目・現況登記事項証明書、公図、現地、課税明細書税理士、土地家屋調査士
路線価地域か倍率地域か路線価図・評価倍率表税理士、不動産鑑定士
面積登記簿、公図、地積測量図、実測図土地家屋調査士
利用状況自用、賃貸、空室、駐車場、使用貸借税理士、宅建士
権利関係借地権、賃借権、抵当権、地役権弁護士、司法書士、税理士
マンション該当性区分所有建物、敷地権、専有面積、築年数税理士、司法書士
時価との乖離売買事例、鑑定評価、収益価格不動産鑑定士、宅建士

次の一覧は、主な評価式と具体例をまとめています。式はどの金額を出発点にするかを示すため重要です。土地・家屋・賃貸物件・負担付贈与で使う価額が異なることを読み取ってください。

路線価方式

土地の評価額 = 路線価 × 各種補正率 × 地積。路線価「300」は1㎡当たり300千円を意味し、300千円×1.00×180㎡=5,400万円です。

倍率方式

土地の評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率。路線価がない地域、農地、山林、原野、雑種地などで使われることがあります。

家屋

家屋の評価額 = 固定資産税評価額 × 1.0。固定資産税評価額800万円の家屋は、通常の自用家屋なら800万円が基礎です。

貸家

貸家の評価額 = 固定資産税評価額 − 固定資産税評価額×借家権割合×賃貸割合。2,000万円、30%、100%なら1,400万円です。

貸家建付地

自用地価額 − 自用地価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合。8,000万円、70%、30%、100%なら6,320万円です。

貸宅地

貸宅地の評価額 = 自用地としての価額 − 自用地としての価額×借地権割合。地代や契約内容で扱いが変わります。

マンション

マンションの評価額 = 敷地利用権の価額+区分所有権の価額。2024年以後は区分所有補正率を検討する場合があります。

負担付贈与・低額譲渡

負担付贈与は通常の取引価額−負担額、低額譲渡は時価−支払対価が問題になります。

次の比較表は、使用貸借、負担付贈与、低額譲渡の注意点を整理しています。通常の相続税評価額だけでは足りない場合があるため重要です。どの場面で時価や市場価格が必要になるかを読み取ってください。

場面評価の考え方注意点
使用貸借土地使用権の価額がゼロとして扱われる場面があります。子が住んでいるだけで評価が下がるとは限りません。
負担付贈与通常の取引価額から受贈者が負担する債務等を控除します。贈与者側に譲渡所得税が生じる可能性があります。
低額譲渡時価と支払対価の差額がみなし贈与になり得ます。時価の半分以上なら安全という単純な基準ではありません。
Section 05

不動産贈与税額の具体例

自宅、配偶者控除、相続時精算課税、賃貸アパート、ローン付き不動産の計算を比較します。

次の比較表は、五つの単純化した計算例を並べたものです。実際には共有持分、他の贈与、既利用額、評価補正、特例、申告期限、相続税との関係を確認する必要がありますが、金額規模を把握するうえで重要です。評価額から基礎控除・控除制度・税率がどう働くかを読み取ってください。

前提計算の要点概算税額
成人した子へ自宅土地建物土地5,400万円、家屋800万円6,200万円−110万円=6,090万円。特例税率55%、控除640万円。2,709万5,000円
20年以上の夫婦間贈与居住用不動産2,100万円2,100万円−配偶者控除2,000万円−基礎控除110万円。0円以下
相続時精算課税で3,000万円の土地60歳以上の父から18歳以上の子へ初回選択3,000万円−110万円−2,500万円=390万円。390万円×20%。78万円
賃貸アパートと敷地貸家建付地6,320万円、貸家1,400万円7,720万円−110万円=7,610万円。特例税率55%、控除640万円。3,545万5,000円
ローン付き不動産通常の取引価額5,000万円、ローン2,000万円5,000万円−2,000万円=3,000万円。3,000万円−110万円=2,890万円。特例税率45%、控除265万円。1,035万5,000円

次の強調表示は、計算例から読み取るべき共通点です。不動産は一回の贈与額が大きく、110万円の基礎控除だけでは税額を抑えにくいため重要です。特例や相続時精算課税の税額だけでなく、登記費用や将来の相続税も見る必要があります。

評価減があっても贈与税は高額になり得ます

賃貸不動産では貸家・貸家建付地の評価減があり得ますが、贈与財産価額が大きいと税額も高額になります。相続時精算課税は贈与時の税額が低く見える場合がありますが、相続時に精算対象になるため、相続税・家族公平・納税資金を含めた設計が必要です。

計算例の限界実際の税額は、共有持分、他の贈与、相続時精算課税の既利用額、負担付贈与、評価補正、申告期限、相続税との関係で変わります。具体的な税額は資料を整理したうえで税理士等へ確認する必要があります。
Section 06

不動産贈与の特例・相続関係・紛争リスク

配偶者控除、住宅取得資金、農地、相続税加算、特別受益、遺留分を確認します。

次の一覧は、不動産贈与で確認すべき特例・非課税制度を整理しています。制度ごとに対象財産や要件が異なるため重要です。直接の不動産贈与に使える制度か、金銭贈与や相続税側の制度なのかを読み取ってください。

夫婦

配偶者控除

婚姻期間20年以上の夫婦間で、居住用不動産等の贈与に一定要件のもと最高2,000万円まで控除できます。申告が必要です。

資金

住宅取得等資金の非課税

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受ける制度で、不動産そのものの贈与とは異なります。2024年から2026年まで、省エネ等住宅は1,000万円、それ以外は500万円が目安です。

農地

農地等の納税猶予

農業後継者への承継で問題になりますが、農地法、営農継続、転用、貸付け、相続時の扱いなど厳格な要件があります。

相続

小規模宅地等の特例

相続税の特例であり、生前贈与で当然に使えるわけではありません。贈与したことで相続時に使えた評価減を失うことがあります。

次の比較表は、贈与が相続時に問題になる主な場面を整理しています。贈与税を払っても民事上の公平問題が消えるわけではないため重要です。税務と家族紛争を別々に読む必要があります。

論点内容注意点
暦年贈与の加算一定期間内の贈与財産を相続税へ加算2024年以後の贈与は段階的に7年へ延長されます。
特別受益共同相続人の一部が受けた特別の利益不動産の生前贈与は典型的な争点です。
遺留分一定相続人に保障された最低限の相続利益他の相続人から遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。
意思能力高齢者の理解や本人意思契約書だけでなく面談記録、医師資料、公正証書、第三者関与が役立ちます。

次の時系列は、暦年贈与の相続税への加算期間の考え方を示しています。相続開始時期によって対象期間が変わるため重要です。基礎控除110万円以下で贈与税がかからなかった贈与も、相続税に加算され得る点を読み取ってください。

2026年12月31日までの相続

相続開始前3年以内

相続開始前3年以内の暦年課税贈与が基本的な加算対象になります。

2027年から2030年までの相続

2024年1月1日から相続開始日まで

移行期間として、2024年1月1日以後の贈与から加算対象が広がります。

2031年以後の相続

相続開始前7年以内

相続開始前7年以内の暦年課税贈与が基本となります。

Section 07

不動産贈与の登記・関連税金・専門職

所有権移転登記、登録免許税、不動産取得税、固定資産税、相談先を整理します。

贈与契約だけで終わらせず、所有権移転登記と関連税金を確認することが重要です。次の表は、贈与登記で一般に必要になる書類を示します。誰が取得・作成するかを読み取ることで、登記前の準備漏れを減らせます。

書類主な取得・作成者備考
贈与契約書当事者、弁護士、行政書士等税務・民事の証拠として重要
登記原因証明情報司法書士等登記原因を示します。
登記識別情報または登記済証贈与者旧権利証に相当する資料です。
印鑑証明書贈与者期限に注意します。
住民票受贈者登記名義人住所を確認します。
固定資産評価証明書市区町村等登録免許税計算に使用します。
本人確認書類当事者本人確認に使います。

次の一覧は、贈与登記後に連動する税金・費用を整理しています。贈与税だけを見ていると見落としやすいため重要です。税金ごとに課税主体や時点が違うことを読み取ってください。

登録免許税

贈与による所有権移転登記では、原則として不動産の価額の1,000分の20、すなわち2%です。相続登記の0.4%より高くなります。

不動産取得税

都道府県が課税する地方税で、贈与による取得でも対象になることがあります。住宅や土地の軽減措置は種類や要件で変わります。

固定資産税・都市計画税

原則として毎年1月1日時点の所有者に課税されます。年途中の贈与では当事者間の精算を契約書で決めます。

相続登記未了

相続で取得した不動産をさらに贈与する場合、前提となる相続登記が未了だと贈与登記が進まないことがあります。

次の一覧は、専門職ごとの確認ポイントを整理したものです。不動産贈与は税務、法律、登記、評価、測量、取引実務が重なるため重要です。どの相談先がどの資料や判断を担うかを読み取ってください。

税理士

贈与税申告、相続時精算課税、財産評価、相続税への影響、税務調査対応を担います。

中心

弁護士

贈与契約、意思能力、遺留分、特別受益、遺産分割、相続人間交渉、調停・訴訟を扱います。

紛争

司法書士

名義変更、登記原因証明情報、登記申請、相続登記、抵当権抹消、登記簿確認を担います。

登記

不動産鑑定士

負担付贈与、低額譲渡、評価乖離、特殊画地、収益物件、代償金や遺留分の算定で重要です。

時価

土地家屋調査士

境界確認、地積測量、分筆登記、建物表題登記、滅失登記などを扱います。

境界

宅建士・仲介業者

実勢価格、売買事例、賃貸需要、収益性、流動性を確認し、遺留分・納税資金の設計に役立ちます。

実勢
Section 08

不動産贈与の実務チェックリストと誤解

贈与前、評価資料、申告・登記後、よくある誤解を最後に確認します。

次の比較表は、贈与前に確認する事項をまとめたものです。贈与実行前に確認できる項目が多いため重要です。税額だけでなく、意思能力、名義、ローン、他の贈与、紛争リスクまで読み取ってください。

チェック項目確認内容
贈与者の意思能力高齢、認知症、入院、介護状況を確認します。
贈与契約の内容対象不動産、持分、負担、税負担、引渡しを明記します。
登記名義現在の名義人、住所変更、相続登記未了の有無を確認します。
評価資料固定資産税評価額、路線価、倍率、賃貸状況、面積を確認します。
ローンと他の贈与抵当権、残債、債務引受、同一年の現金・株式・保険料負担を確認します。
相続税と紛争将来の相続税、加算、相続時精算課税、遺留分、特別受益を試算します。

次の比較表は、評価資料と申告・登記後の確認事項をまとめています。手続後にも税金や家族説明が残るため重要です。どの資料が評価・登記・将来紛争の証拠になるかを読み取ってください。

分類確認する資料・手続
評価資料登記事項証明書、公図、地積測量図、固定資産評価証明書、課税明細書、路線価図、倍率表、賃貸借契約書、レントロール、建物図面、管理規約、鑑定評価書
申告・登記後贈与税申告、相続時精算課税届出、登記完了、不動産取得税、固定資産税、賃料振込先、火災保険、遺言との整合、家族説明

次の一覧は、よくある誤解と正しい確認の方向を整理しています。誤解のまま名義変更すると、税務・相続・登記で修正が難しくなるため重要です。どの発想が危険かを読み取ってください。

固定資産税評価額だけ見ればよい

家屋は基本になりますが、土地は路線価方式または倍率方式、マンションは敷地利用権・区分所有権・補正率も問題になります。

時価より安く売れば贈与税はない

親族間で著しく低い価額の売買をすると、差額が贈与とみなされる可能性があります。

精算課税なら完全に無税

2,500万円控除で贈与時税額が抑えられても、相続時に精算され、制度選択後は暦年課税へ戻れません。

登記しなければ税金はない

税務上の贈与は登記だけで決まりません。実質的な所有権や経済的利益の移転で問題になることがあります。

税金を払えばもめない

贈与税と、特別受益、遺留分、意思能力、使い込み疑いは別問題です。

小規模宅地等の特例は贈与でも使える

相続税の特例であり、生前贈与で当然に使える制度ではありません。

次の一覧は、専門的な評価論点と設計モデルをまとめたものです。近時は通達評価だけでなく時価や取引実態も問題になりやすいため重要です。どの場面で鑑定評価や複数専門職の連携が必要かを読み取ってください。

通達評価と時価

通達評価が実態とかけ離れ、課税上著しく不適当とされる場合には、通達評価以外の評価が問題になることがあります。

評価論点

貸付用不動産の見直し

2026年度税制改正大綱では、一定の貸付用不動産等について通常の取引価額による評価の方向が示されています。

改正動向

鑑定評価が必要な場面

無道路地、崖地、土壌汚染、収益物件、負担付贈与、低額譲渡、代償金や遺留分争いで検討します。

時価資料

設計モデル

自宅、賃貸アパート、共有持分、親族間売買、遺言と生前贈与の組み合わせで、税務・法律・登記を統合します。

総合設計
まとめ不動産を贈与した場合の贈与税の計算方法と評価額の出し方は、税率表だけの問題ではありません。贈与の法的性質、評価方法、暦年課税・相続時精算課税、登記、関連税金、相続人間の公平、親の生活保障、受贈者の納税資金、管理・売却可能性まで含めて確認することが重要です。
Reference

この記事の参考情報源

公的機関・公式資料

  • 国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率」
  • 国税庁「No.4103 相続時精算課税の選択」
  • 国税庁「No.4429 贈与税の申告と納税」
  • 国税庁「No.4602 土地家屋の評価」
  • 国税庁「No.4604 路線価方式による宅地の評価」
  • 国税庁「No.4606 倍率方式による土地の評価」
  • 国税庁「No.4603 宅地の評価単位」
  • 国税庁「No.4614 貸家建付地の評価」
  • 国税庁「No.4613 貸宅地の評価」
  • 国税庁「No.4553 使用貸借に係る土地を贈与により取得したとき」
  • 国税庁「No.4667 居住用の区分所有財産の評価」
  • 国税庁「No.4426 負担付贈与に対する課税」
  • 国税庁「No.4423 個人から著しく低い価額で財産を譲り受けたとき」
  • 国税庁「No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除」
  • 国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
  • 国税庁「No.4161 贈与財産の加算と税額控除」
  • 国税庁「No.4124 小規模宅地等の特例」
  • 国税庁「No.7191 登録免許税の税額表」
  • 国土交通省「不動産取得税に係る特例措置」
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」
  • 財務省「令和8年度税制改正の大綱」